どうも、八雲です。魔法の練習をしている皆と別れて僕は夕飯の準備の為に一足先に帰ってきました。
そうしたら、我が家の人ではない靴が二足。お客さんが来ているらしい。誰だろ。
「父さん、ただいま~」
そう言いながらリビングに行くと、父さんとお客さんが居た。
「おかえり、八雲。お茶を用意してくれないか?」
「はいよ。リンディさんとクロノも待ってください」
お客さんは父さんの古くからの友人の一人で管理局で提督の地位に居るリンディ・ハラオウンさんとその息子のクロノ・ハラオウン。
今日ここに二人が来ているという事は多分、ジュエルシードの一件だろう。
「お待たせしました」
とりあえず、緑茶ではなく紅茶を用意して僕は席を外そうとするけど、父さんに
「当事者として、八雲も居た方が良いだろう」
と呼びとめられたから僕も話し合いに同席する事になった。
「まず、ジュエルシードの事なんだけど、管理局はアースラを拠点とした探索、捜査を行なう事になったわ。ただ……」
「落ちた所が管理外世界である事から、人員が限られている。ジュエルシード自体『願いを叶える』という、真偽の分からない記述しか見つからなかったから、危険性が確認できず、このようになってしまった」
「そこで、八雲君やお友達にも協力してほしいの」
「動ける魔導師が僕しかいなくて、何もなく終わらせるためにはこれしかないと判断した。……すまない」
リンディさんもクロノも申し訳なさそう。まあ、常識から考えたから一般人の子供がこんな事に関わる事を良しとしないのは当たり前の考えなのだ。
一部管理局では戦力にさえなれば年齢を問わないみたいな考えもあると父さんが言ってたけど、僕の知っている二人はそんな人じゃない。一番確実にこの一件を終わらせるための方法としての苦渋の決断なのだと思う。
「僕としては海鳴の街に危ない物があるのは見過ごせないから協力します。管理局がサポートしてくれるなら、今までよりも速く、安全に見つけれると思いますし」
このまま、管理局が来たからと手を引いて悪い事態になるのも嫌だし、物事を途中で放り出すのは好きじゃない。
「だけど、他の皆は分かんないですよ」
まあ、皆引き受けると思うけど。
「ええ、引き受けてくれる子だけで良いわ」
「八雲さえ来てくれれば百人力だ」
「褒めてもいつも言ってる通り管理局には行かないよ」
クロノは何度か僕を管理局にスカウトしようとしている。といっても、僕は地球生まれ海鳴育ちで、管理世界の知識はあっても愛着が無いから、所属しようと思わないし、やりたい事もあるから断っている。
「分かっている。……惜しいとは思うがな」
「僕ももったいないとは思うけどね。後、皆結構な才能を秘めてるから、僕さえ来てくれればってのはちょっと違うかな」
「魔法の無いこの世界でか?」
「逆に突然変異だからじゃない? 5人とも魔力量だけならAAAランクはあるよ」
しかも年齢的にはまだまだ伸びる。まあ、それは僕も同じだけど。
「5人のAAAランク……凄いわね」
「無理やりなスカウトは止めて下さいね。そうじゃないとアースラ沈めちゃいますよ」
「怖い事を言わないでくれ。君の魔法の力からしたら冗談には聞こえない」
「じゃ、冗談で済むようにしてくれ」
リンディさんやクロノは信頼できるから僕の心配はいらぬ心配だとは思うけど、こういう事に巻き込んでしまった一端は僕にあると思う。だからあっちの理不尽を防げるなら僕が防ぐべきだと思う。
「私もこの子と同じ考えさ。少なくとも彼女達が自分で自分の道を決めるまでは世話をするつもりだ」
「分かったわ。その子達には無理やりなスカウトはしない。今回の一件の民間協力者で留めるわ」
「まあ、子供達がこの一件で管理局員の道を選ぶなら私は止めはしないが」
父さんの言う通り、それを止める権利は僕たちにはない。
「ジュエルシードの方はこれくらいね」
「ん? まだ他に何かあるのかい?」
「実はプレシアから連絡があってね。どうやらフェイトちゃんが地球に来てるみたいなの」
プレシアさんっていうのはリンディさんと同じ父さんの古い友人の一人でフェイトは娘さん。僕やクロノの幼馴染でもある。
「どうして、フェイトが?」
「プレシアさんがこの件に気づいたのはフェイトの部屋にジュエルシードの資料があった事。察しの良い八雲君なら分かるんじゃないかしら?」
「……アリシアの為ですね」
アリシアはフェイトの二つ上の姉。だけど二年前の事故で意識不明になって、それから目覚めていない。プレシアさんはアリシアの治療のための研究をするために仕事を辞めて時の庭園でその事に専念してる。
ユーノが言っていたジュエルシードの発掘された事や輸送船の事故は知ろうと思えば知れる事、輸送船の事故の場所でどの辺りに落ちたかの予測はつけれる事、そして、フェイトとアリシアの仲の良さを知っていればこの結論になると思う。
「八雲、フェイトちゃんには会ったかい?」
「ううん、会ってない。ってか、会ってたらどうしてなんて聞かないよ」
「それもそうか。フェイトの事も気にかけておいてくれ」
「了解。それで、皆との顔合わせ、いつにする?」
この後、リンディさんやクロノと皆の顔合わせの日を決めて話は終わった。
しかし、フェイトがねえ。知ってる僕らなら良いけど、知らない皆と当たって戦いにならないと良いけど。
……もし、フェイトの事を知ってるとしたら最近、何か隠しているっぽい大和だな。
というわけでハラオウン親子登場回でした。
リンディ・ハラオウン
原作通り管理局の提督だがINNOCENTS要素によりプレシアとも古い付き合いに。
クロノ・ハラオウン
原作通り管理局の執務官だがINNOCENTS要素によってフェイトやアリシア、八雲達スカリエッティ兄弟と幼馴染に。