海鳴のスカさん家   作:ピーナ

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第十九話 事態急変

どうも、八雲です。

アリシアが回復して数日、その間の経過を観察して問題無しと父さんは判断したから、プレシアさんはアリシアのリハビリの為に研究の拠点をミッドに移す準備の為に時の庭園に戻った。庭園の方ではプレシアさんの使い魔のリニスとフェイトの使い魔のアルフが引っ越しの準備をしてたみたいだけど、研究の資料とかはプレシアさん自身がしないといけないという事らしい。

その間アリシアはアースラの医務室に居る。フェイトも本格的に僕たちと一緒にジュエルシード探しを手伝うし、艦内には設備もそれなりに揃っているから、丁度良かったみたい。

父さんが技術関係のアドバイザーをやっている関係で僕達兄弟はこの一件が解決するまでアースラで生活する事になった。転送ポートが家にあるし、僕自身転移魔法が使えるから、問題なく生活できている。

ここ何日かはアースラで寝起きし、学校に行って、放課後はアースラの訓練室で皆と訓練している。

皆はそんなに変わらないだろうけど、僕的にはご飯を用意しないで良い分、自由に使える時間が増えてちょっと戸惑っている。母さんが亡くなった頃は今と正反対の事を考えてたのに、もう家事全般を担当する生活に慣れちゃってたんだねえ。

そんな感想を抱きつつ、アースラの生活にも慣れてきたある日の事、訓練室で皆と魔法の練習をしてたら、

 

『皆、ブリッジに来てくれ!』

 

焦った声のクロノの放送が入ってきた。

 

「皆、固まって! 転移魔法で一気に行くよ」

 

ユーノの周りに皆集まって一気にブリッジの出入り口まで移動する。こういう時に転移魔法は便利だ。僕も使えるけど、クロノのあの焦り様も考えると多分……

考え事をしながら入ると、正面のモニターには海が馬鹿でかい何かに変化していく映像が流れていた。

 

「……何あれ」

 

そう言ったのは誰だったんだろう。言葉に出すかどうかの違いはあれど、皆それは思っている。

 

「ロストロギアの暴走体だよ。今まで皆が戦って来た奴だね。ただ、海にまとめて落ちたものが同時に10個まとめて発動したんだ」

 

父さんの説明を聞いているけど、僕はモニターから目を離せなかった。

直接見ているわけじゃないけど、それでも伝わってくる迫力。それが海鳴の海にいる。

……それを黙って見てられるか。

今は時間が惜しい。行こう。

 

 

 

一人海鳴に転移魔法で戻った。既に管理局員が結界を張ってあったから、そこに入る。

直に見る巨大暴走体は、映像以上の迫力があった。怖くて足がすくむ。

けど……僕がやらなくて誰がやるのさ。僕が生まれ育った、皆と出会ったこの街を今守れる力があるのは僕なんだ。動かなくて後悔なんてしたくない!

 

「行くよ、羽々斬!」

『了解』

 

セットアップして、飛び立つ。

僕の魔力反応を見つけたのか、

 

『八雲! お前、何しているんだ!』

 

と、クロノが通信で怒鳴り込んできた。僕はマルチタスクの大半で観察しつつ、応える。

 

「そんなん、見れば分かるでしょ?」

『もっと、考えてから動け!』

「普段ならそうするよ。けどさ、緊急事態で僕の住んでる街のピンチなんだよ? そんな時に悠長にしてられないって」

『……はあ。僕もすぐに行く』

「来るまでに片付けちゃうかもよ?」

『それならそれで良いさ』

 

通信が終わったから戦闘に全集中を傾ける。

相手は見ての通り大きい。見た目通りの攻撃力や防御力だ。それ以上に厄介なのは体が水でできていて海にいる事。ダメージを与えても再生してしまう。

いくら僕の魔力が無尽蔵に近くて回復速度が速くても短期間に大量の魔力を使ったら、無くなってしまう。だけど、倒す方法はある。

体はあくまで水なのだ。貫通力の高い魔法を使えば貫ける。そこに大量の魔力を込めて、一発で封印する。10個同時の精密射撃だ。普通なら1個ずつでも良いとは思うんだけど、これだけ大規模な結界の維持は大変だし、脆い所から壊されて街に被害が出たら意味が無い。時間が掛かる方法は取りたくない。問題は……

 

「サンダーブレード!」

 

試しにやってみた感じ、貫通させるのに必要な魔力は僕の魔力総量の15パーセント位。同時は6本が限界だ。

 

『羽々斬、5本作って維持しながら、もう5本作って発射って出来ると思う?』

『可能か不可能かだけなら可能です。しかし、空戦中になのでマルチタスクを割く事と魔力回復が遅い事を考えると厳しいかと』

『だよねえ。時間が掛かっても1個ずつか……』

『いえ、それは愚策です』

『なんで?』

 

あれを倒すなら時間を掛けて削ってく位しか方法は無さそうなんだけど……。

 

『他の起動しているジュエルシードに反応して封印が解けるでしょう』

『強制封印だからか』

 

一口に封印と言っても正式な封印魔法を使うのと、強力な攻撃魔法を当てて強制的に封印するのとでは効力が違う。強制封印の方が解けやすいのだ。だから、ジュエルシードの方も全部回収し終わった後、どこかでちゃんと封印魔法を使う予定だ。

 

『何か方法は無い?』

『魔力集束がベターでは? ジュエルシードが発動しているのでこのあたり一帯の魔力濃度は平時よりも多いですから』

 

魔力の集束というのは空間にある魔力を集める事。大火力を扱いやすい砲撃魔導士の特級スキルである。仲間内だとなのはと簪が当たる、まあその内自力で覚えそうだけど。

 

『集束か……出来るとは思うけど、一人はちょっときついなあ』

 

魔力集束は片手間で出来る技じゃない。動きを止める必要がある。……覚悟を決めるか。

 

『羽々斬、防御は任せるよ。僕は集束に集中するよ』

『お任せを』

 

さて、僕の全力受けてもらおうか!

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