どうも、八雲です。
僕は羽々斬に防御を任せて魔力の集束に専念している。巨大暴走体の攻撃は羽々斬が防いでくれているけど、そのものが水で出来ているため水飛沫はこっちに来てる。たかが水飛沫でも結構勢いよく来るから痛いし、何か所かは切れている。
「動かないなんて、アンタ馬鹿じゃないの!」
「八雲君、どうして避けないの!」
駆け付けたアリサと刀奈に怒られる。まあ、傍から見たら攻撃受けてるだけだしなあ。
「ごめんよ。でも、終わらせるにはこれしかないからさ」
「……自分の身も考えなさいよ」
「知り合ってそんなに経たないけど、八雲君って自分の意志は何が何でも貫くじゃん」
「それは分かってるけど、それと私が心配するのは別問題なの!」
「そうね。私もそうだもん」
「……ホントにごめん」
二人に、いや他の皆に心配をかけたのは間違いないから僕は素直に謝るしかない。
「で、八雲は何する気?」
「大技で決める」
「あんなに大きいのを?」
「回復し続けるからね。ピンポイントにジュエルシードを撃ち抜いて封印するよ。魔法に関してはこの世1だから大丈夫だよ。準備はいるけど」
僕の魔法は異質だ。
ミッドチルダ式の魔法は基本的な射撃魔法や防御魔法以外は基本的にあらかじめデバイスで組み上げておいて発動させる。だけど、僕はそれとは少し違う。魔法の骨子はデバイスにあるけど、速さだったり威力だったりその時に必要なものを追加して放てる。咄嗟に思いついた物を形にすることだって余裕だ。
「八雲君の魔法って面白いし、勉強になるのよね~」
「確かに。皆の魔法ってどこか八雲の魔法の要素が入ってるし」
「今回のは技術的にはなのはや簪には勉強になるかもね。技は大和の考えてたのを使うけど」
「準備は後どれくらい?」
「もうちょっとだね」
「分かったわ。皆! 八雲が決めてくれるから、あのデカいのを削って!」
「とりあえず簡単だけど、バインドで攻撃を止めさせてもらうよ!」
ユーノの前に出現した魔法陣から何本もの鎖状のバインドが放たれ、動くを封じていく。
「分かったぜ! アイツが海で回復するなら、俺も海の力を使わせてもらう! 秘剣・斬水!」
剣に水を纏わせて、斬撃を放つ大和。前見た時はもっと小さかったんだけど、海水も纏わせているから大きさも威力も比べ物にならない。
「私が動きを止めるよ! 受けて、白銀の抱擁! アブソリュート!」
すずかの発した魔力による超低温により海面が、そしてその海面にいる暴走体までもが凍っていく。まさか、ここまで氷結能力を使いこなせてるなんて。
「次お願い!」
「私も続くよ! アルカス・クルタス・エイギアス。疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル。フォトンランサー・ファランクスシフト」
詠唱の終了と共にフェイトの前に大量の金色の魔力球が出現する。
これは、ちょっと前にプレシアさんの使い魔でフェイト達の家庭教師であるリニスが教えた、今現在のフェイトに合わせた大技。前見た時より完成度が上がっている。
「ファイア!」
一斉に魔力弾が高速で斉射される。ガガガと氷が削られていく音が響く。
「これでおしまい! スパーク……」
魔力球を収束させて大きな雷の槍が作られる。無駄が無いなあ。
「エンド!」
放たれた雷の槍が暴走体に当たると大きな音と共に爆発した。
「次は僕だ! スティンガーブレイド・エクスキューションシフト!」
クロノの主力魔法である「スティンガーブレイド」の大量展開による広域魔法攻撃を発動する。
クロノ自身が言っていたけど、クロノは対人は得意だが、こういう対大型目標はあまり得意ではない。この技はそれを補うための技だ。
「次は私達だよ、簪ちゃん!」
「うん、行くよなのは! ダブルディバイン……」
「「バスター!」」
二人9つ9の掛け声とともに放たれる二発の砲撃。
二人とも遠距離の射撃、砲撃型の魔導師(その中でなのはは一発の威力と防御力に秀でたパワータイプ、簪は誘導弾を巧みに操るテクニックタイプ)でお互いが切磋琢磨している。
そんな二人が砲撃の基本技であり必殺技として練り上げたこの技。その威力は絶大だ。
「最後は私達ね。行くわよ、刀奈!」
「任せなさい! 全てを満たせ!」
「灼熱の炎霧!」
「「レイジングミスト!」」
人数が多いからよくチーム戦をやるけど、一番連携が上手いのがこの二人だ。二人とも他の皆と上手く合わせられる。その中でもこの組み合わせは変幻自在という言葉がぴったりくる。基本的にフロント刀奈・バックスアリサなんだけど、二人ともどちらもこなせるから、攻撃パターンが豊富で手強い。
二人も相性が良いのが分かっているから、いろんな連携や合体の技を考えている。レイジングミストは二人に相談されて僕が火を使っているアリサと水を使っている刀奈に合う物として見せたものだった。ただ、一人でやる僕のと二人の技は威力も範囲も桁外れだ。
「お膳立ては出来たわよ、八雲」
「後はお願いね、八雲君」
「はいよ。大和!」
「何だよ兄貴!」
割と距離があるのでかなり大声で話す僕達。
「お前の考えてた技の見本見せるからよく見てろよ! 剣よ! 我が前に集いて敵を貫け! 秘剣・夢刃!」
詠唱が終わると暴走体の周りに10本の巨大な剣が現れる。本来の「秘剣・夢刃」はこんなに大きくない(大和の考えた9つの秘剣は全て基本的には対人を目的としている)のだが、僕はそこにちょっと+αを付け足した。
「ちょ、ちょっと八雲! 大き過ぎよ!」
「何をやったの⁉」
「魔力収束って言ってな。一度使った魔力をもう一回取り込んで使う技術さ」
「だが八雲、それでもこの規模は……まさか!」
「さすがクロノ、気付いたようだね。そんじゃ、ネタばらし!」
僕が指を弾くと、僕の魔力光の色である白銀(厳密には銀色に近い白色)から一本を除いてそれぞれオレンジ、青紫(明るめ)、桜色、金色、青色(暗め)、浅葱色、青色(水色に近い)、緑色(淡い)、赤色に変わる。
「これは……私達の魔力の色?」
「その通りだよ、簪。これが、魔力収束って技術だよ」
「自分の出した発射体をさっきのフェイトみたいにもう一度集めて使う事はそれほど難しくないし、それなりの魔導師なら出来る。しかし、八雲みたいに使用して拡散した魔力を再度収束させて使用するのはSランク以上の超高等技術なんだ」
「皆が攻撃をした分、集中できたからね。誰の魔力かまで仕分けられたよ」
「……分かっていると思うが、こんな真似が出来るのは八雲だけだ」
だろうね。父さんの持ってた資料でもクロノの説明までだったし。でも、出来ちゃったんだから仕方ないよね。この方が皆も分かりやすいだろうからやってみただけだし。まあ、難しいから防御を羽々斬に任せて、僕は集中する必要があったしね。
ちなみに魔力光はそれぞれ、アリサ、刀奈、なのは、フェイト、すずか、簪、クロノ、ユーノ、大和となっている。
「それじゃ、この事件、この一撃で終わらせてもらうよ!」
僕がもう一度指を弾いたのを合図に10本の剣が飛んでいく。それらは寸分違わず暴走体の中にあるジュエルシードに吸い込まれていった。
次の瞬間、暴走体の体は崩れその跡に10個のジュエルシードが残っていた。これにて一件落着だね!