どーも、皆さんこんにちは、八雲です。
刀奈と別れた僕は図書館にやってきました。
図書館の入口にある時計を確認したら四時を少し過ぎた所。大体三十分ぐらいあるから……一冊読めるか怪しい所かな。まあ、途中になったら借りればいいし。
何を読むか探しながら歩いていると、高い位置の本を取ろうと本棚に手を伸ばしている車いすの女の子を見つける。僕はその女の子が取ろうとした本を取って手渡した。
「これで良いか? はやて」
「うん、ありがとうな、八雲君」
彼女は八神はやて。僕が小学校に上がる少し前の頃にこの図書館で出会って、それから週に2、3回くらいここで会っている。僕と同い年なんだけど、車いすに乗っているので分かる通り体が悪いらしく、学校には行かず、通院と入院の繰り返しで、病院の帰りにここに寄っているとの事。
「そういや、ちょっと前にすずかちゃんに会ったで。今日は本を返しに来ただけやったみたいやけど。八雲君、遅かったけどなんか有ったん? 同じクラスなんやろ?」
僕が小学校に上がってすずかと知り合って少しした後、僕とはやてが話していた時に偶然出会ってそれ以来二人も友達になった。
「今日、放課後の掃除当番だったのと、来る時に木の上から降りられなかった猫を助けててね」
「へえー。しかし、よく木の上の猫なんて気付いたなあ。にゃーって鳴いてたん聞こえたん?」
手首を猫っぽく曲げてそう聞くはやて。
「いや、その木の下で見上げてた女の子が居てさ。何かって聞いたらそういう話だったんだよ」
「なるほどなあ。うん、八雲君らしい」
……最近思う事がある。それを聞いてみよう。
「あのさ、『僕らしい』って何? よく言われるんだけど」
「うーん、見える範囲の困った人を見逃せず手助けする、優しい所ちゃう? 今日の事もそうやし、私と会った事もそうやん?」
僕としては目に入った困った人を見逃すのって気分が悪いし、手助け出来る事なら手助けする物だと思ってるし、自分では大した事じゃ無くてもお礼の一つ言われたら気分も良くなるからとかそんな理由なんだけどね。
「確かにそれは否定できないなあ。なるほどね」
「まあ、人から見たらお人好しってとられるかもやけど、私はそのおかげで八雲君と出会えて、お話しするようになって、友達になれたからええ事やと思うで」
はやての言う通り、僕がこういう性格じゃ無かったら、今の様にはやてと当たり前に話せなかっただろう。今日の刀奈の事も同じ感じ。もっと言うとアリサやすずかと仲良くなったのってアリサがすずかにちょっかい掛けてたのをなのはが止めようとして始まったアリサとなのはのケンカを止めたのが切っ掛けだったし。
……思い返すと全部僕のお節介から始まってるなあ。
「それもそうか。なんか納得した」
「そりゃ良かった。……私は八雲君に一杯いろんな物貰とるから、少しは力になれて嬉しいよ」
「僕、なにかはやてにあげたっけ?」
全然記憶に無い。……誕生日にクッキー渡した位かな。
「さっき私が言った事って全部八雲君がくれた物やで? すずかちゃんと友達になれたんも、今こうやって楽しい時間を過ごすのも、全部八雲君のおかげやもん。そうじゃなかったら友達なんておらんだやろうし……」
そのはやての言葉にむかっと来たから俯き気味だったはやてのおでこにデコピンを食らわす。
「痛っ!? なにすんの!」
「はやてが勝手にネガティブってるのが悪い。確かにさっき言った事は全部僕切っ掛けだったけどさ、その後、僕に話しかけてきてくれて楽しい時間を過ごせるようになったのも、すずかと友達になれたのも、全部はやてが自分で頑張ったからだろ」
僕の一件は一回目は確かに僕が助けたからだけど、二回目は僕を見かけたはやてが話しかけて来てお礼という事で手作りのカップケーキをくれた。本格的にここで会ったら話すようになったのはその日からだった。
すずかの事もすずか本人が「この前、はやてちゃんから話しかけて来てくれたんだ。はやてちゃん、本の趣味が合うから話してて楽しいよ~」って言ってたからね。
「そうなんかな?」
「少なくとも僕はそう思うよ。それにネガティブに捉えてても気分が落ち込むだけだからね。ポジティブに行かないと」
「……せやね。ネガティブっとってもええ事なんて何もあらへんよな。うん! ポジティブに行くわ」
「その方が絶対良いよ。それにやっぱり女の子は笑顔の方が断然良いと思うし」
僕がこう思うのは無くなった僕達の母さんがいつも明るく笑顔がとても印象的で素敵な人だったからだと思う。父さんも母さんの好きな所で真っ先に笑顔って答えるし。
「そ、そう?」
「そりゃ、暗い顔見るより笑顔の方が誰でも気分良いでしょ」
「あー、せやね……」
同意を示すものの何故かはやてはがっかりした様子。何で?
このはやての反応は気になる所なんだけど、スーパーのタイムセールの時間が迫っていた。
「悪いはやて、今日はもう帰るよ」
「タイムセール頑張ってな~」
「もちろん。家計が掛かってるからね」
僕を笑顔で手を振って見送ってくれるはやてにそう返事して僕は図書館を後にした。
しかし……なぜ、僕が知り合う女の子達は軒並み魔導師の資質を持ってるんだろ? これはアレか? 大和が読んでたマンガの言葉を借りるなら『魔導師は引かれ合う』って事なのか? もし、そうなら厄介事確定って事じゃん。
まあ、そうなったら僕の見える範囲、出来る範囲で色々やっていこう。
今回のお話関連のキャラ紹介です。
八雲・スカリエッティ
基本的にはお人好しで困っている人をスルー出来ない。
趣味の一つは読書。煮込み料理を作る時にキッチンに椅子を置いて様子を見ながら読むのが基本。
八神はやて
八雲のヒロイン筆頭候補。
本作では小学校に上がる前に八雲と出会っているので一番付き合いも長い。趣味の読書や料理で話が弾むので、仲もかなり良好。
すずかとは親友で八雲についても相談している。(すずかはアリサの気持ちも知っているので、相談に留めて、どちらの後押しもしていない)
八雲への好意は自覚しており、八雲が鈍感なのも察している。
次回から無印編突入の予定です。