どーも、大和・スカリエッティっす。
えっ、あのしゃべり方はどうしたかって? あれは俺自身カッコいいと思うんだけど、他の人の評判があまり良くないんす。
意図的にやっているから、真剣な会話をすると普通の喋りになってるっす。
それはそれとして、今は学校からの帰り道。俺はなのは、アリサ、すずかの3人と一緒に歩いている。
兄貴が居ないのは、昨日遅くまで起きていて宿題を入れ忘れるというミスをしたから。
「しかし、兄貴が忘れ物するとはなあ」
「アイツだって忘れ物の一つや二つくらいするでしょ」
「それはそうなんだけどね~」
「八雲君はなんでもちゃんとこなすイメージがあるからびっくりしたの」
なのはの言葉は一理ある。なんでもちゃんとこなせるから兄貴に頼ってしまう事が多い。兄貴も頼られる事が嫌いじゃないから、それをほいほいと受けてしまう。昨日遅くまで起きていたのもそういう所が原因だった。
そんな事を考えていると、
『……助けて……』
そんな言葉が頭に響いた。これは……念話? この近辺で魔法を使えるのは俺と兄貴、父さんだけのはずなのに、一体誰なんだ? 周りを見回してみるけど、それっぽい人影は見つからない。これだけでも驚きなのに、
「アリサちゃん、すずかちゃん、今何か聞こえなかった?」
「うん、聞こえたよ!『助けて』って」
「私の気のせいじゃなかったのね! 行きましょ!」
アリサの言葉で三人は進み始めた。何故か三人にも聞こえていたらしい。
……いや、なんで?
『いったいどういう事なんだ、武蔵?』
俺は考えがまとまらず、相棒であるインテリジェントデバイス『武蔵』に念話で話しかけた。
『普通に考えればお三方がリンカーコアを持っている、という事でしょう』
『まあ、そういう事なんだろうけどさ。……そういう事ってありうるの?』
『稀に、自然発生的にリンカーコアを持った子供が生まれる事はあります』
『じゃあ、それが同じタイミングで三人も近所で生まれる事は?』
『天文学的な数字の確率でしょう。まさに奇跡です』
父さんはよく「たとえ成功する確率がかなり低くとも0でない限り起こりうる」と言ってたけど、この事もきっとそんな感じ。あり得ないくらい低い確率だけどあり得た。
『兄貴は気付いてたと思う?』
『恐らくは。事魔法に関しては天才、奇才ですから』
『言わなかったのは……言う必要が無かったからだろうな。俺は隠し事が下手だし』
普通に地球で暮らしていたら魔法なんて全く必要ない。知らせて何か起きるくらいなら知らせない方が良いと思ったんだろう。
俺に言わなかったのは、口は固いけど、何かある事が顔に出る事をよく知っていたからだと思う。
兄貴がどれだけ隠し事が上手いかというと、去年の冬風邪をひいて40度を超える高熱でもいつも通り生活しようとしていた。その時、父さんはちょっと用事があって次元世界の方に居て、一緒に暮らしている俺は全く気付かなかった。
ちなみにその時はアリサが一発で気付いて学校ついて早々保健室送り、さらにそこから先生の車で病院に直行だった。
そんな事を思い出していると前を行っていた三人に追いついた。そして、なのはの手にはなんか動物。
「なあ、それなんて動物だ?」
「フェレットだよ、大和君」
「結構怪我してる……」
「病院に連れてかないと!」
アリサの言葉に俺達はうなずいて速足で近所にあるというすずかの家のかかりつけの獣医さんの所に向かった。
獣医さんの所に寄った後、三人は塾に向かい、俺は家への帰り道を歩いていた。
『あれは……使い魔なのか?』
『いえ、地球の魔力とうまく適合が出来ない状態で魔力を使い過ぎたので消耗を減らすためにああなったのでしょう』
『怪我もしていたみたいだし、魔力や体力消費を抑えるための省エネモードって事か。って事はあのフェレットは人間なのか?』
『ええ。なので、フェレットとは少し違います』
そう言や獣医の先生もそんな事言ってたなあ。そういう事もあるのかって思ってたけど、フェレットじゃなかったんなら納得できる。
『それで、この後どうしますか?』
『まあ、何かあったら動く。難しい事は考えても分かんねえし』
サッカーやってて、色々対戦相手の情報貰って考えてプレーをするんだけど、今一上手くいかない。だけど、自分の勘で動いた方が上手くいく。
多分、今回もどういう事がありそうだとか考えちゃうと上手くいかない気がする。事が起こったら動く。その心構えだけあれば良い。
『まあ、色々している兄貴にはばれねえようにしないとなあ』
『了解しました』
すぐにばれる気がするけど、それでもいきなり頼りにするんじゃなくて出来る事はやってかないとな。