蒼紅の決意 Re:start   作:零っち

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「うぅ…は、ハチマキ?!」

「うぅ…は、ハチマキ?!」

 

ものすごく醜悪な悪夢によって飛び起きる。

 

「なんだ…夢か…」

 

危なかった…もし夢じゃなかったら世界が終わっていた…

 

「いやどんな夢だよ?!ハチマキってなに?!WHY!??」

 

「ちょ、寝起きにうるさい…」

 

起きた途端にすぐ側で、しかもすごい声量と勢いでツッコミくらうとかなんの罰ゲームですか?

 

「ん、てか今何時?出川」

 

「誰が出川だ!?…8時だよ、晩のな」

 

8時か。ならそこまで寝込んでたわけではないみたいだな。

 

「驚いたぜ、昨日突然ひさ子が、森で気絶してる柴崎を拾ってきてやってっつーから行ってみたらマジでいるんだもんよ」

 

「はは、そりゃ悪いこと………え?昨日?」

 

聞き間違いかな?金土って言ったのかな?確か今日は火曜のはずだけど。

 

「ああ、お前丸一日気絶してたぞ」

 

「嘘だろ?!」

 

「いやマジマジ。とりあえず起きるまで待ってようと思ったらまるで目ぇ覚まさねえの」

 

「起こせよ!」

 

「気絶してるやつ無理矢理起こしても大丈夫なのか?」

 

「それは……知らん」

 

医学的な知識なんて皆無だ。

 

そもそも怪我自体することが少ないし。

 

「だろ?だからとりあえず放ってたんだよ。あ、ちゃんと息してるかは確認してたから安心しろよ?」

 

何をどう安心するんだそれは。

 

…まあいいか。わざわざひさ子に殴られて気絶した俺を拾ってきてくれたんだか…ら…

 

「ん?どうした柴崎?顔色悪いぞ。なんか汗もかいてるし」

 

「ひさ子…」

 

「え?」

 

「ひさ子はもう怒ってないか?!」

 

思い出した恐怖によって思わず日向にすがり付くように訊ねる。

 

「は、はぁ?!」

 

「やばい…ひさ子はやばい!アイツいつか人を殺すぞ!」

 

「お、落ち着けよ!アイツなら俺も何回かキレさせたことあるけど、人殺しまではしないって!」

 

何回か…?!

 

あんな人智を越えた暴力を何回も受けたのか?!

 

「大丈夫なのか日向?!実は死んでないか?!」

 

「ちょ、何?!マジでどうしたのお前?!どーどー!落ち着け!深呼吸しろ!」

 

日向に促されるがまま深呼吸を行う。

 

何度かやっている内に、少しずつ落ち着いてきた。

 

「よーし落ち着いたな。ほら、とりあえず飯食おうぜ!っつっても食ってないのはお前だけだけどな」

 

言われてから自分が空腹なことに気がついた。

 

よっぽど気が動転してたんだろうな…

 

「まあ飯が終わったら楽しい楽しいイベントがあるらしいし、さっさと済ましちまえよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空腹だったこともあってか驚くほどに早く飯を平らげ、一服ついたところで、仲村から俺が気絶していた森林に来いとの招集がかかった。

 

日向と一緒に入り口へ向かうと、続々と皆も集まり、そう時間もかからずに全員が揃った。

 

「皆揃ったわね。じゃあ今日は…胆試し大会よ!」

 

「夏といえば、というところですね」

 

クイッと無駄に眼鏡を上げながらそう言う高松。

 

「ベタこそが至高なのよ。あたしたちにとってはね」

 

まあ確かに青春って感じはするけど。

 

「ルールは簡単。この森の奥にあるあたし特製のお守りを二人一組で取ってくる、それだけ」

 

「で、でも…こんなに暗いと危なくないですか…?」

 

「大丈夫よ入江さん。道は1本しかないし、仕掛け役はうちで雇っている人たちだから何か起こっても対処できるわ」

 

「うぅぅ…」

 

怖いのが苦手なのか、心底嫌そうな顔をして唸っている。

 

可哀想だけど仲村が1度言ったことをこの程度で曲げたりはしないだろうな…

 

「分かった分かった。特別に入江さんは大山くんとペア組んでいいから、ね?」

 

「ほ、本当ですか?!」

 

「うん、だから参加しましょうね?」

 

「は、はい!」

 

仲村の提案を聞いてものすごく目を輝かしているんだが…同時に大山の顔が真っ青になっていってるのが分かる。

 

お前も…苦手なんだな…

 

まあここは仲村の言うことを信じて、何かあっても大丈夫だと思い込んでおこう。

 

「ずるいなーみゆきち。あたしも直井くんと組みたいよー」

 

「ダーメ。他の人はくじ引きで決めるわよ。ほら、引いた引いた」

 

あらかじめ作ってきたのであろう仲村お手製のくじを全員が引いていく。

 

「赤…」

 

同じ色の奴とペアってことか。

 

「柴崎赤?!あたしも赤だ!」

 

「うわ…」

 

よりによって岩沢とペアかよ…運悪…

 

周りも続々とペアが決まっていっているようで…

 

「あー!あたし直井くんとだ!やったね!」

 

「そんなバカな…僕は柴崎さんか音無さんと…」

 

「…チッ」

 

「藤巻…」

 

…つーか…

 

「おい仲村!お前くじ仕組んでるだろ!」

 

ガルデモ+マネージャーの組ばかりじゃねえか!

 

「人聞きの悪いことを言わないでよ。公平よ公平」

 

「嘘つけよ!こんな確率で偶然が起きてたまるか!やり直しだ!」

 

「落ち着けよ柴崎」

 

なんとかしてペアを組み直そうと必死に抗議していると、音無が割って入ってくる。

 

「こんなに大勢を相手に細工なんて難しすぎる。これは公平だと思うぞ。それに、ペアが気にくわないからって文句を言うのも男らしくないぞ!」

 

「うっ…」

 

そう言われてみると、確かにそうかもしれない。

 

そもそも細工があったとしても、そのトリックも暴けていないしな…

 

「納得したなら早くやろう。遅くなったら危ないし。な」

 

「はい」

 

……………。

 

「なあ音無、お前のペア…」

 

「ペアがどうかなんて関係ない。とにかく楽しもう。な」

 

「はい」

 

「音無…」

 

ダメだコイツ…ペアが奏ちゃんだからって仲村の味方になってやがる。

 

ちらりと仲村の方を見てみると、にやっと新世界の神のような笑みを浮かべてやがる。

 

ここまで読んで細工しやがって…!

 

「ほーら、そろそろ始めないと終わるの深夜にやっちゃうから始めるわよ!じゃあ、オペレーション・ゴーストサプライズ、スタート!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ…」

 

ぎゅっと掴まれている僕の左腕。

 

掴んでいるのは愛しの彼女。

 

……なのに…嬉しさより怖さの方がよっぽど強い……!

 

うぅ…僕はなんて弱いんだ…

 

「ま、誠さん…」

 

「ど、どうしたの?」

 

「すみません私…お化け苦手で…こんなにしがみついちゃって…」

 

「だ、大丈夫!僕がちゃんと守るよ!」

 

ドン、と胸を叩いて強がって見せる。

 

けど、それで怖さがなくなるわけでもなく…

 

ピチャッ

 

「ひ、ひぃぃぃぃ!!?」

 

首筋に謎の冷たい感触を受け、情けない悲鳴をあげてしまう。

 

「誠さん!大丈夫ですか?!」

 

「だ、だだだだだ大丈夫!」

 

なんとか取り繕おうとするも、悲鳴が聞こえなかったわけがない。

 

情けないところ見せちゃって…幻滅されたかもしれない…

 

「あ、あの…もしかして誠さんもこういうの苦手…なんですか?」

 

「…うん。正直言うと、苦手なんだ」

 

もうどう頑張っても誤魔化せないだろうと思い、せめてもの誠意として正直に答える。

 

「……あの、誠さん…」

 

「なに…?」

 

「全力で走って早く終わらせませんか?そうすれば怖さも最小限で私もラッキーなんですけど…」

 

僕の腕にしがみついたまま、上目遣いで提案してくる。

 

きっとこれは半分本心で、半分気遣いなんだろうなと感じる。

 

折角の彼女の優しい申し出を断るわけがない。

 

「そうだね!よし、ダッシュで切り抜けよう!」

 

「はい!」

 

腕に抱きつかれていた状態から、手を繋ぐことにして、僕たちは同時に走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピチャッ

 

「チッ…」

 

隣から妙な音と舌打ちが聞こえた。

 

大方こんにゃくでも張り付いたんだろう。

 

今時こんなので怖がるやつはいないし…こんな状況だとビビることも難しいしね。

 

昨日あんな喧嘩をした後、コイツとペアで胆試ししろって言われても、気まずさばかりでまるで怖くない。

 

…まあ元々こんなので怖がるような可愛いげはないけどさ。

 

「うおぉぉぉ!」

 

「…はぁ」

 

「…………」

 

突然やけにリアルな特殊メイクをしたゾンビが出てきても、溜め息しか出てこない。

 

仕掛け役の人に悪いことしたなぁ。

 

と、終始こんな感じでゆりの言っていたお守りの場所まで着いてしまった。

 

入江は良いよな…可愛いげあるし。さっきだって大山とダッシュで帰ってきて…すごく楽しそうにしてた…

 

「……おい」

 

「…なんだよ?」

 

唐突に声をかけられ、一瞬自分に言っているのだと気づくのに遅れてしまう。

 

「……昨日は…悪かった」

 

「……は?」

 

予想もしてなかった謝罪に、思わず聞き返してしまう。

 

「…昨日のは完全に八つ当たりだった!だから特別に謝ってやってんだよ」

 

「な…んでそんな上からなんだよ…?バーカ…」

 

つくづく可愛いげのない自分を呪いながら、しかし自然に口元がにやけていってしまう。

 

なんだよ…なんだよバーカ。謝るくらいならすんなっつーの…バーカ…

 

「うっせぇ…あー、用も済んだし帰るぞ」

 

「命令すんなっての」

 

悪態をつきながら後ろをついていく。

 

ここでちょっと素直になれたらな…でも、今日はちょっといい日だな…

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ直井くん」

 

「なんだ?」

 

「幽霊って信じる?」

 

「はっ、何を馬鹿なことを…そんなの存在するわけがないだろう。仮に存在したとして、見えないのならなんの害もない。つまりいないも同然だ。何も気にする必要がない」

 

「そっかぁ。じゃあとりあえずあたしの後ろに隠れるのはやめない?」

 

ずーっと後ろから肩を掴んで着いてくる直井くんの方に振り向いてみる。

 

すると、ギクッ!みたいな感じで身を強張らせる。

 

「これは隠れてるんじゃない!盾にしてるだけだ!」

 

「それになんの違いがあるの?!結局怖いんでしょ!」

 

「違うわこの愚鈍め!もし前からなにか飛んできた時に備えて盾にしてるだけぇぇぇ?!」

 

「な、直井くん?!」

 

突然悲鳴を上げてその場に崩れ落ちていく。

 

「何かが…首元に…」

 

「んーどれどれー?」

 

女の子みたいに怯えるので、とりあえず直井くんの言った首元を探ってみるとなんだかぬめっていた。

 

「こんにゃくかな?ベタだね」

 

「ふ、そ、そうだな…」

 

あくまで強がってみせているけど、残念無念、あたしの心のメモリーにしっかりと一連の流れは記録したぜ!

 

しかしあれだねぇ、これじゃどっちが男なのかわかんないねぇ。

 

…いいこと思い付いた!

 

「お嬢さん、このしおりんに頼りなよ。あた…俺はこんなの屁でもないぜ?」

 

「ふ…ふざけるな!誰がお嬢さんだ、馬鹿馬鹿しい!!」

 

「ああん、つれないなあー」

 

騎士しおりんになるにはまだまだ早かったようで、差し出した手はすげなくはたかれてしまったのでした。

 

しかし姫は再び歩き始めることが出来ました。

 

めでたしめでたし…なんてね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うお!…ってなんだこんにゃくかよ…」

 

なんてベタな…と思いながら少し濡れた首元を拭う。

 

「柴崎はこういうの苦手?」

 

「いや、普通だな。めちゃくちゃ怖いわけでもないけど、驚かされたら普通に驚く」

 

「そっか、残念。手を繋ぐチャンスだったのに」

 

「お前の方が怖がってる振りをするっていう考えはねえんだな…」

 

「はっ!?」

 

今さら気がついたんかい。

 

コイツって本当にそういう悪知恵が働かないんだな…

 

どこまでいっても真っ直ぐというか、愚直というか。

 

「こ、怖いなー」

 

嘘をつくのも下手、か。

 

「怖いならちゃきちゃき進むぞー」

 

「あ!ちょっと待ってくれよ柴崎ぃ!」

 

まあでも、嘘を平気でつけるやつよりは信用できるけどな。

 

 

 

 

 

「……………」

 

ただ一心不乱に前に進み続ける。

 

「ちょっと待ってよ笑美、楽しんでいこうよ折角なんだから」

 

「あなたとじゃ楽しくないです」

 

今回は柴崎さんと岩沢さんとで組ませると聞いたから、私のペアは誰でもいいと言ってしまったのは失敗だった。

 

この人となるのは嫌だったのに。

 

「なに?蒼とペアになれなくて不機嫌なの?だったら仲村さんに頼めばいいのに」

 

この人はこうやって平気で無神経なことばかり言ってくる。

 

どうせ私がそんなこと言わないことなんて分かっているくせに。

 

「どうでもいいでしょう、あなたには関係ないのですから。それに…あなたにとっては丁度いいでしょう?あなたは岩×柴にしたいんですから」

 

「そんな漫画のカップリングみたいに…しかも岩沢さんが攻めなんだ」

 

「岩沢さんが攻めでしょう」

 

「攻めだけどさ」

 

こんな無意味な会話をしながらドンドン進んでいく。

 

出来ればこのまま意味のない会話だけで終わって欲しい。

 

「まあそれは置いといて、真面目な話。僕は岩×柴推しじゃないよ?遊×柴でもいいんだから」

 

「私が攻めなんですね」

 

「受けになりたかった?」

 

「どうでもいいです。あなたの嘘に付き合うつもりはないですし」

 

ようやくお守りを見つけ、急いで踵を返す。

 

「嘘じゃないよ」

 

「嘘に決まってますよ。岩沢さんとくっついて貰わないと困るのはあなたですから」

 

「そんなことないさ。僕は今の蒼だけでも満足してるし、また幼馴染み3人で仲良くやるのも―――「いい加減にしてください」

 

自分の中でじわじわとこの人に対する言葉が冷たくなっていくのを感じる。

 

「あなたは…敵です」

 

そう吐き捨てるように言って、駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…嘘じゃ、ないんだけどなぁ」

 

僕の声がポツリと森へと消えていった。

 

とりあえず、僕も戻るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの…怖くない?大丈夫?」

 

目の前をウキウキとした様子で歩いている我が天使に、分かりきった質問をする。

 

「はい、大丈夫ですよ」

 

だよねー…すごい嬉しそうだもんねー…

 

正直予想外だ。

 

この清楚で純朴で、可愛らしく愛らしい見た目からして、こんな暗い場所は怖がるかと思っていた。

 

だけどさっきこんにゃくが当たっても、もう、と少し嫌がるような素振りを見せたのみで、笑顔が絶えずまさに天使だ。

 

俺の想像では腕に抱きついてくれるはずだったんだけどな…

 

「音無さん、どうかしました?」

 

俺が考え事で足を止めたのに気づき心配そうに顔を覗き込んでくる。

 

天使か?!

 

……あ、天使だ。

 

「ああ、大丈夫大丈夫」

 

「そうですか?無理しないでくださいね」

 

「…はい」

 

やばい……あー…やばい。

 

語彙力が0になるくらい可愛い。

 

いかんいかん。この程度で満足してどうするんだ。俺はこれを機に一気に奏ちゃんと親密になるんだ!

 

「な、なあ奏ちゃん」

 

「はい?」

 

「えっとさ…う、うちの高校受けるんだよね?」

 

「はい、無事合格すれば来年から後輩です」

 

来年から…後輩…

 

っと、危うくこの言葉だけで妄想の世界にトリップしてしまうところだ。

 

「勉強は順調?」

 

「一応合格出来る…と思うんですけど」

 

「けど?」

 

「親が家庭教師をつけるって言うんです…」

 

「それは…っ、なんで?」

 

男?!女?!と、口から出かけたがなんとか押し止め、質問を変える。

 

「ここで気を抜いて成績を落とさないため…らしいです」

 

落ち込む横顔から、家庭教師がつくことに反発を感じていることが窺える。

 

「悪いことではないと俺は思うよ。夏を制するものは受験を制すってよく言うし」

 

男だったら、そいつぶっ飛ばすけど。

 

「そうなんですけど…私、人見知りで…よく知らない人だと余計に集中出来なさそうで…」

 

そういえばゆりも言っていたな。

 

俺とだって初めはこんなに喋れて…

 

「…いやでも、まだ会って2、3日の俺とこれだけ話せてるけど?」

 

「それは…ゆりの友達ですし。それに音無さんは一緒にいると安心するというか…」

 

安心するだと…?

 

これはもしや、実はかなり好感度上がってるんじゃないか?!

 

「お、俺もかな――「あ!いいこと思い付きました!」

 

折角俺も奏ちゃんといると落ち着くよ。と、言おうとしたが遮られてしまった。

 

「な、なに?」

 

「音無さんって確か学年首席だったんですよね?」

 

「え、ああ、一応」

 

これでも医学部志望で、それなりに勉強は必死にやっているつもりだ。

 

「あの…音無さんが私の家庭教師になってくれませんか?」

 

「なん…だと…?」

 

それは…それは…つまり、俺に手取り足取り色々教えて欲しいということなのか…?!

 

奏ちゃんに…色々…

 

「ぐはぁ?!」

 

「音無さん?!」

 

「我が生涯に一片の悔いなし…」

 

「音無さん?!まだ死んじゃダメですよ!だ、誰か助けてくださーい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで全員終わったわね」

 

最後の高松、竹山ペアが帰ってきたのを見て全体に向けて声をかける。

 

正直、思ったより収穫がなかった。

 

目に見えて変化があったのは音無くんと奏ちゃんくらいのもので……いやまさか鼻血出して帰ってくるとは思わなかったけど…

 

そして藤巻くんとひさ子さんも仲直りはしたみたいだけど、要するに元に戻っただけで進展はなし。

 

「よっし、じゃあ今日は戻って後は自由行動!はい解散!」

 

パンッと手を叩くと皆別荘に向けて歩みだした。

 

しかし、こんな暗い場所で二人きり…なんて絶好の機会で何もなしとは。

 

関根さんの方はそもそもどちらにも恋愛という観点での好意がない。関根さんは何がしたいのか分からないし、直井くんは…あれだし。

 

これじゃ、どれだけペアとして動かしても今のところ意味がない。

 

でももっと酷いのは岩沢さんの方。

 

ここ最近、柴崎くんが岩沢さんの好意とまともに向き合っていない。

 

言い方は悪いけど、鉄板のギャグへのお決まりの対応みたいになっている。

 

このままだと、恐らく岩沢さんは…

 

…なんとかしてあげたいけど、柴崎くんに関してはあまり干渉したくはない。

 

遊佐さんにも…チャンスをあげたいもの。

 

でも、欲を言うのなら…やっぱり皆で揃いたい…

 

明日…多少強引な手を使ってみようかしら。

 

って…

 

「はぁ…」

 

あたしだってまだ自分のことを整理出来てないってのに…

 

でもしょうがないわよね。

 

「だってあたし、リーダーだもの」

 

 

 




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