蒼き空の騎空団   作:闇カリおっさん来ない

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ゼタちゃんが出ないじゃないですかーっ!やだーっ!
あぁ^~お金がピョンピョンするんじゃ^~
やっと来たSSRもハゲ親父でした。己れゴルゴム、ゆ゙る゙ざん゙ッ!


騎空団、錬金術師を率いれる

(前ページからの続き)

 彼女のその異様な雰囲気は俺たちに彼女が味方ではないことを悟らせるには十分すぎるほどだった。力の差は歴然なのは分かっていたが、彼女から滲み出る強者の威圧は逃げることを決して許しはしなかった。

 狙撃主の発砲から始まった彼女との戦いは熾烈を極めたが、廃墟の崩壊のどさくさに紛れて逃げるチャンスを得た。居候や狙撃主、そして俺もボロボロにされたがなんとか最後の力を振り絞ってキュベレーを呼ぶ。

キュベレーは俺の親のような存在だ、だから名前を呼ぶだけで込められた意を読んで行動に移してくれる。これには本当に昔からお世話になっている。

逃げようとした時に金髪の彼女が助けを求めてキュベレーに鞭で雁字搦めにされ、引きずられるというコメディでバイオレンスな出来事があったが、当の本人は廃墟から出た時にはケロっとしていた。普通はもっと血が出たりとかすると思うのだが、問う気力はとっくの前に失われている。キュベレーにそれとなく視線を向けたが、ふんわりと笑うだけで答えを提示することはしてくれなかった。金獅子は心配してくれてるのか顔をちろちろと舐めてくれた。とても可愛らしかった。

 

 カリオストロと名乗った彼女は脂肪と筋肉と骨が覗く断面から血を流す様子を見てか、すぐに対価にと治療を始めてくれた。カリオストロは錬金術師でありながら人体の構造にはかなり詳しいらしく、離ればなれになっていた肉と肉を瞬時にくっつけてくれた。聞けばかなりの錬金術師、というか錬金術の開祖らしく、これぐらいは朝飯前と胸を張っていた。

 錬金術の開祖、と言われてもそっち方面に知識がない俺にはまるで意味が分からなかったが、居候から聞けばかなりすごいことらしい。錬金術が生まれたのが3000年前であるから、開祖と名乗る彼女も少なくとも3000年は生きているのだと言う。カリオストロはそれを聞いて1000年は封印されていたから3000歳ではないと怒っていたが、結局は2000歳以上のおばあさんには変わりないと思ったのだが、せっかく繋がった腕をまた切り落とされるのも嫌だったためこれからも黙っておくことにしておこう。

 そういえば狙撃主はどうしたのだろうと居候に聞こうとした所で、思った以上に血を流していたのか、俺の意識がそこで途切れた。

 

 次に目を覚ました時にはアジンドゥーバの船内にある自室で寝かされていた。窓から降り注がれる光は柔らかい月光で、今が夜であることを示していた。

ふと側に目を向けると、錬金術師コンビが肩を寄り添いあって仲良く寝ていることに気づいた。少々頭に血が足りていないように感じたが、自分にかけられた毛布を二人にかけて部屋を出た。どうしようもなく、外の空気が吸いたくなったのだ。

 

 甲板に出ると、ネツァが迎え出てくれた。やれ大丈夫か胆が冷えたぞと心配の言葉を投げ掛けてくれる友人に貧血気味なだけで問題ないと返した。

 ネツァとは長い仲になる。大体三年ぐらいだろうか、困っていた彼が進空式を終えた俺の船に飛びかかってきたのが始まりだったはず。最初は突然の侵入なこともあって無理矢理蹴落とそうとしていたが、事情を話した上で何卒何卒と言う姿に蹴りをいれ続けるのは少々良心が痛んで、仕方なしに乗船を認めた。

あれからもう三年か、なんて漏らすと長いものだなと返してくる。その後の言葉は続かなかったが、その距離が俺にとってはなんとも心地よい物であることは間違いない。お互いに襲った苦楽について思い出している時間に、どうして文句が言えようか。

 その後も数分問答を続けていたが、結局最後には血が足りないのなら肉を食えと甲板から押し出されてしまう。少々心配しすぎではないだろうかと思ったが、血が足りないのは確かだしなによりも腹が減っていたのもあって特に寄り道もせずに食堂へと足を向けた。

 

 食堂で迎えてくれたのは我が騎空団の狙撃主であるシルヴァとその助手であるクムユだった。ぶっ倒れたというこをシルヴァから聞いたのか、こちらの顔を見て最初に言葉をくれたのはクムユだ。

彼女は距離をつめてきて「てやんでぃべらぼうめぃ」とハンドガンでぽかぽかと何度も叩いてくる。一体何なんだと困っていると、シルヴァからかなり心配していたらしいとの由を聞く。

 クムユは一部の装甲以外は小さいが、こう見えてもうちの騎空団の団員No.3だ。ネツァの次に付き合いが長いと言えるだろう。と言っても入ってきたのは団員No.4こと狙撃主シルヴァと同時期。つまり二人との付き合いは同じくらいだ。

大体一年前ぐらいだったか。今書いていてもかなり懐かしいと思える。

とは言え話を剃らすのは俺の頭によくない、続きを書くとしよう。

 特に何かしたでかい恩を売ったような覚えはないのだが、クムユは俺を兄としたってくれる。強がりの時には"兄貴"と、怯えている時にはにいちゃんと呼んでくれる。うちの妹弟たちとは大違いの可愛さだ、是非とも見習わせたい所だ。

 話を戻そう。そこまでとった覚えはないが、どうも剃らすと筆が進んでしまうのは歳のせいだろうか。

 クムユとしても兄貴分の腕がぶった斬られ、貧血で倒れた等と聞いて平常心ではいられなかったのだろう。多分、色々と嫌なことも考えてしまったんだろう。そんなことも露知らずに腹が減ったと食堂に入ってきた本人があんまりにも呑気だったからちょっと怒ってしまったのだと推測した。100%とも言えないが、かなり当たっているような気もする。

 暴れるクムユを静めながら「悪かった、反省している」との由を伝えると顔を真っ赤にして立ち去ってしまった。正直、書いてる今でも理由が分からないがシルヴァによれば「団長には怒ってはいない。安心しろ」と言われる。じゃあ一体何に怒っているんだ。

 数分後、帰ってきたクムユがシルヴァと一緒に飯を作ってくれた。軽い物で野菜のスープとパンだけだったが、とても美味しく出来ていた代物でスープだけ三杯おかわりしてしまった。食いしん坊と思われたのかクスクスと両者に笑われてしまった。少々恥ずかしい。

 

 久しぶりの日記だと言うのに書きすぎた。それだけ混乱していたのは否定できないが、何も2ページに渡って書かなくともよかったかもしれない。次からは出来るだけ続くように軽いノリで書いていこうと思う

 

 

――月―a日。晴天

 

 昨日よく眠ったからか、そこまで寝付くこともなく起床時間よりも早く起きてしまった。早起きは三文の得、と言ったのは誰だったか。もう覚えてはいないが、使いやすくて未だに忘れられない熟語の一つだ。

 樽一杯の水を桶で掬ってから顔を洗う。島が点々とあるとは言え、空の上で口に出来るのは空気や雲だけで水や食物はそう簡単には手にはいらない。たまに食材が向こうから飛んでくることもあるが、騎空艇の大きさに恐れて近づかない魔物の方が多い。特に、空の上では水はそう簡単には手にはいらない。今ではアウギュステにしかないそうだが、この世界にまだ海と呼ばれる物が溢れていた頃は掬って飲んでいたと伝え聞くが、法螺吹きも良いところだろうと思う。

何が書きたいのかと言うと水はとても貴重であるということだ。それをこんな贅沢に使えるのも、一重にシルヴァのお陰だ。

彼女の素養は青らしく、水やそれに近い氷等が扱えるらしい。残念ながら彼女にはそのような物を自在に操れるだけの才能はないようだが、今は才能がなくとも機械がなんとかしてくれる時代。青の素養を持つ者が魔力を送ると水が出てくる機械なんて代物まで存在する。これのお陰で我が騎空団の喉は常に潤っているわけだ。本当に足を向けて寝られないな。

 頭がスッキリしたせいか、騎空艇である『アジンドゥーバ』の整備がまだ終わっていない事を思い出す。これでは出航できないと急いで機関室に向かうと、かなり目立つ輝きを放つ二人組が目にはいる。

金髪コンビのカリオストロとクラリスであることを察した俺は適当な挨拶を送ってから疑問をぶつけた。

何故ここにいるのか。

 二人の答えは至ってシンプルな物だった。

 

「これからうちらの船になるのだから最善の整備をするのは当たり前でしょ★」

 

「そーいうこと。よろしくね団長さんっ☆」

 

 これには流石の俺も慌てふためいた。何故ならこの二人、明らかに大騒動を起こすような物を大量に持ち合わせているからだ。特にカリオストロなんて存在そのものが大問題だ。錬金術師の開祖で、3000歳で、ロリっ子だ。

古来よりロリっ子というのは絶対と言っていいほど物語の主人公に問題をふっかけてくる存在だ。そんな存在が目の前で団員になるなどと言われては、断るという道以外残されていない。

 当然俺は断ったのだが、当然引かないカリオストロは俺達との力の差を使って脅してくる。

確かに俺達では彼女の実力にも経験にも、さらにはセンスや才能にまで束になっても敵わない。今ここで騎空艇ごと爆破したって彼女はピンピンしているだろう、あのキュベレーの引きずりに耐えれるという事実は彼女の異常な程の耐久力を示しているのだから。

 けれど彼女は、それをしないと約束してもいいと言ってくる。何故か、色々と長ったらしく喋っていたが、つまりは俺に興味があるらしい。向こう側でもない人間が星晶獣を召喚した、というのが彼女の研究者としてのスイッチを入れてしまったらしく、それが解明できるまでは離れないとまで言われた。

 ありがとう神様、おかげで一生一緒に居てくれる相手ができました。例えそれが研究者で、自分をモルモットとしか見てないとしても僕は嬉しいわけがあるか堕ちて死ね。

 結局実力と団員の無事を材料にされては断れる訳もなく、俺は白旗を上げ彼女たちは喜んだ。だが何故居候まで団員にしなければならないのか……理不尽ではあるが受けてしまったものはもう撤回できない。団長として、なんとかあの破天荒共をまとめなければならない。先程あった空賊達の虐殺を思い出しながら、今日はこれで筆を置こうと思う。




Q.日記って?

A.あぁ!

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