遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐
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ピンク髪、一人称僕、シンクロ次元=D-ホイール=D-ホイーラー=ライダー……生えても、よろしいか?


第101話 やめろ

「ツァンちゃーん、遊びましょーっ!」

シティの下層、コモンズ達が住居を構えるスラム街のような薄暗いエリアにて、コナミ達は鬼柳とセクトに連れられ、身寄りの無い子供達が集う教会――孤児院の前に来ていた。
何でもここにチームサティスファクションのメンバーがいるらしい。鬼柳は口に手を当てて拡声器のようにして叫ぶ。すると教会の中からドタドタと慌ただしい音が響き渡り――。

「き~りゅ~う~!アンタ良い加減にしなさいよ!僕はアンタのチームに入った覚えは無いって言ってんでしょぉっ!」

バタン!ガンッ、扉が勢い良く開いた事で鬼柳の顔面を強打し、中から登場したのはここの者であろう、1人のシスター。ウェーブがかかったピンク色の髪に赤いカチューシャ、吊り目がちの眼を怒りで更に吊り上げ、ムスゥとした表情で現れた、整った顔立ちの美少女。
台詞を聞く限り話が違う。どうやら鬼柳達が一方的に彼女をメンバーに引き込んでいるようだ。コナミは現れた少女に「む」と反応し、視線が交差する。

途端に彼女は眼を見開いて固まり――肩を震わせ、顔を怒りで真っ赤に染め、コナミの脛を蹴ってきた。

「コナミィッ!アンタ一体どこフラついてたのよぉっ!就職したって連絡したっきり音沙汰無いし帰って来ないし!何なのさ!僕が嫌いなのかよぉ!?もぉっ!もぉっ!もぉっ!」

ゲシ、ゲシ、ゲシ、少女がコナミの脛を蹴りまくる。鋼鉄の肉体を持つコナミとして微妙、微妙な痛さだ。訳も分からず受け止めていると少女が先に参ったのかゼェゼェと息を切らせ、その場でグスグスと泣き始めた。

「心配した、心配した、心配したっ!良かった、良かったよぉ……っ!」

……気不味い。実に気不味い。目尻に涙を浮かべ、おんおんと泣くツァンに対し、コナミはどうしようかと悩む。恐らく彼女の言うコナミとは白い方だ。つまりコナミ違いである。だがそれを目の前でカバのようにおんおんと泣く彼女に告げられるだろうか。
コナミは意を決し、彼女の両肩を掴む。

「……本当にすまんが……オレはお前の知るコナミじゃない……」

「……え?ふぇぇっ!?う、嘘でしょ!どうせ鬼柳とグルになって……!もう許さない!コナミィッ!デュエルよ!就職したってのもどうせ嘘でしょ!ほら、デュエルディスク構えなさい!アンタのそのニート根性叩き直してあげる!」

しかし真実を告げても信じてもらえないらしい。余程心配してコナミがいないと言うのを信じたくないのか、ツァンは目をキッ、と吊り上げ、猫のように威嚇しながらデュエルディスクを構える。まるで息子に対する母親だ。コナミは仕方無いと溜め息を吐き出してデュエルディスクを構える。こうなったらデュエルで証明するしかない。尻拭いは慣れないが、自分の尻だ。

「「デュエル!!」」

始まるデュエル、先攻はツァンだ。彼女はふんすと鼻息荒くデッキより5枚のカードを引き抜き、1枚のカードをデュエルディスクに叩きつける。

「魔法カード、『手札抹殺』!互いに手札を捨てて、捨てた分だけドロー!来た……永続魔法、『六武の門』と『六武衆の結束』を発動!そして『真六武衆―カゲキ』を召喚!」

真六武衆―カゲキ 攻撃力200

現れたのは雷纏う、黄金の鎧の4本腕の鬼神と恐れられる侍モンスター。彼女のデッキは『六武衆』。高速で展開し、相手を制圧する、鬼柳の『インフェルニティ』にも似たカテゴリだ。2連続でこの系統と当たるとは思っても見なかったが、前回の敗北の汚名返上には丁度良い相手だ。

「カゲキの召喚時、門と結束に武士道カウンターを置く!」

六武の門 武士道カウンター0→2

六武衆の結束 武士道カウンター0→1

「更にカゲキの召喚時効果で手札の『六武衆の影武者』を特殊召喚!カウンターを置く!」

六武衆の影武者 守備力1800

真六武衆―カゲキ 攻撃力200→1700

六武の門 武士道カウンター2→4

六武衆の結束 武士道カウンター1→2

次に現れたのは『六武衆』のチューナーモンスター。武者鎧に緑色の線を走られた影武者だ。このモンスターの登場と共にフィールドのカードが変化を起こす。

「カゲキは他の『六武衆』が存在する場合、攻撃力を1500上げる。そして結束に乗った2つと門に乗った2つ、計4つの武士道カウンターを取り除き、門の効果でデッキの『真六武衆―キザン』をサーチし、特殊召喚!」

六武の門 武士道カウンター4→2→4

六武衆の結束 武士道カウンター2→0→1

真六武衆―キザン 攻撃力1800→2100

更に展開、現れたのは漆黒の鎧に黄色い線を走られた鬼武者。『六武衆』でも特殊召喚が容易な下級アタッカーであり、未来の姿を含めて優秀なカードだ。

「レベル3のカゲキにレベル2の影武者をチューニング!シンクロ召喚!『真六武衆―シエン』!!」

真六武衆―シエン 攻撃力2500

六武の門 武士道カウンター4→6

六武衆の結束 武士道カウンター1→2

ここでツァンの、『六武衆』のエースモンスターが現れる。深紅に染まった鎧を纏い、背に悪魔のような翼と紫炎を負い、竜の鱗を思わせる刃を繋げた刀を持った戦国の魔王。攻撃力2500、レベル5にしては高い攻撃力と強力な効果を有するモンスターだ。

「結束のカウンター2つと門のカウンター2つを取り除き、『真六武衆―キザン』をサーチし、特殊召喚!」

六武の門 武士道カウンター6→4→6

六武衆の結束 武士道カウンター2→0→1

真六武衆―キザン 攻撃力1800→2100×2

「まだだよ!門のカウンター4つ使い、3枚目のキザンサーチ、特殊召喚!」

六武の門 武士道カウンター6→2→4

真六武衆―キザン 攻撃力1800→2100×3

六武衆の結束 武士道カウンター1→2

「結束を墓地に送り、このカードに乗っていたカウンターの数だけドロー!」

ツァン・ディレ 手札0→2

「最後に門のカウンターを使い、『六武衆の師範』をサーチし、特殊召喚!」

六武の門 武士道カウンター4→0→2

六武衆の師範 攻撃力2100

これでツァンのモンスターゾーンが全て埋め尽くされる。1ターンでここまでの展開、まるでペンデュラム召喚だ。攻撃力2000越えのモンスターが5体に加え、まだ手札が余っている。初動が安定すればこんな布陣が常なのが『六武衆』の厄介な所だ。

「流石はチームサティスファクションの紅一点、やる事がえげつないぜ!」

「やめろ、アンタが言うなし。僕は永続魔法、『補給部隊』を発動し、カードを1枚セットしてターンエンド」

ツァン・ディレ LP4000
フィールド『真六武衆―シエン』(攻撃表示)『真六武衆―キザン』(攻撃表示)×3『六武衆の師範』(攻撃表示)
『六武の門』『補給部隊』セット1
手札0

茶々を入れる鬼柳に対し、ツァンがやめろと否定する。確かに彼の方がえげつない。手札が乗れば相手の手札をボロボロにした上にカウンター系統が3つ並ぶ彼に比べれば彼女はまだ優しい方だ。

「どう、コナミ?反省した?大人しく謝るなら許してあげ――」

「オレのターン、ドロー!」

「話を聞きなさいよぉ……っ!」

ふふん、とドヤ顔で豊かな胸を張るツンデレシスターを無視し、コナミがデッキトップからカードを引き抜き、ツァンは涙目となる。間違いない、彼女のこの不憫さは真澄ん2号と呼べるものだ。いや、こちらの方が初号機か。空回りっぷりが実に良く似ている。

「ツァンの実力は本物だ。さぁ、ダニエル。お前はどう出る?」

「オレは『慧眼の魔術師』と『賤竜の魔術師』でペンデュラムスケールをセッティング!慧眼を割り、デッキの『竜穴の魔術師』をセッティング!」

「へ?えっ、えっ?な、何?ペンデュラムって何さ!?」

コナミの展開の要であるペンデュラム、デュエルディスクの両端に2枚のカードが設置され、虹の光がプレートに灯る。背後に昇る2本の柱、中に出現した『魔術師』がそれぞれ錫杖と扇を振り、天空に光の線を結び、魔方陣を描き出す。
突然知らないカードどころか召喚法に目を丸くして驚き、慌てふためくツァン。その間にシエンに邪魔されないように慧眼の効果を使うコナミ。

「ツァン!狼狽えるんじゃねぇ!ペンデュラムはそのスケールって奴の間のレベルのモンスターを手札から、ペンデュラムならエクストラデッキからも特殊召喚して来る!ペンデュラムゾーンに置かれたカードは魔法カードと同じ扱いになる!」

「ちょっ、ちょっと待って!メモする!」

鬼柳がアドバイスを与えようとするも、彼女のキャパシティはそこまで大きくない。パンク寸前の脳に情報を与えても益々混乱させるだけだ。頭は良い方だが、鬼柳達生粋のデュエリストと違って突然の事への対応力が低いのだ。

「ペンデュラム召喚!」

「いーやー!待って待って待ってー!」

「ダニエル殿は女性でも容赦無しなのだな」

「あれはもう素人イジメに近いがな」

酷い奴である。相手がアドバンスと融合、儀式しか知らなくてもその先の召喚法を使う男、コナミ。かと言ってこれを使わなかったら手抜きとなってしまい、負けてしまうかもしれないのだが。

「『相克の魔術師』!『慧眼の魔術師』!」

相克の魔術師 攻撃力2500

慧眼の魔術師 守備力1500

息もつかさぬ高速召喚。フィールドに現れたのは大剣を手にした『魔術師』と衣装に瑠璃を散りばめ、秤を持った『魔術師』の2体だ。

「墓地の『ブレイクスルー・スキル』を除外し、シエンの効果を無効!バトル!『相克の魔術師』でシエンに攻撃!」

「相撃ち……!」

「ただの相撃ちじゃねぇ!ペンデュラムカードはフィールドで破壊された時、エクストラデッキに行くんだよ!」

「へっ、それが何――?あっ、そ、そうか!またペンデュラム召喚で出せるって事!?ぐぬぅっ!『補給部隊』でドロー!」

ツァン・ディレ 手札0→1

漸くペンデュラムのカラクリを呑み込めたが、もう遅い。大剣の『魔術師』と深紅の魔王が切り結び、互いの刃が胸を貫く。これで最も厄介なシエンは除去した。コナミもモンスターを失ったが、ペンデュラムの為、挽回は出来る。

「『クリバンデット』召喚!」

クリバンデット 攻撃力1000

ペースを握り、一気に差を開く。コナミが召喚したのは黄色いスカーフと眼帯を装着した毛むくじゃらの悪魔。悪くない手札だ。このモンスターを使い、次に備える。

「賤竜の効果でエクストラデッキの相克を回収、カードを2枚セットし、ターンエンド。『クリバンデット』をリリースし、デッキの上から5枚を捲る。『妖刀竹光』を手札に。墓地送られた2枚目の『妖刀竹光』を効果で『黄金色の竹光』をサーチ」

ダニエル LP4000
フィールド『慧眼の魔術師』(守備表示)
セット2
Pゾーン『竜穴の魔術師』『賤竜の魔術師』
手札3

「くぅっ……僕のターン、ドロー!僕は魔法カード、『戦士の生還』を発動!墓地の影武者を回収し、召喚!」

六武衆の影武者 攻撃力200

六武の門 武士道カウンター2→4

「門の効果でカウンターを使い、『真六武衆―エニシ』をサーチ!」

六武の門 武士道カウンター4→0

「そして僕はレベル5の師範にレベル2の影武者をチューニング!二つの刃交わりし時、ここに忠義の刃が現れん。我に仕えよ!シンクロ召喚!現れろ、『不退の荒武者』!」

不退の荒武者 攻撃力2400

ツァン、2度目のシンクロ召喚。現れたのは『六武衆』とは一風異なった武者のモンスター。だが確かにこのカードは『六武衆』とは相性が良く、打点に不安がある『六武衆』において活躍が期待出来る。

「バトル!キザンで慧眼に攻撃!」

「罠発動!『仁王立ち』!慧眼の守備力を倍にする!」

慧眼の魔術師 守備力1500→3000

「なっ、くっ――!」

ツァン・ディレ LP4000→3100

慧眼の守備力が倍化し、キザンの刃が慧眼の作り出したバリアの前に折れる。パキッ、カン、サクッ、折れた刃はクルリと宙を舞ってキザンの膝に刺さる。膝に刃を受けてしまってな。

「むぅ、カードを1枚セットしてターンエンドだよ」

ツァン・ディレ LP3100
フィールド『不退の荒武者』(攻撃表示)『真六武衆―キザン』(攻撃表示)×3
『六武の門』『補給部隊』セット2
手札1

「オレのターン、ドロー!慧眼に『妖刀竹光』を装備し、魔法カード、『黄金色の竹光』を発動!2枚ドロー!」

ダニエル 手札2→4

「ペンデュラム召喚!『相克の魔術師』!『E・HEROブレイズマン』!『V・HEROヴァイオン』!」

相克の魔術師 攻撃力2500

E・HEROブレイズマン 守備力1800

V・HEROヴァイオン 守備力1200

再び揺れ動くペンデュラム、振り子の軌跡を描き、フィールドに現れたのは3体のモンスター。先程のターンでも活躍を見せた相克と炎の鬣を持つ『HERO』と頭部がカメラとなった『HERO』モンスターだ。

「ブレイズマンの効果で『置換融合』をサーチ、ヴァイオンの効果でデッキの『E・HEROシャドー・ミスト』を墓地へ落とし、シャドー・ミストの効果で『E・HEROエアーマン』をサーチ!そしてヴァイオンの効果でシャドー・ミストを除外し、2枚目の『置換融合』サーチ!そして『E・HEROエアーマン』召喚!」

E・HEROエアーマン 攻撃力1800

5体目のモンスターがフィールドの上空に飛翔する。背からファンの翼を伸ばした青い『HERO』モンスター。次々と手札を確保し、更にコナミは展開する。

「エアーマンの効果でブレイズマンサーチ!そして魔法カード、『置換融合』発動!フィールドのエアーマンとブレイズマンで融合!融合召喚!『E・HERO GreatTORNADO』!」

E・HERO GreatTORNADO 攻撃力2800

ペンデュラムから融合へ、見事なカード捌きでコナミがフィールドに呼び出したのは風を纏う黒いマントの英雄。彼は風の弾丸を撃ち出し、ツァンのモンスターを貫いていく。

「ゆ、融合ッ!?き、鬼柳!これは何なの!?」

「『融合』魔法を使って2体以上のモンスターを合体させんだよ。チューナーの代わりに魔法カードを使うシンクロだと思え!レベルは関係ねぇけど」

「何それ!?」

「GreatTORNADOの効果により、相手モンスターの攻守を半減!タウン・バースト!」

不退の荒武者 攻撃力2400→1200

真六武衆―キザン 攻撃力2100→1050×3

「まだだ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!我が戦いはここから始まる!白き翼に望みを託せ、現れろ!『No.』39!エクシーズ召喚!『希望皇ホープ』!」

No.39希望皇ホープ 攻撃力2500

コナミの眼前に星が浮かぶ渦が発生し、2つの光となったヴァイオンと慧眼が飛び込み、一気に集束して小爆発を引き起こす。巻き起こる黒煙。白銀の軌跡が黒を引き裂き、黄金の鎧を纏った希望皇が、純白の翼を広げて登場する。

「き、きりゅえもんっ!」

「……これは知らない」

「何でさ!」

「うるせぇー!俺が何でも知ってると思うんじゃねぇよ!」

またもや初めて見るエクシーズにツァンが思考停止して鬼柳を頼るものの、残念ながら鬼柳とのデュエルで登場していなかった為、鬼柳も勝鬨る。
やりたい放題、思うがままの全力を出すコナミ。驚愕する一堂の中、ジルがユートにこれが何なのかを問い、ユートが腕を組んで答える。

「基本的に同じレベルのモンスターを2体以上要求し、その上に重ねて召喚する。それがエクシーズモンスターだ。その多くは下に重ねたカード、ORUを取り除いて効果を発動する。因みにエクシーズにはレベルが無い。これはレベル0と言う意味では無く、レベルの代わりにランクを持つと言う事だ」

「成程……」

(なんか賢そうなユーゴがいる……)

エクシーズの講義をするユートに頷くジル。彼の説明は実に分かりやすい為、すんなり頭に入っていく。ツァンも知人に良く似た彼の説明を必死にメモする。

「墓地に送られた『妖刀竹光』の効果で『黄金色の竹光』をサーチ、バトル!TORNADOとホープ、相克でキザンへ攻撃!」

「ちょっ、ちょっと待った!罠発動!『攻撃の無敵化』!このターンの戦闘ダメージを0にし、『補給部隊』でドロー!」

ツァン・ディレ 手札1→2

異次元からの来訪者、融合とエクシーズのTORNADOとホープがツァンのモンスターへ強襲し、一気に決着をつけようとしたその時、ツァンが発動したカードが薄いバリアを作り出し、彼女をダメージから守る。
鬼柳に負けはしたものの、舞網チャンピオンシップを勝ち残り、隼の手を借りても零児に勝利して見せたコナミの実力は本物だ。油断すれば早期でゲームエンドとなってしまう。

「ほう、オレはこれでターンエンドだ」

ダニエル LP4000
フィールド『No.39希望皇ホープ』(攻撃表示)『E・HERO GreatTORNADO』(攻撃表示)『相克の魔術師』(攻撃表示)
セット1
Pゾーン『竜穴の魔術師』『賤竜の魔術師』
手札4

「ぼ、僕のターン、ドロー!魔法カード、『命削りの宝札』!3枚ドロー!」

ツァン・ディレ 手札0→3

「魔法カード、『暗黒界の取引』。互いに1枚ドローし、1枚捨てる。どうしよ、これしか無いかな……!『真六武衆―エニシ』を召喚!」

真六武衆―エニシ 攻撃力1700

六武の門 武士道カウンター0→2

フィールドに登場したのは黄緑色の甲冑に身を包んだ侍だ。光輝く刃を翳し、コナミのフィールドのモンスターを狙う。

「墓地の『真六武衆』キザン2体を除外してエニシの効果発動!GreatTORNADOをバウンス!」

「相克で無効に!」

「罠発動!『スキル・プリズナー』!エニシを対象とするモンスター効果を無効!」

煌めく白刃から三日月型の斬撃が飛び、GreatTORNADOを吹き飛ばし、エクストラデッキに送り込む。強力な一撃だ、思わずコナミもよろめく。

「後は……荒武者を守備表示に変更し、カードを3枚セットしてターンエンドだよ」

ツァン・ディレ LP3100
フィールド『不退の荒武者』(守備表示)『真六武衆―エニシ』(攻撃表示)
『六武の門』『補給部隊』セット3
手札0

「オレのターン、ドロー!『相克の魔術師』の効果でエニシの効果を無効に!」

「墓地の『スキル・プリズナー』を除外し、モンスター効果からエニシを守る!」

ここで『相克の魔術師』の効果を使い、『スキル・プリズナー』を使わせる。相克はペンデュラムモンスターの為、何度でも効果を使えるが、『スキル・プリズナー』はフィールドと墓地の2回だけ。早い内に消費させておきたい。

「万策尽きたか?魔法カード、『アームズ・ホール』!デッキトップをコストに墓地から『妖刀竹光』を回収、ホープに装備!」

「エニシの効果でシエンと師範を除外し、ホープをバウンス!」

「墓地の『スキル・プリズナー』を除外し、ホープを守る!『黄金色の竹光』を発動し、2枚ドロー!」

ダニエル 手札3→5

「ペンデュラム召喚!『稲荷火』!『E・HEROブレイズマン』!」

稲荷火 攻撃力1500

E・HEROブレイズマン 守備力1800

幾度も揺れ動く振り子の召喚法、今回コナミのフィールドに現れたのは炎に包まれた狐と炎の『HERO』だ。

「ブレイズマンの効果で『置換融合』サーチ、発動!フィールドのブレイズマンと『稲荷火』で融合!融合召喚!『E・HEROノヴァマスター』!」

E・HEROノヴァマスター 攻撃力2600

「待ってたよ!罠発動!『深黒の落とし穴』!ノヴァマスターを除外!」

更に融合召喚で有利に進めようとするも、ツァンのセットカードが炎の『HERO』を異次元に落とす。

「バトルだ!ホープでエニシを攻撃!ホープ剣・スラッシュ!」

ツァン・ディレ LP3100→2300

「っ――!『補給部隊』でドロー!」

ツァン・ディレ 手札0→1

ホープが自身の刃と妖刀を引き抜き、エニシを翻弄する。幾ら百戦錬磨の鬼武者であろうと人外である存在、『No.』の前には無力も等しい。剣戟を受け、敗れ去ってしまう。

「カードを1枚セットし、ターンエンド」

ダニエル LP4000
フィールド『No.39希望皇ホープ』(攻撃表示)『相克の魔術師』(攻撃表示)
『妖刀竹光』セット2
Pゾーン『竜穴の魔術師』『賤竜の魔術師』
手札2

「僕のターン、ドロー!来た!魔法カード、『七星の宝刀』!荒武者を除外し、2枚ドロー!」

ツァン・ディレ 手札0→2

「防御を捨てたか……!」

ここに来てツァンが守りの要である荒武者をドローカードへ換金する。このモンスターがあればコナミが『ブレイクスルー・スキル』等を引き込みさえしなければ凌げるにも関わらず、だ。随分と思い切りの良い戦術。だがドローカードに賭けた訳では無さそうだ。彼女のセットしている2枚のカード、恐らくこれが彼女の本命。

「罠発動!『諸刃の活人剣術』!墓地のカゲキと影武者を特殊召喚!」

真六武衆―カゲキ 攻撃力200→1700

六武衆の影武者 守備力1800

「更にレベル3のカゲキにレベル2の影武者をチューニング!シンクロ召喚!『真六武衆―シエン』!!」

真六武衆―シエン 攻撃力2500

六武の門 武士道カウンター4→6

再びフィールドに舞い戻る紫炎を纏った紅蓮の魔王。このモンスターで状況は一変する。

「カウンターを4つ使い、『真六武衆―ミズホ』をサーチ!」

六武の門 武士道カウンター0→2

「罠発動!『六武派二刀流』!僕のモンスターが『六武衆』1体のみの場合、相手のカード2枚をバウンス!セットカードをバウンスするよ!」

一閃二閃、紫色の炎を纏った二刀を引き抜き、シエンがコナミのカードをバウンスする。そう、彼女はこれをセットしていたのだ。だからこそ、今は邪魔になる荒武者をフィールドから退けた。

「そして『真六武衆―シナイ』を召喚!」

真六武衆―シナイ 攻撃力1500

六武の門 武士道カウンター2→4

登場したのは紫の鎧を纏い、鬼と記された兜に金棒を持った武者だ。死者が肉体を得て蘇り、生前の力を奮う。

「シナイがいる事で『真六武衆―ミズホ』を特殊召喚!」

真六武衆―ミズホ 守備力1000

六武の門 武士道カウンター4→6

シナイがいる所、ミズホあり。戦場に夫婦の契りを交わした2人が揃う。シナイとは対照的な真っ赤な鎧を纏い、手にしたのは琴か弓のような形をした刃だ。まるで自刃でもするような形状でもある。黒い長髪を靡かせ、シナイと共にキャッキャッウフフと駆ける。若い頃は可愛いからって調子乗んなBBA。

「魔法カード、『六武式三段衝』!3体の『六武衆』が存在する場合、相手モンスターを全て破壊する!」

「墓地の『仁王立ち』を除外し、攻撃をホープに絞る!『妖刀竹光』の効果で『黄金色の竹光』サーチ!」

発動されたのは強力な全体除去のカード。ツァンがこのカードをデュエルディスクに差し込むと共にシエン、シナイ、ミズホの3体が『六武衆』がフィールドを駆け、それぞれの刃を持ってコナミのモンスターを切り裂く。

「門のカウンターを4つ使い、2体目のミズホサーチ!」

六武の門 武士道カウンター6→2

「ミズホを特殊召喚!」

真六武衆―ミズホ 守備力1000

六武の門 武士道カウンター2→4

「ミズホをリリースし、2体目のミズホの効果発動!ペンデュラムカードを破壊!武士道カウンターを使い、3体目のミズホサーチ!特殊召喚!」

六武の門 武士道カウンター4→0→2

真六武衆―ミズホ 守備力1000

「ミズホの効果でシナイをリリースし、もう1枚のペンデュラムも破壊!」

瞬間、え?とミズホとシナイの表情が凍りつき、青い顔でガタガタと震え出す。仲睦まじい夫婦に向かい、妻に夫を殺せと言う残酷な指示。「本当にやるの?」と言わんばかりの顔でツァンを見るその視線に彼女は堪え切れなくなり、顔を背ける。途端、ザシュッと言う音と共に響き渡る男と女の叫び声。何故モンスター効果を使うだけでこんな目に遭わなければならないのだろうか。甚だ遺憾である。だがこれで――コナミのカードは全滅した。

「うぅ……し、シナイの効果でキザンを回収、特殊召喚……!」

真六武衆―キザン 攻撃力1800→2100

六武の門 武士道カウンター2→4

「ツァン、お前……」

「何もっ、何も言わないで……っ!仕方無い、仕方無いじゃん!カウンターを4つ使い、師範をサーチ!特殊召喚!」

六武の門 武士道カウンター4→0→2

六武衆の師範 攻撃力2100

「ターンエンド……うぅ、めっちゃ、ミズホが見てくる……!」

ツァン・ディレ LP2300
フィールド『真六武衆―シエン』(攻撃表示)『真六武衆―キザン』(攻撃表示)『真六武衆―ミズホ』(守備表示)×2『六武衆の師範』(攻撃表示)
『六武の門』『補給部隊』
手札0

ツァンの場には5体のモンスター。その中には相手の行動を封じるツァンのエースモンスター、シエンも存在する。ギリギリ、限界への挑戦。モンスター、セット、ペンデュラム、全てが破壊し尽くされた。だが――手はある。

「オレのターン、ドロー!フ、オレも来たようだな。墓地の『ブレイクスルー・スキル』を除外し、シエンの効果を無効!」

「――ッ!『アームズ・ホール』の時……!」

「魔法カード、『手札抹殺』!カードを4枚捨て、4枚ドロー!」

引き抜かれるアーク。空に描かれる虹の軌跡を見て、その場全員が息を呑む。全てを捨てたと言う事は、このドローに全てが賭けられている。1枚目、2枚目、――全てが単体では意味を成さず、この状況では事故も良い所。が、3枚目――この3枚で、全て繋がる。

「ツァン――」

「な、何よう」

「この勝負、オレの勝ちだ!」

ニヤリ、口の端を吊り上げ、コナミが勝利宣言を放つ。壁モンスターが5体。LPは2300と言うこの不利な逆境を――たった今引いたカードで破壊する。カードの力を繋ぐなら、コナミはランサーズでもトップクラスだ。

「魔法カード、『アメイジング・ペンデュラム』!エクストラデッキの竜穴と賤竜を回収し、セッティング!ペンデュラム召喚!『相克の魔術師』!」

相克の魔術師 攻撃力2500

「モンスターが1体だけ……!?」

「おいおい、そんなんで勝てるってのか……!?」

「そしてオレは装備魔法、『妖刀竹光』を相克に装備し――永続魔法、『魂を吸う竹光』を発動!」

相克の手に一振りの『竹光』が装備され、コナミが発動したカードにより、暗黒の瘴気が宿る。コナミの奥の手、懐刀と言えるカード。しかし、今必要なのはその隣――『妖刀竹光』のもう1つの効果。

「『妖刀竹光』の効果――『魂を吸う竹光』を戻し、相克のダイレクトアタックを可能に!行け!相克、ダイレクトアタック!」

カチャリ、相克が妖刀を煌めかせ、戦場を駆り、立ち塞がるミズホを伏せ、キザンをいなし、師範を翻弄し、シエンを切り裂き――ツァンの下へと駆け抜け、黒き斬撃が一閃、空を裂く。

ツァン・ディレ LP2300→0

勝者、ダニエルことコナミ――。名刀同士の切り結び合いは、妖刀に軍配が上がった――。

――――――

一方その頃、遊矢達がクロウに無事認められた後、彼に柚子を見かけなかったかと問い、そう言う事ならばとある場所を案内されていた。

「おら、ここだ。ここならそう言う事も掴みやすいと思うぜ」

クロウが顎で目の前の建物を差し、遊矢達へと視線を移す。そこにあったのは、コモンズの下層では珍しく、かなり立派な部類に入るビルだ。その看板に書かれているのは――。

「ここが……」

狭霧探偵事務所――。









ヤリザ殿「拙者は?」
自分としてはツンデレと言うのは不憫と言うか、残念と言うか、ノリツッコミ役とかが向いていると思うのです。
ツンデレ=ノリツッコミと言う方程式をつきツキ!から教わりました。フーズBAD!

人物紹介19

ツァン・ディレ
所属 コモンズ孤児院
皆大好きタッグフォースでお馴染みのツンデレキャラ。
本作ではユーゴ達、コモンズの孤児院に所属する何ちゃってシスター。正月シーズンには何ちゃって巫女のバイトもしている。
何時の間にか孤児院に住み着いた白コナミが早く就職しないかと心配しているが、就職したらしたで相手にされなくなって複雑なオカン。
また、白コナミ系列で鬼柳達と顔を会わせ、デュエルをしてしまった事でチームサティスファクションに無理矢理入れられる。
トリシューラプリンが好物。
因みに孤児院の主はマリア・アン。不幸体質は少しは軽減されているものの、やっぱり不幸。
使用デッキは『六武衆』。エースカードは『真六武衆―シエン』。