「アカデミア、ねぇ……」
――すっげーすっげー!ダニエルすっげーよ、このベイブレード!超強い!――
――何でこんなに生き物みたいに動けるのかしら……?――
――フ、そんなもので満足か?これを見ろ!――
物語はまたもコナミ陣営へと戻る。遊矢達が探偵事務所を訪問し、零児と牛尾がデュエルをしている頃、ユートはコナミがツァンの知るコナミではない事を納得してもらい、孤児院の中にてジル達が気にかけていた自身の正体、そして目的を明かしたのだ。
皆驚愕しているが、未だ半信半疑なのだろう、押し黙り、考え込んでいる。
「……私は信じよう……」
「騎士のおっさん……?」
――おぉぉぉぉぉっ!?何コレ何コレ!?めっちゃ角生えてる!――
――これはカブトボーグと言ってな――
――すっ、凄い!目にも止まらぬ速度で像に突撃して破壊した!――
皆が言葉を話さない中、最初に口を開いたのは黄金の騎士甲冑に身を包んだ男、ジル・ド・ランスボウだ。彼は真摯さを込めた眼で鬼柳、セクト、ツァンと視線を交差させた後、ユートへと視線を移す。
まさかこんな荒唐無稽な話を信じてもらえるとは思ってなかったのだろう。話したユートも目を丸くしてジルの言葉を待つ。
「私はナッシュ殿とデュエルをした、だからこそ分かる。彼のこの話が真実だと」
「ジル……!」
――ボールをゴールにシュゥゥゥゥゥットッ!――
――超!エキサイティンッ!――
――ずっ、ずるい!私もやりたい!――
騎士の熱い信頼の籠った台詞にユートの目頭が熱くなる。何と言う男だ。彼は1度デュエルした自分の事を、こんなにも信じてくれている。それが嬉しく、同時に今まで黙っていた事に罪悪感を覚える。
スッ、とジルが差し出した手を取り、ユートは力強く握手を交わす。そうだ、迷う事は無い。ユートだって本当は分かっていたのだ。彼が、正義感に溢れる義に熱い騎士であると。
「ふん、それなら俺だって信じるぜ……!ダニエルは久し振りに俺を満足させてくれた奴だ。それに同じチームの仲間の言葉を疑うかよ」
「鬼柳……!」
――ねぇねぇコレ何コレ何!?――
――ああ、それはトレジャーガウストと言ってな――
――こっちは銃みたいになってるのね――
ジルと共に、信頼を寄せたのはシンクロ次元最強格、満足が口癖である青年、鬼柳だ。彼もまた、デュエルを通して絆を繋げた1人。
ニヤリと口端を吊り上げ、不敵に笑う彼の存在がこれ以上なく頼もしく見える。そうだ、これこそがデュエル本来の力。人と人を繋げるデュエリスト達のコミュニケーション。
デュエルで笑顔を。ユートが遊矢に託した志は今ユートの下に戻り、彼を支えている。
――おおっ!ロボットだ!このプラモすげぇ変形する!――
――そっちはアークビートルD、こっちはサイカチス。ちなみに中身をいじってラジコンみたいになってる。そしてこれが……受けよ!太陽の洗礼!アペンディクス!――
――ああ、また像が!今度は熱線に焼かれて……!――
感動的な、ドラマチックな光景だ。しかし全然心に入って来ないのは気のせいか、いや、気のせいではない。その元凶に視線を移し――ウェーブのかかった髪をカチューシャで留めたシスター少女、ツァンは溜め込んだ怒りを解き放つ。
「だぁぁぁぁぁっ!!もうっ、うるっさいわよ龍亞龍可ダニエルッ!このっ、この感動的なシーンが台無しでしょうが!さっきから懐かしいものポンポン出してきてぇっ……!どう反応して良いのか分かんないのよ!」
「何だ?混ざりたいのか?仕方あるまい、ツァンには特別に電光超人グリッドマンのセットを……」
「あっ、いーなー!いーなー!」
「ずるいわ」
「うわぁい懐かしい!じゃねぇーよ!」
「何……?シャンゼリオンの方が良いのか……?」
「違わい!」
嵐のようなボケに冴え渡るツッコミ、次々とカブタックやらビーファイターのフィギュアを手にするコナミへとツァンがゲシゲシと脛を蹴りまくる。この男は何故シンクロ次元に来ると言うのにこんなものを持って来ているのだろうか。
ツァンの怒りは当然。仕方が無い奴だとユートが溜め息を吐く。最早見慣れた光景だ。バタバタと暴れるコナミとツァン。しかしそこで、ツァンの服を引っ張る影が1つ。
「ご、ごめんなさいツァンお姉ちゃん……」
緑の髪を前で2つ留め、まるで触角のような髪型をした小学生程度の少女だ。彼女はツァンのシスター服をちょこんと引っ張りながら上目遣いで謝罪し、こう言うのに弱いツァンはうっ、と喉元から声を漏らす。
「そ、そんな顔しないでよ龍可ぁ、僕が悪いみたいじゃん」
「許してやれよツァン」
「ほぼアンタのせいでしょうが……っ!」
「ダニエルと龍可は悪くないよ!俺がっ、俺がっ……!」
「る、龍亞まで……!」
「どや?」
更に追撃、今度は緑色の髪を後ろで一括りにした少年――容姿が龍可と良く似ている為、双子なのだろう、がコナミを擁護し、コナミがポンとロリとショタの肩に手を置き、ツァンにドヤ顔を見せる。完全に手懐けている。まさかホビーは双子の心を掌握する為の布石だったのかと戦慄し、同時にそのドヤ顔に拳をめり込ませたくなるような怒りを覚えるツァン。本当にこの男はクズである。
「わ、悪かったわよ、言い過ぎたわ、その代わり、裏側の広場で遊んで来なさい」
「仕方あるまい、お外でデュエルとしよう。勝った奴はこのトリシューラプリンをやろう!」
「「わーい!」」
「ちょっ、ちょっと待って!何それ!?ぼ、僕も!僕もやる!」
ついにツァンも陥落、それぞれの好物を餌に興味を引く正に悪魔の所業。ドタバタと慌ただしく外れ出ていく4人を見て、ユートは呆れて溜め息を吐くのだった。
――――――
「さて、アホなツァンも釣れた事だ。ここは2対2のタッグデュエルといこう」
「「はーい!」」
「ぐぬっ……言い返せないのが腹立つ……!」
ヴォン、コナミがツァンをディスりながら左腕に黄金のデュエルディスクを装着し、光のプレートを展開する。双子は元気に返事をし、アホなツァンは見事釣られた為、ぐぬぬと悔しそうに押し黙る。
「うむ、オレとツァン、双子のタッグといこうか」
「へへっ、俺達のコンビネーション、ダニエルに見せちゃうぜ!」
「もう、仕方無いんだから」
「おこちゃまには負けないよ!」
どうやら全員準備は整ったらしい。3人がデュエルディスクを構えるのを確認し、コナミがデュエルする火蓋を切って下ろす。
「「「「デュエル!!」」」」
先攻はツァンだ。デュエルディスクのランプが灯り、彼女はデッキから5枚のカードを引き抜く。先攻の役目は次の相手の攻撃に備える事、優等生らしく、彼女は場を整える事に努める。
「僕のターン、僕は魔法カード、『紫炎の狼煙』を発動!デッキよりレベル3以下の『六武衆』、『真六武衆―カゲキ』をサーチ!永続魔法、『六武衆の結束』を発動し、カゲキを召喚!」
真六武衆―カゲキ 攻撃力200
六武衆の結束 武士道カウンター0→1
登場したのは雷纏う黄金の鎧武者。4本の腕にそれぞれ刀を握り、『六武衆』の切り込み役がフィールドを駆ける。
「カゲキの召喚時、『六武衆の影武者』を特殊召喚!」
「げっ、早!俺は手札の『増殖するG』の効果発動!」
六武衆の影武者 守備力1800
真六武衆―カゲキ 攻撃力200→1700
六武衆の結束 武士道カウンター1→2
龍亞 手札5→6
続けて展開。カゲキの横に現れたのは鳥帽子のような兜を被った、緑色の線を鎧に走らせた影武者。『六武衆』の中ではレベル2のチューナーであり、カゲキと合わせて使用する事が常となるカードだ。
「ふふん、絶好調!結束を墓地に送って2枚ドロー!」
ツァン・ディレ 手札2→4
「永続魔法、『六武の門』を発動し、レベル3のカゲキにレベル2の影武者をチューニング!シンクロ召喚!『真六武衆―シエン』!!」
真六武衆―シエン 攻撃力2500
六武の門 武士道カウンター0→2
龍亞 手札6→7
早速シンクロ召喚、ツァンが右手を翳すと共に影武者が2つのリングとなって弾け飛び、カゲキがその中を潜り抜け、一筋の閃光がリングを貫く。そして眩い光を切り裂き、姿を見せたのは深紅の鎧を纏い、翼から紫色の炎を散らす武者。戦国を統べる魔王が降り立つ。
「カードを1枚セットしてターンエンドだよ!」
ダニエル&ツァン・ディレ LP4000
フィールド『真六武衆―シエン』(攻撃表示)
『六武の門』セット1
手札5(ダニエル)手札2(ツァン)
ツァンのターンが終了し、龍可のターンへと移行する。フィールドには1ターンに1度、モンスター、魔法、罠の効果を無効にし、破壊するツァンのエースカード、シエン。そしてカウンターを使い、様々な効果を発揮する『六武の門』にセットカードが1枚。モンスターが1体と言うのが不安だが、まずまずの出たしと言った所か。ここからどう崩すかが見物でもある。
「私のターン、ドロー!私は『アロマージ―ローズマリー』を召喚!」
アロマージ―ローズマリー 攻撃力1800
龍可のターンに移り、登場したのは青い髪にコートを纏い、ロンググローブを装着して植物が生えた杖を手にした少女型のモンスターだ。尤も、種族は植物だが、その見慣れぬカードにコナミが「む」と口を開き、ジッと見つめる。
「そしてフィールド魔法、『アロマガーデン』を発動!」
「させないよ!シエンの効果で無効にし、破壊!」
「うん、知ってる!だから2枚目を発動!『アロマ』モンスターが存在する事でLPを500回復!」
龍亞&龍可 LP4000→4500
「『アロマ』か……」
どうやら龍可のデッキは『アロマ』と言うカテゴリのデッキらしい。コナミが想像していたのはカテゴリも何も無い、シモッチバーンだった為、予想は大きく外れる。だがデッキのタイプは少し似ている。こちらも回復する事で動作するデッキだ。
フィールドが美しく鮮やかな植物園へと変わり、龍可のLPを回復する。これだけならシエンの効果を発動するまでも無いようだが――。
「その後、次の相手のターンが終わるまでローズマリーの攻撃力を500アップ!そしてローズマリーの効果でシエンを守備表示に!」
アロマージ―ローズマリー 攻撃力1800→2300
成程、これならば攻撃力で劣るローズマリーでシエンを破壊出来る。コナミは思わず舌を巻き、ツァンは苦い表情となる。恐らくは『アロマガーデン』の時点で止めたかったのだろう。
低速気味なデッキではあるが、LPの回復を主軸にしている以上、それも仕方無いだろう。この手のデッキは長期戦こそ真価を発揮する。
「バトル!ローズマリーでシエンに攻撃!」
ローズマリーがステッキを振るうと同時に植物園の植物が成長し、その蔦がシエンに絡み付いて繭のようになってシエンを呑み込む。
「ぐぬぬ、折角出したのに」
「私はカードを2枚セットしてターンエンドよ」
龍亞&龍可 LP4500
フィールド『アロマージ―ローズマリー』(攻撃表示)
セット2
『アロマガーデン』
手札7(龍亞)手札1(龍可)
「オレのターン、ドロー!魔法カード、『強欲で貪欲な壺』発動!デッキから10枚を除外、2枚ドロー!」
ダニエル 手札5→7
「オレは魔法カード『打ち出の小槌』を発動し、手札を交換、魔法カード、『ペンデュラム・コール』を発動!手札を1枚捨て、デッキから『慧眼の魔術師』と『賤竜の魔術師』をサーチし、セッティング!これでレベル3から4のモンスターが同時に召喚可能!」
コナミのデュエルディスクの両端に2枚のペンデュラムカードが設置され、虹色の光が灯る。同時にコナミの背後に昇る2本の柱。その中に出現した秤と扇を持った『魔術師』が天空に光の線を結び、魔方陣を描き出す。
「おおっ!これがペンデュラム!?スッゲー!俺も欲しい!」
「フ、揺れろ光のペンデュラム!虚空に描け魂のアーク!ペンデュラム召喚!『竜脈の魔術師』!」
竜脈の魔術師 攻撃力1800
振り子の軌跡でコナミのフィールドに1本の柱が降り立ち、光の粒子を散らして現れたのは剣を持った若手の『魔術師』。
「『クリバンデット』を召喚!」
クリバンデット 攻撃力1000
次は黄色いスカーフを頭に巻き、眼帯を装着した毛むくじゃらの悪魔だ。コナミのデッキを支える優秀なモンスター、このモンスターで布陣を整える。
「永続罠『潤いの風』を発動!LPを1000払い、『アロマージ―アンゼリカ』をサーチ!」
龍亞&龍可 LP4500→3500
「更に『潤いの風』の第2の効果!自分のLPが相手より少ない場合、LPを500回復!ローズマリーの効果で竜脈を守備表示に!」
龍亞&龍可 LP3500→4000
サーチにLP回復、そしてコナミの攻撃の牽制と攻守の体勢を整える龍可。成程、これは中々に骨が折れそうだ。長期戦も覚悟せねばならない。
「カードを1枚セットしてターンエンド!この瞬間、『クリバンデット』をリリースし、デッキの上から5枚を捲る。『モンスターゲート』を手札に」
「永続罠、『神の恵み』を発動。自分がドローする度にLPを500回復するわ」
ダニエル&ツァン・ディレ LP4000
フィールド『竜脈の魔術師』(守備表示)
『六武の門』セット2
Pゾーン『慧眼の魔術師』『賤竜の魔術師』
手札2(ダニエル)手札2(ツァン)
「へへっ俺のターンだね!ドロー!ジャキーン!『神の恵み』で回復だよ!」
龍亞&龍可 LP4000→4500
「俺は『D・スコープン』を召喚!ババーン!」
D・スコープン 攻撃力800
ターンは龍亞へと移り、彼は擬音混じりの台詞を放ちながらも手を進める。召喚されたのは顕微鏡が変形したモンスター。レベル3のチューナーであり、彼の扱う『ディフォーマー』デッキにとって重要なモンスターだ。
「スコープンの効果で手札の『D・ステープラン』を特殊召喚!」
D・ステープラン 攻撃力1400
続けて登場したのはホチキスが変形したモンスター。見るのも面白い機械族、そしてこれで龍亞の目的であるチューナーと非チューナーが揃った。ローズマリーを使っても良いが、このカードは龍可の展開に使える。攻撃力も高く、効果も優秀な為、置いておくべきだろう。何より勝手に使えば龍可が怖い。
「さぁさぁ凄いの見せちゃうよ!レベル4のステープランにレベル3のスコープンをチューニング!鋼の逆鱗に触れたい奴はご自由に!シンクロ召喚!『機械竜パワー・ツール』!!」
機械竜パワー・ツール 攻撃力2300
シンクロ召喚、ついに龍亞龍可ペアも勝負に出たのかエクストラデッキからの召喚法に打って出る。美しい花園に降り立つのは自然を慈しむ機械の竜。
黄色いボディに赤いラインを走らせ、右手にショベルを左手にドライバーを伸ばし、スコップの尾を振るう庭園の守護者。この竜の登場と共にコナミのエクストラデッキの『スターダスト』が反応するが――邪悪な気配は一切見られず龍亞を主人と認め、従っているように見える。
「『アロマガーデン』の効果で回復!モンスターの攻撃力アップ!」
龍亞&龍可 LP4500→5000
機械竜パワー・ツール 攻撃力2300→2800
アロマージ―ローズマリー 攻撃力1800→2300
「そして装備魔法、『パワー・ピカクス』!『パワー・ツール』に装備!『パワー・ツール』の効果!自分ターンに装備魔法を装備した時、カードをドロー!装備特典!」
龍亞 手札5→6
「『神の恵み』でLPもボーナスだ!」
龍亞&龍可 LP5000→5500
見事な連携だ。『パワー・ツール』でドローし、『神の恵み』による回復。単純な回復の手段だけで無く、明らかに龍亞の戦術を理解した上で『神の恵み』を投入している。
「『パワー・ピカクス』の効果で墓地のシエンを除外し、『パワー・ツール』の攻撃力を500アップ!」
機械竜パワー・ツール 攻撃力2800→3300
「バトル!ローズマリーで竜脈に攻撃だよ!」
「罠発動!『マジカルシルクハット』!」
龍亞が攻撃に踏み込もうとしたその瞬間、コナミがリバースカードを発動し、上空から3つのシルクハットが降り、コナミは2枚のカードをその中に投擲、竜脈もシルクハットに避難し、シャッフルされる。これで中身は分からなくなった。確率は3分の1、攻撃権が2回ある為、3分の2。それでもいきなり当てられる事は――。
「左」
「ん、OK!左だね!」
「あーはぁん?」
当てられた――それも瞬時に。思わずコナミが間の抜けた声を放つと同時にローズマリーが左のシルクハットへエネルギー球を放ち、中にいた竜脈ごと爆発させる。そんな馬鹿なと冷や汗を浮かべ、見事当てた張本人、龍可を見る。
「精霊があれだって言ってたし、シャッフルされたのを見たから当てられたわ」
しまった、コナミが口を開けて自らの失態を恥じる。そう、この少女、龍可はデュエルモンスターズの精霊と強い絆を持った少女であり、それでなくても天才少女なのだ。この程度造作も無い。後者は最早息をしていない設定だったが、前者は知っていた筈なのに。
隣でデュエルディスクを構えるツァンがうちの子凄いでしょと言いたげなドヤ顔を見せ、コナミがイラッとする。
「追撃は無駄だね、バトルフェイズを終了するよ!」
「くっ――!墓地に送られた『妖刀竹光』の効果で『黄金色の竹光』サーチ!」
「カードを2枚セットしてターンエンド。『パワー・ピカクス』の効果も終了するよ」
龍亞&龍可 LP5500
フィールド『機械竜パワー・ツール』(攻撃表示)『アロマージ―ローズマリー』(攻撃表示)
『パワー・ピカクス』『潤いの風』『神の恵み』セット2
『アロマガーデン』
手札4(龍亞)手札2(龍可)
「僕のターン、ドロー!魔法カード、『貪欲な壺』発動!墓地の『真六武衆―カゲキ』、『六武衆の影武者』、『クリバンデット』、『曲芸の魔術師』、『相克の魔術師』をデッキに戻し、2枚ドロー!」
ツァン・ディレ 手札2→4
「タッグじゃこっちが不利かな?だけど……!ペンデュラム召喚!『六武衆の御霊代』!」
六武衆の御霊代 守備力500
六武の門 武士道カウンター2→4
「あっ、ツァン姉ちゃんズリィ!俺もやりたい!」
「ふふん、何だかこれ気分が良いね」
コナミの用意したスケールを利用し、ツァンがペンデュラム召喚でフィールドに出したのは紫色の鎧を纏った青い炎。彼女の初ペンデュラムに龍亞が良いな良いなと子供らしい反応をし、ツァンがフフンとドヤる。
「そして『六武衆の師範』を特殊召喚!」
六武衆の師範 攻撃力2100
六武の門 武士道カウンター4→6
更に展開。フィールドに白い長髪を靡かせた歴戦の老兵が降り立つ。攻撃力2100、特殊召喚もしやすく、『六武衆』では優秀なアタッカーだ。
「門のカウンターを4つ使い、『真六武衆―キザン』をサーチし、特殊召喚!」
六武の門 武士道カウンター6→2→4
真六武衆―キザン 攻撃力1800→2100
次に召喚されたのは師範の若かりし頃の姿。漆黒の鎧に身を包んだ武者。老いた師範同様に優秀なアタッカーだ。
「もう一丁!カウンターを4つ使い、ヤイチをサーチし、召喚!」
六武の門 武士道カウンター4→0→2
六武衆―ヤイチ 攻撃力1300
ペンデュラムも驚きの大量展開、これでツァンのフィールドに4体のモンスターが揃った。
「ヤイチの効果でセットカード破壊!」
「カウンター罠、『無償交換』!その発動を無効して破壊!相手はカードを1枚ドローする!」
ツァン・ディレ 手札2→3
「御霊代を攻撃力500アップの装備カードとしてキザンに装備!」
真六武衆―キザン 攻撃力2100→2600
「魔法カード、『二重召喚』を発動!最後に『紫炎の荒武者』を召喚!」
紫炎の荒武者 攻撃力1600
手札を使い切り、ツァンが召喚したのは切り味鋭い日本刀を手にした鎧武者。攻撃力1600、決して高くは無い数値だが――。
「召喚時、このカードに武士道カウンターを乗せ、攻撃力が300アップする!」
紫炎の荒武者 攻撃力1600→1900 武士道カウンター0→1
「バトル!御霊代を装備したキザンで『パワー・ツール』に攻撃!」
龍亞&龍可 LP5500→5200
青き炎を纏ったキザンが刀を振るい、庭園を守護する機械竜を切り裂き、破壊する。炎に覆われ朽ち果てる『パワー・ツール』。これで道は開いた。
「御霊代の効果でドロー!」
ツァン・ディレ 手札1→2
「続いて!師範でローズマリーを攻撃!」
龍亞&龍可 LP5200→4900
「くっ――!」
最後の砦であるローズマリーも切り裂かれて光の粒子へと散る。残りのモンスターの攻撃力合計は1900、ここで一気に削りたいが――。
「荒武者でダイレクトアタック!」
「罠発動!『奇跡の残照』!このターン、戦闘破壊された『パワー・ツール』を復活させる!」
機械竜パワー・ツール 攻撃力2300
ところがどっこい、そうは問屋が下ろさないのがデュエルと言うものだ。庭園の上空から光が差し込み、『パワー・ツール』が再びフィールドに降り立つ。立ち塞がる巨大な壁、残る戦力では残念ながら太刀打ち出来ない。
「ぐぬっ、荒武者のカウンターを門に移動、魔法カード、『一時休戦』発動」
ツァン・ディレ 手札1→2
龍亞 手札4→5
龍亞&龍可 LP4900→5400
「『禁止令』を発動。『アロマセラフィ―アンゼリカ』を宣言してターンエンド」
紫炎の荒武者 武士道カウンター1→0
六武の門 武士道カウンター2→3
ダニエル&ツァン・ディレ LP4000
フィールド『真六武衆―キザン』(攻撃表示)『六武衆の師範』(攻撃表示)『紫炎の荒武者』(攻撃表示)
『六武衆の御霊代』『六武の門』『禁止令』セット1
Pゾーン『慧眼の魔術師』『賤竜の魔術師』
手札3(ダニエル)手札1(ツァン)
「私のターン、ドロー!」
龍亞&龍可 LP5400→5900
「魔法カード、『強欲で貪欲な壺』発動!デッキから10枚を除外、2枚ドロー!」
龍可 手札2→4
龍亞&龍可 LP5900→6400
「魔法カード、『名推理』を発動!」
「レベル3を選択するよ」
「1枚目――から来ちゃた。『アロマージ―ジャスミン』を特殊召喚!」
アロマージ―ジャスミン 守備力1900
花園に透き通るような香りが運ばれ、召喚される新たな『アロマ』モンスター。今回は美しい雪のような銀髪を靡かせた幼い少女だ。このカードこそ、『アロマ』のキーカード。
「速攻魔法、『地獄の暴走召喚』!デッキから2体のジャスミンを特殊召喚!」
「こっちだってキザンを出すよ!」
アロマージ―ジャスミン 攻撃力100×2
真六武衆―キザン 攻撃力1800→2100×2
六武の門 武士道カウンター3→5
ツァンの戦力も増えるが些細な問題だ。モンスターゾーンが埋まっている以上、1体しか出せない。そしてこれで――龍可の恐ろしいコンボが完成した。
「『潤いの風』の効果!LPを1000払い、『アロマージ―ローズマリー』をサーチ!」
龍亞&龍可 LP6400→5400
「魔法カード、『打ち出の小槌』!手札を交換!」
「ジャスミンの効果!1ターンに1度、自分がLPを回復した場合、ドロー!」
龍可 手札2→5
「『神の恵み』で回復!」
龍亞&龍可 LP5400→5900→6400→6900
「手札を1枚捨て、装備魔法、『閃光の双剣―トライス』を『パワー・ツール』に装備!効果でドロー!」
機械竜パワー・ツール 攻撃力2300→1800
龍可 手札3→4
龍亞&龍可 LP6900→7400
「『リ・バイブル』を召喚」
リ・バイブル 攻撃力700
「レベル2のジャスミン2体にレベル1の『リ・バイブル』をチューニング!シンクロ召喚!『アロマセラフィ―ローズマリー』!」
アロマセラフィ―ローズマリー 攻撃力2000→2500
アロマージ―ジャスミン 守備力1900→2400
眩き光を背に美しき花園に降り立つのはアンゼリカの透き通った羽を得た、ローズマリーの姿。黒いドレスは純白へと変化し、その杖からは美しき花が咲き誇っている。
「LPが上回っていてこのモンスターが存在する限り、私の植物族モンスターの攻守は500アップする!そしてジャスミンのもう1つの効果!LPが上回っている場合、植物族モンスターの召喚権を増やす!『アロマージ―ローズマリー』を召喚!」
アロマージ―ローズマリー 攻撃力1800→2300
「『アロマセラフィ―ローズマリー』の効果で御霊代の効果を無効に!更に『アロマージ―ローズマリー』の効果でもう1体のキザンを守備表示に……!そしてLPを2000払い、墓地の『リ・バイブル』蘇生!」
龍亞&龍可 LP7400→5400
リ・バイブル 攻撃力700
「『アロマガーデン』で回復!モンスターの攻撃力アップ!」
龍亞&龍可 LP5400→5900
機械竜パワー・ツール 攻撃力1800→2300
アロマセラフィ―ローズマリー 攻撃力2500→3000
アロマージ―ローズマリー 攻撃力2300→2800
アロマージ―ジャスミン 守備力2400→2900
リ・バイブル 攻撃力700→1200
「バトル!『リ・バイブル』で守備表示のキザンへ攻撃!」
「これでキザンの攻撃力はダウン!『パワー・ツール』で2体のキザンへ攻撃!」
『パワー・ツール』がその両手のシャベルとドライバーでキザンへ攻撃し、鈍い音と共に粉砕する。これで3体のキザンが破壊された。残るは2体。
「『アロマセラフィ―ローズマリー』で師範に、もう1体のローズマリーで荒武者に攻撃!」
「くっ――!」
「メインフェイズ2、レベル4のローズマリーとレベル2のジャスミンにレベル1の『リ・バイブル』をチューニング!太古の森よりフィールドを制圧する精霊よ、仮初めの姿に身をやつし降臨せよ。シンクロ召喚!『妖精竜エンシェント』!!」
妖精竜エンシェント 攻撃力2100
龍可の背後に光を纏い、降臨したのは青い海洋生物のようなぬるりとした身体に青いラインを走らせ、大きな瞳、蝶のような翼に、緑の鬣を持った幻想的な竜。『パワー・ツール』同様の力を持っており、こちらも少女に従っている。
「フィールド魔法が存在する事でエンシェントの効果発動!『慧眼の魔術師』を破壊!セットカードはフリーチェーンでも攻撃反応でも無い……恐らく『六武衆』がいる場合、カードを破壊する効果発動を無効にするカウンター罠、『六尺瓊勾玉』!森葬の霊場!」
「墓地の『スキル・プリズナー』を除外して守る!」
そう、龍可はこれを予想していたからこそ、エンシェントの効果を使わず、『六武衆』の破壊を先回しにしたのだ。そしてツァンのポーカーフェイスから程遠いギクリとした表情を見る限り当たりのようだ。流石は天才少女。エンシェントの力により『アロマガーデン』の蔦が襲い掛かり、ツァンは何とか障壁を展開して防ぐ。
「私は魔法カード、『封印の黄金櫃』と『光の護封剣』を発動。『サイクロン』を除外、これでターンエンド!」
龍亞&龍可 LP5900
フィールド『機械竜パワー・ツール』(攻撃表示)『妖精竜エンシェント』(攻撃表示)『アロマセラフィ―ローズマリー』(攻撃表示)
『閃光の双剣―トライス』『光の護封剣』『潤いの風』『神の恵み』
『アロマガーデン』
手札5(龍亞)手札0(龍可)
襲い来るチビッ子2人による見事なコンビネーションの猛攻――2体の竜を前にし、コナミとツァンはどう出るのか――今、年上の威厳が賭けられる。
と言う訳で双子登場。龍可ちゃんとか言うタッグフォースの真ヒロイン。
彼女のデッキは何となくなイメージでアロマとなりました。トラミッドは何か違うかなと思い、こちらに。シモッチバーン?知らない子ですねぇ。