遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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※ペンデュラム・ホルトがエラッタ前の効果です。
※この作品は全年齢向けの至って健全なものです。


第108話 ベッドがベットンベットン!(意味深)

孤児院の広場にて、簡素なデュエルコートとも言えるそこで、コナミVSユーゴ、ユートとユーゴの意地を賭けた代理デュエルは未だに続いていた。観客となった柚子やユート、ツァン、龍亞龍可が固唾を飲んで見守る中、こちらの方が気になったのか、教会よりセクトがひょこっと顔を出す。

 

「……何やってんだよお前等……アリ?ユーゴじゃねぇか」

 

「セクト……今なんかダニエルとユーゴがデュエルしてるんだよ」

 

「へぇー面白そうじゃん、見たところユーゴのピンチか、ターンは?」

 

「今ユーゴのターンに入る」

 

そう、丁度今コナミのターンが終了し、ターンプレイヤーはユーゴに移行する。フィールドには『クリアウィング』のみ、対するコナミはシンクロモンスター2体に上級モンスター1体の強力な布陣、ここからどう盛り返すか――

 

「俺のターン、ドロー!速攻魔法、『魔力の泉』を発動!2枚ドローし、1枚捨てる!」

 

ユーゴ 手札2→4→3

 

「よし――墓地の『スピードリバース』を除外し、ベイゴマックスを回収、更に魔法カード、『ヒドゥン・ショット』発動!墓地のタケトンボーグと赤目のダイスを除外し、メテオバーストとセイバーを破壊!」

 

「ッ!いや、ダメか……!墓地の『仁王立ち』を除外し、このターンの攻撃をメテオバーストに絞る!」

 

除外するコストが必要なものの、1枚で2枚を破壊する強力なカードが炸裂する。今のコナミにはこれを防ぐ手立ては無い。正確には『スターダスト』の効果があるが――バトルフェイズでは無い為、すかさず『クリアウィング』で無効にされる事になってしまう。せめて少しでも消費を抑える為、墓地のカードでこのターンを凌ぐ。

 

「ベイゴマックスを召喚!」

 

SRベイゴマックス 攻撃力1200

 

ここで変わらずベイゴマックス、召喚、特殊召喚問わずに『スピードロイド』をサーチ出来るこのカードは実に強力無比と言える。こうして再利用が容易いと言う点も含めて優秀だ。

 

「最後のタケトンボーグをサーチ、特殊召喚!」

 

SRタケトンボーグ 守備力1200

 

「リリースし、『赤目のダイス』をリクルート!」

 

SR赤目のダイス 守備力100

 

「効果でベイゴマックスのレベルを4に変更!」

 

SRベイゴマックス レベル3→4

 

「そしてレベル4となったベイゴマックスに、レベル1の赤目のダイスをチューニング!双翼抱く煌めくボディー、その翼で天空に跳ね上がれ!シンクロ召喚!現れろ!『HSRマッハゴー・イータ』!」

 

HSRマッハゴー・イータ 攻撃力2000

 

現れたのはピンク色の鮮やかなボディーの羽子板を模したシンクロモンスターだ。チャンバライダーやズールを出さなかったのは除去される事を考えてか、それともこのカードでコナミのエクシーズやシンクロの妨害を狙ってか、いずれにせよ、出しておいて損するカードでは無いか。

 

「カードを2枚セットし、ターンエンド」

 

ユーゴ LP1800

フィールド『クリアウィング・シンクロ・ドラゴン』(攻撃表示)『HSRマッハゴー・イータ』

セット2

手札0

 

「オレのターン、ドロー!魔法カード、『ペンデュラム・ホルト』!エクストラデッキにペンデュラムカードが3枚以上ある為、2枚ドロー!」

 

ダニエル 手札4→6

 

「ペンデュラム召喚!『刻剣の魔術師』!『竜脈の魔術師』!『慧眼の魔術師』!『ジャンク・コレクター』!」

 

刻剣の魔術師 攻撃力1400

 

竜脈の魔術師 攻撃力1800

 

慧眼の魔術師 攻撃力1500

 

ジャンク・コレクター 守備力2200

 

窮地のユーゴに対し、容赦なくその手を進め、追い撃ちをかけるコナミ。まずはペンデュラムで基盤を固める。フィールドに現れる5体のモンスター、そして――。

 

「『ジャンク・コレクター』と墓地の『エレメンタルバースト』を除外し、相手フィールドのカードを全て破壊!」

 

「その効果はモンスター効果だろう?なら無効にするぜ!ダイクロイック・ミラー!」

 

『ジャンク・コレクター』が光輝き、弾けてエレメントを解放、フィールドを蹂躙しようとしたその時、『クリアウィング』の双翼に紋様が走り、光の線が飛び出して『ジャンク・コレクター』を串刺しにして破壊する。既に除外されている為、破壊扱いにならず、攻撃力はアップしないが、これは止めるしかない。そしてこれは――コナミの思い通りだ。全ては『スターダスト』の効果を通す為、もしも『スターダスト』の効果を発動しようと、勘の良いユーゴの事だ。それを無視して『ジャンク・コレクター』に備えるだろう。

 

「『スターダスト』の効果で自身に1ターンに1度の耐性を与える!波動音壁!」

 

「成程、そう来たか……!」

 

「バトル!『スターダスト』で『クリアウィング』に攻撃!」

 

「墓地の三つ目のダイスを除外し、攻撃を無効にする!」

 

「構わん、速攻魔法、『ダブル・アップ・チャンス』!『スターダスト』の攻撃力を倍にし、再攻撃!流星突撃!」

 

閃光竜スターダスト 攻撃力2500→5000

 

「チッ、罠発動!『シンクロ・バリアー』!マッハゴー・イータをリリースし、このターンのダメージを0に!迎え撃て!旋風のヘルダイブスラッシャーッ!」

 

両シンクロドラゴン、一騎討ち、2人の指示を受け、漸くかと言った様子で2体の竜が飛び出し、天空でドッグファイトが繰り広げられる。飛び交う軌跡がまるで光の尾のように交差し、ぶつかり、火花を散らす。切り裂く剛爪、食らい合うアギト、衝突するブレス。最後に2体が己の体躯全てを投げ出し――ぶつかり合う。

『スターダスト』の星屑を纏い、高速で突き進む流星突撃、『クリアウィング』の翼に風を逆巻いて切り裂く旋風のヘルダイブスラッシャー。次元を越え、時を越えた勝敗は――『スターダスト』に軍配が上がる。

 

「ユーゴの『クリアウィング』が……!」

 

「破壊された……!」

 

今まで破壊されず、不敗神話を築いていた『クリアウィング』の破壊、それを見て、ツァンやセクトを動揺させる。まさかまさかの展開、負けはしても、『クリアウィング』を守って来たユーゴにとって、この一撃は何よりも重い。

 

「くぅぅぅぅッ!燃えるぜ!面白くなって来やがった!」

 

ところが――ユーゴ本人はあっけからんと笑い、益々このデュエルに闘争心を燃やす。全くもってデュエルバカと言う事か。楽しそうにデュエルをするユーゴを見て、コナミもまた、ニヤリと笑う。

 

「カードを1枚セットし、ターンエンドだ!」

 

「この瞬間、罠発動!『裁きの天秤』!俺の手札、フィールドのカードはこれ1枚!お前のフィールドのカードは7枚!よって6枚ドロー!」

 

ユーゴ 手札0→6

 

ここでユーゴが窮地を活かし、一気に手札を補充する。これでコナミに充分対抗出来る。ここで終わるつもりは無い。楽しいデュエルはまだまだ始まったばかりなのだ。

 

ダニエル LP4000

フィールド『閃光竜スターダスト』(攻撃表示)『刻剣の魔術師』(攻撃表示)『竜脈の魔術師』(攻撃表示)『慧眼の魔術師』(攻撃表示)

セット1

Pゾーン『竜穴の魔術師』『賤竜の魔術師』

手札3

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『カップ・オブ・エース』!表ぇ!2枚ドロー!」

 

ユーゴ 手札6→8

 

「手札の『サンダー・ドラゴン』を捨て、同名カードを2体サーチ!魔法カード、『星屑のきらめき』を発動!墓地からレベル7になるようにモンスターを除外し、墓地の『クリアウィング』を蘇生!」

 

「ッ、チェーンして『スターダスト』の効果で自身を守る!」

 

「当然そうなるよなぁ!」

 

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン 攻撃力2500

 

再びフィールドに舞い戻る白き竜。やっと破壊したと思ったらこんなにも簡単に復活するとは。いや、ユーゴのデッキがエースである『クリアウィング』を中核として活躍させる為に構築されているからか。たった1枚の好きなカードに全力を注ぎ込む。これもまたデュエリストとしての形であり、コナミとしても好ましく思う戦術だ。

 

「『SRアクマグネ』を召喚!」

 

SRアクマグネ 守備力0

 

次に現れたのは刃物のようなU字型の磁石の翼を広げた悪魔のようなモンスター。レベルは1、このモンスターでどう出て来るのか。

 

「アクマグネの召喚時、相手モンスター1体とこのカードでシンクロ召喚を行う!レベル4の竜脈にレベル1のアクマグネをチューニング!シンクロ召喚!『HSRチャンバライダー』!」

 

HSRチャンバライダー 攻撃力2000

 

相手モンスターを巻き込んでのシンクロ召喚。『シンクロ・マテリアル』を内蔵したような効果が炸裂し、コナミのモンスターを奪い取ってユーゴがチャンバライダーを再び繰り出す。これが最後のチャンバライダー、出来れば破壊される前に決着をつけたい所だ。

 

「まさかこちらのモンスターを利用するとは……!」

 

「更に魔法カード、『二重召喚』!『SRーOMKガム』を召喚!」

 

SRーOMKガム 攻撃力0

 

「フィールドに『スピードロイド』チューナーが存在する事で墓地の『HSRマッハゴー・イータ』を蘇生!」

 

HSRマッハゴー・イータ 攻撃力2000

 

「モンスターが特殊召喚された事で56プレーンを特殊召喚!」

 

SR56プレーン 攻撃力1800

 

「効果で『スターダスト』の攻撃力をダウン!」

 

閃光竜スターダスト 攻撃力2500→1900

 

「くっ――!」

 

大量のモンスターを展開しながらもコナミの戦術を越えて来るユーゴ。手強いデュエリストだ。だからこそ――彼を倒せば、コナミは成長出来る。負ける訳にはいかない。最早ユートの為と言う事も忘れ、彼と言う好敵手を越えるべく、コナミは思考を張り巡られ、戦略を練る。

『スターダスト』はこのターン、1度だけ破壊されない。つまり残るモンスター2体も合わせ、4度戦闘を行うとして、合計攻撃力は6700、傷一つついていないLPも合わせると10700、この数値が越えられれ少々不味い。多く見えるが、果たして安全圏と言えるかどうか。

 

「魔法カード、『手札抹殺』!手札を全て捨て、新たに3枚を引き込む!レベル5の56プレーンにレベル1のOMKガムをチューニング!シンクロ召喚!『HSR魔剣ダーマ』!」

 

HSR魔剣ダーマ 攻撃力2200

 

合計攻撃力8700――いや、チャンバライダーが2回攻撃出来、攻撃力アップを加味すれば11300。早速越えられた。何が安全圏だクソッタレと舌打ちを鳴らすコナミ。だがまだだ、ユーゴの手はまだ止まってない。

 

「デッキトップを墓地へ。チ、『スピードロイド』じゃねぇ。魔法カード、『スピードリバース』を発動!墓地の『HSR快刀乱破ズール』を蘇生!」

 

HSR快刀乱破ズール 攻撃力1300

 

無慈悲にも、5体のシンクロモンスターが揃う。しかもご丁寧に全て異なるモンスターだ。コナミも昔はブイブイ言わせてフィールドを真っ白に染めたものだが、彼もソリティアの血筋を引く者らしい。1人でシコシコ白いのを出す事に定評のある彼が認めるのだ、ユーゴもまた、1人で白いのをいっぱい出す事には秀でている。しかしこうして見ると壮観だ。

チャンバライダーのズール剥けな魔剣ダーマがマッハゴー・イータとは。

 

「何か知らねぇがスゲェ腹立って来た」

 

「タッちゃったのか」

 

「おい、何か知らんがそれ以上はやめろ、色々危うい気がする」

 

ここでユートの脳裏に電撃が駆け抜け、これ以上はいけないと言う謎の衝動が突き動かし、2人を止めに入る。まだセーフ、セーフである。

 

「まぁ、良いや、今まで世話になった分、返してやるぜ!ズールで『スターダスト』に攻撃!」

 

「返さんで良い、多分お前借りパクする性格だろ、ずっと取っておけ、こんな時だけ返さんで良い、罠発動!『ダメージ・ダイエット』!このターンのダメージを半分に!」

 

HSR快刀乱破ズール 攻撃力1300→2600

 

ダニエル LP4000→3650

 

一撃一撃が破滅への致命傷、命を削るカウントダウン、コナミはそれから逃れる為、自身の前にバリアを張り、少しでもダメージを軽くしようと足掻きに足掻く。ズールによる斬撃が『スターダスト』に襲いかかり、胸に大きな傷を残した。

 

「チャンバライダーで刻剣に攻撃!」

 

HSRチャンバライダー 攻撃力2000→2200

 

ダニエル LP3650→3250

 

破壊されたリベンジと言わんばかりにチャンバライダーがバイクを疾駆させ、2刀の剣を振るって刻剣をジリジリと追い詰める。防戦一方、剣で防ぐ刻剣が何とか隙を見つけ、その喉元を切り裂こうとしたが――その隙は作り出されたもの、刻剣を誘き出したチャンバライダーをその一振りを払い伏せ、もう1刀で切り裂く。

 

「2回目の攻撃!慧眼を倒せ!」

 

HSRチャンバライダー 攻撃力2200→2400

 

ダニエル LP3250→2800

 

更に続く猛攻、チャンバライダーが加速して今度は慧眼の下へ駆け、有無を言わさず一刀の下に切り伏せる。これで残るモンスターは――『スターダスト』1体のみ。

 

「リベンジだ!『クリアウィング』で『スターダスト』に攻撃!旋風のヘルダイブスラッシャーッ!」

 

「くっ、流星突撃!」

 

再び激突する2体の竜。覇王の因子と決闘竜のドッグファイト。上空で火花と爆風が舞い、互いに腕を掴み、相撲のように押し合いとなる。だが――ズキリ、『スターダスト』の胸の傷が動きを鈍らせ、『クリアウィング』がその隙を見逃さず、尾を振るって『スターダスト』の顎を跳ね上げて飛び退き、加速してその翼で『スターダスト』を切り裂く。

 

ダニエル LP2800→2500

 

「これでがら空き!ダーマとマッハゴー・イータでダイレクトアタック!」

 

ダニエル LP2500→1400→400

 

「ぐうっ、『ダメージ・ダイエット』の効果で半減する……!」

 

がら空きの所にダーマとマッハゴー・イータの一撃が突き刺さる。半減されているとは言え、重い一撃、状勢は一気に覆り、一転してコナミの不利となった。LPは3桁、モンスターは0、対するユーゴのフィールドには5体のシンクロモンスター。

 

「墓地の機械族モンスターを除外し、ダーマの効果で相手に500のダメージを与える!」

 

ダニエル LP400→150

 

「カードを1枚セットし、ターンエンドだ」

 

ユーゴ LP1800

フィールド『クリアウィング・シンクロ・ドラゴン』(攻撃表示)『HSR魔剣ダーマ』(攻撃表示)『HSRチャンバライダー』(攻撃表示)『HSR快刀乱破ズール』(攻撃表示)『HSRマッハゴー・イータ』(攻撃表示)

セット1

手札1

 

ここが正念場でラストターン、勝負を賭けたドロー。コナミはデッキトップに手を翳し、勝利を信じて大きく引き抜く。

 

「オレのターン、ドロー!魔法カード、『貪欲な壺』!墓地より『オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン』、『No.39希望皇ホープ』、『E・HEROエアーマン』、『E・HEROブレイズマン』、『V・HEROヴァイオン』を回収し、2枚ドロー!」

 

ダニエル 手札3→5

 

「手札の『曲芸の魔術師』を捨て、『竜穴の魔術師』のペンデュラム効果でセットカード破壊!ペンデュラム召喚!『竜脈の魔術師』!『慧眼の魔術師』!『貴竜の魔術師』!『ジャンク・コレクター』!」

 

竜脈の魔術師 攻撃力1800

 

慧眼の魔術師 守備力1500

 

貴竜の魔術師 守備力1400

 

ジャンク・コレクター 守備力2200

 

「またそれか……!」

 

再び揺れるペンデュラム。振り子の軌跡で光の柱がコナミのフィールドに降り注ぎ、5体のモンスターが現れる。全力全開、全身全霊をもってユーゴを迎え撃つ。

 

「マッハゴー・イータをリリースし、フィールドのモンスターのレベルを1つ上げる!メテオバーストはシンクロさせねぇ!」

 

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン レベル7→8

 

HSR魔剣ダーマ レベル6→7

 

HSRチャンバライダー レベル5→6

 

HSR快刀乱破ズール レベル4→5

 

竜脈の魔術師 レベル4→5

 

慧眼の魔術師 レベル4→5

 

貴竜の魔術師 レベル3→4

 

ジャンク・コレクター レベル5→6

 

マッハゴー・イータがピンク色のボディーを眩き光と共に弾けさせ、中に眠っていた星をフィールドに散りばめる。これでシンクロどころかエクシーズも不可能となった。

 

「何かあると思っていた……だからこそこいつを残していたんだ!『賤竜の魔術師』のペンデュラム効果で刻剣を回収!召喚!」

 

刻剣の魔術師 攻撃力1400

 

「しまった――!」

 

「レベル3の刻剣に、レベル4となった貴竜をチューニング!シンクロ・召喚!『オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン』!!」

 

オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン 攻撃力2500

 

再び現れる赤き竜の星。打ち砕く竜が『クリアウィング』を睨み、星屑の竜の仇を討とうと咆哮する。

 

「くっ――!」

 

メテオバーストを見て、ユーゴが舌打ちを鳴らす。このカードはバトルフェイズ中、相手モンスターの効果発動を封じる効果を持っている。つまり手札の『SRメンコート』も使えなくなる。何より――『クリアウィング』の効果も通じない。

しかも、コナミのフィールドには――。

 

「バトルだ!『ジャンク・コレクター』と墓地の『エレメンタルバースト』を除外、効果をコピー!」

 

このカードがある。『ジャンク・コレクター』の身体が閃光に包まれ、弾けて『エレメンタルバースト』のエネルギーを解放する。襲いかかる天変地異。4つのエレメントが5体のシンクロモンスターを討ち滅ぼす。これで、道は開いた――。

 

「メテオバーストで、ダイレクトアタック!」

 

ユーゴ LP1800→0

 

「国へ帰るんだな、お前にも家族がいるだろう」

 

メテオバーストのアギトに集束した炎が撃ち出され、ユーゴを覆い尽くす――。勝者、コナミ――。

 

――――――

 

「ベッドがベットンベットン!」

 

「あっはっは!お前やるじゃねぇか!」

 

コナミとユーゴのデュエルが終了した後、彼等2人は見事に意気投合していた。むっつり天然クールなコナミとむっつり天然熱血のユーゴ。似ていないようでその実似ている2人がこうなるのは自然だったのかもしれない。それにコナミはユーゴを暗次に重ね、ユーゴはコナミをここのニートに重ねて見ているから打ち解けるのが早かったのだろう。

 

「当然お前もフレンドシップカップに出るんだろ?」

 

「?フレンドシップカップ……?」

 

「何だ、知らねぇのか?もうすぐシティで大会があるんだよ。優勝した奴があのキング、ジャック・アトラスと闘えるんだ!」

 

「――!ジャック・アトラス……!」

 

ユーゴの口から出たキングの名、それはコナミを驚愕させるには充分なものだ。ジャック・アトラス。まさか彼がここにいるとは。いや、シンクロ次元と言うのだ。当然か、しかしまさか、彼が就職しているとは。

 

「おい、俺達は大会に出る暇など無いんだ」

 

「い、いや、そうでもないかもしれないぜ」

 

ユートが大会出場を必要とは思わず、否定してその時――意外にもそこで口を挟んだのはセクトだった。

 

「?それはどう言う意味だ?」

 

「……もしかしたら――キングは、アカデミアと繋がってるかもしれねぇんだ」

 

その言葉と共に、孤児院は静寂に包まれた――。

 

――――――

 

そして時は再び戻り、場所は遊矢達がいる収容所へ。彼等は右塔の中心に集まっていた。

理由は――この場で右塔と左塔のボスが対決する祭りがある、と言う事だ。そしてこれこそが脱獄のチャンス、祭りで囚人が集まり、セキュリティで手薄となる事を利用し、脱獄する。そう思っていた時だった――。入り口より、何やら騒がしいかけ声が聞こえて来たのは。

 

「?何だ一体――」

 

「セイヤッ、セイヤッ、セイヤッ、セイヤッ、セイヤッ、セイヤッ!」

 

「え、え、ええぇぇぇぇぇっ!?」

 

現れたのは屈強で引き締まった肉体を持ち、褌を巻いた、如何にも祭りと言った出で立ちをした男達。そしてそんな彼等が担いだ御輿。いや、これは――玉座と言った方が良いだろう。豪奢で華美な玉座に腰かけているのは――。

 

「ハ、ハァハン!ハ、ハァハン!」

 

沢渡の姿であった――。

 

「……な、何やってんのお前ぇぇぇぇぇっ!?」

 

思わず遊矢の叫びが木霊する。それも当然だろう、屈強な男達が運ぶ玉座に腰かけている等、意味が分からない。それは彼の背後にいるランサーズメンバーも同じだ。皆唖然としている。

 

「本当に、本当に何をやってるんだあの馬鹿は……!」

 

「びっくりだよもう……!」

 

想像の斜め上を行く沢渡の行動に、権現坂とデニスが溜め息を吐く。もう何とも言えない。

 

「フ、久し振りだな遊矢。俺と闘うのは宿命のライバルであるお前だと思っていた!」

 

「って言う事はまさか……!」

 

「そうだ!俺様こそが左塔のボス!さぁ、今こそアクションデュエルで決着をつけてやるよぉ!」

 

「とうっ」と沢渡が玉座から飛び降り、宙でくるりと回転、想像通り着地する時にグキリと足を挫き、フゥーフゥーと毛を逆立てる猫のような表情で息を吐き、痛みを堪える。何時も通りの沢渡だ。遊矢は呆れ返りながらも沢渡の言葉に慌てる。

 

「えっ、ちょっ、ちょっと!?」

 

「アクションフィールド、発動ゥー!」

 

フィールドが光に包まれ、光のブロックを形成して姿を変える中、遊矢は困惑し、沢渡とその子分が口上を放つ。

 

「『クロス・オーバー』か……!行くぜ!戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

 

「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い!」

 

「フィールド内を駆け巡る!」

 

「見よ、これぞデュエルの最強進化形!」

 

「アクショーン、デュエル!!」

 

「話を聞けぇ!」

 

榊 遊矢VS沢渡 シンゴ――因縁の闘いが、今始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、オッドアイズEM魔術師VS魔界劇団妖仙獣帝

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