遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

14 / 202
遅くなりましたが先週、急激に評価が増え、ランキング入りまでしました。これも読んでくださる皆様のお陰です。ありがとうございます。これからも全力を尽くして頑張ります。やっぱ皆不憫な茄子が好きなのかな(困惑)
あ、後、次回を投稿次第、番外編のアンケートを終了しますので、これが見たい!という方は活動報告にて。


第13話 だが奴は……弾けた

気がつけば、彼は瓦礫の山の上で眠っていた。辺りは暗く、冷たい風が吹く最中、彼は思う。

 

――ここは――何処だ――?

 

記憶喪失――ではない。自分の名前も、出身も、今まで蓄えてきた知恵もある。だが、先程まで何をしていたかも、今の時間も、此処がどこなのかも分からない。これではまるで酔っ払いではないか。……いや、たった今だが、此処が何処なのかは分かった。ボロボロにひび割れ、崩れて煙を上げる、紛争地帯のような街並みを見て分かった。少年が知る景色とは変わり果ててしまったが、恐らく間違いないだろう。

 

「……ハート……ランドか……?」

 

パチパチと火を上げる大地を見渡し、血生臭い薫りを吸い込み、首を傾げる。果たして自分の知るこの街はこれ程まで荒れていただろうか?と。余りにも凄惨な光景に疑問が浮かぶ。

 

「……これではサテライトと言われた方が納得ができる」

 

鼻を鳴らし、皮肉気な笑みを浮かべる少年。寝転んでいたお陰でついてしまった埃を両手で払う……のだが、どこか違和感を感じる。一体何故――?

 

「ん……?ジャケットが黒い?」

 

その正体は自らの身につける衣類、だがそれだけではない。

 

「……帽子も黒いな……」

 

チラリと頭に被った帽子を見て、溜め息を吐く。どういうカラクリかは知らないが少年の着ている服装はほぼ黒一色。元の色の欠片も残ってはいない。唯一変わってないのは左腕に嵌めた黄金のデュエルディスクと首に掛けた重々しいヘッドフォン位か。

 

「……赤、好きだったんだがな……」

 

何時もとは違う黒の帽子を被り直しながら、再び溜め息を吐く。今度は先程よりも重いものだ。と、そんな所に声が掛けられる。此方を心配するような、少女の声。

 

「……お前は?」

 

少年の視線の先にいたのは瑠璃色の髪を羽の髪留めで一結びした、どこか気品を感じさせる大人びた少女。彼女は少年の憮然とした態度にムッときたのか頬を膨らまし、腰に手を当て少年を叱りつける。

 

「ああ悪かった。名を聞くなら自分から、だな。分かったからそう怒るな。美人が台無しだ」

 

少女の指摘に参ったとばかりに両手を上げて苦笑する黒帽子の少年。少女の方はと言うと、少年の「美人」と言う言葉に気を良くしたのか頬を桜色に染め、照れている。その仕草もお嬢様然としており、誰もが見惚れてしまう事に違いないだろう。この黒帽子以外は。

 

「それで?名前だったな?私の名は――」

 

そこで言葉が途切れる。私?自分は一人称にそんな言葉を使っていたか?そもそも自分の一人称は何だったか、うんうんと唸って考える少年に、少女のジトッとした視線が突き刺さる。まぁ……今はそんな事は置いておこう。早く名乗らなければ、目の前のお姫様が拗ねてしまいそうだ。

 

「私の名は――」

 

「何をしている」

 

そこに、新たな介入が加わる。少女の背後より土を鳴らしながら歩んで来る男は少女と似た顔立ちの赤いスカーフを巻き、コートを羽織った、猛禽類の如き眼光の少年。どうやら少女の兄のようだ。彼はその鋭い視線を黒帽子の少年に移し、睨めつける。

 

「貴様、アカデミアか!ならばデュエルだ!」

 

何やら一方的な勘違いを受けているらしい。彼はデュエルディスクを構え、青く光るプレートを展開する。少女が猛抗議を訴えているが、聞く耳持たずだ。

 

「貴様がアカデミアかどうか、俺が見極めてやる!」

 

鼻息荒く、黒帽子の少年へ敵対の意志を燃やす男。少女も何とか言ってと黒帽子の少年に訴えかけるが、少年の答えは彼よりデュエルを挑まれた時より決まっている。男と同じく左腕のデュエルディスクを構え、光のプレートを展開し、男に劣らぬ獰猛な笑みを浮かべ。

 

「――私の名はコナミ、人は私をデュエリストと呼ぶ――」

 

こうして黒コナミこと『コナミ』と『レジスタンス』の兄妹は邂逅し、何だかんだと一悶着終え黒コナミは『レジスタンス』期待のハリキリ☆ボーイとなるのだが――それはまた別の話。そしてこの何だかんだで彼等が戻るのが遅くなった事と黒コナミが『レジスタンス』入りして、とある少年の胃痛が加速したのも別の話になる。また兄妹の妹の方が黒コナミになつき、兄より兄っぽくなって、兄がショックを受けるのは割りとどうでもいい話。

 

――――――――

 

「希望皇……ホープレイ……V……」

 

自らの眼前で眠るように俯き、だらりと力なく両手を垂らす赤き覇王を見て、遊矢は無意識にモンスターの名を呟く。あれ程まで脱力していると言うのに、かの皇から感じる力は余りにも強力で濃密だ。例えるなら、赤黒く漂う濃霧。その存在は圧倒的ではあるが、どこか掴み所がない。しかし、分かる事が1つだけある。目の前の皇は強い。自分の場に攻撃力が同じである『EMハンマーマンモ』がいるのにも関わらず、胸中の不安は募るばかりで、霧は消えてくれそうにない。

 

「500LP払い、『エクシーズ・チェンジ・タクティクス』の効果により1枚ドロー」

 

黒コナミ LP3500→3000 手札3→4

 

そんな遊矢とは逆に、平坦な声音でデッキのカードを引き抜く黒コナミ。その手札はターン開始より変わらず、それも遊矢の不安を煽る。

 

「『CNo.39希望皇ホープレイV』のCORUを1つ取り除き、『EMハンマーマンモ』に対して効果発動!ハンマーマンモを破壊し、攻撃力分のダメージを与える!狩らせてもらおうか!魂ごと!Vブレードシュート!」

 

ホープレイVの周囲に浮かぶ菱形のCORUが弾け、途端に皇は獣のようなフェイスを上げ、両の眼を紅く輝かせる。スイッチが入れられたように両手を広げ、曲刀をクルクルとバトンのように回し、ハンマーマンモに向かい投げつける。そのVの字の軌跡はハンマーマンモを切り裂き、2振りの剣となって皇の元へと戻る。

 

「ぐっ!あああぁぁぁ!?」

 

榊 遊矢 LP4000→1400

 

身体を焦がすような痛みに思わず絶叫を上げる遊矢。何時ものソリッドビジョンによる刺すような小さい痛みではない。灼熱の炎のような、熱く、焼かれるような激痛。一体何故、こんな――?

 

「ダメージの実体化など初めてではないだろう?死なない程度には加減しているが……『No.』は加減が難しいな。『CNo.』なら尚更か」

 

どういう理屈かは分からないが、目の前のモンスターがこの痛みを作り出しているらしい。その事に軽い恐怖を覚えるが。

 

(逃げて……たまるかっ!)

 

敢えて身を乗り出す事で自分に檄を入れ、闘志に火を灯す。どういう理屈かは分からない――だが1度始めたデュエルだ。身体を動かすだけで痛みが走るが、それがどうした。逃げる訳にはいかない。それに遊矢の周りのデュエリストはこの程度では逃げないだろう。権現坂ならこの程度、ものともせずに不動のデュエルを貫き、柚子も芯の強い女性だ。ボロボロになったとしても立ち上がるだろう。何よりコナミなら、笑みを浮かべて、嬉々として闘う筈だ。

 

(……俺は……間違ってたな……、こんな気持ちでデュエルしたら……、コナミ達に、父さんに見せる顔がない……、泣きたい時こそ笑え!信じて進む!俺のエンタメデュエルを!)

 

「Ledies and Gentlemen!!ここからが本番、私のエンタメデュエルを、ご覧あれ!」

 

先程の暗い顔より一変、口の端を吊り上げ、ニヤリと笑い、自分に喝を入れる。遊矢の突如の変化に流石の黒コナミも戸惑いを隠せない。

 

「……エンタメ……デュエル……?」

 

「貴方の場にいる『CNo.39希望皇ホープレイV』の強力な効果により、私の『EMハンマーマンモ』は破壊されてしまいましたが、ご安心を!見事、この逆境を乗り越え、大逆転の開幕です!」

 

「面白い……私は『ゴゴゴジャイアント』を召喚!」

 

ゴゴゴジャイアント 攻撃力2000

 

新たに黒コナミの前に登場したモンスターは巨大な塔が人型になったようなモンスター。その攻撃力は下級モンスターにしては高い。

 

「『ゴゴゴジャイアント』の効果!墓地の『ゴゴゴゴーレム』を守備表示で特殊召喚する!」

 

ゴゴゴゴーレム 守備力1500

 

墓地と思わしき渦が現れ、中より丸い体に不釣り合いな豪腕を持つ、命ある岩石。『ゴゴゴゴーレム』は黒コナミを守るように両腕を交差し、防御体制を取る。

 

「その後、『ゴゴゴジャイアント』は守備表示となる」

 

『ゴゴゴゴーレム』に倣うように『ゴゴゴジャイアント』も膝をつき、両腕を交差する。これで黒コナミの場に再びレベル4のモンスターが2体揃った。

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!『ガガガザムライ』!」

 

ガガガザムライ 攻撃力1900

 

黒コナミの場に新たなエクシーズモンスターが姿を見せる。長いマフラーを靡かせ、赤の着物の上に学ランと一風変わった侍。彼は腰の2刀を引き抜き、自身の前で輝く刃を交差させる。攻撃力は先の巨人の方が上、しかし遊矢は油断など、馬鹿な真似はしない。相対するのは今まで自分が闘って来た中で間違いなく最強のデュエリスト。

 

「魔法カード、『エクシーズ・トレジャー』!フィールドのエクシーズモンスターの数だけドローする!」

 

黒コナミ 手札2→4

 

「更に魔法カード、『エクシーズ・ギフト』を発動!ホープレイVと『ガガガザムライ』のORUを1つずつ取り除き、2枚ドロー!」

 

黒コナミ 手札3→5

 

「『ガガガザムライ』のORUを1つ使い、効果発動、フィールドの『ガガガ』モンスターに2回攻撃を付与する。当然、対象は『ガガガザムライ』自身。さぁ行くぞ、希望皇ホープレイVで『EMカレイドスコーピオン』を攻撃、ホープ剣・Vの字斬り!」

 

ホープレイVにまとわりつく赤黒い霧が2振りの曲刀に宿り、その凶悪さを増す。そのまま黒き翼を広げ、驚異的な速度で万華鏡の蠍に迫り、V状に切り裂いた。

 

「ッ!永続罠、『臨時収入』!自分のエクストラデッキにカードが加わる度に、このカードに魔力カウンターを1つ置きます!」

 

「……何?だがそんなカード、今は――」

 

「お答えしましょう!フィールド上のペンデュラムモンスターは墓地に送られる事なく、エクストラデッキに加わるのです!よって『EMカレイドスコーピオン』はエクストラデッキに表側表示で加えられ、『臨時収入』に魔力カウンターが置かれます!」

 

臨時収入 魔力カウンター0→1

 

「成程、面白いカードだ。だが、手は緩めん!『ガガガザムライ』で『EMドクロバット・ジョーカー』に攻撃!」

 

2刀を構えた侍が道化に肉薄し、斬りかかる。道化は懐から数枚のトランプを取りだし、手裏剣のように投げつける。刃物のような硬度を誇るトランプを切り裂きながら駆ける『ガガガザムライ』。剣術と奇術。まるで物語の中の異世界の闘いのように次々と披露される2人の攻防。これでは埒が空かないと思ったのだろう。『ガガガザムライ』は刀を1本投擲する。ビュオッと風を引き裂きながら、迫り来る刀を道化は上半身をスウェーする事でかわす、が。その隙を突き、接近した『ガガガザムライ』の必殺の剣技によって遂に倒される。

 

榊 遊矢 LP1400→1300

 

たった100、100のダメージが遊矢の全身を駆け巡る。黒コナミのモンスターによる斬撃が遊矢を切り裂き、擦り傷や切り傷、火傷を作る。だけど、だけども。

 

「罠発動!『EMリバイバル』!自分フィールド上のモンスターが戦闘、効果で破壊された場合に発動でき、手札、墓地の『EM』1体を特殊召喚する!さぁ再び舞台へ!『EMハンマーマンモ』!更に!エクストラデッキに『EMドクロバット・ジョーカー』が加わった事で『臨時収入』に2個目のカウンターが置かれます!」

 

EMハンマーマンモ 攻撃力2600

 

臨時収入 魔力カウンター1→2

 

遊矢は止まらない。歯を食い縛り、踏み留まる。その口元は弧を描いており、何事にも動じぬ意志が宿る。そんな彼に応えるように再び『EM』の重鎮がハンマーの鼻を掲げ、遊矢を激励するように鳴く。まだまだここからが本番、デッキが、カードが諦めてないなら、座長である自分が諦めて堪るものか。と力を振り絞る。

 

「……面白い……!私はカードを2枚伏せて、ターンエンドだ」

 

黒コナミ LP3000

フィールド『CNo.39希望皇ホープレイV』(攻撃表示) 『ガガガザムライ』(攻撃表示)

『エクシーズ・チェンジ・タクティクス』 セット2

手札3

 

黒コナミの激しい攻撃が漸く終わる。だが安心などしてられない。焦ってもいけない。心は冷静に、闘志を燃やし、顔には笑顔を。ショーはまだ始まってもいないのだ。ここで終わってはエンターテイナーの名が廃る。

 

――俺は――エンタメデュエリストだっ!!――

 

「お楽しみはっ!これからだ!!」

 

逆境なんて、鼻で笑え。

 

「俺は!『星読みの魔術師』をペンデュラムスケールにセッティング!今1度揺れろ魂のペンデュラム!ペンデュラム召喚!雄々しくも美しく輝く二色の眼!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!『EMドクロバット・ジョーカー』!『EMカレイドスコーピオン』!『EMペンデュラム・マジシャン』!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力2500

 

EMドクロバット・ジョーカー 攻撃力1800

 

EMカレイドスコーピオン 守備力2300

 

EMペンデュラム・マジシャン 攻撃力1500

 

再び天空に描かれた魔方陣より4つの閃光が大地を抉る。まるでサーカス集団のような個性的で華々しいモンスター達がこのデュエルの真の幕を上げる。先程のターンにも姿を見せた、シルクハットを被った黒き道化と万華鏡の蠍。その隣で振り子を揺らす赤き衣装を纏ったマジシャン。そして遊矢のエースにして二色の眼、オッドアイを持つこのデッキの目玉、赤き体躯に、青い宝玉を胸に抱き、頭の2本角と赤と翡翠の宝玉が嵌め込まれた背の2本角を唸らせるのはコナミの『オッドアイズ・ドラゴン』と似た竜、『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』。

 

「まずは『EMペンデュラム・マジシャン』の効果により、このカードと『EMドクロバット・ジョーカー』を破壊し、ペンデュラム・マジシャン以外の2枚の『EM』を手札に加えます!勿論、『臨時収入』の効果をお忘れなく!と言ってもカウンターは3つまでしか乗りませんが」

 

臨時収入 魔力カウンター2→3

 

2体の魔法使いがシルクハットを手に礼をし、ポン、と音を鳴らし、消える。代わりに遊矢の手に2枚のカードが加えられる。

 

「私が手札に加えるのは『EMモンキーボード』と『EMヘイタイガー』!更に!カウンターが3つ乗った『臨時収入』を墓地に送り、カードを2枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札2→4

 

ペンデュラム召喚により0だった遊矢の手札が嘘のように回復する。それなのにフィールドは先のターンより増えているのだから不思議だ。正しく魔術のような召喚法。黒コナミもサーカスを見に来た子供のように、帽子の奥の瞳を輝かせる。

 

「『EMハンマーマンモ』を対象に、『EMカレイドスコーピオン』の効果発動!このターン、ハンマーマンモは貴方の特殊召喚されたモンスター全てに攻撃できます!さぁバトル!ハンマーマンモで『ガガガザムライ』に攻撃!そしてこの瞬間、貴方の魔法、罠カードを手札に戻します!」

 

「ッ!罠発動、『攻撃の無敵化』!このバトルフェイズ中、戦闘ダメージを0にする!」

 

ハンマーマンモの攻撃により、砕け散る『ガガガザムライ』、戦闘ダメージは0になるが、モンスターは別だ。

 

「ハンマーマンモで希望皇ホープレイVに攻撃!」

 

赤黒いオーラを纏いホープレイVはハンマーマンモを迎撃する。しかし、『EM』の重鎮たるハンマーマンモも負けてはいない。去り際に皇の身体を鼻で拘束し、共に消えていく。

 

「……希望皇ホープレイVの効果により、墓地の『CNo.39希望皇ホープレイ』をエクストラデッキに戻す」

 

「私はカードを1枚セットしターンエンドです」

 

榊 遊矢 LP1300

フィールド 『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』(攻撃表示) 『EMカレイドスコーピオン』(守備表示)

セット3

Pゾーン『時読みの魔術師』『星読みの魔術師』

手札3

 

「私のターン、ドロー!」

 

「カウンター罠、『強烈なはたき落とし』!今加えたカードを捨てさせる!」

 

先程とは打って変わって、今度は遊矢が有利な状況になった。流石の黒コナミもこれはショックだったのか顔を俯かせ、小刻みに震えている。

 

「……クッフッククッ……」

 

「おっおい、大丈夫か?」

 

そんな彼の様子に思わず眉を八の字にして心配し、声を掛ける遊矢。しかし。

 

「クッハハッハハッ、ハハハハハッ!ハーハッハッ!!面白いっ!最高だ!これだからデュエルはやめられない!ならば私も見せてやろうか?もっと面白いものを!!!」

 

 

口を歪め、天に向かい、高らかに笑う黒コナミ。『コナミ』が大声を上げ、笑うと言う異様な光景に思わず目を丸くする遊矢。だが、それだけではない。

 

「うっ……ぐぅっ!?」

 

ズキリ、と胸が激しく痛む。心臓がドクドクと脈打ち、熱い血流が全身を駆け巡る。まるで“自分が自分でなくなってしまうような痛み”に顔を苦痛で歪める。そんな中、コナミが天に向かい、右手を翳す。一体何を――?と思った時、眩き黄金の光が黒コナミの右腕に集束する。目の前で起こる現実離れした光景。一体これは――?

 

「魔法カード――『ガガガドロー』!墓地の『ガガガ』モンスターを3体除外し、2枚ドローする!さぁ行くぞ!最強デュエリストのデュエルはすべて必然!ドローカードでさえもデュエリストが創造する!」

 

圧倒的な力の奔流。その全てが今、黒コナミのデッキを包み込む。

 

「全ての光よ!力よ!我が右腕に宿り、希望の光を照らせ!」

 

ズキズキと痛みが更に激しくなる。心臓が早鐘を鳴らす。意識が、遠くなる。

 

「シャイニングドロー!!」

 

視界が黄金の光に包まれた瞬間、遊矢の意識は暗い闇に堕ちた。

 

 

 




コナミ「看板奪うンゴ」

黒コナミ「魂狩るンゴ」

ぶれない。

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