遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

164 / 202
コナミ「……」

遊矢「ゲーム新作情報が出てから凄いコッチ見て来る……」

沢渡「リンクス次元に帰ろうね」


第159話 奴をデュエルで拘束せよ!

シティ、地下。フレンドシップカップで敗北したメンバーも集う場にて、喧騒に包まれる中――3人の男が、対峙していた。

1人はコモンズの青年、チーム革命軍のメンバーにしてリーダー、青い髪を跳ねさせ、ライダースーツを纏ったシンジ・ウェーバー。もう1人は奇襲、多対1と様々な状況で立ち回れ、経験も豊富、赤いスカーフにコート、猛禽を思わせる鋭い目付きが特徴的な青年、黒咲 隼。

そして――2人と相対するのは、1人の男。金髪にアメジストの瞳、ボロボロになった白いコートを纏い、元の彼からは想像もつかない程、死んだ気配を漂わせ、王者の仮面を剥がされた、ジャック・アトラス。このシティでは、誰もがその実力者を認めるデュエルキング――だった男だ。

 

「おーいシンジ!脱出経路を確保出来たぞー!」

 

「……黒咲、お前達は先に行ってろ」

 

「……良いのか?」

 

「お前達には役目があんだろ。俺は……ワリィが、こいつに用がある」

 

ジッ、目を逸らさずに、真っ直ぐとジャックを睨むシンジ。その瞳には、揺るぎない意志が見える。誰が相手だろうと、一歩も退かない、彼らしい覚悟が。

 

「俺もついてるから、ここは任せて先に行きな」

 

「クロウ……分かった……恩に着る!」

 

シンジの親友、オレンジの髪をヘアバンドで留めた青年、クロウもシンジに加勢し、隼を促す。確かに、ここにいても彼に出来る事はない。ここは彼等に任せるべきだろう。ダッ、とその場から駆け、ランサーズメンバーを引き連れて地上へと出る。残されたのは、3人。シンジとクロウ、そしてジャックだ。

 

「さて……まずは自己紹介といこうか、俺はシンジ・ウェーバー。こいつはクロウ・ホーガンってんだ」

 

「……クロウ・ホーガン……?」

 

ピクリ、クロウを見て、死んでいたジャックの眼に僅かに光が灯り、反応を見せるが――直ぐにまた元通りに戻ってしまう。一体何が彼に起こったのか、それに、彼は地上にいる筈だが。

 

「で……だ、キング、ジャック・アトラス。何でアンタがここにいる?」

 

ギロリ、下手な嘘は許さないと言わんばかりの眼光をジャックに向けるシンジ。それもそうだろう、シンジはこのジャックの事を余り良く思っていないのだ。

 

「キング……ジャック・アトラスか――俺は……何者なんだろうな……」

 

「……何?」

 

虚空を見つめ、自虐するように薄く、乾いた笑みを浮かべるジャック。その姿はやはり、彼の知るジャックとはかけ離れていて、どうしても苛立って、頭に血が上ってしまう。

 

「どう言う意味だ……!それに俺は聞いてんだよ、何で地上にいる筈のテメェがここにいるかを!」

 

「地上……ああ、そうか、と言う事は、あの男は上手くやっているのか……クク、本当に、俺と言う存在をとことん否定してくれる……」

 

「あん?」

 

「……良いだろう、教えてやる。フレンドシップカップ、榊 遊矢と俺のデュエルが終わった後にあった出来事を……」

 

訝しむシンジとクロウを見て、ジャックは語り出す。ジャック・アトラスが、ジャック・アトラスで無くなったあの時の事を。

 

――――――

 

一方、同じ地下では、2人の男が対峙していた。

1人はセキュリティに所属し、敗北した事でロジェより切り捨てられた男、デュエルチェイサー227。尤も、最早そのコードネームは意味の無いものだが。

もう1人は短髪に黒い肌、個性的な金のサングラスが特徴であり、白いスーツを着た男、ロジェの部下であり、彼側につく自称プロモーターのギャラガーだ。

 

ギャラガーは彼を見逃さない為、見せしめの為に。227は自らの信じる正義の為に。信念を賭けてぶつかり合う。

ギャラガーのデッキは禁止カードデッキらしいが――本来禁止カードはデュエルディスクの機能が反応しないようになっている筈。例えセキュリティの旧型のディスクでも禁止カード1枚が限界、それも処理が不安定になる為、廃棄されたのだが――考えても仕方無い。227は先攻を取り、5枚のカードを引き抜く。

 

「俺のターン、俺は永続魔法、『補給部隊』を発動。『ジュッテ・ナイト』を召喚!」

 

ジュッテ・ナイト 攻撃力700

 

現れたのは彼のデッキにとって代表的なチューナーモンスター。髷に眼鏡、十手に着物、背には提灯を負った役人がモチーフのモンスター。特に秀でた効果は無いが、『ゴヨウ』モンスターをサポートする役割を持っている。

 

「そして『キリビ・レディ』を特殊召喚!」

 

キリビ・レディ 守備力100

 

次は戦士族の存在をトリガーに特殊召喚が可能なレベル1のカード。頭巾にタラコ唇、火打ち石を持った少女のモンスターだ。『ジュッテ・ナイト』に並び、カチカチと火打ち石の音をフィールドで鳴らす。

レベル2のチューナーとレベル1の非チューナーが揃った。この状況で出すならばあのカードか。

 

「レベル1の『キリビ・レディ』に、レベル2の『ジュッテ・ナイト』をチューニング!お上の力を思い知れ!シンクロ召喚!現れろ!『ゴヨウ・ディフェンダー』!」

 

ゴヨウ・ディフェンダー 攻撃力1000

 

シンクロ召喚、『ジュッテ・ナイト』が光輝く2つのリングとなって弾け飛び、『キリビ・レディ』を包み込む。そして一筋の光の柱がリングごと『キリビ・レディ』を貫き、眩き閃光がフィールドを覆う。光を裂き、現れたのは卵のような形をしたモンスター。髷や着物に加え、歌舞伎化粧を施した岡っ引きを思わせるシンクロモンスターがフィールドで大手を振るう。

 

「『ゴヨウ・ディフェンダー』の効果!エクストラデッキの2体目の『ゴヨウ・ディフェンダー』を呼ぶ!」

 

ゴヨウ・ディフェンダー 攻撃力1000

 

「そして2体目の効果も使う!」

 

ゴヨウ・ディフェンダー 攻撃力1000

 

これで『ゴヨウ・ディフェンダー』が3体、このカードが攻撃対象になった場合、他の地属性、戦士族のシンクロモンスターの数×1000攻撃力をアップする。3体で攻撃力3000、防御としては充分な盾が出来上がった。

 

「カードを2枚セット、ターンエンドだ」

 

デュエルチェイサー227 LP4000

フィールド『ゴヨウ・ディフェンダー』(攻撃表示)×3

『補給部隊』セット1

手札0

 

「俺のターン、ドロー!さぁ、見せてやるよ!このデッキと改造ディスクの力を!速攻魔法、『魔導書の神判』!このカードを発動したターンのエンドフェイズ、俺様はこのカードの発動後に、互いに発動した魔法カード、の数まで、このカード以外の『魔導書』をサーチする。そしてその後、手札に加えたカードの枚数以下のレベルの魔法使い族を特殊召喚……って……お、俺このカード以外の『魔導書』なんて入れてねぇぞ!」

 

「……ハァ?」

 

まさかのデッキ構築時点でのミスに呆れる227。この男――まさか本当に、禁止カードしかデッキに入れてないと言うのか。それとも――デュエルディスクが禁止カードしか認識しないのか。ギャラガーが考えなしに禁止カードを投入したと言うのも大きいか。禁止カード=強いと言うデュエル素人だったらしい。勝機はある。

 

「く、くそっ!まだだ!まだカードはあるんだよ!永続魔法、『生還の宝札』と『マスドライバー』を発動!そしてモンスターの代わりに、この2枚の永続魔法をリリースし、アドバンス召喚!『真竜剣皇マスターP』!」

 

真竜剣皇マスターP 攻撃力2950

 

2枚の魔法カードを捧げ、現れたのは白く輝く竜の剣士。雄々しい翼を広げ、美しく煌めく剣を振るう勇敢なモンスターだ。攻撃力は2950。効果も禁止カードだけあり強力であるが――。

 

「折角の『生還の宝札』と『マスドライバー』をこんな風に使うとは……」

 

驚くべきは彼が消費したカード。このモンスターを召喚するまでに、このカードも含め、既に4枚のカードを使っている。内1枚は無駄打ち。2枚は他のデッキであれば1ターンキルに使えるポテンシャルを持っている。やはり素人か、戦術が豪快にも程がある。227が思わずもったいないと考えてしまうのも無理は無い。

しかし不思議なものだ。デュエルディスクが4枚もの禁止カードを認識してしまっている。やはりこれは――。

 

「マスターPはリリースしたカードと同じ種類のカード効果を受けない!リリースしたのは魔法カード、よって魔法カードの効果を受けない。更に、1ターンに1度、墓地の永続魔法、永続罠を除外し、このカード以外のフィールドのカードを破壊可能!『生還の宝札』を除外、『ゴヨウ・ディフェンダー』を破壊!」

 

「『補給部隊』の効果でドロー!」

 

デュエルチェイサー227 手札0→1

 

「バトルだ!マスターPで『ゴヨウ・ディフェンダー』へ攻撃!」

 

「罠発動!『聖なるバリアーミラーフォースー』!マスターPを破壊!」

 

「ぐぬっ、俺はカードを2枚セット、ターンエンド!」

 

ギャラガー LP4000

フィールド

セット2

手札0

 

「俺のターン、ドロー!どうやらデッキが強くても、お前自身は大した事が無いらしいな!」

 

「うるせぇ!負け犬が上等な口開いてんじゃねぇぞ!罠発動!『第六感』!」

 

「何ィ!?」

 

ギャラガーが発動した罠を見て、227がギョッとして額から汗を流す。このカードは禁止カードの中でも凶悪極まりないカード、その効果は――。

 

「俺はサイコロの目を2つ宣言し、相手がサイコロを振り、宣言した数字が出た場合、その枚数をドロー!外れた場合、出た目の数だけデッキトップからカードを墓地に送る!」

 

当たれば大儲け、当たらなくても大儲け。とんでもないパワーカード。これ程までに分かりやすい強さ、正しく禁止カードの相応しい。ニヤリと笑みを浮かべるギャラガー。227のフィールドに、ソリッドビジョンで構成されたサイコロが落ちる。

 

「おれば5と6を宣言!さぁ、サイを振りな!」

 

「くっ――インチキカードも大概にしろ……お前はそれでもデュエリストか!」

 

「リアリストだ!ヒャハハハハ!」

 

恥も外聞も捨てた、ルールを守らない無法者、リアリスト、ギャラガー。ここまで清々しいルールブレイカーを見るのは227とて初めてだ。例えどんなに卑劣なデュエリストだろうと、デュエリストである限り、ルールの範囲内で相手を倒すと言う誇りを持っているのに――この男は、デュエルをとことんバカにしているのか、通じない。

 

「さぁて、何が出るかな?何が出るかな~?」

 

「この……!」

 

ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべ、227の反応を楽しむギャラガー。こうなってはデュエルでこの男を倒す他ない。苛立ちを抑え、歯噛みしながら227はサイコロを回転させる。結果は――6、最悪だ。

 

「ハハハハハッ!デケェ口叩いた割にはお前の運、大した事ないねぇ、お疲れさん!ありがたぁく6枚、ドローさせてもらうぜ!」

 

ギャラガー 手札0→6

 

一気に6枚のドローブースト。辛い所だが、相手のデッキは禁止カードのみで構成されている。テーマもバラバラで、禁止カードには防御カードが少なかった筈だ。そこを叩く。

 

「……だがおかしいな、何故お前のデュエルディスク、ここまで禁止カードに反応している?」

 

「あぁん?……どうやら頭は悪くねぇようだな……へへ、特別に教えてやんよ。デュエルディスクが禁止カードなら反応を見せず、制限カードならサルベージを行わねぇ限り、対応しねぇのは知ってるか?」

 

そう――デュエルディスクは、レギュレーションの更新の都度、自動的にアップデートされ、禁止カードには無反応や引っ掛かったりする。例え改造しても、処理が滅茶苦茶になってしまうのだ。ある例外を除く限りは。

 

「ああ……旧型のセキュリティ、デュエルディスク以外がそうなのはな」

 

「クク、気づいたか……」

 

昔――セキュリティは凶悪犯罪者をデュエルで拘束するにあたり、1つの策を編み出した。それが、旧型のセキュリティディスク、つまり、禁止カードに対応したディスクだ。無論製作は困難を極め、結果的に、1枚の禁止カードを処理させる、と言う一点に無理矢理改造する事で成功した。

 

ただし、そのディスクは新型ディスク、マスタールール3に対応したディスクには適応出来ず、処理も不安定になる事から廃棄されたのだ。

 

「お前の読み通り、これほ旧セキュリティディスクを魔改造し、奇跡的に成功した偶然の産物、ま、代わりとして禁止カード以外に対応出来なくなっちまったがな。お偉いさんが言うには、禁止カードとそれ以外のカードが、このディスクでは入れ替わってる形に近いらしい」

 

成程、それならば辻褄が合う。納得出来るものではないが。奇跡的と言う辺り、複製はきかないのだろうが――こんな違法ディスク、認める訳にはいかい。それも大元がセキュリティが撒いた種なら放って置けない。

 

「やはり貴様を見逃す訳にはいかない……ギャラガー!貴様を違法ディスクの使用により、デュエルで拘束させてもらう!」

 

「ハッ、出来るもんならやってみな!負け犬が良く吠えるぜ!」

 

「ッ!俺は『ジュッテ・ナイト』を召喚!」

 

ジュッテ・ナイト 攻撃力700

 

「レベル3の『ゴヨウ・ディフェンダー』に、レベル2の『ジュッテ・ナイト』をチューニング!地獄の果てまで追い詰めよ!見よ!清廉なる魂!シンクロ召喚!出でよ、『ゴヨウ・チェイサー』!」

 

ゴヨウ・チェイサー 攻撃力1900→2200

 

現れたのはレベル5、髷に歌舞伎化粧、黒い着物を纏い、十手を持った『ゴヨウ』モンスターだ。攻撃力は2200、シンクロモンスターとしては少々頼りない数値ではある。

 

「バトルに入る!」

 

「おっと、この瞬間、永続罠、『血の代償』を発動!その効果を使うぜ!LPを500払い、『レベル・スティーラー』を召喚!」

 

ギャラガー LP4000→3500

 

レベル・スティーラー 攻撃力600

 

「『ゴヨウ・チェイサー』で『レベル・スティーラー』を攻撃!」

 

「まだまだ!『血の代償』の効果で2体目の『レベル・スティーラー』召喚!」

 

ギャラガー LP3500→3000

 

レベル・スティーラー 攻撃力600

 

フィールドに2体の背に星を浮かべたてんとう虫が並ぶ。レベル5以上のモンスターのレベルを1つ下げる事で容易に蘇生が可能となるモンスターだ。効果でのリリースが不可能の為、『マスドライバー』とのコンボは狙えないが、それでも汎用性が高く、小回りが効く。

 

「チッ、『ゴヨウ・チェイサー』で『レベル・スティーラー』へ――」

 

「一々悪いね、巻き戻して。これで最後だ!『血の代償』の効果で、2体の『レベル・スティーラー』をリリース!アドバンス召喚!『瀑征竜ータイダル』!」

 

ギャラガー LP3000→2500

 

瀑征竜ータイダル 攻撃力2600

 

そして――2体の『レベル・スティーラー』を糧に、デュエルモンスターズ史上、最凶のドラゴン族と呼ばれたカードの1枚が君臨する。

手を切られても、その猛威は止まらず。足を奪っても、衰えず。翼をもがれても、尚、欲深く。全てを封じ、漸く死を受け入れた禁断の力。古より転生を繰り返す脅威、その1つが解き放たれる。

フィールドが吹雪に覆われ、現れたのは水の力を司る、青いドラゴン。大自然そのものが命を宿したような圧倒的な存在に、227がゴクリと喉を鳴らす。

 

「ギャラガー……!貴様は何てものを解き放ってしまったんだ……!」

 

「ハッハー!どうだぁ?これが禁止カードの力だ!」

 

「攻め手がない……俺はディフェンダーを守備表示に変更、カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

デュエルチェイサー227 LP4000

フィールド『ゴヨウ・チェイサー』(攻撃表示)『ゴヨウ・ディフェンダー』(守備表示)

『補給部隊』セット2

手札0

 

「俺のターン、ドロー!手札の『嵐征竜ーテンペスト』の効果発動!同じく手札より、『ヴィクトリー・ドラゴン』と『焔征竜ーブラスター』を除外し、特殊召喚!」

 

嵐征竜ーテンペスト 攻撃力2400

 

吹き荒れる竜巻がギャラガーの手札より、2枚のカードを巻き上げ、復活の糧となる。竜巻が翼を、手足を、眼を、アギトを得て、現れたのは風がそのまま竜になったような存在。天空を司る征竜が今、タイダルに並び、227のフィールドを射抜く。

 

「そして除外されたブラスターの効果により、デッキから炎属性のドラゴン族モンスター、2枚目のブラスターを手札に!テンペストとタイダルのレベルを1つ下げ、墓地の『レベル・スティーラー』2体を蘇生!」

 

嵐征竜ーテンペスト レベル7→6

 

瀑征竜ータイダル レベル7→6

 

レベル・スティーラー 守備力0×2

 

「そして2体の『レベル・スティーラー』をリリース!アドバンス召喚!『焔征竜ーブラスター』!」

 

焔征竜ーブラスター 攻撃力2800

 

地からマグマが溢れ、2体の『レベル・スティーラー』を呑み込み、新たな征竜がフィールドに君臨する。赤黒い溶岩の鱗にマグマの血を流し、巨大な翼、鋭い爪、全てを食らわんとするアギトを兼ね備えた炎の征竜。タイダルとテンペストに並び、3体目の征竜が現れた。

 

「征竜が3体……!」

 

「バトルだぁ!ブラスターで『ゴヨウ・チェイサー』に攻撃!」

 

デュエルチェイサー227 LP4000→3100

 

ブラスターが大気中の熱をアギトに集め、火球を作り出して『ゴヨウ・チェイサー』へ撃ち出す。『ゴヨウ・チェイサー』も十手で何とか防ごうとするが、余りの高熱に十手が溶け、『ゴヨウ・チェイサー』を呑み込んでしまう。

 

「ぐっ……罠発動!『運命の発掘』!『補給部隊』と合わせ、2枚ドロー!」

 

デュエルチェイサー227 手札0→1→2

 

「タイダルでディフェンダーへ攻撃、テンペストでダイレクトアタック!」

 

「罠発動!『リジェクト・リボーン』!バトルを中断させ、墓地の『ゴヨウ・チェイサー』と『ジュッテ・ナイト』を蘇生する!」

 

ゴヨウ・チェイサー 攻撃力1900

 

ジュッテ・ナイト 守備力900

 

「堪えるじゃねぇか、俺様はカードをセット、ターンエンドだ」

 

ギャラガー LP2500

フィールド『焔征竜ーブラスター』(攻撃表示)『瀑征竜ータイダル』(攻撃表示)『嵐征竜ーテンペスト』(攻撃表示)

『血の代償』セット1

手札0

 

「俺のターン、ドロー!」

 

「罠発動!『第六感』!5と6を宣言、おっと5だ」

 

ギャラガー 手札0→5

 

「俺はレベル5の『ゴヨウ・チェイサー』に、レベル2の『ジュッテ・ナイト』をチューニング!縺れた疑惑の黒い霧、切り裂きて真実を解き明かさん!シンクロ召喚!『スナイピング・ヘイジータイプ0』!」

 

スナイピング・ヘイジータイプ0 攻撃力2400

 

ここで現れたのは『ゴヨウ』モンスターとはまた違った、地属性、戦士族のシンクロモンスター。尤も、その姿は右腕に小銭を弾丸のように撃ち出す手甲、左手には十手を持った岡っ引きと言った近しいものだが。歌舞伎化粧があるかないかの違いだろうか。

 

「手札1枚を墓地に送り、ヘイジの効果発動!ブラスターを破壊し、400のダメージを与える!」

 

ギャラガー LP2500→2100

 

「装備魔法、『アサルト・アーマー』をヘイジに装備、攻撃力を300アップする」

 

スナイピング・ヘイジータイプ0 攻撃力2400→2700

 

「バトルだ!ヘイジでテンペストに攻撃!」

 

ギャラガー LP2100→1800

 

今度は227が攻める番だ。ヘイジが右腕の手甲を構え、小銭を撃ち出してテンペストを牽制、注意を引き付けた所で十手で叩き伏せる。征竜モンスター特殊召喚されればこちらのターン終了と共に手札に戻る。そうなれば次のターンも特殊召喚され、コストとなった征竜の効果で新たな征竜をサーチ、『レベル・スティーラー』をリリースして2体以上の征竜が並ぶ。それをさせない為、ここで叩くしかない。

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

デュエルチェイサー227 LP3100

フィールド『スナイピング・ヘイジータイプ0』(攻撃表示)

『アサルト・アーマー』『補給部隊』セット1

手札0

 

「俺のターン、ドロー!永続魔法、『悪夢の蜃気楼』を発動!」

 

「くっ……!」

 

「フハハッ!こっちは幾らでも補給が効くんだよ。タイダルのレベルを2つ下げ、2体の『レベル・スティーラー』を蘇生する!」

 

瀑征竜ータイダル レベル6→5→4

 

レベル・スティーラー 守備力0×2

 

「フィールド魔法、『ドラゴニックD』を発動!フィールドのタイダルを破壊し、デッキより『真竜剣皇マスターP』をサーチ!スティーラーと蜃気楼をリリースし、アドバンス召喚!『真竜剣皇マスターP』!」

 

真竜剣皇マスターP 攻撃力2950

 

「『悪夢の蜃気楼』を除外し、効果発動!セットカードを破壊!」

 

「速攻魔法、『神秘の中華なべ』!ヘイジをリリースし、LPを回復!」

 

デュエルチェイサー227 LP3100→5800

 

「そしてフィールドを離れたヘイジの効果でシンクロ素材を蘇生!」

 

ゴヨウ・チェイサー 守備力1000

 

ジュッテ・ナイト 守備力900

 

「墓地のブラスターの効果!墓地のタイダルとテンペストを除外し、蘇生する!」

 

焔征竜ーブラスター 攻撃力2800

 

「除外されたテンペストとタイダルの効果!デッキから2枚目のタイダルとテンペストをサーチ!ブラスターのレベルを下げ、『レベル・スティーラー』を蘇生!」

 

焔征竜ーブラスター レベル7→6

 

レベル・スティーラー 守備力0

 

「2体の『レベル・スティーラー』をリリースし、アドバンス召喚!『瀑征竜ータイダル』!」

 

瀑征竜ータイダル 攻撃力2600

 

「まだまだ行くぜ!ブラスターとタイダルのレベルをダウン、『レベル・スティーラー』!」

 

焔征竜ーブラスター レベル6→5

 

瀑征竜ータイダル レベル7→6

 

レベル・スティーラー 守備力0×2

 

「『血の代償』の効果!2体の『レベル・スティーラー』をリリースし、アドバンス召喚!『嵐征竜ーテンペスト』!」

 

ギャラガー LP1800→1300

 

嵐征竜ーテンペスト 攻撃力2400

 

これぞ禁止カードの力、圧倒的なカードパワーを振るい、4体の大型モンスターがフィールドに揃う。これは少々どころではなく、厄介な事になって来た。

 

「装備魔法、『強奪』を発動!『ゴヨウ・チェイサー』に装備し、コントロールを得る!」

 

「くっ……!」

 

『ゴヨウ』モンスターを『強奪』するとは、皮肉なものだ。

 

「バトル!タイダルで『ジュッテ・ナイト』へ攻撃!」

 

「『補給部隊』の効果でドロー!」

 

デュエルチェイサー227 手札0→1

 

「マスターPでダイレクトアタック!」

 

「墓地の『光の護封霊剣』を除外し、ダイレクトアタックを封じる!」

 

「カードをセット、ターンエンドだ」

 

ギャラガー LP800

フィールド『真竜剣皇マスターP』(攻撃表示)『焔征竜ーブラスター』(攻撃表示)『瀑征竜ータイダル』(攻撃表示)『嵐征竜ーテンペスト』(攻撃表示)『ゴヨウ・チェイサー』(守備表示)

『強奪』『血の代償』セット1

『ドラゴニックD』

手札2

 

「俺のターン、ドロー!」

 

「このスタンバイフェィズ、お前は『強奪』の効果で1000回復する」

 

デュエルチェイサー227 LP5800→6800

 

「これでは……カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

「マスターPの効果発動!『マスドライバー』をコストにセットカードを破壊、そしてブラスターは手札に戻る」

 

デュエルチェイサー227 LP6800

フィールド

『補給部隊』

手札1

 

「『ゴヨウ・チェイサー』のレベルを下げ、『レベル・スティーラー』を蘇生する!」

 

「手札の『増殖するG』を捨て、効果発動!相手が特殊召喚する度ドロー!」

 

ゴヨウ・チェイサー レベル5→4

 

レベル・スティーラー 守備力0

 

デュエルチェイサー227 手札0→1

 

「『ドラゴニックD』の効果で『レベル・スティーラー』を破壊し、最後のマスターPをサーチ、そしてテンペストとタイダルをリリース、アドバンス召喚!」

 

真竜剣皇マスターP 攻撃力2950→3250

 

「そしてテンペストとタイダルを除外し、手札の『焔征竜ーブラスター』を特殊召喚!」

 

焔征竜ーブラスター 攻撃力2800

 

デュエルチェイサー227 手札1→2

 

「除外されたタイダルとテンペストの効果で3枚目のタイダルとテンペストをサーチ!バトルだ!マスターPでダイレクトアタック!」

 

「手札の『バトルフェーダー』の効果発動!このカードを特殊召喚し、バトルを終了する!」

 

バトルフェーダー 守備力0

 

「チ、ターンエンドだ」

 

ギャラガー LP800

フィールド『真竜剣皇マスターP』(攻撃表示)×2『焔征竜ーブラスター』(攻撃表示)『ゴヨウ・チェイサー』(守備表示)

『強奪』『血の代償』セット1

『ドラゴニックD』

手札5

 

「俺のターン、ドロー!」

 

デュエルチェイサー227 LP6800→7800

 

何かがおかしい。先程のターン、再び『レベル・スティーラー』を展開し、『ゴヨウ・チェイサー』と共にリリースすれば、更に征竜を呼べたのだが――何故、『強奪』で手に入れた『ゴヨウ・チェイサー』を処理しなかったのか、放置してもデメリットにしかならない筈。単なるプレイングミスか?ギャラガーは素人だ。充分にあり得るが。

 

「カードをセット、魔法カード、『命削りの宝札』!3枚ドロー!」

 

デュエルチェイサー227 手札0→3

 

「『バトルフェーダー』をリリースし、モンスターをセット、カードを1枚セット、ターンエンドだ!宝札の効果で手札を1枚捨てる」

 

「ブラスターの効果で手札に戻る」

 

デュエルチェイサー LP7500

フィールド セットモンスター

『補給部隊』セット2

手札0

 

「俺様のターン、ドロー!手札の『ヴィクトリー・ドラゴン』とブラスターを除外し、来い、『瀑征竜ータイダル』!」

 

瀑征竜ータイダル 攻撃力2600

 

「除外されたブラスターの効果で3枚目のブラスターをサーチ、バトルだ!タイダルでセットモンスターへ攻撃!」

 

「永続罠、『強制終了』!セットモンスターを墓地へ送り、バトルを終了!更に墓地に送られた『タン・ツイスター』の効果で2枚ドロー!」

 

デュエルチェイサー227 手札0→2

 

「このやろ……ターンエンドだ」

 

ギャラガー LP800

フィールド『真竜剣皇マスターP』(攻撃表示)×2『瀑征竜ータイダル』(攻撃表示)『ゴヨウ・チェイサー』(守備表示)

『強奪』『血の代償』セット1

『ドラゴニックD』

手札5

 

「俺のターン、ドロー!」

 

デュエルチェイサー227 LP7800→8800

 

「『ジュッテ・ロード』を召喚!

 

ジュッテ・ロード 攻撃力1600

 

「効果で『ジュッテ・ナイト』を特殊召喚!」

 

ジュッテ・ナイト 守備力900

 

「レベル4の『ジュッテ・ロード』に、レベル2の『ジュッテ・ナイト』をチューニング!シンクロ召喚!『ゴヨウ・ガーディアン』!!」

 

ゴヨウ・ガーディアン 攻撃力2800

 

現れたのは『ゴヨウ』モンスターの代表格、元祖『ゴヨウ』となった『ゴヨウ・ガーディアン』だ。髷に歌舞伎化粧、着物を纏い、十手を握った岡っ引きのモンスター。元禁止カードでもあり、脱獄したギャラガーのモンスターを目にした途端、やる気になったのか、縄付き十手をグルグルと回す。

 

「バトル!『ゴヨウ・ガーディアン』でタイダルへ攻撃!ゴヨウ・ラリアット!」

 

「『血の代償』の効果!『ゴヨウ・チェイサー』とタイダルをリリース、アドバンス召喚!『焔征竜ーブラスター』!」

 

「ここでか……!」

 

ギャラガー LP800→300

 

焔征竜ーブラスター 攻撃力2800

 

「バトルを中断、カードを1枚セット、ターンエンド」

 

「罠発動!『ライフチェンジャー』!」

 

「なっ、この為だったのか……!」

 

発動された罠に、227が目を見開く。これこそがギャラガーの狙い。互いのLPに8000以上の差がある場合、強制的に3000にするカード、『チキンレース』等のカード、そしてバーンデッキではキーカードとなっており、1枚だけでも決着弾となれる為に禁止カードになった経歴を持つ。このカードの発動条件を満たす為、『強奪』を残し続けていたのだ。

 

ギャラガー LP300→3000

 

デュエルチェイサー227 LP8800→3000

 

「所詮、負け犬は負け犬よぉ」

 

「くそっ……!」

 

デュエルチェイサー227 LP3000

フィールド『ゴヨウ・ガーディアン』(攻撃表示)

『補給部隊』『強制終了』セット2

手札0

 

これでLPは互角、とは言え、状況としては227の不利だ。彼には強力な『ゴヨウ・ガーディアン』が存在するが、それはギャラガーも同じ。

『ゴヨウ・ガーディアン』と同等の攻撃力を持った『焔征竜ーブラスター』に加え、『ゴヨウ・ガーディアン』を超える『真竜剣皇マスターP』が2体、しかも内1体はフィールド魔法、『ドラゴニックD』の効果で攻撃力アップと1ターンに1度の戦闘耐性を持っている。他にはこちらのターンにも召喚権を得る『血の代償』。やはり禁止カードのオンパレードとだけあって、カードパワーはギャラガーが上。このままではじり貧だ。どうすればこの状況を抜け出し、彼を倒す手を生み出せるのか――227は必死で頭を働かせる。

 

「それでも――俺は勝つ!」

 

「ヒャハハハハ!無駄無駄ぁ!負け犬が俺に勝てると思うなよぉ!」

 

立ち塞がる禁断の力達。正義の刃は、彼の喉元に届くのか――。




ちなみに禁止カードをユベル等が使う場合、異物扱いとなり使用不可能になります。コピーカードは精巧なもの以外は反応しません。
プラシドは精巧な形で作り出し、その上でラーの翼神竜のコピーと同じ、神の怒りに触れる形でデュエルエナジーを発生、このシステムを利用して地縛神を製作しました。尤もモノホンには大きく劣りますが。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。