遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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特撮版グリッドマンが再放送ですってよ。アニメ化の影響もあり時代が追いついたなぁ、と思います。これ映画化とかするんじゃなかろうか。


第161話 検診の時間よ~

融合次元、アカデミア。幹部の1人である男の研究室で、部屋の主、やや後退した白髪に不健康な顔色、目の下の深い隈が特徴的なマッドサイエンティスト、ドクトルがモニターを見つめ、不気味な笑みを浮かべていた。

 

モニターに写し出されているのはアカデミアが誇る新たな精鋭部隊、学園軍隊ビッグ5とその敵、アカデミアに対抗する勢力、ランサーズの姿。

 

実はこのビッグ5が持つ装備、彼が作り出したものなのだ。このモニターに写し出された光景も、彼等の仮面に搭載されたカメラを通してのものだ。今回も実戦での運用を試す為に観察を行っている。

 

「……何コレ」

 

「ん、おやおや、誰かと思えば君でしたか」

 

突然ドクトルの背後に人影が現れ、ジトリとした視線をモニターにぶつける。ドクトルの知り合いであるのか、彼も騒ぎ立てる事をせず、むしろ歓迎ムードである。

 

「アンタがプロフェッサーが呼んでるって言うから仕方無く上がって来たんだろ。で、これは……オベリスク・フォース……にしてはカラフルだけど」

 

「クフフ、良くぞ聞いてくれました。彼等は対ランサーズ試験部隊、学園軍隊ビッグ5!彼等が装備したもの、所謂変身スーツはエクシーズ次元のナンバーズハンターと呼ばれるデュエリスト達の技術の一部を解析、応用したものなのですよ!マスクやデュエルディスクはリンクしていて、脳の発達を促進、並列思考と高速思考、更には戦略的思考を――」

 

「はいはい、ようするにお飾りじゃなく本当にデュエリストレベルをアップさせるアイテムって訳だ」

 

「クフフ、ええ、そして今回は彼等ランサーズに対してどこまで通用するか。シミュレーションでは完璧でしたが、彼等も成長しているでしょうし、デュエルはしてみなければ分かりません。通用したとしても、一定の水準を超えなければ開発する労力に見合わず、今まで通りの方がコストが良いでしょうしねぇ」

 

「ふぅん、ま、僕はランサーズなんてどうでも良いや」

 

ブツブツと呟くドクトルに対し、少年は呆れ返ったような、言葉通り興味無いとばかりに溜め息を吐く。それにしてもデュエリストレベルをアップさせるアイテムが変身スーツとは、ここは彼の趣味か、それとも元となったエクシーズ次元のものか、どちらにせよ、ふざけているとしか思えないものだ。

 

「何を言っているんですか、君がプロフェッサーに呼ばれたのも、ランサーズを倒す為でしょうに――ねぇ、ユーリ君?」

 

クルリと椅子を回転し、ドクトルが少年に向き直る。紫色の髪に、右眼に装着した眼帯、赤いマフラーと紫色の軍服、そう、彼の名はユーリ。地獄の底から生還し、渇望した力を手に入れた修羅。それが今、ランサーズへと牙を剥こうとしていた――。

 

――――――

 

一方、2人の話題に上がっているビッグ5は、それぞれランサーズメンバーを相手にデュエルを挑んでいた。まず、癒し系(笑)デュエリストこと、アカデミアピンクと、ランサーズの主力とも言える青年、黒咲 隼。

 

「ウフフッ、アタシの検診の時間はこれで終わり。さぁ、アナタのターンよ、隼ちゃん」

 

アカデミアピンク LP3800

フィールド『衛星兵マッスラー』(攻撃表示)×3

『シモッチによる副作用』

手札0

 

無駄にツヤツヤテカテカしたボディをくねらせ、アカデミアピンクがウフンと隼にウインクする。当然吐く隼。

とは言え現在有利なのはピンクの方だ。彼のフィールドには彼と似たモンスター、パッツンパッツンの衛星服を纏った男性、『衛星兵マッスラー』が存在し、このモンスターをサポートする『シモッチによる副作用』までもがある。しかもマッスラーは通常召喚されたモンスター。対特殊召喚モンスターである『RR』には少々荷が重い。

 

「隼ちゃん言うな!くっ、この……!」

 

「ウフフッ、もうっ、照れちゃて~可愛いゾ!でもでもアナタの『RR』じゃ、残念ながらアタシのホモッチバーンデッキを倒せないわ!」

 

キャピキャピと体をくねらせ、今までにない恐ろしい手で隼を攻めるピンク。ホモッチバーン、名前こそふざけているが脅威的なデッキだ。視覚的にも。だが――。

 

「それはどうかな?」

 

この程度で、反逆のハヤブサの翼は縛られない。

 

「……あっちは大変そうだなぁ、良かった。俺の相手、あいつじゃなくて」

 

彼等のデュエルを遠巻きに見るのは沢渡 シンゴ。彼はクネクネヌルヌル動くピンクを見ながら、心底良かったと安堵する。

そんな彼の相手は、緑のスーツを纏ったデータデュエリスト、アカデミアグリーン。彼はヒョロリとした手で仮面の上に装着されたスカウターをクイッ、と掛け直す。

 

「フッ、他人の心配をする余裕があるのか?君のデュエリストレベルはたった4、僕に勝てる確率は2%に過ぎない。それは何故か?僕が君達のデッキを研究し、ペンデュラム対策をしたこのデッキが相手だからだぁ!フッフッフッハーッハッハァ!ターン、エンドぉ!」

 

額に手を当て、高らかな哄笑を上げ、得意気に胸を反らす。そんな彼の気になる布陣は――。

 

アカデミアグリーン LP2700

フィールド『ダーク・シムルグ』(攻撃表示)

『魔封じの芳香』

手札2

 

グリーンのフィールドに存在するのはカードのセットを封じる黒翼の巨神鳥と、魔法カードをセットしなければ発動不可能にする『魔封じの芳香』。この2枚のコンボにより、実質魔法、罠を封じられ、彼が得意とするペンデュラムまでも束縛されている。成程、確かに対策としては正解、厄介なものだ。

 

「このデッキならば榊 遊矢を倒す事も容易い!フハハハハ!ハハハハハ!」

 

「……あぁん?」

 

ピクリ、グリーンが放った一言に、沢渡の眉が動き、剣呑な雰囲気となる。このデッキなら、遊矢に勝てる?この男は――本当にそんな事を考えているのか。

 

「ハッ、笑わせんなクソザコナメクジが。お前が遊矢に勝てる可能性なんざ――0%だ」

 

残念ながら、それは不正解だと、沢渡は言い放った。

 

「フム、どうやらあちらは心配無用らしい」

 

そして黄金の騎士甲冑を纏い、アカデミアとはまた違った盾型のデュエルディスクを構えるのは、シンクロ次元のデュエリストにして、義によってランサーズ入りを果たしたジル・ド・ランスボウ。装備魔法である『聖剣』に選ばれし『聖騎士』を操るデュエリスト。

対する相手は、暴飲暴食を繰り返し、肥満体型となった大食いデュエリスト、アカデミアイエロー。その手にカードとカレーライスを持ち、モシャモシャと食べながらターンを終える。

 

「オイラはカードを1枚セットし、ターンエンド。デュエルもカレーも上手く進むんだな!」

 

アカデミアイエロー LP2500

フィールド『ジャイアント・オーク』(攻撃表示)『遅すぎたオーク』(攻撃表示)『ゴブリン突撃部隊』(攻撃表示)『ゴブリンエリート部隊』(攻撃表示)

『スキルドレイン』『暴君の暴飲暴食』セット1

手札0

 

彼のフィールドに存在しているのは、攻撃力が高いものの、デメリット効果を持つ下級モンスター達。そしてデメリットを解消する『スキルドレイン』と大型モンスターの特殊召喚を封じる『暴君の暴飲暴食』。現在、この醜悪なモンスター達により、ジルの『聖騎士』達は鎧を砕かれ、誇り高きプライドを汚され、蹂躙(意味深)されている。だが――。

 

「例えこの身体がどれだけ傷つき、汚されても、この心までも屈しない!」

 

何故だろうか、頼もしい台詞にも関わらず、この面子相手だと、とても不安になる。

 

「クックック……どうやらお仲間達は揃ってピンチのようですねぇ。良いんですか?私相手に手こずっていて」

 

「安心しろ、奴等はこの程度で倒れる程やわではない。俺が不動でいられるのも、そのお蔭だ」

 

一方、こちらは防御こそが最大の攻撃、フルモンデッキと言う特徴的なデッキを使う、リーゼントと白い学ラン、応援団長のような出で立ちをした不動のデュエリスト、権現坂 昇。

その相手は青いスーツを纏ったトラップデュエリスト、アカデミアブルー。彼もまた、権現坂と似たデュエリストだ。

 

「つまらない反応ですねぇ……どこまでその余裕が続くか見物ですよ。ターンエンド」

 

そのデッキは――。

 

アカデミアブルー LP4000

フィールド『カース・オブ・スタチュー』(攻撃表示)『ソウル・オブ・スタチュー』(守備表示)『苦紋様の土像』(守備表示)『死霊ゾーマ』(攻撃表示)

『宮廷のしきたり』

手札5

 

罠カード一色、フルトラップとも言うべきとんでもないデッキだ。罠積みまくりなだけあり、恐るべき強固さを誇る為、デッキ傾向、防御力共に『超重武者』と似て非なる存在だ。重ねに重ねた罠は権現坂の道を阻み、苦戦を強いられている。だが――。

 

「言っただろう、俺は常に不動、勝利は、揺るぎはせん」

 

落ち着き払い、余裕を崩さずに不動を貫く権現坂。彼の意志は、揺るがない。

 

「ハハハハハ!どうしたどうした!もっと熱くなれよ!」

 

「舐めんな!この程度で俺が燃え尽きるかぁっ!」

 

最後はランサーズ1の熱血漢。カウンターパンチャー、アリトと、ビッグ5のリーダー、熱血デュエリスト、アカデミアレッド。

彼のデッキは――チェーンバーン。効果ダメージで一気に相手のLPを削り取る、究極の速攻デッキ。熱血と言う割には凄まじくえげつないデッキだ。アリトも何とかかわしてはいるが、息が荒くなっている。

 

「そうかぁ!なら堪えて見せろよ!俺はカードを5枚セット!ターンエンド!」

 

アカデミアレッド LP1600

フィールド

セット5

手札0

 

まるでガンマンのように5枚のカードをデュエルディスクに設置、アリトへ銃口を向けるレッド。フル充填、また嵐のような地獄のバーンがアリトに襲いかかろうとする。だが――。

 

「こんなもんで、俺からダウンは取れないぜ!」

 

彼の闘志まで、燃え尽きはしない。

 

――――――

 

シティで激しいデュエルが繰り広げられ、火花が散る中――ここでもまた、2人のデュエリストが対峙していた。1人はエンタメデュエリストを目指す、ランサーズメンバーの1人、榊 遊矢。そしてもう1人は――つばの欠けた黒い帽子を被り、首にヘッドフォンをかけ、白いマントを靡かせる少年、因縁の相手――黒コナミの姿。

彼は突如遊矢の目の前に現れ、先程まで遊矢とデュエルを行っていたオベリスク・フォースを踏みつけにしており、その事が遊矢を熱くさせる。

 

「その足をどけるんだ。例えアカデミアの人間でも、お前のしている事は間違っている」

 

「ん?ああ、何かと思えばオベリスク・フォースか。折角の再会なのに――邪魔だな」

 

「う……がはっ!?」

 

ドスリ、何を思ったかのか、それとも何も思っていないのか、黒コナミがまるで路傍の石に対するようにオベリスク・フォースの腹を蹴り、遊矢の傍まで滑らせる。

 

「ッ、お前……!」

 

これには流石の遊矢も苛立ち、声を荒げる。相手の姿がコナミと同じと言う事も相まってだ。目付きを鋭くする遊矢を見て、対する黒コナミは満足そうに笑みを浮かべる。

 

「そう、それで良い。あの時のお前と――私はデュエルをしたいんだ」

 

白いマントを風に靡かせ、黄金に輝くデュエルディスクを構える黒コナミ。どうやらこの男、遊矢が心優しい事を見抜き、態と他者を傷つけて怒りを引き出そうとしているらしい。彼が闘いたいのは遊矢であって遊矢でないと言う事か。まるでドラゴンボールのセルのような男である。

 

「ぐ……あ……」

 

「!大丈夫か、あんた……これ以上は危ない、あんたもボロボロなんだ。今すぐアカデミアに戻った方が良い」

 

呻き声を上げるオベリスク・フォースを見て、遊矢が心配して駆け寄り、彼を抱き起こす。黒コナミもそうだが、まずは傷ついた彼をどうにかしないといけない。アカデミアの人間とは言え、ボロボロの彼を放ってはおけない。例え敵でも、1度デュエルしたなら尚更だ。そんな彼の姿が不思議なのだろう、オベリスク・フォースも動揺を隠せない。

 

「何故だ……俺は敵の筈……放って置いても誰も文句は言わんと言うのに……」

 

「それでも俺とあんたは1度デュエルをした。なら少なからず絆がある筈だ。デュエルをしたから分かるよ。あんたもデュエルが好きなんだって。だったら放って置けない」

 

「また同じ過ちを繰り返すとしてもか?」

 

「その時は真っ先に俺の所に来い。何度だってデュエルをしよう。それでお前を変えてやる」

 

甘い考えかもしれないが、遊矢はその優しさを捨てたくなかった。確かに彼がこのまま反省せず、遊矢の見えない所で人々をカード化するかも知れないと言う恐怖もある。だけどそれでも信じたい。自分とのデュエルで、笑っていた彼が変わっている事を。そんな愚直な姿に――オベリスク・フォースは呆れたように乾いた笑みを浮かべる。

 

「お前は……馬鹿だな……良いだろう、次に貴様と闘うまで、俺は誰も傷つけない。敗者として、何よりこのデュエリストの誇りに賭けて、な」

 

彼は変わったのだろうか、変わったのだろう。大きな溜め息の後、敗北した事で転送装置が起動し、アカデミアへと帰還する。

 

「話は終わったか?なら早くデュエルを始めようか」

 

コキリ、首を鳴らしながら黒コナミが遊矢を急かす。待っていてくれるとは、彼も妙に律儀な所がある。

 

「待ってくれ、今はアカデミアを退けるのが先――」

 

「知らん、私にとってはお前と闘う方が優先事項だ」

 

「クッ……」

 

仕方無い、忙しい中だが、彼も倒さねばここを通してくれないだろう。覚悟を決め、遊矢はデュエルディスクを構える。

 

「ああ、相手になるよ。俺が――」

 

――俺が相手だ――

 

「へ……?」

 

しかし、運命の歯車はズレ動く。突如遊矢の脳裏に好戦的となった男の声が響き、彼の胸元のペンデュラムが光輝く。一体何が起こっているのか、考える間もなく遊矢の意識が遠くなり、プツリと身体とのリンクが切り離される。

目の前にあるのは、光に覆われる自分の身体。目を白黒させる間にも、光は格納されていき――両の眼から、黄金の輝きを放つ遊矢が、彼らしくない獰猛な笑みを口元に描く。

 

「……ふん、少々違和感があるが、まぁ良いだろう。さて、黒帽子のデュエリスト。お前がお望みなのは俺だろう?俺も、あの時のデュエルに納得している訳では無いんでな。少しの間、間借りする」

 

口調が180度変わり、不遜な態度の遊矢が黄金の眼で黒コナミを射抜く。そんな自分の姿を、背後から見つめる、半透明になった遊矢。彼はポカンとした表情を暫く続けた後、何とか正気に戻る。

 

『え……えええええっ!?なっ、何コレ!?どうなってんの!?何で俺が目の前にいるの!?何で半透明なの俺!?』

 

「うるさいぞ、うすのろ。静かにせんか、このたわけが」

 

悲鳴にも似た驚愕の声を上げる遊矢に対し、目の前の〟遊矢〝は両耳に指を突っ込み、半眼となってシャットアウトする。

 

『だっ……だって……って、うすのろ……?ま、まさかお前……』

 

目の前で自分の姿をした誰かの正体に見当がついたのか、指を差して目を見開く遊矢。そう、この男は恐らく、ジャックとのデュエル中、遊矢に助言をくれた、声の正体。

 

「漸く気がついたか、本当にうすのろだな。お前は……まぁ良い、それより名がないと不便だな……俺の事は取り敢えずティモシーとでも呼べ」

 

『ティモシー……?え、偽名?』

 

お茶目な所を見せる男だが、遊矢としては正体が気になって仕方無い。

 

「クク……フフフフフ……」

 

そんな中――眼前の黒コナミは、一体どうしたのか、肩を小刻みに震わせ、身体を抱くようにしている。

 

『……?』

 

「まさかお前の方から来てくれるとは……手間が省けた……!」

 

「ふん、貴様がどこまでやれるか……見物だな」

 

カチャリ、デュエルディスクを構え、光輝くソリッドビジョンのプレートを展開する2人。このティモシーと名乗る男の実力は未知数だが、黒コナミに簡単に負けるとは思えない。ゴクリ、緊迫した空気が漂う中、遊矢は喉を鳴らし、それを合図に――。

 

「「デュエル!!」」

 

激闘が、幕を上げる。フィールドが光の粒子に包まれ、アクションフィールド、『クロス・オーバー』へと変わる。

 

「まずは俺のターンだ。俺は『EMラフメイカー』と『EMゴムゴムートン』でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

先攻はティモシー。彼は2枚のカードをデュエルディスクの両端に設置し、背後に2本の柱を出現、その中にマジシャンと羊が現れ、天空に線を描いて魔方陣を作り出す。柱の中のモンスターは遊矢の豹変に動揺しているのか、気のせいか混乱しているような表情を浮かべている。

 

「揺れろ、魂のペンデュラム、天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!出でよ、我が僕のモンスター、『刻剣の魔術師』!」

 

刻剣の魔術師 攻撃力1400

 

魔方陣に孔が開き、中から一筋の閃光がフィールドに落ち、轟音を鳴らす。木々が風に揺れ、コンクリートの地面が僅かに悲鳴を上げる。閃光が晴れ、飛び出したのは剣を構えた少年『魔術師』。手に持った剣を振るい、空気を裂きながら宙に浮かぶ。

 

「『刻剣の魔術師』が手札からこのカード1体のみのペンデュラム召喚に成功した時、攻撃力は倍となる」

 

刻剣の魔術師 攻撃力1400→2800

 

「カードを2枚セット、ターンエンドだ」

 

榊 遊矢 LP4000

フィールド『刻剣の魔術師』(攻撃表示)

セット2

Pゾーン『EMラフメイカー』『EMゴムゴムートン』

手札0

 

出だしとしてはまずまずと言った所だろうか、本人としては不服そうに見えるが。攻撃力2800と言うのは一種の安心感がある。そしてターンは黒コナミへ移り、彼はデッキから1枚のカードを引き抜く。

 

「私のターン、ドロー!『ゴブリンドバーグ』を召喚!」

 

ゴブリンドバーグ 攻撃力1400

 

現れたのは玩具の飛行機に乗った『ゴブリン』だ。コンテナを吊るし、フィールドを旋回した後、着地する。

 

「召喚時、手札の『ゴゴゴゴーレム』を特殊召喚し、守備表示となる」

 

ゴゴゴゴーレム 守備力1500

 

次は卵体型に不釣り合いな程の巨大な腕を持ったゴーレム。彼のオノマトの中で『ゴゴゴ』の中心に存在するモンスターだ。このモンスターがコンテナに入っていたからか、『ゴブリンドバーグ』はふぅと行きを吐き、額から流れる汗を拭う。

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!『交響魔人マエストローク』!」

 

交響魔人マエストローク 攻撃力1800

 

黒コナミの目の前の地面に星々が散りばめられた渦が広がり、その中に『ゴゴゴゴーレム』と『ゴブリンドバーグ』が光となって飛び込む。そのまま渦は集束、爆発して1体のモンスターを生み出す。

羽根つきのハットに黒を基調とし、赤、金の線を走られた礼装、指揮棒のようなレイピアを携えた音楽隊を思わせるモンスターだ。遊矢が得意のペンデュラムを使うなら、こちらも得意のエクシーズで対抗、早速飛ばしてきた。

 

「マエストロークのORUを1つ取り除き、効果発動!『刻剣の魔術師』を裏側守備表示に変更する!」

 

「チッ」

 

「バトル!マエストロークで刻剣へ攻撃!」

 

「ゴムゴムートンのペンデュラム効果により、1ターンに1度の戦闘耐性を与える!」

 

セット状態の刻剣が姿を見せ、奇襲をかけて来たマエストロークのレイピアを剣で防ぐ。ガキン、と甲高い金属の音が響き渡る。厄介な効果だ。黒コナミは冷静に分析しながらメンイフェイズへと移る。

 

「『ガガガガンマン』ではなく、このカードを選んで正解だったか。カードを2枚セット、ターンエンドだ」

 

黒コナミ LP4000

フィールド『交響魔人マエストローク』(攻撃表示)

セット2

手札2

 

「俺のターン、ドロー!『EMシルバー・クロウ』を召喚!」

 

EMシルバー・クロウ 攻撃力1800

 

現れたのは鋭利に輝く爪を持った銀狼のカード、『EM』内では比較的扱いやすいアタッカーだ。

 

「刻剣の効果により、このカードとマエストロークを次の俺のスタンバイフェイズまで除外する」

 

「罠発動!『ブレイクスルー・スキル』!刻剣の効果を無効に!」

 

「やりおるわ、ならバトル!シルバー・クロウでマエストロークに攻撃!シルバー・クロウの効果により、『EM』の攻撃力を300アップ!」

 

EMシルバー・クロウ 攻撃力1800→2100

 

「マエストロークの第2の効果!このカードのORUを1つ取り除き、『魔人』エクシーズモンスターを破壊から守る!」

 

黒コナミ LP4000→3700

 

シルバー・クロウが地を駆け、鋭い爪を剥き出しにして肩口からマエストロークを切り裂く。破壊こそ出来なかったが、先制ダメージは取った。このままペースを掴む。

 

「戦闘ダメージを受けた事で、私は罠カード、『運命の発掘』を発動!1枚ドローする!」

 

黒コナミ 手札2→3

 

『あっちもただじゃ転んでくれないな……』

 

「ふん、良く分かっているではないか……奴め、黒咲と言う男やセルゲイと似た気配を感じる。俺としてはこちらの方が楽しめそうであるがな。ターンエンド」

 

榊 遊矢 LP4000

フィールド『EMシルバー・クロウ』(攻撃表示)『刻剣の魔術師』(攻撃表示)

セット2

Pゾーン『EMラフメイカー』『EMゴムゴムートン』

手札0

 

警戒を充分に、ターンを終了するティモシー。どうやらこの男、言葉遣いとは裏腹にかなり冷静なようだ。獣染みた好戦的な性格と勘の良さ、そして理知的な雰囲気を感じさせる。

 

「私のターン、ドロー!『ゴゴゴゴースト』を召喚!」

 

ゴゴゴゴースト 攻撃力1900

 

次は赤い鎧を纏った不定形の青い炎のモンスター。鋭い剣を振るい、切っ先を遊矢へと向ける。どうやらティモシーの背後にいる遊矢を同種と思っているようだ。

 

「バトル!マエストロークで刻剣へ攻撃!」

 

榊 遊矢 LP4000→3600

 

「罠発動、『運命の発掘』。1枚ドローする」

 

榊 遊矢 手札0→1

 

「ゴーストでシルバー・クロウを攻撃!」

 

「ゴムゴムートンのペンデュラム効果を使う」

 

榊 遊矢 LP3600→3500

 

マエストロークのレイピアが刻剣の剣を砕いて喉笛を貫き、ゴーストが剣を振るってシルバー・クロウに攻め立てる。押しては返す波のようなデュエル。

しかし妙なものだ。遊矢は違和感を感じ取る。黒コナミは白コナミと同等かそれ以上のデュエリストの筈だ。1度デュエルしたから、充分に理解している。ティモシーもまた、黒コナミに匹敵、または超える実力を感じさせる。だからこそ、今の普通のデュエルを行っている状況は嵐の前の静けさのようで、少々不気味だ。

 

「カードを1枚セット、ターンエンド」

 

黒コナミ LP3700

フィールド『交響魔人マエストローク』(攻撃表示)『ゴゴゴゴースト』(攻撃表示)

セット1

手札2

 

「俺のターン、ドロー!ペンデュラム召喚!『EMウィム・ウィッチ』!『刻剣の魔術師』!」

 

EMウィム・ウィッチ 守備力800

 

刻剣の魔術師 攻撃力1400

 

現れたのはピンク色の色っぽい猫と剣を構える少年『魔術師』。相変わらず静けさを感じさせる布陣だ。彼の性格的にもっと苛烈に攻め立てるものだと思っていたが――。

 

「ウィッチ・ウィッチはペンデュラムモンスターをアドバンス召喚する場合、2体分のリリース要員となれる。ウィム・ウィッチをリリース、アドバンス召喚!『降竜の魔術師』!」

 

降竜の魔術師 攻撃力2400

 

猫の魔法使いが退場し、次に現れたのは竜と交信する『魔術師』。三角帽に顔を覆う赤の包帯、青いコートを纏ったモンスターだ。こう見えて女性である。

 

「刻剣の効果により、マエストロークを除外!」

 

「チッ!」

 

「まだだ!俺は『降竜の魔術師』の効果により、このカードをドラゴン族に変更。そして闇属性、ドラゴン族のこのカードと獣族のシルバー・クロウをリリース、出でよ!野獣の眼光りし獰猛なる龍!『ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!」

 

ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力3000

 

ティモシーの背後に青とオレンジの渦が広がり、その中で降竜とシルバー・クロウが混じり合い、新たなモンスターとして生まれ変わる。獣骨の鎧を纏い、赤と緑、更に額に開いた獣の瞳から火花を散らす融合モンスター。ティモシーはフィールドに姿を見せたドラゴンに視線を移し、うっとりとした表情を浮かべる。

 

「クク、やはりドラゴンは良いものだ。『オッドアイズ』の美しさに荒々しさを加えたこの姿、中々に新鮮だな」

 

どごぞのドラゴン使いのような事をのたまうティモシー。どうやら彼はドラゴン族モンスターにこだわりがあるらしい。今までもその兆候があった為、遊矢はやはりと言う思いが強い。

 

「バトル!ビーストアイズでゴーストへ攻撃!ヘルダイブバースト!」

 

「罠発動!『ガード・ブロック』!ダメージを0にし、1枚ドロー!」

 

黒コナミ 手札1→2

 

「ビーストアイズの効果発動!貴様にこのカードの素材となった獣族モンスター、シルバー・クロウの攻撃力1800のダメージを与える!」

 

「ぐぅぅぅぅっ!?」

 

黒コナミ LP3700→1900

 

ビーストアイズがその鋭い牙が並ぶアギトに大気を集束、青い炎として発火、『ゴゴゴゴースト』へと放ち、霊魂をも燃やし尽くす。流石はドラゴンだ。生命の頂点に座したその力は伊達ではない。

 

「ターンエンド」

 

榊 遊矢 LP3500

フィールド『ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』(攻撃表示)

セット1

Pゾーン『EMラフメイカー』『EMゴムゴムートン』

手札0

 

「私のターン、ドロー!『ゴゴゴジャイアント』を召喚!」

 

ゴゴゴジャイアント 攻撃力2000

 

現れたのは塔が人型となったようなモンスターだ。下級モンスターにしては攻撃力が高く、効果が無くともアタッカーとして運用出来る。

 

「召喚時、墓地の『ゴゴゴゴースト』を守備表示で呼び、このカードを守備表示に変更する」

 

ゴゴゴゴースト 守備力0

 

「ゴーストが特殊召喚に成功した事で、墓地の『ゴゴゴゴーレム』を守備表示で特殊召喚する!」

 

ゴゴゴゴーレム 守備力1500

 

1体のモンスターから一気に2体の展開、これでレベル4のモンスターが3体、準備としては充分だ。

 

「相手フィールドにモンスターが存在し、私のフィールドに存在するモンスターが全てレベル4の場合、手札の『トラブルダイバー』は特殊召喚出来る!」

 

トラブルダイバー 守備力1000

 

『レベル4が4体も……!』

 

「これ位は朝飯前と言う事か。フッ、相手にとって不足はないな」

 

最後に呼び出されたのはシュノーケルとダイバースーツを纏った犬のモンスター。これでレベル4が4体。

 

「わたしは『ゴゴゴジャイアント』と『ゴゴゴゴーレム』の2体でオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!全てを捕まえろ!『ガガガガンマン』!」

 

ガガガガンマン 攻撃力1500

 

再びエクシーズ召喚、現れたのはカウボーイハットに赤いマント、両手に拳銃を握ったガンマン。攻撃力は高くないが、それでも充分な爆発力を秘めている。

 

「そして『ゴゴゴゴースト』と『トラブルダイバー』でオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!高貴なる戦士!『ガガガザムライ』!」

 

ガガガザムライ 攻撃力1900

 

次は黒髪を後ろで一括りにし、学ランの下に赤い着物と袴を纏い、美しい閃きを放つ刀を二振り握った侍。西洋と東洋、異なる『ガガガ』モンスターが並び立つ。

 

「魔法カード、『エクシーズ・ギフト』!2体のORUを1つずつ取り除き、2枚ドロー!」

 

黒コナミ 手札0→2

 

「速攻魔法、『サイクロン』!ゴムゴムートンを破壊!そして『ガガガガンマン』のORUを取り除き、効果を発動。そして『ガガガザムライ』もORUを取り除き、効果発動!このカードに2回攻撃権を与える!バトル!まずは『ガガガガンマン』でビーストアイズに攻撃!この瞬間、このカードの攻撃力を1000アップし、ビーストアイズの攻撃力を500ダウンする!」

 

ガガガガンマン 攻撃力1500→2500

 

ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力3000→2500

 

ビーストアイズが口内から青い炎を発射、ガンマンを牽制し、ガンマンは2丁の拳銃を乱射して攻める。ガンマンには強化が、ビーストアイズには弱体化がかけられている為、互角の闘い、互いの一撃がクリティカルヒットし、2体が同時に倒れ伏す。

 

『相撃ち……!』

 

「おのれ……俺のビーストアイズを……!」

 

『俺のなんだけど……』

 

「『ガガガザムライ』でダイレクトアタック!」

 

「罠発動!『カウンター・ゲート』!1枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札0→1

 

「引いたカードは『召喚僧サモンプリースト』!召喚する!」

 

召喚僧サモンプリースト 攻撃力800

 

『ガガガザムライ』が刀を振るうと共に突如彼を守るように僧侶が飛び出す。

 

「召喚後、守備表示に変更」

 

「攻撃続行!」

 

一撃目が防がれようと、返しの刃がサモンプリーストを切り裂く。状況は一変、黒コナミの有利になった。

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

黒コナミ LP1900

フィールド『ガガガザムライ』(攻撃表示)

セット1

手札0

 

ぶつかる覇王と皇、次元を超えし強者達。勝つのは、果たして。

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