遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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第171話 卒業デュエル

「ご苦労、後はこちらで何とかする」

 

『……何で君はそんなに偉そうなんだ……言っておくが僕の方が上官だぞ』

 

「フン、残念だったな、俺はアカデミアなど退職したわ」

 

『ノージョブじゃないか、全く勝ち誇れてないぞ万丈目』

 

「さん、だ!」

 

時は遡り、融合次元のとある街にて、万丈目はとある人物に連絡し、紫雲院 素良の事情と、その妹が入院していると言う病院を調査していた。

 

『全く、突然連絡しないでくれ、カモフラージュしているとは言え、君の名を見た時は心臓が飛び出しそうになったぞ……こっちは今忙しいんだ。切るぞ』

 

「うむ」

 

元上官……いや、現上官でもあるのか、男との連絡を終え、万丈目は頭をガシガシと掻き、目的地である病院を目指し、テクテクとのんびり歩き出す。その先で、意外な人物との再会が待っているとは知らずに。

 

――――――

 

「俺のターン、ドロー!」

 

スタンダード次元、ランサーズの一員、エンタメデュエリスト、榊 遊矢と融合次元、アカデミアの教導官、バレットのデュエルは未だ続く。

自らが生み出した武器、ペンデュラムを展開の起点にし、融合、シンクロ、エクシーズと多くの引き出しから予想外の手で攻める遊矢に対し、バレットは常に冷静だ。こちらはペンデュラムは無いにしろ、融合、シンクロ、エクシーズ、3種の召喚法を組み合わせ、自在に操っている。

 

正攻法のビートダウンに、隙があれば搦め手のバーンも織り混ぜる変則的なデュエルに遊矢は苦戦を強いられる。

しかも彼の操る融合モンスター、『重爆撃禽ボム・フェネクス』はフィールドに多くのカードを溜め込みやすい遊矢のデュエルとは相性が悪い。バレットもこのカードの効果を十二分に発揮させているのが拍車をかける。

 

それでも、それでも――遊矢はここで立ち止まる訳にはいかない。相手が如何なる強敵であろうと、彼の心は折れず、燃え上がるような闘志が2本の足を奮い立たせ、その指先でデッキから1枚のカードを引き抜く。

 

「一番厄介なのはボム・フェネクスか……ペンデュラム召喚!『EMドラミング・コング』!『EMオオヤヤドカリ』!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力1600

 

EMオオヤヤドカリ 守備力2500

 

現れたのはヤドカリ型のモンスター。守備力が高く、壁としては優秀だ。尤も、遊矢が頼りにしているのはその効果だろうが。

 

「オオヤヤドカリの効果発動!ターン終了時までドラミング・コングの攻撃力を、フィールドの『EM』モンスターの数×300アップする!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力1600→2200

 

「バトル!ドラミング・コングでボム・フェネクスへ攻撃!攻撃宣言時、ドラミング・コングの攻撃力を600アップし、ゴムゴムートンのペンデュラム効果で戦闘破壊から守る!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力2200→2800

 

本来ならば相撃ちとなる攻撃だが、ゴムゴムートンの効果でラバーアーマーを纏ったドラミング・コングにはボム・フェネクスの攻撃は効かない。ドラムを叩く拳で鎧が砕かれ、不死鳥は炎と消える。

 

「『補給部隊』の効果でドロー!」

 

バレット 手札0→1

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ!」

 

榊 遊矢 LP1250

フィールド『EMドラミング・コング』(攻撃表示)『EMオオヤヤドカリ』(守備表示)

『補給部隊』セット1

Pゾーン『EMギタートル』『EMゴムゴムートン』

手札0

 

「私のターン、ドロー!『カードガンナー』を召喚!」

 

カードガンナー 攻撃力400

 

「『カードガンナー』の効果発動!デッキトップから3枚を墓地へ送り、攻撃力アップ!」

 

カードガンナー 攻撃力400→1900

 

「バトル!コンコルーダでドラミング・コングへ攻撃!」

 

「ドラミング・コングの効果で攻撃力アップ!ゴムゴムートンのペンデュラム効果は使わず、『補給部隊』の効果でドロー!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力1600→2200

 

榊 遊矢 LP1250→1050 手札0→1

 

「ドローを選んだか、私はこれでターンエンドだ」

 

バレット LP2000

フィールド『幻獣機コンコルーダ』(攻撃表示)『バトル・イーグル・トークン』(攻撃表示)×3『カードガンナー』(攻撃表示)

『補給部隊』セット1

手札1

 

「俺のターン、ドロー!ペンデュラム召喚!『EMドラミング・コング』!『EMファイア・マフライオ』!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力1600

 

EMファイア・マフライオ 守備力800 

 

「オオヤヤドカリの効果発動!ドラミング・コングの攻撃力アップ!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力1600→2500

 

「バトル!ドラミング・コングで『カードガンナー』へ攻撃!攻撃力アップ!」

 

「罠発動!『レインボー・ライフ』!手札を1枚捨て、このターンのダメージを回復に変える!そして『補給部隊』と『カードガンナー』の効果で2枚ドロー!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力2500→3100

 

バレット LP2000→4700 手札0→1→2

 

「くっ、ファイア・マフライオの効果発動!ペンデュラムモンスターが相手モンスターを戦闘破壊したダメージ計算後、そのペンデュラムモンスターの攻撃力を200アップし、続けて攻撃が出来る!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力3100→3300

 

「コンコルーダへ攻撃!」

 

バレット LP4700→5600

 

「……コンコルーダの効果は使わない」

 

「ターンエンド」

 

榊 遊矢 LP1050

フィールド『EMドラミング・コング』(攻撃表示)『EMファイア・マフライオ』(守備表示)『EMオオヤヤドカリ』(守備表示)

『補給部隊』セット1

Pゾーン『EMギタートル』『EMゴムゴムートン』

手札1

 

「私のターン、ドロー!バトル!『バトル・イーグル・トークン』でドラミング・コングへ攻撃!」

 

「ドラミング・コングの効果発動!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力1600→2200

 

「速攻魔法、『リミッター解除』!私のフィールドに存在する機械族モンスターの攻撃力は倍になる!」

 

バトル・イーグル・トークン 攻撃力2000→4000×3

 

ここで発動されたのは機械族御用達、攻撃力を大幅にアップする強力なフィニッシュカード。デメリットとしてこの効果を受けたモンスターはターン終了と共に破壊されるが、バレットのフィールドの機械族はあくまでトークン。巻き返しは充分に可能だ。

しかし遊矢としては不味い。攻撃力4000の『バトル・イーグル・トークン』の攻撃を攻撃力2200のドラミング・コングで受ければLP1050の遊矢は一気にゲームエンドまで持って行かれてしまう。

 

「罠発動!『ガード・ブロック』!ダメージを0にし、1枚ドロー!『補給部隊』の効果も使う!」

 

榊 遊矢 手札1→2→3

 

すんでの所で身を守り、デッキから2枚のカードを引き抜く。ドラミング・コングは破壊されたが、むしろそれで良い。的になる位なら破壊された方がマシ。ペンデュラムモンスターの為、痛くもない。

 

「なら残る2体で2体の『EM』へ攻撃!」

 

「ゴムゴムートンの効果でオオヤヤドカリを守る!」

 

「フム、メインフェイズ2、フィールド魔法、『融合再生機構』を発動。手札を1枚捨て、墓地の『融合』を回収し、発動。2体の『バトル・イーグル・トークン』で融合!融合召喚!『始祖竜ワイアーム』!」

 

始祖竜ワイアーム 攻撃力2700

 

再びフィールドに現れる翼竜。効果モンスターで倒せないこのモンスターは実に厄介だ。しかもこれで3体の『バトル・イーグル・トークン』の内、2体を処理、デメリットを上手く対処した。

 

「ターンエンド。この瞬間、『バトル・イーグル・トークン』は破壊され、『補給部隊』の効果でドロー!」

 

バレット 手札0→1

 

最後の『バトル・イーグル・トークン』も手札に変換、隙がない。

 

バレット LP5600

フィールド『始祖竜ワイアーム』(攻撃表示)

『補給部隊』

『融合再生機構』

手札1

 

「俺のターン、ドロー!『バトル・イーグル・トークン』は消えたけど……有利になってる気がしない……!魔法カード、『金満な壺』!エクストラデッキの『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』、『降竜の魔術師』、『相克の魔術師』をデッキに戻し、2枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札2→4

 

「ペンデュラム召喚!『EMドラミング・コング』!『EMファイア・マフライオ』!『EMスパイク・イーグル』!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力1600

 

EMファイア・マフライオ 守備力800

 

EMスパイク・イーグル 守備力900

 

揺れ動く振り子の軌跡が遊矢の仲間を次々と呼ぶ。ドラミング・コング達と共に呼び出されたのは鷲型の『EM』。攻守は低く、効果もかなりショッパイモンスターだ。

 

「魔法カード、『死者への手向け』!手札を1枚捨て、ワイアームを破壊!」

 

「『補給部隊』の効果でドロー!」

 

バレット 手札1→2

 

「オオヤヤドカリの効果発動!ドラミング・コングの攻撃力をアップ!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力1600→2800

 

「バトルだ!ドラミング・コングでダイレクトアタック!」

 

「墓地の『超電磁タートル』を除外し、バトルフェイズを終了!」

 

ドラミング・コングの拳がバレットを捉える瞬間、横合いから赤と青の電流を纏った円盤状の物体が飛び出し、ドラミング・コングにぶつかって弾き飛ばす。更に円盤から四散する電流が赤と青の電磁バリアを作り、バレットを包み込む。

 

「カードを1枚セット、ターンエンド」

 

榊 遊矢 LP1050

フィールド『EMドラミング・コング』(攻撃表示)『EMファイア・マフライオ』(守備表示)『EMオオヤヤドカリ』(守備表示)『EMスパイク・イーグル』(守備表示)

『補給部隊』セット1

『EMギタートル』『EMゴムゴムートン』

手札1

 

「私のターン、ドロー!」

 

「罠発動!『風林火山』!」

 

「何っ!?」

 

ここに来て遊矢が発動したカードを見て、バレットが目を見開き、初めて驚愕を見せる。それもそうだろう、シンクロは予想がついたが、このカードは予想外の想定外。流石のバレットも考えが及ばない。

何故ならこのカード、かなり発動条件が厳しく、滅多にお目にかかれないものだからだ。別段レアカードと言う訳ではないが――コナミの『エレメンタルバースト』と同じく、デッキに組み込もうとする者が珍しい。

 

「フィールドに風、水、火、地属性のモンスターが揃っている事で、4種の効果から1つを発動する!俺が発動するのは、相手の手札をランダムに2枚捨てさせる効果だ!」

 

途端、オオヤヤドカリを中心に4体が輝き、フィールドに津波が押し寄せ、バレットの手札を2枚拐っていく。デュエルモンスターズにおいてハンデスは強力な効果だ。それを2枚分も使用出来たとなると遊矢にアドバンテージが傾く。

 

「クク、フハハハハ!まさか……まさかそのような手で来るとはな!面白い、面白いぞ榊 遊矢!」

 

「へへ、どうも……!」

 

手札1枚のピンチにも関わらず、おかしいと笑い声を上げるバレット。武人気質な彼がこうも笑うとは珍しい。

 

「さて、そろそろ教えてくれるかな、バレットさん。何で――何で貴方が、アカデミアの戦士として、俺達の前に立ち塞がるのか」

 

「……フ、そうだな……簡単に言えば、アカデミアにいないと出来ない事がある、と言う事と……私もデュエリストだ。本気の君と闘いたい。教導官としてどこまで出来るか、本当に君が自身の目的を達するに相応しい実力を持っているか、試したいと言った所か」

 

「……それで、俺の実力は……?」

 

「フッ、結論を急ぐな……デュエルはまだ、終わっていない!魔法カード、『貪欲な壺』!墓地の『獣闘機パンサー・プレデター』、『重爆撃禽ボム・フェネクス』、『始祖竜ワイアーム』、『幻獣機コンコルーダ』、『ヴォルカニック・バレット』の5体をデッキに戻し、2枚ドロー!」

 

バレット 手札0→2

 

ここに来て手札増強カード。『風林火山』で捨て切れなかった事と言い、運が良い。

 

「墓地のブルーインパラスの効果!相手フィールドにモンスターが存在し、私のフィールドにモンスターが存在しない事で、このカードを除外し、『幻獣機トークン』を特殊召喚!」

 

幻獣機トークン 守備力0

 

「墓地の『ヴォルカニック・バレット』の効果!LPを500払い、同名カードをサーチ!」

 

バレット LP5600→5100

 

「そしてフィールド魔法、『融合再生機構』の効果で手札1枚と墓地の『融合』を交換!墓地に送られたオライオンの効果で『幻獣機トークン』を呼ぶ!」

 

幻獣機トークン 守備力0

 

「『幻獣機テザーウルフ』を召喚!」

 

幻獣機テザーウルフ 攻撃力1700 レベル4→10

 

現れたのは狼を模したヘリコプター。『幻獣機』において下級ながらも攻撃力2500までのモンスターを戦闘破壊可能なアタッカーだ。

 

「召喚時、『幻獣機トークン』を生成」

 

幻獣機トークン 守備力0

 

幻獣機テザーウルフ レベル10→13

 

「そして『融合』を発動!手札の『ヴォルカニック・バレット』とテザーウルフで融合!融合召喚!『重爆撃禽ボム・フェネクス』!」

 

重爆撃禽ボム・フェネクス 攻撃力2800

 

「ボム・フェネクスの効果!フィールドのカード×300のダメージを与える!」

 

「手札の『EMレインゴート』を捨て、効果ダメージを0にする!更に手札の『EM』が墓地に送られた事で、墓地の『EMギッタンバッタ』を蘇生!」

 

EMギッタンバッタ 守備力1200

 

油断すれば一撃必殺のダメージが飛んで来る。先程までピンチだったにも関わらず、驚愕の一手で攻めるバレット。恐ろしいデュエリストだ。

 

「ターンエンド。この瞬間、『融合再生機構』の効果で融合素材となったテザーウルフを回収」

 

「俺もギッタンバッタを墓地に送り、レインゴートを回収する」

 

バレット LP5100

フィールド『重爆撃禽ボム・フェネクス』(攻撃表示)『幻獣機トークン』(守備表示)×3

『補給部隊』セット

『融合再生機構』

手札1

 

「俺のターン、ドロー!スパイク・イーグルの効果!ドラミング・コングに貫通効果を与え、オオヤヤドカリの効果で強化する!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力1600→2800

 

「バトルだ!ドラミング・コングで『幻獣機トークン』を攻撃!」

 

「墓地の『ネクロ・ガードナー』を除外し、攻撃を無効にする」

 

「む、カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

榊 遊矢 LP1050

フィールド『EMドラミング・コング』(攻撃表示)『EMファイア・マフライオ』(守備表示)『EMオオヤヤドカリ』(守備表示)『EMスパイク・イーグル』(守備表示)

『補給部隊』セット1

Pゾーン『EMギタートル』『EMゴムゴムートン』

手札1

 

「私のターン、ドロー!『幻獣機テザーウルフ』を召喚」

 

幻獣機テザーウルフ 攻撃力1700 レベル4→13

 

「魔法カード、『アドバンスドロー』!テザーウルフをリリースし、2枚ドロー!」

 

バレット 手札1→3

 

「フィールドの『幻獣機トークン』2体をリリースし、『幻獣機グリーフィン』を特殊召喚!」

 

幻獣機グリーフィン 守備力2500

 

現れたのはグリフォン型の爆撃機。メインデッキに唯一投入出来る最上級の『幻獣機』モンスターだ。

 

「墓地の『幻獣機オライオン』を除外し、手札の『幻獣機オライオン』を召喚!」

 

幻獣機オライオン 攻撃力600

 

次はライオン型の『幻獣機』、レベル2のチューナーモンスターだ。狙いはシンクロか。

 

「レベル7のグリーフィンに、レベル2のオライオンをチューニング!シンクロ召喚!『幻獣機ヤクルスラーン』!」

 

幻獣機ヤクルスラーン 攻撃力2700

 

現れたのは翼を伸ばした怪蛇と航空機を合成したレベル9のシンクロ『幻獣機』。今まで召喚された中でも最もレベルが高いモンスターだ。自然と遊矢の警戒も引き上がる。

 

「墓地に送られたオライオンの効果でトークン生成、ヤクルスラーンのシンクロ召喚時効果で『幻獣機トークン』をリリースし、相手の手札を捨てさせる!」

 

「くっ、手札の『EMレインゴート』を捨て、スパイク・イーグルを守る!ギッタンバッタを蘇生!」

 

幻獣機トークン 守備力0

 

EMギッタンバッタ 守備力1200

 

「カードを1枚セット、ボム・フェネクスの効果発動!4500のダメージを受けるが良い!」

 

「受けるのはそっちだ!罠発動!『リフレクト・ネイチャー』!このターン、相手が発動したLPにダメージを与える効果を相手に跳ね返す!」

 

「何っ!?」

 

バレット LP5100→600

 

圧倒的なダメージに対し、遊矢はそれを待っていたとばかりにフィールドに巨大な鏡を呼び出し、不死鳥の炎を弾き返す。これでバレットの残るLPは600。後少しまで追い詰めた。

 

「クク、そう来るか……バトル!ヤクルスラーンでドラミング・コングへ攻撃!」

 

「自身の効果で攻撃力アップ!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力1600→2200

 

榊 遊矢 LP1050→550

 

「『補給部隊』の効果でドロー!」

 

榊 遊矢 手札0→1

 

「ターンエンドだ」

 

「ギッタンバッタの効果で自身を墓地に送り、レインゴートを回収!」

 

バレット LP600

フィールド『重爆撃禽ボム・フェネクス』(攻撃表示)『幻獣機ヤクルスラーン』(攻撃表示)『幻獣機トークン』(守備表示)

『補給部隊』セット1

『融合再生機構』

手札0

 

「俺のターン、ドロー!ペンデュラム召喚!『EMドラミング・コング』!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力1600

 

「スパイク・イーグルの効果でドラミング・コングに貫通効果を与え、オオヤヤドカリの効果で攻撃力アップ!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力1600→2800

 

「バトル!ドラミング・コングでボム・フェネクスへ攻撃!」

 

「罠発動!『ドレイン・シールド』!ドラミング・コングの攻撃を無効にし、その攻撃力分LPを回復する!」

 

バレット LP600→3400

 

EMドラミング・コング 攻撃力2800→3400

 

「カードを2枚セット、ターンエンドだ」

 

榊 遊矢 LP550

フィールド『EMドラミング・コング』(攻撃表示)『EMファイア・マフライオ』(守備表示)『EMオオヤヤドカリ』(守備表示)『EMスパイク・イーグル』(守備表示)

『補給部隊』セット2

Pゾーン『EMギタートル』『EMゴムゴムートン』

手札1

 

「私のターン、ドロー!魔法カード、『命削りの宝札』!3枚ドロー!」

 

バレット 手札0→3

 

実力が拮抗している今、天秤を傾けるには充分なカードが発動される。3枚のカードがバレットの手札に渡り、彼はじっくりとその目に焼きつける。これならば。

 

「魔法カード、『ハーピィの羽帚』!君のフィールドの魔法、罠カードを全て破壊!」

 

「ぐっ、破壊された『運命の発掘』の効果でドロー!」

 

榊 遊矢 手札1→2

 

「これでペンデュラムは使えんだろう。が、それでも君の布陣は固いか。『漆黒の豹戦士パンサー・ウォリアー』を召喚!」

 

漆黒の豹戦士パンサーウォリアー 攻撃力2000

 

「バトル!パンサーウォリアーでファイア・マフライオへ攻撃!『幻獣機トークン』をリリースする!」

 

「くっ、通す!」

 

「ボム・フェネクスでオオヤヤドカリを攻撃!」

 

「墓地の『EMジンライノ』を除外し、オオヤヤドカリを戦闘から守る!」

 

「追撃だ!やれ、ヤクルスラーン!」

 

「ッ、オオヤヤドカリ!」

 

遊矢も防ぐが、一手二手と及ばず、遊矢のモンスターが撃破される。それでもモンスターが2体残っている辺りは流石と言うべきか。

 

「カードを1枚セット、ターンエンド」

 

バレット LP3400

フィールド『重爆撃禽ボム・フェネクス』(攻撃表示)『幻獣機ヤクルスラーン』(攻撃表示)『漆黒の豹戦士パンサーウォリアー』(攻撃表示)

『補給部隊』セット1

『融合再生機構』

手札0

 

「俺のターン、ドロー!『EMホタルクス』と『EMリザードロー』をセッティング!リザードローを破壊し、1枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札1→2

 

「バトル!ドラミング・コングでパンサーウォリアーへ攻撃!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力1600→2200

 

バレット LP3400→3200

 

「『補給部隊』の効果でドロー!」

 

バレット 手札0→1

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

榊 遊矢 LP550

フィールド『EMドラミング・コング』(攻撃表示)『EMスパイク・イーグル』(守備表示)

セット1

Pゾーン『EMホタルクス』

手札1

 

「私のターン、ドロー!そろそろ楽にしてやろうか、『漆黒の戦士ワーウルフ』を召喚!」

 

漆黒の戦士ワーウルフ 攻撃力1600

 

現れたのは黒い毛並みを持ち、剣を手にした狼男。パンサーウォリアーと似た系列のモンスターだ。攻撃力は準アタッカー級、そしてこのモンスターの効果が、ピンチの遊矢を更に追い詰める。

 

「このモンスターがフィールドに存在する限り、君はバトルフェイズの間、罠を発動出来ない」

 

「ッ!」

 

一手一手、確実に遊矢の勝機を潰すプレイング。地味だが今の遊矢にはかなり痛い効果だ。

 

「さて、バトル!ワーウルフでスパイク・イーグルへ攻撃!」

 

「『EMホタルクス』のペンデュラム効果!スパイク・イーグルをリリースし、バトルフェイズを終了する!」

 

僅かな活路から希望を見出だし、遊矢はバレットの猛攻を回避する。とは言え依然として不利には変わらない。今は兎に角手数が欲しい。

 

「厄介なカードだな……私はこれでターンエンドだ」

 

バレット LP3200

フィールド『重爆撃禽ボム・フェネクス』(攻撃表示)『幻獣機ヤクルスラーン』(攻撃表示)『漆黒の戦士ワーウルフ』(攻撃表示)

『補給部隊』セット1

『融合再生機構』

手札1

 

「俺のターン、ドロー!良し、バトルだ!ドラミング・コングでワーウルフへ攻撃!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力1600→2200

 

「手札の『工作列車シグナル・レッド』の効果発動!このカードを特殊召喚し、攻撃をこのカードに変更、また、この戦闘ではこのカードは破壊されない!」

 

工作列車シグナル・レッド 守備力1300

 

罠の解放を狙うも、バレットも狙い澄ましたかのように1枚のカードで防御する。固い、遊矢も防御には自信があるが、この男も相当長期戦に慣れている。

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ……!」

 

榊 遊矢 LP550

フィールド『EMドラミング・コング』(攻撃表示)

セット2

Pゾーン『EMホタルクス』

手札1

 

「私のターン、ドロー!魔法カード、『強欲で金満な壺』を発動!エクストラデッキから6体のモンスターを除外し、2枚ドロー!」

 

バレット 手札1→3

 

「シグナル・レッドを攻撃表示に変更、バトルだ!ヤクルスラーンでドラミング・コングへ攻撃!」

 

「アクションマジック、『大脱出』!バトルを終了!」

 

「メインフェイズ2、『融合再生機構』の効果で手札を『融合』と交換、そして発動!フィールドのワーウルフとシグナル・レッドを融合!融合召喚!『獣闘機パンサー・プレデター』!!」

 

獣闘機パンサー・プレデター 守備力2000

 

「パンサー・プレデターの効果発動!」

 

「罠発動、『ピケルの魔法陣』!」

 

「カードをセット、ターンエンドだ」

 

バレット LP3200

フィールド『獣闘機パンサー・プレデター』(守備表示)『重爆撃禽ボム・フェネクス』(攻撃表示)『幻獣機ヤクルスラーン』(攻撃表示)

『補給部隊』セット2

『融合再生機構』

手札1

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『強欲で金満な壺』!エクストラデッキから6体のモンスターを除外し、2枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札1→3

 

「ドラミング・コングを守備表示に変更、カードを2枚セット、ターンエンドだ」

 

「罠発動、『針虫の巣窟』!デッキトップから5枚のカードを墓地へ送る!」

 

榊 遊矢 LP550

フィールド『EMドラミング・コング』(守備表示)

セット3

Pゾーン『EMホタルクス』

手札1

 

「私のターン、ドロー!パンサー・プレデターの効果発動!」

 

「アクションマジック、『加速』!」

 

「墓地の『ギャラクシー・サイクロン』を除外し、ホタルクスを破壊!」

 

「ッ!」

 

「これで君の命綱は消えた……パンサー・プレデターを攻撃表示に変更、加えて墓地の『ADチェンジャー』を除外し、ドラミング・コングを攻撃表示に変更、バトルだ!ヤクルスラーンでドラミング・コングへ攻撃!」

 

「ドラミング・コングの効果発動!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力1600→2200

 

榊 遊矢 LP550→50

 

「パンサー・プレデターでダイレクトアタック!」

 

「永続罠、『EMピンチヘルパー』!攻撃を無効にし、デッキから『EMインコーラス』を特殊召喚!更にチェーンして永続罠、『竜星の極み』!攻撃可能なモンスターを強制的に戦闘させる!」

 

EMインコーラス 守備力500

 

発動されたのは遊矢の最強の防御札と言っても過言ではない永続罠。ピンチヘルパーとは良く言ったものだ。ソリッドビジョンのカードの中から3羽のインコが現れ、嘴から音波を放ってパンサー・プレデターを退ける。このカードは防御と共に展開を支える、コナミの『マジカルシルクハット』にあたるカード。防御札が豊富な遊矢のデッキだが、このカードの優秀さには敵わない。

 

「ボム・フェネクスでインコーラスへ攻撃!」

 

「インコーラスの効果!デッキよりペンデュラムモンスター以外の『EM』、『EMロングフォーン・ブル』を特殊召喚!」

 

EMロングフォーン・ブル 守備力1200

 

ボム・フェネクスに襲撃されるも最後の力を振り絞って音波を飛ばし、仲間である『EM』にSOSを送る。そして現れたのは音波を頭部の角にかけた受話器でキャッチした青い牡牛のモンスター。『EMドクロバット・ジョーカー』、『EMペンデュラム・マジシャン』には劣るが、『EM』をサーチする能力を持ったモンスターだ。

 

「ロングフォーン・ブルの特殊召喚に成功した事で、デッキのペンデュラムモンスター以外の『EM』、『EMスライハンド・マジシャン』をサーチする」

 

「ターンエンドだ」

 

バレット LP3200

フィールド『獣闘機パンサー・プレデター』(攻撃表示)『重爆撃禽ボム・フェネクス』(攻撃表示)『幻獣機ヤクルスラーン』(攻撃表示)

『補給部隊』セット1

『融合再生機構』

手札1

 

「俺のターン、ドロー!さぁて反撃開始と行こうか!魔法カード、『ペンデュラム・パラドックス』!エクストラデッキに加わっているペンデュラムモンスターの中から同じスケールで同名以外のカード2枚を回収する!ギタートルとリザードローを回収、セッティング!ギタートルの効果で1枚ドロー!更にリザードローのペンデュラム効果により、自身を破壊してもう1枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札2→3→4

 

「魔法カード、『マジック・プランター』!『竜星の極み』を墓地へ送り、2枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札3→5

 

「魔法カード、『打ち出の小槌』で手札交換、『EMトランプ・ウィッチ』をセッティング!これでレベル5のモンスターを同時に召喚可能!ペンデュラム召喚!『EMオオヤヤドカリ』!『EMゴムゴムートン』!『EMドラミング・コング』!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力1600

 

EMオオヤヤドカリ 守備力2500

 

EMゴムゴムートン 守備力2400

 

「ロングフォーン・ブルをリリースし、『EMスライハンド・マジシャン』を特殊召喚!」

 

EMスライハンド・マジシャン 攻撃力2500

 

現れたのは派手な赤の衣装に白い仮面、水晶の下半身を持ち、白い羽で覆ったマジシャンだ。手にボールとステッキを握り、フィールドに静かに降り立つ。

 

「スライハンド・マジシャンの効果発動!手札1枚を捨て、パンサー・プレデターを破壊!そのカードは戦闘破壊でしか素材を呼べない筈だ!」

 

「ふむ、『補給部隊』の効果でドロー!」

 

バレット 手札1→2

 

「そして墓地の『EMギッタンバッタ』を蘇生!」

 

EMギッタンバッタ 守備力1200

 

「オオヤヤドカリの効果でドラミング・コングの攻撃力アップ!」

 

EMドラミング・コング 攻撃力1600→3100

 

「オオヤヤドカリとゴムゴムートンをリリース、アドバンス召喚!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力2500

 

ヤドカリと羊が2つの竜巻に呑まれ、1つに合体、中より赤と緑の光が輝いた後、雄々しき咆哮が竜巻を引き裂き、2色の虹彩を持った真紅の竜が飛び出す。ここで遊矢のエースカード、『オッドアイズ』の登場。ボム・フェネクスやヤクルスラーンに攻撃力が及ばないものの、遊矢のフィールドにはそれを打破するカードがある。

 

「『EMトランプ・ウィッチ』の効果発動!フィールドの『オッドアイズ』とスライハンド・マジシャン』で融合!融合召喚!出でよ!秘術ふるいし魔天の龍!『ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!」

 

ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力3000

 

魔術の力が『オッドアイズ』の眼に宿り、金属に封じ込める。更に背に負った三日月状の突起が変化、満月を思わせる円となり、金色の光を放つ。『ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』、『ブレイブアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』に並ぶ、遊矢が誇る3体の融合進化体、『ペンデュラム・ドラゴン』の1体だ。こちらは効果耐性と連続攻撃に優れている。効果耐性は現在抜け落ちているが。

 

「バトルだ!ルーンアイズでボム・フェネクスへ攻撃!この瞬間、ドラミング・コングの効果で攻撃力をアップ!連撃のシャイニーバースト!」

 

ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力3000→3600

 

バレット LP3200→2400

 

「ぐっ!」

 

ルーンアイズの背から伸びるリングの窪みに3つ、光の球体が出現し、咆哮を放つと共に球より熱線が飛来、天空を飛翔するボム・フェネクスの胸部を貫き、撃ち落とす。まずは1体、強力なバーン効果を持ったモンスターを倒した。

 

「次だ、ルーンアイズでヤクルスラーンへ攻撃!」

 

バレット LP2400→1500

 

「だが!ヤクルスラーンが破壊された事で、私はデッキの速攻魔法1枚をフィールドにセットする!」

 

「止まらないぞ!ドラミング・コングでダイレクトアタック!」

 

「させん!罠発動!『リジェクト・リボーン』!相手モンスターのダイレクトアタック時、バトルを終了、その後、シンクロモンスターとチューナーモンスターを特殊召喚する!来い、『幻獣機コンコルーダ』!『亡龍の戦慄ーデストルドー』!」

 

幻獣機コンコルーダ 攻撃力2400

 

亡龍の戦慄ーデストルドー 守備力3000

 

最後にドラミング・コングの攻撃でフィニッシュを決めようとした遊矢だが、バレットの前方の地面が隆起、火山の噴火のように爆発し、2体のモンスターが姿を見せる。黄金の『幻獣機』、コンコルーダと半身が剥き出しの骨になった赤い竜、レベル7の汎用チューナー、デストルドーだ。どちらもレベル7、エクシーズの布石と言う事か。抜け目のない男である。

 

「そう来なくちゃな……俺はこれでターンエンドだ!」

 

榊 遊矢 LP50

フィールド『ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』(攻撃表示)『EMドラミング・コング』(攻撃表示)『EMギッタンバッタ』(守備表示)

『EMピンチヘルパー』セット1

Pゾーン『EMギタートル』『EMトランプ・ウィッチ』

手札0

 

ぶつかる2人の漢、榊 遊矢とバレット。互いの全てを賭け、全力の激闘が火花を散らす。鉄と錆びが混じり合う闘いは今、佳境を迎えようとしていた。


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