遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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今回も野きゅ、勝鬨回。やりたい事多すぎて4話に別れるかもしれない、多くてもデュエルは3話で纏めたいなと思ってます。


第18話 暴力はいけません

『少森寺塾、2回表の攻撃です』

 

「何時までこの茶番は続くのだ!?」

 

ウグイス嬢の澄んだ声が近未来のスタジアムに響き渡る。それと同時に勝鬨がまたもや勝鬨る。これで5回目の勝鬨、イエローカードならばもう退場しているところだろう。ここまで来ればこのデュエル中、何回勝鬨るのか見物である。

そんな勝鬨を無視し、少森寺塾所属の少年、札田が手札から1枚のカードをデュエルディスクのバット型のプレートに叩きつける。

 

「グフフッ、漸くオイラのターンでやんす!オイラは『ビクトリー・バイパーXX03』を召喚するでやんす!」

 

ビクトリー・バイパーXX03 攻撃力1200

 

暗く閉ざされた天空より飛行音が響く、雲を貫きスタジアムに現れたのは本来よりも一回り程小さい戦闘機。かなり抑え目とは言え、その巨大な姿には目を見張るものがある。とても下級モンスターとは思えない程の存在感である。

 

『3番、『ビクトリー・バイパーXX03』』

 

「あれも選手として数えるのか!?よく見れば操縦士がヘルメットを被っている……!芸が細かすぎるぞ!」

 

ウグイス嬢の音声に6回目の勝鬨を見せる勝鬨、しかしそのデュエリスト特有の動体視力は素晴らしいものがある。何せ宙に浮かぶ高性能戦闘機のコックピットにまで目が届いたのだ、その目敏さにコナミがほう、と息を吐く。

その僅かな間に札田が身を翻し、戦闘機の上に降り立つ。

 

「さぁ、アクションマジックを使って大活躍でやんす!」

 

高速でスタジアム中を飛行するビクトリー・バイパーにすがりつきながらアクションマジックを探す札田。彼の乗るモンスター、『ビクトリー・バイパーXX03』には3つの効果がある。しかしその効果には発動条件がある、その条件とは“戦闘によってモンスターを破壊”する事、だがビクトリー・バイパー自体の攻撃力は極めて低い。

その為に攻撃力を上げようと札田は動きを見せたのだ。その目論見通り、札田がスタジアム外観に浮かぶカードを手に取ろうとした時。

 

「やらせはしない」

 

ドスッ、と強烈な肘打ちが札田の胸を突く。

 

「グォゥフッ!?」

 

間抜けな声を漏らし、ドサリとビクトリー・バイパーの上に崩れ落ちる札田、それでも落ちはしないのは鍛えているからか。誰もが呆気に取られる中、犯人である少年、勝鬨がまるで何事も無かったかのように札田の眼前で仁王立ちする。何時の間にビクトリー・バイパーに飛び乗っただろうなんて最早、この場にいる者達にとってどうでもいい。そんな事より大事な事がある。

 

彼はデュエル中にも関わらず、対戦相手である札田に暴力を振るったのだ。

 

「お前っ……!何をしているんだ!」

 

天月が叫ぶ。友人である札田が傷つけられたのだ、無理もない上に明らかに故意があるとしか思えないラフプレー、とてもではないが見過ごせるものではない。

 

しかし、そんな叫びなどどうでもいいかのように鼻を鳴らし、つまらないものを見るかの如く天月を一瞥する勝鬨。その口元には薄く笑みが作られており、明確な悪意を感じさせられる。

 

「何を?自分は唯、アクションカードを取ろうとしたから妨害したまでだが?」

 

「ふざけるな!そんな事、認められる訳ないだろ!」

 

さらりと何の問題も無いと言わんばかりに両手を広げる勝鬨と、それに対し激昂する天月、話がまるで噛み合わない。勝鬨がそれが当然と思っている限り、彼自身の考えは変わらないだろう。

 

「……確かに、ルール上、暴力を振るってはいけないなんて何処にもありませんねぇ、一般常識なら兎も角、モンスターを使っての妨害はありですし」

 

そんな中、観客席のホンフーが起爆剤を投下する。アクションデュエルのルール上、召喚したモンスターによる相手の行動の妨害は認められている。ならば、リアルファイトによる妨害は有りなのか?答えは“調整中”である。明確に禁じられてない以上、そう言った行為は出来てしまう。

 

「ふざけんなテメェ!そんなっ、そんな事してまで勝って嬉しいのかよ!それでもデュエリストか!!」

 

観客席に座っていた暗次が立ち上がり、青筋を立てて勝鬨を責める。今まで友人を傷つけていた彼でも、不良と呼ばれる彼でもそんなデュエルを汚すような事はしなかった。隣に座るねねも勝鬨に対し、厳しい顔を向ける。それでも。

 

「デュエリストだ」

 

何の迷いもなく、間髪入れずに答える勝鬨、それでも彼にとってはこれがデュエルなのだ。幼き頃より親元を離れ、友人と呼べるものなどいない環境で、梁山泊塾の塾長に教え込まれた。これがデュエルだと、どんなに汚い事をしてでも勝利を求めろと。

 

味方1人いない、塾内でも孤立していた彼にとって、塾長の教えは全てだった。幼い彼はそれがデュエルだと思い込んでしまったのだ。

生まれたばかりの雛鳥が初めて見るものを親だと思うように、彼もまた刷り込まれたのだ。その根は深く、彼の心まで蝕んでいる。加えて、このデュエルで敗北など数える程でしかなかった。ならばこれが正しいのだ。とどんどん負のスパイラルに巻き込まれていく、そんな中。

 

「アホか」

 

カクンと、勝鬨の膝が落ちる。一瞬の出来事。明らかに張りつめた空気が音を立てて崩れ去る。再びポカンとその場にいる全員が大口を開ける、勝鬨に膝カックンをしたコナミ以外は。

 

「何をする貴様!」

 

いきなり自分に膝を落としたコナミに向かい立ち上がり、胸ぐらを掴む勝鬨。

 

「お前のそれもデュエルなのだろう、否定はしないし、する気もない。ただ――」

 

「?」

 

その先のコナミの台詞は。

 

「そんな笑えもしないデュエルで、満足できるのか?」

 

勝鬨 勇雄と言う少年の14年間を否定するには充分過ぎる程、残酷だった。

 

「っ!何を!!」

 

「来い、オレがお前の新しい、面白いデュエルを共に見つけてやる」

 

胸ぐらを掴む腕を振り払い、勝鬨の襟首を強引に掴み、ニヤリと悪戯を思いついた子供のように笑い掛けるコナミ。勝鬨が不意を突かれ、目を丸くした瞬間。

 

2人がビクトリー・バイパーの上から消え、宙を飛んだ。

 

「ヌッ、ぬおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!?」

 

「暴れるな着地点がずれる」

 

コナミが理不尽な要求を飛ばすも、勝鬨には聞こえない。ひゅうひゅうと風を切る音が耳に届き、不安がどんどん大きくなる。走馬灯のように様々な事が頭の中を駆け巡る中、勝鬨の脳裏に浮かんだ事は。

 

(こんなところで死ねるか!自分にはやるべき事が――)

 

しかし。

 

(……あれ?自分のやるべき事は、やりたい事は、何だ?)

 

導き出されたものは答えではなく疑問。何故、今までデュエルをしてきたのだろう。何の為にデュエルに勝利してきたのだろう。強くなって、再び両親と会う為?自分のデュエルは――その為に、必要な事なのか?

初めて少年が疑問を抱いた時、コナミ達が真っ直ぐな雷となって、スタジアムの1角へと強烈な破壊音と共に落ちた。

 

「さて、タイムは終了だ」

 

パラパラと天井が崩れ、土煙が起こる中、勝鬨が起き上がり、ジャケットを地面に引き摺り、逆さまの姿勢になったコナミを視界におさめる。

どうやらこの少年のお陰か、幸いな事に怪我は無いようだ。そもそもこんな事になったのはこの赤帽子が発端だが。そう考えると怒りが沸いてくる。

 

「貴っ様ぁ……!……ここは……ベンチ?」

 

「勝鬨」

 

「?」

 

選手控え、監督が指示を飛ばすベンチで、コナミが立ち上がり、パンパンと埃を払いながらニヤリとコナミが笑い掛ける。

まただ。先程と同じ、悪戯を思いついた子供のような笑顔、その笑顔を見てビクリと肩を震わせる。今度は一体何を――?

 

「楽しかったか?」

 

「そんな訳あるか!!」

 

邪気の欠片も無く訪ねるコナミに対し、当然ながら否定の叫びを上げる勝鬨。一体この少年は何を考えているのだ。いや、むしろ何も考えていないのかもしれない。そっちの方が頷ける。

 

一方で勝鬨の叫びを受けたコナミはうーんと唸りながら頭を捻る。一体何なんだこの少年は、あんなふざけた事をしておいて楽しかったか?だと?

そんな筈は無い。むしろあれのどこに楽しさを見いだしたら良いのか聞きたい位である。

 

「よし、バカな事をやるぞ」

 

「は?」

 

突然の宣言に固まる勝鬨、コナミはベンチを出て、心配そうに大声を張る暗次とねねに手を振る。

こいつは今、何と言った?何をするとほざいたのだ?バカをやる?

 

「おい眼鏡、お前のターンの途中だぞ」

「はっ!そうだったでやんす!オイラはカードを2枚伏せてターンエンドでやんす!」

 

天月&札田 LP4000

フィールド『U.A.パーフェクトエース』(守備表示) 『ビクトリー・バイパーXX03』(攻撃表示)

セット3

手札3(天月) 手札3(札田)

 

アクションカードを取り損ねた為か、手札よりカードをデュエルディスクにセットするだけでターンを終了する札田。

勝鬨に肘打ちされた事と言い、良いとこ無しで散々である。

 

『道場破り、2回裏の攻撃です』

 

「……」

 

ベンチより勝鬨が姿を見せる。気を引き締め、デッキより1枚のカードを引き抜く。

 

「かっとばせ、勝鬨」

 

「黙れ」

 

背後のコナミの口を全力で閉ざしながら。

 

「自分の邪魔をするな、自分は『融合賢者』を発動、デッキより『融合』を手札に加え、発動」

 

「手札を1枚捨て、パーフェクトエースの効果発動でやんす!」

 

「無駄だ!速攻魔法『禁じられた聖杯』!パーフェクトエースの効果を無効にする」

 

パーフェクトエースがボールを投げようとするも、観客席の聖女が聖杯を投げつける。嫌なファンである。

 

「手札の『地翔星ハヤテ』と『天昇星テンマ』で融合!天駆ける星、地を飛び…今1つとなって悠久の覇者たる星と輝け!融合召喚!!こい!『覇翔星イダテン』!!」

 

覇翔星イダテン 攻撃力3000

 

青き渦より現れたるは紫の兜と甲冑を纏い、深紅の外套を風に靡かせた覇を突き進む者。黒き槍をバットに持ち替え、打席に立つ姿は正に異様、今ここに4番バッターがパーフェクトエースの前に立ちふさがる。

 

『4番、『覇翔星イダテン』』

 

「……」

 

「かっとばせー、イ、ダ、テ、ン」

 

「黙れぇっ!」

 

イダテンに声援を贈るコナミに対し、幾つもの正拳突きを放つ勝鬨。しかし、コナミの方はひょいひょいとかわしている。

 

「ええい、もういい!バトルだ『覇翔星イダテン』で『U.A.パーフェクトエース』に攻撃!」

 

再びパーフェクトエースの手により、球が投げられる。その気迫、その威圧感は既に聖杯の力で薄れていると言うのに、投げられた球は全く衰えを見せず、雷の如く内角低めへと駆け抜ける。

 

だが、イダテンの眼はそれをも捉える。伊達に韋駄天の名を冠している訳ではないのだ。そのバットは確かにボールを捉える……筈であった。

 

「アクションマジック!『回避』!その攻撃を無効にするでやんす!」

 

突如、イダテンの眼前まで迫っていたボールが姿を消す。まるで最初から無かったかのような、陽炎のようにそのボールは消失したのだ。思わずイダテンがバットを振った時には、既に遅く、パァッンと言う音と共に、ボールはキャチャーミットにおさめられていた。

 

消える魔球。物語の中にしかない空想の存在がイダテンを封じ込めた。

 

「くっまだだ!希望皇ホープでビクトリー・バイパーを攻撃!」

 

「ホープはさっき打席に立ったぞ」

 

「黙れっ!」

 

コナミの呼び掛けを無視し、無理矢理ホープを打席に立たせる勝鬨。ホープの方も少し不満そうである。しかし、打席に立てば話は別、気を引き締め、ビクトリー・バイパーを睨めつける。そして次の瞬間、ビクトリー・バイパーの砲門より高速で野球ボールが発射される。

 

まさかのピッチャー交代、パーフェクトエースには劣るが、その球は充分に速い。しかしこの野球皇には無意味、バットを短く持ち替え、その真紅の眼光で狙いを見定める。球種は……スライダー。

バットから逃げるように大きく真横に球筋が伸びる。白の軌跡に赤の結び目が獣のように走る。

 

外角から内角へ抉り込むようなその球を、ガキィィィィィィンッ、甲高い炸裂音。手応えあり、振られたバットより伸びるようにボールは放物線を描きながらスタンドへ向かう、だが。

 

「罠カード発動!『光子化』!相手モンスターの攻撃を無効にし、ホープの攻撃力2500を次の自分のターン終了時まで加えるでやんす!」

 

ビクトリー・バイパーXX03 攻撃力1200→3700

 

電光石火。そう言わんばかりの速さで真横に移動し、そのアーチを破壊する。インチキ染みたスーパーキャッチ、ホームラン間違いなしの球がビクトリー・バイパーの巨大なミットで封じ込めた。

 

「おまっ、それってズルじゃん!」

 

「本当にこれ、野球なんですかぁ?」

 

デュエルである。とは言え暗次とねねが不満を持つのも無理はない。何せチート染み球を投げられ、それを打っても天空に座すビクトリー・バイパーに捕球されてしまうのだ、一体どうすればいいのだ。勝鬨が冷や汗をかく。

 

「諦めたらデュエル終了だ」

 

コナミが背後から声を掛ける。正直意味が分からないが気が軽くなるのを感じる。意味が分からないが。

 

「貴様……策はあるのか?」

 

「ない」

 

ガッカリである。期待した自分がバカであったと勝鬨は溜め息を吐く。焦りを抱く勝鬨とは真逆に、どこからそんな余裕が沸いてくるのか、その顔には笑みが貼り付けられており、勝鬨を苛つかせる。

 

「そんなつまらなそうな顔をするな、デュエルは楽しむものだ」

 

「……デュエルは勝つ為のものだ」

 

意味が分からない。デュエルを楽しむ?そんな筈はないのだ。デュエルに楽しさなんていらない。デュエルは――。

 

「なら――お前のデュエルは、何の為にある?」

 

デュエルは――、何の為に?

 

「……うるさい、うるさいうるさいっ!自分はっ!ターンエンドだ!」

 

コナミ&勝鬨 勇雄 LP3500

フィールド『No.39希望皇ホープ』(攻撃表示) 『覇翔星イダテン』(攻撃表示)

セット1

手札3(コナミ) 手札2(勝鬨)

 

「俺のターン、ドロー、俺は『U.A.ファンタジスタ』を召喚!」

 

U.A.ファンタジスタ 攻撃力1200

 

再びフィールドに電光のファンタジスタが駆ける。しかしあくまでこれは後続に繋ぐ為。

 

「『U.A.スタジアム』の効果!デッキから『U.A.マイティースラッガー』を手札に加える!」

 

天月 手札3→4

 

「更に、ファンタジスタを手札に戻し、来い『U.A.マイティースラッガー』!」

 

U.A.マイティースラッガー 攻撃力2300

 

『4番、『U.A.マイティースラッガー』』

 

打席に立つのは最強の4番バッター、赤きラインが流れる白いユニフォームと共に闘気を纏い、神速で現れたその存在感は見るだけで力が奪われるかのようだ。

 

「『U.A.スタジアム』の効果!自分フィールド上のモンスターの攻撃力を500アップ!」

 

U.A.マイティースラッガー 攻撃力2300→2800

 

U.A.パーフェクトエース 攻撃力1800→2300

 

ビクトリー・バイパーXX03 攻撃力3700→4200

 

「更に、装備魔法『U.A.パワードギプス』発動!マイティースラッガーに装備する事で攻撃力は1000アップし、相手モンスターと戦闘する場合、ダメージを倍に、更に、装備モンスターが戦闘によってモンスターを破壊した時、もう1度だけ攻撃できる!」

 

U.A.マイティースラッガー 攻撃力2800→3800

 

マイティースラッガーのメカメカしいユニフォームが大きく変化する。肩部分より、赤いランプが飛び出し、胸部が輝く。

肩、腕、腰を繋ぐ赤いばねは動きを制限するものだろうか?手に持ったレーザー光を放つバットはバチバチと黒き雷を纏いながら今か今かと出番を急いている。

 

「勝鬨、念の為、セットカードを使え」

 

「むっ、……リバースカードオープン『燃える闘志』。発動後、希望皇ホープに装備する」

 

勝鬨が伏せられたカードを発動する。その瞬間、燃え盛る炎がホープを覆い、その右手に黄金のグローブが装着される。

それを見た天月は一瞬だが、眉をひそめる。

 

「っ!バトル!『U.A.マイティースラッガー』で『覇翔星イダテン』を攻撃!」

 

先程とは変わり、イダテンがその手よりボールを投げる。疾風の如き高速のストレート、狙いは、ど真ん中。

 

「『覇翔星イダテン』は自分より星の低いモンスターと戦闘を行う時、そのモンスターの攻撃力を0にする!」

 

「無駄なんだよ、どんな球を投げようが、本物のスラッガーには勝てない!『U.A.マイティースラッガー』が攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで、モンスター効果を発動出来ない!」

 

「なら!アクションマジックで!」

 

「無駄だ!変化球も!ストレートも無駄だったんだよ!魔法も、罠も発動出来ない!」

 

まるで自分に言い聞かせるような悲痛な叫びがこだまする。それと同時に響くは絶望の炸裂音、ボールは黒き雷を纏い、イダテンの身体を巻き込んで、スタンドへ一直線に進む。バキィィィィィィッ、スコアボードに突き刺さり、ホームランの余波がコナミと勝鬨を襲う。

 

コナミ&勝鬨 LP3500→1900

 

「ビクトリー・バイパーを守備表示に変更し、ターンエンドだ!」

 

天月&札田 LP4000

フィールド『U.A.パーフェクトエース』(守備表示) 『U.A.マイティースラッガー』(攻撃表示) 『ビクトリー・バイパーXX03』(守備表示)

『U.A.パワードギプス』セット2

手札3(天月) 手札2(札田)

 

ホープを睨みつけ、攻撃の手を止める天月、『燃える闘志』を見た時から途端に人が変わったようにその手を小刻みに震える。一体何があるのだろうか?

 

「どうだ、楽しいだろう」

 

「……今のは褒めてやる、だが楽しくなどない!」

 

ニヤリと口角を吊り上げ、語り合うコナミと勝鬨、天月の胸がチクリと痛む。

何なんだこいつは、何故こうまで。

 

「何で……何で諦めない」

 

天月の口より悲壮感の篭った声が漏れる。何故だ?何故こうまで逆境に晒されても折れない。状況は絶望的なのに、負けるかもしれないのに、何故こんな――。

 

「笑ってられるんだ……!?」

 

「デュエリストだからだ」

 

間髪入れずにコナミが答える。迷いのない、たった1つの答えが天月の胸に突き刺さる。

 

「分からないなら教えてやる、俺も一緒に見つけてやる。1人だから分からない事も、1人だから楽しくない事も、全部変えてやる。折れても、挫けても、その先には楽しい事が待っている。このドローにはワクワクが詰まってる。最後まで全力で楽しんで、希望を信じる」

まるで詠うように、心の底から笑うように、言葉は紡がれていく。だってそれがきっと――。

 

「それが、デュエリストと言う生き物だ、それが――」

 

――かっとビングだ――。

 

 

 

 

 




地翔星ハヤテ、天昇星テンマ、覇翔星イダテンはアニメオリカ、特にイダテンはランクの犠牲者です。
バトルステップ関係は間違っているかもしれない、俺は間違っているのか、答えろルドガー!

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