スタンダード、融合、シンクロ、エクシーズ、4つの次元のデュエリストが激突する舞網チャンピオンシップ3回戦。天に闇の帳が下り、星が輝くその下で、白い冷気漂う氷山エリアの一角にて、2人のデュエリストが対峙していた。
1人は融合次元、アカデミアで最強格とされる少年、遊矢と似た顔立ちながら、その口元に歪んだ笑みを浮かべるユーリと名乗る者だ。
獲物を狙う獣のように、爛々と輝く紅の眼を細め、相も変わらず妖しい笑みを描いている。
その眼前に立ち塞がり、本人にその気はあるのか分からないが――背後の柚子を守るようにデュエルディスクを構える少年もまた、最強の肩書きを持つデュエリスト。
つばの欠けた黒い帽子を右手で抑え、バサバサと漆黒のジャケットが風に靡く。首に掛けた大きなヘッドフォンが目を引く彼は、エクシーズ次元のレジスタンス所属、名は――コナミ。
「覚えてるか、だってぇ?ごめん、忘れちゃったよ。君、誰だっけぇ?」
忘れたとは言わせない。そう言い放つ黒いコナミに対し、ニヤニヤと底意地の悪い笑みを作り、態とらしく手をひらひらと振り、煽るユーリ。勿論本当は忘れてはいない。ユーリは黒コナミと初めて会った時の事を今でも鮮明に覚えている。
あれはユーリがエクシーズ次元にやって来た時だろう、彼はアカデミアのプロフェッサー、赤馬 零王の指示を受け、ある男と瑠璃と言う少女を拐おうとした時、彼が立ち塞がったのだ。
この顔を見た時は今のユーリからは想像がつかないだろうが、激しく動揺したものだ。
しかし、ユーリにはその時、相方がいた。黒コナミの事は彼に足止めさせ、その間に瑠璃を拐ったのだ。その事を思い返すユーリ。
対する黒コナミはユーリの白々しい態度に「ほう」と口を開き、デュエルディスクよりワイヤーを発射し、ユーリのデュエルディスクに巻きつける。
「ッ!何のつもりかな?僕、忙しいんだけど」
「つれない事を言うな、私はずっとこの時を待っていたんだ。忘れていると言うなら思い出させてやる……嫌と言う程、その身に刻め、この希望を」
ズルリ、瞬間、ユーリは得体の知れない化け物に身体を鷲掴みにされたような錯覚に陥る。冷たいものが身体の表面で這いずり回り、足下が底無し沼になったかのような感触。端的に言えば、気持ち悪い。込み上げる吐き気を右手で抑え、ユーリは眼前の少年を睨み付ける。
「……良いよ、さくっと倒してカードにしてあげるよ……!」
斯くして始まるのは、おぞましく、恐怖に満ちた黒と紫の劇場。観客は1人の少女。まるで物語のように、輝かしい希望渦巻くデュエルを――ご覧あれ。
「「デュエル!!」」
先攻は黒コナミだ。彼は黄金のデュエルディスクにセットしたデッキより、5枚のカードを引き抜き、その中より1枚のカードを翳す。
「私のターン、私は『サンダー・ドラゴン』を捨て、同名2枚をサーチ、そして『カップ・オブ・エース』を発動。当然正位置ぃ!」
黒コナミ 手札5→7
「『ガガガシスター』を召喚」
ガガガシスター 攻撃力200
黒コナミが召喚したモンスターは白いとんがり帽子を被った小さな魔法使いの少女。幼い姿をした彼女は手に持ったステッキを振るい、主人のデッキから1枚のカードを差し出す。
淡い粒子に包まれた1枚、黒コナミは即座に受け取り、手札に加える。
「『ガガガシスター』の召喚時効果発動。デッキから『ガガガ』魔法、罠カード1枚をデッキから手札に加える。私は『ガガガリベンジ』をサーチし、『ガガガクラーク』を特殊召喚する」
ガガガクラーク 守備力800
続けて黒コナミがその手より切ったのは薄い朱い髪の少女。その身体にはゆったりとした白衣を纏い、小さなメモ帳とシャープペンシルを手にした『ガガガ』学園生徒会で書記を務める品行方正なモンスターだ。
黒コナミのような真面目と言えない少年が使うには首を傾げざるを得ないカードだが。
「そして『ガガガクラーク』を対象として『ガガガシスター』の効果発動。このカードと対象のレベルはそれぞれの数値を合計したものとなる」
ガガガシスター レベル2→4
ガガガクラーク レベル2→4
『ガガガシスター』がステッキの先端に光を集束し、円を描くようにくるりと回転させる。するとステッキより4つの星が放たれ、『ガガガシスター』と『ガガガクラーク』のそれぞれに2つずつ降り注ぐ。これで2体のレベルは4、彼のエースカードを出すに相応しい舞台が整った。
「永続魔法、『エクシーズ・チェンジ・タクティクス』とフィールド魔法、『希望郷―オノマトピア』を発動。そして2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよNo.39!我が戦いはここより始まる!白き翼に望みを託せ!光の使者、希望皇ホープ!!」
No.39希望皇ホープ 攻撃力2500
直後、コナミの背に輝く星々が浮かぶ渦が巻き起こる。2体のモンスターは光となって渦に吸い込まれ、黄金の装飾を纏う白い塔が立つ。カタカタと塔は音を立てて変形し、翼を広げる戦士の姿となって咆哮する。
腰に携えた2刀の片刃の剣、黄金の鎧に白い身体、右肩に浮かぶ39の紋様。『No.39希望皇ホープ』、遥か遠くの次元で存在する、最強デュエリストの魂が今、凍える大地に降臨する。
「希望皇ホープ……やっぱり、コナミと同じ……」
「『エクシーズ・チェンジ・タクティクス』の効果、『希望皇ホープ』モンスターがエクシーズ召喚された時、500LP払い、1枚ドローする。更にホープが特殊召喚された事でオノマトピアにかっとビングカウンターを置く」
黒コナミ LP4000→3500 手札4→5
希望郷―オノマトピア かっとビングカウンター0→1
No.39希望皇ホープ 攻撃力2500→2700
希望の理想郷に光が走る。オノマトピアには『希望皇ホープ』モンスターが特殊召喚される度にかっとビングカウンターが乗り、その数×200、自分のモンスターの攻守をアップする効果がある。序盤からホープを召喚する黒コナミの戦術からして『エクシーズ・チェンジ・タクティクス』と共に初手に引き込めたのは大きいだろう。
「『No.』ねぇ……面白いじゃないか、君に勝ったらそれ、貰おうかな」
「面白い冗談だな、誰も私には勝てん、カード2枚をセットし、ターンエンドだ」
黒コナミ LP3500
フィールド『No.39希望皇ホープ』(攻撃表示)
『エクシーズ・チェンジ・タクティクス』セット2
『希望郷―オノマトピア』
手札3
「言うじゃないか、楽しませてよね。僕のターン、ドロー!」
「永続罠、『融合禁止エリア』を発動!」
「ふぅん?対策はしてるって訳?なら魔法カード、『魔力の泉』発動!3枚ドローし、1枚捨てる」
ユーリ 手札5→8→7
「『ローンファイア・ブロッサム』を召喚」
ローンファイア・ブロッサム 攻撃力500
ユーリが召喚したのは炎のように燃える花。花火のようにバチバチと火花を散らす花を開く植物族のモンスターだ。植物族を扱うならば必須と言える程に強力な1枚であり、その登場に黒コナミが警戒する。
「『ローンファイア・ブロッサム』をリリースし、効果発動。デッキから植物族モンスターを特殊召喚する。僕は2体目の『ローンファイア・ブロッサム』を特殊召喚する!」
ローンファイア・ブロッサム 守備力1400
「その瞬間、速攻魔法、『地獄の暴走召喚』発動!残念だけど君のモンスターは特殊召喚されないよ」
「構わん、元々1枚しか入っていない」
「あっそ、でも僕は遠慮なく2体を特殊召喚しちゃうよ!」
ローンファイア・ブロッサム 攻撃力500×2
これでユーリのフィールドに3体の『ローンファイア・ブロッサム』が並んだ。随分と面倒な事になった。しかし黒コナミはフンと鼻を鳴らすだけで一向に焦りを見せない。
当然その微動だにしない態度に面白くないユーリ。ならば変えてやろうとニヤリと口端を持ち上げ、更なる展開に繋げる。
「『ローンファイア・ブロッサム』をリリースし、デッキから『ボタニティ・ガール』を特殊召喚!」
ボタニティ・ガール 守備力1100
次にユーリが召喚したのは後頭部に花びらを開き、ずしりと重いウツボカヅラを垂らした女性のモンスター。
「あのカード……ターン1制限が無いの……!?」
「これが植物族の厄介な所だな……サポートカードの強力さは1、2を争う」
「さぁて次に行こうか!2体目をリリースし、『ギガプラント』を特殊召喚!」
ギガプラント 攻撃力2400
ゴゴゴ、と地鳴りが響き渡り、氷のフィールドにひびが走る。クレバスより木の根が蛇のようにうねり這い回り、獣のような形となる。大口を開けたワニのような赤い頭を持つ、巨大な樹のモンスター。
植物の化物がおぞましい咆哮を上げ、空気がビリビリと震える。その巨体に柚子が思わず目を丸め、あわわあわわと慌てふためき走り回る。
「魔法カード、『フレグランス・ストーム』!『ボタニティ・ガール』を破壊し、1枚ドロー!『ボタニティ・ガール』の効果でデッキから『イービルソーン』をサーチ!」
ユーリ 手札4→6
「さぁて、3体目だ!リリースし、特殊召喚するのは『桜姫タレイア』!」
桜姫タレイア 攻撃力2800→3000
美しい花弁が『ギガプラント』の隣でくるりと回転しながら咲き誇り、花びらが開いて艶やかな黒蜜を思わせる黒髪の少女が現れる。桜の着物を纏ったこのカード、触れれば折れてしまいそうな華奢な美少女だが、その攻撃力は『ギガプラント』よりも遥かに上だ。桜の花を模してはいるがその性質は全く逆、その美しき花は永遠に人の手で摘まれる事は無い。
まるで自身の持つブルーム・ディーヴァのようなモンスターの登場に柚子が呆然とする。
「攻撃力3000……」
「タレイアはフィールドの植物族モンスターの数だけ攻撃力を100上げる。これだけじゃ終わらないよ!僕は永続魔法、『スーペルヴィス』を『ギガプラント』に装備、これで『ギガプラント』は再度召喚状態となり、効果モンスターになる!そして気になるその効果発動!墓地の植物族モンスター、『ローンファイア・ブロッサム』を特殊召喚!」
ローンファイア・ブロッサム 守備力1400
桜姫タレイア 攻撃力3000→3100
「またあのモンスター……!?」
「良い反応だねぇ、君も見習ったら?『ローンファイア・ブロッサム』をリリースし、デッキから『捕食植物モーレイ・ネペンテス』を特殊召喚!」
捕食植物モーレイ・ネペンテス 攻撃力1600
現れたるはウツボカヅラを模した食虫植物のモンスター。人のように茎や蔦をうねうねと振る姿はどこか愛嬌がある。しかしその大きさは成人男性程あり、食するものが虫以外にもありそうで恐ろしい。総じて不気味さが目立つカードと言える。
「バトル!タレイアでホープを攻撃!」
「ホープのORUを1つ取り除き、効果発動!その攻撃を無効にする!ムーンバリア!」
ホープがその純白の翼を1枚自身の前に突き出し、タレイアの攻撃を防ぐ盾とする。攻撃無効効果、2回もの攻撃を防ぐ優秀な防御の前には、どれだけ高い攻撃力を持ったモンスターだろうと届かない。
「『ギガプラント』でホープを攻撃!」
「ホープのORUを1つ取り除き、攻撃を無効に……」
続くユーリの攻撃、攻撃力の低い『ギガプラント』による攻撃だが、黒コナミは瞬時に危機を察知し、ホープの効果を発動する。ブラフの可能性もあるだろうが、こう言った時、彼の勘は恐ろしいまで当たるのだ。
「ふぅん?ならモーレイ・ネペンテスで攻撃!」
「ORUが無いホープが攻撃対象になった時、このカードは自壊する」
「モーレイ・ネペンテスでダイレクトアタック!」
「罠発動!『エクシーズ・リボーン』!墓地のホープを蘇生し、このカードをORUとする!」
No.39希望皇ホープ 守備力2000→2400
希望郷―オノマトピア かっとビングカウンター1→2
2回の攻撃を防ぎ、星の輝きを失ったホープが自壊するも、直ぐ様舞い戻る。今度は守備表示、これはもしも自分の勘が正しかった時の保険の為だが――果たしてどうか。
「モーレイ・ネペンテスでホープを攻撃!」
「……!」
「この瞬間、速攻魔法、『狂植物の氾濫』!僕のフィールドの植物族モンスターは墓地の植物族×300攻撃力を上げる!エンドフェイズに破壊されるけどね、墓地には5体!よって1500アップだ!」
捕食植物モーレイ・ネペンテス 攻撃力1600→3100
桜姫タレイア 攻撃力3100→4600
ギガプラント 攻撃力2400→3900
ユーリが手に握っていたのは上昇値こそ墓地に依存するも、植物版、『リミッター解除』と言ったカードだ。
それによってモーレイ・ネペンテス達が狂ったように禍々しく成長し、その蔦をホープに巻きつけ、大口を開け、呑み込み、バキバキと嫌な音を立てて咀嚼する。
「そしてモーレイ・ネペンテスは戦闘破壊したモンスターを装備カードにする!」
「これ程の屈辱は味わった事が無い……!」
エースカードの装備カード化、その屈辱的な光景に黒コナミがどこかのドラゴン使いのように歯を食い縛り、ギリッ、と歯軋りする。『狂植物の氾濫』を使ってまで攻撃を続けたのはこの意図あってのものだったらしい。
「更にモーレイ・ネペンテスの効果で装備したカードを破壊してその攻撃力分LPを回復する!」
ユーリ LP4000→6500
「カードを2枚伏せ、ターンエンド。この瞬間、『狂植物の氾濫』で僕のモンスターは破壊されるんだけど――残念ながらタレイアが存在する限り、このカード以外の植物族はカードの効果で破壊されないんだよねぇ、期待させちゃった?ごめんねぇ?」
「そんな……!?」
そう、ユーリが自壊する事を知って尚、『狂植物の氾濫』を使用したのは『桜姫タレイア』の効果もあっての事だったのだ。
その事実に柚子が動揺するも、黒コナミは知っていたのか何1つ反応を見せず、無言を貫く。
しかし厄介なタレイアは破壊された。ユーリのフィールドには2体のモンスターが残っているものの、充分に巻き返せる。
ユーリ LP6500
フィールド『捕食植物モーレイ・ネペンテス』(攻撃表示)『ギガプラント』(攻撃表示)
『スーペルヴィス』セット2
手札2
「私のターン、ドロー!」
「僕は永続罠、『最終突撃命令』を発動。さぁ、サレンダーするなら今の内だよ」
「まだデュエルは始まったばかりなのに随分と余裕だな。魔法カード、『マジック・プランター』を発動、『融合禁止エリア』をコストに2枚ドロー!」
黒コナミ 手札3→5
「私は手札を1枚墓地に送り、魔法カード、『オノマト連携』発動!『ガガガマジシャン』と『ゴゴゴゴーレム』をサーチし、魔法カード、『手札抹殺』によってドロー!そしてオノマトピアのかっとビングカウンターを2つ取り除き、デッキから『ゴゴゴゴースト』を特殊召喚!」
ゴゴゴゴースト 攻撃力1900
黒コナミがデッキからリクルートしたモンスターは赤い鎧を纏い、黄金の兜を被った『ゴゴゴ』モンスター。青白い炎の姿をした亡霊はその手に持った剣をカチャリと鳴らし、単眼を妖しく光らせる。
「ゴーストが特殊召喚した場合、墓地の『ゴゴゴゴーレム』を守備表示で特殊召喚する」
ゴゴゴゴースト 守備力1500
現れたのは卵のように丸い身体に似合わぬ程の巨大な腕と短い足を持った岩石族のモンスター。数少ない岩石族でカテゴリを成すモンスター群の主軸であり、展開やサポートに優れた1枚だ。
「そして『ガガガマンサー』を召喚!」
ガガガマンサー 攻撃力100
次々と現れる黒コナミのモンスター、3体目は『ガガガ』モンスターの死霊使い、包帯を巻きつけた女性と思わしきカードだ。魂を操るその効果はやはり、蘇生効果。そして蘇生する対象は『ゴゴゴゴーレム』と共に先程手札から捨てられたカード。
「『ガガガマンサー』の効果で墓地の『ガガガマジシャン』を特殊召喚!」
ガガガマジシャン 攻撃力1500
魔法使いの三角帽子を被り、その隙間からやる気の無い半眼を飛ばすのは『ガガガ』学園の改造ローブを纏い、チェーンをジャラジャラと巻きつけた不良魔法使い。
レベル変動効果を持つ『ガガガ』モンスターの核とも言えるカードだ。シンクロ素材には使用出来ないが、黒コナミの操るエクシーズでは一役買ってくれる。
「さぁ、行くぞ、『ガガガマジシャン』と『ガガガマンサー』の2体でオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!高貴なる戦士!『ガガガザムライ』!」
ガガガザムライ 攻撃力1900
2体の『ガガガ』モンスターを素材に、独眼の侍が2刀を構え、希望郷に舞い降りる。燃えるような赤い着物を纏い、鋭い眼光をユーリのフィールドのモンスターへと飛ばす。
「更に『ゴゴゴゴーレム』と『ゴゴゴゴースト』の2体でオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!全てを捕えろ!『ガガガガンマン』!」
ガガガガンマン 攻撃力1500
2体目の『ガガガ』エクシーズ、カウボーイハットを被り、マントを靡かせた男は2丁の拳銃より発砲し、くるくると指先で回転させ、ガンホルダーに戻す。刀と銃、東洋と西洋の両極に位置する2体だ。しかしその効果は恐ろしい程噛み合っており、2体を並べる事で強力なコンビネーションを発揮する。
「何だ、『No.』じゃなくて良いのぉ?」
「充分だ。『ガガガザムライ』のORUを1つ取り除き、『ガガガガンマン』を対象として効果発動!このターン、『ガガガガンマン』は2回攻撃が出来る。そして『ガガガマンサー』がORUとして取り除かれた事で『ガガガガンマン』の攻撃力を500アップする」
ガガガガンマン 攻撃力1500→2000
これで『ガガガガンマン』の攻撃力がマシになった。続け様に左腕を突き出し、残るエクシーズモンスター、『ガガガガンマン』の効果を発動させる。
「『ガガガガンマン』のORUを1つ取り除き、効果発動!このターン、このカードが相手モンスターを攻撃するダメージステップの間、このカードの攻撃力を1000アップし、相手モンスターの攻撃力を500ダウンする!」
「つまり、攻撃力3000まで破壊出来るモンスター……!」
そう、柚子の言葉の通り、最大攻撃力が3000まで対応出来るモンスター。それこそがこの凄腕のガンマンなのだ。レベル4モンスター2体でエクシーズ召喚可能な所も手軽であり、『ガガガザムライ』の力を合わせる事で2回効果を発揮出来るのだ。
「ッ!成程、大口を叩くだけはあるみたいだねぇ」
「魔法カード、『エクシーズ・ギフト』を発動!2体のエクシーズモンスターのORUを1つずつ取り除き、2枚ドロー!」
黒コナミ 手札2→4
「カードを1枚伏せ、魔法カード、『エクスチェンジ』!互いに手札を1枚交換する」
「なぁんで君なんかと仲良くカードを交換しなきゃいけないんだか『クリッター』を貰うよ」
「『DNA移植手術』を貰う。バトル!『ガガガガンマン』で『ギガプラント』を攻撃!」
ガガガガンマン 攻撃力2000→3000
ギガプラント 攻撃力2400→1900
『ガガガガンマン』が2丁の拳銃をガンホルダーから引き抜き、乾いた音を撃ち鳴らす。1つ目の弾丸は氷上で跳ね返って2つ目の弾丸を押し出すようにぶつかり、その勢いを更に加速させ、火花を散らして『ギガプラント』の眉間を貫く。
ユーリ LP6500→5400
「装備された『スーペルヴィス』が墓地へ送られた為、墓地の通常モンスターとして扱うデュアルモンスター、『ギガプラント』を特殊召喚!」
ギガプラント 攻撃力2400
だがユーリとて負けてはいない。破壊された『ギガプラント』の効果を犠牲にする事で再び墓地より特殊召喚し、壁とする。息もつかせぬ2人の攻防、柚子はゴクリと喉を鳴らして食い入るように目を離さない。
「ならば『ガガガガンマン』で再び攻撃!」
ガガガガンマン 攻撃力2000→3000
ギガプラント 攻撃力2400→1900
ユーリ LP5400→4300
蘇るなら、再びその弾丸で破壊するまで。『ガガガザムライ』によって2回攻撃を得た『ガガガガンマン』はその2丁拳銃より更に発砲し、『ギガプラント』を撃ち倒す。これで残るモンスターは1体、モーレイ・ネペンテスのみだ。
「『ガガガザムライ』でモーレイ・ネペンテスを攻撃!」
ユーリ LP4300→4000
「くっ――!」
続く『ガガガザムライ』の攻撃、ホープの仇と言わんばかりに眼光を鋭くし、2振りの刀を下ろし、モーレイ・ネペンテスを袈裟斬りにし、真っ二つに切り裂く。これでユーリのモンスターは全滅、だがそのLPはモーレイ・ネペンテスの恩恵もあって初期値より下がってはいない。
黒コナミは思ったよりも長引きそうだな、とニヤリと笑う。長引く分には構わない。強者とのデュエル、それは少しでも長く味わいたいものなのだから。
「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」
黒コナミ LP3500
フィールド『ガガガガンマン』(攻撃表示)『ガガガザムライ』(攻撃表示)
『エクシーズ・チェンジ・タクティクス』セット2
『希望郷―オノマトピア』
手札1
「僕のターン、ドロー!」
「永続罠、『DNA移植手術』を発動。光属性を選択」
「魔法カード、『マジック・プランター』!『最終突撃命令』をコストに2枚ドロー!」
ユーリ 手札2→4
「魔法カード、『打ち出の小槌』を発動し、手札を交換。魔法カード、『闇の誘惑』で2枚ドローし、『クリッター』を除外、永続罠、『アイヴィ・シャックル』!その効果により僕のターンの間、君のモンスターは植物族モンスターとなる!」
「?何でそんな事――」
発動された永続罠により、氷の下から無数の蔦が飛び出し、黒コナミのフィールドに存在する2体の『ガガガ』エクシーズモンスターに絡みつき、養分を吸いとって成長する。身体より不気味な色をした花を咲かせたその姿は正に植物状態。
柚子は何故そんなカードを使ったのかと疑問を溢し、黒コナミは「何故男の束縛なんて見なきゃいかんのだ」と小さく呟く。恒例行事である。慣れて欲しい。
「こうする為さ!魔法カード、『フレグランス・ストーム』!このカードは敵味方関係無く、フィールド上で表側表示で存在する植物族を破壊し、ドローするカード!僕が破壊するのは『ガガガザムライ』!1枚ドロー!おっと、引いたカードは植物族モンスター、『返り咲く薔薇の大輪』だ。よってもう1枚ドロー!」
ユーリ 手札2→3→4
『アイヴィ・シャックル』と『フレグランス・ストーム』を合わせた凶悪極まりないコンボ。それによって相手モンスターを破壊した上で確率ではあるが『強欲な壺』と同じく2枚ドローするカードへと生まれ変わるのだ。アドバンテージしか取ってない。
「魔法カード、『マジック・プランター』!永続罠、『アイヴィ・シャックル』を墓地へ送り、2枚ドロー!」
ユーリ 手札4→5
「手札が悪いなぁ……交換しようか、魔法カード、『手札抹殺』!手札を捨ててドロー!」
「……何?」
ユーリの行動を見て、黒コナミがピクリと反応する。それは手札が悪い、と言う言葉に対してのものでは無い。正確に言えば、ユーリの行動と言うより、彼の手によって捨てられたカードを見て、だ。先程手札に加えられた『返り咲く薔薇の大輪』は良い。だが他のカードが問題だ。
『古代の機械飛竜』、『古代の機械猟犬』が2枚。植物族が主軸のデッキならば手札事故が起こるのも頷けるカード群だ。一体何故――そこまで思考し、1つの解答に至る。まさか、あのカードを出す為の出張要員――。
「悪いね、君の事を舐めている訳じゃ無いんだ。ほら、エクシーズ次元の奴を相手取るならこのカードを使えば動揺してくれるだろうし――お仲間と同じように、このカードでカード化されるなら本望でしょ?魔法カード、『オーバーロード・フュージョン』発動!」
ニヤリと背筋が凍るような笑みを浮かべ、1枚のカードをデュエルディスクに叩きつけるユーリ。フィールドでソリッドビジョンによってその緑色のカードが出現し、どこまでも深い漆黒の渦が巻き起こる。
闇属性、機械族を融合召喚する為の専用融合。その範囲はフィールドと墓地、素材となるのは黒コナミとユーリの『手札抹殺』で捨てられた4体の『アンティーク・ギア』モンスター。そこから導き出される融合モンスターは――。
「融合召喚!現れろ!この世の全てを形無き混沌に帰す究極破壊神!『古代の機械混沌巨人』!」
古代の機械混沌巨人 攻撃力4500
現れたる『アンティーク・ギア』、最凶の切り札。身体中に青き猟犬の首を模したボディを淡く輝かせ、深紅に濡れた単眼がギョロリと黒コナミのフィールドを睨み、ズシィィィィィンッ、と激しい轟音を放ち、氷のフィールドに君臨する。
空を突き破るような巨体、その雄大な姿に黒コナミが「ほう」と呟き、柚子が両手で口を覆い、目を見開く。
「今回は入れて良かったかもねぇ、幾ら君でも、このカードは早々倒せないだろう?」
「構わんさ、負けた時の言い訳にしなければな」
「その生意気な減らず口、直ぐに黙らせてあげるよ!バトル!『古代の機械混沌巨人』で『ガガガガンマン』に攻撃!クラッシュ・オブ・ダークネス!」
「罠カード発動!『ガード・ブロック』!戦闘ダメージを0にしてドロー!」
黒コナミ 手札1→2
黒コナミの周囲に薄い膜状のバリアが発生し、ダメージを防ぐ。しかしモンスターは別だ、『古代の機械混沌巨人』がその犬の形をした腕で『ガガガガンマン』を掴み、地面に叩きつける。余りの力強さに氷が砕け、突き破って水中に沈む『ガガガガンマン』。形勢逆転、状況は更に一転してユーリのペースとなった。
「カードを2枚セットしてターンエンドだ。もっと楽しませてよ、ほらほらぁ!」
ユーリ LP4000
フィールド『古代の機械混沌巨人』(攻撃表示)
セット2
手札1
「私のターン、ドロー!言われずとも存分に味わえ!私の希望を!『Vサラマンダー』を召喚!」
Vサラマンダー 攻撃力1500
黒コナミが手札より切り、召喚したのは炎に包まれた4つ首の蜥蜴。その姿はまるで深紅の鎧であり、驚く事に種族は魔法使いだ。
「召喚時効果により、墓地の『希望皇ホープ』を特殊召喚!!」
No.39希望皇ホープ 攻撃力2500→2700
希望郷―オノマトピア かっとビングカウンター0→1
Vサラマンダー 攻撃力1500→1700
勝利を目指す呼び声に応え、深海で眠っていたホープが先程『ガガガガンマン』が沈んだ穴よりザパァァァァンッ、と波打ち、天空に飛翔する。
「装備魔法、『ワンダー・ワンド』を『Vサラマンダー』に装備!」
Vサラマンダー 攻撃力1700→2200
「そして装備モンスターとこのカードを墓地に送り、2枚ドローする。往くぞ!最強デュエリストのデュエルは全て必然!ドローカードさえもデュエリストが創造する!」
黒コナミが突然その右腕を天へと翳し、眩き黄金の光が右腕目掛けて集束し、淡い輝きがフィールドを照らす。現実離れした超常の光景、その光を見て、柚子は勿論、ユーリも何が起こっているのかと目を見開き、口を開いて呆然とする事しか出来ない。
しかし黒コナミは違う、彼はこんなもの当たり前だとばかりに光を帯びた右腕をデッキトップに翳し、それに伝波したかのように輝きに包み込まれた黄金のカードを引き抜く。
「全ての光よ!力よ!我が右腕に宿り、希望の光を照らせ!シャイニングドローッ!!」
黒コナミ 手札1→3
圧倒的な力の奔流、それが今波紋となって広がり、空間そのものを震撼させる。運命をもねじ曲げ、幾重にも別れた可能性を1本に束ね、希望の未来へと変革する荒業、その力により、2枚のカードが黒コナミの手に渡る。
「カードを……創造した……!?」
「どう言う……事……!?」
「ふっ、やはりこうで無くてはな!魔法カード、『RUM-リミテッド・バリアンズ・フォース』を発動!ホープを素材に、ランクが1つ高いエクシーズモンスターへとランクアップさせる!オーバーレイ・ネットワークを再構築!カオス・エクシーズ・チェンジ!出でよ!CNo.39!混沌を統べる赤き覇王。悠久の戒め解き放ち赫焉となりて闇を打ち払え!」
呆然とする2人を一瞥し、黒コナミはホープを新たな姿へとランクアップさせる。赤き大地に立つ扉の鎖を解き、開いてその先の力を引き抜く。バキリ、金属音が響くと同時にホープの身体が今までとは違い、刺々しく鋭利なフォルムへと変化し、深紅に染まる。腰の2刀もその形を変え、曲刀となって握られる。
「降臨せよ!希望皇ホープレイV!!」
CNo.39希望皇ホープレイV 攻撃力2600→3000
希望郷―オノマトピア かっとビングカウンター1→2
フェイスは獣のような凶悪なものになり、その姿は皇と言うには余りに邪悪、正しく暴君。赤き両肩、銀のヘルム、ドス黒い翼。そして今までよりも赤く輝く39の数字が右肩に焼きつくかの如く宿る。鋭き眼光を巨人へと向ける儚き希望が、理想郷に降り立つ。
「『エクシーズ・チェンジ・タクティクス』の効果発動!」
黒コナミ LP3500→3000 手札2→3
「フ、ハハハハハッ!まさかカードを創造するなんてねぇっ!良いね君!でもそのモンスターじゃ僕のモンスターには届かない!」
「届かせる必要も無い!儚く散れ!ホープレイVのCORUを1つ取り除き、『古代の機械混沌巨人』を破壊し、その攻撃力分のダメージを与える!Vブレードシュート!」
「ユーリのLPは4000――これなら!」
CORUを弾き飛ばし、ホープレイVは両手に握った2刀の剣を合わせ、薙刀のような形とし、ブーメランのように巨人へと投擲する。これが通れば勝ち。柚子は思わず声を弾ませるが――。
「甘いよ!罠発動!『レインボー・ライフ』!手札を1枚捨て、このターン、発生するダメージは全て回復となる!」
「そんなっ――!」
ユーリ LP4000→8500
ユーリが発動した罠カードによって虹色に輝くバリアが発生し、ホープレイVの効果で破壊された『古代の機械混沌巨人』の破片がオーロラのカーテンを通り、傷を癒す光の粒子へと変化する。ゴウゴウと蔓延する黒煙さえも届かない。これでユーリのLPは8500。倍以上となったLPに柚子が表情を曇らせるのも無理は無い。
「ほう……カードを1枚セットしてターンエンド。次はどう出る?」
黒コナミ LP3000
フィールド『CNo.39希望皇ホープレイV』(攻撃表示)
『エクシーズ・チェンジ・タクティクス』『DNA移植手術』セット1
『希望郷―オノマトピア』
手札2
「僕のターン、ドロー!僕は魔法カード、『命削りの宝札』を発動!手札が3枚になるまでドローする!」
ユーリ 手札0→3
「モンスターをセット、カードを1枚伏せ、ターンエンド。残る手札は宝札の効果で捨てる」
ユーリ LP8500
フィールド セットモンスター
セット2
手札0
「私のターン、ドロー!それで終わりか?罠発動!『罪鍵の法―シン・キー・ロウ』!ホープレイVを選択し、同じ攻撃力を持つ『アンブラル・ミラージュ・トークン』を特殊召喚する!」
アンブラル・ミラージュ・トークン 攻撃力3000→3400×3
黒コナミのフィールドに3つの鍵が出現し、ホープレイVの姿を模す。たった1枚から攻撃力3000オーバーのモンスターが3体、尤もこのトークンは直接攻撃出来ない為、そう簡単な話では無いが。
「『アンブラル・ミラージュ・トークン』でセットモンスターを攻撃!」
「破壊された『プチトマボー』の効果でデッキから『プチトマボー』2体を特殊召喚!」
プチトマボー 守備力400×2
ユーリが召喚したモンスターは何とも言いがたい、腐った目で虚空を見つめるトマト頭のモンスター。面倒な事になった。これではユーリのLPに届かない。
「ならば2体の『アンブラル・ミラージュ・トークン』で『プチトマボー』を攻撃!」
「『プチトマボー』の効果でデッキから『トマボー』3体を特殊召喚!」
トマボー 守備力800×3
「ホープレイVで『トマボー』を攻撃!」
最後の攻撃が1体の『トマボー』に炸裂する。2振りの曲刀で『トマボー』を切り裂き、3枚に下ろされる『トマボー』。どう言う訳か、黒コナミのモンスターが4体となって攻撃したにも関わらず、ユーリのモンスターも1体から2体に増えている。
「私はカードを1枚伏せ、ターンエンド」
黒コナミ LP3000
フィールド『CNo.39希望皇ホープレイV』(攻撃表示)『アンブラル・ミラージュ・トークン』(攻撃表示)×3
『エクシーズ・チェンジ・タクティクス』『DNA移植手術』セット1
『希望郷―オノマトピア』
手札2
「僕のターン、ドロー!僕は永続罠、『リビングデッドの呼び声』と『オーバー・デッド・ライン』を発動!『ギガプラント』を蘇生し、攻撃力を1000アップする!」
ギガプラント 攻撃力2400→3400
「そして『ギガプラント』を再度召喚!効果で『ローンファイア・ブロッサム』を蘇生!」
ローンファイア・ブロッサム 守備力1400
「『トマボー』をリリースし、『ローンファイア・ブロッサム』の効果で『捕食植物スキッド・ドロセーラ』を特殊召喚!」
捕食植物スキッド・ドロセーラ 守備力400
更なるユーリの手がフィールドを侵食する。現れたのは顎のように鋭い歯が伸びた葉を蓄えた、ギョロギョロと不気味な目を蠢かせる植物。モーレイ・ネペンテスに続き、2枚目の『捕食植物』の登場に黒コナミは警戒を示す。
「『ギガプラント』でホープレイVを攻撃!」
「ッ!破壊されたホープレイVの効果で墓地のホープをエクストラデッキに戻す!そしてコピー元を失った事でトークンは破壊される……!」
黒コナミ LP3000→2600
「僕は『オーバー・デッド・ライン』を墓地に送り、『マジック・プランター』発動。2枚ドローする」
ユーリ 手札0→2
「カードを2枚セットしてターンエンド」
ユーリ LP8500
フィールド『ギガプラント』(攻撃表示)『捕食植物スキッド・ドロセーラ』(守備表示)『ローンファイア・ブロッサム』(守備表示)『トマボー』(守備表示)
『リビングデッドの呼び声』セット2
手札0
「私のターン、ドロー!『ゴゴゴジャイアント』を召喚!」
ゴゴゴジャイアント 攻撃力2000→2400
「『ゴゴゴジャイアント』の効果により、墓地の『ゴゴゴゴースト』を特殊召喚!」
ゴゴゴゴースト 守備力0→400
『ゴゴゴ』モンスターの蘇生、この効果により、『ゴゴゴジャイアント』は膝を落とし、両腕をクロスさせて守備表示となるが、エクシーズに繋げるならば大した問題ではない。
「ゴーストの効果で『ゴゴゴゴーレム』蘇生!」
ゴゴゴゴーレム 守備力1500→1900
「行くぞ『ゴゴゴジャイアント』と『ゴゴゴゴースト』の2体でオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!『No.39希望皇ホープ』!!」
No.39希望皇ホープ 攻撃力2500→3100
希望郷―オノマトピア かっとビングカウンター2→3
ゴゴゴゴーレム 守備力1900→2100
「またホープかぁ……ワンパターンだねぇ」
「何とでも言え、『エクシーズ・チェンジ・タクティクス』の効果発動!」
黒コナミ LP2600→2100 手札2→3
「リバースカードオープン!速攻魔法、『RUM-クイック・カオス』!オーバーレイ・ネットワークを再構築!カオス・エクシーズ・チェンジ!現れろ、CNo.39!未来に輝く勝利を掴め。重なる思い、繋がる心が世界を変える!希望皇ホープレイ・ヴィクトリー!!」
CNo.39希望皇ホープレイ・ヴィクトリー 攻撃力2800→3600
希望郷―オノマトピア かっとビングカウンター3→4
ゴゴゴゴーレム 守備力2100→2300
『希望皇ホープ』が新たに白を基調とし、赤、青、黄、と様々なカラーリングの装甲を纏っていく。4枚の黄金の翼、4本の赤腕に剣を手にし、ホープレイVが真なる姿となった勝利への希望。凄まじきオーラを迸らせ、黒コナミのフィールドに降り立ち、左肩に39の赤い紋様が煌めく。
「『エクシーズ・チェンジ・タクティクス』の効果でシャイニングドロー!!」
黒コナミ LP2100→1600 手札3→4
このデュエル、2回目のカードの創造が放たれ、空中に、光の軌跡が描かれる。美しき放物線で黒コナミの手に渡る1枚のカード。これで手札は4枚、充分に動ける枚数だ。
「かっとビングカウンターを2つ取り除き、デッキから『ガガガカイザー』を特殊召喚!」
ガガガカイザー 攻撃力1800→2200
「その効果で墓地の『Vサラマンダー』を除外し、レベルをコピー!」
ガガガカイザー レベル3→4
「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!『交響魔人マエストローク』!」
交響魔人マエストローク 攻撃力1800→2200
このターン、3回目のエクシーズ召喚、音楽隊を思わせる羽根つき帽子と黒い礼装を纏い、白く輝くレイピアを持った『魔人』が姿を見せる。
「私は更に『ZW―阿修羅副腕』と『ZW―極星神馬聖鎧』をホープレイ・ヴィクトリーに装備する!」
CNo.39希望皇ホープレイ・ヴィクトリー 攻撃力3200→5200
黒コナミが2度のシャイングドローによってその手札に加えた2枚の『ZW』、ホープの神器が装備される。真紅の神馬に跨がり、修羅の腕を得たホープレイ・ヴィクトリーはその攻撃力を大きく跳ね上がる。
「魔法カード、『エクシーズ・ギフト』を発動し、ヴィクトリーとマエストロークのORUを1つずつ取り除き、2枚ドロー!」
黒コナミ 手札1→3
「さぁバトルだ!」
「この瞬間、罠発動!『攻撃の無敵化』!このターン、僕が受けるダメージは0になる!」
「だが阿修羅副腕を装備したモンスターは全てのモンスターに攻撃出来る!殲滅しろ!ホープ剣・ダブル・ヴィクトリー・スラッシュッ!」
神馬を駆り、複数の腕で持った剣を振るい、ユーリのモンスター全てを切り裂くホープレイ・ヴィクトリー。その姿は正しく修羅。一騎当千の刃が炸裂し、草の根1つ残らぬ焼け野原にする。
「スキッド・ドロセーラが離れた事で君のモンスターに捕食カウンターを乗せる」
CNo.39希望皇ホープレイ・ヴィクトリー 捕食カウンター0→1
交響魔人マエストローク 捕食カウンター0→1
「良いだろう、カードを1枚伏せ、ターンエンド」
「この瞬間、罠発動!『裁きの天秤』!7枚ドロー!」
ユーリ 手札0→7
黒コナミ LP1600
フィールド『CNo.39希望皇ホープレイ・ヴィクトリー』(攻撃表示)『交響魔人マエストローク』(攻撃表示)
『ZW―阿修羅副腕』『ZW―極星神馬聖鎧』『エクシーズ・チェンジ・タクティクス』『DNA移植手術』セット1
『希望郷―オノマトピア』
手札2
「……凄い……!」
互いに一歩も譲らぬ激しい攻防が続く中、不意に柚子が感嘆の声を呟く。一瞬たりとも目を離せない、一歩たりともこの場から動く事が出来ない。
一進一退、手に汗握る熱いデュエルに言葉も忘れ見入ってしまう。一体どちらが勝つのか何て予想もつかない。胸を握り締め、その額から汗が伝う中、ユーリは――。
「さぁて、そろそろ本気、出しちゃおっかなぁ……!」
口元を吊り上げ、笑う彼、それは更なる闘いの激化を物語っていた――。
次回 キボウノヒカリ