遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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オベリオン「デザイン的に進化前の奴に上位互換の効果使われるとかお前マジかよwww」

ダーク・レクイエム「」




第72話 孤高なる覇王の流儀

「俺のターン、ドロォォォォォッ!」

 

火山エリアにて、激しさを増す、覇王VS勝鬨 勇雄&桜樹 ユウのデュエル。桜樹のターンに回り、彼は身体中に檄を注入し、裂帛の気合いと共にデッキの上から1枚のカードを引き抜く。逆境だからこそ、闘志を燃やし、奮い立つべきだ。彼の気合いは勝鬨にも伝わり、互いの炎を更に発火させる。

 

「ラメイソンの効果発動!墓地の『セフェルの魔導書』をデッキに戻し、1枚ドロー!」

 

桜樹 ユウ 手札6→7

 

「手札の『魔導書庫ソレイン』、『ゲーテの魔導書』、『アルマの魔導書』を公開し、手札のジュノンを特殊召喚!」

 

魔導法士ジュノン 攻撃力2500

 

「もう1体だ!もう1度ソレイン、ゲーテ、アルマを公開し、ジュノンを特殊召喚!」

 

魔導法士ジュノン 攻撃力2500

 

フィールドに現れる2体のジュノン。破壊効果を持つこの2枚のカードを使い、覇王のカードを破壊し尽くし、勝鬨へと繋げる。まずは1枚目。

 

「墓地の『グリモの魔導書』を除外し、ジュノンの効果でマリン・ネオスを破壊!」

 

「罠発動!『スキル・プリズナー』!マリン・ネオスを対象とするモンスター効果を無効に!」

 

しかし相手も強い。そう簡単に行かせてはくれず、ジュノンの放つ雷をバリアで防ぐ。だがまだチャンスは残っている。直ぐ様次の布石を打つ。

 

「魔法カード、『アルマの魔導書』発動!除外されている『グリモの魔導書』を回収、発動!デッキの『セフェルの魔導書』サーチ!手札のソレインを公開し、墓地のグリモをコピーする!『ヒュグロの魔導書』サーチ!まだだ!『魔導書庫ソレイン』発動!デッキの上の2枚からセフェルをサーチ!」

 

サーチ、サーチ、サーチ。連続するサーチカードに桜樹のデッキが圧縮され、その回転速度を上げる。ここで『魔導書の神判』があればと思うのはやはり魔導使いだからか。しかしパワーカード過ぎる為、帰って来る事は無いだろうが――日々、今ならイケる気がすると妄想するだけなら良い筈だろう。

 

「墓地のソレイン除外、2体目のジュノンの効果でフレア・ネオスを破壊!」

 

「手札の『エフェクト・ヴェーラー』を切り、無効」

 

「ッ!まだだぁ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!『魔導法皇ハイロン』!!」

 

魔導法皇ハイロン 攻撃力2800

 

2回の無効を乗り越え、桜樹は自らの武器を抜く。現れたのは彼のエースカード、豪奢な法衣に身を包み、頭に冠を被ったタロットの法皇。例えジュノンの効果が通らなくとも、このカードの効果ならば一気に相手のバックを破壊し、桜樹の予想が正しいなら――フレア・ネオスとグラン・ネオス、2体の強力な『ネオス』を処理出来る。

 

「ハイロンのORUを1つ取り除き、効果発動!俺の墓地の『魔導書』カードの数、5枚まで魔法、罠カードを破壊!覇王!お前のカードを全て破壊する!『安全地帯』を失う事でティンクル・モスは破壊され、お前は『ネオスペース』が有る限り、コンタクト融合体はエクストラデッキに戻らないと言った!なら『ネオスペース』が無くなれば――どうだ!」

 

「頭の回転が早い奴だ。生徒に欲しい、が、まだ甘い!速攻魔法、『コンタクト・アウト』!」

 

「2枚目を温存していたのか……!」

 

「グラン・ネオスの融合を解除し、『ネオス』とグラン・モールを特殊召喚!」

 

E・HEROネオス 攻撃力2500

 

N・グラン・モール 守備力300

 

E・HEROマリン・ネオス 攻撃力3300→2800

 

E・HEROフレア・ネオス 攻撃力7000→4500

 

これこそが桜樹の狙い。相手の魔法、罠を破壊しつつ、コンタクト融合体を戻す。しかし覇王もまだ反撃の手は残っている。ハイロンの効果を無効には出来なかったものの、グラン・ネオスのバウンスを防ぎつつ、2体のモンスターを特殊召喚する。

だがこれで活路は開いた。『ネオス』達を弱体化させ、フレア・ネオスの除去を確定させたのだ。流石はユースクラス最強、前回のチャンピオンシップの覇者と言う事か。

 

「魔法カード、『ヒュグロの魔導書』でハイロンの攻撃力を1000アップ!」

 

魔導法皇ハイロン 攻撃力2800→3800

 

「攻撃だ!ハイロン、マリン・ネオスを倒せ!」

 

「チ――!」

 

覇王 LP10300→9300

 

ハイロンが杖から光輝く球体を撃ち出し、閃光がマリン・ネオスを貫く。疾風が覇王の背から伸びる真紅のマントを揺らし、礫が鎧にカツンとぶつかり、思わず舌打ちを鳴らす。

 

「『ヒュグロの魔導書』の効果で『グリモの魔導書』をサーチ!カードを2枚伏せ、ターンエンド!フレア・ネオスはエクストラデッキに戻る!」

 

桜樹 ユウ LP2300

フィールド『魔導法皇ハイロン』(攻撃表示)

セット3

『魔導書院ラメイソン』

手札3

 

「自分のターン、ドロー!魔法カード、『手札抹殺』発動!そして天権を墓地に送り、『マジック・プランター』発動!2枚ドローする!引いた中にもう1枚、天センを墓地に送り、2枚ドロー!」

 

勝鬨 勇雄 手札1→3→4

 

「この瞬間、俺は速攻魔法、『ディメンション・マジック』を発動!ハイロンをリリースし、手札の『魔導鬼士ディアール』を特殊召喚!そしてグラン・モールを破壊する!」

 

魔導鬼士ディアール 攻撃力2500

 

「そう来るか……!」

 

勝鬨のサポートをすべく、桜樹が手を回す。魔法使い族の世紀の大魔術、『ディメンション・マジック』。それによりハイロンがボックスに入り、次々とナイフが刺さる。そしてボックスが開き、血祭りに上げられたのは鬼畜モグラ。回りに回ったツケだろう。そしてボックスを踏み台に、おどろおどろしい鬼が姿を見せる。

 

「助かる。自分は『融合』を発動!手札の『天融星カイキ』と『地翔星ハヤテ』で融合!天に融けし者よ、地を飛び、今一つとなって悠久の覇者たる星と輝け!融合召喚!来い!『覇翔星イダテン』!!」

 

覇翔星イダテン 攻撃力3000

 

桜樹の支援を受け、勝鬨は手札を切る。その手から翳した1枚は『融合』。最近では『炎星』エクシーズ達を使っているが、やはり彼の得意とするのはこれだろう。2体のモンスターが力を合わせ、紫の甲冑纏う覇者となる。

 

「バトルだ!イダテンで『ネオス』に攻撃!」

 

「墓地の『ネクロ・ガードナー』を除外し、攻撃を無効にする」

 

イダテンが手に持った漆黒の槍を『ネオス』に突き出す。この攻撃が通ればイダテンの効果で『ネオス』の攻撃力は0となり、大ダメージを与えられるのだが――覇王は墓地より赤い鎧の戦士の効果を使い、『ネオス』の前にバリアを作る。

 

「硬いな……カードを1枚伏せ、ターンエンドだ!」

 

勝鬨 勇雄 LP2250

フィールド『覇翔星イダテン』(攻撃表示)

セット2

手札0

 

「僕のターン、ドロー!魔法カード、『ミラクル・コンタクト』!墓地の『ネオス』とキモイルカ、キモチュッチュッをデッキに戻し、トリプルコンタクト融合!!」

 

「トリプル!?」

 

「コンタクト!?」

 

覇翔が更にその実力を剥き出しにする。3体のモンスターを素材に要求する、コンタクト融合のその先。銀河の英雄に、水と風の『N』が重なり、礫の如き鋭い雨を降らせた暴風を巻き起こす。

『ネオス』とキモいの2体の合体、それがどのような化学反応を起こすのか、2人はその表情に緊張を走らせる。

 

「3つの力が1つとなった時、遥か大宇宙の彼方から、最強の戦士を呼び覚ます!トリプルコンタクト融合!銀河の渦の中より現れよ!『E・HEROストーム・ネオス』!!」

 

E・HEROストーム・ネオス 攻撃力3000

 

2人の予想とは裏腹に、現れたのは正統派の『HERO』だ。身体全体を鮮やかな青に染め、背に巨大な翼を広げた3体の強大な力を内包した新たな『ネオス』。その纏う嵐は大宇宙のブラックホールさえも引き裂く。

 

「ストーム・ネオスの効果!1ターンに1度、フィールドの魔法、罠を全て破壊する!僕の場には既にバックは無い。やられたら倍にして返す、それが孤高なる覇王の流儀だ!アルティメット・タイフーン!」

 

「くっ、ならばこちらも速攻魔法、『ゲーテの魔導書』を発動!」

 

「チェーンにして永続罠、『炎虎梁山爆』を発動!桜樹!」

 

「それだと思ってたよ!更にチェーンにして罠発動!『ホーリーライフバリアー』!手札を1枚捨て、このターン、僕が受ける全てのダメージを0にする!」

 

「何――!?」

 

ストーム・ネオスの効果にチェーンにして、3つのカードが発動される。それを見てしまったと思ったのは覇王。桜樹のゲーテは予想していたが――、勝鬨の発動したカードは予測の外側、しかも桜樹が更にそれに合わせたのだ。2人の阿吽の呼吸が覇王を切り裂く刃となる。

 

「逆順処理だ、桜樹の『ホーリーライフバリアー』が発動され、自分の『炎虎梁山爆』の効果で自分フィールドの永続魔法、永続罠の枚数分、LPを500回復!」

 

勝鬨 勇雄 LP2250→2750

 

「そして俺のゲーテの効果により、墓地のアルマ、セフェル2枚の合計3枚の『魔導書』魔法カードを除外し、3つ目の効果を適用!ストーム・ネオスを除外!」

 

「さて、次はお前の番だ。ストーム・ネオスの効果で魔法、罠が破壊され――破壊された『炎虎梁山爆』の効果で、自分の墓地の永続魔法、永続罠の数×500ダメージを相手に与える!その数は8枚!よって4000のダメージ!桜樹は『ホーリーライフバリアー』によって受けないがな……!」

 

「……!」

 

一気に4000ものダメージ。LPが初期値ならばピッタリ削り取れる数値だ。しかし桜樹はこのダメージを既に回避している。よって覇王のLPのみが削られると言う訳だ。

大胆不敵、驚天動地のコンビネーション。しかもゲーテの効果により、ストーム・ネオスが除去され、思わず鉄仮面の奥の目を見開く覇王。

瞬間、勝鬨の右足に金色に輝く焔が駆け抜け、不敵な笑みを浮かべる。更にその場を疾駆し、勢いのまま大きく跳躍。右足を突き出し、覇王へと食らわせる。

 

「少森寺拳法、我流、『炎虎梁山爆』蹴り――!!」

 

覇王 LP9300→5300

 

「ぐ……ぅぁ……っ!?」

 

「……お前、暴力はやめたんじゃ無かったっけ?」

 

「演出演出」

 

覇王を背に、勝鬨が右足に宿った焔を振るい、金色の粉が散る。そのまま勝鬨はバック転で桜樹の元へと帰っていく。

圧倒的なダメージを受け、鎧にひびが走り、軋み、よろめく覇王。だがまだまだ、先は長い。

 

「――!ぺたんこ姉妹並のコンビネーションと、BBにも劣らない身体能力か。面白い……!フレア・スカラベを召喚!」

 

N・フレア・スカラベ 攻撃力500

 

「『ネオス』とフレア・スカラベでコンタクト融合!『E・HEROフレア・ネオス』!!」

 

E・HEROフレア・ネオス 攻撃力2500

 

「僕は装備魔法、『インスタント・ネオスペース』をフレア・ネオスに装備する」

 

E・HEROフレア・ネオス 攻撃力2500→2900

 

「ターンエンドだ。『インスタント・ネオスペース』を装備したコンタクト融合体はエクストラデッキには戻らない」

 

覇王 LP5300

『E・HEROフレア・ネオス』(攻撃表示)

『インスタント・ネオスペース』

手札1

 

「俺のターン、ドロー!チューナーモンスター、『エフェクト・ヴェーラー』を召喚!」

 

エフェクト・ヴェーラー 攻撃力0

 

彼がその手から召喚したのは覇王も使ったレベル1のチューナーモンスターだ。相手ターンのみだけ手札から捨てる事でモンスターの効果を無効にする効果は、手札誘発系の中でも優秀な部類に入る。ただし今回はチューナーとしての活用だが。

 

「レベル6のディアールにレベル1『エフェクト・ヴェーラー』をチューニング!シンクロ召喚!『アーカナイト・マジジャン』!」

 

アーカナイト・マジジャン 攻撃力400→2400 魔力カウンター0→2

 

「『アーカナイト・マジジャン』はシンクロ召喚に成功した時、魔力カウンター2つを自身に置き、その数×1000攻撃力を上げる。そしてカウンターを1つ使い、フレア・ネオスを破壊する!」

 

「墓地の『スキル・プリズナー』を除外し、このターン、フレア・ネオスを対象とするモンスター効果を封じる!」

 

「ならもう1つを使い、『インスタント・ネオスペース』を破壊!」

 

アーカナイト・マジジャン 攻撃力2400→400 魔力カウンター2→0

 

「更に魔法カード、『ミラクルシンクロフュージョン』発動!フィールドの『アーカナイト・マジジャン』と墓地のハイロンで融合!融合召喚!『覇魔導士アーカナイト・マジジャン』!!」

 

覇魔導士アーカナイト・マジジャン 攻撃力1400→3400 魔力カウンター0→2

 

シンクロモンスターとエクシーズモンスターを使用しての融合召喚。これまでの全てがこの為の布石と言わんばかりの一手に覇王はおろか、勝鬨までも目を見開く。これが桜樹の新たな切り札、漆黒の法衣に青の光を走らせ、巨大な杖を振るう魔法使い。魔導の真髄を極めし者が、今フィールドに降り立つ。

 

「更に墓地の『魔導書院ラメイソン』、『グリモの魔導書』、『ゲーテの魔導書』を除外し、ディアール復活!」

 

魔導鬼士ディアール 攻撃力2500

 

「バトルだ!覇魔導士でフレア・ネオスを攻撃!ディアールでダイレクトアタック!」

 

覇王 LP5300→4400→1900

 

2体が巨大な魔力の奔流を合わせ、黒く輝く球体を作り出す。球体は高速で回転しながら撃ち出され、覇王の身体を貫く。ピシリ、またしても甲冑に亀裂が走り、真紅のマントが揺れ、膝をつく。

 

「ターンエンドだ」

 

桜樹 ユウ LP2300

フィールド『覇魔導士アーカナイト・マジジャン』(攻撃表示)『魔導鬼士ディアール』(攻撃表示)

手札0

 

「自分のターン、ドロー!バトルだ!イダテンでダイレクトアタック!これで、終わりだぁっ!」

 

渾身の力を込めた一撃、最後の一振りが覇王へ向かい、漆黒の刃がその鎧を貫く――その、前に。

 

「手札の『速攻のかかし』を捨て、攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する――!」

 

現れたる最高の防御札。草臥れた三角帽子にワインレッドのサングラス、2本の木の枝をクロスさせ、かかしがイダテンの一撃を防ぐ。ここに来てこのカード、とんでも無い豪運だ。重い盾を前に、槍は押しても前に進まない。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

勝鬨 勇雄 LP2750

フィールド『覇翔星イダテン』(攻撃表示)

セット1

手札0

 

桜樹と勝鬨、両者共に全力を尽くし、覇王を追い詰める。一万以上あったLPを削り、今や彼のフィールドのカードは0。対する2人のフィールドには切り札級のモンスターが揃い、隙の無い布陣となっている。

 

「……見事、と言わざるを得ないな。2人がかりとは言え、僕のLPをここまで削り、自慢のモンスターも事如く破壊して来た。称賛に値する。勇者達よ、名を聞こうか」

 

「……桜樹 ユウ」

 

「……勝鬨 勇雄」

 

「桜樹と勝鬨、か、覚えておこう。そして誇れ、アカデミアでもこれ程までに僕と渡り合える者は少ない」

 

「……自慢か?」

 

「フ――そうだな、そう捉えてもらっても構わん。今の僕は未熟ながら教師。導く者として教えてやろう、上には上がいる」

 

瞬間、ゴウッ!と覇王を中心として激しい烈風が吹き抜ける。熱を帯び、肌をジリジリと焦がすようなそれに、2人の顔が強張る。目を背向けたくなるような圧倒的な力、その正体を勝鬨は脳裏に浮かべる。これは一種に、氣や気合いと呼ばれるものだろう。丹田から放たれる強者の気迫。それが剥き出しとなって、2人に襲いかかる。

 

「僕のターン……ドロォォォォォッ!!」

 

その手甲を嵌めた手を翳し、勢い良く1枚のカードを引き抜く覇王。風が逆巻き、突風が漆黒の軌跡に染まる。それはまるで、あの時の、闇に呑まれた遊矢が創り出した暗黒のアーク、覇王のドローが、そこにはあった。

 

「たった1枚のカードが世界を変える。それがデュエルと言うものだ。魔法カード、『ホープ・オブ・フィフス』!墓地の『E・HEROマリン・ネオス』、『E・HEROフレア・ネオス』、『E・HEROアナザー・ネオス』、『E・HEROプリズマー』2体をデッキに戻し、2枚ドロー!更に、フィールドにこのカード以外のカードが無い為、追加でドロー!」

 

覇王 手札0→3

 

たった1枚のカードから手札を3枚まで回復させる脅威的な豪運。圧倒的な力によって引き込まれるとんでも無い荒業が炸裂する。やはりこの男は、遊矢やコナミと同じ、カードに選ばれた者なのだろう。

 

「3枚目の『ミラクル・コンタクト』を発動!墓地の『E・HEROネオス』、『N・ティンクル・モス』、『N・ブラック・パンサー』の3体でトリプルコンタクト融合!!『E・HEROカオス・ネオス』!!」

 

E・HEROカオス・ネオス 攻撃力3000

 

2度目のトリプルコンタクトが炸裂する。覇王の背後に集結したるは、灰色に染まった『ネオス』と女性的なシルエットを持つ透き通った人影、そしてマントを靡かせた黒豹。3体が1つとなり、現れたのは黒いスーツに純白の鎧を纏い、蝙蝠のような巨大な翼を広げ、鋭い鉤爪を持つ混沌の『HERO』。コンタクト融合体では最も御しにくいカードではあるが――覇王やそれに比肩する実力者なら、その真価を発揮する。

 

「カオス・ネオスの効果発動!コイントスを3回行い、その表の数によって効果を適用!運命のコイントス、当然全て表ぇ!」

 

何かがおかしい。覇王のフィールドにソリッドビジョンのコインが出現し、弾かれる。3つのコインは上空でぶつかり合い、地でクルクルと回転し、同時にパタリと倒れ、全て表となる。適用する効果は――。

 

「相手モンスターを全て破壊!」

 

「何――!?」

 

カオス・ネオスが翼を広げ、飛翔し、鋭き鉤爪で2人のフィールドのモンスターへと斬撃を飛ばし、爆発して風が頬を撫でる。

 

「装備魔法、『アサルト・アーマー』をカオス・ネオスに装備!」

 

E・HEROカオス・ネオス 攻撃力3000→3300

 

「そして墓地に送り、2回の攻撃権を得る。そして魔法カード、『ダーク・コーリング』発動!墓地の『E―HEROマリシャス・エッジ』とグラン・モールで融合!融合召喚!『E―HEROダーク・ガイア』!!」

 

E―HEROダーク・ガイア 攻撃力3500

 

熱が渦巻く大地が隆起し、火柱が食い破るように天へと昇る。灼熱の溶岩を散らし、中から現れたのは白い岩石の鎧を纏い、悪魔の翼を伸ばしたダーク・ヒーロー。『ネオス』達とは全く方向性が違う、Eが目を覚ます。

 

「『E―HERO』……!?」

 

「バトルだ!ダーク・ガイアで勝鬨へ攻撃!ダーク・カタストロフ!」

 

「罠発動!『エクシーズ・リボーン』!ソウコを特殊召喚し、このカードをORUにする!」

 

魁炎星王―ソウコ 守備力1800

 

「最後まで全力を尽くすか――ソウコに攻撃変更!」

 

ダーク・ガイアがその右手を翳し、火山エリアの岩石を掌に集め、巨大な球体を作り出す。マグマが流れる岩石の球体、圧倒的なエネルギーを内包したそれはソウコ目掛けて投げ出され、押し潰す。

 

「――終わりだ、カオス・ネオスで攻撃――!ライト・アンド・ダークスパイラル!!」

 

桜樹 ユウ LP2300→0

 

勝鬨 勇雄 LP2750→0

 

繰り出される最後の攻撃、カオス・ネオスより放たれる光と闇が2人の身体を呑み込み、そのLPを削り取る。膨大なダメージは2人の身体に数多の傷を刻み――その堪え切れない痛みに、2人は意識を手放し、倒れ伏す。

勝者、覇王。彼は自身を相手に健闘した2人を心の中で讃え、くるりと踵を返す。

 

「安心しろ、カード化はしない。安全な場所まで運んでやる。力をつけ、また再び闘える事を楽しみに待つ。それこそが僕達の流儀、そうだろう?バレット――」

 

そう呟く覇王の前には、1人の男の姿。蒼い髪をオールバックに流し、眼帯を着け、胸に大きな傷を負ったその大柄な男の名は――バレット。

 

「……久し振りだな、覇王――いや、友ならばこう呼ぶべきか?」

 

――コナミ――。

 

――――――

 

アカデミアよりの苛烈な侵略が続く中、火山エリア、覇王達が存在するその反対方向にて、コナミはひたすらに駆けていた。目的は1つ、神楽坂が言っていた先生、本物を見つける事。

必死に探す彼の元に、黒い重厚なボディを煌めかせたD-ホイールが並ぶ。コナミの子分、黒門 暗次だ。彼はスピードを緩め、コナミへと声をかける。

 

「兄貴!何してんスか!?今何かこの大会スゲェ事になってんスけど――」

 

「暗次か!ちょうど良い!オレを乗せてくれ!探している奴がいるんだが、見つからなくてな!」

 

「事情は分かりませんが了解ッス!トバしますから後ろに乗って――」

 

暗次がコナミの頼みに二つ返事で了承し、D-ホイールを停止させた、その瞬間、2つの影が、彼等の前には降り立ち、その行く手を遮った――。

 

 

 

 

 

 

 




勝鬨君、桜樹君リタイア。カード化はされませんが病院送りです。勝鬨君は桜樹君に比べ軽傷ですが。ランサーズ入りには迷ったのですが、2人共ランサーズになると他のキャラの活躍を奪ったりキャラを食う可能性もありますので、特に勝鬨とか言う割りと万能キャラ、お前だよ。
シンクロ次元が大会じゃ無ければなぁ、大会だからこそやりたい事もあるし。ただ2人共怪我さえ無ければ社長的に黒咲さんに続くランサーズ最有力候補でした。自分もセキュリティのレベルが無ければ(以下略)に嬉しそうに頷く勝鬨君を書きたかったです。


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