遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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この回から少し暗めになっていきます。ご容赦を。


第75話 ティアドロップ

別れと言うものは何時も突然だ。気心が知れた親友であろうと、何時かはその時が訪れる。別れはとても辛い事だ、最初はその事実に気づかないかもしれない。

だがきっと、悲しみは心を蝕む。大事なものを失った悲痛が襲って来る。その時に、彼等がすべき行動は一体何であろうか?別れを惜しみ、泣き叫ぶ事、友を安心させる為、笑う事。

きっとその形は人の数だけあるだろう。別れは何時も、突然だ。

 

――――――

 

火山エリアの一角にて、8人のデュエリストが対峙していた。4人はアカデミアの精鋭、オベリスク・フォース。

それに立ち向かう4人のデュエリストは、風魔 日影、茂古田 未知夫、大漁旗 鉄平、九庵堂 栄太だ。誰も粒揃いのデュエリストであるが、今この時だけは窮地に陥っていた。

原因は敵の数だ。ほんの数人ならば充分に勝機はあっただろう、しかし、彼等は倒したと思いきや、またぞろぞろと現れる。流石に体力の限界、息を切らし、肩を震わせる。

助けに入った権現坂、沢渡、セレナ、ミエルも今は分断され、別の場所でデュエルをしている。

月影に応援を呼んで来るように頼んだものの、まだ時間がかかるだろう。負けは濃厚、だが――最後まで諦めない。未来へと、繋ぐ為に。

 

――――――

 

一方その頃、コナミと暗次、デイビットとマッケンジーのデュエルは佳境を向かえていた。相手のLPはどちらも倍以上に膨れ上がり、強力なモンスターが揃い踏み、バックのカードで万全の布陣を敷いている。更にデイビットは信じられない枚数の手札を握っている。

対するコナミと暗次は優秀なモンスターこそ存在するも、LPは風前の灯、どうしようも無く不利な状況。

それでもコナミは――先へ進む為、力を振り絞る。

 

「オレのターン、ドロー!『妖刀竹光』をスターダストに装備し、『黄金色の竹光』を発動!2枚ドロー!」

 

コナミ 手札2→4

 

発動される『竹光』カードによるドロー。墓地に送られ効果を発動するこのカードは『マジカルシルクハット』や『クリバンデット』を使う彼のデッキと相性が良く、隠し刀である『魂を吸う竹光』へと繋がるカードだ。

 

「ペンデュラム召喚!『賤竜の魔術師』!『相克の魔術師』!『曲芸の魔術師』!『E・HEROブレイズマン』!」

 

賤竜の魔術師 攻撃力2100

 

相克の魔術師 攻撃力2500

 

曲芸の魔術師 守備力2300

 

E・HEROブレイズマン 守備力1800

 

この絶望より抜け出すべく、コナミの武器である振り子が揺れる。淡く輝くペンデュラム、その軌跡が宙に描かれ、次々と光の柱がフィールドに激震する。

 

「賤竜の効果!墓地の慧眼を回収し、ブレイズマンの効果で『置換融合』をサーチ!」

 

「通すわ」

 

「相克の効果でフレイヤの効果を無効に!」

 

「そうはさせない!手札のアルテミスと『朱光の宣告者』を捨て、効果を無効にして破壊!」

 

「そう来ると思っていた……!スターダストの効果で相克の破壊を防ぐ!『置換融合』発動!フィールドのブレイズマンと賤竜を融合!融合召喚!『E・HERO Great TORNADO』!」

 

E・HERO Great TORNADO 攻撃力2800

 

「Great TORNADOの効果で相手フィールドのモンスターの攻守をターン終了時まで半分にする!タウンバースト!」

 

暗黒界の龍神グラファ 攻撃力3000→1500

 

暗黒界の武神ゴルド 攻撃力2600→1300

 

魔轟神ヴァルキュリス 攻撃力3200→1600

 

アテナ 攻撃力3000→1500

 

光神テテュス 攻撃力2900→1450

 

天空勇士ネオパーシアス 攻撃力2800→1400

 

勝利の導き手フレイヤ 攻撃力500→250

 

マシンナーズ・フォートレス 攻撃力2500→1250

 

マシンナーズ・ピースキーパー 守備力400→200

 

相手モンスター全ての攻守を半分にする強力な効果。尤もターン終了時までしか続かないが、それでも充分であり、暗次のモンスターまで弱体化してしまう今、それが戻るのならばメリットともとれる。風が吹き荒れ、悪魔も天使も機械ですら見境なく襲う。

 

「まだだ!手札を1枚捨て、墓地の『ジェット・シンクロン』を特殊召喚!」

 

ジェット・シンクロン 守備力0

 

「墓地の『シャッフル・リボーン』を除外し、刻剣を戻して1枚ドロー!」

 

コナミ 手札2→3

 

「慧眼をセッティングし、効果で自壊し、刻剣をセッティング!レベル5の『曲芸の魔術師』にレベル1の『ジェット・シンクロン』をチューニング!星雨を束ねし聖翼よ!魂を風に乗せ世界を巡れ!『スターダスト・チャージ・ウォリアー』、シンクロ召喚!」

 

スターダスト・チャージ・ウォリアー 攻撃力2000

 

Great TORNADOの運ぶ風がスターダストの星屑を帯び、竜巻となって逆巻く。そして中より鋭き刃が引き裂き、現れたるはスターダストを模した兜を被り、腰より6本の刃を伸ばした戦士。

 

「『スターダスト・チャージ・ウォリアー』のシンクロ召喚時、1枚ドロー!」

 

コナミ 手札3→4

 

「『竜脈の魔術師』を召喚!」

 

竜脈の魔術師 攻撃力1800

 

残る召喚権を使い、登場したのは『竜穴の魔術師』と対をなす若手の『魔術師』だ。

 

「竜脈をリリースし、『モンスターゲート』を発動!通常召喚可能なモンスターが出るまでデッキを捲り、そのモンスターを特殊召喚する!散々テテュスでドローしたんだ、こちらの運も負けてはいない事を思い知らせてやる!1枚目!『ダメージ・ダイエット』!2枚目!『オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン』!3枚目!『光の護封霊剣』!4枚目!『スキル・サクセサー』!5枚目!『オッドアイズ・ドラゴン』!さぁ、来い、世にも珍しい二色の眼の龍!『オッドアイズ・ドラゴン』ッ!!」

 

オッドアイズ・ドラゴン 攻撃力2500

 

『竜脈の魔術師』が自らに魔法をかけ、光輝く魔方陣へと姿を変えて次々とコナミのデッキからカードを排出していく。しかもほとんどが墓地発動が可能なカードだ。

そして長いドラムロールが止まり、現れたのはコナミのエースカード、緑と赤、2色の虹彩、所謂オッドアイを輝かせた真紅の竜。胸に青い宝玉を抱き、背に三日月の如く2本の角を伸ばしたそのモンスターは天へと咆哮する。

 

「流石だぜ……さすおに!」

 

「だけどまだ私達には及ばない!」

 

「それはどうかな?バトルだ!『スターダスト・チャージ・ウォリアー』でネオパーシアスへ攻撃!流星乱射!」

 

「残念ながらダメージは受けず、『天空の泉』の効果で除外し、回復!」

 

レジー・マッケンジー LP10800→13100

 

降りかかる刃の嵐、弱体化したネオパーシアスではそれを防ぐ事も出来ず、敗れ去る。ダメージは与えられず、むしろ回復されてしまうが――コナミはその手を緩めない。

 

「『スターダスト・チャージ・ウォリアー』は特殊召喚された全てのモンスターへ攻撃出来る!続けて『アテナ』、テテュス、フレイヤに攻撃!」

 

「ッ!だけど『天空の泉』の効果で回復!」

 

レジー・マッケンジー LP13100→15700→18100→18200

 

『スターダスト・チャージ・ウォリアー』の刃が飛び交い、マッケンジーのフィールドの天使族モンスターが全て切り裂かれ、光の粒子となって消えていく。

しかしそのその魂は『天空の泉』へ吸い込まれ、浄化されてマッケンジーのLPへと変換される。その数値なんと18200。モンスターは全て破壊したが、その代償として多大なLPを与えてしまった。

 

「ピースキーパーへ攻撃!」

 

「ピースキーパーのエフェクトで『マシンナーズ・ギアフレーム』をサーチし、『補給部隊』で1枚ドロー!」

 

デイビット・ラブ 手札15→16

 

「フォートレスに攻撃!」

 

デイビット・ラブ LP8600→7850

 

「『機甲部隊の最前線』のエフェクトで『マシンナーズ・ディフェンダー』を特殊召喚!フォートレスのエフェクトでバンドの君のセットカードを破壊!」

 

マシンナーズ・ディフェンダー 守備力1800

 

一気に畳み掛けるコナミ。Great TORNADOと『スターダスト・チャージ・ウォリアー』に抜群のコンビネーションでデイビットの機械軍団を倒して倒して倒しまくる。

眼前に青いボディを輝かせる重厚な壁が現れた事を確認し、構うものかと更に攻める。

 

「『マシンナーズ・ディフェンダー』へ攻撃!」

 

これでデイビットとマッケンジー、両者のフィールドのモンスターは0、がら空きとなった。だがコナミの攻撃権はまだ残っている。グルルと喉を鳴らし、眼を輝かせる飢えた竜を満足させる為、コナミは右手を突き出す。

 

「まずはデイビット!お前から倒す!『オッドアイズ』で攻撃!」

 

「残念だったネ!手札の『速攻のかかし』を捨て、バトルフェイズを終了!」

 

ここまで来てまさかの手札誘発カードの効果が炸裂し、草臥れた三角帽にワインレッドのサングラスを、木の枝をクロスさせ、かかしがジェット噴射で登場し、ドラゴンのブレスを防ぐ。

迂闊だった、これ程に手札が充実しているのだ。手札誘発の1枚や2枚、あってもおかしくないと言うのに。

結局大したダメージは与えられず、モンスターは全滅させたは良いも、LPを与えただけだ。

 

「『アドバンス・ドロー』発動!TORNADOをリリースし、2枚ドロー!」

 

コナミ 手札0→2

 

「カードを2枚セットし、ターンエンドだ」

 

コナミ LP1600

フィールド『オッドアイズ・ドラゴン』(攻撃表示)『閃光竜スターダスト』(攻撃表示)『スターダスト・チャージ・ウォリアー』(攻撃表示)『相克の魔術師』(攻撃表示)

『妖刀竹光』セット2

Pゾーン『竜穴の魔術師』『刻剣の魔術師』

手札0

 

「Meのターン、ドロー!『マシンナーズ・ソルジャー』を召喚!」

 

マシンナーズ・ソルジャー 攻撃力1600

 

「ソルジャーのエフェクトにより、手札の『マシンナーズ・スナイパー』を特殊召喚!」

 

マシンナーズ・スナイパー 攻撃力1800

 

「魔法カード、『アイアンコール』を発動!墓地の『マシンナーズ・ディフェンダー』を特殊召喚!」

 

マシンナーズ・ディフェンダー 守備力1800

 

次々とデイビットのフィールドに降り立つ機械の兵隊、『マシンナーズ』モンスター達。右腕がナイフとなった緑の人型ロボットに銃を担いだロボット、そして他の『マシンナーズ』と違い、壁のような形をした青い重機。とんでもない展開力だ。

 

「手札の『督戦官コヴィントン』と『マシンナーズ・ギアフレーム』を捨て、墓地の『マシンナーズ・フォートレス』を特殊召喚!」

 

マシンナーズ・フォートレス 攻撃力2500

 

「そして永続罠、『リビングデッドの呼び声』を発動!墓地の『督戦官コヴィントン』を特殊召喚!」

 

督戦官コヴィントン 守備力600

 

最後にデイビットのフィールドに現れたのは『マシンナーズ』モンスターを指揮するピンクカラーの人型ロボット。このカードこそがソルジャー、スナイパー、ディフェンダーの3体を統率する。

 

「コヴィントンのエフェクトでフィールドのソルジャー、スナイパー、ディフェンダーの3体を墓地へ送り、手札から『マシンナーズ・フォース』を特殊召喚する!」

 

マシンナーズ・フォース 攻撃力4600

 

コヴィントンの指令の下、3体の『マシンナーズ』がパーツを分離し、合体する。スナイパーの身体にソルジャーの頭、肩と腰、脚にはディフェンダーのパーツが装着され、最強の機械兵士が生み出される。攻撃力4600、召喚条件こそ厳しいものの、そのステータスは『古代の機械究極巨人』にも勝る。

 

「魔法カード、『二重召喚』を発動!さぁ、Meの切り札の登場だ!確かこうかな?Show Must Go On!コヴィントンとフォートレスの2体をリリースし、アドバンス召喚!『The big SATURN』!!」

 

The big SATURN 攻撃力2800

 

デイビットが1枚のカードを翳した途端、一気に場の空気が変わる。2体のモンスターが風に包まれ、光となって交差し、その1枚の糧となり、デイビットがデュエルディスクに叩きつける。

瞬間、天空に輝く星がキラリと煌めき、このフィールド目掛けて凄まじい速度で落ちる。ドォォォォォッ!轟音と共に大地を捲り上げ、土煙を纏って1体のモンスターが現れる。

鈍重な鐘のような巨体を持ち、剛腕を吹かせた機械族モンスター、それから放たれる威圧感は激しく、隣に並ぶ『マシンナーズ・フォース』の方が攻撃力が高いと言うのに小さく見える。

 

「これこそがMeの切り札!プラネットシリーズの1柱!おっと、『マシンナーズ・フォートレス』が墓地に送られた事で除外し、墓地の『マシンナーズ・メガフォーム』を特殊召喚!」

 

マシンナーズ・メガフォーム 攻撃力2600

 

呆然とするのも束の間、『マシンナーズ・フォートレス』が再びフィールドに浮上し、『マシンナーズ・ギアフレーム』と『マシンナーズ・ピースキーパー』を引き上げ、二足歩行に変形して合体する。

『マシンナーズ・フォース』とは違い、余りステータスは強化されないが、それでも今のコナミ達には充分脅威となるカードだ。

 

「どうだいケナミ!これが進化したMeの実力!だがこれ位で驚くなよ?魔法カード、『マジック・プランター』!リビングデッドを墓地に送り、2枚ドロー!」

 

デイビット・ラブ 手札7→9

 

「手札の『マシンナーズ・フォートレス』、『マシンナーズ・スナイパー』、『マシンナーズ・ディフェンダー』を捨て、『マシンナーズ・カノン』を特殊召喚!」

 

マシンナーズ・カノン 攻撃力0→2400

 

3体ものモンスターを要求し、現れたのは背に巨大な砲塔をそびえさせた紫色の『マシンナーズ』モンスター。効果面では『モンタージュ・ドラゴン』に見劣りするが、『マシンナーズ』カテゴリに入っている事で区別はつく。

 

「手札の『マシンナーズ・カノン』を捨て、墓地の『マシンナーズ・フォートレス』復活!」

 

マシンナーズ・フォートレス 攻撃力2500

 

10枚以上あった手札を消化し、デイビットのフィールドに5体のモンスターが並ぶ。それも全て最上級、高い攻撃力を有したモンスターだ。

マッケンジーの天使を倒したと思ったらこれ、キリが無いにも程がある。

 

「バトル!『マシンナーズ・フォース』で『スターダスト・チャージ・ウォリアー』に攻撃!」

 

デイビット・ラブ LP7850→6850

 

「罠発動!『シンクロ・バリアー』!チャージ・ウォリアーをリリースし、次のターン終了までダメージを0に!」

 

「ふぅん?まぁ、良いさ、『マシンナーズ・フォース』で『魔轟神ヴァルキュリス』に攻撃変更!先に君から片付けてあげるよ!」

 

「ッ、暗次!」

 

「ご安心を!速攻魔法、『神秘の中華なべ』!ヴァルキュリスをリリースし、攻撃力分、LPを回復!」

 

黒門 暗次 LP800→4000

 

「チッ!ならばグラファに攻撃!」

 

黒門 暗次 LP4000→2400

 

「ぐっ――!」

 

しかしデイビットの猛攻は終わらない。対象を失ったならもう1度照準を合わせるまで。再度撃ち出された凶弾がグラファの頭を穿ち、ダメージが暗次を襲う。

 

「SATURNでゴルドへ攻撃!Anger HAMMER!」

 

黒門 暗次 LP2400→2200

 

続いてデイビットの切り札、プラネットシリーズであるSATURNの剛腕が振り抜かれ、凄まじい風切り音と共にゴルドの頭蓋が粉々に砕かれる。圧倒的なパワー、これは堪らない。

 

「堪えたけどこれで終わりだね!『マシンナーズ・カノン』でダイレクトアタック!」

 

「やらせねぇよ!墓地の『光の護封霊剣』を除外し、ダイレクトアタックを防ぐ!」

 

だがこの程度で暗次は倒れない。彼が発動したカードはコナミも信頼する防御札、光輝く金色の剣が3本飛び出し、カノンの銃撃を弾き返す。

 

「なら標的を変更しよう。メガフォームで『オッドアイズ・ドラゴン』へ攻撃!」

 

「罠発動!『マジカルシルクハット』!『妖刀竹光』と『エレメンタルバースト』と共に『オッドアイズ・ドラゴン』をセット!」

 

「私を忘れてないかしら?永続罠、『聖なる輝き』!」

 

「ナイスだよ、マック、さぁ、かくれんぼが下手なドラゴンを攻撃!」

 

「ッ!」

 

今度は暗次からコナミへ標的を変え、デイビットがメガフォームに指示を出し、砲門から荷電粒子砲が撃ち出され、『オッドアイズ・ドラゴン』が砕け散る。

 

「フォートレスでスターダストに攻撃!相撃ちだ!」

 

「スターダストの効果で自身に1ターンに1度の破壊耐性を与える!波動音壁!」

 

「なら『機甲部隊の最前線』のエフェクトで『マシンナーズ・ギアフレーム』を特殊召喚!『補給部隊』のエフェクトでドロー!更に『マシンナーズ・フォートレス』のエフェクトでスターダストを破壊!」

 

マシンナーズ・ギアフレーム 攻撃力1800

 

デイビット・ラブ 手札4→5

 

固い防御を誇るスターダストを破壊。しかもモンスターに手札も補充する始末だ。

 

「スターダストに装備した『妖刀竹光』の効果で『黄金色の竹光』サーチ、そしてバトルフェイズが終了した事で『妖刀竹光』は破壊され、もう1枚『黄金色の竹光』をサーチ」

 

「メインフェイズ2、ギアフレームをフォースに装備、カードを2枚セットし、ターンエンド」

 

デイビット・ラブ LP6850

フィールド『The big SATURN』(攻撃表示)『マシンナーズ・フォース』(攻撃表示)『マシンナーズ・メガフォーム』(攻撃表示)『マシンナーズ・カノン』(攻撃表示)

『マシンナーズ・ギアフレーム』『機甲部隊の最前線』『補給部隊』セット2

手札3

 

「俺のターン、ドロー!来た!速攻魔法、『魔力の泉』!相手フィールドの表側表示の魔法、罠の数だけドローする!相手フィールドには11枚!よって11枚ドローし、その後、自分フィールドの表側表示の魔法、罠の数だけ捨てる!俺のフィールドには2枚、よって2枚捨てる!」

 

黒門 暗次 手札2→13→11

 

「捨てられたベージを自身の効果で特殊召喚し、グラファの効果でフォースを破壊!『魔力の泉』で装備魔法扱いのギアフレームは破壊されねぇ!身代わり効果は発動出来ねぇって訳だ!」

 

暗黒界の尖兵ベージ 攻撃力1600→1900

 

「何ッ!?」

 

「デメリットを逆手に取ったか……やるな、暗次」

 

ユニオンモンスターは装備カードとなっている場合、装備魔法として扱い、その点でドロー枚数を増やした上、本来デメリットである発動後、相手フィールドの魔法、罠に与えられる耐性を逆に利用する事でユニオンモンスター特有の身代わり効果を防ぐ暗次。これにはコナミも舌を巻く。

 

「ならMeは永続罠、『群雄割拠』発動!」

 

「へへっ!まだ行くぜ!俺は魔法カード、『闇の指名者』発動!モンスターカード名を宣言し、相手はそのカードをデッキから手札に加える『E・HEROシャドー・ミスト』を宣言!」

 

「オレのデッキにある!デッキからサーチする!」

 

「『暗黒界の門』の効果で墓地のゴルドを除外し、手札のシルバを捨て、ドロー!」

 

黒門 暗次 手札9→10

 

「シルバの効果で特殊召喚!」

 

暗黒界の軍神シルバ 攻撃力2300→2600

 

「更にもう1枚門を発動!墓地のヴァルキュリスを除外し、手札の『暗黒界の導師セルリ』を捨て、ドロー!」

 

黒門 暗次 手札8→9

 

「セルリの効果でこいつをマッケンジーのフィールドに特殊召喚!」

 

暗黒界の導師セルリ 守備力300→600

 

「私のフィールドに……!?」

 

突如、暗次の背後に開いた門より黒い影が飛び出してマッケンジーのフィールドに降り立つ。その正体は青い外套を纏った小さな悪魔。その表情は不気味な笑みとなっている。

 

「そしてセルリが『暗黒界』の効果で特殊召喚した時、相手は手札を1枚捨てる!この相手はマッケンジーから見て、だ」

 

「オレはシャドー・ミストを捨て、効果で『E・HEROプリズマー』をサーチ」

 

「クッ、だがYouだって捨てる……捨てる……!?」

 

苦虫を噛み潰したような表情で暗次を睨むデイビット、彼は暗次とて痛手を被ると考えた途中で――彼の真意に気づく。そう、捨てる。カードの効果で手札を。しかも相手が。

 

「俺が捨てたのは『暗黒界の鬼神ケルト』!効果で特殊召喚!」

 

暗黒界の鬼神ケルト 攻撃力2400→2700

 

現れたのは肩が透明になった骸骨のような悪魔。ゴルド達と同じ効果を持っているが僅かに攻撃力が高い。

 

「ケルトが相手に捨てられた事により、俺はデッキからセルリをマッケンジーのフィールドに特殊召喚!兄貴!」

 

暗黒界の導師セルリ 守備力300→600

 

「承った!プリズマーを捨てる!」

 

「俺が捨てるのはケルト!効果で自身とグラファを特殊召喚!」

 

暗黒界の鬼神ケルト 攻撃力2400→2700

 

暗黒界の龍神グラファ 攻撃力2700→3000

 

「そしてベージとシルバを手札に戻し、2体のグラファを復活!」

 

暗黒界の龍神グラファ 攻撃力2700→3000×2

 

全力全開、自身の持てる力を出し尽くし、磐石の布陣を整える。暗き門からは巨大な腕がヌッ、と現れ、強引に開かれ眩き光が漏れる。

巨大な翼を広げ、天に飛び立つ2体の龍神。残る1体も倣うように飛翔し、3体揃って雄々しき咆哮を放つ。

ビリビリと空気中が震撼し、砂塵が波紋の如く広がっていく。

 

「バトルだ!3体のグラファでデイビットのモンスター全てに攻撃!」

 

デイビット・ラブ LP6850→6650→6250→5650

 

「ぐぉぉぉぉぉ……っ!『機甲部隊の最前線』のエフェクトで『マシンナーズ・フォートレス』を特殊召喚し、『補給部隊』で1枚ドロー!」

 

デイビット・ラブ 手札1→2

 

「ケルトでフォートレスに攻撃!」

 

デイビット・ラブ LP5650→5450

 

「フォートレスの効果で残るケルトを破壊!」

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンドだ」

 

黒門 暗次 LP2200

フィールド『暗黒界の龍神グラファ』(攻撃表示)『暗黒界の鬼神ケルト』(攻撃表示)

セット2

『暗黒界の門』

手札5

 

「速攻魔法、『非常食』!『群雄割拠』をコストに1000回復!」

 

デイビット・ラブ LP5450→6450

 

「私のターン、ドロー!魔法カード、『マジック・プランター』!『聖なる輝き』をコストにドロー!」

 

レジー・マッケンジー 手札1→3

 

「面白いじゃない、私も見せてあげるわ!切り札を!2体のセルリをリリースし、アドバンス召喚!『The splendid VENUS』!!」

 

The splendid VENUS 攻撃力2800

 

ついに登場するマッケンジーの切り札。翳された1枚のカードは彼女のデュエルディスクに叩きつけられ、途端、フィールド全体が眩き金色の光に照らされる。

息を呑む厳かな空気が支配する中、天上の雲を引き裂き、1体の天使が姿を見せる。否、それは天使と呼ぶには余りにも存在感が違う。

あの『アテナ』ですら霞んで見える星の女神。美しきヴィーナスの名を持つモンスターが降り立ち、閃光が降り注ぐ。

 

「これが私の持つプラネットシリーズの1体、さぁ、その力を見せつけなさい!ヴィーナスの効果で天使族モンスター以外の攻撃力は500ダウン!」

 

「相克の効果で無効に!」

 

「チッ――ならVENUSでケルトを攻撃!」

 

黒門 暗次 LP2200→2100

 

「ターンエンド」

 

レジー・マッケンジー LP18200

フィールド『The splendid VENUS』(攻撃表示)

『神の居城―ヴァルハラ』『コート・オブ・ジャスティス』『天空の泉』

『天空の聖域』

手札2

 

「オレのターン、ドロー!墓地の『置換融合』を除外、Great TORNADOをエクストラデッキに戻し、1枚ドロー!」

 

コナミ 手札3→4

 

「魔法カード、『アームズ・ホール』を発動し、墓地の『妖刀竹光』を回収し、相克に装備!2枚の『黄金色の竹光』を発動!『ペンデュラム・ホルト』を発動!更に2枚ドロー!」

 

コナミ 手札2→4→5→6

 

「速攻魔法、『サイクロン』!『天空の泉』を破壊!ペンデュラム召喚!『賤竜の魔術師』!『慧眼の魔術師』!『竜脈の魔術師』!出でよ、絶望の暗闇に差し込む、眩き救いの光!『オッドアイズ・セイバー・ドラゴン』!!」

 

オッドアイズ・セイバー・ドラゴン 攻撃力2800→2300

 

賤竜の魔術師 攻撃力2100→1600

 

慧眼の魔術師 攻撃力1500→1000

 

竜脈の魔術師 攻撃力1800→1300

 

天空に振り子の軌跡を描き、1体の竜と3体の『魔術師』がフィールドに降り立つ。

 

「賤竜の効果で慧眼回収!相克の効果でVENUSの効果を無効!バトルだ!セイバーでVENUSへ攻撃!」

 

「私のVENUSを……!それでも相撃ちよ!」

 

「それはどうかな?墓地の『スキル・サクセサー』を除外、セイバーの攻撃力を800アップ!」

 

オッドアイズ・セイバー・ドラゴン 攻撃力2800→3600

 

剣の竜が自らの背に伸びた刃を振るい、輝きを失った女神を切り裂く。これで両者の切り札は破壊された。勢いのままにコナミは攻撃を続ける。

 

「慧眼でデイビットに攻撃!」

 

「NO!お断りだよ!永続罠、『リビングデッドの呼び声』発動!蘇れ!SATURN!」

 

The big SATURN 攻撃力2800

 

「ならマッケンジーへと攻撃を変更!全てのモンスターの攻撃を受けろ!」

 

レジー・マッケンジー LP18200→14900→12800→10300

 

「あぁぁぁぁぁっ!?」

 

全力でマッケンジーのLPを削り取るコナミ。しかしそれでも奪えたのはLPの半分程、未だに一万を削れない。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

コナミ LP1600

フィールド『オッドアイズ・セイバー・ドラゴン』(攻撃表示)『相克の魔術師』(攻撃表示)『賤竜の魔術師』(攻撃表示)『慧眼の魔術師』(攻撃表示)『竜脈の魔術師』(攻撃表示)

『妖刀竹光』セット1

Pゾーン『竜穴の魔術師』『刻剣の魔術師』

手札4

 

「Meのターン、ドロー!魔法カード、『貪欲な壺』!墓地の『マシンナーズ・カノン』2体『マシンナーズ・ギアフレーム』2体『マシンナーズ・フォース』を回収し、2枚ドロー!」

 

デイビット・ラブ 手札2→4

 

「そろそろ決着をつけようか!手札1枚とLPを1000払い、SATURNの攻撃力を1000アップ!モードチェンジ!SATURN FINAL!」

 

デイビット・ラブ LP6450→5450

 

The big SATURN 攻撃力2800→3800

 

全身から迸る炎を吹かせ、SATURNの真の姿が現れる。これこそがプラネットシリーズ本来の力、消費は大きいが、デイビットはこの為に『補給部隊』や『レインボー・ライフ』を使っているのだ。

 

「やれ!SATURNで『慧眼の魔術師』を攻撃!end of COSMOS!」

 

「させるかよ!罠発動!『威嚇する咆哮』!」

 

デイビットによる攻撃、コナミへの決着弾を避けるべく、暗次が伏せていたカードを使い、コナミを守る。グラファ3体から放たれる強烈な遠吠えがSATURNを吹き飛ばし、ビームを消滅させる。

 

「暗次……!感謝する!」

 

「兄貴には助けられてますからね!恩は返さねぇと!」

 

「……成程、彼を先に倒すべきかな……?Meは墓地の『シャッフル・リボーン』を除外、『機甲部隊の最前線』をデッキに戻し、1枚ドロー」

 

デイビット・ラブ 手札3→4

 

「魔法カード、『一時休戦』を発動」

 

デイビット・ラブ 手札3→4

 

レジー・マッケンジー 手札2→3

 

コナミ 手札4→5

 

黒門 暗次 手札5→6

 

「カードを3枚伏せ、ターンエンド。『シャッフル・リボーン』のエフェクトで手札を1枚除外する」

 

デイビット・ラブ LP5450

フィールド『The big SATURN』(攻撃表示)

『補給部隊』『リビングデッドの呼び声』セット3

手札0

 

「俺のターン、ドロー!バトルだ!グラファでSATURNへ攻撃!」

 

「罠発動!『進入禁止!NoEntry!!』全てのモンスターを守備表示に!」

 

「チッ、2体のグラファを攻撃表示に変更し、ターンエンドだ!手札制限で1枚捨てる」

 

黒門 暗次 LP2100

フィールド『暗黒界の龍神グラファ』(攻撃表示)×2『暗黒界の龍神グラファ』(守備表示)

セット1

『暗黒界の門』

手札6

 

「私のターン、ドロー!……デイビット」

 

「Meは構わないよ、手早く終わらせよう」

 

マッケンジーがデイビットへ目を配らせ、デイビットが苛立ったように目を鋭くし、頷く。これはマッケンジーに対しての怒りでは無い。何度も食らいつくコナミ達に対するものだ。そしてこのやり取り、これはまるで、あの自爆特攻のような――

 

「そう、なら遠慮なく!手札を1枚捨て、魔法発動!『死者への手向け』!フィールドのカード、SATURNを破壊!」

 

「なっ!?」

 

突然発動されたマッケンジーのカード、通常ならば既に相手に使っていようなものを、デイビットの切り札、SATURNへと使われる。一体何を――考えるのも束の間、破壊されるSATURNが膨れ上がり、赤く発光する。

 

「『補給部隊』でドローし、SATURNが相手によって破壊され、墓地に送られた時、互いにその攻撃力分のダメージを受ける!さぁ、負けて散れ!DOUBLE IMPACT!」

 

「墓地の『ダメージ・ダイエット』を除外!暗次!」

 

「うっす!墓地の『ダメージ・ダイエット』を除外し、効果ダメージを半分に!」

 

コナミ LP1600→200

 

黒門 暗次 LP2100→700

 

デイビット・ラブ LP5450→2650 手札0→1

 

レジー・マッケンジー LP10300→7500

 

SATURNの身体が粉々に砕け散り、内包された爆炎がフィールド全体を覆い尽くす。圧倒的な破壊力、強烈なダメージによる爆風が全員の頬を撫でる。

 

「まだ終わらない!ヴァルハラの効果で『天空勇士ネオパーシアス』を特殊召喚!」

 

天空勇士ネオパーシアス 攻撃力2300→7150

 

続く猛攻、2人の苦しむ表情を見て、熱に浮かされたようにマッケンジーが嗜虐的な笑みを張りつけ、その手札から強力な天使を出現させる。

青と金色、そして純白に彩られた最上級の天使。その姿を見て、2人が顔を強張らせる。LPの差分攻撃力をアップし、その数値7150。今のコナミに――対抗する手段も、アクションカードも無い。

 

「――相克でネオパーシアスの効果を無効に――」

 

「そいつぁ不味い!Meは罠カード、『ブレイクスルー・スキル』を発動し、その効果を無効!」

 

「バトル!ネオパーシアスで『オッドアイズ・セイバー・ドラゴン』へ攻撃!これで終わりよ!ケナミ!ネオパーシアスには、貫通効果がある!」

 

降りかかる閃光、天より下される審判を前に、コナミはギリッ、と歯を食い縛って立ち尽くす。これで、終わる。

誰もがそう思った瞬間、1人の少年が駆け抜け、右手を突き出し、コナミを突き飛ばす。その、少年は――。

 

「罠発動!『仁王立ち』!」

 

黒門 暗次。彼はコナミを庇うように光の前に立ち塞がり、最後のカードを発動する。『仁王立ち』、そのカードを視界におさめた途端、コナミは全てを察知し、顔を真っ青にして額から大粒の汗を流しながら右手を突き出し、叫ぶ。

 

「やめろ……何をしている暗次!?」

 

「その効果でグラファの守備力を倍にし――」

 

暗黒界の龍神グラファ 守備力2100→4200

 

瞬間、暗次の眼前に双翼を広げた黒竜が降り立ち、主を守るように『仁王立ち』する。

あの時、コナミと出会った頃よりその背中の頼もしさと暖かさは変わらない。あのデュエルを切欠に、この背の存在に気づき、今まで色々あったな、と暗次は感傷に浸る。

人間、変われば変わるものだ、昔の自分が今の自分を見れば信じられないと目を丸くするだろう。それでも――。

 

(ありがとう……こんな俺と一緒に戦ってくれて……)

 

「馬鹿な真似は止せ!オレはそんな事……望んで無い!」

 

暗次が目を細め、グラファに感謝する中、コナミが何とか立ち上がろうとするも、残る2体のグラファが彼をガシリと掴み、その行動を封じる。

まるで――主の意志を、尊重するように。その力強い腕にコナミですら抜け出せない。

 

そんなコナミを見て、暗次が思い出したように目を見開き、目を細め、ふわりと、優しい笑みを浮かべる。感謝をするならば――この人にも。

 

「ありがとうございます、兄貴――コナミさん。俺、兄貴に出会えて、本当に良かった――!」

 

「……ッ!違う、オレは……オレは兄貴と呼ばれるような奴じゃ……!」

 

これまでになく嬉しそうに、楽しそうに笑う彼を見て、コナミが息を呑む。その表情に暗次もまた、笑う。それでも――彼は尊敬する、兄貴分だと。振り向き、閃光を迎え撃つ。

 

「そして『仁王立ち』を除外し、攻撃対象をグラファに絞る――!」

 

閃光が雨の如くグラファに降り注ぎ、その嵐にグラファの角が弾け飛び、翼に風穴が空く。ボロボロに傷つき、その命が焦がされようとも――竜は倒れない、主は守る為に――。

 

黒門 暗次 LP700→0

 

その主もまた、友を守る為に倒れない。その道着がボロボロに傷つき、ヘアバンドが焦げ落ちても――彼は笑う。そして、ソリッドビジョンのグラファが溶けるように消え去り――デイビットのデュエルディスクが、紫色に発光する。

 

「ありがとう――」

 

「――ッ!」

 

コナミが駆け出し、暗次に手を伸ばすも――その手は届かず、空振りする。後に残されたのは――1枚のカードのみ。

 

「……ぅぁ……ああああああああああッ!!!」

 

今までこんな事、何度もあった、何度も下した。だから、そんな事、無いと言うのに――何故か、コナミの頬に涙が伝う。

 

別れと言うものは――何時も突然だ――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




暗次、リタイア。正直言えば、彼の脱落は前々から考えていた事でした。今のコナミにとって彼は何よりも大切な友達で彼の消失を経て、コナミ君の成長を促そうと思っていたのです。
ですが書いてる内にどんどん愛着が沸いてくる。彼を脱落させるか否か本当に迷いました。苦しいですが結果、脱落。彼はコナミ君に大切なものを与えていきました。

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