遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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投稿前に見返して、モンスターの数とか何時の間にかカードが増えていたりと初歩的なミスが多々あり大部分を修正する事に。何でこんなミスしてんねやろ……。これだからバトルロイヤルは!(尚後2話程バトルロイヤルする模様)


第88話 可愛いから大丈夫だ!

遊矢とタツヤ達がデュエルを続ける中、コナミもまた、刃達の呼び出しを受け、LDSのデュエルコートに来ていた。本人としては恐らくは暗次の事で不様を晒した為、一発ずつ殴られたり、ジェットストリームアタックを決められるんだと思っていたが――何やらおかしい。

デュエルコートが真っ暗だ。明かり1つ無いフィールドをコナミがキョロキョロと見渡した時――中心に、1枚のカードが落ちていた。傍には木の棒で支えられた網。明らかな罠だが――コナミはそれに気づかず、迷わずにカードを取り、確保される。

 

「しまった!罠か!閉じ込められた!」

 

「いや、しまったじゃねぇよ」

 

ガコンと言う音と共にコナミの眼前に3つのスポットライトが降り、3人の少年少女の姿を照らし出す。何やらポケモンジムに来たチャレンジャーのような気分である。スポットライトを浴び、その顔に影を差しながら3人はゆっくりと顔を上げ、ニヤリと不敵に笑う。実にそれっぽい。

 

「お前がニビジムのタケシか?」

 

「私が扱うポケモンはシャ、シャキーン!……は、鋼タイプ……これ確かに恥ずかしいわね……」

 

「やってる場合か、大体鋼タイプは俺だろ」

 

「僕はエスパータイプだな」

 

「じゃあ私タケシかぁ……ってじゃない!コナミ!貴方呼び出された理由分かってるんでしょうね!」

 

コナミのボケに軽くノリながらもそのままツッコミへと移行し、右手の指先をコナミへと向ける少女、真澄。彼女も随分と成長したものである。ノリツッコミのキレが鋭い。

 

「分かっている。1人一発ずつだろう?ほら並べ、思いっ切り、ぶん殴るが良いわ!」

 

「違うし!私はアンタにデュエルを挑もうとしてるのよ!察しろ!」

 

その場に仰向けになって倒れ、「さぁやれ!」と盛大に勘違いするコナミに再びツッコム真澄。そう、彼女達の目的もまた、デュエル。それもタツヤ達と同じく3対1の不規則なバトルロイヤル。尤も、彼等の理由は軽いものだが。

 

「俺達がテメェを鍛えてやるよ!お前までカード化されちゃあ堪らねぇからな!」

 

「僕達がこんな事をする機会なんて早々無いぞ?」

 

「それに――アンタに強くなったって所、見せてあげるわ!」

 

ニヤリ、口端を吊り上げ、ふてぶてしく笑う3人を見て、成程と頷くコナミ。確かに、これから先は想像もつかないような強敵と闘う事になるだろう。こうして複数の敵とも対峙する筈だ。それこそデイビットやマッケンジーのような巧みなコンビネーションを誇るデュエリストや神楽坂、白コナミのような。

アカデミア全体が今回の闘いを経て、こちらの戦術に対策して来る可能性も捨て切れない。そんな彼等と渡り合う為に――赤馬 零児を倒した時の力を1人でも出せるようにしたい。

 

「良いだろう!戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

 

「そうこなくちゃね!モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!」

 

「フィールド内を駆け巡る!」

 

「見よ、これぞデュエルの最強進化形!」

 

コナミ、真澄、刃、北斗の順で口上を上げ、デュエルコートが光を帯び、姿を変える。アクションフィールド、『マジカル・ブロードウェイ』。今別の場所で闘う友と同じフィールドであり、コナミにとって初めてアクションデュエルを体験した場だ。

 

「「「「アクショーン……デュエル!!」」」」

 

――――――

 

一方その頃、遊勝塾では、遊矢、タツヤ、アユ、フトシ、4人の遊勝塾メンバーの激闘が繰り広げられ、遊矢へとターンが移っていた。

遊矢を引き止めようとする3人を何とかして説得させる為、ダーク・リベリオンに騎乗したまま、彼はデッキより1枚のカードを引き抜く。

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『ギャラクシー・サイクロン』!タツヤのセットカードを破壊!俺は『EMゴムゴムートン』をセッティングし、ギタートルの効果でドロー!魔法カード、『マジック・プランター』!ピンチヘルパーをコストに2枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札2→3→4

 

「魔法カード、『ペンデュラム・ターン』でギタートルのスケールを10に拡張!ペンデュラム召喚!『EMインコーラス』!『EMリザードロー』!『EMヘイタイガー』!『EMカレイドスコーピオン』!」

 

EMインコーラス 守備力500

 

EMリザードロー 守備力600

 

EMヘイタイガー 攻撃力1700

 

EMカレイドスコーピオン 守備力2300

 

振り子の軌跡で現れる4体の『EM』達。毎度おなじみインコーラスに先程の遊矢のターンにエクストラデッキに加わったカードのエリマキトカゲと赤い軍服を纏った虎の兵士と万華鏡の尾を持つ蠍。遊矢のコンボパーツが揃った。これで3人の戦力を削り取る。

 

「罠カード、『幻獣の角』!ヘイタイガーに装備し、攻撃力を800上げる!」

 

EMヘイタイガー 攻撃力1700→2500

 

「更にカレイドスコーピオンの効果発動!ヘイタイガーはこのターン、特殊召喚されたモンスター全てに攻撃可能!」

 

「ドルカのORUを取り除き、効果モンスターの効果を無効にして破壊!」

 

しかしそう簡単に通してくれないらしい。フトシのフィールドのドルカが炎の雨をカレイドスコーピオンに浴びせる事で破壊する。

アユが攻め、フトシが妨害し、タツヤが布陣を整える。見事なコンビネーションだ。だがこの程度で遊矢は止まらない。

 

「バトル!ヘイタイガーでドルカを攻撃!」

 

原田 フトシ LP4000→3800

 

「ヘイタイガーの効果で『EMダグ・ダガーマン』をサーチし、『幻獣の角』の効果でドロー!」

 

榊 遊矢 手札2→3

 

「更にダーク・リベリオンで『瑚之龍』へ攻撃!」

 

「アクションマジック、『回避』!」

 

ダーク・リベリオンがその牙を閃かせ、『瑚之龍』の鱗に突き立て、貫こうとするものの、すんでの所でかわされる。厄介な破壊効果を倒したかったが、簡単にはいかないらしい。

 

「カードを2枚セットしてターンエンドだ」

 

榊 遊矢 LP1200

フィールド『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』(攻撃表示)『EMヘイタイガー』(攻撃表示)『EMインコーラス』(守備表示)『EMリザードロー』(守備表示)

『幻獣の角』セット2

Pゾーン『EMギタートル』『EMゴムゴムートン』

手札1

 

「私のターン、ドロー!アロワナの効果で『アクアアクトレス・テトラ』をサーチ!そして『アクアアクトレス・グッピー』を召喚!」

 

アクアアクトレス・グッピー 攻撃力600→2400

 

「効果でテトラを特殊召喚!」

 

アクアアクトレス・テトラ 攻撃力300→2100

 

「テトラの効果で『水照明』をサーチ!そして手札を1枚捨て、『瑚之龍』の効果でダーク・リベリオンを破壊!」

 

「くっ――!すまない……!」

 

ついに破壊されるダーク・リベリオン。砕け散る黒竜に謝罪し、遊矢は右手でその背を押す事で勢いをつけて跳躍し、ビルとビルの間を駆け回りながら地面に着地する。

 

「バトルだよ!」

 

「罠発動!『エンタメ・フラッシュ』!相手モンスターを全て守備表示に変更し、次のフトシのターンまで表示形式の変更を封じる!」

 

アユの『アクアアクトレス』の超火力攻撃を防ぐ為、遊矢はフィールドから眩き光を放ち、モンスター達の姿勢を変える。これで次のフトシの攻撃も封じた。それだけではなく、表示形式の変更も出来ない為、自然とラゴスクスの効果も防いだ。遊矢にその自覚はあるか分からないが。

 

「ターンエンドだよ!」

 

鮎川 アユ LP4000

フィールド『瑚之龍』(守備表示)『アクアアクトレス・アロワナ』(守備表示)『アクアアクトレス・グッピー』(守備表示)『アクアアクトレス・テトラ』(守備表示)

『水舞台』『水舞台装置』『水照明』セット1

『湿地草原』

手札2

 

「俺のターン、ドロー!俺は2体のモンスターをリリースし、アドバンス召喚!『らくがきじゅう―てらの』!!」

 

らくがきじゅう―てらの 攻撃力2400

 

ここで姿を見せたのはフトシが本来持つカードにして彼のエースである古代の暴君。まるで子供の落書きのような微笑ましい体躯はクレヨンで緑色に塗られ、鋭い牙が並ぶ口からは炎を吐いている。

 

「てらのの効果発動!ヘイタイガーを破壊し、このカードの攻撃力を破壊したモンスターの攻撃力の半分アップ!」

 

「墓地の『EMジンライノ』を除外し、ヘイタイガーの破壊を防ぐ!」

 

「痺れる位強いぜ!俺はこれでターンエンド!」

 

原田 フトシ LP3800

フィールド『らくがきじゅう―てらの』(攻撃表示)

『進化の代償』セット1

手札3

 

「僕のターン、ドロー!確かにこれじゃあ突破出来ないね……!だけど……魔法カード、『デス・メテオ』!相手に1000ダメージを与える!」

 

榊 遊矢 LP1200→200

 

鮎川 アユ LP4000→3000

 

原田 フトシ LP3800→2800

 

「カードを1枚セットしてターンエンド」

 

「この瞬間、罠カード、『裁きの天秤』を発動!俺のフィールドと手札のカードは8枚!お前達のフィールドのカードは17枚!よって9枚をドロー!」

 

榊 遊矢 手札0→9

 

一気に大量の手札を確保し、次の反撃の手を整える遊矢。バトルロイヤルである事を上手く活かしている。彼のタクティクスの成長に背後のユートも目を丸くして感心する。

何せ隼に勝利し、オベリスク・フォース達を軽く退けるようになっているのだ。最早遊矢とユートの間に実力の差は無いと見える。嬉しいような悔しいような複雑な心境だ。

 

山城 タツヤ LP3500

フィールド『起爆獣ヴァルカノン』(守備表示)『ゴールド・ガジェット』(守備表示)『グリーン・ガジェット』(守備表示)

『補給部隊』セット1

手札3

 

しかしそんなに強くなった遊矢と3人がかりと言えども渡り合い、優位に立っている子供達も大きく成長した。嬉しく思う。共に過ごして来た彼等の成長、嬉しくない筈が無い。

だけど――だからこそ、彼等には笑って欲しい。それが出来るのは、今ここで立つ遊矢自身のみ。彼は両手を咲き誇る花ように広げ、エンタメデュエルの幕を上げる。

 

「Ladies and Gentlemen!これより榊 遊矢による……いえ、榊 遊矢と!山城 タツヤ、鮎川 アユ、原田 フトシによる、遊勝塾のエンタメデュエルを始めましょう!」

 

ニヤリと口端を上げ、遊矢は笑い、右手の指先を3人へと向ける。観客は誰もいない。いるとすればそれはこの場にいる4人全員だ。全員がエンターテイナー。そう言わんばかりに遊矢は言葉を放つ。ポカンと、呆ける子供達。しかし遊矢は息もつかせず語り出す。

 

「確かに――俺はランサーズとして、アカデミアと闘う決意をした。危険な事もあるだろう、挫ける事もあると思う。正直に言えば、俺だって怖い!」

 

「なら――」

 

「だけど!」

 

首からかけたペンデュラムを握り締め、遊矢は薄く笑って俯く。それは3人に対する答えだ。ここにいて欲しいと願う、優しい願いに対する決別の言葉。

遊矢だってカード化されるのは怖い。そんな不安な台詞に、子供達が「なら」と言うが――遊矢は「だけど」と繋げる。

 

「だけど、それじゃ駄目なんだ……!誰かがじゃない!自分が何とかしなきゃって、勇気を持って一歩踏み出さなきゃ何も変わらない!確かに怖いさ、だけど俺には――信頼出来る仲間達がいる!俺1人じゃ到底出来ない事も――皆がいれば闘える!だから――皆も、俺を信じて頑張れって送り出して欲しい。一時の別れでも、辛いかもしれない、だけど必ず戻って来るから、柚子も、素良も連れて帰るから――待っててくれ。それが――俺の力になるから……!」

 

誰かじゃなく、自分がやらなければいけないと、遊矢は言う。怖いけど、恐れずに勇気を持って進めと教わったから――遊矢は全部を笑顔にする為、旅立ちの決意をした。

 

「ずるいよ……」

 

「そんな事言われたら――そうするしか無いじゃないかぁぁぁぁ……!」

 

確かに、ちょっとずるかったなと遊矢は思う。泣き出す3人を優しく見つめながらも、泣かないで、とまたずるい言葉を使おうとした時。

 

「泣いちゃ駄目だ……!」

 

「タツヤ……?」

 

鼻水をすすり上げ、目尻の涙を拭き取りながらタツヤが遊矢と向き合う。遊勝塾に入って来たばかりの頃は不安そうで、気弱に見えた少年の姿。それが今はどうだろうか、今の彼は、遊矢にも眩しく思えてしまう。

 

「遊矢お兄ちゃんを、世界一のエンタメデュエリストを送り出すんだ――笑顔で……送り出すんだ!」

 

涙を堪え、タツヤはニカッ、と無理矢理口端を吊り上げて笑う。不格好で、自然とは言えない笑顔。それでもそれは、遊矢に確かな力を与えてくれる、暖かい笑みだった。

 

「わ、私だって……私だって……!」

 

「俺だって……!」

 

2人もそれに釣られ、ニカリと笑う。ああ、申し訳無いと思う。こんな卑怯な手で彼等を笑顔にしたら、エンタメデュエリスト失格だ。遊矢はもっともっと大笑いさせる為――このデュエルを大切な思い出にする為、デッキから勢い良くカードを引き抜く。

 

「お楽しみはっ、これからだっ!」

 

空中に描かれる虹色のアーク。雨が降るなら、それでも良い。その先に、輝かしい太陽を。虹をかけて、サービスしよう。

 

「墓地の『ギャラクシー・サイクロン』を除外し、『水舞台』を破壊!魔法カード、『ペンデュラム・ホルト』!2枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札9→11

 

「魔法カード、『成金ゴブリン』!相手のLPを1000回復する代わりに1枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札10→11

 

山城 タツヤ LP3500→4500

 

鮎川 アユ LP3000→4000

 

原田 フトシ LP2800→3800

 

「速攻魔法、『サイクロン』!タツヤのセットカードを破壊!」

 

「罠発動!『和睦の使者』!このターン、僕のモンスターは戦闘破壊されず、戦闘ダメージも0となる!」

 

「速攻魔法、『揺れる眼差し』!ペンデュラムゾーンの2枚を破壊し、相手に500ダメージを与え、『EMオッドアイズ・ユニコーン』をサーチ!」

 

山城 タツヤ 4500→4000

 

鮎川 アユ 4000→3500

 

原田 フトシ 3800→3300

 

「『EMディスカバー・ヒッポ』を召喚!」

 

EMディスカバー・ヒッポ 攻撃力800

 

「アドバンス召喚の権利を増やし、インコーラスとリザードローをリリースし、アドバンス召喚!『EMスライハンド・マジシャン』!」

 

EMスライハンド・マジシャン 攻撃力2500

 

「そして『EMオッドアイズ・ユニコーン』と『EMダグ・ダガーマン』をセッティング!ダグ・ダガーマンの効果で墓地の『EMペンデュラム・マジシャン』を回収!ペンデュラム召喚!『EMペンデュラム・マジシャン』!雄々しくも美しく輝く二色の眼!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力2500

 

EMペンデュラム・マジシャン 攻撃力1500

 

ここで姿を見せるのは『EM』のキーカードと遊矢のエースカード、『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』の2体、真紅の竜の上に飛び乗り、その手を突き出す。

 

「ペンデュラム・マジシャンの効果でペンデュラムゾーンの2枚を破壊し、『EMラクダウン』と『EMマンモスプラッシュ』をサーチ!マンモスプラッシュとラクダウンをセッティング!魔法カード、『置換融合』を発動!『オッドアイズ』とペンデュラム・マジシャンで融合!融合召喚!出でよ!秘術ふるいし魔天の龍!『ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!」

 

ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力3000

 

『オッドアイズ』とペンデュラム・マジシャンの2体が融合し、フィールドに眩き光と共に進化した姿で降臨する。遊矢を乗せ、宙を駆るのは左目を金属で覆った真紅の竜。満月を模したリングを背負ったモンスターが雄々しき咆哮を放つ。

 

「マンモスプラッシュのペンデュラム効果でエクストラデッキの『オッドアイズ』を特殊召喚!!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力2500

 

「『EMディスカバー・ヒッポ』と『オッドアイズ』をリリースし、出でよ!野獣の眼光りし獰猛なる龍!『ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!」

 

ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力3000

 

現れたるは2体目の融合モンスター。『オッドアイズ』に獣骨の鎧を纏わせ、青い毛並みを伸ばした野生の竜。揃う大型モンスターを見て、子供達も盛り上がる。

 

「そして手札を1枚捨て、スライハンド・マジシャンの効果で『進化の代償』を破壊!手札が捨てられた事で墓地の『EMギッタンバッタ』を特殊召喚!」

 

EMギッタンバッタ 守備力1200

 

「まだだ!『EMラクダウン』のペンデュラム効果でこのターン、ルーンアイズは貫通効果を得、相手モンスターの守備力は800ダウン!」

 

ゴールド・ガジェット 守備力800→0

 

グリーン・ガジェット 守備力600→0

 

瑚之龍 守備力500→0

 

アクアアクトレス・アロワナ 守備力2000→1200

 

アクアアクトレス・グッピー 守備力1200→400

 

アクアアクトレス・テトラ 守備力900→100

 

らくがきじゅう―てらの 守備力1200→400

 

「バトルだ!ルーンアイズでアユのアロワナとテトラに攻撃!連撃のシャイニーバースト!」

 

「テトラとの戦闘時、罠発動!『ガード・ブロック』!ダメージを0にして1枚ドロー!」

 

鮎川 アユ LP3500→1700 手札2→3

 

ルーンアイズが背のリングの僅かな窪みへとエネルギーを充填し、2本の熱線を放つ。空を裂き、迫る先行を防ぐ為、アユはリバースカードを使ってかわす。

 

「ヘイタイガーでグッピーに攻撃!」

 

ヘイタイガーが手に握った剣を振るい、テトラを3枚に下ろす。器用なものだ。下ろされた2枚が遊矢の手元に運ばれ、2枚の手札と化す。

 

「ヘイタイガーと『幻獣の角』の効果で『EMラフメイカー』をサーチし、1枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札7→8

 

「まだまだ!ビーストアイズで『らくがきじゅう―てらの』へ攻撃!ヘルダイブバースト!」

 

ビーストアイズとてらののアギトに大気が集束し、発火、迸る青き火炎と子供の落書きのような炎がぶうかり合い、鬩ぎ合う。だが次第に青の炎が押していき、てらのの炎を食らい、更に勢いを増しててらのを飲み込む。

 

「罠発動!『ガード・ブロック』!ダメージを0にしてドロー!」

 

原田 フトシ 手札3→4

 

「この瞬間、ビーストアイズの効果により、素材となったディスカバー・ヒッポの攻撃力分のダメージを与える!」

 

山城 タツヤ LP4000→3200

 

鮎川 アユ LP1700→900

 

原田 フトシ LP3800→3000

 

「スライハンド・マジシャンで『瑚之龍』に攻撃!」

 

「アクションマジック、『奇跡』!『瑚之龍』は戦闘破壊されず、戦闘ダメージは半分に!守備表示だから意味はないけどね」

 

「メインフェイズ、手札を1枚捨て、魔法カード、『ペンデュラム・コール』を発動!デッキから『慧眼の魔術師』と『刻剣の魔術師』をサーチ!手札上限で2枚捨て、ターンエンド」

 

榊 遊矢 LP1200

フィールド『ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』(攻撃表示)『ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』(攻撃表示)『EMヘイタイガー』(攻撃表示)『EMギッタンバッタ』(守備表示)

『幻獣の角』

Pゾーン『EMマンモスプラッシュ』『EMラクダウン』

手札5

 

「私のターン、ドロー!私だって……!水のイリュージョンを披露するよ!私は『瑚之龍』を攻撃表示に変更!手札を1枚捨て、ルーンアイズを破壊!魔法カード、『サルベージ』を発動し、テトラとグッピーを回収し、『手札抹殺』を発動!捨てたカードは3枚!よって3枚ドロー!来た!フィールド魔法、『伝説の都アトランティス』!」

 

瑚之龍 攻撃力2700→2900

 

アユのフィールドが深海に沈み、神秘的で厳かな海底都市へと変化する。溢れ出る水、水、水、一瞬でフィールドが変わるその様は正にイリュージョン。

 

「そして『コダロス』を召喚!」

 

コダロス 攻撃力1400→1600

 

「そんなカードまで……!」

 

現れたのは小型の海竜族モンスターだ。幼く、小さな姿をしているが、その身に秘めた力は並外れている。アトランティスの中で泳ぐこのモンスターを見て、遊矢の頬がひきつる。

 

「『コダロス』の効果!アトランティスを墓地に送り、『ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』とギッタンバッタを墓地に送る!」

 

アトランティスがゴゴゴゴと震え出し、流れる水が溢れ、噴水のように宙へと吹き出し、巨大な波となって遊矢のフィールドのビーストアイズとギッタンバッタを飲み込む。破壊を通さない除去だ。これを防ぐ手立ては今の遊矢にはない。

 

「バトル!『瑚之龍』でヘイタイガーを攻撃!」

 

「手札の『クリボー』を捨て、ダメージを0に!」

 

『瑚之龍』の水のブレスが噴出し、ヘイタイガーを飲み込む。これでサーチとドローまでも潰された。残るモンスターはスライハンド・マジシャンのみ。1ターンでここまで削られるとは思ってもみなかった。

 

「私のエンタメはこれにて閉幕!ターンエンドだよ!」

 

鮎川 アユ LP900

フィールド『瑚之龍』(攻撃表示)『コダロス』(攻撃表示)

『水舞台装置』『水照明』

手札1

 

「次は俺の番だ!俺のターン、ドロー!俺だって見せてやるぜ!痺れる位面白いエンタメデュエル!魔法ガード、『死者転生』!手札のアクションカードを捨て、墓地のラギアを回収!更に魔法カード、『予想GUY』!デッキから『セイバーザウルス』を特殊召喚!」

 

セイバーザウルス 攻撃力1900

 

「まだまだ!墓地のミセラサウルスの効果でこのカード2枚とウルカノドン、てらのを除外、デッキからケラトを特殊召喚!」

 

エヴォルダー・ケラト 攻撃力1900

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!『エヴォルカイザー・ラギア』!!」

 

エヴォルカイザー・ラギア 攻撃力2400

 

「俺はカードを2枚伏せてターンエンド」

 

原田 フトシ LP3000

フィールド『エヴォルカイザー・ラギア』(攻撃表示)

セット2

手札0

 

「僕のターン、ドロー!」

 

「ここで俺は罠カード、『進化の特異点』を発動!墓地のカシネリアとケラトを選択、そしてエクストラデッキの『エヴォルカイザー・ソルデ』を特殊召喚!」

 

エヴォルカイザー・ソルデ 攻撃力2600

 

「更に選択したカードをORUに!」

 

『遊矢、あのカードは特殊召喚したカードを破壊する!』

 

「成程……」

 

「僕を忘れちゃ困るよ!魔法カード、『死者転生』手札を1枚捨て、墓地のボム・フェネクスをエクストラデッキに戻し、墓地の『ヴォルカニック・バレット』の効果で500LP払い、同名カードをサーチ!」

 

山城 タツヤ LP3200→2700

 

「魔法カード、『融合』!手札の『シルバー・ガジェット』と『ヴォルカニック・バレット』を融合!融合召喚!『重爆撃禽ボム・フェネクス』!!」

 

重爆撃禽ボム・フェネクス 攻撃力2800

 

再びフィールドに蘇る不死鳥のモンスター。高い攻撃力も厄介だが、真に恐るべきはその効果にある。

 

「ボム・フェネクスの効果発動!フィールドに存在するカード1枚につき、300のダメージを与える!不死魔鳥大空襲!」

 

「フィールドのカードは14枚……4200のダメージ!?くっ、アクションカードは――」

 

3対1である事を充分に活かした特大のバーン攻撃が遊矢に迫る。だが、これは他の2人も犠牲にする。そう、思った時、目の前にあったのは舌をチロリと出し、片目を伏せる可愛らしいアユの姿。

 

「ごめんね遊矢お兄ちゃん。『ハネワタ』を捨て、効果ダメージを0に!」

 

「くっ、可愛いから許しちゃう……っ!」

 

『それで良いのかお前は!?』

 

「じゃあ俺は罠カード、『ピケルの魔法陣』の効果で効果ダメージを0に!」

 

後輩の余りにも可愛らしいてへっ、に遊矢が唇を噛んで仕方なく許してしまう。ユートがツッコムが遊矢は決してロリコンじゃない。ただアユが可愛かっただけだ。そんな中、フトシもまたダメージを回避し――残るは遊矢のみ。空より襲いかかる爆弾、それは地面に着弾し――激しい轟音を響かせ、辺り一面に黒煙が立ち込める。

決まった――誰もがそう思った時、『マジカル・ブロードウェイ』を駆けるスポットライトが一点に集まり、そこから閃光が黒煙を裂く。中より登場したのは――この窮地から見事脱出した、エンタメデュエリストの姿。

 

「なーんてねっ!墓地の『プリベントマト』を除外し、ダメージを無効にゴホッ、ゴホッ!」

 

『締まらない奴だ』

 

「やっぱり……遊矢お兄ちゃんは最高のエンターテイナーだ!僕はこれでターンエンド!さぁ、遊矢お兄ちゃんのターンだよ!」

 

山城 タツヤ LP2700

フィールド『重爆撃禽ボム・フェネクス』(攻撃表示)『起爆獣ヴァルカノン』(守備表示)『ゴールド・ガジェット』(守備表示)『グリーン・ガジェット』(守備表示)』

『補給部隊』

手札0

 

3人の前に高くそびえ立つ壁。誰よりも身近にいて、憧れたデュエリスト、榊 遊矢。彼等は遊矢を誇りとし、遊矢も3人を誇りに思う。

今はまだ、届かないかもしれない。だけど、何時かきっと越える為に、道を示す為に、このデュエルを記憶に焼きつける。

 

「さぁさぁ、皆さんご注目!ここから繰り広げられるエンターテイメントに喝采を!ドローッ!!」

 

引き抜かれる1枚のカード、さぁ、巻き起こせ、台風を。激しい風に遊矢の首にかけられたペンデュラムが揺れ、キラリと閃く。恐らくは長い闘いの旅に出る遊矢にとって、遊勝塾のデュエルはここで1度終わるから――最後は輝く笑顔で締めるべき、それが――遊勝塾に相応しい。

 

「まずは墓地の『置換融合』を除外、ビーストアイズをエクストラデッキに戻し、ドロー!」

 

榊 遊矢 手札4→5

 

「速攻魔法、『禁じられた聖杯』!ラギアの効果を無効にして攻撃力を400アップ!」

 

エヴォルカイザー・ラギア 攻撃力2400→2800

 

「更にもう1枚!ソルデの効果を無効に!」

 

エヴォルカイザー・ソルデ 攻撃力2600→3000

 

「くぅ、痺れるぅ!」

 

「装備魔法、『ワンダー・ワンド』をスライハンド・マジシャンに装備!」

 

EMスライハンド・マジシャン 攻撃力2500→3000

 

「この2枚を墓地に送り、2枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札2→4

 

「俺は魔法カード、『ペンデュラム・ストーム』を発動!スケールを破壊し、『補給部隊』を破壊!『時読みの魔術師』と『星読みの魔術師』をセッティング!ペンデュラム召喚!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!!『EMカレイドスコーピオン』!『EMダグ・ダガーマン』!『EMペンデュラム・マジシャン』!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力2500

 

EMカレイドスコーピオン 守備力2300

 

EMダグ・ダガーマン 攻撃力2000

 

EMペンデュラム・マジシャン 守備力800

 

遊矢の背後に光の柱が上り、中に出現したのは遊矢が初めてペンデュラムを発現した時、彼を支えてくれた2体の『魔術師』。彼等は空に魔方陣を描き、遊矢の仲間を呼び出す。

 

「ペンデュラム・マジシャンの効果でこのカードと時読みを破壊し、『EMトランプ・ウィッチ』と『EMレインゴート』をサーチ!トランプ・ウィッチを召喚!」

 

EMトランプ・ウィッチ 攻撃力100

 

「リリースして魔法カード、『融合』をサーチし、発動!フィールドの『オッドアイズ』とダグ・ダガーマンを融合!比類なき短剣使いよ。二色の眼輝く龍よ。今一つとなりて新たな命ここに目覚めよ!融合召喚!現れ出でよ!気高き眼燃ゆる勇猛なる龍!『ブレイブアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!」

 

ブレイブアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力3000

 

そして――このデュエルに決着をつける、遊矢の最後のモンスターが舞台に降り立つ。ゴウゴウと燃える炎の渦より姿を見せる、目が覚めるような鮮やかな紅蓮の体躯を唸らせるドラゴン。

頭と背に黄金に煌めく角を伸ばし、胸に宝玉を抱いたそのモンスターは全ての者に勇気を与えるべく吠える。

 

「ブレイブアイズの効果で相手モンスターの攻撃力を0に!」

 

重爆撃禽ボム・フェネクス 攻撃力2800→0

 

起爆獣ヴァルカノン 攻撃力2300→0

 

ゴールド・ガジェット 攻撃力1700→0

 

グリーン・ガジェット 攻撃力1400→0

 

瑚之龍 攻撃力2700→0

 

コダロス 攻撃力1400→0

 

エヴォルカイザー・ラギア 攻撃力2800→0

 

エヴォルカイザー・ソルデ 攻撃力3000→0

 

「カレイドスコーピオンの効果でブレイブアイズは――全ての特殊召喚されたモンスターに攻撃できる!フィナーレだ!ブレイブアイズで攻撃――灼熱のメガフレイムバーストッ!!」

 

山城 タツヤ LP2700→0

 

鮎川 アユ LP900→0

 

原田 フトシ LP3000→0

 

舞台は終幕――眩しい笑顔を向ける観客に――遊矢は深々と礼をした――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




人物紹介17

山城 タツヤ
所属 遊勝塾
遊勝塾の頭脳担当、大人びた性格をしており、カードについての知識も広い。遊矢に憧れ、遊勝塾へと入塾する。この作品ではバレットに弟子入りし、堅実な戦術をより強固にした。
アニメではE・Mと言うカードを使ってたっぽいが、終盤E・M?誰それ、俺『ブンボーグ』ぅ!になってた、解せぬ。
この作品の使用デッキは融合軸の『ガジェット』。エースカードは『重爆撃禽ボム・フェネクス』。

鮎川 アユ
所属 遊勝塾
遊勝塾のあざとい担当、ピッチピチのロリ。あざといが、それが良い。とは言えコナミやセレナ、九庵堂とか言う頭の良いバカ達に指導を受け、遊勝塾の中でもトップクラスに殺意が高くなっている。ひどい。
使用デッキは『アクアアクトレス』。エースカードは『瑚之龍』。

原田 フトシ
所属 遊勝塾
遊勝塾の痺れ担当、見た目に反して身体が柔らかく、独特の動きから繰り出される「痺れるぅ~!」は何時の間にかクセになる。
この作品では勝鬨の弟子であり、特訓中勝鬨はこいつの痺れちっとも見切れないんだけどなんなん?と戦慄したとか。
因みに特訓を終えた後、フトシはコンマイ語の理解度が落ちた。タクティクス、リアルファイト共に上昇させる勝鬨のデメリットである。
使用デッキは『エヴォル』。エースカードは『エヴォルカイザー・ラギア』。


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