時は少しだけ遡る。遊矢達がデュエルをしていた頃、コナミもまた真澄達とデュエルを開始していた。
先攻は刃だ。彼はジッ、と自分の手札を見つめた後、これならばと展開を始める。
「俺のターン、俺は『XX―セイバーボガーナイト』を召喚!」
XX―セイバーボガーナイト 攻撃力1900
開戦の火蓋を切って下ろしたのは『X―セイバー』の切り込み役。荒くれ者と言った風貌の獣戦士だ。その頭には捻れた角が生えた兜を。背にはマントを伸ばし、その手には妖しく閃く剣を握っている。
「ボガーナイトの召喚時効果でチューナーモンスター、『X―セイバーエアベルン』を特殊召喚!」
X―セイバーエアベルン 攻撃力1600
ボガーナイトがマントで身体を覆い、直ぐ様払うように靡かせれば、中より新たなモンスターがフィールドに飛び出す。
その正体は金色の鬣を靡かせた獅子の頭を持つ兵士。両手にはフック状となった3本の鉤爪が伸びた手甲を纏っている。
「フィールドに2体以上『X―セイバー』が存在する事で『XX―セイバーフォルトロール』を特殊召喚!」
XX―セイバーフォルトロール 攻撃力2400
ここで現れたのは『X―セイバー』のキーカード。真紅の鎧とマントを纏い、大剣で空を裂く単眼の巨人。この3体を見て、コナミの顔があ、これちょっとヤバい奴じゃんと変わり、彼は直ぐ様フィールドを駆ける。
「待たせたな!レベル4のボガーナイトにレベル3のエアベルンをチューニング!光差する刃持ち屍の山を踏み越えろ!シンクロ召喚!出でよ!『X―セイバーソウザ』!」
X―セイバーソウザ 攻撃力2500
刃の隣で喉を鳴らすエアベルンが光となって弾け、3つのライトグリーンのリングが出現、そしてその中をボガーナイトが勢い良く潜り抜け、7つの星が一直線に並ぶ。
更に眩き光が撃ち抜いてフィールドを照らす。光が晴れたそこに立っていたのは、2本の剣を交差し、ボロボロのマントを纏った狂剣士だ。
「飛ばしてくぜ!フォルトロールの効果でエアベルンを蘇生!」
X―セイバーエアベルン 攻撃力1600
「レベル6のフォルトロールにレベル3のエアベルンをチューニング!白銀の鎧輝かせ刃向かう者の希望を砕け!シンクロ召喚!出でよ!『XX―セイバーガトムズ』!!」
XX―セイバーガトムズ 攻撃力3100
フォルトロールの身体に白銀の鎧と兜が装着され、フィールドに降り立つ。鎧に青白い光が走り、真紅のマントが風に吹かれる。手に持った大剣が光に包まれて中心でバキリと音を響かせて割れ、二又の大剣となって振るわれる。
これこそが刃のエースカード。全てを切り裂く至高の剣。
「まだまだ!魔法カード、『ガトムズの非常召集』!墓地のボガーナイトとエアベルン、2体の『X―セイバー』を攻撃力0にして蘇生!」
XX―セイバーボガーナイト 攻撃力1900→0
X―セイバーエアベルン 攻撃力1600→0
「魔法カード、『戦士の生還』!墓地のフォルトロールを回収し、特殊召喚!」
XX―セイバーフォルトロール 攻撃力2400
ヤバい、これは本当にヤバい。コナミが額より冷や汗を垂らし、真澄と北斗もえげつねぇとドン引きする。とんでもないソリティア。しかし問題はここからだ。
「フィールドのソウザ、ボガーナイト、エアベルンをリリースし、コナミの手札をランダムに3枚捨てる!」
コナミ 手札5→2
3体の『X―セイバー』が光となってガトムズの大剣に吸収され、振るわれる事で発生した斬撃がコナミの手札を切り裂く。本当にちょっと待って欲しい。権現坂は動じなかったが、それは彼だから、と言う理由と1対1だったからだ。
「フォルトロールの効果でエアベルン蘇生!」
X―セイバーエアベルン 攻撃力1600
「フォルトロールとエアベルンをリリースし、残る2枚も切り裂く!」
コナミ 手札2→0
「Oh……!」
「ひどい(直球)」
「3対1でこれって……そこまでして勝とうとは思わないわ……」
「うるせぇ!」
本当に酷い。とは言っても3対1でこの戦術、彼等が忘れているだけで隼にも使っているのだが。コナミが呆然とし、2人が刃を非難する始末だ。
3対1にも関わらず、コナミの手札は0、何ともひどいスタートだ。しかも捨てられた手札も『E・HEROシャドー・ミスト』や『妖刀竹光』が無かった為、リカバリーが出来ないと来た。
「俺はこれでターンエンドだ。さぁ、この状況、どう覆す?尤もお前のターンは最後だけどな」
刀堂 刃 LP4000
フィールド『XX―セイバーガトムズ』(攻撃表示)
手札0
ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、刃はコナミを挑発する。自分でやっといてどう覆す、なんてふざけてんのかコイツ?としか思えない。無効無効の効果を並べてくるより、バトルロイヤルでのハンデスは厄介だ。もしもここにフトシがいたらもっと酷い事になっていたが。
「コナミが不憫でならないわ……だからって容赦はしないけど!」
「……お前こそそんなんだから何時まで経っても真澄んなんだよ……友達出来ねぇんだよ」
「ううううるっさいわね!」
自身を非難する言葉に反応し、刃がボソリと真澄んが気にしている言葉を吐く。ここで手加減して好感度を上げに行こうとしない辺りが真澄んだ。尤も、手加減すればコナミの好感度は逆に下がるだろうが。
真澄んが顔を真っ赤にして刃の言葉を遮断する。
「私のターン、ドロー!大丈夫だもん……私友達作れる子だもん……っ!」
「「「……」」」
「なんか言いなさいよぉ……っ!良いもんっ!永続魔法、『星邪の神喰』を発動!自分の墓地のモンスター1体のみが除外された場合、そのモンスターと属性が異なるモンスターをデッキから墓地に落とすわ!魔法カード、『ジェムナイト・フュージョン』!手札の『ジェムナイト・ラズリー』と『ジェムナイト・ガネット』で融合!融合召喚!現れ出でよ!幻惑の輝き!『ジェムナイト・ジルコニア』!」
ジェムナイト・ジルコニア 攻撃力2900
真澄の背後に青とオレンジの渦が広がり、その中へと少女らしき瑠璃のモンスターと燃えるような柘榴石のモンスターが飛び込んで混じり合い、光を裂いて新たなモンスターが現れる。
模造ダイヤを嵌め込んだ巨腕を振るい、紫の外套を翻したジルコニアの騎士。『ジェムナイト』においては軽い素材で呼び込める高攻撃力のカードだ。
「ラズリーの効果でガネットを回収!そしてラズリーを除外し、『ジェムナイト・フュージョン』を回収!『星邪の神喰』の効果でデッキから『超電磁タートル』を墓地へ!そして『クリスタル・ローズ』を召喚!」
クリスタル・ローズ 攻撃力500
真澄が手札から召喚したのはその名の通り、クリスタルの輝きを放つ薔薇だ。『ジェムナイト』に関する効果を持っているカードでは貴重な光属性であると共にコナミの持つ『E・HEROプリズマー』のような名を借りる効果を持つ為、真澄は重宝している。1枚は柚子へと渡したが。
「『クリスタル・ローズ』の効果!デッキから『ジェムナイト・サニクス』を落とし、同名として扱うわ!そして『ジェムナイト・フュージョン』!手札のガネットと『クリスタル・ローズ』で融合!融合召喚!『ジェムナイト・セラフィ』!」
ジェムナイト・セラフィ 攻撃力2300
2体目の『ジェムナイト』融合モンスターが現れる。女性らしい線の細さに甲冑とマントを纏い、背には天使の羽を伸ばした神々しい『ジェムナイト』。その姿には『ジェムナイト・ラズリー』の面影が残っており、成長した姿だと推測出来る。
「カードを1枚セットしてターンエンドよ」
光津 真澄 LP4000
フィールド『ジェムナイト・ジルコニア』(攻撃表示)『ジェムナイト・セラフィ』(攻撃表示)
『星邪の神喰』セット1
手札0
融合モンスターが2体に『ジェムナイト』と相性の良い『星邪の神喰』、セットカードが1枚。手札はコナミと同じく満足しているが、次のターンに『ジェムナイト・フュージョン』を回収するだろう。
何より厄介なのは墓地に落とされた『超電磁タートル』。これがあれば1度だけであるがバトルフェイズが強制的に終了される。バトルロイヤルでは全員が1ターン目では攻撃不可能の為、コナミは2度もバトルを封じられる事となる。ルールまでもが牙を剥く、最悪の状況だ。しかも次のプレイヤーもこの状況を更に追い込むデュエリスト。詰めデュエルでもしている気分である。詰んでいるのはコナミだが。
「さぁ、僕のターンだ!ドロー!僕は『セイクリッド・シェアト』を特殊召喚!」
セイクリッド・シェアト 守備力600
続く北斗のターン、彼が手札から呼び出したのは自分フィールドにモンスターが存在せず、相手のフィールドにモンスターがいれば特殊召喚出来るモンスターの1枚。水瓶座をモチーフとした小さなモンスターだ。優秀なモンスターであり初手で呼び込めたのは大きい。
「『セイクリッド・ポルクス』を召喚!」
セイクリッド・ポルクス 攻撃力1700
次は左半身がプラチナの輝きを放つ鎧兜とマントを纏い、二又に分かれた剣を持った双子座の騎士。
「ポルクスの効果で僕はもう1度『セイクリッド』を召喚する権利を得る!『セイクリッド・グレディ』を召喚!」
ポルクスの隣に並び立ったのは山羊の角を兜から伸ばし、杖を手にした女性らしき星の騎士。これでレベル4が2体、だが北斗の手は止まらない。
「グレディの効果で手札から『セイクリッド・カウスト』を特殊召喚!」
セイクリッド・カウスト 攻撃力1800
更に召喚されるのは金色の弓を手にした射手座の『セイクリッド』。マジかよ、とこのモンスターの登場を見てコナミが額から汗を伝わせる。やはり志島 北斗は――あの異名通りの男だと。
「カウストの効果でこのカードとポルクスのレベルを1つ上げる!」
セイクリッド・カウスト レベル4→5
セイクリッド・ポルクス レベル4→5
「更にシェアトの効果でグレディのレベルをコピー!」
セイクリッド・シェアト レベル1→4
「準備は整った!レベル5のモンスター2体でオーバーレイ・ネットワークを構築!星々の光よ!今大地を震わせ降臨せよ!エクシーズ召喚!『セイクリッド・プレアデス』!!」
セイクリッド・プレアデス 攻撃力2500
北斗の眼前に煌めく星を散りばめた渦が広がり、2体のモンスターが光となって吸い込まれる。瞬間、小爆発を起こし、渦を砂塵を裂いて現れたのは星のマントを靡かせ、大剣を振るう白と金の騎士。彼が誇るエースモンスターだ。
「まだだ!レベル4のモンスター2体でオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!『セイクリッド・オメガ』!」
セイクリッド・オメガ 攻撃力2400
次に現れたのはカウスト同様、射手座を守護する上級『セイクリッド』。仲間に星の加護を与える神星騎兵だ。下半身は馬のような四足となっており、マントは翼のように広がっている。
「カードを2枚セットしてターンエンドだ!」
志島 北斗 LP4000
フィールド『セイクリッド・プレアデス』(攻撃表示)『セイクリッド・オメガ』(攻撃表示)
セット2
手札0
コナミの前に立ち塞がる、数々の強力なカード達――それは最早、今までになく酷い光景だった。刃のガトムズがコナミの手札をハンデスさせ、真澄の墓地に落ちた『超電磁タートル』が攻撃を防ぎ、更には北斗のプレアデスがコナミがモンスターを召喚しても魔法、罠をセットしてもバウンスすると言わんばかりに無言の圧力を送っている。デッキ所か、次に引くたった1枚のカードでさえ詰む状況だった。もっと自重して欲しい。
「……あの、うん、私達も悪かったって言うか……ね、ねぇ?」
「まぁ、あれだ、これで負けても落ち込むなって!」
「サ、サレンダーする?一回仕切り直すか!うん!」
「下手な慰めは止めろ」
本人でさえ気まずそうに視線を逸らし、反省する始末である。最初からこんな事するなと言えるが。確かにヤバい布陣だ。これで次にドローする手札が悪かったら高笑いした後、大声で「サレンダーだっ!!」と吐き捨ててやろうかとも思ったが、仕方無い。コナミは諦めが悪いのだ。
「ドローしてから考えるか……」
「つ、続けるのか……」
「そう来れば来るでちょっと引くわね」
「い、良いぞコナミ!そのガッツだけは買う!」
「もう黙ってろ」
やや半ギレ。うるさい3人組に苛々としながらコナミはデッキトップに手を翳し、勢い良くドローする。
「オレのターン、ドロー!」
引き抜く1枚のカードは、逆転の一手か否か。いずれにせよ、コナミの動向に3人はゴクリと喉を鳴らし、一挙一動に目を離さずに見つめる。チラリ、コナミはカードに目を配らせ――。
「魔法カード、『エクシーズ・トレジャー』!エクシーズモンスターの数だけドロー!」
「ここで引くのは流石だな……!」
「オメガのORUを使い、『セイクリッド』に耐性を与える!」
「墓地の『ブレイクスルー・スキル』を除外し、オメガの効果を無効!」
コナミ 手札0→2
引き抜かれる2枚のカード、これでコナミの手数が増えたが、それでもこの状況を覆す事が出来るかどうか。
「魔法カード、『マジカル・ペンデュラム・ボックス』。2枚ドロー……どちらもペンデュラムモンスターでは無い、墓地に捨てる。カードをセット、ターンエンドだ」
「ぬぁぁー!」
「だ、大丈夫、あのカード次第では――」
「『セイクリッド・プレアデス』のORUを1つ取り除き、効果発動!」
「やめたげてよぉっ!」
「墓地の『スキル・プリズナー』を除外し、セットカードをモンスター効果から守る!」
北斗が反射的に手を突き出し、無慈悲な鉄槌を下そうとしたその時だった。ガトムズの効果でハンデスされ、墓地に落ちたカードを駆使し、コナミが難を逃れたのは。
「お、おおっー!」
「し、信じてたわ!コナミはこんな所で終わらないって!私信じてた!」
「ハッ、思わずバウンスを使ってしまった……」
コナミ LP4000
フィールド
セット1
手札0
いずれにせよ、プレアデスの効果を防ぎ、カードをセットする事には成功した。後はこのカードがフリーチェーンかどうか、状況を覆すか否かだ。
「俺のターン、ドロー!」
「罠発動!『裁きの天秤』!オレのカードは1枚、お前達のフィールドのカードは8枚!よって7枚のドローだ!」
コナミ 手札0→7
不利な状況を活かし、一気に大量のカードを手札に引き込むコナミ。これで少しはマシになった。後は3ターン、3ターンもの間彼等の猛攻を堪えなければならない。その為の防御札は手札と墓地のカード、余りにも範囲が狭い。コナミのデッキが墓地発動カードを大量に投入していなければ詰んでいただろう。そうで無くとも次から次へと有利になっても危ない橋を渡る状況だ、後は――アクションカードか。不意にコナミは摩天楼の空を見上げ、フィールドを再び駆け出す。
「アクションカード狙い……!オメガ!阻め!」
「甘いわ!」
駆け出すコナミを見て、北斗がオメガに指示を出してコナミの眼前に壁として出すも、問題ないと言わんばかりにコナミがオメガの背を蹴り、更に加速。とんでもない身体能力だ。オメガもどうすれば良いのかとコナミを見逃してしまう。
「化物め……!ガトムズでダイレクトアタック!」
刃がコナミの行動を察知し、ガトムズに指示を飛ばし、それを受けて白銀の鎧が地を蹴り、弾かれたように猛スピードでコナミに肉薄、身体を丸め、両手で剣を握り締め、真横に振り抜く。アクションカードはまだ拾っていない。これを受ければ攻撃力3100のダメージを丸々削られる。
だから――コナミは手札の1枚をデュエルディスクに叩きつける。
「手札の『虹クリボー』の効果発動!このカードをガトムズに装備し、攻撃を封じる!」
ガクンッ、突如現れた虹色の角を持つ謎生物がガトムズの足を引っ張り、行く手を遮る。小さな身体と比べてとんでもない力だ。何にせよ、これで刃の攻撃を防いだ。後は真澄と北斗か。彼等は刃と違い、2体のモンスターを有している為、この手はもう通じないだろう。
こんな時にホープ、君がいてくれたら、とコナミは苦い表情を浮かべながら光溢れる街並みを蹴っていく。
「チッ、メインフェイズ2に移行し、魔法カード、『命削りの宝札』を発動!3枚ドローするぜ!」
刀堂 刃 手札0→3
「『XX―セイバーダークソウル』を召喚!」
XX―セイバーダークソウル 攻撃力100
ここで刃が召喚したのは深紅のマントを纏い、鋭く、そして妖しく閃く鎌を持った死神のようなモンスターだ。
「ガトムズの効果でダークソウルをリリースし、コナミの手札を削る!」
コナミ 手札6→5
またもやハンデス、流石にまた全ての手札を捨てさせる事は出来ないが、それでも手数を減らしておくのは悪い手では無い。何せこのデュエルは3対1、それを覆すにはやはり手数は多い方が良く、逆に少ないならば逆転も難しくなる。
「ッ、だが捨てられたのは『妖刀竹光』!効果で『黄金色の竹光』をサーチ!」
「チッ、だがそう来なくちゃ面白くねぇ!カードを2枚セットしてターンエンド。この瞬間、『命削りの宝札』の処理をしてからダークソウルの効果で『XX―セイバーレイジグラ』をサーチするぜ」
刀堂 刃 LP4000
フィールド『XX―セイバーガトムズ』(攻撃表示)
セット2
手札1
「私のターン、ドロー!墓地の『ジェムナイト・ガネット』を除外し、『ジェムナイト・フュージョン』を回収!『星邪の神喰』の効果で『ヴォルカニック・バレット』を落とすわ。そして永続魔法、『ブリリアント・フュージョン』を発動!デッキから『ジェムナイト・ラズリー』2体と『ジェムナイト・アンバー』を墓地に送り、融合!光渦巻きて新たな輝きと共に一つとならん!融合召喚!これが私の真のエース!輝きの淑女!『ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ』!!」
ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ 攻撃力3400→0
たった1枚のカードから融合を果たす、融合の中でも上級の手段、デッキ融合により、瑠璃の少女と琥珀の騎士が1つになって新たな光となる。
フィールドに出現する巨大なダイヤモンド。それは縦、横、両斜め、計4本の線を走らせ、砕け散り、中より美しきダイヤモンドの白騎士が降臨する。
真澄が師であるマルコを倒し、譲り受けた新たな切り札だ。今では完全に使いこなしている。
「出たか……!」
「ふふっ、思い出すわね……私は墓地に送られた『ジェムナイト・ラズリー』の効果で墓地から『ジェムナイト・サニクス』と『ジェムナイト・アンバー』を回収!まだよ!『ヴォルカニック・バレット』の効果でLPを500払い、同名カードをサーチ!」
光津 真澄 LP4000→3500
「そしてブリリアント・ダイヤの効果!このカードを墓地に送り、エクストラデッキから『ジェムナイト・パーズ』を特殊召喚!グラインド・フュージョン!光渦巻きて新たな輝きと共に一つとならん!現れよ!勝利の探求者、『ジェムナイト・パーズ』!」
ジェムナイト・パーズ 攻撃力1800
ブリリアント・ダイヤが自身をダイヤモンドの殻に閉じ込め、再び剣線を走らせ、砕け散る。現れたのはブリリアント・ダイヤから変化したトパーズの騎士だ。その背からはマントを靡かせ、気風溢れる姿を見せる。
「私は墓地のブリリアント・ダイヤを除外し、『クリスタル・ローズ』の効果発動!このカードを守備表示で特殊召喚!」
クリスタル・ローズ 守備力500
「効果発動!デッキの『ジェムナイト・アイオーラ』を落とす!そして『ジェムナイト・フュージョン』発動!『クリスタル・ローズ』と『ヴォルカニック・バレット』を融合!光渦巻きて新たな輝きと共に一つとならん!融合召喚!『ジェムナイト・マディラ』!」
ジェムナイト・マディラ 攻撃力2200
新たに姿を見せたるは黄水晶とも呼ばれる宝石の騎士。焦げ茶色の鎧を纏い、両手は赤く発熱したかのようになっている。宝石言葉は友情、そして初恋。どっちつかず、いや、どちらもまともに得られていない真澄んにぴったりのカードだ。
「バトルよ!マディラの攻撃時、相手は魔法、罠、モンスターの効果を発動出来ない!まずは確実にダメージを狙う!」
「ならばその前に墓地の『光の護封霊剣』を除外し、ダイレクトアタックを封じる!」
コナミが地より光輝く金色の剣を引き抜き、襲い来るマディラの剣を防ぐ。火花散る剣戟。このままでは勿論モンスターではあるマディラに軍配が上がるが、そうはいかない、大地が隆起して更に2本の剣が飛び出し、コナミを救援する。流石に分が悪い。マディラはその身を翻し、真澄のフィールドへと戻る。
コナミは即座に光の剣を一振りしてそのまま投げ捨て、ビルの壁に突き立て、それを利用して剣に飛び乗り、体重を預けて刃をしならせ――バイン、と戻る力で勢い良く跳躍する。
「んなっ――!?相変わらずとんでもない身体能力ね……!私はこれでターンエンドよ……!」
光津 真澄 LP3500
フィールド『ジェムナイト・ジルコニア』(攻撃表示)『ジェムナイト・セラフィ』(攻撃表示)『ジェムナイト・マディラ』(攻撃表示)『ジェムナイト・パーズ』(攻撃表示)
『ブリリアント・フュージョン』『星邪の神喰』セット1
手札2
コナミの人間離れした身体能力に驚愕し、戦慄しながら真澄はターンを終える。一方のコナミは少し距離が足りなかったのか、ガシリと右手の指をビルの屋上の塀へと食い込ませ、そのまま指の力のみで登る。この男にしか出来ないような芸当だ。他にいるとしたら勝鬨か。
そんな彼の背後に現れたのは『セイクリッド・オメガ』の背に立ち、飛翔する北斗だ。コナミは振り向き、ニヤリと笑う。
「次はお前か……!」
「本当にめちゃくちゃだな君は……モンスターもいないのにここまで立体的に動くなんて……!」
「勝鬨程ではない」
「あれは別だし、君とそこまで変わらんだろう!永続魔法、『セイクリッドの星痕』を発動!そしてバトルだ!プレアデスでダイレクトアタック!」
「アクションマジック、『大脱出』!バトルフェイズを終了させる!」
プレアデスが星の光を剣へと集束させ、コナミを切り裂こうとしたその瞬間、コナミは直ぐ様ビルの屋上へと着く前に手に入れていたアクションカードを使い、攻撃を防ぐ。防御系アクションカードの中でも特に強力なカードだ。これを手に入れた事は幸運と言える。
「くっ、流石にこれだけ動けばアクションカードの1枚位持っているか……ターンエンドだ」
志島 北斗 LP4000
フィールド『セイクリッド・プレアデス』(攻撃表示)『セイクリッド・オメガ』(攻撃表示)
『セイクリッドの星痕』セット1
手札1
「やっとオレのターンか、オレのターン、ドロー!魔法カード、『マジカル・ペンデュラム・ボックス』!2枚ドロー!ペンデュラムは1枚だけ、もう1枚を捨てる。オレは『竜穴の魔術師』と『慧眼の魔術師』でペンデュラムスケールをセッティング!慧眼のペンデュラム効果でこのカードを破壊し、デッキから『賤竜の魔術師』をセッティング!揺れろ光のペンデュラム!虚空に描け魂のアーク!『慧眼の魔術師』!『竜脈の魔術師』!『V・HEROヴァイオン』!」
慧眼の魔術師 守備力1500
竜脈の魔術師 攻撃力1800
V・HEROヴァイオン 守備力1200
コナミの背後に2本の柱が昇り、その中に錫杖と扇を持った『魔術師』が現れ、天空に光の線を結んで魔方陣を描く。そして巨大な孔が開き、振り子が揺れて3本の眩き閃光が地上に落ちる。輝きが晴れたそこにいたのは3体のモンスターだ。
銀髪を靡かせ、秤を持った瑠璃の『魔術師』と両刃の剣を持った若い『魔術師』。そして頭部がカメラとなったEでは無く、V、ヴィジョンの『HERO』。赤馬の指示の下、瑠那が何とか開発したカードだ。
「ヴァイオンの召喚時、デッキの『E・HEROシャドー・ミスト』を墓地に送り、シャドー・ミストの効果でデッキの『E・HEROエアーマン』をサーチ!更にシャドー・ミストを除外し、ヴァイオンの第2の効果発動!デッキの『置換融合』をサーチ!」
墓地落としにサーチ効果、シャドー・ミストの効果も合わせればこの通り、2枚のカードをサーチし、1枚で融合召喚の準備が整う優秀なモンスターだ。デッキ圧縮にもなってコナミにとって有り難い。
「そして『E・HEROエアーマン』を召喚!」
E・HEROエアーマン 攻撃力1800
そのままたった今サーチしたエアーマンを召喚する。ファンの翼を伸ばした青い『HERO』。スマートなボディをしており、その効果は実に優秀だ。
「召喚時、『E・HEROブレイズマン』をサーチ!そして装備魔法、『妖刀竹光』をサーチし、『黄金色の竹光』を発動!」
コナミ 手札2→4
「魔法カード、『置換融合』!フィールドのエアーマンと竜脈を融合!融合召喚!『E・HEROガイア』!」
E・HEROガイア 攻撃力2200
ペンデュラムから融合へ、現れたのは黒鉄の鎧を纏った巨大な『HERO』融合体。素材、効果共に強力なモンスターだ。
「ガイアの効果により、ガトムズの攻撃力の半分を奪い取る!」
「『セイクリッド・プレアデス』の効果発動!ORUを取り除き、バウンス!」
「アクションマジック、『透明』!ガイアに完全耐性を与える!」
XX―セイバーガトムズ 攻撃力3100→1550
E・HEROガイア 攻撃力2200→3750
ガトムズの攻撃力を奪い、自らのものにする『フォース』効果。この効果ならばどんなモンスターだろうが耐性がない限り上から叩き、自分の攻撃力を無理矢理通せる。北斗も何とか援護するも、コナミはアクションカードで回避する。
「オレは2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!我が戦いはここから始まる、白き翼に望みを託せ、現れろ!No.39!エクシーズ召喚!希望皇ホープ!」
No.39希望皇ホープ 攻撃力2500
ペンデュラムから融合の次はペンデュラムからのエクシーズ。『魔術師』と『HERO』。先程の融合素材で使われた素材で今度は別のモンスターが生み出される。
現れたのは金色の鎧を纏い、純白の翼を広げ、左肩に39の赤き紋様を走らせ、腰に2刀を携えた希望の皇。猛々しく自らの名を咆哮し、悠然と両腕を組んでコナミの隣に降り立つ。
「『妖刀竹光』の効果で『黄金色の竹光』をサーチし、バトルだ!ガイアでガトムズに攻撃!コンチネンタルハンマー!」
「真澄!『超電磁タートル』は温存しろ!」
「っ、分かったわ。何とかしなさいよ!」
刀堂 刃 LP4000→1800
ガシャンッ!ガイアがビルの屋上から飛び降り、地面を砕きながら突き進み、ガトムズの白銀の鎧へと黒鉄の巨腕を振り抜く。ゴッ、メキメキィッ!と鈍い音を響かせて鎧を砕き、ガトムズが吹き飛ばされてビルに叩きつけられ、飛び散るガラス片が刃のLPにダメージを入れる。パラパラと埃を落とし、光の粒子となって消えるガトムズ。
『超電磁タートル』を使わせなかったのは後から来る厄介なモンスターに備える為か、コナミは舌打ちを鳴らして攻撃を続ける。
「ホープで刃に攻撃!ホープ剣・スラッシュ!」
「くっ、ハンデスの怨みか!?罠発動!『ガード・ブロック』!ダメージを0にして1枚ドロー!」
刀堂 刃 手札1→2
「逃したか……カードを1枚セットしてターンエンドだ」
コナミ LP4000
フィールド『No.39希望皇ホープ』(攻撃表示)『E・HEROガイア』(攻撃表示)
セット1
Pゾーン『竜穴の魔術師』『賤竜の魔術師』
手札3
ターンを終了し、くるりと刃達に背を向け、再びフィールドを移動するコナミ。その様はコンクリートジャングルを飛び交う猿か何かだ。ビルの屋上を飛ぶコナミを視線で追い、刃も足を運ばせながらデッキからカードを引き抜く。
「猿か何かかあいつは……俺のターン、ドロー!よっし!永続魔法、『炎舞―「天キ」』を発動!『XX―セイバーボガーナイト』をサーチし、召喚!」
XX―セイバーボガーナイト 攻撃力1900→2000
「効果で『XX―セイバーレイジグラ』を特殊召喚!」
XX―セイバーレイジグラ 守備力1000
ボガーナイトのマントから現れたのは頭をすっぽりと覆うフードつきのマントを被った二足歩行のカメレオン。その風貌は暗殺者のようだ。
「レイジグラの効果で『XX―セイバーフォルトロール』回収!特殊召喚!」
XX―セイバーフォルトロール 攻撃力2400
「フォルトロールの効果でエアベルン蘇生!」
X―セイバーエアベルン 攻撃力1600
「レベル6のフォルトロールにレベル3のエアベルンをチューニング!シンクロ召喚!『XX―セイバーガトムズ』!!」
XX―セイバーガトムズ 攻撃力3100→3200
「ガトムズの効果でレイジグラをリリースし、手札をかっさらう!」
コナミ 手札3→2
「ッ!やはり手痛いな……!」
「バトルに移る!ガトムズでホープに攻撃!」
「ホープのORUを1つ取り除き、攻撃を無効に!ムーンバリア!」
ガトムズが二又の剣を振るい、ホープへ襲いかかる。鋭い斬撃、しかしホープは自身の周りで回転するORUを1つ弾き飛ばし、翼を盾として差し出す事で攻撃を逸らす。
「ソウザにしてフォルトロールと一緒に殴った方が良かったか……?うーん……俺はカードを1枚セットしてターンエンドだ」
刀堂 刃 LP1800
フィールド『XX―セイバーガトムズ』(攻撃表示)『XX―セイバーボガーナイト』(攻撃表示)
『炎舞―「天キ」』セット2
手札0
「私のターン、ドロー!墓地の『ジェムナイト・ラズリー』を除外し、『ジェムナイト・フュージョン』を回収!『星邪の神喰』の効果でデッキの『ネクロ・ガードナー』を落としてバトル!ジルコニアでホープに攻撃!」
「ホープの効果で攻撃を無効に!」
真澄のターンへと移り、彼女はジルコニアへと指示を飛ばす。攻撃力2900のモンスターだ、無効にせざるを得ない。直ぐ様コナミは右手を突き出し、ホープの盾で防ぐ。
「でもこれでもう攻撃を無効に出来ないわ!セラフィでホープに攻撃!」
「ホープは自壊するが――罠発動!『マジカルシルクハット』!ガイアとデッキの魔法、罠カード2枚をセットしてシャッフル!」
セラフィの眩き光を受けて崩壊するホープを横目にコナミは次に標的にされるだろうガイアを守る為、リバースカードを使い、3つのシルクハットを出現させる。追撃も可能だが、ガイアの守備力は2600、その選択は賢くない。
「ターンエンドよ」
光津 真澄 LP3500
フィールド『ジェムナイト・ジルコニア』(攻撃表示)『ジェムナイト・セラフィ』(攻撃表示)『ジェムナイト・マディラ』『ジェムナイト・パーズ』(攻撃表示)
『ブリリアント・フュージョン』『星邪の神喰』セット1
手札4
「僕のターン、ドロー!僕はプレアデス1体でオーバーレイ・ネットワークを再構築!眩き光もて降り注げ!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!現れろ!『セイクリッド・トレミスM7』!!」
セイクリッド・トレミスM7 攻撃力2700
プレアデスの身体が光に包まれ、上位の存在へとランクアップする。現れたのは神聖なる領域で飛翔すると言われる伝説の神龍。頭部に蝙蝠のような巨大な翼を伸ばした金と白銀の機竜。蠍座を司る『セイクリッド』だ。
「星痕の効果でドロー!」
志島 北斗 手札2→3
「『セイクリッド・ソンブレス』を召喚!」
セイクリッド・ソンブレス 攻撃力1550
フィールドに降臨するのは天使に見間違う程に美しく、気高いモンスター。山羊の角が伸びたような兜と金と白の鎧を纏い、腰からは蝙蝠と蝶の羽を合わせたような翼を広げ、周囲には仲間達の武器を、手には真澄のもう1つのエースカード、『ジェムナイトマスター・ダイヤ』から受け取ったダイヤの短剣を握っている。線の細い、乙女座を司る『セイクリッド』の中でも特異なモンスターだ。
「ソンブレスの効果で墓地のポルクスを除外、墓地のカウストを回収!そしてソンブレスの続く効果で召喚権を増やし、召喚!」
セイクリッド・カウスト 攻撃力1800
「カウストの効果でソンブレスとこのカードのレベルを1つ上げる!」
セイクリッド・カウスト レベル4→5
セイクリッド・ソンブレス レベル4→5
「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!『セイクリッド・プレアデス』!!」
セイクリッド・プレアデス 攻撃力2500
「ここで使っても次のターンに呼び出されると……ならバトルだ!トレミスでガイアを攻撃!」
機竜が頭部の翼を広げ、地表スレスレで夜の街を滑空してガイアへと突き進む。シャアと蛇のようにアギトを開き、鋭い牙でガイアの鎧を食らいつき、容易く砕く。とんでもないパワーだ。破壊されるガイア。どうやらバウンスされても次のターンで破壊されると踏んだのだろう。尤も、『置換融合』で戻されるのだろうが――結果は同じ、ならば1枚ドローされても厄介な所でバウンスしてやろうと戦闘破壊を狙う。確かに残ったモンスターでもコナミのLPは削り取れるが――。
「2体で攻撃!」
「墓地の『超電磁タートル』を除外し、攻撃を防ぐ!」
「そう来るか……!僕はこれでターンエンドだ」
志島 北斗 LP4000
フィールド『セイクリッド・プレアデス』(攻撃表示)『セイクリッド・トレミスM7』(攻撃表示)『セイクリッド・オメガ』(攻撃表示)
『セイクリッドの星痕』セット1
手札2
ぶつかり合い、凌ぎを削るコナミとLDS3人組、1対3の変則デュエル。融合、シンクロ、エクシーズ、3種の召喚法においてエキスパートと言えるデュエリスト達との対決だ。1人1人でも強敵となる彼等の実力もあって苦戦は必死。手札を削り、攻撃を遮り、カードはバウンスされる。正に自分のデュエルをさせてくれない三大要素だ。このコンビネーションは厄介。下手をしたらあの赤馬 零児を越えるだろう。果たしてコナミは、この状況を打破し、3人を倒せるのか――。
「オレのターン……!」
反撃の狼煙が今、上がる――。
刃君、容赦無し。真澄ん、やっぱり真澄んの巻き。
ハンデスとコナミ君の魂を吸う竹光を見るとコナミ君と一番性格やデッキの相性が良いのは彼か暗次かもしれません。エンメンタルバーストでフィールドを粉砕し、ウィルス等でハンデスし、竹光ロックでドローの希望も奪う。あらやだ、主人公勢がやる事じゃない……。
対抗出来る墓地発動系は正義なんやなって。だからもっと汎用墓地発動系を下さい(インフレ脳)。