ポケガイル   作:三概井那多

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だいぶ遅いですが、明けましておめでとうございます

今年は投稿を頑張っていこうと思います!
行くZ!

サトシゲッコウガVSメガリザードンX編が
楽しみでしかたない三概井那多です!!





ザイモクザヨテシテルは叫ぶ。『ストライクはどこだぁぁ!!』

さんさんとふりそそぐ熱い陽射しを遮るように覆い尽くす、森の木々と草はそよ風に揺られて踊るように動く姿は長閑な午後と言うには相応しいもの。

 

そんな中に、とある一つの小さな衝突があった。

 

「ザグ」

 

先に動いたのは固いジグザグとした茶色と灰色がの毛並みをし、顔の部分だけ泥を被ったような黒い毛のタヌキようなポケモン。

 

ーーーまめだぬきポケモンのジグザグマ。

 

ジクザグマはその名の通りのジグザグな動きを魅せながら駆け出し、頭を突き出してアタックしてくる。所謂、"ずつき"

 

「マシュマロ、えっと、…避けて!!」

 

少女ーーーユイガハマユイはパートナーへと覚束ない、辿々しさのある指示を出す。それにしっかり答えようとジグザグマの"ずつき"を回避しようとサイドステップするパートナーのポケモン。

 

そのポケモンの毛並みの美しさからは狐らしき金色とともに赤い耳と釣り合って同時に熱い炎を連想させてくるポケモン

 

ーーーキツネポケモンのフォッコ。

 

フォッコの回避は適格だった。頭突きや突進の直線的な物理攻撃は横に体を反らすだけで十分。が、

 

「ザクッ!」

 

「フォコ!?」

 

真っ直ぐに走ることを苦手とするジグザグマは標的に向かってもその名の通り、ジグザグな動きとするのでちょっとの相手が回避運動も容易に対応する。故に、頭突きはフォッコに直撃する。

 

「あー!!」

 

吹っ飛ばされたフォッコを見て、ユイガハマは低い悲鳴があげる。

 

「フォコ!」

 

しかし、ユイガハマの心配は杞憂だった。フォッコはすぐさま体勢を立て直すと「心配はないよ!」と言うかのようにユイガハマへと鳴く。

 

それが伝わったのか、少し不安を表情を取りながらもユイガハマは次の指示を出す。

 

「マシュマロ、"ひのこ"!」

 

フォッコは口から小さな火の粉をジグザクマへと向かって放つ。ジグザクマはそれに命中し、思わず後退する。

 

「うんいいよ! その調子だよマシュマロ!もっと、"ひのこ"!」

 

技が命中したことに喜びの顔を浮かべながら、さらにひのこを追加させる。

 

ひのこの猛攻に耐えられず、ジグザクマはジリジリと体力を削られていき、表情から見ても手に取るようにわかる。

 

 

ーーーここがチャンスだと。

 

 

「フォッコ、やめて!」

 

"ひのこ"に指示を止めさせる。ヘロヘロの状態のジグザクマを見て、すぐさま腰からボールを取り出す。

 

「いけ!!」

 

いつぞやに魅せた綺麗なフォームから投球とは違い、ヘロヘロの山なりのスローボールにしかならない女の子投げ。コントロールもままならないが、なんとかジグザグマへと命中する。

 

カチッ、とスイッチが切れる音した瞬間ボールは開き、ジグザグマは中へと吸い込まれる。

 

ボール中へと入りきり、ブル、ブルッ!と揺れる動きながら開閉スイッチが赤白く点滅を繰り返す。

 

一回…、二回…、三回…、と揺れて、そこで一旦動きが止まる。

 

「……あ、やっーーー」

 

 

シュッパパパーン。

 

 

「ザグ」

 

完全に捕らえたと思ったの束の間、ボールから飛び出るジグザグマ。

 

「た! …って、え?」

 

捕獲に成功だと喜んだに関わらず、失敗に終わったことでユイガハマの思考はフリーズ。隙が生まれる。

 

その後、ジグザグマの動きは迅速だった。まず隠し持っていたオレンの実を取り出して体力を回復させる。動けるまで回復の具合を確認するやいなや動けると判断し、すぐさま茂みの方へと駆け出していき、その後戻ってくるようすはない。

 

 

「…え、……あーーー!! また逃げられた!!!」

 

 

思考が完全に戻り、状況を認識したときには時すでに遅し。なくなく捕獲の機会を逃してしまったユイガハマの叫びは森中に木霊する。

 

「あぁ~~~」

 

悔しそうに溜め息を吐きながらへなへなとその場に座り込んで、落ち込むユイガハマ。

 

主人の落ち込んだ様子を見てフォッコはユイガハマに近付き、心配そうに顔を見上げる。

 

 

「……マシュマロ、うん。心配かけてごめんね。でも、次は大丈夫だからね、次こそゲットできるからね。頑張ろう! おー!」

 

「フォオー!」

 

フォッコの頭を優しく撫でながら、前向きなこと言うユイガハマ。フォッコもそれに笑顔で答える。

 

 

よし、と顔をパシパシと叩いては気合いを入れし、立ち上がるユイガハマ。体を180度反転させてこちらへとやってくる。

 

「待たせてゴメンね。ヒッキー、コマチちゃん」

 

やってくるなり、謝罪の言葉を口にする。俺たちは何でもないという調子で返す。

 

「ん、ああ。気にすんな、待たされることなら慣れってから」

 

「そうです、大丈夫ですよ」

 

ぼっちとは常に一人で行動することが多いので、集団での行動の際には待たされることや行く場所を合わせるなんて苦にも感じない。

 

…だって、そんなことしたら同じ班のやつになにを言われることやら。そっちの方が心の傷が大きい。

 

ゆえに大和撫子のごとく、三歩下がって後ろに付いていくのがぼっちとして正しいあり方だ。まぁ、その場合「あれコイツいたっけ?」や「やだ、あの人さっきからずっとくっついてきているよ。警察呼んだ方がいいんじゃない?」的な会話になることがままあるわけだが。

 

あれ? どっちにしろダメージ食らう羽目になってる。ぼっちって不思議!!

 

 

「それよりもユイさん、今回は惜しかったですね。もう少しでゲットできそうでしたけど」

 

「うん、あと少しだったんだけどな…」

 

 

コマチがそう言うよとハハハ、と乾いた笑みで返す。

 

俺たちが今いる場所はメイスイタウンの北にある森、"ハクダンの森"。アサメタウンとメイスイタウン出身の新人トレーナーの最初の難関とも言えるこの場所。

 

ルートそのものは至ってはシンプルで正規ルートで行けば迷うことはないのだが、いかせん森に存在するポケモンは豊富で中でも虫ポケモンが多い。その上、"しびれ粉"毒の粉""眠り粉"といった状態異常の所謂、『初心者殺し』の攻撃をしてくることが多い。

 

また、虫タイプ意外にもバオップ、ヒヤップ、ヤナップ、と言った色々なタイプのポケモンも生息しており、バトルにしても捕獲にしても初心者トレーナーとして腕を上げるには持ってこいの場所ととも言える。

 

だからユイガハマはこの森に入ってからは出会ったポケモン全てに捕獲を試みているがあえなく失敗に終わっている。

 

ちなみに今のジグザグマで丁度十匹目だった。

 

 

「はぁ~、ゲットって難しいねぇ」

 

流石にくたびれて心が折れかけているのか、肩を落として弱音を吐くユイガハマ。

 

 

「あー、気にすんな。最初に比べれば大分上手くなってから」

 

「……そうかな?」

 

「ああ、少なくとも最初のホルビー相手にバトルもせずにボールぶん投げて、それを耳で打ち返されたあげく顔に当たったことに比べればどうってことないだろ」

 

「それは忘れて!!」

 

 

優しくフォローしたのに顔を真っ赤にして即座に突っ込んで来る。む、人がせっかく気を使ったのに……。

 

隣で「これだからごみぃちゃんは」と呆れ顔をするコマチに、ジト目でこちらを睨み付けるフォッコ。

 

なぜか、雲行きが怪しくなってきたので強引に話を変えることにする。

 

「ともかく、そろそろ昼飯にしようぜ。午前中ずっと動きっぱなしだったし流石に疲れただろ」

 

ま、主に動いていたのはユイガハマとフォッコなんだが。そこら辺は自覚はあるのか「ごめん……」と視線を落として謝ってくるユイガハマと、「ちょっとアンタ空気読みなさいよ」と非難するような目でさらに睨んでくるフォッコ。

 

なんだろう、ユイガハマとしゃべるたびにフォッコの好感度が落ちていっている気がする。正直、結構落ち込むんだけど……。

 

「あ、じゃあお詫びに私が作るね」

 

さも、名案とばかりに言ってくるユイガハマに「いいのか? 」と訊ねると「任せといて!」と自信満々に胸を張る。

その際、めろんめろんになりそうなメロンが揺れたので……視線を横に流す。

 

ちょっとそのメロン料理は僕にまだ早いですかね。はい。

 

年頃のオトコノコにメロンとスイカの刺激は少々強すぎる。

 

「あ、じゃあコマチも手伝いますね。お兄ちゃんはテーブルの準備をお願い」

 

「分かった」

 

そう役割分担し、それぞれ動き始める。

 

俺は言われた通り、バックから携帯式のテーブルを取り出してそれを組み立てて行く。

 

女二人に男一人の三人旅ともあり、必然的に男である俺の荷物は主にテーブルやテントといった大荷物を抱える羽目になる訳だが、しかしそこまで苦にならない。

 

最近の旅の道具と言ったものは何処にでも簡単には持ち運べるように軽装と携帯性+そこそこ頑丈さと利便性を富んだ作りになっている。バックにおいても一体何元ポケットなんだよと突っ込めるほどの収納性で出来上がっている。

 

まぁ、だからといって重さそのものは消えるわけでないんだが。

 

全く、旅をするならドラ●もんの一体でも拵えて置けば問題なのに。ド●えもん作れよ、ドラ●もん。

 

そう思いながらと黙々とテーブルを組み上げていく。出来上がると仕上げとして布巾を取り出してテーブルを拭く。

 

………これでよし。

 

後は飯が出来上がるのを待つだけのなのだが。

 

『ユイさん、火力強すぎ強すぎ、それじゃ材料を炒めるというよりも燃えちゃいますよ、ってだからといって水をそのまま入れる…ってそれ油!!?』

『うわ!? なんで火が強くなるの?』

『コマチ超ピンチ!! 助けてお兄ちゃん!!』

 

「…………」

 

恐くて後ろを振り向けない。

 

背中辺りがキャンプファイヤーしている時の熱がわりとリアルにビンビンと伝わるので恐くて振り向けない。

 

しかし、コマチがピンチなのでお兄ちゃんとして見過ごす訳にもいかず、恐る恐る体を180度回転させると、案の定、そこは火事の現場化していた。

 

「何をどうしたらガスコンロと油だけでこんなフィーバーな状況になるんだよ…」

 

頭を抱えながらボールを取り出して開閉スイッチを切り、投げる。

 

「コマチ、ユイガハマ、そこから離れろ! ケロマツ"みずのはどう"で火を消せ」

 

「ケロっ!」

 

ボールから飛び出てきたのは水色の体をしたあわがえるポケモンーーーケロマツ。

 

コマチとユイガハマは急いでその場から退避して、ケロマツは状況を判断し、指示通りにみずのはどうを放ち火の元へと直撃する。

 

ジュュューーーー、と鉄板で肉を焼くような音をたてながら白い蒸気が発生し、瞬時に消える。

 

火事を沈下することに成功した。

 

幸いにも木々に燃え移るような事態にならなくてすんだ。

 

「…あんがと」

 

「ケロ」

 

ケロマツにぶっきらぼうに礼を言ってから、コマチたちの元へと駆け寄る。

 

「大丈夫か? 火傷とかしてないよな 」

 

「うん、平気。でもお兄ちゃんへの愛の炎は燃え続けているよ! あ、今のコマチ的にポイント高い!」

 

「……問題ないな」

 

何時もの調子で冗談を言うコマチ。見た目からも外傷は見られないし、本当に怪我については大丈夫だろう。

 

ちなみにそのポイントって今どれくらい貯まってる? そろそろ特典とかついてきてもいい頃だな~とかおもっているんだけど?

 

まぁ、そんなアホなことはどうでもいいとして、もう一人の方へと視線を移す。

 

問題があるとすればこっちか……。

 

へたりと腰が抜けたかのように座り込んでいるユイガハマ。その瞳は焦点があってないかのように思えた。

 

「ユイガハマ、お前は怪我とかないか?」

 

「…………」

 

「おい、ユイガハマ」

 

「……え、あ、うん」

 

呆けた状態から、やっとこちらの呼び掛けに気づいたユイガハマは慌てた様子で返答する。

 

「だ、大丈夫! それよりもコマチちゃんの方は?」

 

「ああ、こっちも問題ない」

 

「ほいほいユイさん、コマチは大丈夫ですから」

 

軽い調子で答えるコマチを見て、安心したように息を吐くユイガハマだったが、すぐに表情を曇らせる。

 

今、自分がやったことを理解したようだった。

 

「ゴメン、今の…その……えーと……とにかくゴメン!!」

 

歯切れ悪く謝罪の言葉を口に出す。まだ、今起こしたことの現状を自分の中で整理をつけられない状態のようだ。

 

それはそうだ、一歩間違えれば俺たちどころか森にまで被害をおよび、野生のポケモンまで命を落とす可能性があったのだ。

 

その事を深く理解し、ユイガハマの中で重い罪悪感がのしかかる。それを察したコマチはフォローの言葉をかける。

 

「でも、速めに火を消せてよかったね。流石はケロ君だね。ほらほら、よしよしケロ君は良い子良い子。ユイさんも気にする必要はありませんって。ね、お兄ちゃん」

 

「お、おう」

 

いきなり振ってこられたので、思わず上ずった返答をしてしまった。

 

コマチに頭を撫でだれて気持ち良さそうにしているケロマツの方が気になっていた。

 

おのれ、このカエル裏切りおって!! 今すぐそこ変われ!!こっちとらそれなりにポイント貯まってんだぞ!!

 

恨みがましい視線で睨んでいるのだが、幸せのあまりこちらに気づいた様子はない。え、そんなにすごいテクニックなの?

 

コマチ、恐ろしい子! その内、研究所から出てきたチゴラスを部屋ブラシ手なづけては悲しいお別れの話とかできるぜ!

 

あの話は胸にグッと来るものがありました。はい。

 

ケロマツのことについては一先ず置いておき、ユイガハマの方を見る。

 

コマチのフォローも通じず、相当こたえているのか表情は固まったままだった。

 

「まぁ、アレだな。幸い誰も怪我とかしなかった訳だし、次からはちゃんと気を付けろよ」

 

俺にしては珍しくもフォローする。

 

普段なら無視するし、どうでも良いと思って切り捨てられるだが、流石に同行人、しかも女の子が気分が暗いままだと…こう、こっちの気分も悪くなる。

 

何を思ったのか、ピクッと言葉に反応しこちらを見るユイガハマ。視線と視線が合うが、すぐに歯を噛みしめるようにそらして、

 

「…ゴメン……本当にゴメンね!!」

 

 

 

ーーーそのまま森の奥へと走り出した。

 

 

「!? フォコ!!」

 

主人がいきなりの行動に驚き動揺するフォッコだったが、すぐさま後を追い、森の奥へと駆け出す。

 

「ユイさん! ちょっ、お兄ちゃん何したの?」

 

「ちょっと待て!誤解だ!!」

 

フォローの言葉をかけたが、別におかしなことはしてない。……ハズ。

 

「あーもう! そんなことよりも早くユイさんを追わないと! 行くよお兄ちゃん!」

 

「いや、お前だけで行ってきてくれ」

 

「ごみぃちゃん~?」

 

何言ってんだこいつ? 馬鹿なの? というように半睨みしてくるコマチ。いつも以上に怒りが滾っている様子で少しビビったが、冷静に切り返す。

 

 

「待て、よく考えてみろ。お前がユイガハマを説得しているときに、それに合わせて俺が言葉をかけられると思うか?」

 

「それは…………できないよね。というか、無理だね。うん、お兄ちゃんだもんね」

 

うんうん、と妙に確信を持った頷きをして納得するコマチ。……最後の台詞はいらなくない?

 

「分かった、ユイさんのフォローはコマチがやるからお兄ちゃんはここの後始末をして、ご飯の用意して、待ててね!」

 

そう言うとすぐさまユイガハマの走り出した方へと駆け出していくコマチ。それに、対して「おう、気を付けろ」と短く返す。

 

一人で行かせるのは少し心配だったが、一応コマチにはカマクラがついているから大丈夫だろう。いざというときには頼りになるからな。

 

問題は昼飯なんだが、……携帯食を皿に移すだけで良いな。

 

これでも専業主夫を目指す身としては何か作って上げたいところだが、火事の後だし、カセットコンロは壊れたし。程々の手抜きも専業主夫の必須のスキルってことで。

 

「あ、そうだお兄ちゃん」

 

見えるか見えなくなるかギリギリのラインになってコマチが振り返ってきた。なんだ、携帯食は嫌だって念押しでもしとくつもりか? そう思いながらコマチの続きを待ってみると。

 

 

 

「今は駄目でも、いつかちゃんと追わないと! 女の子ために何かできるのが男の甲斐性だからね!」

 

 

「…………」

 

それだけ告げるとコマチは走り去っていく。残された俺は何とも言えない表情になり、ポリポリと顔を掻いては思う。

 

 

(泣いている女の子って一体どう慰めればいいんだっつーの)

 

 

大きく動揺した潤った瞳。今にも壊れて泣き崩しそうな子どもように駆けていった少女の顔が頭の中に離れずにいた。

 

 

 

 

ガサ……、ガサ……。

 

 

 

 

「ケロ」

 

「?」

 

茂みから何かが動く気配がして俺とケロマツは反応する。

 

野生のポケモンか?

 

先ほどの火事に驚いて、周辺にいたポケモンが興奮したということは十分に考えられる。警戒心を抱きながら俺はバックから端末を取り出す。

 

取り出した端末は"ポケモンマルチナビ"といわれる道具。

 

ホウエン地方にある大企業、デボン社が開発した様々な機能を搭載された端末機で、その内の一つに"ポケモンサーチ"という機能ーーー一種のポケモンの分布機能がある。

 

ポケモン図鑑にある分布機能の応用されたものだが、ポケモン図鑑の分布機能では主に住んでいる"棲息地"の場所が表示されるだけで、具体的に表れる場所などは表示されない。

 

反対にポケモンサーチの場合は端末から半径十メートル内ならばどんなポケモンが潜んでいるかが分かる。

 

大自然と調和で暮らすホウエン地方だからこそ作り出したものだ。

 

ポケモン図鑑が大雑把な棲息地をつきとめ、ポケモンサーチでお目当てのポケモンを探し出すという寸法が最近の主流。

 

ぶっちゃけ、その機能ポケモン図鑑の方につけろよ。いちいち、道具変えんの面倒くさいんだから。

 

そんな不満を覚えながら俺はポケモンマルチナビからサーチを起動させる。

 

すぐさま画面が切り替わり、タッチパネル操作する。行けっ!ストライクショット!!

 

『検索中……』の画面がしばし表れて、画面が切り替わるが、表示されたシルエットのみ。

 

やっぱり駄目か…。と小さく舌打ちする。

 

ポケモンサーチはポケモンの遭遇数で数だけデータを蓄積されていき、機能を発揮させるが逆に遭遇数が少ない相手だと殆ど発揮されない。今のようにシルエットのみ表示されることが殆どだ。

 

ポケモンを捕獲と同時に技や特性を瞬時に把握できるポケモン図鑑の差がここら辺にあるな。

 

だから図鑑と複合させろって!わざわざ面倒な機能を増やすなよ。

 

だが、シルエットのみでもどんなポケモンなのかは大体把握できる。俺のスクール時代に読んだポケモン生態の本の記憶と照らし合わせれば何とかなるだろう。

 

しかし、それよりも先にソレは動いた。

 

茂みから飛び出てくる。いや、飛び出した同時にこちらへと襲いかかってくる。

 

ソイツの疾風のような速さに俺の体はとてもじゃないがついていけず、けれど俺のポケモン顔負けの鋭い目でなく、腐った目はソレを捉えた。

 

ソイツの両手部分であろうところに強靭な、一刀両断ならぬ二刀両断に言うには相応しい『鎌』が存在していた。

 

 

カマキリポケモンのストライク。

 

 

虫ポケモンの中で速さと攻撃力が売りな強力なポケモン。

 

そこまで認識して俺はなすすべなく、鎌によって両断されーーー

 

「ケロッ!」

 

咄嗟にケロマツが地を蹴りだしてストライクと俺の間へと入り、ーーーその際にケロマツが二重にぶれるように見えたーーーケロマツから押し出され、地面に倒れるように鎌の攻撃を躱すことに成功した。

 

 

"かげぶんしん"

 

 

ケロマツが分身を作り出し、分身が鎌を受けることで軌道と速度を落とし、本体が俺を助けたのだ。

 

鎌が分身を切り裂きだけで、空振りに終わったストライクは後ろ(バッグ)して距離を取り、こちらの様子を窺っている。

 

その眼は興奮して我を失い暴走したものというよりも、好戦的で獰猛さのある敵意を向けるものだった。

 

「どうやら興奮した野生のポケモン、って訳じゃないみたいだな」

 

そう結論付けて俺は起き上がり、手を腰にあるボールへと伸ばしそのままスイッチを切る。

 

 

「ケロマツ、お帰り頂くぞ。"みずのはどう"!」

 

 

ケロマツは構えを取ると手中から水のエネルギーが集中し、水の塊が出来上がる。それをストライク目掛けて放つ。

 

放たれたみずのはどうはブレもなくストライク一直線に直進する。

 

(が、コイツは躱される)

 

先ほどのスピードを見る限り、みずのはどうの躱すことは動作もないだろう。ならば、避けたところを狙った方が命中する確率が高い。

 

一発目は外しても二発目を確実に命中させる。

 

そう考えてケロマツに指示を出そうするが、以心伝心が如くケロマツは二発目の準備を始めていた。

 

仕事できるマツさんカッコいい!! ちょっと誰よ、キモガエル君とか言う人、先生に言いつけてやるんだから!

 

心の中で委員長風なことを思いながらストライクの動きを観察する。

 

殺人鬼マコちゃん曰く、相手の足の爪先の動きを見る。相手が動こうした瞬間爪先が動く、その時を狙って第二発目を当てる。

だが、ストライクには四枚翅があり、その四枚翅は飛行というよりも低空間での素早い動きするための四枚翅。しかし、宙に浮くことは可能であるために、……現在進行形で宙に浮いているストライクには爪先どうのは関係無かった。あ、あかんやつやコレ。

 

そう悟った時は次の策を練ろうとするが一歩遅かった。いや、一手読み間違えた。

 

 

「ラッィィィィーーーーク!!」

 

 

雄叫びを上げるストライクは両手の鎌を胸の前で交差するように構えを取り、迫り来るみずのはどうをそのまま両断する。

 

「なッ!?」

 

「ケロっ!?」

 

 

シザークロス。虫タイプの物理技。

 

 

避けるとばかり考えていた俺達だったが、ストライクはその考えを上回る戦法を取ってきた。

 

そして呆気を取られた俺たちをストライクは逃さない。

 

疾風のような速さでケロマツに接近し、そのままアッパー気味に鎌を振り上げられる。

 

鎌の攻撃を直撃したケロマツは後方の木へと吹っ飛び、その際中途半端に生成されたみずのはどう出鱈目に放たれて近くの木に当たった。

 

「ケロマツ大丈夫か?」

 

「……ケロ!」

 

何とか落ち上がり気丈を振る舞うケロマツ。しかし、その様子を端から見ても満身喪失の状態だ。たった一撃で追い詰めた。

 

睨み付けるようにストライクの方を見る。ストライクは不敵な笑みで返す。

 

今のは技の"きりさく"というよりも力任せに殴った、"通常攻撃"といった方がいいのかもしれない。

 

ポケモンバトルにおいて勝負では繰り出す技の威力、タイプの相性、能力や特性、戦略、道具、……と多々あるが、しかし戦いにおいて最も重要なものは実際は単純なものであり、それはそのポケモンの純粋な身体能力、つまりはレベルの差である。

 

今の攻防でハッキリと分かる。このストライクは明らかにケロマツよりか遥かにレベルが上だ。

 

 

「! ケロマツ避けろ」

 

 

ストライクが動く。

 

翅が空を切り裂き滑る。

 

風のような速さでケロマツに接近する。俺は急いで回避の指示を出すが、先ほどの攻撃のダメージが大きかったのか、思うように動けずにいるケロマツ。

 

鎌が光る。先ほどの攻撃とは違い確実に相手にとどめを刺すでいる、上段から振り降ろされるストライクの"きりさく"が唸りをあげる。

 

 

 

シュルルルルーーー……。

 

 

 

「!!」

 

当たる直前に鎌の軌道がずれた。まるで鎌に何かが木の蔓のようなものに引っ張りを覚えて、狙い通りに鎌が命中出来なかったようだ。

 

その事に対してストライクは違和感を覚えたのか、一瞬の困惑。そして、停止。

 

動きが止まったストライクを見て、チャンスと思ったケロマツは向かい合うストライクから逃れるため、横へスライドするように駆ける。

 

その動きを見てか正気に戻ったストライクは追撃の攻撃を放つ。翅から放たれる空気を裂くかのような低音の響き、いや振動が放たれる。

 

 

"エアスラッシュ"

 

 

文字通りに空気を裂く刃がケロマツに襲いかかろうとする。

 

 

「"かげぶんしん"」

 

 

ケロマツの体が二重、三重にぶれるかのように揺れては分身体が数匹現れて、その内二匹消される。

 

 

「ケロケロ!」

 

「ライク!」

 

 

森の木々と持ち前の脚力を活かして縦横無尽に動き回るケロマツ。分身も加わり少しでも翻弄させようかするが、しかしストライクのスピードは並みならぬものだった。

 

ストライクは動き回るケロマツ達の一匹に狙い定めては先読みするかのように回り込み、一閃。

 

背後から不意打ちで放たれるみずのはどうを 容易く躱してはカウンターのような一閃。数匹で襲い掛かり、押さえようとするも先手必勝かのごとく一閃、二閃と。次々に分身を消していく。

 

小柄の体躯と脚力を活かしてちょこまかと動きを回るケロマツに攻撃を当てるのは困難なはずだが、ストライクは簡単にやってのけていく。

 

 

(ッ! レベルが違う)

 

 

トレーナーとしてはまだぺーぺーで取るに足らない雑魚であるこっちゃ理解しているが、基本的に素早さで翻弄する戦法をとっていこうと方針で行こうと考えている俺の戦術としては、結構ショッキングな相手だ。

 

 

ならば、方針を変えるのみ。

 

 

「"えんまく"だ!」

 

 

ケロマツは何処かから取り出したかわからないが黒い玉のようなものを取り出しては投げつける。すると玉から黒い煙が表れてみるみると辺り一面を煙が包み込んで何も見えなくなる。

 

 

「続けて"りんしょう"」

 

「「「ケロ~、ケロ~、ケロ~、ケロロ~~♪」」」

 

 

待ってましたと言わんとばかりにカエルの大合唱(りんしょう)が唱え始めるケロマツズ。…指示の対応速すぎじゃない?

 

何故かケロマツはりんしょうの指示の対応だけは速いような気がしてならない。

 

"かげぶんしん"の効果が手伝ってなのか、それともケロマツ自身の(二重の意味での)実力なのか、絶大な効果を発揮する"りんしょう"は煙の中で響き渡る。

 

どうだ! ジャイアン顔負けのケロマツの音痴っぷりは!

 

ストライクに対して内心ほくそ笑む俺。

 

 

(そして、お次は!)

 

 

「ーーーッラララライク!」

 

 

瞬間、シュパーンと空気を切り裂くのような音が響く。煙を、風を、木々を、草を、葉を、自身周囲にあるものを全て切り裂く、"エアスラッシュ"が放たれた。

 

 

煙が晴れて視界がクリアになるストライク。

 

 

「??」

 

 

しかし、周囲には誰もいない。俺も、ケロマツも。

 

しばらく辺りを警戒して様子を伺うが何も現れない。

 

シーン、と聴こえてきそうな森の中の不気味な静けさだけがストライクに警戒心を強める。

 

先ほどの煙幕からりんしょうの攻撃に続き、物陰からの不意打ちの攻撃を繰り出してくるのだと予想しているのだろう。

 

けれどいくら待っても攻撃を放つような気配はなく、ただただ時間だけが過ぎていき、ストライクはようやく悟る。

 

 

逃げたのだ。

 

 

そう理解するとストライクは舌打ちするかのように顔をしかめて、八つ当たりするかのように近くの木の枝を鎌で切り裂いて森の中へと去っていった。

 

「……行ったか」

 

ストライクが去ったと分かると隠れていた草陰から出ていくことにする。

 

「何とか上手くいったか……。もうでてきていいぞ」

 

同じく隠れていたケロマツと文字通りに姿を消していたカクレオンが姿を現す。

 

そう、先ほどストライクの"きりさく"の魔の手からケロマツを救ったのはカクレオンだ。カクレオンはストライクとの戦闘が始まった同時にボールから放ち、そのまま持ち前のステルス能力を使って戦闘にサポートをしてもらっていた。

 

え、2対1は卑怯? なにそれ知らないな。一体いつ誰が決めたの? 過程や手段など二の次、最終的に勝てばよかろうなのだ!!

 

結果として勝ってはいないが。

 

服についた、泥や草を払いながら呟く。

 

「コマチ達と合流して森を抜けるべきだよな」

 

去っていったストライクのことを考えると、今すぐこの森から出るべきだ。

 

あのストライク、野生にしたらやたら強く好戦的だった。今のは運よく煙を巻いて逃げられた(文字通り)が、次出くわした場合逃げられる自身はない。

 

トレーナーとしては捕まえれば相当な戦力になるし欲しい一匹でもあるが、あんなじゃじゃ馬の扱い正直今の俺には使える気がしない。

 

ポケモンとは捕まればすぐに指示を何でも聞いてくれる訳じゃない。トレーナー自身の力がない感じると言うことなど聞かなかったり、指示を無視して自分の判断のみでバトルの展開を要り組むようなものもいる。

 

あのストライクは明らかにそのタイプのように思える。

 

何にせよストライクを相手取るには俺達のレベルではまだ未熟すぎる。相性のいい、飛行、炎、岩タイプを持っているなら別だが、生憎炎タイプを唯一持っているユイガハマのフォッコの火力じゃあ、バタフリー辺りが精々だ。ストライク相手にはスバメの涙程度にしかならん。

 

というか、ユイガハマがストライク相手にバトルを巧い展開に持っていく想像ができん。

 

故に結論としては、この森は早急に脱した方が賢明だ。

 

「片付け面倒癖ぇな……」

 

さっき、折角セットしたテーブルと椅子を目を向けるとエアスラッシュの余波があったのか、傷だらけのボロボロ。体重をかけたら即行で壊れそうな状態。

 

……このまま置き捨てて良いじゃんね?

 

そんな思いが過ったが、ケロマツとカクレオンが半目で睨んで無言の圧力をかけてくるので、思わず目をそらす。あれ? 主従関係がどっちがどっちだけ?

 

 

「……ここ片付けてからコマチ達を見つけてとっとずらがるぞ」

 

「ケロ」

 

「カララ」

 

 

盗賊のような一声で証拠隠滅……でなく、一斉に片付けを始める(ユイガハマの火事事件のことを加えれば証拠隠滅でもおかしくない)。

 

テキパキとした動きでものの数分で完了。三人分のバックを背負って移動としようとすると。

 

 

ガザガザ……、ガザガザ……。

 

 

再び草むらが揺れる。

 

ストライクが戻ってきたのか!?

 

そう判断し、反射的に身構えてカクレオンにステルスヒッキーの指示をだし、ケロマツに煙幕の準備をさせる。

 

出てきた瞬間、煙幕で目をくらまして逃走。カクレオンは逃走している間にストライクが追ってくるのであれば殿として使う。ステルスヒッキーとそれなりのスピードを持つコイツなら機能としては十全と振る舞えるはず。

 

短くその指示を出すと二人は神妙な顔をして深く頷く。最善と判断したようだ。

 

ガザガザガザガザ! と草むらの揺れが激しくなる。

 

 

 

……………………今だ!

 

 

 

「ケロマツ、えんーーー」

 

 

「ストライク! ストライクは何処だあああぁぁぁーーー!!!」

 

 

「はぁ?」

 

 

草むらから野生のイザークが現れた。怒りで我を失いながらも彼はストライクを探しているようだ。

 

 

……何てことはない。

 

 

草むらから現れたのは俺同年代くらいに見える太った男。格好つけるために某アニメキャラをパクったような白髪に、格好つけるために某ラノベキャラをパクったような黒いロングコートにブーツ、格好つけるために某マンガキャラをパクったような指向きグローブの外見だけはコスプレーヤーにしかみえない男。

 

 

これが俺と"ザイモクザヨシテル"との最悪の出逢いだった。

 

「傷が傷むんだよおおぉぉーー!!」

 

 

 

いやマジで、最悪の"出遭い"だ。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「はぁー……」

 

溜め息を吐く少女、ユイガハマは木に寄りかかるように体育座りの体制でピンク色の髪を隠すように深く白いキャスケット帽を被り直していた。

 

本当に隠したいのは自身が先ほどまで起こした羞恥心の方だが。

 

(折角ポケモンもらって、二人と一緒に旅をできるのに。……なにやってるんだろ私)

 

ホウエン地方にいた頃、同年代の子はどんどん旅立っていくのをただ呆然と眺めていた。

 

いや、自分も旅立ちたいという気もちはもちろんあったし、早く自分のパートナーが欲しいという気持ちは人一倍にあったのだ。

 

しかし、実際に彼女がポケモンを貰いに行く際に些細なスレが違いが多かったのだ。

 

彼女が元住んでいたホウエン地方の新人トレーナーの御三家を渡す役割を担ってた博士、オダマキ博士。

 

彼の研究テーマがポケモンのフィールドワークについて。……つまりはポケモンの棲息する環境での研究テーマだった。大自然溢れるホウエン地方では火山、砂漠、海淵、大空、氷の洞窟など様々な環境が存在しており、そこにどういったポケモンが潜み、生態であるのかを研究しており、そのため研究取材としてあちらこちらへと出回ることが多かったのだ。

 

室内に篭りがちなポケモン研究者の中で、一番フットワークが軽いという点ではある意味、一種の美点ではあったがそれが災いしたのだ。

 

研究のために留守が多かったオダマキ博士は少女、ユイガハマユイがポケモンを貰えるチャンスを逃すことが多かったのだ。

 

しかし、それだけなら約束を取り付けるなどして日取り確認すればいいだけという話なのだが、彼女場合はさらに悪かった。

 

ポケモンが貰える約束の日。その日に限ってアポなしで遠路はるばる遠い町からやってきた新人トレーナーがやってきたのだ。

 

御三家である以上はピッタシ三匹のポケモンは揃っているのだが、別に貰えるトレーナーは一人だけではないのだ。

 

ユイガハマと似たような境遇の二人も同時に集められて貰いに来たのだ。

 

四人と三匹。明らかに数は合わなず誰かが我慢しなければならない状況。そして、誰が我慢するかは明白だった。

 

アポなしの少年だった。

 

三人はわざわざ日取りを決めてやってきたのに一人だけ突然やって来て順番を横取りされては堪ったもんじゃないと誰もが思うだろう。

 

アポなしの少年も同じ思いだったのか、貰えなさそうだと察すると帰ろうとしたその時、

 

 

 

『あの~、私は今度でいいですから彼にポケモンを上げてください』

 

 

 

ユイガハマは自分の番を譲ったのだ。

 

彼女は性格上、周囲の空気を読むことに掛けていた。団地住まいの生活だったせいか、自然と周りが様々な人間性など見ており、自分のことは後にして相手に合わせるようにしていた。

 

良い意味で謙虚な姿勢、悪い意味だと自己犠牲の彼女。この場合、悪い方の意味で働いてしまい、結局の所ポケモンを貰えずじまいに。

 

そのようなことが続いてしまい、引っ越すことになる。

 

しかし、引っ越した先には転機が訪れる。プラターヌ博士からの手紙だった。

 

博士同士のネットワークが存在するのかオダマキ博士から事情を聞いていたプラターヌ博士の手紙には『君のパートナーもちゃんといる』とハッキリとそう書かれていた。

 

その一言が、その一文が、嬉しくて目から熱いものが込み上げてくるものがあった。

 

すぐさま両親を説得して旅だちの準備に。両親としては引っ越したばかりなのに新たな地に娘を一人を旅出せるのは躊躇いがあったが、彼女のこれまでのことを思うと反対の言葉も上げられる。了承を得た。

 

そして、約束の日になると指定された場所に向かうと一人の女性が待っていた。

 

 

「君がユイガハマくんか。私はプラターヌ博士の助手のヒラツカだ」

 

 

その後、もう一人の少年も一緒に貰いに来るとのことで待つことになり、実際に来たのが二人がだったときにはドキッとしたものだ。

 

しかし、彼女はただ兄に付いてきただけといい安心した。

 

その後、ちょっとした事件が起きたのだが、彼のおかげで無事に解決して一緒に旅することになった。

 

初めてポケモンに新しい友達、これからが自分のスタートなんだ! と彼女は気分を高ぶらせては今まで遅れた分を取り返かそうしたのだ。

 

結果としてはそれが空回りして羞恥のあまり逃げ出しては今の現状に至るわけだが。

 

 

「これからどうすればいいのかな……」

 

 

顔を埋めて体育座りの体制で縮まった体がさらに縮める。

 

挫折、失敗、後悔、羞恥、逃走、困惑、……負の感情が沼の中にでもはまったのかのようにユイガハマの心を沈ませる。

 

 

ガザゴソ……、ガザゴソ……、

 

 

「な、なに!」

 

草むらが掻き乱すような揺れる音に危機感を覚えて起き上がるユイガハマ。勿論、風などではない。

 

草むらから現れたのは全身傷らだけの野生のポケモンだ。

 

青くしなやか体躯でありながら頑丈そうな鍛えられた体つき、犬のような可愛らしい耳に赤い瞳。

 

はもんポケモンのリオルだ。

 

リオルはユイガハマを見ると鋭く睨み付けて構えを取り、反射的にユイガハマも腰に手を回してパートナーを呼びだす。

 

 

「マシュマロ、お願い!」

 

 

投げたボールをスイッチが切られてボールが開くがなにも出てこない。

 

 

「あ!」

 

 

(そうだ、マシュマロはさっき……)

 

パートナーのフォッコことマシュマロはハチマンたちから逃避行するさいに置いてきてしまったのだ。

 

つまりは今現在ユイガハマは手持ちがいない状態だ。しかも、悪循環はさらに連鎖する。

 

 

「リオオォォォ!!」

 

 

ボールを投げらたことで相手から敵対視されたとみたリオル。雄叫びを上げてユイガハマへと高速に突っ込んでいく。

 

 

"でんこうせっか"

 

 

先制攻撃における代表的なわざ。

 

「きゃあああぁぁぁ!!」

 

悲鳴を上げながらそのまま身を丸めてしゃがみこむユイガハマ。しかし、それは悪手でしかない。

 

もしこれがハチマンだった場合なら横に飛んで"でんこうせっか"の軌道から外れて回避するが、ユイガハマの場合そのまま場にしゃがみ込むなら軌道修正の範囲内。攻撃県内だ。

 

しかし、彼女にはそれを理解していない。故にポケモンに対して愚行な手段しかとれなかったのだ。

 

高速の速度を持って滑るリオルの"でんこうせっか"が直撃する。

 

 

 

「ハリマロン、"つるのむち"!」

 

「リーマ!!」

 

 

シューパンッ!と小気味の良い鞭の音が森に響く。

 

 

「え?」

 

 

恐る恐る顔を上げるユイガハマの目に入った光景は襲いかかってきたリオルが倒れた姿だった。

 

「え、なんで……」

 

「貴女大丈夫? 怪我はないのかしら?」

 

目の前に光景に唖然としていたユイガハマの後ろから凛とした綺麗で優しい声が聞こえて、振り返る。

 

そこには少女が立っていた。

 

艶のある長い黒髪、人形のように整った綺麗な顔立ち、白のリボンタイ付きブラウスにチェックのプリーツスカート、黒ローファーといういいところお嬢様のような格好同年代少女だった。

 

 

「貴女、見たところポケモンを持っていないようだけど、こんなところで何をやっているかしら?」

 

 

これが、ユイガハマと

 

"ユキノシタユキノ"の出逢いだった。

 

 

 




活動報告にアンケートを開始しました。
登場人物にどんなポケモンがふさわしいのか?
というものです。

気が向けば受けてください


今回もご愛読ありがとうござました
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