久しぶりです。一年と二ヶ月ぶりに正直焦りました。
サブタイトル通りです。忘れていました。
見捨てないで待ったいてくださった皆様、
ではお楽しみください
俺は口にこそあまり出さないが結構な屑な人間だと思っていた。
そりゃあ、スクールの卒業後に家でぐうたらとニート生活満喫していれば世間から見れば親不孝な最低な野郎の分類に入るだろうし、スクール時代だって結構捻くれた戦法でバトルの展開を繰り広げてはリア充(笑)な連中を痛めつけたり、仲違いな場面をみるとひっそりと影で笑ったりとかしていたが、まぁそれは一種の人間の性悪説というものだろう。
生まれながら人は悪であることは代わりないのだ。
だが、そんな俺でも今の現状は流石に「いや、それはないだろう」と思う。
今あったことをありのままに話すぜ! 俺ははぐれた(?)一緒に旅をしているコマチとユイガハマを探していたらストライクに襲われたり、変なやつと出会したりとしながらも、やっとの思いでようやくユイガハマを見つけたと思ったら、ユイガハマもユイガハマで黒髪ロングの美少女と一緒にいてストライクと好戦中の最終局面といえる場面。黒髪ロングの美少女がムクバードの"つばめがえし"でストライクを完全に追い詰めると捕獲を試みようとボールを取り出した時だった。
隣で「不味い! 我がストライクがあの者に取られる!! 」
と訳の分からない言い出しては、どういう仕掛けなのかコートの袖からボールが、ジャ! と何かの仕掛けが作動したように飛び出ては、そのままオーバースローの構えで「ジャイロボール!!」と明らかにジャイロ回転など掛かってないボールを投げた。
そして、黒髪ロングの美少女よりもいち速くボールへとおさめた。 何言ってんのかわかんないと思うけど、説明している俺が一番なにいっていんのか分かんないぜ!
三者、唖然としながら空気読めない君(俺じゃない)を見るとザイモクザは何故かにやりきったような顔をしていた。うん、腹が立つ。
「ストライクGEっと、
『ーーースパアァァァン!!』
だ、うぬ?」
あ、ボールから飛び出てきた。よかった、あんな最悪な形で捕まんなくて。
安堵の息を吐いているのも束の間、ずかずかと険しい顔をしながらこちらへとやってくる黒髪の少女。
その背後に『ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ!!』の文字が見えそうな勢いだ。対する元凶たるザイモクザというと「ぴゅー、ぴゅー」とわざとらしく口笛を吹きながら視線を剃らしていた。
「ねぇ、あなた一体なんのつもりかしら? 人が野生のポケモン捕獲しようとしているときに横取りするのはマナー違反というのを知らないの? そんな最低限のことも分からないなんて人として失格ではないのかしら? それとも理解しているわかった上での行為? 死にたいのかしら? ……人が話しているのだからこっちを向きなさい。ねぇ」
「ぬぬ! 」
アイアンクローでザイモクザの顔を捕まえては無理矢理顔を向かわせようするが、必死で抵抗するザイモクザ。
意地でも知らんふりするつもりらしい。それが感にさわったのか、アイアンクローどころかドラゴンクローのような力業でーーーゴキッ!ーーーあ、なんかヤバイ音が聞こえた。
見るのが怖かったので視線を剃らす。
視線の先にはユイガハマがいた。目が合うとユイガハマは少し困ったような顔をして人差し指で頬をポリポリと掻きながらはゆっくりと此方へと近づいてくる。
「ヒッキー、……あの、ごめん。勝手に走り出してごめん!しっぱいが重なったから色々と嫌になって逃げ出したりして、色々と心配かけてほんと、ごめん!! 」
「お、おう……」
深々と頭を下げて謝罪してくるユイガハマに少し圧されてしまう。
言いたいことは終わったのか思っていると「でも」と。
ユイガハマの体が強張ったようにして少し震えていた。
その震えを耐えるようにして顔をあげて、しっかりと俺と目を合わせる。
強く、大きく吸い込まれそうなるほど見開かれた双球が目にはいる。
「もっと頑張るから! 失敗まだ多いかもしんないけど、もっと頑張るから! だから、一緒に旅を続けてもいいかな?」
逃げ出す前と同じように瞳に少し潤いのようなものがみえた。けど、違う。
今度の瞳には、逃げず真剣に俺と向き合おうとするユイガハマの強い思いーーー覚悟の表れのように思えた。
それが感染するかのように俺にも変な緊張が走る。
「ああ…、……別にいいんじゃねーの?」
そう、目をそらしながらぶっきらぼうに返すのがやっとだった。
……ヤバッ、マジでなんかこれ、気持ち悪いくらいむず痒い!
え、なにこれ。もしかして青春ってやつなの。 リア充とかこんなもんのために仲良しこよしとかやってんの? え、馬鹿じゃないの?
頭の中がお花畑の奴等の神経がまるで理解できない。
内心で困惑していると「あ、」と何かに気付いたように声を上げるユイガハマはそのまま俺の元から離れて、あの黒髪の少女の元へと早足で向かう。
「ゆきのん、許してもらえた! 私、ヒッキーにちゃんと謝って許してもらえたよ!」
まるで小さな子供が友達と仲直りしたことを母親へと報告するように黒髪の少女の手を引いて話しかけるユイガハマ。
黒髪の少女は戸惑った様子で「そう……」と呟いた。それは美しい女同士百合情……ではなく、友情の一場面のように思える。
え、ザイモクザは何処に行ったか? ザイモクザって、誰?幽霊?
その様子眺めていたら俺の視線に気付いたのか、黒髪の少女はギロリとまるで不審者を見つけたかのようなに目を細く鋭くさせて睨んでくる。
「ユイガハマさん、下がって変質者がいるわ」
「おい」
ユイガハマを守るように前へと出てはムクバードを構えさせて、もう一匹出そうとしているか右手にはボールを持ち、完全な警戒体制を取っていた。うん、おい。
「違うっつーうの。俺はその、なんだ? ユイガハマのなか……、一緒に旅をしている同行人?みたいなものなのか?」
「なんで所々疑問系なんだし」
「なるほど、……つまりストーカーってことね」
「いや違うから」
否定するがフッと鼻で嘲笑うかのように黒髪の少女は告げる。
「ストーカーはみんなそう言うのよ。『彼女の安全を見守っているだけだ!』『今日は昼に食べたサンドイッチ美味しそうだね。ところで一緒にいた子、誰?』『あなたも殺して私も死ぬ』こんな風にね」
「最後のはヤンデレなだけで少し違うくねえか? いやそれはそれで正気沙汰とは思えんが」
「何よりもその厭らしい目が動かぬ証拠ね。大人しくジュンサーさんに投降なさい」
「この清らかで透き通った純粋な眼差しを何を言っていやがる!!」
「それは無理がある!」
驚愕! といったような感じで大声で突っ込むユイガハマ。やっぱり、無理があったか……。流石にこの俺の特性の"腐った目"だ。
相手が
Wao! 凄くビックリするほどのいらないバッド特性だ。"なまけ"ですらはかいこうせんやギガインパクトをリカバリーしてんのに。まぁ、一ターン動けないのは変わらないんだが。
俺に対する警戒心をますます強める黒髪の少女に対してどうしたもんかと思っていると、ふと気付いた。
「おい、ストライクは?」
一瞬、眉をひそめて俺の言葉に反応する黒髪の少女。視線だけ動かして周囲を見回す。俺もそれにあわせては周囲を探ると、
ムシャクシャムシャクシャムシャクシャ……。
瑞々しい果実を喰い散らかすような乱暴な咀嚼音。 その方向へと視線を向けるといた。ストライクだ。
発見したストライクは器用にも両手の鎌を巧みに扱いながら"オボンの実"を食べていた。
アイツの持ち物か。
野生のポケモンは時々持ち物を所有したポケモンがいる。その持ち物の多くは木の実であることが多いし、稀には珍しい道具すら持っているやつがいるが。
ヤバい、このストライクバトル厨や。戦い方や道具の選択とか初心者が優しくないタイプだ。
オボンの実を完全に食べて傷を癒したストライクは口角を不気味に吊り上げてはニヤリと俺たちを見て嗤う。
黒髪の少女が前へとでる。
「悪いのだけどユイガハマさん、一先ずそのストーカーは後で処理するわ」
おい、処理ってどういう意味だよ。
顔をしかめる俺だったが、黒髪の少女は俺のことなど、もとからいないかのように無視する。
あ、これ知っている。決して苛めじゃあないけど傷つくやつだ。スクール時代によくあったやつ。C組には弱いもの苛めはありません。ただ、ボッチがいるだけです。
「ムクバード」
黒髪の少女が手で合図を送ると上空からムクバードが舞うように黒髪の少女もとへと近づき、ストライクから守るように対面し構える。
ラァーイーク。
低く唸りながら態勢を低くして一直線に突進するかのように構えをとるストライク。目を刃のように鋭くさせて、四枚羽の重低音を響かせる。
ムクバードを威嚇し、互いの動きを牽制しあいながら出方を窺いながら両者に緊張が走る。
そして、その空気切り裂くかのように強い突風が吹いたとき、両者は翔る。
「ムクバード、"はがねのつばさ"」
ムクバードの翼は銀色の光を輝せながら直線を描く軌跡を発して、ストライクへ突っ込んでいく。
ストライクもギリギリまでムクバードに接近しては直前で身を屈めて躱す。
顔を歪めるムクバードと、逆にニヤリと不気味に嗤うストライク。
そして、そのままストライクは接近して自慢の鎌で襲い掛かる。
ーーー俺に向かって。
「「「え?」」」
三者同時に驚きの声をあげる。
黒髪の少女は大きく瞳の開き唖然としていて、ユイガハマも同様。しかし、その二人よりも俺の方が驚きが大きかった。
え、何故俺?
疑問に過ったものの束の間、横薙ぎで斬りかかってくるストライクの鎌の攻撃を咄嗟に大きく飛んで何とか避ける。
安堵するがすぐさまストライクの第二、第三の刃がやってくる。
だからなんでだ!? 俺はポケモンじゃないぞ!?
心のなかで大きく叫びながら鎌の攻撃を避けまくる。なぜ、心の中なのかというと避けるのが精一杯で声を出す余裕がない。というか、下手に叫ぼうとすると攻撃を避ける際に舌を噛みそうで怖い。
ヘルプと意味でアイコンタクトを送ると、
「ヒッキー頑張れ!! 負けるな!!」
まるでスポーツの決勝戦の追い詰められた終盤並みの声援をするユイガハマがーーー駄目だ使えねぇ! そもそも今コイツポケモン(フォッコ)を持ってなかった。
すぐさま視線を移すと、
「捕獲の横取りにストーカー行為、そして捕獲の阻害……とりあえずあの男から始末しましょうか」
氷のように冷たくした瞳の黒髪少女、いや、氷の女王が心なしか、怒りのあまり周囲の空気を凍らせているように見えた。
俺は目の前に襲い掛かる二刀の鎌に集中することにした。鎌は見ていないと怖いし、氷の女王は見ていると恐い。
絶望的なまでに八方塞がりだ。
どうでもいいがカマクラといい、カクレオンといい、ストライクといい、 生身で俺はポケモンと戦い過ぎじゃない? それってどこの野生のポケモンと生きてきたハ○タ? 「オイラも合わせて三匹だ!」とか言っちゃうの? 丁度手持ち二匹だし。
そんな現実逃避をしてみるが、その瞬間、シァギン!と輝る刃の一閃が髪を掠める。
「ラァイク!」
余所見をするなと言うかのように低く唸りながら睨み付けてくる。
「…………」
……いやだから俺はトレーナーであってポケモンじゃないよ。オイラは戦わないよ。
けれどそんなことは伝わるはずなどなく、気が付けば呆気なく背中に木へと追い詰められた。
俺は腰のボールへと手を忍ばせる。それに気付いたストライクは「ようやく本気を出すのか」と言うように不敵に嗤う。
「"でんこうせっか"!」
そこへ俺とストライクの間を裂くかのようにムクバードが一線して、ストライクは後ろに下がる。
……ちょっと、俺寄りだったことには目をつぶておこう。
「あなたも勝手に人の獲物を取らないでくれるかしら」
「いや、明らかに不可抗力だろ……。別に取る気はないから早く捕獲するなり撃退するなり何とかしてくれ」
冷やかな目をしながら告げてくる氷の女王に対して、内心ビクビクしながらも投げやりに答える。
邪魔をしないで頂戴、と最後の申告の言わんばかりの忠告すると、再度ストライクへと向かい合う。
ストライクもどうやら今度こそ、俺よりも先に黒髪少女を相手取らなければならないと理解したようで構えをとる。
「"つばめがえし"」
ムクバードは一声ををあげ、宙返りからの助走を付けて繰り出される"つばめがえし"は投げ槍を連想させるよう一直線に放たれる。
素早さで相手を翻弄させて当てる、必中の技だ。つばめがえしは出せば100%命中する。
閃光する槍。
避けられない一撃だと理解したのか、両手をクロスさせて"シザークロス"で迎え撃とうするストライク。そして、間を裂くかのようにを疾る青い影。
「ムク!?」
「ライク!?」
交差する瞬間に、二匹は驚いたが攻撃は止められずそのまま、ギーン! と、甲高い金属がぶつかりあう音が2度、森中に響き渡る。
一つはムクバードのつばめがえしが弾かれた音、もう一つはストライクのシザークロスがいなされた音。しかし、両者の技同士で衝突ではなく第三者の介入で弾かれていた。
二匹は眉をひそめてはムクバードは上後方へと弾かれ、ストライクは肩透かしを食らったように流されていた。
そして、激突があった場所に立っていたのは。
「ミジュ!? ミジュミジュ! ミジュマ!!」
二匹に対して、心底申し訳なさそうにして「すいません! すいません!!」と、深々頭を下げるミジュマルの姿があった。
うん、なぜ?
疑問に過ったものの「ヌハハハハ!」と高笑いが聴こえてきた。……あー、やっぱりこいつか。
「ハハハハハ! よくやったぞ我がポケモン、ムサシよ! そのままムクバード、ストライクもろとも薙ぎ倒してしまえ!!」
「ミジュ~!?」
いつの間にか生き返っていたザイモクザが、まるで名軍師と言わんばかりに胸を大きく張り、偉そうに腕を組んで宣伝している。ミジュマルはその馬鹿な主人に対して涙目だった。
「うわぁー、最低だ……」
ユイガハマがゴミを見るかのような目でそう呟いていた。うん、確かに最低だ。
ムハハハハ! と高笑いを続けるザイモクザを突っ込んでやろうか思った瞬間、ゾッ! と背後から幾つもの凍てつく氷柱で貫かれるような殺気を察知し、反射的に振り返る。
そこには威圧だけで人もポケモン関係なく、絶対零度の恐怖を体現させてしまいそうな激怒した氷の女王が静かに立っていた。
あまりの静けさに空気を冷えきり、場にいる全ての者が呼吸するのが辛くなるを感じた。
ヤバッ!オコだ!!
手持ちであるはずのムクバードもガタガタと震えているし、ザイモクザに至っては恐怖のあまり脂汗が止まらず、そのまま失神してしまいそうな勢いだ。
「………………」
氷の女王はただ侮蔑するような冷たい瞳のまま黙っている。
人は怒りの限界を越えた時は怒鳴るなどすることなく、逆に周囲を静寂させる"圧"を放つらしいが、目の前の少女がまさにそれだった。
ブルブルと恐怖で震える体を無理矢理抑えつけるようにカッと宣言するようにザイモクザは口を開く。
「ここここ、こいいい、、、こいつにやれと言われてやりました!!」
まるで大切な人を人質を取られて嫌々と命令にしたがってきた誇り高き戦士のような気迫で吐きしながら指を指す。
ーーー俺に対して。
うおーい!! 俺を巻き込んでじゃねぇよ!
「け、決して…国家の意志……などではなく! 全てこの男に無理矢理命令されました!!!」
胸に拳を当てながら兵士が上官に決死の思いをぶつけるかのように、熱い涙を溢すザイモクザ。
それを氷の女王の氷柱のように鋭く尖らせる視線は一切剃らすことなどせず、ただ「そう」と冷たい吐を息吹き掛けるように頷きーーー、
「ーーーでもあなたがやったという事実は変わらないわよね?」
「あ、いや、それはそのぅ~、なんと言いますか……。おじゃりまするというか、えーと、そうなんでござまするといいますかね? あー、……何でしょうか?」
それがザイモクザの最後の言葉(死への引き金)になった。
ブチッ!!!!!
と聞いたことが超烈な何がキレる音とともに混沌する地獄の始まりを告げた。
ーーーーーーーーーーー
「ライク!!」
「ケロマツ、"みずのはどう"で牽制!!」
"きりさく"で襲い掛かるストライクを動きを止めるために放たれる"みずのはどう"。軌道はストライクの翅を狙うがぎりぎりで回避され、ケロマツは接近を許してしまう。
ブン! と風を力で凪ぎ払うような強烈な一撃がケロマツに直撃する。
低い悲鳴を上げながら後方へと飛ばされるケロマツ、何とか受け身をとることに成功し、再び戦闘態勢にはいる。
「ケロマツ、"りんしょう"!」
ケ~ロ、ケ~ロ、ケ~ロロロ~と腹から声を出して音波を放つ。何時もの影分身のサポートなしでの単発の音波攻撃にストライクは怯む。
「そのまま"かげぶんしん"で駆けて攪乱させろ」
地を蹴りだすケロマツ。
駆ける度に一つ、二つ、と自身の分身が増えていき数十匹のケロマツが現れる。
ケロマツの軍団はストライクを囲み、自慢のバネのような脚力を活かして旋風を巻き起こすかのように駆けて攪乱させようと試みる。
だが、これでは前回と同じ。
この程度のスピードと数ならばストライクの鎌で体よく捌かれて終わってしまう。
周囲の動きに即座に対応する反射神経、必要最低限の動きで相手を確実に迎撃できる戦闘センスを備わったポケモン。
ならばどうするか。
スピードをあげて、分身の量を増やすべきか?
いや、それは身をもって知っているケロマツ自身がよく理解している。ケロマツは前よりも速く動き、分身の量を多く、ストライクに対抗しようとしているのが見てて分かる。
しかし、それだけでは駄目だ。これでも尚ストライクは攻略してくる。
その証拠にストライクはケロマツの動きに対して目の動きはしっかり捉えている。流石に本体そのものは分からないだろうが、襲い掛かったところで返り討ちあうのは明白。
明らかなまでの実力差がある相手と立ち向かう時どうするか?
答えは単純ーーーバレない反則を使う。
「"みずのはどう"!!」
ケロマツの四方八方囲んだ状態から繰り出されるみずのはどう。幾ら素早いストライクといえど避けるのは困難。そして、他方向からの攻撃を繰り出された時にとるストライクの防御手段は!
「ラァイィィーークゥゥ!!!」
雄叫びを上げながら羽根から繰り出される空気振動、ストライクのもう一つの刃"エアスラッシュ"がみずはどうとケロマツの分身を撃ち落とす。
けれど全てのみずのはどうを相殺はできず、一発命中する。
直撃したストライクはゆらりと右の方へとよろけそうになるが踏ん張りを効かせて堪え、みずのはどうが放たれた方向へと躰を向け変えようとするが一歩遅い。
「ーーー!? ッイク!!!」
突然、地面から殴られたかのような衝撃を受けて地から弾け飛ばされるストライク。
その表情は一体何が起こったのかと理解できずにいる様子。そこを逃さない。
「ケロ」
「ッ!? ライーーー!!!!」
地面から弾けとんだと同時に動き、ストライクへと接近したケロマツ。その両手には水のエネルギーが収縮された塊が出来上がっておりそれをゼロ距離から放つ。
ドボォォォォン!!!
みずのはどうを真正面から受けたストライクはそのまま地面に叩き付けられるように二転三転する。
転がりの勢いを殺すためにストライクは鎌を地面に刺して強引に体制を整え直す。
いや、違う!
地面を鎌で突き刺しては腰を大きく上げて、四枚羽カチカチ羽音を鳴らしながらする態勢はクラウチングスタートとそれに似ていた。
そして、その進行方向はケロマツへの一直線状。
「避けろケロマツ!!」
危険を感じ反射的に叫ぶが、反応した時には既に遅かった。
ズバババっ!!!と旋風が弾けるような強烈な風音がともにストライクが跳ぶ。
一瞬の豪風はケロマツはストライクに接近を許してしまい、殴りつけるような威力の"きりさく"を直撃して地面に叩きつけられる。
急所に命中したのか、ダメージが大きかったようでケロマツはそのままピクリとも動くことができずに倒れたまま。明らかに瀕死のありさま。
そしてそのままバトルは終了かに思えたが。
「ライク」
「っゲ……ロ!」
ストライクはケロマツを踏み付けた。
「えっ?」
ユイガハマの驚きの声がもれる。
ストライクは構わず…いや、そんな声など聴こえていないかのようにグリグリと踏みつけ、瀕死状態のケロマツは苦しみの呻き声をあげる。
「ひ、酷い……」
ユイガハマは信じられないものを見るかのように口元を手で抑えて驚愕していた。俺も同じ気持ちであり、同時にそれが普通であるとも認識できた。
野生とは常に弱肉強食の獣の世界。弱者は淘汰され、強者のみが生き残れる過酷な世界である。
そのルールに法ってストライクは強者であるがゆえに許された正統なる行為を振る舞っているのだ。
そして、ストライクは時期に飽きたのかそのままサッカーボールを蹴るような要領でケロマツを蹴り飛ばす。
「戻れ!」
木に直撃する直前、俺はつかさずケロマツをボールへと戻す。ボールの中に収まったの確認すると、ストライクを睨む。
ストライクはハッと、鼻で笑ってはこちらをニヤけた笑みで強者を気取っている。
「本当に躾がいが有りそうな子ね」
と、ここで後ろから声がかかる。振り返らなくとも分かる、あの黒い髪の女の子だ。
黒髪の少女は前へと出ると俺に対してだけ「これ以上の邪魔はしないで頂戴」とテレパシーでも使えるようになったのではないのか錯覚するくらいに睨んで伝えてくる。
いや、ちゃんと口に出して言ってくれよ。普通に怖えから。
チラリと後ろの方を見るが、そこにはただの屍が転がっていただけなので何も見なかったことにした。
うん、ただの自然の摂理自然の摂理。決してここで殺人事件など起きていない。
「ムクバード」
黒髪の少女に呼ばれてムクバードは転回してストライクに対峙する形をとる。それを見て少し不味いかもしれないと直感した。
ムクバードも消耗が激しいためか体力も残すところわずかであるとみえる。
ストライクも消耗してる上に相性で勝っているが、あの戦闘センスは脅威だ。下手をすると逆に負ける可能性すら考えられる。
対峙し合う二匹。弱い風が彼らの間から逃げるように抜けていき、草葉が踊る。互いから漏れる小さな数呼吸すら見ているこちらにも聴こえてくる。
そして。
「ムクバード“でんこうせっか”」
先手をとったのは黒髪少女のムクバードだった。疾風の速さで突撃する。が、ストライクはそれを難なくと躱し、一瞬でムクバードのバッグを取るとストライクは翅を羽ばたかせ、無数の空気の刃“エアスラッシュ”を放つ。
エアスラッシュは全てムクバードに直撃し、飛行能力を失ったかのようにバランスを崩し地面へと落下する。
そのままムクバードは起き上がることはなかった。
「あ! ゆきのん急いで戻して!!」
「!」
ユイガハマが叫ぶ。
ストライクは倒れた瀕死のムクバードに追い討ちをかけるかのように自慢の鎌で一撃を繰り出す。黒髪の少女もムクバードを戻そうとボールのスイッチを切る。ほんの数秒を分ける一瞬の勝負。
結果はギリギリでストライクの攻撃は空を切り、ムクバードは追撃を受けずに戻すことに成功した。
俺の隣にいたユイガハマははぁー、と安堵した息を吐き、笑顔になって黒髪の少女によかったね!と告げる。黒髪の少女も一瞬だけ目を瞑り考え込むようにしてから小さい声で返す。
「……ええ、助かったわ。ユイガハマさん」
少女は少し頬を染めてから礼を言うとパァーと、喜びを隠せない顔になるユイガハマ。ツンデレがデレ期がきたかのような反応だな。
少女たちは百合情をじゃなくて、友情を深めている。まるでまんがタイムでも読んでいるかのような気分に俺は陥った。
はぁー、うさぎぴょんぴょんとかチョー読みたいし、劇場が楽しみでしかたない。今はひなこノートだっけ? いや、あれは別社か。仕方がないNEWGAMEにするか。
「……!?」
風が疾走る。俺の隣に強風が流れて緑の風が横切る。
ヤバイと感じるとともに同時に叫ぶ。
「逃げろ!!」
けれどその一言を発するのは緑の風に対してはあまりにも遅く、また反応する彼女たちも遅い。
「え?」と、ユイガハマが振り返るとその目の前にはヤツがいてーーー
早くカクレオンに指示を
ーーーダメだ届かない。
ユイガハマはポケモンを
ーーーアイツは今手持ちがいない。
ヤツの狙いをそらすには
ーーーストライクはとどめの邪魔をされた怒りからで、ユイガハマが一番の敵である。
あの少女は
ーーーアイツも反応が遅い。今ボールに手を伸ばして、いやユイガハマを庇おうと動きだした中途半端なもので。
石を投げる
ーーー無理だ狙いが定まらない。石を拾う時間すら惜しい。
ーーーヤツの自慢の鎌が垂直に振り下ろされる。まるで死神が首を刈り取るようにこれまでの攻撃の中で一番、無駄が一切ない鋭く速い一閃を。
様々な思考が過るが全て全部無駄で無意味で否定するには十分なくらい。諦めるには十全そのもので。
その時の俺は駆けていたのか、どうしていたのかは分からなかったが、だけどたぶん俺はその時体は一歩も動いていなかったんだと思う。
完全に終わったと悟ってしまった。
確信を得てしまった。
ーーームダダ、アレニツイテハアキラメロ。
「きゃあああぁぁぁぁ!!!」
その声を悲鳴を聞いたときに、たぶんようやく俺は動いたんだと思う。地を蹴り出して、ほんの数十メートルにも満たない距離を最短で最速で届くのを。
ーーーシンジテ?
「カーくん、“ねんりき”で止めて!」
「ビビヨン“ふんじん”!」
「フォコ!」
瞬間、ストライクの動きは金縛りにあったかのようにピタリと止まり、粉末の風と火炎が混じりあってできた熱風がストライクへと吹いて、途端に爆発した。 ストライクはたまらず悲鳴を上げて地面へと転がった。
「え?」
その漏れた「え」は誰のものなのか分からなかった。俺なのか、ユイガハマなのか、黒髪の少女なのか、あるいは三人同時だったのかもしれない。
そして、何に対しての漏れた一言かも分からなかった。
それは爆発したストライクなのか。それとも。
「ユイさん大丈夫ですか? もう、ちょっとお兄ちゃんもっとシャンとしてよ。女の子がピンチなのは助けなきゃ。あ、でもそれじゃあお兄ちゃんらしくもないのか?」
「いや、それは君のお兄さんは人としてどうなのかな? コマチちゃん」
「フォコ!」
それとも、呆れた表情をしたコマチとその一言に複雑そうな顔をした、白いに限りなく近い金髪のタンクトップに多数のポケットが付いたズボンの動きやすい服装に、厚眼レンズの高そうなカメラが特徴の女性。そして、涙目で自身のトレーナーに飛び込むフォッコの姿を見たからだろうか。
まずどこから突っ込めばいいのか分からずに少しだけ呆けた俺だったがすぐに切り替える。
「コマチ、お前は一体どこにいたんだ?」
「いやそれこっちのセリフだから。お兄ちゃんなんで迷子になってるの? ボッチだから?」
このガキ!
「違うっつーの。ちゃんと連絡網だったり次の時間が移動教室だったってことを教えてくれなかったクラスのヤツが悪い。俺は悪くない!」
そう力説に語ると途端に周りが静かになり、視線を集めて可愛そうなやつを見るような目で見てくる。
おい、やめてくれよ。ボッチは基本的に視線を集まると全パラメーターが二段階下がるんだよ。悪ければ状態異常すらなるんだよ。
いたたまれない気分に陥っていると、ラアァァイィィク!と地獄の底から這い出るような唸り声が上がり、そちらへと視線を移す。ストライクだ。
ヤツは先ほどの爆発で大ダメージを食らってしまい、緑の体はあちらこちらに黒い火傷の怪我を負っていった。だが、ヤツは戦意喪失など気配はなく、その瞳には怒りのあまり今にも飛び出さんばかりの勢いだ。
迎撃、逃走、怯えからの混乱、状況理解把握、それぞれの構えをとる(ちなみに俺は逃走だ) と、パシッ!とシャッターを切る音が鳴る。そちらへと振り返るとタンクトップのお姉さんが写真を撮っていた。
「あ、ごめん。なかなか良い写体だったからつい」
呑気そうに照れた感じで言うお姉さん。あれ、この人ってもしかして。
どこか見に覚えがある、既視感を覚えていると、ストライクが翔けた。
それはもう何度も見たパターンでありバカの一つ覚えでいい加減にしてくれと嘆きたくなるが、残念ながらそのスピードには評価せざえる得ない、ヤツの必勝パターンである。
ストライクは“シザークロス”は真っ直ぐ、直線に、最短に、最速に、彼女に突っ走る。
けれど、彼女は冷静にそれを見つめてから指示を出す。
「ビビヨン“ぼうふう”」
風が、いや竜巻が高々に唸りを上げる。激しく荒れ狂い破壊のための強風。
ストライクのスピード特化の攻撃ならば疾風に相応しいが、この技は原形を留めておくことすら許さないほどの暴力嵐であり、暴風の名に相応しいそれだった。
トップスピードで疾走ったストライクにとっては回避の手段も一切できずに暴風の中に突っ込むように、暴風の中に捉えられた。
暴風の中で身体が、頭が、腕が、鎌が、足が、羽根が散々と引き裂かれんばかりに呑まれて、やがて暴風から投げ出される形で飛び出て森の木々にぶつかる。
倒れたストライクはそのまま起き上がらない。
呆気を盗られた俺たちだったが、そのままお姉さんは何ともない調子で腰からモンスターボールを取り出して、ストライクに投げる。
モンスターボールは三、四度揺れてから、赤白と点滅していたスィッチボタンがピタリと止まる。捕獲が成功した。
「ふぅー、彼がここ最近森で暴れていたって子か。君たちも大変だったね。怪我とかしていない?」
「あ、はい」
反射的に返事をすると、俺たちを観察するようにじっくりと見つめてから。
「あれ、君具合悪いの? 目元がくらいよ」
「お兄ちゃんは目が腐っているのはいつものことなんで、だいじょうぶです」
「おいこら! クソガキ」
俺とコマチのやりとりに苦笑する。
「なら良かった。町を預かる立場としては周辺もちゃんと管理しなくちゃね。あ、私はビオラ。ハクダンシティのジムリーダー、よろしくね」
彼女はそう告げた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
“彼ら”はハチマン達をそれぞれの視線で眺めていた。
その瞳に映るのは、宿す感情は様々なものであり、彼らは森を抜けていく彼らの背中を見つめては、一言も発さずに彼らも帰っていく。
いや、もしかしたら、帰るの意味が変わったのでないだろうか。
次回は、ジム戦編!
ステルスヒッキーから不意打ちは当たり前!
ご愛読ありがとうございました!!