DECADE ~記憶を辿る旅~ 作:ソルラス
ン・ザバギ・ゼバと名乗ったグロンギは異質な風貌をしていた。
基本的に暗色な体表のグロンギとは異なり、赤と黒と白の派手かつ禍々しい色をしている。
加えて体の各所が龍のような作りになっている。
「ッ!! 変身!!!」
と、暦は即座に動き、懐のカッターナイフを抜いて変身する。
タイタンフォームになったクウガに更に変化がおきる。
紫色が濃くなり、一部が金色になった強化形態。『ライジングタイタン』。
「うおおおおおお!!!」
ライジングタイタンソードを振り上げ、ザバギに振り下ろす。
しかしその刃が体に触れた瞬間、バギイッ!!と音を立ててタイタンソードが折れた。
「なっ!? 超変身!」
マイティフォームの強化形態である『ライジングマイティ』になったクウガは電撃を纏った『ライジングマイティキック』を叩き込む。
「ふん……」
しかし、ザバギは難なくそれを受け止めた。
「う、ぐっ!?」
「この程度で我に傷をつけられるとでも思ったか……? 甘いわ!!」
「うわああああっ!!」
ザバギは足を掴んでクウガは地面に叩きつけてから振り回し、木に投げつける。
「ガハッ!!」
それだけでクウガは大きなダメージを受け、地面に崩れた。
「暦!! しっかりしろ!!」
「ぐ……があ……」
「ふん………弱いな。今代のクウガはこの程度か」
失望したような、嘲笑うかのような声音でそういうザバギ。
と、彼は羽を広げるとその場から飛び去った。
「ッ!? 暦!! 追いかけるぞ!!」
「ゲホ……ああ!!」
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「言っても意味がないって……?」
大和の疑問にひたぎは答える。
「阿良々木君はお人好しなのよ。それも超が付くくらいに」
「自自分に危険が及びかねない吸血鬼を助けようとしたり、怪異に執り憑かれた人を助けたり……」
「羽川さんはまだそれなりに友達関係だったから分かるけど、私は出会ったばかりの会話も殆ど交わしていなかった状態なのに助けようとしたわ」
その説明に大和は確かにと頷く。
それは確かに『お人好し』だろう。
「私の時も、神原さんの時も、千石さんの時も、阿良々木君は自らの身を犠牲にしつつも助けたわ。本人はなんだかんだと理由付けしちゃうんだけどね」
「そんな阿良々木君が人を殺す怪人を倒す力を身に付けたら自分に鞭打っても戦うのは火を見るより明らかなのよ」
「………そうなんですか」
ならば、来流はどうなのだろう。
世界を救うなどという英雄の所業を軽く引き受けた彼は…………。
衝撃が起きたのはその時だった。
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町を上空から見下ろすザバギ。
直後に彼は自身の腕を裂き、傷を作る。
その傷から撒かれた血の一滴一滴が空中でグロンギに変化。
たちまち大量のグロンギが町を襲撃することになった。
「うわわ……大変なことになってるじゃないですかあ……!」
電柱に隠れてその様子を伺っているのは大きなリュックとツインテールの少女、『八九寺真宵』。
幽霊である彼女はグロンギには見えていないらしく、目の前でスルーしていく。
「なんなのですかこれは……」
ビクビクしながら様子を見る真宵。
とはいえ、見えていないのならこのままやり過ごせるだろう。
……………そんな考えはしかし、彼らの王によって砕かれた。
「………えっ?」
突然、図上から爆発音が聞こえた真宵が顔をあげると、折れた電柱の先端が落ちてきていた。
ザバギは真宵の姿がハッキリ見えたのだ。
「あ………」
死の危険。突然の事態に真宵は呆然とした。
ブロロロロロロロロ!!!
ズガッシャーーン!!!
「…………ふう。間に合ったか」
しかし真宵は助かった。
電柱が落ちる直前にビートチェイサーに乗ったクウガが助け出したのだ。
「あ……デュララ木さん!!」
「人を人間観察が趣味の人間大好きな池袋在住の便利屋が登場するラノベ見たいに呼ぶな! 僕の名前は……いや違う。僕はクウガだ!! 断じて阿良々木暦などではない!!」
「自分で言っちゃってるじゃないですか」
「しまったあ!?」
「というか私。阿良々木さんが変身する瞬間を見たことありますよ」
思わず固まる暦だった。
「………この事は内密に頼む。とにかく今は逃げろ!!」
「はい!!」
真宵が逃げ出したのを見てクウガはグロンギの集団に向き合う。
「愚かな……一度我に敗れたにも関わらず、追ってきたか」
「僕は倒れるわけにはいかないんだよ!! 超変身!」
『ライジングドラゴン』と化したクウガはライジングドラゴンロッドを構えるとグロンギに攻撃を仕掛ける。
棒術と軽快な身のこなしを複合させたアクロバティックな動きで敵を次々と打ち倒していく。
しかし敵の数があまりに多く、多数相手に慣れていないクウガは相当苦戦していた。
「ライジングも何時までも持つわけじゃない! 早く倒さないと……!」
「無謀……そして愚かな」
と、ザバギが更に血を撒き、グロンギを生み出した。
「!! これじゃあいたちごっこだ……!!」
グロンギが登って来ない建物の屋根に飛び乗ったクウガは超変身で『ライジングペガサス』に変わる。
そしてライジングペガサスボウガンをザバギに向け、放つ。
対してザバギは火球を投げた。
その火球はボウガンの弾を全て焼き消し、爆発してクウガを吹き飛ばした。
「ぐっ!! ぐああああああああああッ!!!」
転落したクウガは変身が解ける。
倒れ伏す暦をグロンギが踏みつけた。
「ぐふっ!!」
「間抜けな様だ。助けると大口をのたわっておきながら何も出来ずに地面に張り付くことしかできぬ。人間は弱く、一人では何も出来ぬ脆弱な種族。クウガであろうと我らグロンギに勝てるわけがあるまい」
「ふざ……けるな……!」
グロンギの足を振り払い、立ち上がる暦。
しかし降りてきたザバギが暦の顔面を殴る。
「ぐはっ!!」
再び倒れ伏す暦に武器を持ったグロンギが近づいてくる。
「案ずるな。既に我が放ったグロンギが町に何体もいる。他の人間が待つ地獄へ逝くがいい!!」
ザバギの合図でグロンギ達が一斉に武器を振り上げる。
「(悪い戦場ヶ原……羽川……約束、守れなかった)」
そしてその凶悪な刃が暦の体に振り下ろされ……!
「はあっ!!!」
ドガッ!!!
しかし、暦が切り刻まれる事はなかった。
駆け付けた二つの影がグロンギを吹っ飛ばしたのだ。
それは、マシンディケイダーに乗った来流と、
「何をしておるお前様。前の威勢の良さは何処へ消えた」
「し、忍!?」
金髪の吸血鬼の成れの果て、忍野忍だった。
「な、なんで」
「勘違いするなよ。儂はお主を許した訳ではない。お主に死なれると困るから助けただけじゃ」
「………キスショット・アセロラリオン・ハートアンダーブレード」
「……グロンギの首領か。しかし貴様、儂をその名で呼ぶな。其奴はもう死んだ」
そういいながら忍は暦に近づき、その首筋に噛みつく。
「ザバギ。お前の放ったグロンギだがな。全部倒したぜ」
「な!? 馬鹿な!?」
「元とはいえ、流石は最強の吸血鬼だな。それと……」
と、来流は目付きを変え、ザバギを睨み付ける。
「お前は人間を脆弱な種族だって言ったな。……確かに人間の力はお前らに比べればちっぽけなもんだよ。けどな……俺達にはお前らみたいな殺戮種族には決して負けない力があるんだよ」
「何……? なんだそれは」
「"意思の強さ"だ。例えどんなに強大な敵だろうと守りたいもののために諦めない。例え心配だとしとも覚悟を知っているから信じて見送る。そんな人の意思の強さは力の強さにも劣らない。そしてそんな力を持つ俺達は決して一人じゃない」
と、忍に血を吸われた暦が吸血鬼の力を覚醒させる。
するとみるみるうちに傷が治った。
「……儂の眷属なら奴を倒せ。それくらいはできるじゃろ」
「軽く言ってくれるな……だが引き受けた!!」
忍は翼を広げて飛び去り、暦は来流の隣に立つ。
「馬鹿な……なんなのだ貴様は!!」
「聞くなら死ぬまで覚えときな……通りすがりの仮面ライダーだ!!」
カードを構え、そう言い放った来流に合わせ、暦も構える。
「「変身!!」」
[KAMEN RIDE DECADE]
ディケイドとクウガに変身した二人に襲いかかるグロンギ。
[ATTACK RIDE SLASH]
と、ディケイドの持つライドブッカーの刃が分身。
それを使って次々とグロンギを斬り倒し、クウガもまた、強力な一撃を叩き込んで倒していく。
と、突如としてライドブッカーから三枚のカードが飛び出した。
ディケイドがそれを取ると空白のカードに色がつき、それぞれ四本の角を持つクウガのカード、クウガと鋼の鍬形が描かれたカード、クウガの紋様が描かれた金色のカードになる。
ディケイドはそのうちの一枚を取り、
[FINAL FORM RIDE KU・KU・KUUGA]
「ちょっとくすぐったいぞ」
「え……ぐっ!?」
ディケイドがクウガの背中を刺すと甲殻が現れる。
更に頭が収納され、体が宙に浮かぶとクウガを支援するクワガタ形の機械生命体、『ゴウラム』に似た『クウガゴウラム』に変形した。
「な……なんだこれ……?」
「行け暦!」
ディケイドに言われてクウガゴウラムは羽を広げて突撃。グロンギを弾き飛ばした。
「人間ごときが!!」
ザバギが火球を放つがディケイドは跳躍でかわし、クウガゴウラムに飛び乗る。
そのままクウガゴウラムは次々とグロンギを大顎で貫き、倒していく。
「おのれ小癪な!!」
『うおおおおおお!!』
ザバギが放つ衝撃波をしかしクウガゴウラムは怒号と共に突き進む。
「ぐはっ!!」
「はあっ!!」
そのまま弾かれたザバギをディケイドの斬撃が追撃。落ちていくザバギをクウガゴウラムが大顎で掴む。
[FINAL ATTACK RIDE KU・KU・KUUGA]
『だあああああ!!』
「はあああああッ!!」
そしてクウガゴウラムがザバギを掴んだままディケイドに向かう。
そして交差するようにディケイドがライダーキックを放つ。
一連の合体技、『ディケイドアサルト』が炸裂した。
「ガハッ!! 馬鹿な……人間ごときに……この我が……ガアアアアア!!!」
ザバギは苦悶の声を上げながらゆっくりと倒れると爆発するのだった。
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それから、二人は鎮守府に帰還。
無事な姿を確認したひたぎは思わず暦に抱きつき、来流達四人に微笑ましそうに見られていた。
忍野忍はまた無口な彼女に戻った。
しかし彼女が力を貸してくれたからこそ勝てたので、暦は今度彼女の好物のドーナツを沢山買ってやるのだと言っていた。
翌日。
「行くのか?」
「ああ……この世界での元凶は倒せたからな。まだ14の世界が残ってる」
「そうか……」
と、暦は来流を軽く叩く。
「困ったら何時でも頼ってくれていいからな。それと、大和達と頑張れよ」
「ああ。お前もな」
来流は暦と拳を合わせる。
そしてお互いに背を向けて自分の道へ進みだした。
鎮守府。
「暦君は、これからも大丈夫ですね」
「ああ。アイツには信じてくれる仲間がいるからな。……俺にとっての大和のように」
「…………ですね」
クスリと笑う大和。
と、その時、
パラパラパラパラッ……
『!!』
掛け軸が突然回りだし、絵柄が変わった。
「おや……和ものには合わない絵だね……」
大空の下、純白な機械の鎧を纏った少年から伸びた影が雄々しき角を携えた戦士になっている絵。
それを見て来流は呟く。
「……『ISとアギトの世界』か………」
次回予告
「俺は戦いたくない……」
「女尊主義者……嫌なもんだな」
「最近、奇妙な事件が多発しているんだ」
「私にも出来ることがあるならば……」
「人間じゃなくなるの……?」
「私を越えていけ! 一夏!!」
「信じているから……」
「立ち上がれ。俺が支えてやる」
→『インフィニット・ストラトス』と『仮面ライダーアギト』が融合した世界
全てを繋ぎ、記憶を紡げ!!