愛歌です!
本作品も、3話目です!
今回は瀬戸目線で、マリーと伸太郎、貴音が出てきます!
伸太郎と貴音が喧嘩してます(苦笑)
なにげにマリーの出番が少ないです。
ではでは、本編をどうぞー!
幸助side.
それは唐突で、実に何ら変わりない日常の中で、起きた《出会い》だった。
「えっと・・・給湯室は・・・と、あ、あったあった。ここっすね」
給湯室とかかれたプレートを確認し、俺はドアを開けた。
先客がいたのか、部屋は濃い橙色に染められていた。
中には、背丈140程の少女がたっていた。
病院服をきているということは、患者さんだろう。
俺に気づき、少女は長い髪を靡かせながら振り向いた。
「・・・・・・・!」
・・・一瞬息が止まるかと思った。
それぐらい君は可憐で、神秘的だったんだ。
「・・・あ、えと・・・」
「ひっ・・・ごご、ごめんなさい!!」
声をかけようとすると、少女は怯えたように俺を凝視したかと思うと、すぐさま給湯室から出て行った。
「・・・・・・・」
しばらくその場で固まっていると、ふとテーブルの上のティーセットの存在に気づく。
恐らく、先程の少女のものだろう。
「・・・どうしたもんすかねえ・・・」
届けてあげたいが、生憎部屋の場所さえ知らなければ、当然名前も知らない。
せめて紅茶が冷めてしまう前に、少女が戻ってきてくれればいいのだが・・・
「ったく・・・何で俺が・・・」
ふと聞こえてきた声に振り返ると、そこには見慣れた制服に身を包んだ、これまた見慣れた顔の人物がいた。
間違いない。
うちの学校の、副会長。
如月伸太郎先輩だ。
「伸太郎先輩!何でここに・・・」
「瀬戸・・・?お前こそ何で・・・」
伸太郎先輩は俺の手元の花束に視線を移すと、納得の表情を浮かべた。
「・・・まあいい。そのティーセットののったトレー取ってくれ」
「これっすか?何で伸太郎先輩が?」
「会長に頼まれたんだよ。・・・さっき白いもこもこと会ったろ?」
そう聞かれ、思い当たるのは、さっきの少女だ。
さっきの少女は伸太郎先輩の知り合いなのだろうか。
聞いてみると、伸太郎先輩は苦笑しながらも答えてくれた。
「栗鐘茉莉。れっきとしたうちの生徒だ」
「そうなんすか?」
「ああ。病弱で、あまり学校にこれてないがな。週に一回。カウンセリングも含めて、会長と来てるんだよ」
「へえ・・・」
カウンセリングまでやってるとは・・・
さすがは会長だ。
・・・会長、もとい榎本貴音先輩。
生徒からの支持率No,1である、うちの生徒会長だ。
貴音先輩の代になってから、荒れていた校風もすっかりよくなり、禁止されていた携帯やスマホなども、条件付きではあるがよくなった。
地元では一番荒れた学校だったが、無論、中には真面目な生徒もいた。
その真面目な生徒の支持を得て、一年から生徒会長になったものの、最初は柄の悪い奴らに目をつけられ、大変だったらしい。
が、ここからが高音先輩のすごいところ。
空手一段の腕前で、相手を怪我させずに降伏させたのだ。
しかもその人柄から、学校の柄の悪い生徒を全員改心させた。
そんなわけで、今ではうちの学校は県内でも有数の進学校へとなったのである。
とまあ、俺が知ってるのはここまで。
伸太郎先輩とは、部活の関係で顔見知りだが、貴音先輩とは話したことはなかった。
でもとにかく、カウンセリングってことは、あの少女には何か心の問題もあるのだろうか。
「会わせてやりたいけど、あいつ人見知りだしな。さっきも悲鳴あげられたろ?」
「え?あ、まあ、はい・・・」
確かにまあ、あんなに怯えられたのは初めてだ。
だが、少し少女の気持ちは分かる気がした。
少女は、どこか昔の俺に似ていたから・・・
「それに・・・お前、花瓶に水入れに来たんじゃないのか?」
呆れ顔で伸太郎先輩が言い、そこでやっと自分がここに来た用事をすっかり忘れて、話に興じてしまっていたことに気づいた。
「!ああっしおれちゃってるっす!・・・秋香に怒られる」
うう・・・、と唸る俺に、伸太郎先輩は貸せ、と花束を取り上げた。
「ちょ・・・何するんすか」
伸太郎先輩は、近くにあった小さなバケツにポットのお湯を溜め、どこから取り出したのかマルチナイフで茎の先を斜めに切り、切り口をお湯につけた。
「湯きりだ。これぐらいならすぐ戻る」
マルチナイフをしまいながら、伸太郎先輩は解説してくれた。
「・・・というか、よく知ってるっすね」
「マリーが、あ、茉莉のことな。あいつ花が好きでさ。会長も俺も、よくそういう話聞かされるから、嫌でも覚えた」
「マリーって呼んでるんすか?・・・えっと、その子のこと」
「ん?ああ。元々は会長から呼び始めたんだがな。なんか俺にまで移ってさ」
「あ、やべ。紅茶思いっきり冷めてやがる・・・」と、伸太郎先輩は頭をかきつつ、慣れた手つきで紅茶を入れ直していく。
「で?お前は、誰の見舞いに来たんだ?」
「え?ああ、ちょっと友達の妹に・・・」
「友達って修哉か?・・・あいつ妹なんていたか・・・?」
全生徒の名前と顔、家族構成などを丸暗記している伸太郎先輩でも、やっぱり秋香の存在は知らないようだ。
「・・・なあ、もしかしてそれって・・「シンタロー!」」
伸太郎先輩が何か言いかけた時、威勢のいい声が、給湯室に響いた。
伸太郎先輩は、明らかにめんどくさそうな表情で振り返り「なんすか会長」とけだるそうに尋ねた。
「なんすかじゃないわよ。あんたねえ、たかがティーセットを持ってくるのにどんだけ時間かけてんのよ!」
すっかりご立腹のようで、貴音先輩は眉間にしわを寄せつつ、伸太郎先輩に詰め寄る。
「仕方ないじゃないっすか。紅茶すっかり冷めてて、入れ直してたんすから。ほら」
伸太郎先輩は、ティーセットをトレーにのせなおし、貴音先輩に押し付けた。
「ぐ・・・腕、あげたじゃない」
紅茶の香りに、貴音先輩は悔しそうな表情を浮かべた。
確かに、給湯室には紅茶の香りが広がっていて、紅茶の入れ方を熟知していないと、こんな良い香りにならないことぐらいは、紅茶に無知な俺でもわかる。
「ええおかげさまで。ってか、冷めるんでさっさと持って行ってくださいよ会長」
「相も変わらずムカつく奴ね、あんた。はあ・・・まあいいわ。あれ・・?君「二年の瀬・・・」君、こいつにいじめられてない?ほんとにこいつは意地が悪・・・「だから会長、紅茶冷めるって」あーもうわかってるわよ。じゃあ、またね」
貴音先輩は最後に俺に笑顔を向けた後、伸太郎先輩を連れ去っていった。
仲むつまじい2人に思わず微笑み、俺はすっかりもとに戻った花束を花瓶にさす。
「マリー、か・・・。また、会えたらいいな」
すっかり頭に焼き付いた少女の姿を思い浮かべながら、秋香達の待つ病室へと急いだ。
ー3話終わりー
最後まで読んでくださって、ありがとうございます!
・・・なぜだ?
何か違和感を感じる。
そう。
伸太郎がなぜか貴音に敬語(らしきもの)・・・
その謎は・・・多分次回明らかに・・・!?←宣伝
ではでは、また。
ありがとうございました!