自由すぎる自由人が箱庭にくるそうですよ?   作:アラキ

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Episode 2

なんと、黒ウサギのうさみみは着脱可能だった。

 

「そんなことはありません!!まったく・・・まさか話を聞いてもらうのに小1時間も消費してしまうとは。学級崩壊とはきっとこういう状況を言うに違いないのですよ・・・」

「良いからさっさと話せ」

 

涙目になってる黒ウサギ。

逆廻も言い方ってのがあるだろうに。

 

「だから、テメェには言われたくねぇ・・・」

 

もはやため息しか出てこないようだ。

ため息ばっかりついてると、不幸になるぞ。

 

「いいますよ?いっちゃいますよ?定型文で言いますよ?ーーーーようこそ!みなさん!”箱庭の世界”へ!」

「そしてさようなら」

「はい、さようならーーーーってなりませんから!」

「三上さん、ちょっとの間静かにしといてくれない?」

 

おおう、久遠嬢、また青筋を浮かばせて・・・

 

「了解した。だからそんな般若みたいな顔をするな。可愛い顔が台無しだぞ」

「誰が、般若ですって!?・・・後半はありがとう」

 

おーい、ちょろいぞー。どうすんのよこの子。頬を赤く染めてさぁ。

言われ慣れてないのかねぇ?まぁ、良いか。

 

「ごほんっ!「指」我々はーーーって、だから、なぜに入ってくるんですか!」

「それが俺のアイデンティティだからだっ!」

「そんなアイデンティティ、どっかに捨ててこい!」

 

ギャーギャー言い争ってると、久遠嬢の拳骨を食らった。

やべぇやべぇ。般若やべぇ。

 

「えー、我々は4人様方にギフトゲームへの参加資格をプレゼントさせていただこうかと思いまして、この世界へとご招待させていただきました!お気づきであると思いますが、4人方は皆様、普通の人間ではありません」

「zzz・・・」

「・・・みなさんの持つ特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、聖霊から、星から与えられたギフト。つまり、恩恵なのでございます。ギフトゲームとは、その恩恵を駆使して、あるいは賭けて競い合うゲームのことなのです。”箱庭の世界”とは、そのためのステージとして作られたものなのです!」

「zzz・・・ふがっ」

 

なんとも言えない空気があたりを包む。

 

「放っておきましょう。質問があるのだけれど、自分のギフトを賭けなければいけないのかしら?」

「そうとは限りません。ゲームのチップは様々。ギフト、金品、土地、利権、名誉、人間。賭けるチップの価値が高ければ高いほど、得られる賞品の価値も高くなります。当然賞品を手に入れるためには『主催者』の提示する条件をクリアし、ゲームに勝利しなければいけません。負ければ、そのギフトを失う。ということもあります」

「主催者って何?」

「ギフトゲームを主催し、管理する人のことですね。賞品を用意さえ出来れば誰でもなれます。それこそ、修羅神仏から商店街のご主人まで、ゲームの難易度も、凶悪かつ難解、命がけのものから、福引的なものまで、多種多様に揃っているのでございますよ」

「ギフトゲームが法律みたいなもんか」

「大雑把に言ってしまうと、それも正しいです。ただ、窃盗や強盗を行えば捕まります」

 

説明が続いていく中、近衛はやはり寝ていた。

いびきこそ書いていないが、それはもう気持ちよさそうに寝ている。

春日部はそれを見てほっこりしていた。

 

「私たちを招待したのは何故かしら」

「それは、皆様方に面白おかしく過ごしていただこうかと思いまして!」

「ふぅん」

「それと、今後ですが、皆様方には私どものコミュニティに属していただきます。コミュニティとは、この箱庭で生活する集団のことでございます。必ず何処かのコミュニティに属さないと、生きていくこともできないと言っても、過言ではありません!あなた方のギフトが何かは分かりませんが、属さないことには生きていけられないでしょうね」

 

にやにやと挑発する黒ウサギの顔がムカついたのか、久遠嬢と春日部嬢の顔に青筋が入る。

 

「へぇ・・・、勝手に呼び出して随分な言い草じゃない」

「ちょっとカチンときた」

「口ではなんとでも言えますよ。それに、属していただくと言いましても、力のない方々を置いておくほど、うちのコミュニティーも余裕はありませんので」

「ヤハハハハ。喧嘩売ってんのか、黒ウサギ」

 

もはや完全にキレている。言い方があるぞ、言い方が。と言うか分かりやすすぎ。

逆廻あたりは分かってそうだが。残りの二人はダメだな。

 

「では、四人様方の力を拝見させていただきます!」

 

現れる机。その上には表向きになっているトランプが無造作に並べられている。

 

「今からギフトゲームを行います。こちらのトランプを使用し、神経衰弱を行います。ルールはこちらですね」

 

契約書類

「・ギフトゲーム名:神経衰弱

 ・プレイヤー一覧:逆廻十六夜 久遠飛鳥 春日部耀 三上近衛

 ・クリア条件:机の上にあるトランプを無くす

 ・ゲームルール① トランプの表柄の同じものを2枚1組とし、同じものを引いた時点でその2枚のカードを取り除く。

 ・ゲームルール② お手つきは1度のみ。2度行った場合は失格とし、ゲームに参加できない。

 ・賞品:なし

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと旗印とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。””印」

 

「こちらのゲームをクリアしていただきます。さぁ、頑張って下さい!」

「へぇ、これがギフトゲーム。それに、この紙が”ギアスロール”、ね」

「ヤハハハハ、中々粋な計らいじゃねぇか」

「頑張る」

「zzz・・・・ぶはっ」

 

やっぱり寝ている近衛を、逆廻が蹴り叩き起こした。

 

「いってぇな。で?話は終わったのか、おい」

「今からギフトゲームをするんだが、当然やるよな?」

「あぁん?」

 

久遠からギアスロールが手渡される。

ふむ、神経衰弱なぁ。こういうの苦手なんだが・・・

 

「で?俺からやって良いのか?」

「ああ、良いぜ。お手つきするまでやってくれよ」

「よし、失格になるか」

「三上、頑張って」

「三上さん、真面目にやりなさいよ?」

 

激励?を貰っていざゆかん。てかさぁ、本当に良いのかよ、これ。

知らねぇぞ。

 

「じゃあ、これとこれ」

 

そこには同じ柄のトランプが。まぁ、一度くらいはあり得るまぐれだ。

誰もが目を見開いたものの、黙ってゲームの成り行きを見守っている。

 

「次はこれ。これ。これ。これ。これこれこれこれこれこれこれ!!!」

 

全て同じ柄のトランプ。さすがに異常だ。

そもそもさっきまで寝ていたから覚える暇はない。それに、ランダムで場所を変えたのだから、完全にわからないはずだ。

 

「な、なんで分かるんですかっ!?」

「いや、教えるわけねぇだろ、駄ウサギ。そもそも、俺にこんなゲーム誘うな。面白くねぇんだよ」

 

覚えるまでもない。そもそも、そう、そもそも”見えている”のだから。

だから、神経衰弱は苦手なんだよなぁ。絶対勝つし。

 

「はい、終了。おい、逆廻。てめぇ、ニヤニヤしてたよな。お仕置き確定だな、こりゃ」

「ヤハハハハ!ーーーー逃げる!」

「しかし、回り込まれてしまった!」

「くそっ!」

 

ケツバットしておく。

近衛選手、打ちましたーーー!ホームラン!

 

「うぉぉぉおおおおお!」

「いやぁ、人ってよく飛ぶなぁ」

「「「・・・・・」」」

 

冷たい目線がビシバシくるね。もうね、心が折れるね。心がね。

 

「で、ギフトゲームは終わっただろ。まだあんのか?」

「い、いえ、もうないです(何もなかったかのように、話を進めましたよ、この方・・・)」

「(諦めなさい、黒ウサギ。私はもう諦めたわ・・・)」

「(右に同じ)」

「え、えーっと、お二人とも、先ほどは挑発とはいえ、酷いことを言って申し訳ございませんでした」

 

頭をこれでもか、と言うくらいに下ろす黒ウサギ。

そうそう、謝るのは大事だよ。ーーーん?二人?

 

「おーい、黒ウサギ。なんで俺には謝罪がねぇんだよ」

「寝ていらっしゃいましたよね!?」

「おいおいーーーいつから寝ていたと錯覚していた?」

 

一言一句間違えずに、黒ウサギの言ったことをリピートしてやった。

驚愕に目を見開いている3人。

 

「この程度のゲームしか用意できないコミュニティーなら、所属する必要ないかもしれない」

「いやいや、何をおっしゃっているのでございますか!?属していただきますよ!ええ、属していただきます!!」

「ふーん・・・なるほど。まぁいいや。んで?どうすんだよ黒ウサギ」

「何がですか?」

 

本気でわかっていないらしい、駄ウサギ。

お前、胸にばっか栄養がいって、肝心な部分には栄養行かなかったんじゃねぇか?

 

「ここでボーッと突っ立てりゃいいのか?俺は同じ場所に立ち続けるのは苦手なんだが」

「あ、ああ、そうでございますね。では、ギフトゲームも終わりましたし、我々のコミュニティにご案内させていただきます!」

「賞品はなんだよ、さっきのゲームのよー。ちゃっちゃと出せや、おい」

 

急にヤクザ風になる近衛。手にはさっきまでなかった五寸釘バットが握られており、今にも振るわれそうだ。

 

「ちょ、ちょっとお待ち下さい!賞品は設定していなかったので、なしでございますよ!?」

「おいおい、あれだけ挑発してくれて、それで賞品なしって舐めてんの?」

 

五寸釘バットが軋みをあげる。禍々しいオーラまで具現化されており、周囲の空気が歪んでいる。

さしもの黒ウサギも、これには警戒を強めた。

 

「で?どうする?賞品は?それとも、何か?俺と殺しあってくれんの?」

「その武器はなんなのですか?神格まがいの気配がしますが・・・」

「ダウト。誰が教えるんだよ。お前のスリーサイズ教えてくれんの?」

「誰が教えますか!!」

 

徐々に空気が重くなってきたので、久遠嬢と春日部嬢は違うところに避難している。

ん?逆廻がこっちに戻ってきてるな。しかも結構な速度で。

 

「よし、こうしよう」

「え、何が・・・」

「ふんっ!!」

「うきゃぁぁぁぁあああああ!!!!」

 

五寸釘バットを上に放り投げ、黒ウサギの視線が上にいったタイミングで、黒ウサギを一本背負し、逆廻に投げた。

いきなりの黒ウサギ登場に、逆廻は回避できず被弾。

 

「うおっ!」

「きゃあっ!」

 

くんずほぐれつ。おいおい、逆廻よ、お前体を弄ってんじゃねぇか。

 

「おーい、黒ウサギ。さっさと戻ってこい。10秒以内に戻ってこなかったら罰ゲームな」

「え、ちょ、待ってください!十六夜さんが、その、離してくれないんですっ!」

「いいじゃねぇか、エロい体つきしやがって!」

「はい、じゅーう。罰ゲームな」

 

上から五寸釘バットが直撃するーーーーー逆廻の頭に。

 

「ぐあっ」

「きゃぁああっ」

「いつから黒ウサギだけに罰ゲームを与えると思っていた?」

「「うわぁ」」

 

五寸釘バットが直撃した余波で、逆廻と黒ウサギはノックダウン。

特に逆廻においては目が回っている。

 

「うーん、さっさとそのコミュニティに行きたいんだけどなぁ・・・」

「いや、確実に三上さんのせいでしょう」

「三上やり過ぎ。二人とも気絶しちゃったよ」

「いやいや、俺は悪くねぇだろ。黒ウサギが謝らなかったのが悪い」

「十六夜君は?」

「ただの八つ当たりだ」

 

胸を張って答えると、逆廻が突貫してきた。

素晴らしい速度だ、アンダーソン君。

 

「テメェ、言うに事欠いてただの八つ当たりだとっ!?」

「何か悪いかー?俺わかんねぇなー」

「くっそむかつくな、マジで!」

「そんな事より、黒ウサギ叩き起こしてコミュニティ行こうぜ。こんなとこにいても、時間の無駄じゃん」

「「「テメェ(あなた)(三上)が言うな!!」」」

 

解せぬ。

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