違う作品の世界から十六夜が来るそうですよ?(1)   作:ゆっくり分隊長

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下っ端との戦闘だけであれだけ大変だったのに、勇儀戦となると..て事で挫折しかかってました。此処さえ乗り切れれば...!(フラグ)


四天王

(・・・コイツ、強いな・・・)

 

女性と対峙した十六夜は、無意識のうちに警戒する。

 

「おい人間・・・名は?」

 

「逆廻十六夜だ。そういうアンタは?」

 

「私か?私は、星熊勇儀。山の四天王の一人とも言われていたさ。」

勇儀と十六夜は間合いを計りながら隙を探す。

 

「うわぉ。そんなビッグネームとお手合わせ出来るなんて光栄だな」

茶化す様に言う十六夜に少し眉を顰める勇儀。

 

「正直人間が鬼を真正面から打ち破るのは余り無い事だが、実際に打ち破った以上

私はお前を評価する。その上での〝これ〟だ。」

 

取りだされたのは、盃。

 

「まさか・・・」

 

「その〝まさか〟だ。」

 

右手に持った盃に注がれる酒。

 

「言いたい事は分かるな?」

 

「あぁ・・・テメェも正面からブチ破ってやるッッ!!」

 

 

ダァンッ!!!

 

幻想郷での実戦経験を生かして更に速くなった踏み込みと共に身体を思い切り捻る。

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、勇儀の正面に衝撃波が発生した。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・なんだ、この程度か?」

 

 

身体全体を使った正真正銘の全力の拳は、呆気なく左手で掴まれる。

 

 

しかし、掴まれる事を予想していた十六夜は即座に右脚の蹴りで胴体を狙う。

 

 

 

 

ガッ!

 

(入った!)

 

それでも油断はせず、その状態から身体を捻って掴まれたままの拳を強引に外す。

 

「ッラァ!!」

 

掴んでいた拳を強引に外されたことで少しバランスの崩れた勇儀の項に回転を利用した裏拳。

 

 

(これも入ったが・・・油断したら負ける!)

 

 

そのまま距離を開けずに背中に右、左と交互に拳を繰り出す。

 

 

「ァッ・・・!」

堪らず勇儀が十六夜の方向に振り向いた瞬間、

 

 

 

「待ってたんだよッ!!!」

 

勇儀の顔面に全力の上段蹴りを喰らわせる。

 

余りの衝撃に、勇儀は仰け反ったまま数歩後ろへ下がる。

 

 

「ハァ、ハァ・・・・」

十六夜は、連戦の疲れに少し間合いを開けながらも、構えたままで様子を伺う。

 

 

「・・・・・・」

 

対する勇儀は、

 

 

「ハァ・・・・・・」

 

 

溜息をついた。

 

 

「・・・何だ・・・・

 

 

 

 

  この程度だったのか・・・」

 

「ッ!?」

 

勢いよく体制を戻した勇儀の顔には、失望の表情が現れていた。

 

「此処までの戦闘時間で、盃位は割ると思ったんだがな・・・」

 

そう言って視線を落とした先には、無傷の盃。

 

 

「・・・さぁ、〝終わらせるか〟」

 

 

「な・・・ッ!?」

 

十六夜が反応するより早く爆音が響き、十六夜は成す術なく吹き飛ばされる。

 

痛みを堪えつつ起き上がった場所から見えたのは、

 

 

 

今居る場所の10メートル程前方で拳を振り抜いた勇儀の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(クソッ・・・・)

 

元居た場所に歩いて戻る。

 

勇儀は何もしようとせず、その場に立ったまま。

 

 

「流石に人間相手に力出し過ぎたか?」

 

「・・・何の・・・これくらい・・・ッ!」

 

十六夜は痛みを堪えて突貫する。

 

しかし、辿り着く前にまた吹き飛ばされてしまう。

 

「動きが単調だから、幾ら力が強くても私には勝てないのさ」

勇儀は以前大きな動きは見せない。

「私としてはもう終わらせたいんだが、どうする?今降参するか、吹き飛ばされてからか」

(どうすれば...。

...!もしかして、これなら或いは!)

 

「...馬鹿にしてると痛い目に遭うぜ」

何か思いついた様子の十六夜は、尚も立ち上がり勇儀の元へと向かう。

最初の緩やかな歩みは、勇儀の近くに辿り着く頃には全力疾走に変わっていた。

 

「ッラァ!!」

十六夜の全力の右は、しかし勇儀の左手に掴まれてしまう。

更に左拳で攻撃するも、今度は右手で掴まれてしまう。

 

「ほら、腹ががら空きになったぞ?」

両手を掴むために盃を胸の上に載せていた勇儀は、十六夜に笑いかける。

しかし、

「それは...テメェもだッ!!」

ガシャーンッ!!

十六夜は酒で濡れるのも気にせずに頭で盃を割った。

「おぉ、大胆だねぇ」

勢い余って胸に突っ込んだ十六夜だが、次の瞬間顔を上げる。

その口には...

「ッ!」

勇儀の胸の上に残っていた盃の破片が咥えられていた。

破片を勢いよく噴きだし、勇儀の目つぶしに成功する十六夜。

「ハハッ、これで完全にがら空きだぜッッ!!!」

思わず仰け反る勇儀から腕を振り解いた十六夜は、右腕に全力を込める。

 

「死に晒せッこの糞鬼がァーーーーッ!!!」

 

直後、今までで一番の衝撃が生まれる。

 

「ど、どうなったんだ!?」

余りの衝撃で煙が立ち込め、野次馬の鬼達も一気に騒がしくなる。

「い、否勇儀姐さんはあの程度じゃ絶対に...」

「あぁ、確かにあれ位じゃ倒れねぇ筈だ...」

野次馬はそう口にする。

 

「果たしてそうか?」

野次馬達に十六夜は話しかける。

「だ、だってあれ位じゃ倒れねぇってのがウチ(旧都)常識(・・)...」

「ほぉぉん?〝常識〟ねぇ?」

それを聞いた十六夜は勝ち誇ったような笑みを浮かべる。

「いや~良かったよ、能力が成功して。」

煙が晴れ、其処には....

 

 

 

 

地に倒れ伏している勇儀の姿があった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「スマンな、盃を壊すまでが勝負だったのに攻撃しちまって♪」

勇儀に勝ったことでここぞとばかりに煽る十六夜。

 

「...まぁ、勝利は勝利だ、誇れ」

勇儀は悔しさを滲ませながらも十六夜の勝利を認める。

「それにしても、何故私は倒れたんだ?あれ位耐えられると思っていたんだが...」

「能力のお陰、とだけ言っておく」

詳しい事は避けながら話す十六夜。

 

「そういえば、何故この地底に来たんだ?」

「まぁ、一言で言えば観光だな」

 

そう言う十六夜に勇儀は不思議そうな顔をする。

「観光ねぇ...珍しい人間もいたもんだ」

「ヤハハッ、それ程でも」

「褒めてないさ」

此処で、十六夜が忘れていた事を思い出す。

「なぁ、此処でなんか面白い所ってないか?」

それに対し、勇儀は少し顔を顰める。

「面白いってか...周りの奴らから少し避けられている所はあるな。まぁお前さんにはぴったりだと思うが」

「避けられてる、ねぇ...なんていう所だ?」

勇儀は、一瞬静かになり、こうつぶやいた。

 

 

 

 

「....地霊殿」

 

 

 

 

(...またその名前か...これはいよいよ行ってみないとな)

十六夜は、次の行き先を地霊殿に定めたのだった。

 

 

 

 

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