UBW~倫敦魔術綺譚 (未改訂版)   作:冬霞@ハーメルン

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第四十三話 『友人達の助力』

 

 

 

 side EMIYA

 

 

 

 

「ふむ‥‥」

 

「なぁ紫遙、本当にコレだけで大丈夫なのか? 手術台とか麻酔とかは?」

 

 

 ロンドンに来てから知り合った初めての友人である蒼崎紫遙が施術の前の最後の診断結果をカルテのような書類に書き込みながら唸るのを見て、俺は自分でも若干不安が混ざっているのが分かってしまうような声を出した。

 俺が今いるのは時計塔、魔術協会の本部の地下にある紫遙の工房の中だ。さして広いスペースが取られているわけではないからか生活空間も兼ねているみたいだけど、俺がいるのは作業部屋みたいなところで、まさしく魔術師の工房と称するに相応しい。

 一角の壁一面を覆ってしまうような大きな棚にはわけのわからない器具がたくさん仕舞ってあるし、隅の方に幾冊もの魔術書が乱雑に積み上げてある部屋の真ん中には、人が一人寝そべることができるくらいの作業机が据えられていた。

 作業台の上には手元が明るくなるように照明が取り付けられていて、手術台に見えないこともない。もちろん俺は今まで盲腸にだってかかったことがないから実物を見たことはないんだけど、なんとなくそう思う。

 

 そんな中、紫遙は部屋の一角に置かれた事務机で書き物をしていて、俺はその前の椅子に縛り付けられている。

 この頑丈なロープ? みたいな拘束具がなければ丸っきり病院にやって来た患者と医者って構図だけど、周りを見回せば明らかにマッドな方向へと感想は傾いていく。

 難しい顔をしながら書類に視線を落としている友人の口には煙草が咥えられているけど、火は点いていない。

 なんでも作業部屋では危険だから煙草は吸わない主義だということで、じゃぁ何でわざわざ火も点けてないヤツを咥えているかというと、上のお姉さんの真似なんだとか。

 少し照れながらそういう様子からは、紫遙がお姉さんを本当に慕っているということがよくわかった。

 でもさ、とりあえずこれだけは言わせてくれ。施術中に暴れたりしたら危ないのは分かるけどさ、何も手術台みたいなのがあるのに椅子に縛り付けるのはないんじゃないか?

 

 

「ばかたれ、魔術師がやる手術に麻酔なんぞあるか。それにアレは魔術具を弄ったりするのに使う作業台だから、麻酔がかかってるならともかく、暴れる人間を押さえ付けておく強度なんてないんだよ」

 

「え、ちょっ、目を弄くるのに麻酔無いのか?!」

 

「瞬きしたら危ないだろ。お前には根性で瞼を開けておいてもらう」

 

 

 どうにも理屈がおかしいような気もするぞ。だって俺がいくら自力で目を開けてようと思ってだって、やっぱり反射ってものがあるし、そうでなくとも目の手術をするんだから、どれほど怖いかなんて想像できない。

 ‥‥まぁ、紫遙がそう言うなら仕方がないよな。

 なにより紫遙は否定してるけど、この施術は俺のためなんだしな。無理させてるんなら、文句なんて言ってられないよ。

 俺がそういうニュアンスのことを言うと、拍子抜けだったのか知らないが、紫遙は普段よりも幼く見える———実は俺達より少しばかり年上だったらしい。もっともソレを知ったのは友人付き合いをするようになってから随分経ってのことで、今更気にするようなことでもない———ぐらい目を見開いてパチクリさせると、呆れたように深い溜息をついた。

 

 

「ホントにお前はいつぞや俺が言ったことを理解ってるのか? ‥‥まぁ、こんなことを何回注意してやったところで、衛宮相手じゃ馬の耳になんとやら、か」

 

「む、なんだよその言い方は。馬鹿にしてるのか?」

 

「馬鹿にしてるんじゃなくって、心底呆れただけだよ。コッチに来て随分と経ったっていうのに、未だに学習してないんだってね」

 

 

 そりゃ魔術師って生き物がどうこうってのは、知り合った当初こそ遠坂とかにも散々言われたことだけど、やっぱり自分の性と合わないのだから仕方がない。

 もしアイツがこの場所に居たら俺の言葉を鼻で笑って、それに反論しようものなら百倍の厭味と皮肉が返ってくるに違いないんだが‥‥。

 ホントに、一体どういう経緯であんな捩れ凶った性格になったのやら、我がことながら未だに全く理解できない。摩耗した理由はまだしもなぁ。俺も下手すればあぁなる可能性があるってことなんだよ、な?

 とりあえず今は摩耗云々よりも、アイツがああいう性格にならざるをえなかった過程の方が気にかかる。ともすればこれからの———もしくは今までの———ロンドン生活に関わってくることなのだろうから、余計に。

 

 

「ったく、改めて見てみれば、なんだかんだで言う程悪くないじゃないか‥‥」

 

「ん、なにがさ?」

 

「魔術師としての、お前のスペックだよ。ホラ見てみろ、俺なんかよりよっぽど才能がある」

 

 

 心底憎たらしいとでも言いたげなジト目をこちらに寄越した紫遙から、今までの診断結果が記入されたカルテを受け取る。

 一枚の紙は病院で垣間見たようなきちんとした書式ではなく、只のA4用紙にある程度の———それでいて嗜好は本人に合わせているからか読みづらい———統一性を持たせて様々な書き込みがしてあるもので、まるでメモみたいだ。

 俺の体なのだろう輪郭だけの人体には無数の矢印が乱雑に書き込んであり、それは神経か何かのように見えた。その横には注釈なのだろうか、たいそう細かい字の羅列が続いていて、定規で線を引いたみたいに真っすぐなのは紫遙が妙なところで几帳面だからだろう。

 ただ、一つだけ問題があるとすれば———

 

 

「なぁ紫遙、これドイツ語か? 俺じゃ読めないぞ?」

 

「は? ‥‥お前まさか、遠坂嬢の弟子のくせにドイツ語が読めないのか?」

 

 

 別に威張るでも何でもなく只の事実を口にして「おう」と言うと、手術をするというのに白衣も着ていないバンダナの友人は、今までにないぐらい大きな溜息をつくと額を手で覆った。

 自慢じゃないが、学校での俺の成績はそれほど良かったわけじゃない。というよりは、むしろ悪かったと言えるだろう。いっつも平均点のやや下を低空飛行だ。

 赤点こそ無かったし授業も真面目に受けてたから目立って注意されることもなかった———どちらかといえば注意された方がまだ良かったかもしれない。勉強を急かされなければ誰だってやりたがらないだろう———けど、まかり間違っても頭の出来は良くなかった。

 強いて言うならば物理と数学、聖杯戦争が終わってからは少しだけ歴史の成績も良くなった。俺は解析の魔術を使ってしょっちゅう機械弄りをしていたからかもしれないし、後者はおそらく宝具について調べ物をしていた副産物だろう。

 

 で、まぁ俺としては別に勉強は程々にしておけばいいと思ってたんだけど、俺達が三年生に進級した時に問題‥‥というより、勉強する必要性が生まれたのだ。

 聖杯戦争が終わって暫くの間ぐらいは、その、俺も遠坂もちょっと浮かれていたんだと思う。聖杯戦争中はドタバタしていたけど、ゆっくりと二人の時間を持てるようになって、結構のんびり過ごしていた。

 問題が出て来たというか、改めて色々話し合うことになったのは多分、何故か知らないけどセイバーがあの状況にブチ切れたからじゃないかと思うんだけど‥‥うん、割愛しよう。

 

 ま、そこで改めて俺が遠坂にくっついてロンドンへ留学することが決まって、それからは地獄の勉強会の毎日の始まりだった。

 まず最重要課題は英語。向こうで生活するというのに、英検三級程度の語学力ではお話にならない。一日の四分の一は英語の勉強に費やしたといっても過言じゃないぞ。

 これに関しては家に常駐している某英語教師がいたがためにあまり問題はなかったと言える。どちらかといえば俺の留学について納得させる方が大変で、危うく冬木という街が恐怖で染まりかけた。

 

 

『だめぇぇええーッ!! 恋人と二人っきりで外国に留学なんて、そんなエロゲのハッピーエンドみたいなベタな展開お姉ちゃんは許しませーんッ!!』

 

『あの、藤村先生、私だけじゃなくってセイバーも一緒ですから‥‥』

 

『な、ななななんと!』

 

『?』

 

『幻の許されざれしハーレムルートに突入していたとわ、遠坂さんにセイバーちゃん、なんて恐ろしい子‥‥! これは私と桜ちゃんも交えて前代未聞の5———』

 

『なに口走ろうとしてんだ! この馬鹿トラッ!』

 

『私をトラと呼ぶなぁぁあああ! それにコレだけで何言おうとしたか分かっちゃう子に、お姉ちゃんは育てた覚えはありませぇぇええーんッ!!!』

 

 

 重要な部分を抜き出すと大体こんなカンジだったと思う。本当に藤ねぇの相手だけで聖杯戦争の時よりも神経とか他にも色んなものを擦り切らせてしまった気がする。

 あの時は桜も何だか通常の三倍ぐらい怖かったし、セイバーまで藤ねぇの言葉に調子を悪くしていた。頼むから年頃の女の子の前で変なことを言わないで欲しい。あの後の鍛練で軽くオヤジと綺礼な‥‥いや綺麗な川で再会するところだったぞ。

 それに加えて、なんとか許可をもぎ取った後も自称保護者は散々愚痴を漏らし続け、不機嫌を沈めるためにかなりの金額が通帳から食費へと消えていった。

 セイバーまで不機嫌だったので事態は急遽衛宮家重役会議———俺と桜。あと何故か遠坂———が開かれるまでに深刻なものに発展し、一先ず藤村組に食費の一部を工面してもらうことで鎮静化したものだ。

 もちろん借りたお金であるわけで、藤ねぇの分を除いて全部しっかりと返済しつつある。遠坂がすぐにお金を宝石に使ってしまうから、これは裏帳簿から出しているのだ。こういうことをしなきゃならないウチの状況ってのもなぁ‥‥。

 

 もちろん問題は他にも山積みで、例えば今は紆余曲折あって結局は桜に任せた衛宮邸の管理とか、一成に卒業後の進路を聞かれてうっかり遠坂と留学すると答えてしまい、それに驚いた一成が大声で叫んでしまったがために学校中に知られてしまったり。

 何がなんだかは分からないんだけど遠坂に無理矢理腕を引っ張られて屋上へ連れて行かれ、これまた何故そこにいたのかは分からないけど美綴と対面し、アイツの前で遠坂に抱きつかれるという公開処刑を執行されてしまったり‥‥。

 今までお世話になってたバイト先に挨拶したり、それこそ建前上は推薦ということになっているから、それ相応の成績をとるためにまた地獄の猛勉強をしたり、何の因果かバレてしまった遠坂との交際をきっかけに一時期は毎日のように襲いかかってきた男子生徒を撃退したり。

 ホントに、外国に留学するっていうのがあれほど大変なんだとは夢にも思わなかったぞ。

 

 

「魔術回路は俺より十本以上多いし、魔力量も並の魔術師ぐらいはある。こんだけあってまともに使える魔術が固有結界絡みしかないなんて‥‥。ほんとに一点特化型の魔術師なんだな、お前は」

 

「そ、そうなのか? いっつも遠坂にはヘッポコヘッポコ言われてるのになぁ‥‥」

 

 

 紫遙に睨まれるのは本意じゃないんだけど、そういえば俺の知ってるまとも魔術師って遠坂と慎二とオヤジぐらいだ。いや、あと一人だけいたか。‥‥守れなかった、雪の妖精みたいな女の子が。

 魔術回路がないっていう慎二はともかく、考えてみれば三人共やたらと優秀だったっけか。遠坂は言わずもがなだし、実際あの当時は全然知らなかった魔術師としてのオヤジも、言峰や、この前に会ったロード・エルメロイによれば優秀だったらしい。

 それでも俺からすれば紫遙だって凄い魔術師に見えるけどな。色んなことできるし、戦い方も上手いし、うっかりはないし、湯水のように金を宝石に費やしたりしないし‥‥。

 

 

「遠坂嬢‥‥。恋人にここまで言われるって、一体どんな生活してるんだ‥‥?」

 

 

 一度でいいから見せてやりたい。朝から晩まで一通りビデオにでも撮って送ってやればいいんだろうか。

 ‥‥あー、でもやっぱりダメだな。あんな無防備な遠坂は俺とセイバーと、あとは桜ぐらいにしか見せちゃいけない。

 紫遙は良い奴だけど、それでも名は体を表すと言わんばかりに凜とした普段の遠坂とのギャップは、あまりに破壊力が大きすぎる。

 なんというか、不真面目に見えて実はかなり几帳面な友人の精神の安定のためにも、なにより遠坂の矜持のためにもってところか。十年以上も被ってた猫が剥がれてしまうのは遠坂だって嫌だろう。

 

 

「さて、それじゃ施術を始めるか。助手がいないけど‥‥まぁ 何とかなるだろ」

 

「え? もしかして何か不安要素でもあるのか?」

 

「うーん、お前の特殊な魔術回路がどう事前の考察に影響するか分からないから、モニターしてもらってる方が安心なんだけどな。まぁ大丈夫、イケるイケる」

 

 

 紫遙が研究してる魔眼っていうのは、要するに外付けの魔術回路なんだそうだ。

 基本的に魔術師の魔術回路の数は生涯変わらない。何らかの事故とかで欠損してしまうことはあっても、増えることってのは無いんだそうだ。

 例えば俺の魔術回路の数は、さっき紫遙が言ってた二十七本。聖杯戦争の最初の頃には二本ぐらいしか開いてなかったけど、これは開いてなかったってだけで増えたわけじゃないらしい。

 尤も遠坂に言わせれば、俺が勘違いから正しい方法だと信じてやっていた“一々魔術回路を作る”っていう鍛練の方法が関係してるかもしれないから、断言はできないんだと。

 もしこれを鍛練の方法として確立できたら一気に四冠位だとかいう話らしいけど、それでも進んで実用する魔術師はいないんじゃないかって紫遙と遠坂は二人で話していた。

 

 

「当然だろ。普通の魔術師なら魔術回路を生成するのは一生で一回。そういうモノだってのもあるけど、ありゃ何回もできるもんじゃない」

 

「そうか? 我慢の仕方だと思うけどな。慣れれば意外と大丈夫だぞ?」

 

「それはお前が異常なだけだ。ったく、普通に魔術回路を起動するだけだって痛みを伴うんだからな?

 俺が魔術回路を作ったのは物心ついてかなり経ってからぐらいだけど、本当に“死ぬのと同じくらい”キツかったんだぞ‥‥。

 それが慣れれば平気とか、マゾかお前は」

 

 

 どこか含むところがありそうな言葉遣いで呆れた視線をこちらへ寄越しながら、ドクターはまるっきりの私服で、素手を何らかの薬液を満たした盆に浸けている。

 一応室内だからいつもの無骨なミリタリージャケットは脱いで、某ファストフードのハンバーガーチェーンの店員よろしく服の袖は肘の上まで捲くり上げているわけだが、それにしても素手というのには変わりがない。

 確かに魔術師の行う施術というのが世間一般における手術のイメージで括られることがないってのは分かるんだけど、それにしても一々所作に緊張感というか、『これから手術をするんだぞー』って姿勢を感じないっていうか‥‥。

 そりゃこうして腕の先までギッチリと魔力すら感じる拘束具で縛りつけられているし、紫遙だって最初からカルテやら魔術書やら論文めいたメモやらを何度も見直してるんだけどさ。

 

 

「資料はともかく、重要な手順は全部、俺の頭の中に入ってるからな。

 それに術式は指で直接眼球に書き込むから、実は道具なんて必要ないんだよ」

 

「指で直接———って、あぁそうか、むしろそっちの方が怖くないかな‥‥?」

 

「おいおい、だからって気は抜いてくれるなよ? もし万が一にも魔眼と相性が悪くて施術中に暴れ回る魔術回路の制御に失敗したら、体中から血を噴き出すはめになるんだからな」

 

 

 こともなげに言うけど、 流石に俺だって人体炸裂なんてゴメンだ。

 そりゃ痛みとかそういうのには強いって自信はあるけど、我慢してるってのは決して痛くないわけじゃない。必要なことならちゃんと耐えるけど、俺は別に変態でもなんでもないんだからな。

 

 

「どうだかね。まぁ擬似神経じゃなくて、体の神経と一体化してるお前の魔術回路は普通に比べて頑丈だから、大丈夫だとは思うけどな」

 

「つまり、覚悟だけはしとけってことか?」

 

「だからそう言ってるだろ。ほら、魔術回路を起動しろ」

 

 

 消毒だか何だかは知らないが、しばらくチャプチャプと浸けていた両手を薬液から上げた紫遙の言葉に従って魔術回路を起動する。

 二十七個、ずらりと並んだ撃鉄を下ろすイメージ。人によって違う起動させる時のイメージは、例えば遠坂なら心臓にナイフを刺すなんて物騒なものらしいし、紫遙は錆び付いた鉄の車輪を勢いよく回転させるのだという。

 そういえば剣っていう属性を持つ俺が撃鉄なんてものをイメージするのも、どこか妙である気がしないでもない。

 思い返すと‥‥そういえば切嗣が夜中にモデルガンを弄ってるのを、すごい昔に見た覚えがあったような。ロード・エルメロイによればオヤジは銃器とかの近代兵装を使う魔術師殺しだったらしいから、多分あれって本物だったんだな。

 

 

「目を大きく開けて、動かすな。視線は真っ直ぐ、出来るだけ遠くを見ているようなカンジで」

 

「お、おう」

 

 

 がっし、と頭を両サイドから掴まれる。親指だけが、俺の前に来ていて、別に尖端恐怖症とかじゃないんだけど、本能的に恐怖を抱いてしまうのは仕方がない。

 紫遙はいつも着けている擦り切れた紫色のバンダナを外していて、あらわになった額には薄く入れ墨のようなものが見える。複雑な模様は幾何学的のようでいて、全体を見ればどこか蛇のようだ。

 まるで蛇がタマゴを抱いているかのようにとぐろを巻いている。紫遙の話によれば魔術刻印の一種だそうだけど、遠坂のは普段はちゃんと隠れてたような‥‥?

 

 

「まだ不完全だからな、仕方がない。じゃあ始めよう。目の辺りに意識を集中して、介入される魔術を感じるんだ。

 ‥‥いくぞ。Drehen(ムーブ)———」

 

 

 ゆっくりと二つの親指が視界を占領していく。指の腹には複雑な紋様が光っていて、おそらくコレが魔眼を施す術式なんだろう。

 そして意外にゆっくりと紫遙の指が俺の両眼に触れた途端、まるで針が突き込まれ、後頭部まで貫通してしまったかというくらいの激痛が俺を襲った。

 魔術回路を一々作り直していた時のものには及ばなくても、普通の人間なら意識を飛ばすのに十分過ぎるぐらいの痛み。だけど俺は紫遙に余計な心配をかけるわけにもいかないから、声を漏らさないように奥歯を噛み締めて‥‥。

 

 結局その手術は数十分も続き、終わったときの俺の眼は、アイツに少しだけ近づいたかのような鋼色を帯びていたのだった。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

「なぁルヴィア、こりゃ‥‥なんだい?」

 

「先日手に入れた聖骸布を、魔術礼装として外套に仕立てさせたものですわ。エーデルフェルト出入りの職人の作ですから、出来は私が保証致しますわよ?」

 

 

 唖然と立ち尽くす俺の前で、我が親友にして相棒とすら言ってもいいだろう金色のお嬢様は、同様に隣で言葉を失くしている遠坂嬢よりはかなり大きめな胸を反らすと誇らしげにそう言った。

 俺達が今いるのは言わずと知れたエーデルフェルト別邸。ロンドンからは幾分離れた郊外にあるのに彼女が時計塔に通えているのは、当然ながら専属の運転手がいるからである。

 律儀にも迎えを寄越してくれたがために俺達も今回はその恩恵に授かることができたのだけど、これが凄い凄い。意外に近いとはいっても郊外なればロンドンの街中程は道も舗装されてないのだけど、それでも乗っていて全く揺れを感じないのだ。

 おそらくボンネットに八割がた水を満たしたワイングラスを乗せても、一滴たりとも中身は零れないに違いない。送迎最速理論というものを現在進行形で証明されてしまった気分だった。

 

 

「糸も魔力を帯びたものを使っておりますし、袖の細工の中には私が力を込めた護りの宝石が埋め込んでありますわ。

 飾りにしてもよかったのですけど、素朴なシェロには華美な装飾は似合わないでしょうからね」

 

「いや、そうじゃなくてさ‥‥」

 

「ちょっとルヴィアゼリッタ。なんなのよ、このデザインは?」

 

 

 いつの間にか呼び方が『ミス・エーデルフェルト』から『ルヴィアゼリッタ』に変わっている遠坂嬢が、俺の言いたかったことを代弁する。

 一息入れるためのお茶に使う小さめの上品なテーブルの上に置かれている外套は、成る程、確かに上等な品だろう。材料だけでも一級の概念武装であるのに、それを更に一級の魔術具として仕立てているのだ。

 これほどのものになると、この時代に望める防具としては最上級であることに違いない。それをポンとプレゼントにしてしまえるルヴィアには今更ながら驚かされてしまう。衛宮には勿体ないとすら言える。

 勿論これからの衛宮を思えば聖骸布の外套をもってしてもまだまだ足りるかどうかと言ったところなわけだけど、それにしたってこれほどのものを貰える人徳というか、人を惹きつける力を持った衛宮には嫉妬すら浮かばないな。

 

 思うに、やはり主人公というのはやはり何処か常人とは違うのだろう。存在感というか、そういったものだ。例えば伽藍の洞の皆にも言えることだけど、そこにいるだけで輝いて見えたものだ。

 まぁ意識しなきゃ普通だけどね。こういうことばっかりは、やっぱり前いた世界の記憶が影響してるのかもしれない。

 ‥‥『前いた世界の記憶』か。驚いた。生まれ変わったわけでも、一度死んだわけでもないのに、昔の自分と今の自分は違うと俺は認識している。

 思い返せば世界からの修正(いやがらせ)も随分長いこと受けてない気がする。多分、最後に感じたのは遠坂嬢達が時計塔にやって来た時だから‥‥。もう数ヶ月以上前か。

 これも橙子姉と青子姉が色々と世話を焼いてくれたからだろう。本当に義姉達には一生頭が上がらないに違いない。只でさえ独り立ちした今になっても迷惑をかけ続けているんだから、どれだけ孝行したって貸し借りが0になることはないだろう。

 

 

「このような防御型の礼装ならば、全身を覆うのがベストなんですけど‥‥。残念ながら尺が、もとい面積が足りませんでしたの。

 シェロの背丈がこの先伸びた時のために腕周りは余裕を持って作らせましたけど、下はどうにも‥‥」

 

 

 テーブルの上の外套は二つに別れて構成されていた。脇から手首までを覆う、胴体部分がないジャケットのようなものと、腰巻きのような一枚の布だ。

 ルヴィアの言う通り、こういう礼装ならば全身を覆った方が一番好ましい。理由は言わずもがな、しかし今回は少々布地が足りず、こうなってしまったということか。

 全身を覆えないなら、分散させるしかない。もとより遠坂嬢が軽鎧を用意するという話だったから、胴体部分をオミットしたのだろう。確かに見た目はまるでコスプレのようだけど、理にかなっている。

 で、問題というのはルヴィアが用意したこの外套が、遠坂嬢や衛宮にとっては重要なとある人物が着ていたものにそっくりであるという点だ。まさしく彼の紅い弓兵の恰好。そういえば彼の外套も聖骸布であったらしいが‥‥。

 

 

「‥‥そう、やっぱりそうなっちゃうか」

 

「ミス・トオサカ?」

 

「なんでもないわ、ルヴィアゼリッタ。ちょっと昔のことを思い出しただけ」

 

 

 皮肉なことに、むしろ驚愕すべきことに、遠坂嬢が入手してきた軽鎧もまた紅い弓兵のものとそっくりであった。世界の何とかなんて便利な言葉を言い訳にしたくはないけれど、それでも運命(Fate)というか、大きな流れのようなものを感じてしまう。

 いつか衛宮はルヴィアと遠坂嬢が贈った防具を纏って戦場へ赴き、俺が授けてやった鷹の眼で敵を探し、セイバーに鍛えられた剣の腕で殺すのだろうか。それはどれほどまでに‥‥淋しいことか。

 

 未来は無数に存在して、俺達がその間を通り抜けるか、その内の一つを選んでしまうかは分からない。

 だけど無数に存在しているにも関わらず未来のバリエーションはそこまで多くないはず———あんまり違うようなら、それは既に並行世界になってしまっているからね———だし、それでいて未来の可能性には必ず引きずられるものだ。

 あのエミヤがどんな道行きを辿ったのかは分からない。そこに俺が、いや、ルヴィアや遠坂嬢がいたのかってことだって分からない。

 でも、もしアイツの側に俺達がいて、それでも止められなかったのだとしたら———?

 

 

「まぁ、いいわ。これから遠坂凜(わたし)が頑張ればいいことだもの」

 

 

 やっぱり遠坂嬢は強い。こういう時にそういう考えが出来るっていうのは、正しく彼女であるからと言うより他ないね。少し考え込んでいた俺も少し気が晴れた。

 しかし冷静に考えてみれば、いくら友人とはいえ、赤の他人のことでこうも思い悩む俺というのも今までにないことだ。元々は一般人とはいえ、あくまで俺は魔術師だ。魔術師として生き、魔術師として死ぬことを決めた神秘の行使手である。

 かなり濃い毎日ではあったけど、よくよく思えば衛宮達と知り合ってから数ヶ月、半年も経ってない。それだというのに十年来の親友であるかのように心配してしまっているのは何故だろうか。

 ‥‥まぁ、衛宮だからかな。説明になってないかもしれないけど、そうとしか言いようがない。アイツは人の中心に立つべくして立つ、いや、アイツを中心として自然と人が集まってくるような人間なんじゃないかな。

 

 

「どうかいたしまして?」

 

「な、なんでもないわ。それより蒼崎君、士郎の方は大丈夫なの?」

 

「あ、あぁ。術を施して三日になるのかな。さっき確認してきたけど、状態は安定している。一応は成功って言っても大丈夫と思うよ」

 

 

 話を逸らすべく俺の方へと水を向けた遠坂嬢に、同じく考えこんでしまっていた俺も慌てて答えを返す。

 そりゃ遠坂嬢だってルヴィアが紅い弓兵について知ってるわけはないから油断していたのかもしれないけど、それよりもむしろ俺の方が問題だ。なにしろ知っているはずがない情報について遠坂嬢と同じように考え込んでしまっていたのだからね。

 正直、むしろ知らない方が良かったのかもしれないとすら思うよ。ふとした拍子にバレてしまわないかといつもピリピリしている。俺の魔術の容量(キャパシティ)は常に少しだけではあるけど精神干渉を防ぐための意識障壁に費やされているし、結局ピリピリしてしまうことは否めない。

 今のところコレについて知っているのは俺の他に二人の義姉しかいないからいいけど‥‥。万が一バレてしまったら、ことは俺だけではなく、神秘の世界全体への悪影響となるだろう。

 思いの外、こいつは大きい爆弾だ。しかもメリットらしいメリットが全くない。当然こういう記憶がなくても魔術の行使には問題ないし、こういう記憶があってもなくても、今まで出会った人達との関係は変わりなどしないだろうからね。

 

 

「まだ施術からあんまり時間が経ってないから遠見の魔眼は試してないけど、もう少しして完全に安定したら郊外にでも出かけて試してみるといいよ。術式はしっかり定着してるし、副作用らしい副作用もない。俺も研究の役に立って満足だよ」

 

 

 衛宮に施した手術は結構な荒行事だったから、この三日はいつぞやの式よろしく両目に包帯を巻いて暮らしてもらっていた。その分授業にも出られなかったわけだけど、こちらが持ちかけた手術であるのだから俺がしっかりとフォローしておくことになっている。

 魔眼とは、一工程(シングルアクション)で発動できる魔術だ。今まで衛宮は『魔力を流す』→『強化の魔術を発動させる』→『視力が強化される』という手順を踏んでいたけど、これからは魔力を通すだけで視力が強化されることになる。

 今は『遠視(千里眼・偽)』だけしか使えないけど、この調子なら霊視や透視も会得できるかもしれないな。

 まぁその分そちらにキャパシティを割くことになってしまうから衛宮にはお勧めできないけど。

 

 

「そう、ありがとうね、蒼崎君」

 

「等価交換は成立しているよ、遠坂嬢。礼はいらない」

 

「では後はこのプレゼントを何時どうやってシェロに渡すか、ですわね‥‥」

 

 

 綺麗に笑う遠坂嬢にも普段通りに応対することができるようになっていた。人間は成長する生き物です。美人も見慣れれば‥‥まぁそれはないけどね。

 一方のルヴィアは執事のオーギュスト氏に聖骸布の外套を一旦仕舞わせると、一緒に入って来たメイドさんが持ってきてくれた紅茶を口にして呟いた。

 確かにプレゼントっていうのは渡すタイミングが非常に大事になってくる。もちろんそういうことは俺じゃなくて彼女達と衛宮との間の話なわけだけど、何かの記念日でも何でもないこの時期に唐突に渡すには、少々価値が高すぎるものであることには違いない。

 

 さて、一体どういう風に渡せばいいのかね。俺は今回お役ご免みたいだから彼女達の好きなようにすればいいと思うけど、黙って投げてしまうわけにもいかないから受け取った紅茶を啜りながら考えてみた。

 例えば以前のように酒宴を開いてみる。例えば何かのお祝いに無理矢理かこつけてみる。

 ‥‥うーん、どれもいまいちだなぁ。酒の勢いでってのは悪くない案だと思うけど、渡す前に衛宮が———ついでに俺も———潰れてしまいそうだ。前回のことを思い出すと‥‥ガタガタ。

 

 

「‥‥それについてなんだけどね、ちょっと今回は私に任せてもらえないかしら?」

 

「え?」

 

「ちょっとミス・トオサカ。まさか私達をないがしろにするつもりですの?」

 

 

 真剣な顔をしてそう切り出した遠坂嬢に、それでもルヴィアは食ってかかる。ちなみにこの場合の“ないがしろ”とは“友達である自分をないがしろに”とかいう意味ではない。もとより今は衛宮のこともあって冷戦状態だけど、そもそもこの二人の仲は未だに悪いままだ。

 そんなルヴィアにいつものように反撃するでもなく、真剣に頼み込んでいる様子の遠坂嬢に何かを感じて、俺はまるでアームレスリングの審判のように机の上に身を乗り出して友人を止めた。

 

 

「まぁまぁルヴィア、少し落ち着いて。‥‥遠坂嬢、君がわざわざこういうことを言い出すってことは、何か事情でもあるんだろう?」

 

「‥‥えぇ。でもごめんなさい、これは貴方達には話せないことなの」

 

 

 ライバル相手なら絶対に見せないだろう申し訳なさそうな表情に何かを感じ取ったのか、ルヴィアも一瞬、僅かにだけ上げた血圧を下げて華奢な椅子へと腰を下ろした。

 ‥‥俺達には話せないこと? ルヴィアはともかく俺は奴の異常な投影魔術どころか、固有結界のことについてまで知ってしまっている。

 となると‥‥成る程、必然的に答えは紅い弓兵のところへと行き着く。さっきの呟きから察するに、この礼装をダシにしてお説教か、泣き落としでもするつもりなんだろう。

 

 

「そのような答えで私に納得しろとでも?」

 

「悪いわね、ルヴィアゼリッタ。でもこればっかりは譲れないのよ」

 

「‥‥‥」

 

「ルヴィア‥‥?」

 

 

 一旦は退いたが、それでもルヴィアは釈然としない顔で腕組みをしたままだ。

 彼女ははっきりしないことや理不尽なことを嫌う。元来からして清廉潔癖、巨大な自尊心は自らを自らたらしめんと一分の隙もなく己を縛り律するもので、他人にも厳しいが自分には更に厳しいという完全無欠のお嬢様である。

 しかしそれも出会った当初の彼女の話。嫌な言い方になるが、彼女だけでなく俺ですらも、ココに来るまでは箱庭の中で育てられていたのだと実感させられてしまう程に、時計塔の現実は厳しかった。

 そんな中で潔癖症のルヴィアと世間知らずの俺は様々なことを実地で学び、この人外魔境に順応していった。時には痛い目にめ遭ったが、今では彼女も人間関係における機微などを察することができるし、俺も持っていた甘さを拭うに至る。

 だからこそルヴィアにも、遠坂嬢の言わんとしたいことを理解したのだろう。かなり不機嫌に眉間に皺を寄せはしたが、大きな溜息をついてから頷いた。

 

 

「‥‥はぁ。そういえば私も今は少々多忙でしたわね、貴女と違って。いいでしょう、シェロにコレをお渡しするのは貴女にお任せいたしますわ」

 

「一々刺があるわね‥‥。まぁ礼は言っておくわ、ありがとう。埋め合わせはいつか必ずするから」

 

「セイバーの件も含めて、借りっぱなしだというのをお忘れなく、ミス・トオサカ」

 

 

 決して頭こそ下げはしなかったが、遠坂嬢は明らかな謝意を言葉に含ませてルヴィアと睨み合う。‥‥あれはスキンシップの一種だな。彼女達も俺と同様会って一年も経ってないわけだが、完璧に歯車が噛み合っている。

 仲が悪いのは確かなんだけど、結局は似た者同士だから気は合うんだと思うよ。今でこそ磁石の同極みたいに反発してるけど、これが一度触れ合えば無二の親友になるんじゃないかな。

 まぁ特に危惧してるのは、同調するにしても反発するにしても気が合ってることには違いない———本人達は決して認めようとはしないだろうけど———から、その分この二人が本気で暴れ出したら、加速度的に周りの被害が大きくなっていくだろうってことだけど‥‥。

 まぁ、いざとなったら頑丈な衛宮に生贄になってもらえばいいか。残念ながら俺じゃ二人を止められない。ルヴィア単品ならどうにかなるんだけどね。

 

 

「じゃあ本格的に予定が決まったら連絡するわ。家に持ち帰るわけにもいかないから、それまでコッチで預かってて頂戴」

 

「不本意ですけど、仕方ありませんわね。あんな貧相な家ではコレを仕舞っておくスペースもないでしょうし」

 

「士郎に見つかるからに決まってるでしょ! 大体なんでアンタが私の家を知ってるのよ!」

 

「あら、貴女が私の屋敷を知っているのに、私が貴女の家を知らないなんて不公平ではありませんこと? 先日シェロを迎えに行った時に、少しだけ中でお茶をご馳走して頂きましたの」

 

「わざわざ使用人を迎えに行ったのかい、君は‥‥」

 

 

 遠坂嬢には気の毒なことだけど、おそらく倫敦遠坂邸はご近所の噂話の中心になってしまっていることだろう。

 ただでさえ東西それぞれの美少女二人に、パッと見では何の取り柄も見当たらない日本人の少年が一人の三人暮らし。俺が近所に住んでいたら間違いなく噂する。顔立ちはおろか人種も髪の色も違うから血縁関係は見られないし、正直ありえない組み合わせだ。

 そこにこれまた欧州風の、しかも明らかに貴族にしか見えないお嬢様が加わったら‥‥奥様方の歯止めが効かなくなるだろうことは予想に難くない。

 

 

「士郎の奴、私に断ってルヴィアゼリッタを家に上げるなんて‥‥。ていうか魔術師を家に上げるなんて、また一から常識を叩き込んでやらなきゃ‥‥!」

 

「誓って、何もしてませんわよ?」

 

「そういう問題じゃないだろう‥‥」

 

 

 衛宮の雰囲気に当てられて“うっかり”他所の魔術師の家に足を踏み入れてしまったルヴィアも大問題だけど、やっぱり衛宮はどうにかしなきゃいけないなぁ。

 これで彼女だって俺の部屋に無断で入って来たことはない———かなり厳重だとはいえ、彼女ぐらいの実力があれば俺が施した日常的な施錠なんて破るのは簡単なのだ———のだから、衛宮が周りに及ぼす影響ってのは凄まじい。

 魔術師ってのは死んでも“そう在る”ことを決めた人種だから大丈夫だとは思うけど‥‥。これもある意味では良い兆候と言えなくもないのだろうか。

 それ以前の問題として、俺に衛宮をどうこう言う資格もないのだけれど。

 

 また口論を始めた二人を横目に、付き合っていられないと戸棚に並べられた簡単な小説を手にとって、俺は部屋の隅っこへと避難する。

 偶然なのか必然なのか、一頁目を何気なく開いて目を落とした題名は、友人が持っているには何とも似つかわしくない、著名な日本人作家が書いた、友人達との複雑な恋模様を描いた作品であった。

 

 

 

 

 

 44th act Fin.

 

 

 


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