UBW~倫敦魔術綺譚 (未改訂版)   作:冬霞@ハーメルン

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第四十六話 『焔の妹の画策』

 

 

 side Azaka Kokuto

 

 

 

「‥‥ふぅ、とりあえず暫くはココで待機かしらね」

 

「エコノミークラスって、本当に貨物なんだ‥‥」

 

 

 大英帝国の主都、倫敦の一角にある安ホテル。私ともう一人の同行者はその中でも出来る限り上等の部屋を確保して、十時間以上に及ぶ長い空の旅の疲れを癒している。

 安いホテルといっても、その中では一等の部屋だからか設備はほどほどに充実していて、どこにでもあるらしいセルフの紅茶セットで紅茶を淹れた私は一息でそれを飲み干した。

 ‥‥うん、悪くない。やっぱりティーバックなんて無粋なものがないのがイギリスらしいわね。

 礼園にいたときには度々同級生からお茶会に誘われたけど、伽藍の洞では基本的にコーヒーが殆どだ。

 特に最近は時計塔に進学するための準備やら何やらで忙しかったから同級生や下級生との付き合いも一時的に疎遠になってたし、本当に久しぶりの紅茶だった。

 

 

「私が思うに、橙子師は絶対それなりにお金を持っていてしかるべきだと思うのよね。幹也だって頑張って仕事をとってきてるわけだし、もうちょっとぐらい羽振りが‥‥いえ、まずは幹也に給料を支払うべきなんじゃないかしら」

 

「幹也さん、頑張ってますものね」

 

「この前もまた給料出なかったからって、日の丸弁当を事務所に持ってきてたのよ?! しかもソレを口実に式はまた食事を作るからって幹也のアパートに入り浸るし‥‥! どうしてくれようかしら、あの女」

 

「もう婚約者なんだから自然なことじゃないかな。‥‥それに鮮花だってお金をケチってたんだから、橙子先生のことは言えないと思うけど‥‥?」

 

 

 それは言われると耳が痛いところではあるけれど、仕方がないことではあったのだ。

 だって私の倫敦留学を頑固に止めさせようとする両親を何とか説得できたのはいいけれど、それで渡航費まで貰おうなんてのは些か虫が良すぎるというものだろう。

 叔父に強請るという手もあったけれど、なんというか、どうにもそれは私の矜恃に反する。

 今まで散々一方的に、ついでに言えば私の個人的な都合と我が儘で世話になっておいてなんだけど、やっぱりそういうところは今更ながらも筋を通しておきたいところだ。

 そういうわけでイギリスへの空の旅にはエコノミークラスの飛行機を用意したんだけど‥‥やっぱりアレはダメね、同行人の言う通り、正しく貨物って形容が正しいわ。

 

 

「座ってるのに疲れるって、普通に考えればおかしなことよね。なんだか体中の骨がゴキゴキって言ってるわ」

 

「機内食が美味しかったのが唯一の慰め、かな。あぁ、久しぶりに先輩の料理が食べたい‥‥」

 

 

 よくよく考えれば私って、自覚はなかったけどお嬢様って言われてもおかしくない育ち方していたのかしら。

 ‥‥確かに礼園に通っているっていうだけで資格はあるわね。

 でも普段の物腰———自分が極大の猫を被っているという自覚はある。なかったら惨めなだけだろう———だけでいうならば、少々庶民的で素朴で親しみやすい雰囲気があるとはいえ、今もベッドに腰掛けて窓の外の曇った空を眺めている同行人の方が遙かにそれらしいとは思う。

 なにせ物腰は優しく、口調は穏やかで、その姿勢は慈愛に満ちあふれているのだ。

 言ったら可愛く怒られるとは思うけど、お母さんという雰囲気が正しいのか。一昔以上前の言い方になるけれど、将来は間違いなく良いお嫁さんになりそうだ。

 決して憧れてるわけじゃないけど、そういうのは私に無い部分だから純粋に羨ましいという気分では———ってアレ、これも憧れてるっていうのかしら?

 まぁそういう風になろうとは思ってないから良いわよね。いや、この子は本当に良い子なんだけど。

 

 

「それにしても腹立つのは紫遙よ! 今日コッチに着くって手紙に書いておいたのに、全く何の迎えも寄越さないなんて‥‥!」

 

「まぁまぁ、紫遙さんもきっと何か用事があったんですよ。家の留守番電話に伝言は入れておいたんでしょう?」

 

「そりゃね。でも不精者のアイツのことだから、何時それに気づくかわかったもんじゃないわ!」

 

 

 今回私が一人の同行人を連れて倫敦までやって来た理由とは、ずばり来年度からめでたく入学が決まった時計塔の下見という点にある。

 確かに橙子師は超一流の魔術師ではあるけど、やはり専門機関で学ぶのとは話が違う。

 特に私のように歴史のある家系の出身でないどころか、魔術回路を持たず、どちらかといえば異能者と言った方が良いエセ魔術使いなら尚更だ。

 そういった人間が裏の世界で生計を立てていくつもりなら、早い段階からソチラの世界の有力者と渡りをつけておくことが必須条件であると言ってもいいかもしれない。

 『自分の腕一つで成り上がる』という言葉の響きはひどく恰好いいけど、実際にそうやっていける人間というのはごく僅か。

 あの橙子師ですら、最初は時計塔で修業していたのだ。つまるところは、いわんや私をや、といったところだろうか。

 

 

「きっと橙子師の妹さんに連れ回されてるか、研究室に篭りっきりになってるんじゃないかしら。一度何かを手に付けると周りが目に入らなくなるものね、アイツは」

 

「それって魔術師としては悪いことじゃないと思うけど?」

 

「周りが迷惑するのよ! 周りが! そういうところまで橙子師に似なくても良いじゃない?!」

 

 

 執行を凍結されている封印指定の魔術師が推薦人とはいえ入学に関して言えば真っ当な正攻法だったから、本来なら普通に時計塔の窓口に問い合わせて見学とかを申し込んでも良かったんだけど、それには一つだけ問題があった。

 私と同じく来年度からの入学を予定している同行人、間桐桜の存在だ。

 

 元々かなり歪とはいえ一角の名家によって魔術の教育を施された彼女は、橙子師によれば魔術師としてはかなり大成できる器の持ち主らしい。

 数だけを比べるならば魔術回路は橙子師の倍近いし、保有する属性も希少な虚数属性。魔力量も並の魔術師とは比べものにならないんだとか。

 私もある程度は知っている色々な諸事情でかなり偏った魔術の習得の仕方だけど、その辺りを中心に橙子師に指導されたこともあって、今では時計塔に入学するコトに不足はない。

 もとより虚数属性なんて稀少な属性を指導するには橙子師でも専門分野ではないために役者不足で、どちらにしても時計塔に入学する必要はあったそうだ。

 

 

「困ったわね‥‥。紫遙がいないと迂闊に時計塔まで行けないわ」

 

「すいません、私が迷惑をかけちゃって‥‥」

 

「何度も言ってるけど、気にすることなんてないわよ。折角できた妹弟子の世話ぐらい焼かせてちょうだい」

 

 

 問題は彼女に先だって倫敦にやってきているという先輩———私は心の中で愚鈍と呼んでいる———なる人物、衛宮士郎の存在にあった。

 桜が言うには先輩という人物は、彼女にとって何よりも、あろうことか直接的に助けたことになるだろう私や式や紫遙よりも、自分にとって大恩ある人物なのだとか。

 その先輩について話を向ければ嬉々として先輩の良いところを延々と語り出し、止まらない。藤乃も幹也が藤乃を助けた時のことを長々と話し続ける癖があるから、あの二人ってば本当に気が合うわね。

 とにかく神様みたいに信望しているといったら‥‥流石に過言だろうけど、そのぐらい桜にとって大事名人物なのだ。

 

 

「時計塔も随分と広いらしいし、あまり神経質になる必要はないと思うけど‥‥」

 

「本当にすいません‥‥」

 

「だから謝る必要はないって言ってるでしょ? 貴女はまずその自分を卑下する癖から直さないと、一流の魔術師にはなれないわよ?」

 

 

 だけど桜にとって不運なのか必然なのか、その先輩は桜が魔術師であることを知らないらしい。

 話によれば彼は魔術師としては半人前で当時の桜にも劣るというヘッポコぶり。最初こそ衛宮の家の監視という命を外道の祖父から受けて入りこんだ桜からしてみれば、負い目のようなものもあったのだろう。

 とにかく桜としては敬愛し、あまつさせ恋慕の情すら抱いている先輩を長年にわたって騙し続けていたということは変わらない。

 先輩というのが桜のことを家族扱いしていたということもあり、出来れば今回の訪英では———あくまで下見であり、すぐに帰ってしまうということもあることだし———先輩と鉢合わせしたくないというのが彼女の主張だった。

 

 従って前々から倫敦に居て、先輩という人物とも知り合いであるという紫遙に連絡をとったのだ。

 事前に手紙を出し、訪英する日時を知らせ、到着した次の瞬間には電話で連絡をとった。

 生憎と携帯の番号を知らなかったから家の電話にかけたんだけど、生憎とこれが繋がったのは留守電で、仕方が無しに応答を待って私達はホテルにたたずんでいる。

 本来なら先輩‥‥面倒だしややこしいので衛宮さんと言うけど、この衛宮さんと鉢合わせしないように兄弟子に手はずを整えてもらってから時計塔の見学をして、適当に倫敦を観光してから長居せずに帰る予定だったのだ。

 何しろ倫敦の、どこに衛宮さん達が住んでいるかも分からないから街も迂闊に出歩けない。

 まぁ桜は私に迷惑をかけていると思って落ち込んでるみたいだけど、この程度だったら姉弟子の甲斐性だから気にすることなんてないのにね。

 

 

「それよりも問題は‥‥」

 

「えぇ、盗られてしまった鞄ですね‥‥」

 

 

 もう一つ、私達が倫敦に到着してから抱え込むことになってしまった問題があった。

 飛行機の時間の調整を完全にうっかり間違えてしまった私達がヒースロー空港に到着したのは日が沈んで随分経ってから。

 生憎とタクシーも捕まらず、魔術師であることもあって多少は増長していたのだろう、私達は途中までバスを使い、そこからは徒歩でホテルに向かうことにした。

 そこまで距離があったわけじゃないし、何か不埒な輩が絡んできたら消し炭に‥‥まぁ、そういうわけにもいかないから大火傷ぐらいで済ますつもりだったけど、とにかく平気だろうと高をくくったわけだ。

 

 不幸なことに、むしろツケが回ったというべきか、私達は痴漢や変質者の類には襲われなかったけど、その代わりに疾風のように背後から走り寄ってきたひったくりに桜の手提げ鞄を盗られてしまった。

 魔術を使う暇もなく、すぐに路地裏に逃げ込んでしまったがために追うことは不可能。

 別段貴重品を入れていたわけではなかったけど、大事な鞄だ。アレを取り戻すことも、私達にとって急務だった。

 

 

「どうしようかしらね‥‥。警察に届け出てもいいんだけど、そこまで長く滞在してるわけじゃないから面倒だわ‥‥」

 

「伽藍の洞の住所を教えるわけにもいきませんし、手続きも厄介ですよね‥‥」

 

 

 私達が日常の比重の大半を傾けている師匠の住居、伽藍の洞。

 封印指定の凄腕魔術師である蒼崎橙子によって手がけられた結界は其処に用事がある者以外の注意を建物から逸らす。

 例を挙げれば、近所の悪ガキが幽霊マンションの探検をしようとか思っても、実際にそれを実行しようとは思わないというわけだ。

 勿論水道やガスの料金などの徴収には来るんだけどね。この辺りの線引きの巧みさは流石は橙子師だといったところかもしれないけど、とにかく魔術師の住居の所在をバラすというのは中々にマズイことだと思う。

 

 

「しょうがないわね、こうなったら答えは一つだわ」

 

「一つ‥‥?」

 

「えぇ。私達でひっ捕まえて、盗まれたものを取り戻すっ!」

 

「えぇーっ?!」

 

 

 私が握りしめた拳を天へと突き出すと、向かいのベッドに座っていた桜が大袈裟に驚いた。

 その可愛らしい庇護欲をそそる姿からは、彼女が一度スイッチが入れば側に居るのが怖くなってしまう程の真っ黒な存在と化してしまうことなんか想像できない。

 

 

「だって仕方がないじゃない、いくら大事なものが入ってなかったっていっても、魔術師の所有物をこそ泥なんかに奪われたのよ? これは矜恃の問題だわ」

 

「確かにそうかもしれないけど‥‥。危なくないですか? ホラ、ここは魔術協会のお膝元ですし」

 

 

 桜の言いたいことは分かる。魔術協会の息がくまなくかかっているだろう倫敦の街で魔術なんぞ使っては、最悪目を付けられて処分されてしまう怖れもある。

 たしかに協会は魔術師にとっては公的機関と言っても良いところかもしれないけれど、その実態は魔術師の本質と何ら変わらない。

 懲罰機関という表現が適切かどうかは分からないけど、裏の世界の調和を乱すものには一切の容赦がないのだ。

 

 そもそもからして千年以上の名家においても個人主義のものが多い裏の世界では絶対的な権力を持っているとは言い難いけど、それでも一番に巨大な組織であることは間違いない。

 私達みたいな弱小魔術使いなら、顔色を伺っておくに越したことはないだろう。

 

 

「そうね、やるしてもまずはコッソリ時計塔まで行って、私達っていう魔術師が到着したことを知らせる必要があるかしら」

 

「やるってことは、決定事項なんですね‥‥」

 

「あたりまえよ。魔術師が普通の人間に手玉に取られて黙ってるわけにはいかないわ」

 

 

 事前に連絡さえしておけば、私達が魔術を行使したのが見つかっても説明がつく。神秘の秘匿さえ守っていれば問答無用で拘束なんてことはないだろう。

 何せ魔術師という生き物が第一に考えるのは神秘の漏洩を防ぐこと。秩序を守ることを旨とする魔術協会であっても、神秘の秘匿さえしっかりと守られていれば、魔術師がいくら一般人を実験やら何やらのために犠牲にしようと問題ないというスタンスらしい。

 

 私としてはそういう外道な行いは断固として拒否するつもりだけど、まぁそういう連中がいるっていうことだけはしっかりと頭に入れておく必要があるかしらね。

 ‥‥最近は日常になってたから忘れつつあったけど、この子の家もそういう魔術師だったらしいし。

 

 

「私の魔術は穏便に済ませることができるような器用なものじゃないから、私が囮になって、貴女が捕まえる。これでいいわね?」

 

「いいけど‥‥。はぁ、こうなった鮮花に何を言っても無駄かな‥‥」

 

 

 何を失礼な。

 確かに私は『ガンガンいこうぜ!』っていう部分が多いのは認めるけど、何より桜の後ろ向きで自嘲的な姿勢の方が問題でしょうが。

 きっと今だって私が何か言い出さなかったら、どうせ私のバッグですし、とでも言って無かったことにしちゃうに決まってるわ。

 本当に、そういうところさえ直してもっと積極的になれば、衛宮さんだって放ってはおかないと思うけど‥‥。

 どうかしら、幹也は決して愚鈍な男じゃないけど、それでも幹也以上っていうなら不十分かしら。

 

 何を落ち込んだ顔してるのよ! いい、桜、女は度胸、そして押せ押せよ!

 ウジウジしたってね、事態は停滞こそすれ絶対に前進はしないんだから!

 

 

 

 

 

 ◆

  

 

 

 

 

「もうまったくワケが解らない。解る奴がいたらここに来い。そして俺に説明してくれないか?」

 

「だから今から説明してもらうんでしょ、蒼崎君?」

 

「説明するのは俺なのかい?!」

 

「当然でしょ。私達こそワケが解らなくて困ってるんだから」

 

 

 ビクリ、と遠坂嬢達が退いて無理矢理詰めたソファーに腰掛けながら、俺は体を驚いた子犬のようにびくつかせた。

 目の前に座った妹弟子ズからは遠坂嬢達とは別の怪訝な視線を向けられているし、言わずもがなの衛宮は眉間にマリアナ海溝ぐらいの皺を刻んで腕を組んでいる。

 コイツに関して言えば、怒っているというわけではなさそうだ。どちらかというと、俺と同様にワケが分からず半ばパニックになり、それを表現する姿勢がアレだということだろう。

 自分の信念について以外はダメダメと言い切られてしまうぐらいのヘタレのくせに、今の姿勢には妙な迫力さえ感じる‥‥気がしたり、しなかったり。

 

 

「ていうか、俺達が来る前までに何を話していたのか聞きたいんだけど?」

 

「まだ何も話してないわよ。昨日の夜に士郎が二人に会って、もう夜も遅いから詳しい話はまた後日って、ついさっき来たばかりなのよ」

 

「それじゃあまだ詳しい自己紹介も済んでない段階って考えてもいいのかい?」

 

「まぁそれで問題ないと思うわ」

 

 

 何故この燃える妹はこんなに偉そうなのかと頭の片隅で思いつつも、衛宮がいれた紅茶を啜る。

 少し癖のあるアールグレイは香りが強く、日本で一般的なセイロンに慣れた舌と鼻には心地よい。

 その一方で事態を全く理解できていないらしいルヴィアも含めて全員の視線は俺へと集中しており、正直に言えば痛いぐらいだ。

 いや、別に説明することについて吝かではないんだけどさ、どうにも状況的に口を開きにくいっていうか‥‥。

 しかし俺自身としても事態を把握していない部分が多い。 

 とにかく今は少しでも進展させて何が起こっているのか確かめようと、仕方なく俺は言葉を紡いだ。

 

 

「まず、簡単に紹介させてもらうよ。こちらは俺の義姉である蒼崎橙子の弟子、つまるところ俺の妹弟子にあたる魔術師で、黒桐鮮花だ」

 

「初めまして、黒桐鮮花よ。貴方達のことはザッとだけど紫遙から聞いてるわ」

 

「それで‥‥って、桜嬢については紹介する必要ないよね? ていうか俺も何で二人がココにいるのか分からないんだけど、その辺りから説明してくれないか?」

 

 

 実際の話、こと桜嬢に関して言えば俺はアレから殆どノータッチだ。

 橙子姉の連絡先を渡して、後に入った連絡によれば無事に何事もなく弟子に収まったらしいけど‥‥。

 どのような修業をしていたかは言うに及ばず、どういう付き合い方をしていたかだって知りはしない。

 橙子姉とはあれから頻繁に連絡をとって遠坂嬢への言い訳の打ち合わせをしてたから、その辺りはちゃんと鮮花に伝わっていたと信じたい。

 なにより、そうじゃなかったら俺が遠坂嬢に殴っ血killれてしまうことになるもんなぁ‥‥。

 

 

「まぁ簡単に用件だけ言うとね、来年度から私も時計塔に入学することになったから下見に来たってだけなのよ」

 

「なんだ、遂にご両親からOK貰えたんだ」

 

「くれなかったら幹也みたいに家出するって説得したわ」

 

「それじゃ脅しだよ‥‥」

 

 

 ご存知の通り、幹也さんは大学を中退して橙子姉のところに押しかけて来ちゃったから、ご両親からは半ば勘当扱いになっているらしい。

 今時普通の家で勘当っていうのも尋常じゃないけど、実際は殆ど喧嘩別れで幹也さんが飛び出して来たそうで、それを聞く度に『この人がそんなことするんだなぁ‥‥』と驚いたものだ。

 まぁ実際には式との件があるわけだから想像できないことでもないはずなんだけど、それでもやっぱり驚いてしまうぐらい、俺にとっての普段の幹也さんは穏やかで、それでいながら頼もしい年上のお兄さんだった。 それでも最近やっと、式との結婚を決めたこともあって実家の方にも挨拶に行ったらしい。

 長い間連絡先をとっていなかった息子が隻眼になり、走るのが難しい体になり、あまつさえ嫁まで連れて来た時のご両親の心労は察するに余りある。

 加えて年頃の娘まで兄の真似をするかのように家を出て行ってしまってはたまらない、そう考えたのではないだろうか。

 実際やられる方の身になってみれば卒倒してもおかしくないぐらいの衝撃だ。

 どちらにしたって日本からいなくなってしまうだろうことが明白な以上、泣き寝入りしてしまいたいぐらい苦渋の決断だったのではないかと推察される。

 

 

「それで、桜も同じ年度に入学する予定だからって一緒にね。紫遙にはコッチに来る日を手紙で報せてたでしょ?」

 

「ん? そんなの全然届いてないぞ?」

 

「嘘よ、ちゃんと住所も間違いなく書いたもの。昨日だって到着してから家に電話したわ」

 

「家に‥‥、あぁ、成る程、ダミーのアパートの方に届いたんだな」

 

 

 俺は基本的に時計塔の地下にある蒼崎の工房で生活しているわけだけど、当然ながら別にアパートを契約している。

 戸籍は橙子姉が擬装してくれたから学校に行くこともできたけど、引っ越すとなるとまた色々と別の問題が発生するのだ。

 その最たるものが役所に届ける引越し先の住所。馬鹿正直に時計塔の住所を記入するわけにはいかない。何せ時計塔の住所には、世界に冠たる大英博物館が陣取っているのだから。

 

 こちらにいる間、俺がまだ———外見上は———非就業年齢の間は橙子姉が手続きをやってくれていたけど、多少なりとも大人になってしまえば義姉の世話ばかりになっているわけにもいかない。

 もちろん魔法使いと封印指定を義姉に持つとはいえ一介の学生に魔術協会がそこまで丁寧に便宜をはかってくれるはずもない。

 仕方がないので下見の際に適当なアパートを見つけて、ダミーの住所として借り受けておいたのだ。

 もちろん生活自体は工房で過ごしているわけだから、ここ暫く‥‥半年ぐらいは放ったらかしになっている。

 つまるところアパートの方に手紙を送ったって電話をかけたって、誰も受け取りはしないのだ。

 

 

「そういうのは時計塔の方を経由してもらわなきゃなぁ‥‥。悪名高い蒼崎の手紙なら誰も盗み読んだりしないわけだし」

 

「普通はそこまで考えたりしないわよ! ていうか橙子師、知ってたんなら教えてくれたっていいじゃない‥‥?!」

 

 

 面倒臭かったんだろうな、多分。

 普段あんなに他人に蘊蓄垂れたり解説したりするのが好きなくせに、瑣末なことは当然互いに知っているはずだって思ってるような性格だから。

 幹也さんも請け負った仕事の期日をその日に告げられて、しかも作品は出来てないとかの状況を何回か経験して懲りたらしいし。

 もっとも橙子姉に言わせれば、そうやって溜息をつく俺の方にも同じようなところがあるらしいけど、やっばり水は血よりも濃いってことなんだろうか。

 

 

「ホント、いらないところばっかりそっくりよね、アンタ達」

 

「余計なお世話だよ。君こそ頑固なところは幹也さんそっくりだ」

 

「‥‥まぁそっちの事情は大体わかったけど、こっちの問題は———」

 

 

 と、そこまで聞いて呆れたのかどうなのか頭を振った遠坂嬢が視線を鮮花の隣に座る桜嬢へと移す。

 視線を向けられた菫色の髪を持つ少女はビクリと身を震わせたが、気丈にも俯かずに、顔はしっかりと前に向けた。

 部屋中の六人から注視されているのは彼女にはきつかろうに、瞳は揺らぎながらも前に会った時よりも頼もしげだ。

 

 

「‥‥隠していてすいません、先輩。私も‥‥魔術師でした」

 

「そ、そうだったのか‥‥。昨日はすぐに帰っちゃったから、今更かもしれないけど、やっぱり少し驚いたよ‥‥」

 

 

 流石に衛宮と正対してはいられないのか、少しだけ俯きがちに口を開いた桜嬢に、衛宮は決まりの悪そうな顔で、それでいて何故か落ち込んだ様子の桜嬢が気にしないようにするためか、照れたように頭の後ろを掻いた。

 遠坂嬢は衛宮と桜嬢が話しているからか恋人の隣で腕組みをして二人を見つめていて、その様子は威圧的でありながら、どこか包容力を感じさせる。

 そういえば俺も今更ながら思い出したけど、遠坂嬢と桜嬢は実の姉妹だったっけ。

 きっと遠坂嬢も桜嬢が魔術師をやっているってことは理解してたと思うけど、こうして目の前に出てきたっていうのは胸中複雑な思いなのかもしれない。

 確か遠坂の家と間桐の家は互いに不干渉を約束していたんだったかな? それがあるなら、恐らくは魔術師としてのリングに桜嬢が上がってくるのは初めてなんだろう。

 

 ぶっちゃけた話、俺の周りの兄妹姉妹ってのはどいつもこいつもクセモノ揃いだ。

 筆頭からして橙子姉と青子姉だし、幹也さんと鮮花にしても大概に濃い関係だよね。まぁアレは一方的なものなんだけど。

 だからこそ義姉からはおそらく愛されていると断言できる俺としては、姉としての遠坂嬢が桜嬢にどいう感情を持っているかについて、希望的観測しかすることができない。

 HFルートとかアニメとかを思い返せばウチの二人みたいに冷戦状態にあってなお俺の見えないところでは殺伐としているような関係ではないと思うけど‥‥。

 

 

「もしかして、俺が魔術師だってのも‥‥?」

 

「‥‥はい。前に土蔵で鍛練しているところを‥‥」

 

「あ、ぁ、あの間違ってたヤツか」

 

「すいません、もしかしたら先輩が死ぬかもしれなかったのに、止めなくて‥‥」

 

 

 桜嬢と衛宮以外の全員が黙って二人の行方を見守っている。この状況に、口を出せないのだ。

 遠坂嬢とセイバーは桜嬢と衛宮の関係というものを知っているからそれなりに複雑な表情で、俺とルヴィアは正直な話、わけがわからないのでそういう顔で。

 一方の鮮花は桜嬢が橙子姉に弟子入りしてからどれくらい桜嬢と親しくなっているのかはわからないけど、大概の事情を———ともすれば遠坂嬢よりも———把握しているらしく、妹弟子を励ましているかのようだ。

 

 いやね、確かに俺には原作の知識っていう大きなものがあるけれど、正直言ってもう大分摩耗しつつあるんだ。

 そうでなくとも世界の一員として混ざるために出来る限り思い出さないように努めていたから、おそらく橙子姉と青子姉の方がよく覚えているだろう。

 まぁ実際問題として、目の前で現実として行われている日常とゲームの中とが全く噛み合わないということもある。

 例えば、全く意味は違うんだけど、近いところでアニメを実写化したドラマなんかを思い出してみてほしい。

 全然似てないだろ? つまりはそういうこと。

 ただでさえ“ゲームの中の登場人物”としてではなくて“現実に当たり前のように存在する友人”として付き合っているんだから当然だ。

 

 

「先輩、実は———」

 

「まぁ落ち着きなさいよ桜。倫敦にはそのために来たわけじゃないでしょ?」

 

「黒桐さん」

 

「こんな人が大勢いる場でやる話でもないわ。後にしなさい」

 

 

 と、顔を思い切りよく上げて何かを言おうとした桜嬢を鮮花が制した。

 思わず黙って聞いていてしまっていたけど、確かに部外者が何人もいるところでする話じゃない。

 いくら原作というパーソナルデータを知っている俺とて細かいところまでは何がなんだかさっぱりだし、ルヴィアなんかは居心地が悪いだろう。

 

 

「そういえば桜は何時どこで紫遙と知り合ったんだ? 確か紫遙って、もう二年近く倫敦にいるんだよな?」

 

「紫遙さんとは、修学旅行で東京に行った時にお会いしました。それから連絡はあまりとってなかったんですけど、実は先日、私の師であった祖父が逝去しまして、代わりの師として橙子先生を紹介してもらったんです」

 

「あ、あぁそうだよ。衛宮と知り合いだったなんて気づかなくてね、びっくりしたさ」

 

 

 衛宮の疑問に桜嬢が答え、俺も適当に相づちを打つ。成る程、そういうことにしたのか。

 そういえば前に衛宮から聞いたけど、確か穂群原学園の修学旅行の行き先は東京だって話だったな。

 二年生の時に修学旅行があると考えても、去年の夏前。確かにその頃に一回帰国していた覚えもある。

 

 

「その節は本当にお世話になりました」

 

「そ、その節? あ、あぁいや、別に気にすることじゃないよ。ハハ・・・」

 

 

 まぁ随分と綱渡りではあるけど、無い話ではない、か。

 本来なら時計塔とかの魔術師が集まる場所以外で魔術師同士が出会うってのはあんまり無いシチュエーションだから疑問ではあるけど、そこは偶然と解釈してもらうより他ない。

 もちろん魔術師は互いに互いを認識出来るけど、それでも尚魔術師の数は少ないからね。

 冬木みたいな一等の霊地ならともかく、例え東京でも早々魔術師に会うなんてことはない。

 実際俺もココに来るまで会ったことのある魔術師は身内だけ‥‥いや、あと一人だけか。

 

 

「‥‥まったく、そういうことなら管理者である私に一言あっても良かったんじゃない?」

 

「すいません遠坂先輩。一応メールで連絡はしたんですけど‥‥」

 

「え? そうなの?」

 

 

 今の今まで黙って腕組みをし、二人の会話を見守っていた遠坂嬢が呆れたように口を開いた。

 魔術協会によって定められた管理地に住まう魔術師は、その土地の管理者(セカンドオーナー)に対して幾つかの義務を有している。

 例えば管理地内に工房を作る際には管理者の許可が必要だし、住んでいるだけでも税金のようなものを納めなければならない。

 他にも色々と面倒な規約があり、基本的に魔術協会に登録している魔術師はその決まりを守りながら研究を続けている。

 

 とはいっても全ての魔術師が魔術協会に所属しているわけではない———むしろ所属していない魔術師、もしくは管理者等の次元を超越した名家が多い———し、その決まり自体もかなり緩い。

 魔術師とは基本的に利己的な生き物であるし、研究成果のみならず自身がどのような生活をしているかということまで他人には秘匿するのが信条だ。

 だから自分の研究に影響が出るような決まりであれば、どんなにバックの魔術協会が怖くても従うはずが無い。

 よって決まりというのも、互いにある程度の一線を越えないように設定されている。

 

 もちろん魔術協会に所属するのみならず、時計塔で勉学をするという学生ならば管理地の管理者の推薦を受けることも多く、だからこそ遠坂嬢の意見はもっともだ。

 管理者が管理地の魔術師の動向を把握していないというのは大問題である。

 例えば管理地の魔術師が神秘の秘匿を冒したとすれば、それは管理者の責任であるからだ。

 下手をすれば協会の介入→管理地の権限の剥奪ということすら考えられる。

 それ故に遠坂嬢は身内であっても、桜嬢の動向に注意せざるをえないのだ。

 

 

「もしかして凜、携帯電話にサクラのアドレスを登録していなかったのでは?」

 

「ぐぅ!」

 

「それにサクラ、凜の携帯は通話しか出来ません。というより凜では通話以外の機能を使いこなすことができない」

 

「え? そ、そうなんですか?」

 

「‥‥悪かったわね、機械音痴で」

 

 

 セイバーの説明を聞いて吃驚して、学園のアイドルとまで言われた先輩の方を見る桜嬢の視線に耐えかねたのか、苦虫を噛み潰したかのような顔で遠坂嬢がそっぽを向いた。

 俺も今まで橙子姉だってそれなりに機械を扱えていたから、機械音痴というのを見るのは遠坂嬢が初めてだったわけだけど‥‥。

 いるもんだなぁ、本当に機械が使えない人種っていうのは。説明書の通りに操作することもできないなんて驚きだよ。

 

 

「アドレスが分からないメールは全部まとめて消去してるのよ。そういうのって、一々チェックするの面倒でしょう?」

 

「というより出来る限り携帯に触りたくないという感じでしたが。あぁ、アドレス帳の登録は私の仕事ですので、後で私の携帯の方に送っておいて下さい」

 

「あ、はい。わかりましたセイバーさん」

 

「ちょっとセイバー、マスターである私をないがしろにして———」

 

「では自分でやりますか、凜?」

 

「‥‥お願いするわ」

 

 

 いつの間にかセイバーの遠坂家での発言力がとても強くなっている件について。

 そういえば彼女も携帯持ってたな。どうもロード・エルメロイとはよく連絡を取り合っているらしい。

 俺とルヴィアがロードの執務室を訪ねたら、平然とセイバーがロードと二人でお茶をしながら、対戦ゲームで盛り上がっていたなんてこともある。

 どうも俺達の知らない内にコンタクトを取っていたらしく、おそらくは第四次聖杯戦争がらみの案件なんだろう。

 ムキになってコントローラーを振りまわす騎士王と、大人げなく初心者を凹にするイイ笑顔のカリスマ教授‥‥。俺達は無言で部屋を後にしたものだ。

 

 

「あらミス・トオサカ、その程度の簡単な機械も満足に扱えませんの?」

 

「なによルヴィアゼリッタ、そういうアンタは使いこなせてるんでしょうね‥‥?」

 

「私へのアポイントメントは直接か、オーギュストを通して受けていますから。そのような無粋な道具は必要ありませんわ」

 

 

 携帯電話が普及されてから、人間は何時でも誰かに縛り付けられているとも言える。

 何時でも何処でも、用事があれば携帯電話に連絡がかかってくる。おちおち休んでもいられない。

 もっとも利便さは言うまでもなく、現代機器を嫌う魔術師の中にも仕方なしに所持している者は多かった。

 彼女ほどになると、違うんだろうけどね。もちろん俺も持っている。

 

 

「‥‥そうね、皆さん明日はお暇?」

 

「私は暇よ。士郎は?」

 

「俺も講義はないな。セイバーは?」

 

「私は賃仕事がありますので‥‥。ショーはどうですか?」

 

「特に用事はないよ。研究もまぁ、息抜きぐらいは必要だし。ルヴィア、君はどうだい?」

 

「私は少々エーデルフェルトの方で仕事がありますの。お力になれそうにありませんわね」

 

 

 鮮花の問いかけに、倫敦組が次々に隣へ隣へとピタゴラスイッチの如く首を動かして予定を確認していく。

 鉱石学科の講義自体は最近教授の体調不良とカリキュラムの影響で途切れがちになっていたし、衛宮も明日は講義がないらしい。

 それを聞いた鮮花は大層お気に召したらしく、上機嫌の笑顔でこう言った。

 

 

「じゃあ決まりね。衛宮さん、だったかしら? 実は桜、倫敦の街を観光するのを凄く楽しみにしていたんですよ。良かったら彼女を連れて観光の案内を頼めませんか?」

 

「そうなのか、桜?」

 

「え? 私は別に———ひぃあっ?!」

 

 

 振り向いた衛宮に訪ねられて何か答えようとした桜嬢だけど、グッと鮮花に手を握られて言葉を途切れさせた。

 なんだろう、何時ぞや酒盛りをしたときの俺に罰ゲームを強要した時みたいな笑顔を浮かべてるんだけど‥‥。なんか、嫌な予感しかしないぞ。

 

 

「それで遠坂さんは、悪いんですけど私の方に付き合って頂けませんか?」

 

「は?」

 

「時計塔の見学に来たんですけど、やっぱり紫遙だけだと不安ですから‥‥」

 

「おい鮮花、そりゃ一体どういうことだい」

 

「黙って頷きなさい服飾センスゼロ」

 

「な‥‥ッ?!」

 

 

 ビシリ、と俺の中に罅が入る音が聞こえたような気がした。

 そりゃ自分でもバンダナは痛いと思ってるけど、これは魔術刻印を隠すために絶対に必要なものなんだよ?!

 おいコラ衛宮、あとルヴィアも、なんでそんな目でコッチを見る。特に衛宮、お前にだけは言われたくないぞ。

 

 

「橙子師から学長に渡す手紙も頼まれてまして、取り次ぎもお願いしたいんです。紫遙だけだと不足かもしれないので」

 

「最初からそう言えばいいじゃないか‥‥」

 

 

 説明されたトサカ嬢は暫し視線を衛宮と桜嬢の間を行ったり来たりさせながら、眉間に深い皺を刻んで考え込んでいた。

 そりゃそうだろう。自分の恋人と後輩で実妹とはいえ要注意人物を二人きりにさせなければいけないのだ。普通なら即決で却下である。

 だけど問題はおそらく、ここには弱みを見せたくない天敵が一人と、何を考えてるかはわからないけど弱みを見せるわけにはいかない部外者が一人いるということだ。

 特に鮮花の申し出は、不審な点こそあれ真っ当なもの。後輩の前では出来る限り良い面を見せておきたいということもあるだろうし、中々面倒な案件だ。

 

 

「‥‥わかったわ、学長に面会するのに付き合えば良いのね。後で時計塔に行って、手続きとかしておいてあげるわ」

 

「ありがとうございます、遠坂さん」

 

「鮮花、君は後で話があるからお茶でも行こうか」

 

 

 つまるところ。桜嬢と衛宮のデートを首尾良く取り付けたということで、やっぱり鮮花は存外桜嬢のことを気に入っているらしい。

 横では事態を把握して顔を仄かに朱に染めている桜嬢と、何もわかっていない衛宮とが不思議な雰囲気を醸し出していて、遠坂嬢はやっぱり何となく不機嫌だ。

 ルヴィアは既にたわいのないことだと興味を失ったらしく、鮮花と適当な世間話に興じている。

 

 とりあえず俺はルヴィアに耳打ちして、ひとまず本来の目的を果たそうとセイバーに声をかけたのであったが‥‥いやはや、明日は一体どうなることやら。

 

 

 

 47th act Fin.

 

 

 

 


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