つまり六十話程度を一年で書いていたわけで、今のペースは‥‥あはは、大変失礼しました!
なお冬霞が滅多にやらないキャラ対談形式です。苦手な方はご注意くださいませ。
ぴんぽんぱんぽーん♪
このお話はフィクションです。実在する人物、団体、創作物などとは何ら関係はございません。
また、ネタ時空であるためココでの内容が実在する二次創作に影響することもございません。
あくまでネタであるので、どうぞ気兼ねなくお楽しみ下さい。
【倫敦一周年記念前夜祭企画:紫遙とルヴィアのなぜなに倫敦】
紫遙「いつも【UBW〜倫敦魔術綺譚】を読んでくれてありがとう! こんにちは、もしくはこんばんは、もしかしたらおはよう! 魔術協会の総本山、時計塔で鉱石学科に所属している蒼崎紫遙だ」
ルヴィア「同じく鉱石学科に所属している、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトですわ。今日はいらしてくれて本当にありがとうございました」
紫「作者がFateという素晴らしい作品に一目惚れをしてから約半年。今までに書いていた連載をほっぽりだして始めた無責任な連載も、いつの間にか一周年です。
この一年の間にも他に色々浮気をしたりもしましたが、ここまで来られたのは読者の皆様のおかげです。本当に、俺達だって感謝してもし足りない気分だよ」
ル「キャラ対談なんて一番嫌いな鬼門に手を出したのも読者サービスの一環ですわね。本来なら死んでもやりたくないと公言して憚らないそうですが、本当に、こんなトチ狂ったことをしてしまうぐらい皆様には感謝しておりますのよ?」
紫「ルヴィア。言葉、言葉。一応さ、ココ公の場所だから、危ない発言は自重してくれないかい?」
ル「あら、私としたことが失礼を‥‥。とにかく、まずは最初にこの企画の説明をさせてもらおうかしら。
この企画は八月三十一日をもって一周年を迎えるこの作品について、一周年を祝うだけではつまらないと考えた欲張りな作者が前夜祭として催したモノですわ
皆様が作者のメッセージボックスに寄せてくれた質問に、私とショウがこのような対談形式でお答えする、という趣向になっておりますの」
紫「というか、普通に一周年企画をやっただけだと空気過ぎてスルーされちゃう危険があるからね。告知としての意味も込めてるってことかな。寂しいけど、これ空気作なのよね‥‥」
ル「まぁメタな話はこれぐらいにしておきましょう。私としても自分の許容範囲を超えた台本を読み上げるのは好みではありませんし。ここからは業務連絡以外は私達の好きにして構わないそうですから、いつも通りにやらせていただきましょう」
紫「そうだね。作者の分身扱いも不本意だし」
ル「ですわね。さて、それではショウ、あまり皆様をお待たせするのも何ですし、早速最初の質問にお答えしていくといたしましょうか」
紫「あれ、もしかして司会って俺じゃないのかい‥‥?」
◆
『主人公が本気で武術に打ち込んだらどれぐらい強くなりますか?』
ル「ショウが武術に‥‥ですか‥‥」
紫「一応、伽藍の洞で式に散々仕込まれた両儀流短刀術を会得してるっちゃあ会得してるんだけどね」
ル「そういえば私、貴方がリョウギリュウの修行をしているところを見たことがありませんわね。確か倫敦にも道場があったように思えますけれど‥‥。実際の話、魔術抜きの戦闘ならばどのくらい強いんですの?」
紫「うーん、実際魔術アリの戦闘でも全然強くないから難しい質問だね。そもそも魔術師っていうのは基本的に研究者だからさ。表の社会でも研究者はあんまり体鍛えてないっていうイメージがあるだろう? 裏でもそれは同じでね。
そりゃ戦闘が出来ないことはないけれど、それって物理学者が科学的に武術の研究をしてるのと同じような状況でさ———」
ル「話がずれてますわよ、ショウ。多少思うところがあるのは認めますけれど、ちゃんと質問に答えていただきませんか?」
紫「あぁ、うん、そうだね。一応今の俺でも一般人よりは格段に強いって式が保証してくれたよ。多分、喧嘩慣れしたチンピラぐらいなら簡単にノせる‥‥と思いたい、かな?
多分初めて会った人は分からないかもしれないけれど、こう見えても一応、青子姉に連れられて何回か修羅場は経験してるんだよね。命のやりとりをしたことがある以上は、生半可な相手に負けるつもりはないよ。
倫敦の師範が言うには、現代剣道で三段ぐらいだってさ。四段‥‥はちょっと無理かな。実際に剣道三段を相手にしたらどうかってのは、ちょっとわかんないけどね」
ル「私、ニホンの武術についてあまり詳しくないのですが、それはつまりどのくらい強いんですの?」
紫「‥‥実は、剣道三段って結構ザラにいるんだよね。ぶっちゃけ、そんな強くないかも‥‥」
ル「お、落ち込まないで下さいませ! やはり魔術師は魔術で勝負するべきですわ!」
紫「うん、まぁ励ましてくれてありがとう‥‥。まぁ仮に俺が魔術を学ばないで武術を修行したとしても‥‥多分、大して強くならないと思うよ。俺が今こうしてまがりなりにも魔術師として成り立っているのも、言っちゃなんだけど僅かな才能があったからでさ」
ル「努力も重要な要素ではありますが、魔術に何が一番必要かと言えば、やはり才能ということになりますものね。受け継がれていく血と才能が、神秘を追い求める一助となるのは現実ですわ」
紫「才能がない俺が武術を修練しても、大した結果にはならなかったと思うってことだね。‥‥言ってて悲しくなってくるけど、これが現実。仕方がないね」
『紫遙って知識はあるんだから誰かの魔術や武術を使おうとしたりしないの?』
紫「うーん、この質問も答えはさっきと同じかな。使おうとしないんじゃなくて、使えないんだよ。俺は戦うことについて才能が悲しくなるぐらい足りないからね。見よう見まねじゃ何も習得できたりなんかしない」
ル「そもそも勘違いされてる方が多いかもしれませんが、武術も魔術も聞きかじりの知識で習得出来るほどに生やさしいものではありませんわ。教本を見ただけで、結果や概要を知っているだけで習得出来るようなものならば世界に達人や魔法使いが溢れかえっておりますし。
仮に似たようなものが出来上がったとしても、それには理解という結果が抜けております。これではとても実を伴った技になるわけがございません」
紫「例えば質問してくれた人が想定している技術の一つに七夜の体術があると思うんだけど、これがどんなものか知っているからって俺に再現できるか、と言われれば無理だね。
頭が膝より低くなる、とか、常に相手の死角をつく、とか、蜘蛛みたいな動き、とか、そういう断片的なものしか知っていないのに全部を再現できるわけがないんだよ。
一つの技とか、動きの一つぐらいならって思うかもしれないけれど、それも地道な基礎の修行に基づいて作られているわけで、基本的に俺が前に得た知識ではその基礎の知識が抜けてるんだ。土台の作り方も知らずに家を建てても、犬が体当たりしただけで壊れちゃうってことかな」
ル「ショウが仰っていることはよく分かりませんが、プロレスでも同じことが言えますわね。よく試合で見ただけの技を子供が真似ているところを目撃いたしますが、基礎の修行もしていない人間では見かけだけの技になってしまいますもの」
紫「魔術についても同じなんだ。そもそも魔術っていうのは一つ一つが魔術師個人によって違うものでね。厳密に言えば同じ魔術なんて存在しない。そんなものを真似ようと思っても無理な話さ」
ル「例えば詠唱というものは自己暗示。百人魔術師がいれば同じ詠唱など一つとしてございません。同じ大師父の系譜でありながら、私とミス・トオサカの詠唱が違うのは例として分かりやすいと思いますわ。
仮に、仮にですが、ミス・トオサカが宝石剣を作り上げることに成功したとしますが、仮にですよ? その場合に出来上がった宝石剣も厳密に言えば宝石翁が所持しているものとは別のものなのです」
紫「結局は自分自身で積み上げたものが一番信用できるってことかな。なにより橙子姉とか青子姉とか式とかのちゃんとした師匠から指導を受けてるしね。無い才能を自分で勝手に捻って何かやろうとするよりも、師匠の言うことをしっかりと聞いてた方がいいんだよ。
そういうわけで、俺は不確かな知識には頼らないし、頼れないんだ。納得してくれればいいんだけど‥‥どうかな?」
『ルヴィア的に紫遥の服装はどう? また、いつもと違う格好をするならどんなのが似合うと思う?』
ル「‥‥‥‥」
紫「ちょ、ちょっと黙らないでくれよルヴィア! 俺の格好ってそんなにおかしいかい?!」
ル「正直に申し上げて、あまりよろしくありませんわね。事情は存じ上げているつもりではありますが、それでも紫色のバンダナにミリタリージャケット、安物のジーンズなんて手抜きのファッションをして“おかしくない”なんて仰るのはどうかと思いますの」
紫「そ、そんなこと言ったってバンダナは魔眼の封印とか魔術回路を隠す役割とかあるし、ジャケットは魔術礼装だし‥‥」
ル「ですから、事情は存じ上げていると申しましたでしょう? それにしてもバンダナは他のもので代用できないこともございませんし、ジャケットだって流石に毎日いつでも着用することはないと思うのですわ。ミス・トオサカとて礼装のコートをいつも着ているわけではないではありませんか」
紫「うーん、このバンダナ、位階は低いかも知れないけど一応聖骸布なんだけどさ‥‥。ジャケットだって橙子姉から貰ったものだから礼装としては申し分ないし‥‥」
ル「思うに、貴方はお義姉様からの贈り物だからと言い訳にして努力を怠っているフシがありますわね。確かにお義姉様からのプレゼントを大事にする気持ちはよろしいと思いますが、それでも自分で努力してファッションセンスを磨かないことには一向に進歩いたしませんわよ?
あのバゼットとて普段から同じスーツばかり着ていますが、あれも一流の職人に仕立ててもらい、自分で魔術を施して礼装にしたものなのですわ。それに比べて、努力をしない貴方は只の怠慢ですのよ」
紫「ぐ、いや、わかってはいるんだけどさ‥‥」
ル「分かっているだけではダメなのですわ! その気持ちだけではいつまで経っても行動に起こせません! ふむ、そうですわね、早速この収録が終わったら私と一緒にサヴィル・ロウに参りましょう。カジュアルでも使えるスーツを何着か仕立てていただくというのはいかがでしょうか?」
紫「え、いや俺はこれが終わったらちょっと工房でやることが———」
ル「文句は言わせませんのよ。最近は互いに忙しくて息抜きの暇がございませんでしたからね。この辺りで少々ゆっくりすることも必要ですわ。いつまでも気を張ってばかりでは直に切れてしまいますわよ?」
紫「‥‥はぁ、やっぱり俺が君に逆らうのは無理そうだな。わかった、付き合うよ」
『時計塔には様々な学部があるそうですが、西洋魔術だけじゃなくて東洋魔術(陰陽道や仙道)について学ぶ学部もあるのでしょうか?』
紫「お、これはいい質問だね」
ル「ですわね。時計塔というのは非常に複雑な組織体制をしているところですから、この辺りはいずれ説明をしなくてはならないと思っていたところですし」
紫「あぁ、質問に答える前に注意して欲しいんだけど、これから話すことはこの作品の中だけの設定だからね。何か公式で言及されていたりするわけじゃないから、捏造のものだってことをしっかりと覚えておいて欲しい」
ル「まず時計塔の組織図なのですが、実はこれは殆ど知られていません。外部に、というのは当然のことかとは思いますが、問題は内部の人間でも時計塔内にある組織というものを完全に把握していない、ということですの。
‥‥いえ、言葉を間違えましたわね。正確に言えば、殆ど把握していないと申し上げた方が正しいでしょう。あまりにもたくさんの学部や学科があり、あまりにもたくさんの組織がある。これらを全て把握しているのは学長や各部門の長ぐらいではないでしょうか?」
紫「まず最初にあるのは俺やルヴィアや遠坂嬢が所属している鉱石学科だね。これは現存する第二の魔法使いであるキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグが名目上のトップだから、時計塔の中でも一二を争うぐらい有名で、勢力も強いんだ」
ル「研究しているのは私達が使っている宝石魔術や、鉱石の加工についてですわね。これはつまるところ魔術具の作製ですわ。例えば
他にも
紫「宝石だけじゃなくて、鉄とかの鉱石や銀、金などの貴金属の加工もやってるんだ。すごく多様性のある学科だね。
あとは錬金術なんかも扱ってるんだけど‥‥。これは
ル「次に有名なのは降霊学科でしょうか。先代ロード・エルメロイであったケイネス・エルメロイ・アーチボルト卿を筆頭として非常に優秀な講師や学生に恵まれた有名な学科ですわ。こちらは基本的に降霊術などの儀式魔術や、使い魔の作製・運用などについて研究しております。
言うなれば、魂などの非物質的で
紫「聖杯戦争も実は降霊学科の研究の範疇に属するんだ。この関係上、遠坂嬢は度々向こうに赴いて臨時講師をしているらしいよ。自分の専門外についても講義できるなんて、流石は遠坂嬢だな。
ちなみにこの臨時講師の制度なんだけど、実は適用されている人は少ない。俺や遠坂嬢を入れても十人に満たないんじゃないかな。基本的に魔術師ってのは利己的な人間だから、それなりのメリットがなければわざわざ他人に講義なんてしてやる理由はないからね」
ル「ミス・トオサカは何かしらの取引をしたようですわね。それ自体は全く問題がないのですが‥‥それで本来の研究が怠らないようにして頂きたいものですわ」
紫「ルヴィアは自分のライバルが本来の実力を発揮できないのが嫌なんだよ。全く、照れるぐらいなら最初から言わなければいいのに———って、わかった、わかったからその人差し指を俺の方に向けるのは止めてくれないかい?!」
ル「さて、次に挙げるのはルーン学科ですわ。非常に古くからある学科ですが、近世に入ってからは単体での効果が低いためにめっきり所属する学生が減ってしまっておりますの」
紫「俺はもともとコッチの学科に所属していたんだよ。橙子姉の推薦でね、それ以来ルーン学科の教授には世話になっているから、ここでの臨時講師も引き受けたんだ。
ここの卒業生として有名なのは言わずもがなの橙子姉とか、あとは前にシュボンハイム修道院の次期院長と目されていた赤ザ———もとい、ミスタ・コルネリウス・アルバとかがいるね。彼は紛れもない大魔術師アグリッパの子孫で、本当に優秀な魔術師だったんだよ?」
ル「少し前に不慮の事故で亡くなったそうですが、エーデルフェルトにも大きな情報は入ってきておりませんの。確か彼は時計塔在学時代にマイスター・アオザキと懇意にしていたと聞きますが‥‥ショウ、貴方は何か聞いてはいませんか?」
紫「え? あぁいや、俺自身は顔見知りですらないから特に聞いてはいないなぁ。あはは‥‥」
ル「ふむ、まぁ構いませんわ。あとは治癒術や人体改造術、
これらは時計塔でも代表的な学部でして、おそらくは私達が把握していない学部や学科がもっともっとたくさんあるはずです。なにしろ時計塔の敷地は縦に膨大な上にところどころ空間が歪んでいる場所もあるので、私達も限られた部分しか行ったことがないのです」
紫「そういうわけで、もしかしたら時計塔にも東洋系の神秘を研究する学科があるかもしれないね。
でも多分、その可能性は低いと思う。なにせ東洋の神秘はすごく閉鎖性が高いんだ。特に日本の神道系については国が裏で管理している部分もあるみたいだし、大陸系の神秘である道術や仙術については崑崙とかの組織が統括してるみたいだしね。
それにああいうのは学問というよりは宗教や修行に近くて、西洋魔術師の思想とは相反する部分も多いんだ。共通するところも多いけどさ」
ル「もともと日本などは時計塔でも鬼門とされていた場所ですの。閉鎖性が強いところの神秘を学ぶという非効率なことをする魔術師がいるとは、私は思えませんけれどね」
『紫遙に奥義や必殺技は使う場面は出ますか?』
ル「おう、ぎ‥‥?」
紫「うーん、これもまた難しい質問だなぁ。そもそも奥義とか必殺技の定義が不明だし。
そもそも魔術師は戦闘に向いている人種とは言えないってのは何回も話してることだけど、とにかく奥義みたいなものって言われてもパッと来ないっていうのが本音かな」
ル「強いて言うならば、Aランク程度の魔術のことを指していると解釈するべきなのでしょうか?」
紫「外国でもそうかは分からないんだけど、日本では昔から奥義とか必殺技とか、とにかくその人物を象徴する攻撃手段みたいなモノに対する信仰にも近い美意識があってね。俺達の間で例に出すならば、例えばサーヴァントの真名解放とか、衛宮の固有結界とかが近いのかな?
ル「なるほど、プロレスで言うところの決め技のことですわね。確かにフィニッシュブローは心躍るものがありますわね。日本にも私が共感できる文化があるではありませんか」
紫「とりあえず、俺にそういうものはないかな。強いて言うなら魔眼を解放することがそれに当てはまる野かも知れないけれど、単純に殺傷能力とか出力とかを比べると
期待させておいて、ごめんね」
『紫遙は魔眼使わないんですか?(魅了とか)』
紫「これは最初に活動報告コメントの方に寄せてくれた質問かな。確か最初は『魅了の魔眼を使ってハーレム云々』みたいなことが書いてあった気がするけど———」
ル「‥‥‥‥」
紫「あの、その怖い視線ヤメテね? 実際やったことはないし、やろうと思ったこともないんだからさ」
ル「‥‥はぁ、分かっておりますわよ、ショウにそのような甲斐性がないことぐらいは。実は知られていないことかもしれませんが、一時期のショウはとても女性にモテたんですのよ?
ちょうど私がショウと一緒にいるようになって丁度ぐらいですから、あれはショウと私が時計塔に入学してから一ヶ月ぐらいの時でしたわね。
教室に居ても廊下にいても新入生から上級生まで様々な女性がショウに取り入ってきて‥‥まったく、勉強や会話もろくに出来ない状況でしたのよ」
紫「誤解がないように言っておくけど、あれは蒼崎っていう俺の名字に惹かれて取り入ろうとしてきた連中なんだ。それもエーデルフェルトっていう名門中の名門出身であるルヴィアが近くにいてくれたおかげで次第に治まっていったけどね」
ル「身の程を知らずに喧嘩をふっかけてくる輩が反対に増えたのは、問題でしたが」
紫「まぁそれはともかく、俺は今までもこれからもそんなことはしないよ。そもそも魔術をそういうことに使うのは魔術師本来の在り方じゃないからね。軽蔑されてしかるべきだし、何よりそんなことやったって橙子姉とか青子姉とかにばれたら‥‥!!」
ル「ま、まぁそこまで震えることはないではありませんか? ショウ? ショウ‥‥?」
『プリズマイリヤ編も佳境のようですが、教授は今なにしているの? ゲーム?』
紫「ゲームだね」
ル「ゲームですわね」
紫「彼は本当に、暇さえあれば必ずゲームやってるからね。これはもう時計塔でプロフェッサとある程度以上親しい人なら必ず知ってる共通認識だよ。ていうか事実だし」
ル「ロード・エルメロイは基本的に個人講義を受け持っているのですが、新しいゲームを手に入れた日などは即刻当分授業が無くなってしまいますの。あの執務室に保存食料を持ち込み、ひたすらゲームに興じているのですわ。
一度我慢がならずに私とショウで乗り込んだコトがありますけれど‥‥。正直言って、あの背中はトラウマでしたわ‥‥!」
紫「あの時までは君もプロフェッサを尊敬してやまなかったのにね。外面だけは完璧なのに、どうしてあの人はあそこまで中身が残念なのかな‥‥?」
ル「時計塔の内外に、最も名が広まっている教授の一人ですからね。名実ともに最高の名教授。彼の元で指導を受けた学生で王冠に達しない者は一人もいないと噂のカリスマ。私とて最初はどれほどまでに素晴らしい方かと思っていたのですが‥‥。
実際、最初の頃は外見から気難しいながらも論理的で分かりやすい授業をなさる方だと感じておりましたわ。確かにそれは間違いではなかったのですが、ですが‥‥」
紫「俺はまぁ、多少予想していた部分が無かったわけじゃないんだけどね。流石に、あそこまで不気味だとは思わなかったよ。ああいうのをクツクツ虫っていうのかな? とてもじゃないけど、他の学生に見せられる光景じゃなかったからなぁ」
ル「もっとも、決してゲームばかりしているわけではないんですのよ? しっかりと研究もなさっております。もっとも、やっぱりゲームとの比率は良いところ半々のようですが‥‥」
紫「彼の研究は実践よりも論文の方に偏っているからね。魔術理論、とでも言うのかな? 頭の固い古くさいタイプの魔術師には馬鹿にされてるけど、あれは理論自体が一つの魔術になっているね。
ああいう論理的な考え方は感覚的、直感的に魔術を組み立てるタイプにこそ助けになると思うんだけどなぁ‥‥。プロフェッサがエルメロイの直系っていうわけじゃないってことも、格下に見られてしまう原因の一つなのかな」
ル「彼や貴方を見ていると、本当に大事なのは血脈ではないのかもと思ってしまいますわね。実際に成果を上げられるか、ということではなく、本来の魔術師としての在り方について」
紫「そういうこと言われると背筋がむず痒くなるから、その、やめてほしいな‥‥」
『ロード・エルメロイ二世は他にどんなゲームを持っているのでしょうか? 案外、ガンダムVSガンダムとか持ってたりは……』
紫「あぁ、プロフェッサが持ってるゲームか‥‥」
ル「私は日本に限らずゲームというものについて理解が足りないので何とも申し上げられないのですが‥‥。確か、あの大きな執務室の奥の部屋の壁が一つ埋まってしまうぐらいにはゲームが集められていたはずですわよ」
紫「あれは殆どが日本産のゲームだね。倫敦じゃ手に入りにくいはずなのに、色々な手段使ってかき集めてくるんだよ。ここじゃ宅配便も届かないことがあるっていうのに、すさまじい執念だよなぁ‥‥」
ル「実際ショウは度々ロード・エルメロイと一緒にゲームに興じている姿を見ますが、どのようなゲームを好まれるんでしょうか?」
紫「基本はシュミレーション系かな。世界文化大戦とかはバイブルみたいだし。ただ全体的に歴史物を好む傾向はあるみたいだね。英雄史大戦とかもかなりハマッてるし、他にも三国夢想とかのアクションゲームにも手を出してるらしい。
ただRPGとかパズルとかは苦手みたい。特にRPGは他人に道筋を決められているってあたりが気にくわないみたいだよ」
ル「まるで子供ではありませんか」
紫「その辺りは間違いなくいい大人なんだから、趣味の一環と思うけどね。まぁそんなかんじで、俺はいつも対戦ゲームの相手をさせられてるってわけさ」
『紫遙くんへ ロリコンですか?(※下手な答えをすると、美遊が悲しむのでご注意を)』
ル「‥‥‥!」
紫「だからその目はやめてくれないかい?! っていうか今度は人差し指まで付いてきてるし?!」
ル「ロリコン‥‥というのは、ロリータ・コンプレックスの略称ですわね。つまり幼児性愛者ということでしょうか。‥‥どちらにしてもショウ、幻滅いたしましたわ」
紫「誰もロリコンだなんて自称してないじゃないか! ああいうのは幼少期にトラウマがあったりして、特殊な環境や精神状態にあった人がかかる精神疾患だろう? 俺は多少普通じゃない人生だったとは思うけれど、それでも成長の過程は普通だったって断言できるからね?!
‥‥はぁ、多分最近は美遊嬢との絡みが多いからそういう話になったのかもしれないけど、どこをどう間違ったってそんなことはないから安心してくれ。俺は被保護者に欲情するような変態じゃないよ」
『シスコンですか?(※下手な答えをするとry)』
ル「シスコンですわね」
紫「‥‥‥‥」
ル「シスコンとは、先程同様シスター・コンプレックスの略称を指すのですわね。本来なら異性への恋愛感情を向けるべきでない血の繋がった関係である姉妹に恋愛感情を抱いてしまう人種を指す言葉なのですが‥‥」
紫「恋愛感情は‥‥ないよ、うん。ただまぁ、多少義姉達に依存し過ぎてるのは否めない、かな」
ル「ショウは本当にお義姉様方が大好きですものね。口を開けば義姉が義姉がと、耳にたこができる程に聞き飽きて普通になってしまいましたわ。今では逆にショウがお義姉様方について話していないと、何かあったのかと不安になってしまうぐらいですわ」
紫「まぁ、俺にとって橙子姉と青子姉は神様みたいな人だからね。二人なしに今の俺はいないし、以前の俺だって、今の俺になれたのは二人のおかげさ。
今の俺を構成する大部分なんだから、俺の中で橙子姉と青子姉が大きな部分を占めてるのは当然のことなんだよ」
ル「‥‥はぁ、もう今更どうだこうだと申し上げるようなことではありませんわね。
シスコンだの何だのという言葉以前の問題として、ショウにとってお義姉様方は絶対の存在だと、そういうことですわ」
『紫遙に質問——
凛、ルヴィア、桜、セイバー、バゼット、シエル、鮮花、式、橙子、青子、美遊、イリヤ、(他多数)
付き合うとしたら誰? また、その各々の理由を答えてください』
紫「‥‥こ、これはまた、難しい質問が来たなぁ‥‥!」
ル「まず選択肢にミユとイリヤスフィールが入っていることについて疑問を呈したいところですわね。お義姉様方は今更として」
紫「今更って‥‥。まぁ、確かに今更かもしれないけどさ」
ル「とりあえず今回ばかりは聞かないようにした方がよさそうですわね。質問主様がどのような展開を期待しているかは存知ませんが、私は一旦この場の席を外させて頂きますわ。
どうぞ、私がいない間にごゆっくり語ってらっしゃって下さいませ」
紫「う、なんか刺々しいなぁ‥‥?
まぁルヴィアが席を外してくれたのはありがたいね。やっぱり、こういうのって全員が知人っていう状態で女の子と話すものじゃないし。
さて、そうだな。正直今の俺は誰と付き合うっていう気もないよ。って、これじゃルヴィアが席を外してくれた意味がないなぁ。
先ず遠坂嬢なんだけど、俺には他人の彼女を奪うような趣味はないよ。ましてや彼女は俺には眩しすぎるしね。なにより衛宮にぞっこんだし‥‥。
ルヴィアは俺にとって親友とか、相棒とかの存在かな。本当に彼女には世話になってるけど、恋愛感情って言われると首を傾げてしまうな。一応最近では一番接してるはずなんだけど、不思議だね。
桜嬢は‥‥正直、そんなに付き合いがあるわけじゃなから論外かな。俺自身は彼女とは二回会ったきりだからね。付き合うとか、そういう話にはならないんだよ。
セイバーは、遠坂嬢と同じで眩しすぎるかな。確かに彼女は英霊である前に一人の女の子なのかもしれないけれど、それでもやっぱり逆説的に女の子である前に一柱の英霊なんだよ。あまりにも眩しくて、そういう話にはならないかな。
バゼット‥‥か。多分、客観的に見れば彼女が一番近いのかな? せっかくだからココで話しちゃうけど、多分俺って少しぐらい年上の、それも活発的な女性が好みみたいなんだよね。とはいえ彼女は粗忽な割に落ち着いてるから、多分そういうことにはならないと思うよ。
シエルについては桜嬢と同じで面識が無くて、式については遠坂嬢と同じで幹也さんの婚約者。
鮮花‥‥か。確かに同年代では一番長く一緒にいるけど、彼女はどっちかっていうと悪友みたいな感じで、恋愛感情が湧いてくる相手じゃない、かな。どっちかっていうと口喧嘩じみたやりとりの方が多いしね。
美遊嬢とイリヤスフィールは論外として‥‥橙子姉と青子姉も、恋愛とかそういう存在じゃない。二人は俺にとって絶対の存在で、恋愛とかの感情を向ける相手じゃないんだよ。
だからつまらない解答で申し訳ないけれど、今のところお相手はいないよ。各々理由を答えて欲しいっていうからこんなに長くなっちゃったけど、納得できたかな?」
ル「おや、終わったんですの? 意外に早かったですわね」
紫「うん、あまり長く語るようなこともなかったからね。気を遣わせて悪かった」
ル「いいえ、別にどうということはありませんから、お気になさらず。まぁ、私としては多少気にならないこともありませんが———まぁ、次の質問の方に参りましょうか?」
『紫遙とルヴィアは恋仲じゃないンですか? ただの友人にしては二人の間が近いような』
ル「た、ただの友人ですわよ! 全く、邪推もほどほどにして頂きたいものですわ!」
紫「これはさっきも話したけれど、本当に俺とルヴィアの間にはそんな関係はないよ。まぁ時計塔自体がそういう雰囲気を作らない場所っていうこともあるんだけど、そもそもこの二年ぐらいは研究漬けでそんな余裕もなかったし、そういうのは面倒臭いしね」
ル「‥‥そうですわね、私にとって一番親しい異性がショウというところは否定しませんわ。もしかしたら、そう、もしこれから何か今の私達では予想できない何かがあったりしたら、この関係がどうなるかは分かりませんわね」
紫「まぁ今は気の置けない良い友人だよ。いや、相棒って言い換えてもいいかな。それぐらい互いに信頼出来てるとは思う」
ル「もちろんその通りですわ。これからもよろしくお願い致しますわね、ミスタ・アオザキ」
紫「こちらこそ、レディ・ルヴィアゼリッタ」
『番外編のあの女の子、本編で出ることはないの?』
ル「番外編の‥‥女の子‥‥?」
紫「あぁ、君には昔話したかもしれないけれど、俺がハイスクールを卒業する時に不思議なことがあってね」
ル「思い出しましたわ。確か、一度だけ、霧の中で会ったとかいう女性のことでしたか‥‥。
そういえばこの前は久しぶりに里帰りなさったそうですが、その方にお会い出来たりはしませんでしたの?」
紫「それがさっぱりなんだ。そもそも不思議なことに、あの公園の周辺にあった学校ではあんな制服を採用してなくてね。高校だけじゃなくて、中学まで調べたんだけど全然分からなかったんだ。
‥‥まぁ俺としては、別にもう一度会いたいとかは思ってないんだけどね」
ル「あら、だってその方はショウの初恋なのかもしれないと仰っていたではありませんか。でしたらもう一度会いたいと思うのが自然なことではありませんの?」
紫「‥‥うーん、確かにそれが自然かもしれないけれど、不思議とそうは思わないんだよ。
こういう言い方ってもしかしたら変というか自分勝手なものかもしれないけれど、あれはあれ一回きりの出会いだったから印象に残ってるのかも、とか、そう思うんだよ。不思議なことだけどね」
ル「いえ、そんなことはございませんわ。確かニホンにはイチゴイチエという諺がございましたわね。もちろん我がヨーロッパでも、一回きりの出会いを大切にする風習はございますわ。
一度きりの逢瀬だったからこそ心に残る‥‥。ロマンチックですわね」
紫「君にそういう風に言われると、何故か照れるなぁ‥‥」
『以前に士郎を工房へ招いましたが(招いてましたよね? 確か彼の身体をチェックしたり手術?したりするときに)工房をみた士郎はなにかいいませんでしたか。汚いとか、掃除させろとか……(笑)』
紫「これは衛宮に魔眼を施してやった時の話かな? うん、まぁ確かに整理しろとは言われたね」
ル「あの工房は私も何度か足を踏み入れたことがありますが‥‥。乱雑としておりますわよね。不思議と不潔ではありませんが」
紫「あそこではバゼットの義手の整備をしたりするからさ。あまり不潔だと義手に埃が入っちゃったりして、大変だろ? そうじゃなくても俺は別に掃除しないわけじゃないんだよ。整理しないだけで」
ル「それでは結局意味がないではありませんか‥‥。あれだけ散らかっていて、どこに何があるのかちゃんとわかっているんですの?」
紫「なんとなくはね。整理って掃除に比べて時間とか手間がかかるしさ。ついつい後回しにしちゃうし、整理に回す時間があったら別のことをやっていたいっていう気分もあるかな。
あればっかりは誰かに手伝ってもらうわけにもいかないから、自分でやらなきゃいけないって分かってるんだけどなぁ‥‥。まぁ、そんな感じだよ」
『現在の時系列は西暦何年なのでしょうか?』
紫「俺達が鏡面界に入ったところで、西暦2009年の冬かな。俺の記憶よりも若干遅いみたいだね。
よくよく考えてみると、月姫の時間軸と空の境界の時間軸と、結構食い違ってるところがあるんだよね。多分、俺の記憶通りに進んでるわけじゃないんだと思う。
まとめると、俺が衛宮と遠坂嬢の三つぐらい上で、ルヴィアは遠坂嬢達の一つ上。桜嬢と鮮花が同い年で、幹也さんは俺より少し年上。式は殆ど俺と同い年扱いだね。橙子姉と青子姉の歳は‥‥聞いたことがないや。
月姫側とはシエルぐらいとしか接触が無かったからよく分からないけど、確か俺が二人に拾われてから、青子姉は遠野志貴と接触したらしいよ。だから、彼も俺と同い年か幾分年下なんじゃないかなる
あぁ、『月姫の登場人物とは誰と知り合いなんですか、紫遙わ』っていう質問があったんだけど、この場を借りて答えさせて貰うと、ルドルフ討伐の際にシエルと会ったぐらいだよ」
『紫遥の嫁は誰?(二次元的な意味で。Fateとか知っているくらいだし、一人くらいは居よう)』
紫「嫁‥‥? うーん、何のことか分からないなぁ‥‥?」
ル「二次元、と仰っていますが、一体何の暗喩なのでしょうか?」
ロード・エルメロイⅡ「失礼、アオザキはここにいるのか? 少々お前に頼みたいことが‥‥」
紫「プロフェッサ? すいません、今ここはちょっと立て込んでまして、用事があるんでしたら申し訳無いんでけどまた後でいらして頂けませんか?」
ロ「ほう、中々におもしろい趣向の企画をやっているじゃないか。なになに、『紫遙の嫁は誰?』だと? 確かに興味あるな。おいアオザキ、一体お前の嫁は誰なんだ?」
ル「‥‥あの、ロード・エルメロイ? 先程から二人で話していたんですけれども、“嫁”というのは一体どういう意味なのですか? 生憎と私達では不勉強でよく分からなかったのですが‥‥」
ロ「あぁ、確かに一般人にはわかりづらいかもしれんな。
嫁というのはジャパニメーション発祥の地、ニホンで生まれた言葉でな。二次元作品の登場人物に対する愛を表現するために用いられる。いわば、その人物にとってのお気に入りのキャラクターを表す言葉だな」
紫「なるほど、そういえば向こうに居たときに友人がそんなことを言っていた気がするなぁ‥‥」
ル「ジャパニメーションも、奥が深いんですのね‥‥」
紫「結構勘違いしてる人が多いかもしれないけれど、俺は別にヲタクじゃないよ? ただアニメとかゲームとかが人並みに好きなだけでさ。
Fateも友達に勧められて初めて手を出したノベライズゲームで、あれを期に型月の作品をプレイしていた途中でこっちに飛ばされたんだ。だから、そういうヲタク用語はちょっと分からない。悪いね。
ただ、そうだな‥‥。お気に入りのキャラは、ダントツで赤い弓兵かな。衛宮と知り合いの今は気まずいものがあるけどさ。言うなれば、アーチャーは俺の兄貴ってことになるのかな?」
ロ「よくは分からんが、今は忙しいようなので収録が終わったら私の執務室に来るように。いいな?」
紫「あ、はい。わざわざすいませんでした、プロフェッサ」
『ルヴィアさんへ 日本嫌いだったと思いますが、今回の来日について何か一言』
ル「そうですわね、最初に降り立った東京という街は随分とごみごみとしていて不愉快でしたわ。倫敦もそれなりに人が多い街ですが、あの街とはまた違った混雑具合は、思わず目眩を催す程でした」
紫「やっぱり印象としては倫敦の方が優雅なイメージがあるよね。東京はやっぱり雑多で過ごしづらいイメージがある。物価も高いし」
ル「そのようなことについては分かりませんが、冬木の街は田舎だからかそこまで悪くはありませんでしたわね。流石にビジネスホテルの狭さには辟易と致しましたが、全体的に過ごしやすい印象を受けた気がします。
特に和食は何度かシェロに出張して頂いて食しましたが、あれは予想以上に素晴らしいものですわね。確かにニホンは気に入らない部分がいくつもありますが、決して全てを否定するような愚行を犯してはいけないと再確認致しました」
紫「なんだかんだで母国だからね。俺もルヴィアが日本を嫌ってくれなくてよかったよ」
『もしもう一度聖杯戦争があるとしたら、参戦しますか?』
ル「勿論ですわ! 第三次聖杯戦争でエーデルフェルトが受けた屈辱を、今度こそ正々堂々と正面から返上させて頂きます!」
紫「とはいえ次に聖杯戦争があるとしたら何年先か‥‥。下手すれば俺達が現役の間には順番が回ってこないかもしれないけどね」
ル「第三次聖杯戦争以来、エーデルフェルトは日本を鬼門として近づかないように一族に厳命しておりました。しかし、汚名を雪ぐためには敢えてそのタブーを打ち破り、我が家の実力を示す必要があります。
聖杯戦争の兆候が現れた暁には、必ず私の子孫にも参加するように伝えておきたいものですわね。今度こそ、トオサカの家に実力を示して差し上げますわ」
紫「確か第三次の時は遠坂家の策にかかって失敗したんだっけ?」
ル「卑劣な策略に、ですわ! 確かに策略というのも実力に含まれますが、正面から魔術の腕を競うならば負けるはずがありません! それはミス・トオサカとて同じなのです!」
紫「あぁ、最近は和睦状態だったのに、もしかしなくてもぶり返しちゃったかな‥‥? はぁ、恨むよ質問主‥‥」
『参戦するとしたら、どんなサーヴァントを召喚したいですか?』
紫「あぁ、言った先からこんな質問が‥‥」
ル「当然、最善を求めるならばセイバーがベストでしょうね。しかし私はどのサーヴァントがパートナーでも優雅に勝ってみせる自信がありますわよ。
‥‥あぁ、しかし出来れば、アサシンやキャスター、バーサーカーは遠慮したいところですわね」
紫「それって、残ってるのは三騎士とライダーだけじゃないか」
ル「だって、私に合わないではありませんか」
紫「うん、まぁ確かにそうなんだけどさ‥‥」
『紫遙の起源はなんですか?』
紫「俺の起源、か‥‥。橙子姉は分かってるみたいなんだけど、俺は自分で自覚したことはないかなぁ」
ル「そもそも起源を自覚するというのは、魔術師にとって諸刃の剣ですわよ。起源を自覚することで自分の方向性を定めることもできますが、逆に起源に引き摺られて自分というものを見失ってしまう場合もございますの。
実際起源覚醒者というのは大半が自分の起源に引き摺られ、悲惨な最期を遂げられているそうですわ。起源を自覚しながらも自分を保てるのは、それこそ大魔術師と呼ばれるような実力者でしょう」
紫「まぁ起源は自覚しなかったとしても、無意識の内に方向性を決められているようなものだからね。自分に自信が持てるようになったら、橙子姉にでも聞いてみようかな。
うーん、でも多分、俺の起源は俺がこの世界に来ることになったきっかけと密接に絡んでるんじゃないかと思う。そうじゃなかったら当時魔術師でも何でもなかった俺が、どうしてこの世界に来るようになったのかってことが説明できないからね」
『青子繋がりで久遠寺とは面識はあるのですか』
紫「久遠寺‥‥?」
ル「どうも日本の家のようですわね。何か心当たりはありませんの?」
紫「うーん、確か日本にはそういう名前の魔女の一族があったような‥‥。ちょっと記憶が薄いな。とりあえず青子姉から久遠寺について聞いたことはないよ。昔に何かあったのかな?」
『式と幹也はいつ結婚するんでしょう? 未那とかも』
紫「幹也さん達の結婚式かぁ‥‥。予定は出来てるらしいけれど、結構延び延びになってるらしいよ。
式はあの調子だから、表面上はどうでも良さげでも早く幹也さんと結婚したいみたいなんだけど、幹也さんの方がもうちょっとお金を稼いでからにしたいって言ってるんだよね。
もっとも橙子姉にしてもあの調子だし、お金が貯まるのはもうちょっと先になりそう。ホント、幹也さんも式もゴメン‥‥!」
『最後にしょうもない質問を一つ……ぶっちゃけ紫遙って童○ですか?』
紫「‥‥‥‥」
ル「‥‥‥‥」
紫「なぁ、これにも答えなきゃいけないのかい‥‥?」
ル「覚えておりませんの? この収録を始める前に、“質問には嘘偽りなく答える”と
私としても、えぇ、このような質問に答えさせるのは非常に気が引けるのですが、
紫「嘘だよね。あからさまに視線逸らしてるよね。実は聞く気マンマンだよね。ていうか今回俺にだけキツイ質問ばっかり来てるよね」
ル「それは‥‥ほら、一応は主人公という扱いになっているのですから仕方がありませんわよ。えぇ、本当に」
紫「くっ、本当に答えなきゃいけないのかい‥‥?
あー、魔術において性行為っていうのが非常に重要な要素を占めているのはもう説明するまでもないことだとは思う。例えばパスを繋げる際に最も基本的な手段は体液の交換だね。例えば唾液とか、血を交換するのが一番簡単だろう。
でもそれらはあくまで簡易的な儀式に過ぎないんだ。唾液の交換ぐらいだったら本当に少しの間、それこそ一つの儀式の間ぐらいしか持たないし、血の交換で確立したラインを結ぼうと思ったらそれこそ互いに失血するぐらいの量を交換しなきゃならない。
だから唾液の交換ぐらいなら簡易的な用途に使うし、血の交換は吸血鬼の間の契約によく用いられるね。他にも色々とやり方はあるけど、これらが一番基本的なものだ」
ル「ショウにばかり重荷を背負わせるのも何ですから私が続きを引き取りますが、その中でも最も確実に深いラインを繋ぐことが出来るのが、性行為による体液の交換です。これは一回でかなり長期的に深い繋がりを得ることができる上に簡単なので、非常にポピュラーなものとなっておりますわ。
もちろん倫理観における問題はありますが‥‥もとより一般社会の倫理など魔術師にとっては全く問題になりません。ですから、重要な魔術儀式を行う際の手はずとしてコレによってパスを繋げる魔術師も少なくはありませんの」
紫「あー、柄にもなく取り乱してしまったけれど、魔術っていうのはそういう世界でね。多少の倫理観は研究の前に駆逐される運命にある。例えば衛宮達が住んでいる倫敦遠坂邸の前の住人なんかも、一般人をさらって
ル「‥‥で、結局のところどうですの?」
紫「‥‥どうって」
ル「ですから、前置きが長くなりましたが質問に答えて差し上げてはいかがでしょうか、と申し上げているのですわ」
紫「‥‥‥‥‥」
ル「ショウ」
紫「‥‥はぁ、わかったよ。
俺は衛宮と違って結構長いこと魔術師をやっているし、遠坂嬢と違って一人で修行していたわけじゃない。封印指定の魔術師と青の魔法使いっていうこれ以上ない師匠が付いていてくれたおかげで、すごく深くて多岐にわたる修行をさせてもらったんだ。
だから、その中にはそれなりに魔力を要する儀式や、一人じゃできない儀式とかも含まれてた。早くに師である父親を亡くしてしまった遠坂嬢はそういうことを出来なかったかもしれないけど、俺は幸いにして師匠がいた。
‥‥まぁつまり、その、俺だけの魔力じゃ足りないからさ‥‥そういうわけで———」
ル「よくわかりました、そのあたりで結構ですわよショウ。これ以上は貴方の精神衛生上よろしくありませんし、質問主の方に想像で補完して頂くことにいたしましょう」
紫「そうしてもらうと‥‥ありがたい‥‥」
ル「まぁ世間体としてもあまりよろしくありませんし、普段の貴方の様子からしてもこうやって暴露するというのは望ましくないというのも分かりますけれどね。
‥‥そこまで、頭を抱えてしまうぐらい落ち込まなくてもいいではありませんか。女としては相手がそうやって落ち込んでいるというのはあまり良い気分がしないものですわよ? まぁ流石に私は経験がありませんが」
紫「なんていうかさ、そういうわけじゃなくて、うん、うまく言葉にできないんだけど‥‥。いや、いいよ、なんか自己嫌悪に陥りそうだから」
ル「‥‥深くは尋ねないことにいたしますわ。なんといいますか、はぁ、ご愁傷様です‥‥」
◆
紫「さて、そういうわけでこれで質問はお終い。皆さん、一周年記念前夜祭企画は楽しめたでしょうか?
答えられなかった質問もありましたが、それらの答えについてはこれからの俺達の物語で示していきたいと思っていますので、どうぞこれからの展開をお待ち下さい」
ル「色々な質問が出て私達も楽しかったですわ。これから【UBW〜倫敦魔術綺譚】を読み進めていく一助になれたのなら、私達としても光栄です。
まだまだ物語は佳境を迎えるにも早く、私達も頑張って日々を過ごしていきたいと思っておりますの。一話が長く読みづらい私達の物語ではありますが、お気に召して頂けたのならどうぞこれからもよろしくお願い致しますわ。
今日はおつきあい頂き本当にありがとうございました」
紫「え、ちょっと待ってよソレって普通は俺のセリフ———」
ル「それでは最後に、作者の方へ寄せられた質問をまとめてみたいと思います。ここからは私達ではどうしてもお答えできなかった、作品自体への質問となりますわ。もし興味がおありでしたら、どうぞご覧になって下さいませ」
紫「‥‥なんだろう、もうゴールしてもいいよね‥‥?」
◆
『都古ちゃん出ますか?
ネコアルクとネコアルク・カオスは出ますか?
志貴に会う事はありますか?
七夜様の出番ください
メカヒスイも出来れば…』
お便りありがとうございます。しかし、流石にこれからどのキャラクターを出すか、などの質問にはお答えしかねます。どうぞ期待してこれからの展開をお待ち下さい」
『この作品を書こうと思ったきっかけのようなものはありますか?』
きっかけ‥‥というと中々に難しいものがありますね。
どこかで申し上げたことがあるかもしれませんが、元々私は携帯サイトの方で女性向けの夢小説をテイルズなどで書いていまして、Fateに出逢ってからも暫くはそちらを更新しておりました。
ですが何を何処でトチ狂ったのか、パソコンでssを発見。それから暫く、半年ぐらいはssをひたすらに読みあさる毎日でした。
しかし物書きの性分か、ある日突然自分もssを書き始めることを決意しまして、後はその日の内にザッとプロットを書き上げて見切り発車。自分でも何とも恐ろしいことをしたと思いますww
直接的なきっかけは‥‥やはり他のss作家の方々の素晴らしい作品達、ということになるのでしょうか。
『青崎姉妹からは魔法使いの夜で起きたことは詳しく聞かされているのですか?
紫遙にもちょこっと話させましたが、青子から魔法使いの夜については全く聞かされていない状況です。というより作者もアレはさっぱり分かりませんので、彼にも分からないという風にさせて頂きました。
『ズバリ今の気持ちは?』
皆様からのたくさんのお便りに、感涙です! また執筆の意欲もグングンと上がっています。これからも頑張っていきたいです!
『ハドソン婦人は俺の嫁ですよね?』
いいんじゃないですかね?www
もともとサブキャラとして登場したハドソン婦人ですが、まさか人気があるとは思いませんでした。
ちなみに容姿は本文でも描写していますが、詳しくはアニメ名探偵ホームズの方でご確認下さいww
犬耳犬鼻犬尻尾が似合いそうな子犬系美人、です。
『冬霞さんはどこ在住?』
東京の片田舎です。大学まで二時間かかります‥‥orz
『冬霞さんの酒の趣味、飲む頻度と量は?』
基本はビールか発泡酒ですね。後は辛口の酒が好みです。ホッピーとかハイボールとか、あとワインとか日本酒もやってます。
頻度は‥‥基本的には毎日で、週に二日くらい休肝日がありますww 量はそんなに多くないですよ? 大体平均して発泡酒を二本、ワインをグラスに二杯ぐらいですかね。たまにホッピーかハイボールが付きますが。
『基督教徒らしいですが、結構敬虔な信者なのですか? クリスマスは教会で過ごす系?』
過ごしますね。というか基本的に毎週日曜日は教会で何かしら仕事やってます。
お金は貰っていませんが、やっぱり受けた恩は返したいという思いがありまして。今は子供達の世話をしたり、後は色んな書類を発送する準備をしたりしてます。
ちなみに宗派はカトリックで、幼児洗礼ですので生まれた時からキリスト教徒です。
『貴方が一番好きなシーンは?』
全て‥‥と言いたいところですが、あえて言うなら橙子姉がバグ爺を始末するところでしょうか。
『次回予告やってみてください』
それでは【UBW〜倫敦魔術綺譚2wei!】の予告を、お終いの挨拶に代えさせて頂きます。
皆様二万文字の長きに渡り、このお祭り企画に参加頂きありがとうございました!
これからも執筆、頑張っていきたいと思います!
【UBW〜倫敦魔術綺譚2wei!】
霧の街、倫敦。世界に冠たる大英帝国の首都に、同じく世界で最も大きな裏の組織である、魔術教会の総本山はあった。
その名を時計塔。数多くの魔術師達が、今日もその研究に精を出す魔窟に、少年少女達の姿がある。
「なんだって、真祖の姫が倫敦に———?!」
「そうよ、何が何だかさっぱりだけど、普通に飛行機に乗って普通に現れたらしいわ。あまりにも普通過ぎる手段なんで対応が遅れたけど、もう倫敦の街中に潜入している可能性があるの」
「私達に何とかしろ、との命令ですか。全く、厄介払いもいいところですわね」
突如、倫敦に現れた真祖の姫。
時計塔の上層部からの命を受けた紫遙達は倫敦の街を真祖の吸血姫を捜して走り回る。
「‥‥ふう、今日も暇ですね。しかし私が暇なのはいいとして、貴方は学生に見えますが、倫敦にはどのような用事でいらしたのですか?」
「なんてことはない観光だよ。俺の連れがどうしても一緒に外国旅行がしたいって言ってたからさ、ちょうど先輩が倫敦に用事があるっていうんで、一緒についてきたんだ」
「なるほど。しかしそういう割には今の貴方は一人でいるようですが‥‥。連れの方はどうしたのですか?」
「‥‥実は、さっきまでちゃんと一緒にいたのにいつの間にかはぐれちまったんだ。まったく、絶対に俺の目の届くところからいなくなるなって言ってたのに、あのドランクヴァンプ‥‥!」
探すは真祖の姫なれど、その側に必ず侍るは魔眼の騎士。退魔の血族の生き残り。現代に甦りしバロールの化身。
そして存在しないはずの蒼崎の名をもつ魔術師の側にいるのは、赤い外套を羽織った現代の英雄。
決して交わるはずのなかった二人の主人公。共に、世界を動かす、世界の中心に立つ人間である。彼らは、ただ一つのイレギュラーを介して交わった。
「えっ?! お見合い?」
「えぇ。流石にエーデルフェルトの当主とあろうものが婿の一人もいないままでは問題ですからね。便宜上でも、とにかく主人となり得る相手を据えなければと上の者が決めまして」
「‥‥君が当主なのに、当主に命令を下せるような連中がいるのかい?」
「エーデルフェルトは決して一つの家だけで組織されているわけではありませんわ。歴史が伸びれば、それに従って分家も増えます。そういった全ての家をまとめてエーデルフェルトという家が出来上がっているのです。
ならばそれらをまとめる組織があるのも必定。それらは時に当主に対しても命令が出来る立場を持っております」
「‥‥そう、か。それで、君は納得しているのかい?」
「納得、というような問題ではありませんわ。魔術師は自分の血脈を後世に残さなければなりません。それは、一つの家を継いだ魔術師としての義務であり使命です。ならば、私は義務を果たさなければなりません」
「‥‥‥‥」
「‥‥もし———いえ、なんでもありませんわ。私は用事がありますから、これで失礼いたします。見合いは明日ですので、支度をしなければ」
「‥‥あぁ、気をつけてね、ルヴィア」
「‥‥はい」
非日常は突然やってくる。しかしその先触れは、日常の裏に潜んで着実にその枝葉を伸ばしつつあるのだ。
日常の中に紛れ込んだ非日常に気づけずに、僅かな非日常に動揺して、それでも彼らは日常を謳歌していく。
それが不変であるとは欠片も信じていなかった。誰もが、日常が簡単に非日常になり変わるということを知っていた。決して楽観視などしてはいなかった。
しかし、それでも非日常は予期せぬ時に訪れる。悲しいことに、彼らにゆっくりと思い悩む時間など無かった。たとえどれだけそれが必要だったとしても。
「どうして俺はこの世界に来たんだろう。まだ、答えは見えていない。俺は、どんな意味を持ってこの世界に生きているんだ? 向こうの世界じゃなきゃいけない理由があったのか? 俺は———」
「あれ、もしかして■■君?」
「え———?!」
「もしかしなくても■■君じゃん! いやーよかったよかった、全然知らないところにいきなり迷いこんでどうしようか途方に暮れてたんだよねー!」
「き、君は‥‥ッ!!」
全ては必然だった。この世界に、偶然によって生じたものなど一つたりとも有り得ない。
そもそも偶然とは何なのか。確率論などというものでは括ることはできない。
なぜなら、我々人間がソレを理解することが出来ないからこそ、我々はそれに偶然というラベルを貼り付けたのだ。
それは一方的で、実は全く意味のないこと。理解できないものを理解する努力なしに、ただただ偶然という無知のラベルを貼り付けたとしても、それは確実に存在しているのだから。
偶然。それはおそらく、人間には理解出来ない存在によって采配を振られた事象。もしくは、ただ偶然を目撃した人物が知覚できなかっただけで、“何者かによって企てられたモノ”だったのかもしれない。
ならば、賽子を振ったのは誰だ? その答えは日常と非日常によって作られた螺旋の終着点にこそ存在する。
「‥‥この選択、結末を悔いているか?」
「後悔は‥‥しない‥‥。俺は、あの時、自分の過去を突きつけられたあの時に‥‥そう決断した‥‥」
「そうか‥‥。私は、お前が後悔していないなら、それでいいさ‥‥」
「ゴメン、橙子姉。強いて何か後悔しているかっていえば、橙子姉よりも先に———」
「それ以上は言うな。もう、いいだろう。ゆっくりと休め。お前はよく頑張った。最後まで、自分一人で耐え抜いたんだ。最後の最後で立ち止まって休んだとしても、誰も文句など言わんさ‥‥」
世界の終末が近づいてくる。破滅の角笛と共に、終末は着実にその足を日常に踏み入れる。
それは非日常をも、非日常を超えた存在へと昇華させる。否、それは昇華ではなく堕落か墜落か。とにかく決して後戻りすることの出来ない終末には違いない。
破滅を打開する手段は、終末の先にこそ存在している。だからこそ、皆が足並みを揃えて終末の先、破滅へと進軍していった。それはまるで、死の
終末の中で、それでもその先にあるはずの終着を目指して、誰もががむしゃらに進んでいった。
ならば、それが彼らの意志によって進められた劇であったとするならば、その終着が何であったとしても後悔などあるはずがない。
それは、彼らが自ら選んで手にした
「———紫遙、何を求める?」
遠い日に、何を夢見たろうか?
日常に、何を夢見たろうか?
安穏とした日々の中で夢見たものは、非日常を超えた終末の中で手に入れられることはない。
そんなことは分かっていた。だからこそ、彼らは終末の中でも藻掻き続けていたのだ。
「———紫遙、何処に求める?」
自分は、何故ここにいるのだろうか? 自分の存在に意味があったのだろうか?
あの日常と非日常の中、ひたすらにそれを悩み続けた。そしてその答えは、終末の先、破滅の先、そこにあった終着にこそ見出される。
「———紫遙、何処を目指す?」
それでも、今ここが自分の終着である。各々の終着が、ここにある。
志半ばに果てた者もいるだろう。未だ、破滅の先を目指して必死に歩み続けている者もいるだろう。
それでも、今ここが自分の終着である。自分の物語の
幕はもう閉じた。俳優は既に舞台を降り、楽屋で一時の眠りにつく。
その一時がどれだけの時間になるか‥‥。それを答えることが出来るものは、もういない。
なぜなら、俳優は既に眠りについているからだ。
「‥‥フン、もう答えられないか」
一人の魔術師が、確かにそこにいた。
彼は魔術師だった。どこまでも魔術師でありたがった。
そして、それでもなお、彼は友を見捨てられなかったのだ。
彼と共に歩いて来た、全ての者がそうだった。だからこそこの結末があり、だからこそ彼は後悔などしていない。
「‥‥全く、姉の質問に答えないとはな。あぁ、全く、たいした姉不孝者だよ、お前は———」
日常と非日常によって作られた螺旋の果ては、この終着をもって幕を閉じる。
では始めようか、彼らの物語を。
終末の果て、破滅の先にあるはずの終着と、自分の意味を求め続けた彼らの物語を‥‥。
【UBW〜倫敦魔術綺譚2wei!】
Another act Fin.