UBW~倫敦魔術綺譚 (未改訂版)   作:冬霞@ハーメルン

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ここでは拙作において出てきた用語について、独自解釈、独自設定を含めた説明を行っています。
あくまで拙作の中だけでの設定ですので、ご了承ください。


設定集 『用語説明』

 

 

 

 

 

 

■ 倫敦遠坂邸

 

 魔術協会、時計塔が特待生であり外国からの学生である遠坂一家(総勢三名)のために用意した学外の宿舎。

 本来、時計塔に通う学生はノーリッジにある学生寮に入るか自前で家を調達しなければならないのだが、色々と波乱を巻き起こす種になりそうなことを事前に察知していた———ギャグ的な意味ではない———時計塔が隔離政策の一環のように調達した。

 外見は古き良き洋館。冬木にある遠坂邸よりも更に古く、倫敦が倫敦という体裁を整えた時から在るような重厚でおどろおどろしい雰囲気を湛えているが、両脇にはまるで挟み込むかのようにアパートがそびえ立っている。

 部屋数は三人で住むには十分に過ぎ、各自が寝室と工房を持ち、客間をかなりの数だけ整備しているが、それでも手が回らず完全に空き部屋になっている部屋も幾つもある。特にワイーナリーなどは埃を被って久しい。

 工房は地下にあるが、その更に奥にも下へと降りる階段がある。もっともコレは凜達に渡る前に魔術協会によって封印されているので、何があるのかはさっぱり。

 

 前の住民は封印指定の魔術師。生物関係の魔術、特に合成獣(キメラ)人工生命(ホムンクルス)などについて研究していた魔術師であり、付近の住民を掠って被験体にしていたがために執行者によって討伐された。

 封印指定とはいっても実力は左程高かったわけではないらしく、今ではその魔術回路と魔術刻印、そして脊髄や脳などが時計塔の地下に眠っているらしい。

 

 

■ 紫遙の工房

 

 時計塔の地下深くにある。基本的に紫遙はここで寝泊まりしており、下手すれば一週間以上も時計塔から出ることがない。

 玄関から入るとすぐにリビングがあり、その奥にはダイニングとキッチンが順番に配置されている。ダイニングにはそれなりに大きなテーブルが据えられているが足は短く、両側には大きなソファが一つずつ。

 キッチンはかなり狭く、基本的に最初から住居とすることは想定されていない。

 ここから玄関に向かって右側に洗面所とシャワー。左側には寝室と、その奥には工房と作業場へと繋がる階段がある。工房と作業場は一つ下の階にあり、一番奥の工房へといく廊下には幾つか罠も。

 不潔ではないが有り得ないぐらいに散らかっており、ところ狭しと魔術書の類が積み上げられ、作業場も真ん中の作業台付近以外には資材が散乱している。

 ちなみに玄関の扉は通常のものよりも分厚く、中には秩序の沼が再現されており、無理矢理に侵入を試みた者はこの中へと閉じこめられてしまう。時計塔の中でも、トップクラスに近い防犯が施されているのは橙子の仕業。

 

 

■ 両儀流道場倫敦支部

 

 幹也との結婚を前に両儀家の次期当首として妙に張り切ってしまった式が海外進出した結果。

 やはり倫敦だけあって土地がとれなかったらしく、一階が殆ど道場で、師範一家の住居は二階へと移されている。一階には他にも風呂場と炊事場、応接室などが据えられている。ちなみに庭は狭いが細長く、ここで士郎が弓を射つこともある。

 実践的な古流をジャパニーズブームの中で誇張して宣伝したがために門下生はそれなりに多く、繁盛している。海外であるために両儀本家との絡みは無いに等しいが、師範は式との面識があるそうだ。

 元々ここで紫遙が鍛錬をしていたが最近はめっきりご無沙汰で、もっぱら士郎が手合わせに通うばかり。

 

 

■ エーデルフェルト別邸

 

 倫敦郊外に建っている豪邸。丘を幾つかと森を一つ越えると現れる大きな屋敷は近所の名物でもあり、これで別邸というのだから本邸はどれほどのものかと士郎達———特に凜———に衝撃を与えた。具体的には冬木の遠坂邸五つ分ぐらい。

 ルヴィアの他に執事筆頭のオーギュスト。他にもコックやメイド、庭師その他諸々、総勢で十数人を超える数が住み込んでおり、結構賑やか。とはいえ厳粛な性格であるルヴィアが主なので、屋敷の中では最低限の物音しかしない。

 邸内には庭も含めて数えるのも馬鹿らしいぐらい大量の、物理的、魔術的な罠が仕掛けられており、それらは執事長であるオーギュストによって管制されている。ちなみに邸内に魔術師はルヴィア以外にはいないが、オーギュストをはじめとして特殊な経歴を持った者は数多い。

 

 

■ 時計塔

 

 言わずと知れた魔術協会の総本山にして、世界でも最も優れた魔術の最高学府。

 数多の学部、学科、部門に分かれており、それら全てを把握しているのは学長や各部門の長など数が限られる。そのぐらいに人外魔境なところだと覚えていれば多分問題ない。ぶっちゃけ覚えて無くても問題ないぐらい多いけど。

 敷地は基本的に地下で、下に向かって伸びた塔をイメージすればいい。下の階層に行けば行く程に人外魔境度が増していき、最下層に何があるのかは誰も知らない。ちなみに紫遙の工房は魔法使い用であるため、結構深いところに位置している。

 表の顔は大英博物館。通常、ここのカムフラージュされた従業員出入り口から時計塔へと侵入する。また時計塔の学生は特別学芸員の待遇で大英博物館を利用できる。時計塔にあるカフェなどは非常に味が良くないので、上で食事をとる学生が多い。

 

 

■ ハドソン婦人のアパート

 

 倫敦遠坂邸のすぐ隣に立っている、これまた年代物のアパート。

 このアパートは下宿も兼ねており、管理をしているのがハドソン婦人である。もっとも今の入居者はたったの二人で、その二人もフットワークが軽く滅多に帰ってこないという。

 帰ってきた時には二階の窓からパイプの煙やら何やら怪しげな実験で生じた異臭やらがするので分かりやすい。

 

 

魔弾の射手(デア・フライシュツ)

 

 稀代の人形師である蒼崎橙子によって作り上げられた戦闘用の魔術礼装。

 自在に空を斬って飛ぶ不可思議な金属光沢を持った鈍色に光る七つの球体であり、才能の欠片もない紫遙が使っているからわかりにくいかも知れないが、魔術礼装としての位階は相当に高い。

 内部にルーンが仕込んであるため様々な魔術の触媒として使え、またプログラムを入力することによって複雑な機動をオートで取らせることが出来るため、基本的に戦闘の才能がない紫遙でもそこそこに戦うことが可能。

 欠点は、基本的に旋回半径か加速距離が必要なため、狭いところや乱戦においては動きが限定されてしまい、ほとんど使えなくなること。また製作が非常に面倒な上にメンテナンスも手間がかかるので、長期間の継続的な戦闘は困難である。

 

 

■ オストローデ

 

 ドイツのハルツ地方、ブロッケン山の近くに位置する新興都市。

 中世の時代には大きな都市が存在していたが一夜の内に謎の壊滅を遂げ、それから現代まで長い間、廃墟だけが広がっていた。十数年前に地方のプロジェクトで中央へと仕事へ向かう人達の住宅地として再興する。

 街は中心部を縦に両断する大きな街道を境に東西へ分かれており、それぞれの中央部には大きな公園が据えられている。住宅以外の様々な施設、警察署や役所、スーパーマーケットなどは都市の外周部に配置されているというおかしな都市設計。

 街の周囲は一回りはなれて途切れ途切れに、中世の名残である城壁の残骸が広がっている。その更にs外側には鬱蒼とした森であり、今でもなお夜には街を離れない方がいい。

 この周辺を領地としていた死徒、ルードヴィヒ・フォン・デム・オストローデによって現在は多数の住人が謎の失踪を遂げ、新たな住民の誘致には非常に苦労しているらしい。

 

 

■ 赤原礼装

 

 第五次聖杯戦争においてアーチャーのサーヴァントが纏っていた緋色の外套。

 マルティーンの聖骸布によって作られた最上級の魔術礼装であり、外部からの魔術的、物理的な干渉を高いレベルで遮断する。

 布だけではなく縫製の技術についても特殊な方法を採られており、刺繍糸も一つの礼装である。また手の甲の飾り石の中には依頼者であるルヴィアが魔力を込めた護りの宝石が埋め込まれている。

 ちなみに聖骸布を手配したのは、ルヴィア経由ではあるがロード・エルメロイ。また縫製を担当したのはエーデルフェルト本家お抱えの礼装職人であり、ルヴィアの体格には全く合わない不可思議な注文に、しきりに首をひねったという。

 この些細な疑問が大きな問題へと発展するのは、また別の話。

 

 

■ クラスカード

 

 鏡面界と仮称される異空間を作り出し、そこに英霊を召喚する大魔術、およびソレを行使するための魔術具を指す。

 設定された空間ないしは領域に訪れた魔術師を捕捉、二次元を介して反転させるような特殊な術式で被術者を鏡面界に取り込む。

 この際に術者は三次元から一瞬だけ二次元に存在する被術者の記憶を探ることが出来る。高次元からの干渉であるので二次元に存在する被術者は強力な精神障壁を張ってでもいない限りはこの探査を近くすることも不可能。

 

 鏡面界に召喚される黒化英霊の触媒はこの探査によって得られた被術者の記憶である。故に今回の一件で現れたサーヴァント達は、一体を除いて全てが第五次聖杯戦争時のパーソナリティを保有している。が、当然ながら黒化しているので人格は正常に働いていない。

 

 記憶を概念(キーワード)化して英霊の座に検索をかけているので“正確に英霊の正体を把握している”ならば被術者が直接英霊と対面したことがなくても触媒としては十分。ただし正確に把握していることが条件である。記憶の中の情報が少なければ必然的に召喚に用いる触媒に使うのは困難。

 また鏡面界を構成している魔力、英霊を召喚する魔力、英霊に供給される魔力は七枚のカード全てで一つの電源を使っているような状態。

 つまり供給対象であるカードの枚数が少なくなればなるほど、鏡面界の中のサーヴァントの保有魔力量は多くなる。が、カードによって作られた鏡面界はカードが発動状態で共有している歪みが少なくなるので狭くなってしまう。

 

 並行世界の運用たる第二魔法と次元論の一種である第五魔法の一部を組み合わせた、極めて高度な精神干渉系の魔術との複合技術であり、意味合いは異なれど固有結界にも匹敵する大魔術である。

 

 

獣縛の六枷(グレイプニル)

 

 紫遙が魔眼を更に超える、本来の研究の一助にと作り上げたAランクに匹敵する大魔術。

 六つの媒体———宝石やルーン石———を用いて地面に魔法陣を描き、空中に留まったそれらと地面の魔法陣とで捕縛結界を作り上げる。

 本来の宝具である『獣縛の六枷(グレイプニル)』はロキ神の眷属である魔狼フェンリルを戒めたという伝承の通り、魔物や獣を束縛する、『天の鎖(エンキドゥ)』にも似た効果を持つ。

 しかし彼の作り上げた魔術では、宝具としての特性まで再現するに至らなかった。かろうじて獣と術者が認識したものに対しては僅かに効果が強くなるという特性はあるが、バーサーカー相手では殆ど意味がない、ただの頑丈な捕縛結界。

 当然のことながら紫遙の魔力量ではろくに運用することが出来ず、実際に使ったのは実験を含めても片手の指で足りる程。今回のバサカ戦では、残りの二人に大部分の魔力運用を依存している。

 

 




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