エクストラダンガンロンパZ 希望の蔓に絶望の華を   作:江藤えそら

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お久しぶりです。
いよいよこの時が来てしまいました。
最終章、6章の開幕です。
冒頭にはこれまでの人間関係等をまとめた資料を作りました。
絵やまとめ方が下手で恐縮ですが、何卒皆様の助けになれば幸いです。


Chapter6 たったひとりの最終裁判(けっせん)
Chapter6 非日常編① 運命編


 ◆◆◆

 

 

《ここまでの人物・派閥関係まとめ》

 

 

※Chapter5の最終話までのネタバレを含みます。

※ストーリーの理解の補助になれば幸いです。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 五度目の裁判は、四度の絶望を何とか乗り切った俺達にとってあまりにも残酷な脚本だった。

 そんな俺達をあざ笑うかのように現れ、消えていった釜利谷君。

 入間君の壮絶な叫びと壮絶な死。

 もう何が正義で何が真実かも分からない、地獄のような裁判。

 

 現実から逃げ出すかのように裁判場を立ち去ろうとする俺達を引き留めたのは、小清水さんの声だった。

 

 

 

「伊丹ゆきみを殺した犯人であり、コロシアイ学園生活においてルールを破った、このモノクマを弾劾するための裁判をね」

 

 

 

 止まっていた思考は再び動き出す。

 

 この事件には、まだ真実が眠っていたというのか?

 

 

『…え? なに言ってんの?』

 モノクマはキョトンとした表情で首をかしげる。

『今見たでしょ。伊丹ゆきみさんを殺した犯人は入間ジョーンズ君で、それが正解だったからオシオキされたんだよ。本人も認めてたし』

()()()()()()()()()()()()よ」

「………根拠は」

 吹屋さんが口を開く。

「根拠は、あるんでありんすか」

 彼女の敵意のこもった目線は、小清水さんとモノクマの双方に向けられていた。

 

「おかしいと思わなかったの? 裁判の時のモノクマの振る舞いに対して…」

 自分の席に戻ると、小清水さんは語りだす。

『勝手に議論始めないでよ! 裁判を仕切るのはボクだって言ってるでしょ!?』

「確かにおかしかったな……。男子の部屋を強引に捜査しだしたのは」

 モノクマの怒号を無視して前木君が答える。

 

 

 俺も、確かに違和感を感じていた。

 

 すでに捜査時間は終わっているというのに、男子の部屋に工具セットがあるかを調べたいと言い出した小清水さん。

 どう考えたってそんなことができるはずがない。

 それができるなら、裁判の最中に現場や個室を調べなおすことだってできてしまい、学級裁判というシステムそのもののバランスが崩壊してしまう。

 

 だが、モノクマはそれを許した。

 許すどころか、自ら調査する役を買って出たのだ。

 あくまでも裁判の演出の一環という態度ではあったが、はたから見ておかしいのは明白だ。

 でも、考えるのが嫌になってしまっていたから……。

 絶望に打ちひしがれてしまったから…。

 俺はあの場では何も言わなかった。

 

 

「モノクマは入間ジョーンズがクロである証拠を私たちに掴ませたかった。…すなわち、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

『なにめちゃくちゃなこと言ってるのさ!! いい加減にしないと仏のボクも怒り出すよ!』

 爪を振り上げて威嚇するモノクマだが、小清水さんは動じない。

 

そうしないと脚本通りにならないから……ですか?

 一石を投じたのは山村さんの静かな言葉だった。

「ご名答。それを示す根拠は、さっき見せられた”釜利谷三瓶の映像”。あの映像はこのコロシアイが起こるより前に撮影されたもの。だけど入間ジョーンズがクロになることを正確に言い当てていた」

「”そういう脚本”があらかじめ書かれていたから……ということだね」

 ようやく俺は声に出して言葉を発する。

 

 脚本がどうとか、今はもう考えたくもないことだけど…。

 

「あの映像を使うには、当然クロは入間ジョーンズ()()()()()()()()()。だからこそ黒幕は自らの手を下して入間ジョーンズが殺人を犯したかのように見せ、あたかも全ての事象が己の筋書き通りに進んでいるかのように演出する必要があったのよ」

「…前回の裁判で土門が脚本の調整役をしているって言ってたな…。土門を消した黒幕は、今度は自分自身でその役をやったってことか……」

 

「ちょっと待ってほしいでありんす」

 再び、吹屋さんの言葉が小清水さんの論理に水を差す。

「その話、ジョーちゃんがクロじゃないって前提で話が進んでるでありんすけど、それは一体どうしてでありんすか? そこを覆すと今までの議論を全否定することになるし、モノクマが言った通りジョーちゃん本人も認めてたでありんすよ?」

 人が変わったかのように冷静に論理を並べ立てる吹屋さん。

 一方モノクマは、諦めたのか呆れたのか知らないが怒鳴るのをやめ、じっと何かを考えこんでいるようだった。

 

「その話をするには、まず今回のクロがどういった定義で決まっているかを考えなくてはならないのよ。あなた達と違って私は捜査をできなかったから、フラットな目線で考えさせてもらえたわ」

「そういえば……小清水さんは捜査もしないで何を調べていたんですか…?」

「その話は後。まずはクロの定義についてハッキリさせないと話が進まないのよ」

「…伊丹さんが亡くなったのは落下による転落死。でも、その落下は入間君が仕掛けた爆弾の爆風によるものだった…。だから、爆弾を仕掛けた入間君が犯人っていうことになったはずだよ」

「その論理には飛躍があるのよ。そもそも、その爆弾の起爆剤となったのは落雷……すなわち気象現象よ」

「だからお天道様が犯人だとでも言いたいんでありんすか?」

「…私が捜査の時間にあの管制室を調べていた理由がここに繋がるの。あなた達も一度はあの部屋を見たでしょう? あの部屋には何があった? あの部屋では何ができた? 足りない知恵を絞って考えなさい」

 

 捜査時間に小清水さんはずっと管制室にいた。

 あの小清水さんがそんなことをするということは、管制室にはそれだけのことをする価値があったということだ。

 

 思い出せ。

 管制室で行える、かつ事件に関わらせることのできること。

 それは一体―――。

 

 

 

【ノンストップ議論開始】

 

 

小清水彌生:「今回の事件の直接の要因は…」

小清水彌生:「偶然その時に落ちてきた落雷

なのよ」

前木常夏:「でも、落雷はア報知ドリで予測されてたんだよな」

小清水彌生:「天候は予測できても、具体的に雷が落ちる瞬間までは予測できない…」

吹屋喜咲:「つまり何が言いたいんでありんすか!?」

山村巴:「落雷が落ちる可能性を制御できる方法があったということですか…?」

前木常夏:「いや…そんな方法があるとは思えねえぞ…」

 

「山村さんの意見に賛成する!」

 

【使用コトダマ:管制室の機能

 二階の美術準備室から繋がっている管制室では、このコロシアイの舞台である特別分校内の様々な設備を操ることができる。

 しかし監視カメラの映像切り替え以外はパスワードが必要であり、葛西たちには操ることができない。

 

 

「小清水さんが捜査時間に籠っていた管制室…。そこはもともと黒幕側の人間がコロシアイ生活を管理するうえで必要な機能を備えた場所だったんだ。」

 

 俺は事件前のことを思い返す。

 今日の日中、俺は動機を受けて小清水さんが無事か確認するために彼女を探していた。

 小清水さんは管制室にいて、俺も少し管制室について調べたんだった。

 

 あの時、俺が管制室で見たものは―――。

 

 


 

 

【Chapter5(非)日常編⑤】

 

 

 

「……」

 

 彼女の真意はともかく、俺はもう少しだけこの部屋を調べることにした。

 

 実際にいじってみると、監視カメラの映像を切り替えるボタン以外は全て操作にパスワードが必要だった。

 

 校内へアナウンスができるマイクも、パスワードが解けなければ意味がない。

 

 他にも様々な機能を持つボタンやレバーが立ち並び、注意書きが施してある。

 

 

 

『大ホールの照明強度

 

 大ホールの扉ロック

 

 エレベーターのロック

 

 全フロア換気扇スイッチ

 

 避雷針の標高調整

 

 全フロア気圧調整

 

 ……』

 

 

 

 本当にいろんな機能が集約されているが、その中でも目を引くのは『エレベーターのロック』だ。

 

 この機能を上手く制御できれば、エレベーターで地上に降りることができるかもしれない。

 

 そうすれば、黒幕との勝負をせずともここを脱出できるかもしれない……?

 

 


 

 

 

「…………!」

 その中に答えがあった。

「そうか…。あの時俺は『エレベーターのロック』機能にばかり気を取られていた…。けれど本当に大事なのはそこじゃなかったんだ」

「葛西……いったい何の話だ?」

 

 俺は、事件前に管制室で見たものについて簡潔に説明した。

「ふむふむ……16桁の数字のパスワードを解くことでそういった機能をあの部屋で操ることができると…」

「……で、この中にある機能のうちで一番大事なのは……『避雷針の標高調整』なんだ」

「…は? 標高調整……?」

「つまり、避雷針の高さを管制室で自由に変えることができたということでありんすか」

 吹屋さんの言葉に俺は頷く。

 

「そうなんだ。もちろんこの機能はパスワードを知らない俺達には使えないけど、モノクマ……すなわち黒幕は当然パスワードも知っているはずだ。つまり黒幕には、避雷針の高さを調節して落雷が当たりやすいようにした可能性があるってことになるね」

「………!!!」

 みんなの表情に衝撃が走るとともに小清水さんがすました顔でモノクマの方を見る。

『…一応聞くけど、そんな理由でボクがクロになるとでも言いたいワケ? 仮にボクが避雷針を動かしたのだとしても、入間君が爆弾を仕掛けたという事実は何も変わらないじゃない。どう考えてもクロは入間くんだよ』

 

「そのクロの選定の基準は何だというの? その定義を明確に私たちに示していない以上、あなたがどう喚こうと独りよがりのこじつけにしかならないはずよ」

『いやいやいや。だって考えてみなよ。もしボクが避雷針を動かしたとしても、入間君が爆弾を仕掛けなかったら伊丹さんは死んでないからね?』

「でも、お前が避雷針を上げなければあの瞬間に落雷は落ちなかったかもしれなかった…。その論理ではクロを入間くんだけに絞るのは無理だ。この事件は、クロを明確に特定することのできない事件だったんだよ!」

『あのさぁ。今までさんざん議論や裁判を切り抜けてきたくせにそんなことで結論付けちゃうワケ? 今まで何度もやってきたことを思い出してみなよ。”指摘する時は根拠を添える”。ボクが避雷針を動かしたとして、それはあくまで仮定でしかないよね? 実際にボクが避雷針を動かしたという根拠は? 証拠は?』

「…根拠?そんなものが」

「小清水さん」

 モノクマに反論しようとする小清水さんに俺は声をかける。

「俺に言わせてほしい…。お願い」

 そう懇願すると、「好きにしろ」と言わんばかりに彼女は黙り込む。

 俺は深呼吸して語りだす。

 

「モノクマ。今はこれまでの裁判の常識を当て嵌めるべき場面じゃない。だってお前は俺達と同じ立場じゃない。お前は圧倒的な権力を持っていて、管制室のパスワードだって分かっている。恐らく管制室のデータには避雷針を動かした痕跡が残っているはずだけど、それも俺達には絶対に見ることができないし、なんならもうログそのものを消してしまっているかもしれない」

『…………』

「だからこそ、同じ条件で議論をしていたらダメなんだ。お前は出せる可能性のある情報を全部出して、100%完璧に自分が無実であることを証明しないと潔白とは言えないんだよ。そうじゃないと公平な裁判にならない」

『……ボクが君たちと公平な裁判をする義務があるっていうの?』

 

そうしなければ”お客様”が納得しない………

 前木君がふと呟いた一言。

 その言葉に、俺は何故か胸騒ぎがした。

「小清水が前に言っていたんだ。モノクマはあくまでもこのコロシアイを”脚本”と呼んでる。脚本ってことは、作品ってことで、作品ってことは”見せる相手”がいるはずなんだ。そもそも、こんな厳密にルールを定めてコロシアイをさせるのだって、”見せる相手”がいるって考えれば納得もできる。……そうだろ、小清水?」

「…………」

 小清水さんは答えなかったが、その眼差しからは賛意を感じ取れた。

 

「だからこそ……黒幕は俺達と公平な裁判をしなきゃいけない。お前自身がありとあらゆる情報を出して、避雷針を動かしていないことを証明しなきゃいけないんだ。……さあ、やってみせてくれよ」

 俺はモノクマを見据えてそう呼びかけた。

『……‥』

 モノクマは何も言わなかったが、代わりにモノクマの後ろにスクリーンが降りてくる。

 スクリーンが降り切るとほぼ同時に、そこに映像が浮かび上がる。

 短い英文と日付、時間を羅列した文章が何行も並んでいる。

「これは……履歴か?」

 どうやら、管制室で操作したものの記録がこのデータの中に残されているようだ。

『日付は 1 day を”コロシアイが始まった日”と定義して記録してあるよ。今日の履歴はこれだよ』

 

 ” ×× day 22:04 Lightning rod extended ”

 

「ライトニン……”避雷針”?」

「……を、extend…”伸ばした”、と」

 

「決まりね」

 小清水さんの言葉が全てを物語っていた。

 

『……この履歴はボクでも消せないんだよ。君たちの言うとおり、避雷針は事件の時間に上に稼働させたよ』

 モノクマはいつもとは違う重く静かな口調でそう呟く。

 

「……これでハッキリしたよね。今回の事件のクロを入間君と断定することはできない。つまり…モノクマが入間君をクロと断定したのは不正だったんだ!」

 俺はモノクマを指さして糾弾する。

『…………』

 モノクマは何も答えなかった。

 

 初めて、俺達のコトダマをモノクマにぶつけることができた。

 俺達の強大な敵であるモノクマに……。

 

「でも、待てよ……。一個、いいか?」

 しかし、もう少しでモノクマを追い詰められそうという時に前木君が割って入った。

 

「小清水……。お前は裁判の時から、その事実に気付いていたんだろ? なのに、今まで黙っていたのか? 入間のオシオキの前にそれを言えば、オシオキは防げたんじゃないか? ……俺が入間をかばうのもおかしな話だけど……」

 前木君の言葉を聞いて、俺はハッとなった。

 

 そうだ。

 入間君は……助けられたかもしれないじゃないか。

 それなのに……俺はその事実に気付かず……。

 

「た、確かに……。実際のクロが特定できない状況だったのなら、それをモノクマに言えば入間君を助けられたかもしれないですよね……」

 一同は一斉に小清水さんを見る。

「ジョーちゃんを……見捨てたんでありんすか」

「随分と偉そうな言い方をするのね。管制室の仕組みさえ知っていれば裁判以前に気付くこともできたのに、気付けなかった自分にも責任はあると思えないの?」

「…………!」

 見る見るうちに吹屋さんの顔が怒りで赤く染まっていった。

 

 そうだ。

 そこに気付いていれば入間君は死なずに済んだのかもしれない。

 あのオシオキを受けずに済んだのかもしれない。

 確かに彼は伊丹さんを殺した罪人だけど……。

 でも、あのオシオキ以外にも償う方法はあったんじゃないのか…?

 それこそ、ここで謎を解いて黒幕を倒すという償い方も……。

 

「確かに気付けなかった俺や葛西達にも責任はある…。だけど、小清水。お前は俺と協力して黒幕と戦うことになってたはずだ。今の話を俺に黙ってただけじゃなく、俺の意志も無視して勝手に入間を見殺しにしたのなら、それを許すわけにはいかない……」

 前木君はあくまでも静かに、しかし感情をこらえているのがありありと伝わる重苦しい声でそう言った。

 

 小清水さんは一つのため息をつく。

「…人間に情なんてないけど。確かに入間ジョーンズは生きていれば有力な戦力になったでしょうし、私から見れば生かす価値はあったわ。少なくともあなた達よりはね」

 小清水さんは髪をかき上げながら平然と述べる。

「…だけど、こうするしかなかった。なぜなら……」

 

 

「黒幕に”取り返しのつかない過ち”を犯させるには、入間ジョーンズを犠牲にするほかなかったのよ」

 

 小清水さんが重い表情で発した言葉。

 その真意を、彼女は続けて述べた。

「オシオキの前にこの事実を指摘していれば、黒幕は入間ジョーンズをオシオキできなかったでしょうね。でも、黒幕が事件に介入したという罪はあっても、()()()()()()で終わってしまう。…それでは黒幕を追い詰め詰めるには足りない」

 

 

視聴者(オーディエンス)達のヘイトが徹底的に、究極的に黒幕一人に向くようにするには……黒幕に取り返しのつかない過ちを犯させるしかない…」

 

 そして小清水さんはゆっくりと、モノクマに人差し指を向けた。

 

「あなたは今、無実かもしれない人間を一人殺した。確証もないまま、オシオキを執行した。…このデスゲームのルールは今、崩壊した。このゲームを見ている人間は今、あなたへの怒りと不信に苛まれているはず。もうこのゲームを続けることはできない」

 

 そうか。

 小清水さんはこれを……

 これを狙っていたのか……。

 

「入間を犠牲にしてまで黒幕を倒そうと……。俺がそんな作戦を聞いたら絶対に反対すると分かってたから黙って仕掛けたのか……」

「…………」

 

「…果たして、この展開も脚本通りなのかしら? ねえ、モノクマ」

『…………』

 

 何も答えないモノクマ。

 

「…何とか言えよ。今までさんざん俺達を弄んだくせに、自分が不利になると何も言わないのか?」

 俺は思わずモノクマにそう言葉を投げかけた。

 

 

『………うぷぷぷぷぷぷ』

 長い沈黙の果てに発したのは、その笑い声だった。

 

 

『それだけ?』

 

「それだけって、どういうことですか……」

『教頭が言った言葉、覚えてる? 最終裁判で解くべき謎は、”この学園の全ての謎”だよ。ボクが無理くり入間君を殺したことが分かったところで、それがこの学園の謎にどう繋がるの?』

「見苦しい言い訳ね。あなたがルールを守らない以上、私達もあなたが言う”最終裁判”とかいうふざけたゲームにも参加する義理はない。今のあなたがすべきことは、コロシアイゲームを解散して私たちを解放することよ」

『解散? 何も終わってないし何も解決してないのに、どうして終了する必要があるのさ。このコロシアイは、君達がコロシアイ不可能な人数まで減るか、最終裁判に勝つことでしか終了しないんだよ』

「な、何を言ってるでありんすか!! もうこのゲームは破綻してるって言ってるでありんしょ!! こんな脚本、誰も見ないでありんすよ!! アンタの目的はもう潰えたんでありんす!!」

『い~や、たとえ()()()()()()()()()()()()()、この脚本は全人類が目にすることになるよ。ボクの目的は確実に果たされているよ。ボクがやった不正なんて些細な事さ。

 今回の事件で大事なのは、入間君が”羨望”の心をもって伊丹さんと前木君を殺そうとしたという()()なのさ。結果はそこまで重要じゃないよ。便宜上裁判がきちんと終了するようにボクがほんの少し介入したってだけ』

「そ…そんな…そんなバカな話があってたまるか! 不正を犯しておいて、それを指摘されたら”そこは大事じゃないから”だと…? 見苦しいにも程があるぞ!!」

 俺は思わず顔を赤くして怒鳴りつけた。

『君達こそ見苦しいよ。そもそもボクの目的が何なのかも君たちが最終裁判で明かすべき謎だって言ってあるよね? それをはき違えて勝手に結論付けて追い詰めた気になって、間違いを指摘したら”言い訳だ”って喚くの? 正直言って話にならないね! サケも裸足で逃げ出すレベルの幼稚さだよ!』

 俺や小清水さんの攻撃にも一歩も動じないモノクマ。

 

『繰り返し言うけど、ボクを追い詰めたいならボクや学園に関する謎をきちんと正確に解くことだね! 次はないよ! 葛西君も小清水さんも、分かったね?』

「じゃあ……入間君の死は…全く無駄な犠牲だったと……?」

 山村さんが戦慄する。

『無駄ではないよ。彼のおかげで”第五の脚本”は成就したんだから。残す脚本はあと一つ』

 

『もうコロシアイが起こる必要はないんだ。あとは()()()()()だけ。小清水さんには悪いけど、答え合わせが終わるまではボクに付き合ってもらうよ』

「…………」

 小清水さんは沈黙する。

 彼女が仕掛けた勝負は、のらりくらりとモノクマにかわされてしまった。

 もしこのゲームを見ている人々がいるのなら…。

 ルールに対するこだわりを捨てたモノクマに納得などできるのだろうか?

 その納得すらも、モノクマには必要のないことなのか……? 

「人々の支持を失ってでも……それでもこんなくだらないゲームを続けようというのね。自ら課した不文律すら守れないくせに、権力で押さえつけて独りよがりの遊びを続けようというのね?」

 小清水さんは怒りをこらえながらモノクマに向けて言った。

『偉そうなことを言うなら謎を解いてからにしてほしいな。もう誰も殺す必要はないんだよ? ただボクや学園に関する謎を解くだけさ。今までに比べればよほど簡単なミッションじゃないか。ボクを倒したいって言うなら、最後のひと押しを頑張ろうよ!』

 

 

 小清水さんに決定的な隙を突かれたはずのモノクマは、しかしこれまでよりもはるかに強大に思えた。

 

 

 

「謎なら解けてるぞ、モノクマ」

 凍り付いた場に一石を投じたのは、前木君の一言だった。

「お前の正体はもう分かってるんだ。…だからもう、終わりにしよう。こんなゲームを続けても意味がない」

 その言葉を受けて、俺達の中に衝撃が走った。

「分かった…!? モノクマを操っている人物の正体が分かったんですか!?」

「ああ……。ずっと確信がなかったんだが……。ここまでのやり取りで半ば確信が持てた。やっぱり小清水が言ってた奴で間違いないと思う。そうだろ、小清水」

「…………」

 前木君の言葉に小清水さんは答えない。

「そ、それは一体……」

「その道しるべは、葛西に示してもらいたい」

「………え?」

 突然の指名に、俺は困惑する。

 

「いや、俺が言ってもいいんだが…。できることなら葛西自身の手で示してほしい。そうしないと……お前自身が納得できないと思う」

「………?」

 彼の言葉は、いったい何を示しているんだ……?

「なあ、葛西。本当は分かってたんじゃないのか? モノクマの正体、脚本を作り上げた人物を…」

 そんなバカな。

 俺は何も……。

 

 

 ”脚本”

 

 

「うっ…!!」

 突然、俺は頭痛に襲われた。

「うわっ、ぁあああぁぁぁ!!!」

「ユキマル!?」

 しゃがみ込む俺に、即座に吹屋さんと山村さんが駆け寄る。

 

 頭が、割れるように痛い。

 

 俺は。

 

 俺は………?

 

 

 


 

【Chapter2 非日常編⑤ オシオキ編】

 

 

 

 

 頭が割れるように痛い。

 

 

 

 裁判中の俺は、まるで”俺ではなかった”。

 

 何かがとりついたかのように、冷酷に、饒舌に、機械的に、クロを追い詰めていた。

 

 あの時の”俺ではない俺”が、か弱い少女を追い詰め、殺した。

 

 


 

 

 

【Chapter3 (非)日常編①】

 

 

 

 

『それは違うよ』

 

 

 

「…………!!??」

 

 次に聞こえた幻聴は、驚くべきことに自分の声だった。

 

 

 

『君になら犯行は可能だよね』

 

 

 

 ねっとりと、耳に残る忌々しい語調。

 

 裁判の時の俺………なのか…?

 

 

 

『これが事件の真相。真実という名の脚本だ』

 

 

 

 確かにどの言葉も、俺自身の口から発せられた言葉であることに間違いはない。

 

 しかし、あの時の俺と今の俺は何かが違う。

 

 記憶ははっきりと存在するけど、その時自分が何を考えていたのかは全く分からない。

 

 記憶はあるけど人格が異なるという状態はいわば、山村さんのような感じだろうか。

 

 分からない。

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はずっと、違和感を感じていた。

 裁判の時、事件の真相を組み立てている時の自分が、何か自分ではないものに取り憑かれているような感覚を一度ならず感じたからだ。

 

 けれど、裁判を重ねるうちにその違和感も感じなくなっていった。

 自分の中に何かがいるその感覚自体が、いつの間にか自然になってしまっていたからだった。

 

 その状態がどうして起こりえたのか、真剣に考えようとしなかった。

 何か恐ろしい真実が見えてしまうのが怖くて。

 抗っても抗いきれない絶望に呑まれてしまいそうな気がして。

 

 

 そうだ。

 俺は元来、目の前で起きているイベントの中心人物になるような人間じゃない。

 一歩引いたところから全体を俯瞰するのが俺の役目だった。

 これまでの人生も、ずっとそうやって生きてきた。

 そして俺を取り巻く”物語”は、いつも俺とは直接関係のないところで動いていた。

 このコロシアイの中でもそうだった。

 

 だけど、学級裁判の時は違った。

 普段は表舞台に出ないはずの俺はいつだって率先して議論を先導し、真実へと進み続けた。

 第三の裁判の時のように、それが間違っていることもあったけど。

 

 俺は裁判の中で、”事件”という名の脚本を組み上げていたんだ。

 ここで行われたコロシアイは、学級裁判は、俺の才能を試す場として機能していたんだ。

 

 そして俺はいつしか、”論理”より先に”真実”を導くようにすらなっていた。

 

 

 

 

 

 


 

 

【Chapter5 非日常編③ 学級裁判後編】

 

 

「背丈の問題など、台か何かを持ってくれば誰だって解決できるでしょう。それとも何か、台を持ってこられない理由があったとでも?」

 

 …そう、こう切り返せば俺は打つ手がない。

 

 根拠としては、あまりにも弱い。

 

 

 

 でも、彼は犯人なんだ。

 

 …絶対に……。

 

 

 

 ………なんで? 

 

 なんで俺は彼が犯人だと確信しているんだったっけ?

 

 あれ?

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 根拠を見出す前から入間君を犯人と看破していたあの不思議な状態。

 あれは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ことに起因する思考だったんだ。

 そこに付随する論理や手口を理解する前に、”彼が犯人である”という真実を先に導き出していたんだ。

 

 

 

 それこそが、この俺の――――超高校級の脚本家”、葛西幸彦の才能。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この脚本は――――――()()()()()()()()()だったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユ、ユキマル………?」

 ほろりほろりと涙をこぼす俺を見て、吹屋さんが心配そうに声を上げる。

 

 

 

 

 

「モノクマ」

 俺は短く呼びかけた。

 

 

「お前を操っているのは人間じゃない。お前の中身はアルターエゴだ」

『………』

「アルターエゴ…? じゃあ、モノクマもモノパンダと同じように人格を移植されて…。…と、なると…その人格は一体誰のものを……?」

 

「モノクマに人格を映した人物は、釜利谷君をはじめとする”超高校級の絶望”、そして土門君に協力を呼び掛けて脚本の制作を行った人間」

 

 

 

 

 イヤだ。

 

 第三の事件の時のように、そう叫ぶ自分が自分の中に現れた。

 

 見たくない。

 言いたくない。

 聞きたくない。

 

 真実に向き合いたくない。

 

 

 

 だけど、俺はもう目を背けない。

 あの時のような醜態は晒さない。

 

 

「そんなことができる人間は一人しかいない」

 

 

 

 

 もしも、真実を知るうえで俺自身が障害となるのなら―――。

 

 俺は、俺自身を切り捨てよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【人物指名】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はモノクマを指さして、息を吸い込んだ。

 

 

 

 

 

 

「”超高校級の脚本家”、葛西幸彦」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前……即ち俺こそが、この脚本、このコロシアイの全ての元凶…なんだ‥‥」

 

 

 

 

「……………!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 俺は静かに息を整える。

 動悸が止まらない。

 一生懸命歯を食いしばっていないと、今にも目眩で倒れそうだ。

 

 

 真実に立ち向かうのが、こんなにも辛いことだったなんて。 

 

 

 

 

 

「よく言ったな、葛西」

 前木君が優しい瞳で言った。

 

 

「これでいいんだろ、小清水。このために、お前は俺に教えたんだろ?」

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 


 

 

【Chapter5 (非)日常編③】

 

 

「…盗聴器でも仕込んでると思ったのかよ。今まではこんなことしなかったくせに、どういう風の吹き回しだよ…!」

 

「ぶっちゃけた話、今までのは全部聞かれたところで大した問題にはならない話よ。少なくとも、"人間側"の連中にはね。でも、今から私が言うのは共有されちゃうと困るのよね」

 

「俺がみんなに話す可能性は? 何か口止め材料でもあるのか?」

 

「ないわよ。でも貴方は絶対に言えない。いい? 心して聞いておきなさい」

 

「っ!!」

 

 前木が心の準備を終える前に、小清水はその耳に口を寄せる。

 

 

 

 

 

 

 

「私が最も恐れているのはーーー」

 

 

 

 

 

 小清水は微かな声で何かを告げた。

 

 

 

 

 

 

 

「………はぁっ!?!?」

 

 前木は思わず後ずさる。

 

 様々な感情が前木の中に現れては消えていく。

 

「な、なんで……なんでこんなことを俺に教えるんだよっ!?」

 

 あらゆる感情よりも先に放たれた言葉はそれだった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が最も恐れているのは――――――」

 

 

 

 

 

 

「―――葛西幸彦。恐らくは、このコロシアイの真の首謀者」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

「……フン。脚本という言葉を深読みする必要はなかったようね。言葉通り、コロシアイの首謀者は脚本を築く者。当然、記憶を消されているのだから今の葛西幸彦に首謀者としての自覚はない」

 小清水さんは吐き捨てるように言い放つ。

 

「不正を暴かれて、正体も暴かれた…。これでもなお、私達と無意味な争いを繰り返すつもりなのかしら」

 

 

 

 

『…………』

 モノクマはスイッチが切れたかのように、うなだれたまま何も喋らなかった。

 

 代わりに、後ろに垂れているスクリーンが淡く光り始めた。

 

 

 そこに映し出されたのは―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『”初めまして”……いや、”いつもお世話になってます”かな?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分とは似て非なる自分が、映し出されていた。

 

 

 

『うぷぷぷぷぷ………。よくぞ……よくぞここまでたどり着いたね、ボクの優秀な仲間たち…。そして…ボク自身』

 

 

「ユ、ユキマル……。本当に…本当にユキマルが……」

「…………」

 

 

『ご指摘の通り、ボクは”超高校級の脚本家”、葛西幸彦の人格と記憶、そして才能を備えた”アルターエゴⅢ”さ。そこにいる”ボク”が持っていない記憶も持っているわけだから、ある意味ではボクの方がより完全な”葛西幸彦”と言えるかもしれないね。…まあ、肉体がないのは不便だけど』

 

 

 俺は恐怖と嫌悪感の混じった眼差しで()西()()()を見ていた。

 自分と同じ姿と声をした人間が目前で喋っている気持ち悪さに目を背けたくなる。

 

 

「…記憶を消される前の俺は……土門君や釜利谷君達に協力を呼び掛けて…このコロシアイという脚本を作りあげたんだ……」

 自分がそんなことをしたなんて信じたくない。

 けど……目の前に”真実”がいる。

 俺自身がそこにいる以上……その真実は覆らない。

 

 

『けれど、それ以上は何も分かってないんでしょ?』

 

 そんな俺をあざけるように、”奴”は言った。

 

「随分と偉そうな」

『”偉そうな言い方をするのね”って?』

 小清水さんの言葉を遮るように”奴”は言った。

 

『モノクマの不正を暴いて一泡吹かせるつもりだったのに、思った以上にダメージが無くてビックリしちゃったみたいだね。小清水さんって意外と自分の考えを過信しちゃうところがあるよね。第三の脚本でもそうだった』

「…………」

『さて、積もる話もあるけどここは物語を進めないといけない。君たちは今、みんな頭が真っ白になってるみたいだから、ボクが一つ起爆剤を放り込んであげようか』

 まるで俺達の頭の中を見透かしているかのような口ぶりだ。

「……は…?」

『”どうして頭の中が分かるか”って?』

 すると”奴”は、その問いすらも見通していた。

 

『…君は事件と裁判を重ねる中で、”事件を脚本として組み上げる”という形で才能を発揮していた。けれど、それは完全な形の才能じゃない。…さて、記憶が健在だったころのボクの才能について教えてあげよう』

 

 

 ”奴”が持っている本を閉じると、それに呼応してうなだれていたモノクマが再び起動してバンザイのようなポーズをとった。

 

 

『この世界には、”超高校級の才能”の他に、”超分析力”と呼ばれる能力がある。人の行動や心理を分析し、それを読み取る力だ。世界にはこの能力を持っている人間が何人かいるみたいだけど、幸運にしてボクはこの能力の持ち主に選ばれた。この能力の使い方は様々あるけど、ボクの場合はご存じの通り、脚本さ』

 

 ”奴”は微笑を浮かべたまま、悠然と語り続ける。

 

『ボクの才能は脚本を作ることじゃない。超分析力をもって人間や事象の未来を正確に読み取り、脚本に映し出すコト――――』

 

 

 

 

”真実の脚本”を記す能力。それがボクの”才能”さ』

 

 

 

 

 

「…………」

 全員に戦慄が走った。

 

 確かに、それを匂わせるような情報はあった。

 記憶を消される前の俺にとっては遥かに未来のことだったはずの、コロシアイの内容をほぼ正確にシナリオとして書き起こしていたのだから。

 でも…所詮与えられたヒントを元に事件の概要を組み上げていただけの今の俺の才能とはかけ離れ過ぎている。

 

 未来を予知するなんて…そんな非現実的な能力がこの身に備わっていたなんて信じられない。

 

 

「じゃ、じゃあ……私達がこれからすることも、裁判の議題も、全部全部お見通しということなんですか…?」

『そうだね。時間軸が今に近ければ近いほど読み取りは正確になる。僅かな”ゆらぎ”で事象にズレが生じていても、その場で”再演算”することで即座にその場合の未来は読める』

「…吹屋喜咲の参入に動じなかったのも、その場で”再演算”をして問題がなかったから…ということね」

『小清水さんは頭が回るね。”お前の目的はなんだ?”って言いたげだけど』

「……」

 自分の心を言い当てられた小清水さんは、チッと舌打ちした。

 

『さて、さっきも言ったけど君達には起爆剤が必要だ。君たちに最後のボーナスを与えよう。その上で、本当の”最終裁判”を始めようじゃないか。次こそが本当に最後の最後。…あぁ、ボクが二人いるのはやりづらいだろうから、最終裁判はモノクマの姿で参加させてもらおうかな』

「…起爆剤とか……ボーナスとか……ふざけた言い方をしやがって……」

 俺は拳を震わせながら”奴”に怒りを込めて呟く。

「そうやって上から見下ろしていられるのも今だけだ。お前は俺じゃない。お前を消して、俺だけが本当の”自己”であると証明してやる!!」

『50%の怒りと30%の恐怖。残りは雑多な感情が目まぐるしく動いているようだ。……キミはボクさ。認めたくなかろうが、キミは紛れもなくボク自身だよ。…うぷぷぷぷぷぷ。その顔が、最終裁判でどうなっているのか楽しみだよ』

 

 そこまで言うと、”奴”は映像の中でパチンと指を鳴らした。

 

 数秒後、突如として裁判場が揺れ始める。

 

「キャ!! 地震!!??」

 吹屋さんが慌てて裁判台にしがみつく。

「みんな、頭上に気をつけろ!!」

 

 揺れと共に、重く鈍い音が頭の中に響き渡った。

 花火の音を壁越しに聴いているような、重い音が。

 

「なんだ……何が起きているんだ?」

 

 

『脚本に必要なのは”演出”。クライマックスにはそれ相応の破滅的な演出が必要になる』

 

 慌てふためく俺達をよそに、”奴”は高らかにそう言った。

 

 

 やがて爆音と揺れは収まった。

 俺達は恐る恐る立ち上がり、当たりを見回す。

 裁判場に異変はない。

 

 

 

 ”奴”は、不敵な笑みを浮かべてこう言ったんだ。

 

 

『ようこそ、”ボク”と”俺”との最終裁判(けっせん)へ』

 

 

 

 次の瞬間。

 

 爆音と衝撃を伴って、裁判場の床に大穴が空いた。

 それと同時に、穴、そしてエレベーター乗り場の方から猛烈な火炎が噴き出してきた。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 下界に住む人々は不思議な光景を見た。

 

 天高くそびえ立つタワーが、爆発と火炎に包まれていたのだ。

 

 しかし、絶望に包まれた世界に生きる人々に、そんなことを気に留めている余裕はなかった。

 

 

 

 

 

 

 




どこかで見たようなイラストを使い回しているのは仕様です。手抜きではありません。手抜きではありません。大事なことなので二回以下略。

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