フォトン・ブレット~白色の光弾~   作:保志白金

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 これで1巻の内容は完結です。


第13話~スタート~

「まさか、キミがあの場にいた民警だったなんて話、今でも信じられないよ、里見」

 

「……それはこっちの台詞(セリフ)だ、三原。俺だって信じらんねぇよ、……お前が仮面ライダーなんてな」

 

「う、それを言われると弱るなぁ……アハハ」

 

 巧人と蓮太郎は今、聖居の中にいる。そして、服装は高校の制服ではなく、正装であるスーツだ。その理由はいたってシンプル。彼らはめざましい戦果をあげた者達であり、東京エリアを救った、いわば英雄。そんな彼らのために、聖天子自らが叙勲式を行うということである。

 

「……にしても、お前が未織と一緒に来るなんてのが俺にとって一番のサプライズだよ」

 

 もちろん、このような式典に縁も所縁もなかった蓮太郎や巧人の緊張を少しでもほぐすために来たのか、保護者の代わりとなる者がそれぞれ来ていたのだが、その付き添いとして来た人物、その二人に大きな問題があった。

 

「あら、木更やないの。どして、こんなとこにおんの?」

 

「それはこっちの台詞(セリフ)よ!なんでアンタがここに来てるのよ!」

 

 未織と木更、この二人は、ここが祝いの場とは考えられないほどの勢いで、既に火花を散らしていた。その様子を少し離れた場所から、まるで赤の他人のようにして横目で眺めている蓮太郎は、近くにいる巧人に言う。

 

「あの二人は死ぬほど仲が悪くて、同じ空間に置いとくと凄まじい化学反応を……って、もう既に起こしてるしよッ。……ハァァ」

 

「まぁ、そんなこと俺は知らなかったし、それにしょうがないだろう。一応、俺は司馬重工の民警部門でこれから働かせてもらおうとしてるわけなんだし」

 

「別に、それならそれで構わないんだが、……あ?お前、これから民警になるってことは、結局、お前が仮面ライダーってことが世間にバレるんじゃないのか?」

 

 ちなみに、この段階では巧人の正体がデルタであることを知っているのは、上層部の政府関係者以外では未織に蓮太郎、木更ぐらいなもので、真実を知る者は今のところ少ない。

 

「うん、たしかに里見の言う通りだ。けど、そこは一応俺だって考えてるよ。小さいガストレアと戦う時は相棒としてこっちに来るであろうイニシエーターに任せて、本当にヤバそうなのが来たときにデルタの力を使おうと思ってる。……本当に危機的な状況になったときは、野次馬なんて集まるはずがないだろうし、正体もバレないだろうさ」

 

「……まぁ、そうかもな」

 

 世間話をそうこうしていると、もうそろそろ予定の時間になろうとしていることに巧人は気付く。そして、スマホの画面で正確な時刻を確認して言った。

 

「さて、そろそろ聖天子様のところに行こうか。時間も迫ってるし、あの二人はどうしようもなさそうだし。……あ、それと、聖天子様に突っかかるような真似だけはしないでくれよ」

 

「さっき、木更さんにも同じようなことを言われたよ。そんなバカなことをするかっての」

 

「う~ん、……それはどうだかね」

 

 巧人は蓮太郎の棒読みの返事にやや不安を感じたが、仕方なくそのまま聖天子がいる広間の中へと入っていった。巧人のその不安が見事的中することとなるのだが、今はまだ知るよしもない。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 戦闘状況の全てが終わり、すぐにその場から帰ろうとした巧人だったが、途中で出会った民警、伊熊将監のことをふと思い出し、荒廃した街へ戻っていった。そこで巧人が見た光景は正に地獄絵図そのもの。まだ、辺りは微妙に薄暗く見えづらかったが、民警達の死体があちこちに転がっていたのを巧人は確認できた。

 

「これは……俺のせいなのか?俺がここまですぐにたどり着けなかったせいだというのか?……クソッ。俺があのオルフェノクに苦戦してなければ、助けられたかもしれない命だったのに……」

 

 巧人は自分の両手をわなわなと震わせ、悔しげに独り言を呟く。しかし、その呟きをその場で聞いている人物がいて、前方からかすかな声が聞こえてきた。

 

「…………ヘッ、バカ野郎が。ここで死んだ連中は勝手に戦って、勝手に死んでったんだ。断じてテメェのせいなんかじゃねえ。思い上がってんなよ、このガキが」

 

 その人物とは巧人が探していた相手、伊熊将監である。巧人はすぐにその声に反応して、安堵の声を出した。

 

「伊熊さん!あなたは無事だったんですね」

 

「…………」

 

 しかし、将監からは返答がなく、そのまま黙り込んでいる。不審に思った巧人が言及すると、

 

「……伊熊さん?なぜ、黙るんですか?」

 

「あ?俺はもう助からねぇ、無理だ」

 

 将監は衝撃的なことを口に出し、巧人の頭の中を真っ白にさせた。

 

「…………え?それは嘘、ですよね?」

 

「ケッ、冗談で普通そんなことを言うかよ。……ゴホッ、ゴホッ!……こいつは本格的にマズイな」

 

 日が上り始め、この周辺も徐々に明るくなってきた。そのため、今の将監の容態がどのようになっているのかを巧人はようやく確認できた。全身の至るところから出血している。その全身とはピンからキリまで、普通なら怪我を負うことのないはずの両目からもである。そして、ちょうど今、将監は咳き込むと同時に吐血していた。

 

「そんな……ッ!」

 

 今の将監はーー正真正銘、限りなく死に瀕している状態だ。それも助かる見込みはほぼ無いほどの。それでも尚、巧人は諦めるつもりはなかった。人が目の前で死ぬことなど認めたくはなかったのだ。

 

「まだです。……まだ俺は、諦めませんから!」

 

 巧人はそう言うと、目の前にいる将監を肩で背負うと、サイドバッシャーのニーラーシャトルへと運んでいく。

 

「さっきも言っただろうが。お前が何をやろうが無駄だ」

 

「そうやって、自分の命をそう簡単に諦めないでください!」

 

「…………ハッ、お前だって内心ではわかってるんだろう?俺が既に手遅れだってことをよ。……しかし、最期がこんなザマになるなんてな。俺は、俺達二人は、昔から必要とされてこなかった。誰からもな」

 

 巧人がサイドバッシャーを走らせようとしている中、将監は突然何か遠い昔のことを語り始める。二人とは、いったい誰のことを指しているのか、全くわからなかったが、それはすぐに判明した。彼の相棒、イニシエーターのことなのだと。

 

「俺の親は、遠い昔に両方とも逝っちまって、学校なんか碌に通えなかった。だからな、俺は勉強が全くのからっきしで、学校に行こうが、どこに行こうがずっとバカにされて、居場所はどこにもなかった。そうなることが目に見えていたからこそ、夏世にはそういう類いのことを一切触れさせなかった。ただ、ひたすらに戦うために必要なことだけを教えて……ゴフッ!」

 

 再び、黒い血を苦しそうに吐き出す将監。その時の巧人の作業を進めていたはずの手は既に止まっていて、聞くことにだけ集中していた。ーーそれは生き残ったであろう、彼のイニシエーターに最後の言葉を伝えるようにするためだ。

 

「……そんな俺のことをテメェは、仮面ライダーとかいう男は、対等に見てくれた。不本意だが、お前のそれは正直言って嬉しかったぜ。……まだ、このクソッタレの世界もまだ捨てたもんじゃねぇと思ったほどだ」

 

「……伊熊さん」

 

「なぁ、最後にひとつ頼まれてくれ。もし、テメェが本当に民警として、これから生きていくつもりがあんなら……夏世を、俺のイニシエーターを世話してやってくれよ。…………お前は人一倍甘いが、一人の男として、まともに……芯が通っている野郎だから……な」

 

 最後の頼みを巧人に向けて伝え終えると、静かに目を閉じた。

 

「……ヘッ、よろしく……頼んだ、ぜ……」

 

「……伊熊さん?……クソッ、返事してくれよッ!」

 

 将監の体を強く揺する巧人だったが、彼の体は既に冷たくなっているため、声が返ってくることもなければ、目が開くこともない。

 

 巧人と将監が接した時間は、数えてみようと思えば数えられるほど非常に短いものだった。それでも、巧人は将監の死を深く悼み、深く悲しんだ。

 

 そして、二人のすぐ近くには、巧人の後をこっそりと尾けていた夏世が来ており、木の影に隠れて話を聞いて、ひっそりと涙をこぼしていた。もちろん、その時の巧人の心境では、気付くことができなかったのだが。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 叙勲式も多少のアクシデントはあったものの、一応予定通りに終わり、巧人はスーツ姿のまま司馬重工を訪れている。

 

「あの叙勲式の通り、今日からキミは一人の民警や。改めてよろしゅうな。巧人君」

 

「はい。こちらこそ、よろしくお願いします。未織さん」

 

 巧人は、今回の功績が認められたことにより、晴れて民警のライセンスを取得することができた。本来なら、もう少し手間のかかる試験やら、手続きやら、面倒な手順を踏まなければならないのだが、今回の巧人に適用された特例は、それらを全て省いた形となっている。ちなみに、IP序列は1333位。つまり、1000位に昇格した蓮太郎達のペアより少し下という位置付けである。

 

「……それで、俺とペアになるイニシエーターについてなんですがーー」

 

「あ、それなら、もう心配いらんよ。話は既についとるから。ささ、入ってきて」

 

 未織が外にいる誰かに対して、部屋に入るよう促すと、ドアを開けて少女が入室してくる。

 

「失礼します」

 

 巧人は彼女の顔を一目見て、思わず言葉を一瞬失った。なぜなら、あの時戦場で会った少女こそが、将監のイニシエーターであると、今わかったのだから。

 

「……ッ!そうか。キミ、だったんだ。伊熊さんのイニシエーターは」

 

「ええ、あの日以来ですね、仮面ライダーさん。……いや、本当のお名前は三原巧人さんでしたか。これからは民警ペアとして、よろしくお願いします」

 

「うん。……え~と、キミの名前は、たしか千寿夏世ちゃんだったよね?これからよろしく」

 

 巧人と夏世はお互いに顔を見合せ、軽く会釈をする。

 

「あと、巧人君。キミはこれからどうするか、決まった?」

 

「あ、住む場所についてですよね。それは、母と話し合って一人暮らしをすることにしました。変に迷惑をかけたくありませんから」

 

「そっか。ほんなら、引っ越す準備ができたら、連絡ちょうだいな。うちの会社のトラックをすぐに寄越すから」

 

「はい、わかりました。じゃあ、俺はここで失礼します」

 

 巧人はいつも言っている決まりきった内容の言葉を短く告げて、この部屋を後にした。

 

 ーーこれから民警として、戦士デルタとして生きていくと決めた巧人は、ガストレアはともかく、かつて父と母が戦っていたオルフェノク、場合によってはその他の異形とも戦わなければならない。それはきっと、茨の道以外のなにものでも無いだろう。それでも巧人は心に誓った、父のような人になると。人々を守っていく仮面ライダーになるのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現在、巧人が使用可能なツール

・デルタギア(デルタドライバー、デルタフォン、デルタムーバー)

・スペアグリップ

・サイドバッシャー

 

 司馬重工によって保管、管理されているツール

・カ????イ??

・ジ???ス????

 

 司馬重工によって開発、修理、調整が進められているツール

・ファイズアクセル

・???バ??

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