Assassin's Creed -アインクラッド-   作:朱槍

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yockさん
カナリアさん
感想ありがとうございました


MEMORY3【旅の始まり】

山手線を降り秋葉原の改札を抜ける。

電気街を横に抜けて目的の廃ビルの前に立つ。

そして扉横のタイルを一枚抜き取る。

そこに現れた鍵穴に鍵を差し込み回す。

すると防弾性の堅牢な扉はゆっくりと開いた。

 

 

 

 

 

ビルに入りエレベーターに乗り7階を選択する。

7階に着くと一番奥の部屋の扉を開ける。

 

「来たぞ。」

 

「いらっしゃい、デズモンド。」

 

中に入るとレベッカが出迎えてくれた。

部屋に入るともう一人作業をしていた。

 

「よう、ショーン。

 3カ月振りか?」

 

「正確には3カ月と57時間振りだ。

 君も相変わらずみたいだな。」

 

相変わらず細かく素っ気無い返事だ。

まぁ、かれこれ10年の付き合いだ。

いまさら気にすることなどない。

レベッカは亀戸に住んでるがショーンは教団の隠れ家を転々としている。

仕事関係ならショーンとは別の場所で合流する手はずになっている。

つまり・・・

 

「お前が此処にいるってことは教団関係の仕事じゃないのか?」

 

「そうだとも言えるしそうでもないとも言える。」

 

「どういうことだ?」

 

「僕が調査の必要性を伝えウィリアムが許可を出した。」

 

「その時点でもう教団の仕事だろ。」

 

ツッコまずにはいられなかった。

教団の大幹部の親父が承認してる時点でそれは教団からの仕事と大差ないからだ。

 

「いや、少し違う。

 何せこの仕事内容を知ってるのはいつものメンバーだけだからね。」

 

「何?」

 

「他の幹部が現最強のアサシンの君をこんな仕事に使わせるのを許可しないだろうからね。」

 

そう言ってショーンは物体を投げ渡してくる。

受け取るとそれは俺もよく知っている物だった。

 

「こいつは・・・ナーヴギアか。」

 

「そう。

 で、仕事内容は・・・こいつをプレイして調査してほしい。」

 

放り投げられる物体をキャッチする。

こいつは投げ渡ししか出来ないのか?

渡された物体を見て驚いた。

 

「ん・・・。

 ソードアート・オンライン!?

 噂のVRMMOか!!」

 

「ああ。」

 

「よく手に入ったな・・・。」

 

「色々と根回ししたからね。」

 

「何だ。

 お前さんもゲーマーか?」

 

「本気で言ってるのかい?」

 

「まさか。

 何か理由があるんだろ?」

 

「それが初のフルダイブMMORPGなのは知ってるな。」

 

「ああ。

 最近、よく耳にするしな。」

 

「仮想世界と意識のシンクロ。

 何か思い当たるだろ。」

 

「・・・・アニムスか。」

 

「そうだ。

 僕は茅場晶彦。

 彼が騎士団と関係してる気がしてならないんだ。」

 

「ただのゲームデザイナーがか?」

 

「同時に量子物理学者でもある。

 研究者なら騎士団が絡んでいても不思議じゃない。」

 

「まぁ、確かに。

 だが、このゲームに何の思惑があるんだ?」

 

「もし仮にアニムスの技術を流用されてたとしよう。

 その場合、流動現象や遺伝子覚醒が起こる可能性がある。

 そして、覚醒したプレイヤー達。

 特に思春期の少年少女はどうする?」

 

「現実世界に力の発散場所を求めるだろうな。

 そういうことか。

 覚醒後の彼らに騎士団が場所を提供するってことか。」

 

「そうだ。

 君が世界を救ってから10年。

 あの後も騎士団との戦いは続いたが。

 鍛え直した君に奴等は次々と支部を潰されてる。」

 

「もし仮定が事実なら戦力の再編成が目的ってことか。」

 

そうなると調査担当にショーンが態々俺を選んだ理由にも見当がつく。

 

「俺が選ばれたのはアニムス経験者だからか。」

 

「その通りだ。

 アニムス経験者の君なら感覚的に既視感を感じ取れるはずだ。

 まぁ、無理にとは言わないよ。

 その時は、レベッカに行ってもらうから。」

 

「私が行くの!?」

 

コーヒーを運んで来たレベッカはいきなりの振りに驚愕の声を上げる。

 

「当然だろ。

 君は実働担当でもあるんだから。」

 

「ゲームなんでしょ?

 なら別にショーンがやっても問題ないでしょ。」

 

「君は話を聞いてなかったのかい?

 こいつはVRMMOでフルダイブシステムがあるんだぞ。

 多かれ少なかれプレイヤーの身体能力が関わってくるに決まってるだろ。」

 

また始まったか。

かれこれ10年この二人はずっとこんな調子だ。

この国には【喧嘩するほど仲がいい】という言葉があるがこの二人を見てると疑いたくなる。

さて、この二人はほっとくと1時間は口論しっぱなしだからいい加減に止めないと。

 

「ストップだ。

 SAOは俺がやる。」

 

「いいの?」

 

「ああ。

 どうせ俺は二人の代わりは出来ないしな。

 それに友人から一般発売した時に一緒にやるか誘われてたんだ。

 丁度いい。」

 

「そう。

 ならすぐに始めましょう。

 デズモンドはナーヴギア被ってそこに横になって。」

 

レベッカに指定された場所にナーヴギアを被り横になる。

しかし・・・

 

「まさか寝る場所がベッドじゃなくてアニムスとはな・・・・」

 

俺が現在横になってるのは慣れ親しんだアニムスの上だ。

といってもあれから随分改造されて今の正式名は【アニムス5.5】だ。

何で此処に持ち込まれてるかというと当然俺の訓練のためだ。

何だかんだで現在も週4日でお世話になっている。

 

「でも、落ち着くでしょ?」

 

「・・・・・。

 言い返せないのが堪らなく悔しいな。」

 

「無駄話してないでさっさと始めるぞ。」

 

ショーンの注意で各々の持ち場に着く。

俺はナーヴギアの電源を入れ目をつむる。

そして・・・

 

「リンクスタート!」

 

意識が遠のいていく。

ゲームの始まりだ。

 

 

 

 

 

かと思いきやRPG特有のキャラメイクが先のようだ。

アニムスの感覚を探るため出来るだけ体格を似せるように作る。

ただ、やっぱりゲームなんだし何か遊びを入れたいな・・・・。

そう考えて顔のパーツを探っていく。

すると・・・

 

「お、これは・・・」

 

昔大人気だった潜入系のゲームの主人公の顔とそっくりだ。

これにバンダナを付ければ・・・

 

「おお。

 良いのが出来たぞ!」

 

将来はこんなナイスミドルになりたいもんだ。

キャラクターの設定を済ますと次に名前の設定画面になった。

 

「名前・・・何にするか・・・・。」

 

さすがに実名を使う訳にはいかないし・・・・

だが、これだっていう名前も思いつかない。

そうこう悩んでいると設定時間が20秒切っていた。

 

「ヤバッ!?

 ええぃ!

 もうこれで良い!!」

 

設定が終わるとついにゲームの始まりのようだ。

同時にこれが・・・

 

 

 

 

 

〈Altair〉としての長い旅の始まりでもあった。




(あとがき)
どうも、ヘッポコ作者の朱槍です。
第3話を読んで頂きありがとうございます。
いよいよSAOの世界に旅立ったデズモンド。
今回でSequence1は終了し次回からSequence2に突入します。
では、またお会いしましょう。

※沢山の感想お待ちしております

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