戦闘員オペレーターのボーダー記録   作:チビメガネ

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第10話 大規模侵攻前 (1)

 

 

「やべーよ。木虎チョー可愛いんだけど。メアドもらえるかな…」

「いや、お前なんかじゃ無理だって。諦めろ」

 そうだね。烏丸先輩のことが好きだからな、お前なんかじゃ無理だって。

 

「お前分かってないな。綾辻さんだよ、綾辻さん。俺ああいう子からチョコ貰いたいわ―」

「お前じゃ無理だって。カラオケも一緒にいけねーよ」

「お、お前なー。分かっててもそういうこと言うなよ」

 チョコは憧れるのは分かるよ。でも、カラオケって…あれどうしてだろ頭が痛いな。

 

 と男子勢が浮かれて廊下を歩いてる中、女子勢は…

 

「嵐山さん。凄くかっこいいな…彼女いるのかな」

「あんたじゃ無理よ。チームメイトにあんな美人がいるんだから」

「…だよね」

 いや何二人して遠い目してるの?確かいないはずだから大丈夫だよ。

ただ、彼氏いますかって聞こうと話しかけたときの、どうした?からの爽やかスマイルに耐えられたらだけど…さっきも一人やられてたし。

 

「わ、私は時枝君がいいかな…なんか優しそう」

「えー。私はいいかな…」

 は?あなたにあの人の何分かるの、知ってるの?…いや病んでないよ、安心して。

 ただ、優しい、気配りできる、頼れるの三拍子揃ってる隠れたイケメンだよ。絶対奥さん幸せにできるよ?影の実力者だぜ。

 

 と、まあ皆さん色々初日で浮かれている1月8日のボーダー隊員正式入隊日。

 

 でも皆さんあれですよ…

 

 

 

 

 佐鳥先輩もいますよー。

 

 

 

そう、今日はボーダー隊員正式入隊日なのだ。毎回この日の3日前あたりから、支援課室は資料の山と化すので、こうしてぶらぶらしてなくてはならないのは本当にやめて欲しい。僕がアポなしで行ける作戦室は太刀川隊と嵐山隊だけであるので本当に困る。やめて欲しい…まあ本部いれなきゃ玉狛もあるにはあるんだけど。後アポって言っても電話一本だけなので問題ないといえば問題ないんだけどね。

 

こんなに暇なら、僕も駆り出されたかったな…響子先生に相談したんだけどな。おっかしいなー。ちゃんと言ったよ?なのにあの人は、

 

「はぁ。一はダメに決まってるでしょうが。初日に変態が来たら辞められるかもしれないでしょ?オペレーターの人数はただでさえ足りないのに…」

 おっかしいなー。単にオペレーターの入隊を綾辻先輩とやらせてくださいって言っただけなのに…。おかしいの僕?そうですか…。

 

 折角のオペ操作を卵達に教えてあげるだけなのに…。顔覚えてくれる機会を逃してしまった、チャンスだったのに。くそっ。

 

 そして今日は、開発室長が一回目の会議の報告を報告書作ったお前がやれと言われてしまったのと、響子先生が今回はお前も聞けって言うので会議に出なきゃいけない分余計にそれまで暇なわけだ…くそあの鬼め、そんなんだから本部長に…おっと寒気が。

 

 こんなことなら、東先生にでも言ってスナイパー組の方に行くんだった。

東先生は、佐鳥がいる、問題ないと言ってたけど大丈夫なんだろうか…主に佐鳥先輩が。

 

 

どうしてようかなーと思うと、女子勢が再びキャーキャー言ってるのが聞こえる…。

なんだろうか、また嵐山の悲劇が起きたのかなと思って前を見てみると…

 

「この前会った以来か、はじめ」

「そうですね。こんにちは」

かのイケメン店員、烏丸先輩である。

 

 

「お前は、どうしてぶらぶらしてんだ」

「支援課室が…」

 僕は、少し遠い目をする。

 

 するとそれを聞いた烏丸先輩は、

「なるほど…この時期はお前も大変だな」

 ほいと自販機で買った缶のココアを僕にも渡してくれる…やだ惚れちゃう。

 

「先輩は?」

 そのココアの蓋を開けながらそういう僕。

 

「俺の弟子含め玉狛の後輩の様子を見にな」

「なるほど」

 この人も何だかんだで面倒見いいんだよな。本当に勝てないぜ。

 

「お前は…」

 そう言ってこちらを見る先輩。やだ告白?断れないよ…すいません、冗談です。

 

 というか女子の皆さん。僕のことを、殺意を込めた目でみるのはやめましょう?別に奪ったりしないから。とりまるくんは皆のものです。独占するのはやめましょう…それも違うな、うん。

 

「あいつらのことどう思う?」

 …あぁ本当にこの人はあれだな。気にしてないようなクールな顔して、気にしてるという本物のイケメンだな。残念だったな女子の皆さん。とりまるくんの心は、すでに玉狛のモノです!!

 

 イケメンの質問には答えなくては失礼なので真面目に答えることにする僕。

 

「空閑先輩は別格ですね。あと、雨取さんもあれは半端ないです。人間の量じゃないでしょ、あれ」

 本当に雨取さんはやべーよ。

 

「そうだな…そういやお前は知らないだろうけど、最近の遊真は、小南先輩に10本中3本取ってる」

 ココアを啜りながらそう頷いて答える先輩。1回しか見てないけど、やっぱり、空閑先輩はチートだったのか。小南先輩から3本とか…。

 

 それに雨取さんは、スナイパーらしいし…あれならシューターでも普通にいいと思うんだけどな。

 

「修は?」

「三雲先輩は…そうですね」

 僕が三雲先輩に対する考えを述べようとした時、向こう側がざわざわしているのが聞こえる…あっちは訓練室だな。確か今の時間だとトリオン兵を倒す模擬訓練だったっけか。

 

「いくか」

「はい」

 残りのココアを飲みほし、ごみ箱に入れ訓練室に向う僕達。

 

 

訓練室

 

『記録 0.4秒』

 マジかよ。瞬殺ってレベルじゃねーよ。1分でほうってレベルで一桁天才児呼ばわりなのに…駿とか来たときヤバかったな。今もちょっとあれだけど、あんとき天狗もいいとこだったなー。懐かしいな…。

 

 何人か見学してるし…風間隊とか。

 風間さんは、これぐらい当然って顔してるけど。

 

 そしてその後人気者よろしくC級隊員に囲まれる空閑先輩…今のうちにサインでももらっとこうかな。

 

 そんなことを思いながら仮想戦闘室の観客席を歩いていると、烏丸先輩が三雲先輩を見つけたらしい…木虎先輩もいるよ!!

 

 

「修」

「三雲先輩。こんにちは」

 なぜ木虎先輩に挨拶しないかって?理由なんて一つしかない。

 

「か、か、烏丸先輩」

 …木虎先輩が乙女モード全開だからである。木虎先輩がこのモードのときは、烏丸先輩へのハートマークを邪魔してはならない。機嫌を損ねると即ブース行きである。お取扱い注意だ。それが、とりまるガチ勢の正しい接し方である。なおガチ勢は、木虎先輩と烏丸先輩のバイト先に来る常連が含まれる。

 

 あれ?それだと僕もとりまるガチ勢になってしまう…僕はパフェのためだけに来てるあげてるんだからねっ!!

 

 と僕が脳内で下らないことを考えていると、烏丸先輩がとてつもない爆弾を投下する。

 

「こいつ俺の弟子なんだ。木虎もいろいろ教えてやってくれ」

「…弟子」

 あ、これまずいパターンのやつだ。僕知ってる。この後木虎先輩が少し涙目になりながらブースで追いかけてくるパターンのやつだ。

 

 いや~~とか声だけは女の子の声だけど、追いかけられる方からしたら、死神にしか見えないやつだ。本当にそういう処理まで僕の仕事にしないでくださいよ…本当にモテル人は気を付けて発言しましょう。

 

 まあこれに関して言えば仕方ないよね、嘘ついてないし。うん僕泣いてないよ。目にゴミが入っただけだよ。

 

 すると爆弾魔(冤罪)が三雲先輩に言う。

「さて…嵐山さんに挨拶しとくか」

「あ。嵐山さんは、向こうです」

 

 烏丸先輩はこっちにも向いて言ってくる。

「お前もくるか」

「はい。行きますけど先行ってていいですよ」

「分かった」

 三雲先輩と烏丸先輩は行ってしまう。

 

 さてと…

「ねぇ」

「はい」

 話しかけようと思ったらもう呼ばれてしまったので、振り返ってそう言う僕。

 

「三雲くんってどんな子だか分かる」

「せ、先輩の方が知ってると思うん…ですけど」

 目の色が変わってるよ?怖いよ、人殺せちゃうよ?

 

 すると、木虎先輩はそうよねと軽く呟いた後、僕の方を向く。

「今日空いているかしら」

 廊下で浮ついてた男子諸君よ。この立ち位置変わってもいいよ。大歓迎だよ。

 

「えっと、その今日は会議があるので…」

 分かった、分かったから。腕組みながら指をトントン動かさないで、ホント。

 

「あるので…5時くらいなら、はい」

 できる限り木虎先輩の目を見ずにそう小声で呟く僕。

 

「そう。じゃあその時間に待ってるわ…さて行くわよ」

「え…どこに?」

 地獄ですか?天国ですか?

 

 すると、木虎先輩は呆れたように溜息を一つ…え?何で僕が呆れられてるの?呆れるべきは木虎先輩の烏丸先輩へのあいぃぃぃ…いたいぃぃ。足踏まないで、そういう性癖はないですから。

 

「はぁ。嵐山先輩のとこに決まってるでしょ。行くわよ」

「うっす」

 そっちか…。

 

 拝啓お母さんへ。

 今日僕は、女性が怖いことを学びました。愛って難しいです。とりあえず、こんな大変な事を乗り越えて僕を産んでくれたことを感謝します。ありがとう。

 

 

 母親への感謝を心で言いながら木虎先輩の後をついていき、訓練室のほうに降りていく僕達。

 

 あっちでは挨拶は終えていたようで嵐山先輩がこちらに気づく。

「なんだ、はじめもいたのか」

「はい。烏丸先輩と一緒に」

「そうか。はじめも何かあったら言ってくれ」

 そう笑って言ってくれる嵐山先輩。いい人だな、本当に…。

 

 木虎先輩もこういうところをですn「何か?」…すいませんでした。

 

 何も言わず頭を下げる僕。

 

 そのやり取りを見て烏丸先輩が口を開く。

「本当にお前ら仲良いな」

 どこをどう見たらそうなるの?いやまあ悪いかって言われたら違いますけど…。

 

「いやそれほどでもないd「はい.!!困った後輩ですが良くしてます!!」…そうですね。仲良いです」

どんだけ、烏丸先輩のこと好きなのよ。いや人のこと言えんかもだけどさ…まあ烏丸先輩絡んでこなきゃいい人ですけど、確かに良くしてもらってますけど。でもなんだろうかこの納得のいかなさは。

 

「そうか。これからもこいつの事よろしくな」

「はい!!」

本当に好きなのな…まああれですよ、色々言いましたけど心の中では応援してますよ。恥ずかしいから、絶対に言わないけど。

 

 

 

 その後、次の訓練まで少し暇になったので空閑先輩も含め、嵐山先輩達と談笑していると一人の猛者が下りてくる。

 

 その男とは…

 

「訓練室を一つ貸せ、嵐山。迅の後輩とやらの実力を確かめたい」

 風間さんである。

 

空閑先輩は喧嘩を売られやる気満々という顔であり、嵐山先輩はそれを止めにかかるが、風間さんの目当ては違うようである。

 

「違う、そいつじゃない。俺が確かめたいのは…」

 そう言ってこの集りの中の一点に視点を集中させる風間さん。

「お前だ、三雲」

 そして三雲先輩を呼ぶ風間さん…嵐山先輩は城戸司令の差し金かみたいなこと言ってるけどこれは違うな。

 

 どちらかって言うと迅さん関係だろうな…風刃を渡したって話をしただろうし。というかしなくても、渡した理由なんてこの3人が入隊できてる時点で、風間さんなら気づくだろうし…。

 

「三雲は正隊員だろう?なら問題ないはずだ。二階堂」

「は、はい。正隊員同士なら模擬戦で戦う分には何回やっても大丈夫です」

 急に振られたので早口になってしまう僕。

 

 嵐山先輩を一瞥した後、続ける風間さん。

「訓練室に入れ。三雲」

 そう言われ三雲先輩は困っている…というより考えてるといったほうが良いかもしれない。一応嵐山先輩や烏丸先輩も断ってもいいと言っている。しかし、三雲先輩は覚悟を決めたようで顔つきが変わる…やる気のようだ。

 

「受けます。やりましょう模擬戦」

 そう堂々と言う三雲先輩。

 

 一同驚いた表情をしている…まあそりゃそうだな。

 

 その流れを見て次の移動を開始する時枝先輩…流石です。

 

その移動が終えた後、僕達も観客席に戻り始める。

僕も三雲先輩の実力が未知数なのと暇なのと二つの理由で見ることにする。

 

隣歩いてる木虎先輩なんてひどいもんだ…あなたには無理でしょというのが顔に表れている。

 

「あなたはどう思うのよ、彼のこと」

 負け確定みたいに言わないでくださいよ。楽しみにしてるんですから…。

 

 それに木虎先輩…

「愛が足りませんよ」

「は?」

 良く分からんこと言ってることは理解してますけど、その顔やめてくれません?

 

「確かに単体では、トリオンの質も量もあれですけど…」

「そうよ。無理よ」

 いやだから即答はいかんでしょ…。

 

 僕は、観客席に向かって前を歩いている烏丸先輩を指差して小声で言う。

「僕は、先輩のことは凄いと純粋に思ってますから。その先輩がわざわざ弟子って言うんですから。それだけの人ではないんだろうと思いますよ、三雲先輩は」

 僕がそう言うと、木虎先輩は息を吐く。

 

 そして一言。

「あなたのそういうとこだけは凄いと思うわ」

 …ほう。

 

「褒めてます?」

 一応からかうように言う。

 

「調子に乗らない」

「痛っ」

 何かを書くためのボードで軽く叩かれる僕。

 

 

 そして、観客席に着くと堤さんの声が聞こえる。

 

 

 

 

 

『模擬戦開始』

 風間さんvs三雲先輩の模擬戦が開始する。

 

 

 

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