『トリオン供給機関破壊。三雲ダウン』
三雲先輩はアタッカー相手であるため距離を取り、レイガストで守ってキューブを当てようとする。しかし、風間さんがすぐにカクレオンで消えたことにより、対処しきれなくなった三雲先輩は横から心臓を一突きされる。
「だから言ったじゃない」
ダメダメねって感じで溜息をする木虎先輩。
元に戻った三雲先輩に対して立てと挑発をする風間さん。
そして…
『三雲ダウン』
また対処しきれず、次は首を斬られる三雲先輩。
…初めての感じはてっきり、これがカクレオンかって意味でカメレオンくらいは知ってるもんだと思ったけど、2回目の感じから察するに、この挙動不審具合はカクレオン自体を知らないといったところかな。
そういや空閑先輩が消えるトリガー?みたいな話をしてた気がする…ちょっと遠くにいて詳しくは聞こえてないけど。
3戦目
横と後ろを警戒しながら目を動かしながら、時々レイガストも動かす三雲先輩…風間さんの位置に気を取られ過ぎて、折角の防御性能も意味をなくしている。右に気を付けようとしたときに、後ろから真っ二つで…
『三雲ダウン』
もう一度ダウンしてしまう。
4戦目
『三雲ダウン』
5戦目
『三雲ダウン』
「何してんのよ、全く」
木虎先輩もこの通りイラついている…もうちょい我慢しましょ?
その後6戦、7戦…とダウンが続いていく。
そして…
17戦目
三雲先輩が少し位置を変え素早くバックステップで、壁の方に移動していく。
なるほど…消えるなら、その方向の限定をしていこうってわけね。後ろのカバーを壁がしてくれさえすれば守ろうとする方向を、右と左そして前に限定できる。視線を下手に動かさなければ防御性能もあげれるってわけか。
部屋の密室っての利用か。やりますね、先輩…でもそれでどうにかなる風間さんじゃない。
「ほう」
風間さんがそう言ったのが聞こえた…気がする。
わざと反応してしまう程度の音を出して、視線がそっちに向いたときに逆側から首をもぐ。
『三雲ダウン』
カメレオンの能力ってのは確かに消えることに真髄があり、正しく隠密トリガーと言ってもいい。しかし、消えるから位置がわからなくなり敵の裏を必ずかけるのかといったらそうではない。それなら無敵だし。そんなチートがあるなら、ブラックトリガーだろうと消えてから仕留められるくらいの代物になってしまう。そんなのランク戦、模擬戦の騒ぎではない。
そうあくまで消えるだけ。それ以上も以下もない。消えて違う選択肢を取ろうものなら姿を現すトリガーがカクレオン。
要するに他のトリガーが使えない。シールドもスコーピオンも何もかも。
そこに気づけるかが問題になるわけだ…というか知らないでいいんかね?確かめるために烏丸先輩を見る。
すると…烏丸先輩が三雲先輩の方を何も言わずに真剣な目で見ている。
これはやっぱ伝えてないんだな、うん。
烏丸先輩は…その人のことを良く見てるし。その結果としてその子にあった取捨選択が上手い人だ。完璧かって言われると東先生を知ってる分大きく頷くこともできないけど、並大抵の人は先輩ほどのこともできない。無理ゲー。そういう意味では烏丸先輩は育成ゲームが得意なのかもしれない。話が逸れた。
まあ何が言いたいかって言うと、その人にとってポイントに成り得る無駄なことはしない人なのである…ということだ。うん僕の主観だよ?
というわけでその烏丸先輩が教えないという真意がなにかは知らないけど、その選択肢を取った以上、三雲先輩がカクレオンのことを気づくと思っていわけで。
そして、それを期待できるってことは三雲先輩が考えられる人ってわけで…。
…想像以上に楽しめるかもな、この戦い。
僕が一人微笑んでたのを隣の木虎先輩に見られ、引かれたのは別のお話。
そんなこんなで…
22戦目
次も壁に伝うように移動し後ろの選択肢をなくす三雲先輩。ただ、同じことになってしまいますよ三雲先輩。
風間さんは同じように音を出し逆側に…というところで右手のアステロイドを撃つ。確かにこれで左の選択肢がなくなった。
「なるほど」
と風間さんが言った…気がする。
思わず現れてしまった風間さんに右手のレイガストで斬りかかる三雲先輩であるが、これまで通り無理やり二刀のスコーピオンでこじ開ける。
そして…
『三雲ダウン』
今のは純粋にいけると思ったけど、詰めが甘いかな。風間さん相手じゃ。
ただ今までの20数戦の中では一番出現時間が長かったな…。さて今までとの変化ないし今までの戦いから気づけるかどうかだな…。
24戦目
次は壁伝えで行かず、そのままレイガストを構える三雲先輩。
…気づいたな、先輩。
そしてカクレオンをした瞬間にアステロイドを放つ。
「正解だ。だが…その手には慣れてる」
と言って風間さんが斬りつけた…気がする。
『三雲ダウン』
やられたけど…気づきましたね、流石。
僕はかなり盛り上がっていたら皆さんはそうではないようで…。その代表木虎先輩が烏丸先輩のとこに行く。
「烏丸先輩。もうやめさせてください。あくまで彼なりに考えていることは認めますけど、もうどう転んだってこのままです。見るに耐えません」
「まあまあ木虎先輩落ち着いてくださいよ」
木虎先輩がそう言って烏丸先輩に止めに入るので、それを止めに入る僕。
「あなたも何でそう気長に見てるのよ」
「だってここからじゃないですか」
ちょっとキレかけの木虎先輩に拗ねるように返す僕。
「同じでしょ」
「カメレオンに今気づいたんです。ここからでしょうが」
もう一度吐き捨てるように言う木虎先輩にもっと見たいという願望を吐露する僕。
すると木虎先輩が言う。
「カメレオンの性能にたとえ気づいたとして遅すぎるのよ。もっと早く気付いて20数戦目ならまだ分かるけど、今更気づいたって遅いわ。そのまた打開策のためにこの後まだ20戦以上見たって無駄でおそらく希望はないって私は言いたいの。その手が打てないと勝てないんだから負け続けるだけよ」
おう辛辣です、本当に同学年には厳しいなこの人。
「でもオサムだって今すぐ勝てるなんて思ってないだろ。今後の経験としてやってんでしょ」
流石はチームメイトいいこと言うね!!
「そんなんでいつか勝てるわけないでしょ。勝てると思うからそういう経験が積めるし結果として勝てるのよ」
こちらもこちらで否定できないことを言うね!!
そう思ったのは僕だけじゃないのか烏丸先輩も
「木虎お前いいこと言うな」
「えっ…はい。ありがとうございます」
いや態度変えすぎでしょ、あなた…。
「でも気づいたなら見てもいいじゃないですか。ここまで見たんですし…」
僕いいこと言うね!!…別にいいことじゃない?そうっすか。
木虎先輩は、はぁと明らかに不機嫌な息を吐きながら言う。
「だいたい、あなたがなんでそんなに悠長に見ていられるのよ。この程度のことなら、あなただったらもっと早くに気づいてこの頃には思いついた策を改善するくらいの事できるでしょ。それを大きく下回る結果を出してる人に、何か思うところがないわけ?」
めちゃくちゃキレてなさる。というかそれキレてるの?褒められてるの?木虎先輩ってツンデレなのか?
よく間違えている人いるけど違うから。烏丸先輩限定でデレデレなだけだから。そこテストに出るよ!!
まあ信用されてるってことなのかな?そう思われてるのはこの立ち位置冥利に尽きるな…泣いてないよ?ホントダヨ?でも買い被りすぎですよ、嬉しいですけど。
そういうやり取りをしてると、烏丸先輩が、まあそれでもと言った後、
「俺たちがとやかく言えることじゃないしな。それに、いつ終わるかは2人次第だしなあ」
と言う。
まあそれもそうですね…。
僕的には続いて欲しいなと思いながら見ていると…
「あれ。まだやるみたいだぞ」
空閑先輩がそう言ってくれる…マジか、やったね。
木虎先輩はあり得ないみたいな顔をする。
「懲りないわね…」
「そうですかね。僕は今までの下りとは違う気がしますけど…」
三雲先輩の顔が変わる。
あ…そういえば
「何で三雲先輩にカメレオンの件教えなかったんですか?」
分かってたかみたいな顔して烏丸先輩が答えてくれる。
「あいつには…下手に覚えるより考えながら進んで欲しいから、じゃ答えになってないか?」
あちらを見ながらそう言う烏丸先輩。
「…なるほど」
この時僕は思ったんだ…
あぁこの人だからモテるんだなぁ
と。
25戦目
『ラスト一戦 開始』
さてと、どうするかな。
右手にキューブを作る三雲先輩…これはなるほど。訓練室ならトリオン切れはない、か。
三雲先輩は超低速のアステロイドで訓練室中を満たす。
防御ができないカクレオンは、対処するために現れるしかないのでカクレオンを諦める風間さん。ただ風間さんもそんなこと対処できないわけなく出現した後、スコーピオンで
辺りの弾を蹴散らしていく。
…今までの三雲先輩のカメレオン対策は20戦近くになってから、どう行動を制限していくかになってる。来る方向がわからない以上自分で相手を動かす他ない。それに明らかな格上。相手が自分の狙いを分かっていたとしても、相手の選択肢を1つに限定されることが勝ち筋の1つ…というか格下の定石だ。まあ大体詰めが甘いのか見当違いか。どちらかが負ける要素になるわけだけど。
それを防ぐのは、相手の理解だ。ここまで押し切ったと思った後に、相手がどう動くかの予測をどれだけ正確に行えるかがカギだ。
ん?僕?できてないよ。むしろ押し切るとこまでいかないことが多いから弱いわけで…。
というか上位陣お前その動きないだろって動きを、当然だろみたいな顔してするのが腹が立つ。今までの戦闘記録…模擬戦とかランク戦とかでそういう動きしたことないでしょ。ホントに人間か?と疑いたくなる化け物ばかりだ。
あぁ勝ちたい。
…話が逸れたけど、勝てるかどうかはそこにかかっているわけだ。
まあ解説に戻ろう。
三雲先輩は、行動の右方向のみの制限は一度やってる…その応用でもっと詰めを強くした上での一方向での制限。これでアステロイドを撃てばってことだろうけど。
視線で撃とうということがバレバレだ。このままじゃ無理d「スラスターON」…え?
風間さんが向ってくるところでシールドチャージをして、そのまま壁に押し切ろうとする三雲先輩。
もちろん風間さんの後ろにもアステロイドが充満している。これを防ぐためにはシールドを後ろに発生させるしかない。
風間さんを壁に押しやりレイガストモードで風間さんを閉じ込める三雲先輩。
風間さんは、押し切ろうとした相手には負けじと行くときがある…発想が、俺には思い浮かばなったと認めてくれたときだけで、ほとんどは冷静に対処してこちらの首が飛ぶだけなんだけど。
まあ熱い人なのですよ。
そして今回のこの感じ、これなら…
「勝ったぁぁぁぁぁーーーーーー」
思わず立ち上がり会場中に聞こえる大声で叫んでしまう僕。
『伝達系切断 三雲ダウン』
『トリオン漏出過多 風間ダウン』
…え?
会議室に向うための廊下
「それで誰が負けたんだ」
「え…あ、はい。そのすいませんでした」
ただいま会議室に向う道中。僕は風間さんに睨まれています。
いやだって仕方ないじゃん。僕はかなり興奮してたのだ。テンション上げ上げだったのだ。僕は悪くない、そーだ。
あの後隣に座っていた木虎先輩だけでなく会場の先輩達全員に、ダメだコイツみたいな目で見られてしまった…でも仕方ない。だってああ言ってた木虎先輩でさえ
「まあ…多少は認めてあげてもいいわ」
と言ったくらい燃える戦いだったのだ。うん僕のせいじゃないね。
「でも風間さんも引き分けだから負けたようなもんじゃ…」
頬をつねらないで頼みます。
風間さんはこちらを見て改めて言う。
「知恵と工夫を使う戦い方は、俺は嫌いじゃない」
うん、やっぱり。
「風間さんがデレた…だと」
だから頬つねないで、ホント。
「お前の評価はどうだ」
頬から手を離した後そう聞く風間さん。
「ヤバいですね、はい」
すいません、ちゃんと言うんでそんな目しないで。
「おそらくカメレオンの性能に気づいたのがラスト前の戦いでしょ。そこからすぐにアレを思いつくのは、凄いと思います…正直な話あの発想はなかったですし」
「…」
黙って聞いている風間さん。
「…それに風間さん、最後無理やりいったでしょ。あれが20数戦で引き出せるのはどうあれ僕としては化け物の部類ですよ。確かにあの発想が毎回できて動けるのが前提として上位陣にくってかからなきゃいけないわけですけど」
「…」
まだ黙って聞いてくれる風間さん。
「というのが現時点での僕の印象ですかね。まあ3人とも食えないことが分かりましたし。楽しみですね…間違ってます?」
「俺に聞くことじゃない」
…確かにそうですね。
そんな会話をしていると会議室に着く。
扉を開くと本部長が言う。
「よし、揃ったな。今回の議題は近く起こると予測される…」
「ネイバーの大規模侵攻についてだ」
会議が始まる。