『』は、内部通信です。
レプリカ先生による解説が終わったあとの話
「そういや迅さん」
「お。なんだ、はじめ」
部屋から出ていこうとする迅さんを呼びとめる僕。
「何か僕にはアドバイスとかあったりしません?」
「聞きたいの?」
僕の問いに困ったような顔をして即答する迅さん。
「何か欲しいの?」
「…まあ」
大きく頷く僕。
そりゃそのときどうすればいいかとか分かりますしね。
「じゃあ、あれだ。色々出しゃばんな」
「それアドバイスなんですか?」
何かそれいつも通りじゃないですかね?
「そうだな。な?聞くもんじゃないだろ」
「そうですね。失望しました」
「いや…何で俺が失望されたの」
そういう迅さんに別れを告げ部屋を出るのであった。
基地東部 ある建物の屋上
「本部。こちら風間隊。諏訪が新型に食われた。直ちに救出に入る」
僕は今風間隊と合流し、新型と向き合っている。
菊地原先輩がキモイって言ってるけど、確かに人と比べたら十分デカいくせに、先ほどの動きを見る限りわりかし早い。二足歩行だけど腕が地面につきそうだし…うんキモイな。
「笹森先輩達はどうしたんですか?」
周りに堤さんや笹森先輩が見えないのでそう聞く僕。
「足でまといだから帰ったよ」
菊地原先輩が新型を見続けながら何食わぬ顔で言う。
いや、良く分からないです。
それに対して歌川先輩がいつもの通りお前なと言った後、とりあえず他のとこに言ってもらったと教えてくれる…アタッカーは連携が厳しいし仕方ないかな。
「喋ってないで行くぞ」
「「了解」」
「分かりました」
そう言って風間隊と僕は、下に降りていく。
道路に降りていった風間隊は、新型と向き合う。正面に風間さん、右に歌川先輩、左に菊地原先輩という形だ。
まずは、歌川先輩が右耳に向って、菊地原先輩が左耳に、同時に斬りかかるが、それを右腕と左腕ガードする新型。
両腕が塞がったところで、下から潜り込んだ風間さんが二刀で耳めがけて切り上げる。
しかしその攻撃を、両腕を振り回すことで防ぐ新型…腕を振り回したので菊地原先輩と歌川先輩が少し飛ばされる。
やっぱり動きが機敏だな…トリオン量も、もう少し見ないと正確な量は言えないけどかなり多いし。
そのまま風間さんに向って左、右の順番で腕を振り下ろす新型。そして壁に風間さんを追いこんでいく。
そろそろか。
一応フルアタックのメテオラを両手で作っておく。
そして自分の両腕をいっぺんに風間さんに向け振り落す新型。
そのときを見計らって、新型にメテオラを放り込む僕。
この感じはあれだ、新型にちょっとかすった程度か…でもこの目的は当てることじゃなくて、メテオラの道路や塀への衝突音で、菊地原先輩達が近づいてくることを覚らせないためなので問題ない。
レーダーの捕捉方法がイマイチ良く分からいけど、トリオン感知ではないみたいだから菊地原先輩みたいに音関係だろう。
まあ違かったとしても、風間さんに集中してるなか狙ったから、十分隙は狙えるはず。
『両耳取りました』
歌川先輩が伝える…よしまずは第一段階。
風間さんもとりあえず、壁からは抜け出しこちらに合流する。
「後は、足と腹だな」
風間さんはそう言う。
次は、先ほどのメテオラがかすった足を取る作業に移る。
『うわー、やだやだ』
菊地原先輩は新型の攻撃を避けながらそう言う。
これならレッドバレッドでもホルダーに入れとくべきだったな。入れるかどうか迷ったんだけど、結局入れずに来てしまったからな。次はきちんと入れよう…次があるかは知らないけど。
動きを見ながら観察を続ける僕。
『というかさ、諏訪さんが生きてるとかってお前分かんないの』
菊地原先輩が避けながら聞いてくる。
『いやー僕のって動いてなきゃいけないんで分からないです』
『使えないなー』
『すいません』
まあ相手の狙いがトリオン器官である以上は殺してはないんだろうけど。
ラービット右腕を振り上げたところで、歌川先輩が左から斬りかかる。
しかしそれを後ろに下がって避ける新型。
先輩達2人が相手をしてくれてるんだったら時間を稼げる。この間に合成弾作って
頭に当てちゃえばいいし、作れなくても…。
それに、腹自体を破壊しなければ、諏訪さんが死んでしまうことはないだろうし…。
そんなことを考えながら足を止めて、合成弾を作り始める僕。
ちなみに僕の合成弾生成時間は、頑張って15秒。平均して20秒くらいだ…遅すぎだろと思うかもしれない。
まあ実際どう考えたって実戦で使えるのかと言われると、フリーにならないとだめなためほぼ使えるレベルではないと思う。
ただ、弾バ…出水先輩とかがおかしいのだ。あの人2秒かかってないぞ。流石は天才トリオンハッピーだ。あの隊は単体での化け物が多すぎる…うんそういうことにしとく。
そういうことを考えながら合成弾を作り続けていると、計画通りに歌川先輩と菊地原先輩の攻撃を避けて、こちらに移動し僕を掴みにかかってくる。
あと2秒くらいだったのに…。
そのまま新型は、僕を掴んで諏訪さんのように腹の中に…とはならない。
僕が掴まれかけたちょうどその時、新型が体勢を崩し始めたからだ。
理由は簡単で、カメレオンで消えていた風間さんのスコーピオンが、メテオラによって落としやすくなった左足を切り落としたからだ。
斬り落とされたことで、右ひざを道路につくように倒れ込む新型。
ここまでしてくれたらもうこっちの仕事だ。
「ギムレット」
僕の合成弾が新型の頭を破壊する。
「結局言うほど強くなかったね、これ」
頭が粉々になってる新型を見ながらそう言う菊地原先輩。
菊地原先輩がそう言ったとき、三上先輩から報告を受けたのか
「嵐山隊が先に倒したみたいですよ」
そう報告する歌川先輩。その発言に負けるなんて情けないみたいに言う菊地原先輩。
いや勝ったでしょ…ああ競争の話か。うん、競争なら気持ちは分かります。
菊地原先輩が軽口を叩く中、風間さんが歌川先輩に命令をして腹を捌く。
「あるのはこれだけですね」
そう言って腹の中にあるキューブ?を出す歌川先輩。
「これが諏訪さんなの?」
「さあ」
うわあって顔をしながら聞く菊地原先輩に分からんといった顔の歌川先輩。
「二階堂。こいつの腹のトリオンの動きはどうだった」
「いやー特に変わった動きはなかったと思いますが」
ずっと見ていたけど、トリオンの量が異常すぎるほど高くて、質も上々。これだけのものを作るのにかなりの労力とトリオンを犠牲にしたんだろうなということぐらいだ。
これが各地で発生してるのが不思議でならない。敵の狙いはこっちのトリオンのはずなのにこれじゃ採算が合わない。それに最悪こちらにベイルアウトがあるし…あちらが知ってるかは定かじゃないけど。
分断させてA級とかB級を取るつもりかと最初は思ったんだけど、本当に一人に分断って中々難しいし。
さて…どういうことなんか。
まあ報告しないとな。
そう心に決めていると、風間さんから話しかけられる。
「二階堂、笹森達をここに来るよう呼んでおいた。俺たちは先に行く。笹森達に、本部に向かうよう言え」
「分かりました」
死んではないだろうからね、早急にエンジニアだろうな。
「その後にうちの部隊と再び合流しろ。本部長には伝えてある…三上」
「はい。位置情報を送っておきます」
そう言って位置情報を渡してくれる三上先輩。
「ありがとうございます、三上先輩」
「いえいえ」
風間隊は行ってしまう。
笹森先輩達に諏訪さんと思われるキューブを渡し、本部に向うために移動し始めることを見ながら本部に連絡を入れる。
…笹森先輩大丈夫かな?しっかりしろとは堤さんは、言ってたけど、力になれなかったって他人が思ってる以上にくるものがあるしな。まあ諏訪さんが戻ってくれば多少は元気になるかな。
とりあえず移動しながらでも連絡しよう。
「本部長。諏訪隊の笹森隊員、堤隊員の両隊員が諏訪隊員と思われるキューブ状のものをこちらに回収しにきました。エンジニアの準備をしてください」
通信ONにして本部長に告げる僕。
「ご苦労、話は風間から聞いている。一は風間隊と合流後、風間の指示に従え」
「了解しました」
さて…分かったことの報告をしないとな。
「新型ですがかなりの量のトリオンで作られています。それでいて非常に精巧に作られています。たかが数名正隊員を捕えたところで元が取れるとは到底思えないです」
「分断して食らうという考えが間違っている可能性も否定できないというわけか」
「…はい」
僕が思っていることを素直に言うと、本部長はなるほど…と言った後に黙ってしまう。
まあだからどうすればいいかって言われるとあれだよね。分断無視したら食らわれるだけだし…。手を打ちたいけど打てないって感じかな。
と思ってたらそういうわけではないらしく、城戸司令が口を開く。
「戦力の情報が漏れている可能性があるならば…必然的に狙われるのはC級隊員だ」
「そうですね…」
何するの?
「鬼怒田開発室長」
本部長が呼ぶ…というか城戸司令全員に言ってたのか。
「わかっとるわい…トリオンを使うからあんまり使いたくはなかったんだが」
何?新兵器?
…というわけではなく、避難場所の地下のシェルターを拡充及び増築してただけだった。あの数日でやれることってそれぐらいか…。
避難を早くに後C級も早めも一緒にってことかな、うん。
ボーダー側は手一杯で動きはろくに変えられないけど、これなら早く避難できるかな…。
【敵艇内】
「おいおい、ハイレイン。俺たちの動きバレてるんじゃねえのか。お前がビビってるから」
「口を慎めエネドラ。上官に対して失礼だぞ」
「あぁ、てめーこそ誰に向って口聞いてんだ」
「確かに地下に入られたらこちらもやりずらい」
「ヴィザ翁の言う通りだな。兄…いや隊長」
「どうなさいますか、隊長」
「…少し計画を早めよう。ミラ」
「はい。次の段階へ進めます」
「もう新型一体倒したんですか早いですね」
僕が風間隊に追いついたときには新型もう一体倒していた…流石である。
「こんなの慣れれば雑魚だよ」
「お前なあ」
そう言いきる菊地原先輩に呆れる歌川先輩。
というか各地で新型の…新型?みたいのが出て大変らしい。
これは、僕は退いて解析作業のオペに移った方がいいのかな。本部も爆撃型の襲撃受けてたし…斬ったから大丈夫だったけど、太刀川さんが。
そんなことを思っていると凄い轟音と共にゲートが開く。
「チッ、ガキばっかかよ。外れだな」
奇遇ですね、僕も外れだと思いましたよ。
何だっけ?この国は確か、アフトクラトルだっけ。角がついたネイバーは、あり得ないスペックの持ち主らしい。そして分かり易いことにブラックトリガーは黒い色らしい。そして今回の男の人型は黒色…つまりブラックトリガーだ。
「うわあ。人型来ましたよ、風間さん」
「ああ。しかも、黒い角。俺たちは
…いや、だから外れですって。
そして角付きのトリガーは武器というより、体内の一部というものらしい…
つまり僕のサイドエフェクトも多少は利用できるわけだ。
できる限り相手のトリガーのことを分かるように対応しなくちゃいけないな…。
「せいぜい楽しませてくれよ、雑魚チビども」
ブラックトリガーとの戦闘を開始する。