ボーダー本部 屋上
「弱いんだから引っ込んでていいよ」
「お前な…はじめもフォロー頼むな」
他の新型に目を向けながら言う菊地原先輩と、立ち上がろうとする僕に手を差し出しながら言う歌川先輩。
「堤。
「はい」
さっきいた少し高いところから飛び降りながら言う諏訪隊の2人。
そんななかワープであっち側にいるスナイパー組はというと、
「にしても残り新型2体か、多いなー」
「人数が増えたことで、足止めにも時間がかからないと考えたんだと思います。いくら突破されることを考えたとしても、すぐに突破されるんじゃ意味がない」
当真先輩の言葉にそう言う古寺先輩。
今当真先輩から聞いた話だと、玉狛のメガネ君…たぶん三雲先輩が、諏訪さんのようにキューブされた人を持って本部に向うだろうから、その援護射撃を迅さんから頼まれたらしい。
三雲先輩関係でキューブっていったら雨取さんか…そこにいたら何かできたんだろうけど今いるのここだしな。
ここで、できることをしますか。
そんなことを考えていると古寺先輩の言葉に思うことがあったのか、こちらに潜んでいる冬島さんが言う。
「なるほど…つまり二階堂のせいってことか」
「そうなるね、隊長」
あのー通信入ってますよ。分かってます?
「まあ5分で片付けようぜ」
当真先輩がそう言いながら、新型を撃ち始める。
「新型は、液化型、磁力型、砲撃型がいて、今ここにいるのは、磁力型と液化型で大丈夫か」
「はい。そのはずです」
歌川先輩の問いかけに答える僕。
押したり引いたりの行動抑制の攻撃は、磁力によるものだったらしい。僕の報告の少し後に宇佐美先輩が告げたようだ…流石は風間隊のA級認定時のオペレーターである。
いや別に拗ねてないし。心から凄いと思ってるし。僕が磁力のトリガー使う人型見てたらすぐに分かったなんて微塵も考えてないよ…すいませんちょっとだけ思いました。
とそんなことより、液化型になったとしても攻撃パターンは、さっきの人型と同じ…というかその劣化なわけだし。とりあえずこのタイプになったら放置でいいだろうな。菊地原先輩がいるしね。
そう思ったのは僕だけでなく、歌川先輩も同じなようで菊地原先輩に言っている。案の上、面倒くさいから嫌だって言っているが、なんだかんだでやってくれるんだろう。
さて、こっちも仕事しますか。
1体が液化のやつを菊地原先輩達が抑えてるうちに、とりあえずもう一体の磁力型をやるか。
「ははは。どうしたどうした。俺が食われた新型のほうがまだ怖かったぜ」
磁力を帯びた物体を足と胴体周りに絞った遠目のシールドで受けながら、諏訪さんは堤さんと射撃を続ける。
…諏訪さん元気ですね。
この乱射ならあっち側のスナイパーの狙撃もあれば片足くらいは落とせるかな…。
あっちまで押し切るのは手だろうけど、諏訪さんは自分の手で仕留めたいだろうし。
そんなことを思っていると、菊地原先輩が声をかける。
「下だよ」
下からブレードが発生する…危ないな、こっちもか。
全員避けるようにジャンプする。
そのときを待っていたかのように諏訪さんの足に磁力を帯びた物体が刺さりかけるが…僕のシールドで防御する。
ジャンプしたときにシールドの位置よりずれたとこを狙ったのか…なかなかやるな。
「ったく。あぶねーなこのやろ」
そう言いながらジャンプした体勢のまま撃つのを開始する諏訪さんとそれに続く堤さん。
敵は念のためか口を閉じながら、それを腕でガードする…もうちょい押し切れれば。
僕は左手でメテオラのキューブを作って敵に向って発射。腕を重くすればガードして腕を口の方まで挙げてるのを降ろせるかなという考えのもと右手でレッドバレットを放つ。
押される新型…これはあっちまで押し切ったほうがいいな。
そんななかまた菊地原先輩が言ってくる。
「そっちから見て左の前の方から来るよ」
言った通り左前からブレードが来る。
その攻撃を僕達が避けているなか磁力型は軽くジャンプしながら上のほうから、例の物体を撃ってくる。
「堤、シールドだ」
「了解」
それを察知した諏訪さんが堤さんに命令をして僕達の頭の上のほうに大きなシールドを発生させる。
諏訪さんと堤さんは、攻撃が来ない安全圏から上に向って銃を乱射。
僕はシールドが関係ないレッドバレットを敵の腹に向って撃ち続ける。
「攻撃がワンパターンだな、新型!!」
…諏訪さん。本当に楽しそうでなによりです。
腕に各2発、腹に4発くらい撃ちこめばすぐ降りてくるだろ。
その想像通り、鈍い音とともに着地をする新型…軽く揺れたぞ。どんだけ重いんだよ、こいつ。
そして、新型の足がつくかつかないかくらいに銃声があちらから聞こえる…古寺先輩と奈良坂先輩のようだ。
新型は足元に撃たれたため体勢を崩しながら、数歩下がってしまう。
そこで新型の足から、液化型のブレードとは違う刃状のものが発生し、両足を貫いて、新型の足を止めさせる。
「来るのが分かってれば、止められるぜ」
冬島さんが張った罠である…これでラッドをさっきやったのね。こりゃ確かに大した威力だわ。
そして、数センチぼど開いている口を貫通するようにぶち抜いたのは…
「悪いね諏訪さん。新型1体は冬島隊がやったってことで」
ワープで、先ほど諏訪さんがいた位置に飛んだ当真先輩である。
「おい当真。ここまで追い込んでやったのは俺たちだぞ」
その言葉に文句を言う諏訪さん…まあ気持ちは分かりますけどね。
それに対して当真先輩はこう切り返す。
「じゃあ、こうしようぜ。残り1体の
いや面倒なことだけいつも僕に振らないでくださいよ。いつものこと?否定できないのが悔しい。
こういうときはあれだ。菊地原先輩になんであんたらに譲らないといけないのという類のことを言ってもらおう。
そう思って菊地原先輩のほうをチラッと見ると、こちらの目線には気づいてないものの言ってくれる。
「別にいいよ。僕たちが負けるわけないし…」
忘れてた、この人結構負けず嫌いだった…。
そしてそれを聞いた諏訪さんはというと、
「よっしゃ。その話乗った!!俺たちに倒されても文句言うんじゃねえぞ。行くぞ堤」
「はい」
想像以上にノリノリだった。
そのくだりを聞いていたあちら側にいる古寺先輩が、小声で言っていた。
「当真さん達、真面目にやってくださいよ。何か言ってくださいよ、奈良坂先輩」
「…関係ない。俺達は俺達の仕事をするだけだ」
そう言って液化型に向け銃を向ける奈良坂先輩。
これくらい冷静でいてくださいよ、本当に。
まあ僕も僕の仕事をしますかね…。
とりあえず、右手は引き続きハンドガンを、左手はとりあえずフリーにしておく。
液化型は、腕を下に向けているのが攻撃体勢なので、ただひたすらその体勢を保ちながら周りに攻撃している…というか数撃斬った跡が見える。二人でダメージを食らわせてたのか。
まず歌川先輩が足元に狙いを定めながら潜り込んでいく。
当然そうはさせまいとブレードを下から突き上げてくるが、僕のアステロイドと奈良坂先輩の弾がその方向を逸らす…あの距離から正確に当たらない角度にする射撃を行えるとは流石である。
それでも当たりそうな位置にあるものは歌川先輩の後について行っている菊地原先輩が軽くスコーピオンをブレードに当てて、逸らす。
そして左足に2撃。その後に来たブレードを後ろに下がりながら避ける2人。
僕は避けている最中に腹に3発レッドバレッドを入れておく…その影響でもう少し背中を丸めた体勢になる新型。
「おい、はじめ。お前がそんな体勢にするから余計に背中しか狙えなくなっちゃっただろ。背中固くて意味ないんだよ」
文句を言う当真先輩。
それは先輩のワープ位置が今の新型の真後ろなのがいけないんでしょうが、僕のせいじゃないですよ。
文句を垂れていると当真先輩の下からブレードが出現する。
「げっ、あぶな。おい菊地原、俺に来るの教えろよ」
「えーめんどくさい。それくらい自分で避けてよ。下くるよ」
僕のほうを一瞥してそう言う菊地原先輩。
「了解です」
先輩、僕にだけ教えるとかどんだけ負けたくないんですか…。
その後仕方ないなと言ってもう一度あちら側にワープし直す当真先輩…冬島隊は脱落かな。今回、冬島さんはワープを手伝うだけみたいだし。
「今だ、堤。やれ」
「了解」
当真先輩があっちに移動したのをきっかけに、僕の少し後ろにいた諏訪さんと堤さんが液化型に向け乱射し始める。
それを見ながら菊地原先輩が言う。
「来るよ」
「はい」
歌川先輩が見えないのは、そういうことだろう。ブレードでこの乱射を防げば煙くらいはできるだろうし。
そう言った後、僕達2人は乱射が全部届くように端に避ける。
先程磁力型が地上に足をついたときのような音が聞こえる。どうやら液化型が膝をついた音らしい。
「やったか」
そう言う諏訪さん。
いや、この音の発生原因は煙に隠れて歌川先輩が左足を落としたからだと思う。実際菊地原先輩があっちに行って口を斬ってるし。
「じゃあ、3体とも風間隊ってことで」
新型が倒れる。
「菊地原、てめーさっきは譲ったんだから、今度は譲れよ」
「話乗ったのはそっちじゃん」
大声を出す諏訪さんに口を尖らせながら答える菊地原先輩。
やっぱり手柄奪われたのね…。
各々軽口を叩いてるなか、僕に通信が入る。
「かいどー君。ちょっと急だけどいい?」
かなり焦った様子の宇佐美先輩である。
「どうかしました」
あまりこんなトーンの宇佐美先輩の声を聞いたことがないので緊急事態であることを覚る僕。
「修くんが大変なの、助けて」
「分かりました。状況を言ってくれると嬉しいです」
たぶん迅さんが困った時にはすぐこっちにと言っているんだろう。だとしたらやるべきことをしなくてわ。
「今千佳ちゃんがキューブにされてて、エンジニアに解析してもらうために修くんが本部に向ってるんだけど敵が迫ってて。このままじゃ修くんと千佳ちゃんが…」
涙声で言う宇佐美先輩。
マジか…これ本当に迅さんの言う事聞かないで、例のブラックトリガーの始末を終えたらちょっと留まっとけば良かったか。現地に行けばできること増えるだろうし…まあ今更か。
今できることは…
「今自分のトリガー使って遊真君が人型を倒して向ってるけど追いつけるかわかんないよ…」
本当に今にも泣きそうな宇佐美先輩。
とりあえず…
「落ち着いてください。迅さんが僕をこっちによこしたってことはやれることはあるはずです。考えます」
「よろしく…修君の位置と追ってる敵の情報は渡しとくね」
「はい。ありがとうございます」
通信を切る僕。
三雲先輩の位置はまだ少しある。
可能性は薄いだろうけど、今どうにかできるとしたらブラックトリガーを使える空閑先輩だけ。
敵もブラックトリガーだとしたら止められるのはブラックトリガーしか可能性はないだろうし…ブラックトリガーしか、か。
確か今回風刃持ってるのって…。
余裕をなくすことはできるかも。
古寺先輩に通信で聞いてみる。
「風刃持ってるのって三輪先輩ですよね?」
「そうだよ。どうしたの?」
僕の問いかけに答えて聞いてくる古寺先輩。
「今玉狛の隊員がキューブにされた仲間を本部に持って行ってるみたいなんですが追っているのがブラックトリガーみたいで…止めるためにはブラックトリガーが必要で」
そこまで言うと古寺先輩が分かったといった様子で言ってくる。
「油断を誘うってことかな」
「はい」
この説明で分かってくれるてありがとうございます。
「それで…ここでできることと言ったら」
「はい」
「うん。米屋先輩に集めるように言うよ」
「はい。ありがとうございます、こちらも本部長に報告します」
こちらでできることはこれぐらいか…。
「着いたぞ、はじめ、章平。集められたのが10人そこらで悪いな」
「いえ大丈夫ですよ米屋先輩。おれたちもいるんですし」
悪いと手でジェスチャーする米屋先輩に答える古寺先輩。
この場合は人数と言うより…
「2分弱でここまで来た時点でありがたいです。本当にありがとうございます」
頭を下げる僕。
「別にこんぐらいいいよ。メガネボーイのためだ」
「そうっす。メガネ先輩とチカ子のためっす」
そう言う米屋先輩と名前は知らないけどC級隊員の女の子。
三雲先輩って好かれてるんだな。
そんなことを思いながら三雲先輩が所定位置に来る。
「撃てえ」
米屋先輩の掛け声で敵に向って放つスナイパー。
こっちの想像通り初見の風刃をもろに受け動きが止まる。
そこから2分も経たないうちに空がもとに戻っていく。
それを見た米屋先輩が言ってくる。
「敵は行ったみたいだ。メガネボーイを助けに行くぞ。はじめ」
「了解です」
「アタシも行くっす。チカ子の場所もさっき教えてもらったんで」
今回のホルダーを書くの忘れてました。
メイン
バイパー アステロイド レッドバレット ハンドガン
サブ
バイパー アステロイド メテオラ シールド
です。
バイパーを使わずに終わってしまった。
古寺の株が上げようと思っていざ書いてみたら少し無理やり感でてしまった…これでも修正したんですが。今後もっと努力しなくてわ。
今回の結果としては
連れ去られたC級隊員微減と
エネドラによる死者は、あらかじめ避難させたのでゼロ
という形にしようかな
と思います。
本文に書かないのは本誌で今後これに関わる展開がきたときやりやすくするためです…ご都合主義っちゃご都合主義です。
今後とも精進していきます。