戦闘員オペレーターのボーダー記録   作:チビメガネ

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第18話 ヒーローのその裏側で

 

 

「だーかーらー。あの学校襲撃の件は仕方ないでしょ。あのとき三雲隊員が戦闘体になってなかったら死者多数でそれこそボーダーの信用が下がってましたよ」

  僕は思わず声を荒げて突っかかる。

 

「もしもの話で、信用の話ができるわけなかろう」

 開発室長も声を少し荒げてそう言う。

 

「それでも今回の三雲隊員のおかげで敵が引いてくれたといっても言い過ぎじゃないでしょう。そんな昔の件で今更どうこうしようとか間違ってます」

 もっと声を荒げていってしまう僕。

 

「君の言いたいことも分かるが、今回の侵攻の原因がもしかしたらバレた情報によるものだいうネタを提供したのも君だろう」

「で、ですが」

 根付さんも僕に反論してくる…そうなんですけど。

 

 今僕は本部の会議室にいる…戦功を決める会議なのかと思って来てみたら三雲先輩の処罰を決める会議で驚いた。本部長と林藤支部長対策かもしれない。ほら絶対こういうの辞めさせるし。

 

 そして何よりその元ネタが僕の…

 

『偵察型に視覚による録画機能のようなものとかあったら』

 

 という発言をもとに、学校襲撃の際、敵に情報が漏れたかもしれないという話を使って、今回の侵攻された原因ひいてはC級が攫われたのを三雲先輩のせいにしようというわけらしい。僕も可能性で論じていたため、人のこと言えないので、その件でバレたとするのはいいんだけど…というかトリオン兵と自分で思っておいて偵察型のことしか考えてなかった。モールモッドのもそりゃ含まれるよね。気づいてればもっと言い方あったわ。

 

 今は反省よりも、それをマスコミにリーク…正確に言うとサクラ?みたいのを使って、記者会見で三雲先輩をマスコミのはけ口に利用するために使うのを止めさせないとな。

 

「大体自分で言うのもあれですが可能性の話でしょ。もしかしたら見てなかったかもしれないという可能性も…」

 僕がそう言うと根付さんが口を挟む。

 

「C級が一番に狙われてしまったというが、君の推論が間違ってはいなかったということではないのかね?」

 今自分で考えてたこと言われた?あーなんかダメだ。今の状態…。

 

「でも…」

 小さく言う僕。

 

「じゃあ、お前は何かいい案が浮かんでいるのか」

 開発室長がそう僕に問う。

 

「そ、それは…その」

 だって何となく感じ取って思わずここに止めきたって感じだし。

 

「ならば、そうするのが一番いいんじゃないのかね…三雲君には悪いが」

 根付さんは最後だけちょっとだけ小声で言う。

 

 根付さんもボーダーのことを考えて言ってるのは分かる。普通にいい人だし。僕が言うことではないのかもしれないけど、かなり優秀だ。今のボーダーの社会での認知のされ方はこの人が築きあげたといっても言い過ぎじゃない。

 

「ふむ…そうだな」

 鬼怒田さんだってそうだ。

 

 開発室があそこまで技術的に異常に優れているから今回の侵攻だって、この被害で済んだし。この人のおかげで普段この三門市で人が暮らせてると考えるとありがたみしか感じない。

 

 そうだとしても流石にこれはダメだ、うん。三雲先輩だって今あんな状況なわけだし。そんなこと本人いないのにこうして決めるのはおかしいと思う…まあいたとしてもこうなるかもしれないけど。

 

 でも…

「じゃあ僕の戦功をなくして三雲先輩の行為をなかったことにするとか、最悪僕ここ辞めてもいいですよ」

 こんな関係ないことしか思い浮かばない僕には何したって無理なのかもしれない。

 どっちに転んでも、それでなくなるならいいとは本気で思うけど。

 

「お前の戦功とクビは三雲に関係なかろう」

「そうだねえ。三雲君の行為は君のことは無関係だよ」

 鬼怒田さんと根付さんに言われる。

 そりゃそうですよね。

 

 そんななか一部始終を傍観していた城戸司令が口を開く。

「二階堂、感情的になりすぎだ。少し落ち着きたまえ」

「…落ち着いてますよ」

 目線を城戸司令からそらして、呟く僕。

 

「頭を冷やして来い。落ち着けば答えを導けるはずだ」

「でも…」

 答えって…僕は認めないですよ、ええ。

 

「下がれ」

「…はい」

 とりあえず下がることになった僕。

 

 会議室を出た後の僕はというと、ふらふら歩きながら色々考えていた…。

 

 僕の力じゃ絶対あの場はどうにかできない、その自信がある。かといって何もできないまま終わるのはダメだよいうより嫌だ。

 

 …となると誰かに頼るしかない。うんだいぶ落ち着いてきた。これなら大丈夫かもしれない。

 トイレの洗面台で文字通り頭を冷やしながら思う僕。

 

 今の会議に出てたのは、城戸司令、開発室長、根付さんの3人。いつもの会議にはこの人たちの他に本部長、林藤支部長、そして…

 

 三雲先輩に関わりがあって、襲撃時の会議にも出てると思われる唐沢さんがいる。

 

 三雲先輩の好かれ具合に賭けるしかないな。

 

 僕はそう思いながら、ポケットにしまってある携帯を取り出し連絡をする…今仕事か。

 

「もしもし」

 よし、つながった。

「もしもし二階堂です。この後暇ですか?」

 

 

 

 

  とあるファミレス

 

「やあ。少し待ったかな」

「いえ、こちらこそすいません。急に」

 椅子から立ち上がって頭を下げる僕。

 

「それでどうしたんだい」

 店員さんが持ってきた水を、とりあえず一口飲みながら僕に聞いてくる唐沢さん。

 

「えっと…」

 僕は経緯を話し始める。

 

 三雲先輩の処罰のこと。

 その元ネタが明らかに僕の発言からきていること。

 唐沢さんも知ってるだろうけど、今回の三雲先輩の活躍。

 

 僕が思ってること全てを一応話したつもりである。

 

 すると…唐沢さんは、

 

「なるほど…二階堂君はどうにかしたいわけだね」

「はい」

 唐沢さんの問いかけに頷く僕。

 

 煙草ごめんねと言って火をつける唐沢さん。そして一呼吸置いた後言ってくる。

 

「その年で、自分じゃできないから大人に頼ろうという考えが思い浮かぶだけ大したもんだよ」

 …それ褒めてます?

 

「褒めてはないね」

 笑いながら言う唐沢さん。

 

 その後置いてあった水を飲みほして立ち上がり僕に言う。

「さてと、子供に頼られたら大人は、その期待に応えるのが義務みたいなもんだからね…うん手はあるから、安心していいよ」

 この短時間で思いついたのか…来て20分も経ってないんだけど。この人本当に人間か?

 

「それじゃ、俺はこれで」

 そう言って一万円札を置いて出ていく唐沢さん。

 

 いやあなた何も食べてないし、これお釣りしかこないですよ、ちょっと。

 残される僕はどうすればいいんですか?背中見せながら手を振らないで、かっこいいから。惚れたらどうすんのさ、そういうこと考えてるんですか…行っちゃたよ。

 

「僕もラグビーやろうかな…」

 唐沢さんを止めようと立ち上がった店内で呟いたのはそんなことだった。

 

 

 

 あれから数日経って今日は会見日だ。不安で仕方ないけど、唐沢さんが電話で

「俺のじゃ不安かもしれないけど大船に乗ったつもりでいていいよ…彼ならどうにかするさ」

 と言ったので気にしないことにした。こっちも宇佐美先輩から頼まれたレプリカ先生の解析作業が残ってて、気にしてる余裕もなかっただろと言われれば、認めなぜるを得ないけど…まあ何かしてないとムズムズしたからやったのもあるんだけど。宇佐美先輩が作業したいと言ってるのを無理やり寝かせるのに苦労した。あの人には自分の体調というのももう少し考えて欲しい。自分が倒れちゃ元も子もないでしょうが。

 

 

 …あと、彼って誰?

 

 

 家の玄関を出ると唐沢さんが待ってくれていた。

「やあ。おはよう…いや、今の時間はこんにちはかな」

 車の窓を開け、助手席に指を向ける唐沢さん…そこに乗れってことね。

 

 母親に行ってきますと言って出た後、乗り込む僕。

 

 何かやけに高そうな車だな…私用のかな?

 

「そんなじろじろ見ないでくれよ、照れるよ」

「いや、はい、その、すいません…」

 ペコリと頭を下げる僕に笑う唐沢さん。

 

 いい天気だねと呟いた後、息を吐く唐沢さん。

 

「それにしても良い顔になったね」

「は?誰が?」

 急にそんなことを言い出すので思わずため口になってしまう僕。

 

 でも驚くよね?唐突にそんなこと言い始めたら。

 会話に困る人でもないのに脈絡なさすぎるよ!!

 

 喋ることなくなって、しりとりしましょうかって言い始めるくらいひどいよ…それ僕だ。

 それでも

 

「うん。いいよ~」

 と言って付き合ってくれた国近先輩はマジで天使、大好き。

 

 …今はそんなことより

 

「…すいません、誰がですか?」

「ははは、今更言い直したって遅いよ」

 笑い声をあげてそう言う唐沢さん…すいません。

 

 交差点で赤になり一時停止したとき、僕のほうを見て言う。

「君がだよ」

「はい?」

 はい?

 

 そう聞き返す僕に微笑みながら言う唐沢さん。

「この前のファミレスの顔は本当にひどかったよ。目が死んでた」

「本当ですか?」

 あぁそういや親にも心配されてたわ…返す余力もなかったけど。

 

「君にせよ迅くんにせよ、無理だったことを悩むからね。物事はそのときは、最善の一手に見えても、後のことを考えるとダメだったなんてよくあることだよ。大人の世界じゃ特にね」

 交差点を右折しながらそう優しく諭すように言う唐沢さん。

 

 でもちょっと訂正させてほしい。

「迅さんは視えてるからこそ、最善の一手もしくは自分がすべきことが…というより自分ができてしまう範囲が分かってしまって、自分の無力感を感じてしまうんだと思いますよ。だから、僕とは悩みの次元みたいのが違うと思います、きっと」

 あくまで想像でしかないけど。

 

 そうかと言いながら聞く唐沢さん。

「信頼してるんだね」

 どうやって聞いたらその結論になるんですかね…まあそりゃ、

 

「僕が初めてこの人凄いなって思った人ですから」

 左の景色を見ながら呟く僕。

 

「なるほどね」

 車は左に曲がっていく。

 

 というよりここの景色どっかで見たことあるんだ…駐車場入っちゃう?

 

 

 

 ああ、彼って三雲先輩のことなのね。

 

 

 じゃあと言って僕だけ車内に取り残される。

 

 本人に見せんの。策なのか、これ?単に鬼畜なだけなんじゃなかろうか…。

 うーん、唐沢さんの考えることだしな。絶対なにかしらあるんだけど。折角回復したのに胃に穴空いてもう一度ぶっ倒れちゃうよ、三雲先輩。

 

 唐沢さんの意図が全く読めんぞ。本当に会見大丈夫かな…まあ頼んだやつが言うセリフじゃないですね、はい、本当にすいません。

 

 そんな僕が今更考えても仕方ないことを考えてたら車のドアが開く。

 

 ちなみに三雲先輩には姉はいない。今三門市にいるのは母だけらしい。結構重要なポイントである。

 

 …三雲先輩に謝ろうと思ったらなぜか唐沢さんに止められた、とりあえず全てを見てからってなんのこっちゃ。

 

 

  会見場

 

「では、その隊員のせいで今回の侵攻の原因があった可能性があると言っているのですか?」

「あくまで…可能性の話ですが」

 記者の質問に受け答えする根付さん。

 

 うわぁ…想像以上にひどいなこれ。どうしましょうかね…。

 

 隣をチラッと見ると三雲先輩がかなりまずそうな顔している…本当にすいません。

 そして唐沢さんに僕にこれを見せるために連れてきたんですかと問う三雲先輩。

 

 それに対して唐沢さんは

「事前の会議で決まっていたことらしいからね、君には知らせるべきだと思ったんだよ。あとは…まあいいや」

 僕を横目で見ながら言う。

 

 それを聞いた空閑先輩は心底不愉快な顔で根付さんのほうを見ている。それに対して三雲先輩はというと

 

「これが本当なら僕が攻められるのは仕方ないよ…」

 僕この人、傷つけたのか…本当にこの後どうすればいいんでしょうか。

 

 すると空閑先輩がはあと大きなため息をついてこう言った。

 

「オサムお前つまんないウソつくね」

 何が嘘なのか、僕には分からなかったけど性格うんぬんの話をしてるってことは、三雲先輩はそんなこと言う人じゃないってことか…まだよく分からん。

 

 空閑先輩に背中を押され、三雲先輩は記者達のもとへ向かう。

 

 

「先程から話にあった隊員は、僕です。質問があるかたは直接僕にお願いします」

 覚悟を決めてる顔だった。

 

 

 

 

 

「君のせいでこちらの情報が敵に漏れてしまったことについてはどう思うのかね?」

 記者の一人が問い詰める。

 

 すると三雲先輩は答える。

「今にして思えばその可能性もあったと思います」

「今にして思えば?反省する気あるの」

 もしもの話は通用しないってのは理解してたつもりだったけど、認識が甘かったな。鬼怒田さんもこういう話がしたかったんだな。

 

 今だって切迫した状況だっていってるのに聞く耳もたないし…いやだからって攫われていいのかって言われたら頷けないけど。

 

 その時はその時仕方ないで済まされないのがこういう場なのか…誰かしらのスケープゴートが必要なのはこういうことなのね。

 うん、こういう理解はしとかないと次こういう事態のときの対処できないからな。今回唐沢さんに頼んでしまったし。

 

 三雲先輩が今言ってることは間違ってるとは言えないけど、今誰かのせいにしたいっていうマスコミの考えから見ると反省してない、ふざけんなってなるわけか。

 

 改めてこういうのいつも対処してる根付さんって凄いんだな。

 

 

 

 そして記者の追及はついにC級隊員が攫われた件に移る…。

 いや責任って重い言葉使うなよ。

 

 と思っていると、三雲先輩は記者の言葉を遮るように言う。

「取り返します。ネイバーに攫われた皆さんの家族も友人も取り返しに行きます」

 

「『責任』とか言われるまでもない。当たり前のことです」

 遠征を知らない記者達かざわざわし始める…凄いな。この場の空気変わったぞ。

 

 いい人という判断間違えてたな…そういうあれじゃない、うまく言葉で言えないけど。

 

 僕の表情を見て唐沢さんが言う。

「君こういう子好きだろ」

「…ノーコメントで」

 それ答えいってるでしょみたいなことを言われる僕。

 言うのは言うので恥ずかしいのだ仕方ない。

 

 

「僕このあときちんと謝りますね」

「そのほうがいい」

 まあ俺もフォローするよと続ける唐沢さん。

 

 会見が終わる。

 

 

 

 

 数日後 2月1日 ランク戦閲覧室

 

「ボーダーのみなさん、こんばんは!海老名隊オペレーター武富 桜子です」

 B級ランク戦が始まる。

 

 え?お前武富先輩に嫉妬してないかって、僕がそんな小さい人間に見えますか?そうですか、見えますか。うん見えるな。

 

 ははは、残念だったな。

 なんと林藤支部長が玉狛第二のB級チームにさせる資料を僕に提出させる代わりに解説役への推薦をしてくれることになったのだ!!

 うん、勝ったな。ここにサインしてって言われた紙にちゃんとサインしたし、これからは僕の時代だーーーー。

 なんかサインした後二ヤついてたけど気のせいだろう…フラグかな?いや気のせいだろう、うん。

 

 転送が終わり戦いが始まった。

 直後吉里隊が空閑先輩一人でべイルアウトさせられる。

 

「は、早い!!吉里隊があっという間に全滅!?玉狛第二の空閑隊員、B級下位の動きじゃないぞ!?」

 …くそっ。武富先輩が輝いてらっしゃる。羨ましいな、今から解説席いっちゃダメかな。なんていうの?凄く解説したい(やりたい)

 

「さあ、吉里隊のベイルアウトが見えた!間宮隊はどう動くか!?」

 ねえ行っちゃだめ?僕もう我慢できないよ。僕にも言わせて頼むからーーー。

 は?別に拗ねてねーから、羨ましいだけだから!!…変わんないな。

 

 間宮隊は建物に籠り待ちの選択をするが…

 

 ボーンという銃声?とともに建物が粉砕した。

 …え?

 

「どああ!?」

 超殺人兵器雨取千佳アイビス砲(以下チカ砲)により粉砕した建物から出てきた間宮隊をべイルアウトさせる空閑先輩。

 

「しょ、衝撃の結末!!雨取隊員がアイビスで障害物を粉砕!!というか威力がおかしいぞ!?」

 うん確かにヤバい。凄くヤバい。それと僕がそのセリフ言いたかった。

 

 その後武富先輩が今後の説明をして終わる。

 

 待っていろ、解説席よ。3戦目で僕はそこにいくから…その時に返事を聞かせてね。うんキモイな。

 

 

 二戦目はすぐに始まる。

 





 昨日も書き、今日も修正するなかで分かったのですが、場面が変わるときが苦手なようです。
 参考になるものがあれば、ハーメルンのSSでもいいので教えて頂けると嬉しいです。



 それで今後についてです。

 ・前回の最後もう少し訂正すべきだなと思うので良くなるよう訂正します…できたらですが

 ・今見ていらないかなっていう前書き後書きは消そうかなと思います。

 ・単純に疲れた

 の三点の理由により1週間くらい休みます。

 そしてその後、国近さんデート回、ランク戦第二戦、ランク戦第三戦開始前までの流れでいきたいと思います。
 那須隊は開始前に触れられる予定です。

 それと批判ご指導その他あれば感想欄か活動報告によろしくお願いします。

 そろそろ前作じゃなくてこっちの仕様に戻さないとな。

 ではでは1週間位後に。
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