大規模侵攻最後の描写は今の作者の力では無理でして、もう少し力がついたら書き直すことにします…忘れないように※をつけておきました。
1月29日 玉狛支部
「さて今回集まってもらったのは他でもない。先ほど言った通り、かいどー君のデートをわれわれ玉狛支部がプロデュースをしようというわけだよ」
真剣な顔をして言う宇佐美先輩…あなた絶対からかう気しかないですよね。
真向かいに座っている僕がそんなことを思っていると左にあるソファーに座っている空閑先輩が聞いてくる。
「でーと…好きな男女が一緒に出掛けるというやつのことか」
それくらいはこっちの世界住み始めたら、流石にネイバーでも知ってるか。
しかし、いや違うぞ遊真と言って訂正する烏丸先輩。何を言うのかと思ったら、
「デートってのは日本だとそのまま結婚までゴールインするためのお出かけを言うんだ」
「ふむ、なるほど」
二人してこっちをニヤニヤしながら見てくる。そこはつまんないウソつくねって言うとこですよ、空閑先輩?
というかそんなにデートのハードルが上がったら全国の男女はろくにデートできないでしょ、全く。
…本当にこの人たちに任せていいんだろうか、まあ今更なんだけどさ。
「う~ん。久しぶりにやるならどっちがいいと思う?」
国近先輩がスプーンを口に加えながら、ドラ○エのⅤとⅧを両手に持ちそんなことを聞いてくる。
僕が今日の計画を頭の中で復習しているなか国近先輩は呑気にそんなことを言ってくる。
…そう今僕は太刀川隊の作戦室で先輩と二人きりなのである。本当はここに宇佐美先輩も誘う予定だったらしいが、国近先輩曰く急用ができたとかで断られたらしい。
まあ当の本人は頑張りたまえと僕にメールしており、来るつもりなんて最初からなく今頃は玉狛支部でゴロゴロしてるんだろうけど。
そういや何で玉狛支部に頼ることになったんだっけ…あああれか最初米屋先輩に聞いたんだった。それで俺よく分からんということで、宇佐美先輩に連絡がいったんだ。
ちなみに米屋先輩のアドバイスは、
「いいか、はじめ。二人きりなわけじゃん。それで相手は脈アリと言ってもいいわけだ。そしたら男としてすることは決まってるだろ…な」
というものだった…僕がそんなことできるわけないでしょうが。
へタレ?知るか、そんなこと。
そんなことを考えていると、いつのまにか国近先輩が僕の隣に座っていた。
「はじめくん。ちゃんと聞いてる?」
「は、はい。聞いてます…よ」
いちいち近寄らないで!!
顔が近くて反応に困るから。どこ見たらいいか分からくなるから…いい匂いだけど。
その反応に納得がいかないのか国近先輩は、僕の顔をじっと見ながら言ってくる。
「んー、ホントかね。お姉さんに隠し事はいけないんだぞー」
ニコニコしながら人差し指を、「めっ」という感じで僕に向けてくる…なにそれチョー可愛い。
しかし先輩の猛攻は終わらない。
「それに顔赤いよ。大丈夫?」
そう言ってもう少し近づいてくる先輩。
「はい。大丈夫なんで、もうちょい離れましょ…ね?」
主にあなたのせいなんで、ええ。
その言葉を聞いた先輩はちょっと考え事をするように天井を見上げた後ニッコリと微笑みながらこっちをもう一度見てくる。
あ…この顔からかいに来る顔だ、僕よく知ってる。
そして先輩は人差し指を天井に向けて言う。
「じゃあ質問です。わたしは何の話をしていたでしょうか」
「あー、えっとゲームの話ですか…」
これで大正解だろ、絶対間違ってないはずだ。
すると先輩はちょっと納得しないような顔をして言ってくる。
「今馬鹿にしたでしょ」
「そんなことは…」
ないとは言えないですね。
もっとまじめに言ってよーと言いながら近づいてくる。それに合わせて少し後ろに下がる。
「なぜ逃げるのかね」
「身の危険を感じて…」
その態度を見てそう言う先輩と、答える僕。
それに対して先輩は、
「そんなことしないよー」
と言って近づこうとしていく。
だってなぜ逃げるのかねのトーンが、良いではないか良いではないかーと同じですよ。男のときに言わないかもしれないけど貞操の危機なのですよ。あれ…でも好きならいいんでね?
いや、うん。やっぱダメだと思う。いくらへタレでもこれは守るべきプライドなんだよ…きっと。
そんな姿を見て観念したのかこう言ってくる先輩。
「それで、わたしはなんの話してたでしょうか。違ったらもっと近づきます」
前言撤回。ダメだこの人止めなくてわ…これ以上近づかれたら色々ともたない。これは早めに手を打たないと。
そう思いながら玉狛支部で言われたことを思い出す僕…。
「かいどー君と柚宇さんの会話で特徴的なのは、かいどー君がいじられr…柚宇さんに主導権があることなんだよ」
「それ…言い直した意味あるんですかね」
「ないね」
…ドヤ顔で言わないでくださいよ、宇佐美先輩。
そして続ける。
「それで、かいどー君はデレデレして終わってしまうんだよ」
「そうですね」
うん、否定できないな。
僕がそう思っていることが分かったのか、ニヤッとした後、メガネをクイッと上げて言う宇佐美先輩。
「そこで…とりまるくん」
「了解です、宇佐美先輩。例えばだな…」
「そ、その分からないので…教えてもらっていいですかね」
そう言いながら次は自分から先輩に近づく僕。
イケメン代表烏丸先輩曰く、そうやってからかう女子は、反応を見て楽しんでるだけで自分は同じことをやられると思ってないので、同じことをすれば距離を置こうとするらしい。
ただ、引かれるかどうかは元々の仲の良さによって決まるため、このことをやるには見極めが必要らしい…マジで貶される場合もあるから気を付けようということのようだ。
流石は烏丸先輩僕のことを分かった上でどうすべきかアドバイスしてくれるとか、イケメンは違うね!!
決まったこれでもう国近先輩はやってこないぜ…と思っていたのだけど、そんなことはなかった。
「おー。はじめくんも成長したねー。うんうんじゃあここで説明してあげよう」
国近先輩自体ももう少し近づいてきて、普通に肩が触れ合うくらいの距離で話始める。
あれれー。話が違うなー。なんでだろうなー。
…あのイケメンめ、騙しやがったな。確かに今思うとおかしかったわ。だって言い終わった後の顔が、「小南先輩知らなかったんですか」のときの顔と同じだったもん。くっそ、自分から言ったんじゃ離れられないじゃん。
ヤバいよ、凄いよ。顔を右に向けただけで先輩の顔が至近距離になっちゃうよ。非常にまずい…思春期男子的に。
僕がどうしようかと思っていると国近先輩の声が聞こえる。
「やっぱり話聞いてないでしょー」
ヤバいちょっと怒り気味な先輩も可愛い。
まあこれ以上はいけないんだよな、この人怒ると結構怖いし。
教わったことをもとに会話にだけ専念することにする。
「すいません。なんですか?」
「だから初回特典がね…」
やっぱゲームの話じゃないですか…。
まあ楽しそうならなんでもいいか。やだ僕って単純。
でもそういうもんだよね?うん仕方ない、僕は悪くない。
「確かにキャラが使えるようになるか否かは結構いいですね」
「でしょー」
隣に座って話す僕達(話してることは格ゲーの話です)。
「でもそういうのってオンラインのイベントとかでもらえません?」
なんかそんなイメージ…いやよく知らんけど。
「無印からのファンとしては捨て置けないのですよ」
「はあ」
右の拳を握りしめそう言う先輩。
現役の女子高生が力をいれることではないと思うんだ…。
そう思いながらも、片手を握りしめたことでもう片方の手にも力が入り気づいたことがある。
…先輩何ナチュラルに左手を僕の手と握ってるんですかね。
これが先輩の実力か。国近柚宇、恐ろしい子。
ただ今日は色々考えないことができているんだ、たぶんこれも大丈夫だ…。
「さっきも言ったけど、かいどー君はいちいち反応しすぎなんだよ。敵はボーダー最強のゆるふわ天然美少女。そんなことではいつまでたっても倒せないよ」
机を叩いて演説しているかのようなトーンで言う宇佐美先輩。
「確かにそれもそうですね。でもやっぱり意識してしまうんですよ…どうしたらいいですか」
これも何かしらの策があるんだろう、でなきゃわざわざ言わないだろうし。
「それは自分で考えるんだよ、かいどー君」
真顔で言う宇佐美先輩。
あ…分からないのね。
「で…どうしよっか」
「そうですね…」
二人して腕を組む。
僕達が悩んでいると、雨取さんが口を開く。
「意識してみる…とかどうかな」
僕の事を見てそう言う…どういうこっちゃ。
「千佳ちゃん。どういうこと」
宇佐美先輩も疑問に思ったのか雨取さんに聞く。
「あ…えっと」
雨取さんが話始める。
雨取さん曰く、自分が緊張し始めてどうしようもないときは、緊張しないように意識を持っていくのではなく、緊張するほうに意識を持っていくと自然と落ち着くらしい。意識するなという意識が一番意識してしまうということだ。何か意識ってたくさん言ってるぞ。まあ要するに無駄に気持ちをコントロールしようとするのはいけないというわけだ。
というわけでこれをこういうものでも実践できるのではというのが雨取理論である。実際、隣に座るという行為はこれで大幅に軽減された。
だから今回もこれを信用して使えば全く問題ない…と思うじゃん?
やっぱり肩とかの服が上に着てあるのは大きい。やっぱり直接の接触は意識しちゃダメだったよ雨取さん…。
というか手のこと考え始めたら、大丈夫だったはずの隣に座ってるということまで意識がまわり始めたぞ、こんなはずではなかったのに。
そんななかゆるふわ天然美少女こと国近先輩は、
「やっぱり背が同じくらいでも、手の硬さとか違うんだねー」
握った手を僕達の顔くらいの位置まで持っていき手を合わせる。
ニコニコしながらそういうことしないでよ。もうあれだよ、可愛い以外のなにものでもないよこの人。
このままではまずい。本当にまずい。どれくらいまずいかというと、米屋先輩のアドバイスを実現しそうなくらいまずい。
僕が一人脳内で敵と激闘しているなか先輩はというと、
「もうちょいこうしてよっか」
合わせた手をもう一度握り直し床に置く。そして鼻歌を歌い始めるのだった…何この子、可愛い。
ただ、このままでは本当にまずいのでこの状況を変えなくてはならない。ほらたまたまあの場にいた林藤支部長だって、男は勢いでいいんだよって言ってたし。あのアドバイスを実現しないのは、へタレだからではない戦略的撤退である…嘘ですへタレです、すいません。
まあ今はそんなことどうでもよくてこの状況の打破は…勢いに任せよう。断わられたら断られたでいいよ、泣いちゃうけど。
「先輩、あの」
確か…
「いいか、はじめ。女子をデートに誘うにはまず一言目に言うことがある。それは…」
宇佐美先輩から、デートの誘い方の話を振られた烏丸先輩がこちらを見て一呼吸おく。
「それは…」
思わず繰り返す僕。
「結婚してください…だ」
星を出しながら言う先輩…なわけないだろ。この人絶対教える気ないよ、楽しんでるよ。
それを聞いた空閑先輩が口を挟んでくる。
「あっちでもそうだった気がする」
星を出す空閑先輩。この人も悪乗り激しいな…どんだけデート命懸けなんだよ、あっちの世界。
そして、烏丸先輩はというと
「なるほど。これは、はじめも学ぶしかないな。ほらバレタインだって海外の風習だろ。今こそ異世界に学ぶべきなんだ」
ネイバーテクノロジーってそういう意味じゃねえよ。
しかし、それを聞いたとき言葉を出して反応したのは僕ではなかった。
「ちょっと、とりまる!!バレンタインは日本固有のものだってこの前言ってじゃない!!」
「ああ、すいません。あれ嘘です」
「なっ!?」
…いやそれぐらい気づいてくださいよ。
…ろくなこと教わってなくないよ、これ。
「ん?どうしたの」
呼びかけたきり固まった僕を見ながら首を傾げる国近先輩…うん可愛い。
やっぱ勢いだね、それしかない。
「先輩、出かけますよ。新作のゲームあるんでしょ」
早口だけど、どうにか噛まずに言い切る僕…まあ自分的には合格である。
それを聞いた先輩は少し驚いた顔をして言う。
「流石は、はじめくん。なんだかんだで話を聞いてたんだね、うん嬉しいよ」
うんうん頷づく先輩…可愛い。
ただまだ疑問に思ったことがあるようで先輩は続ける。
「でも急にどうしたの?なんか今日あったっけ」
「え」
マジでこの人自分のあれですよ…覚えてるでしょふつう。
「先輩、今日誕生日ですよ」
「あっ…」
マジだった。
あはは、忘れてたと言って頭をくしゃくしゃする先輩。
そして…
「じゃ、着替えてくるねー」
そう言って服を取り出す先輩…この人徹夜するつもりだったんか。明日月曜だけど確か先輩のとこ創立記念日だとかで休みだったし。
「別に着替えなくてもいいんじゃないですか?」
疑問に思ったので聞くことにする。
「女の子はデートではおめかししないといけないんだよ」
服を取り出しながら言う先輩…そんな直接言わなくても。
赤くなっている僕の顔を見た先輩はからかうように言う。
「はじめくんから言ったんだから、デートの言葉くらいで照れちゃダメだよ」
着替えるために立ち上がる先輩。
こうしてデートが始まる。