戦闘員オペレーターのボーダー記録   作:チビメガネ

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第20話 玉狛支部とデートを考えてみる(2)

 

「じゃあ行ってくるねー」

「はい」

 もう一度確認のように言う先輩。

 

 いやそう何度も言わないでも分かりますよと心の中で思っていたんだけど、先輩の意図はどうやら違かったらしい。

 

 というのも違う部屋に行くための扉の前に来て、クルッと回ってこちらにひとこと。

「別に覗いてもいいよ」

 笑いながらそう言ってくる。

 

 ふふふ甘いね先輩。いつもだったら「な…なに、言ってるんですか。あなたはーー」とか叫ぶ僕であるが今日は違う。

 

「いや…その、しないですよ…はい」

 はい、そんなことも言えなかったです。僕は悪くない、そういうこと言う先輩が悪い。

 

 横を向いて顔を合わせない僕を見ながら、勝ったみたいな雰囲気で部屋に入っていく先輩。

 

 前半はまだ良かったんだけどな、おかしいな。え?気のせい?それは言わないお約束です。

 

 今のうちに精神統一をしておかないと、外で精神もたなくなるのが一番まずいし。

 

 

 深呼吸をしたりしながら、待つこと数分。扉を開けて先輩が現れる。

 

「どう?」

 こっちの部屋に入って来てクルッと1回転する先輩。

 

「可愛いと思いますよ?」

 思わず疑問形になってしまった。別にあれだから、あれ。感想聞かれるまで見とれてたとかじゃないよ?ハジメウソツカナイ。

 僕服のことはよく分からないので説明できないけど、可愛ければ問題ないよね!!

 

「ほうほう。そうですか、そうですか」

 僕の態度に納得いったようで先輩はニコニコしている。

 

 うん危ない、危ない。ここで特になんとも思ってないみたいな態度とれみたいに玉狛で言われてたけど違うな、これでいい、うん。別に宇佐美先輩が、国近先輩なら拗ねて、最終的にはデレてくれるんじゃないとか言っていたことを気にしてるわけじゃないから。特になんとも思ってないから。

 

 僕が心のなかでそう言う先輩も見てみたいな…とは思ってないけど、そう言われたことを思い出していると、座っている僕に手を差し出してくる。

「じゃあ、行こっか」

 えっとこれはその…そういうことですよね?

 

「ん?」

 そんな手を繋がないのみたいな顔しないで。それにさっきは先輩が勝手にしたんであって僕の意思関係ないでしょ。

 おまえ、本気で嫌がってなかっただろうって…そういう質問は僕良くないと思うな!!

 

 その態度を見て納得したのか手を引っ込める先輩。流石先輩察してくれたね。そういうことですよ。

 

 しかし、そうではなかった。

 

「へえ、はじめくん。部屋でそういうことするのに、外に出たらしなくなるんだ。これは二人きりのときとか襲われちゃうなー、怖いなー」

 最後棒読みなのが可愛い…とか思ってる場合ではない。

 

 からかう感じで言ってるみたいだから、おそらく本気では思ってない。ただこれはあれだ。ゲームでいうとところの無限ループだ。ここの返事は、はいを選択しない限り前に進めないやつである。

 …屁理屈ごねたとしても、先輩と手を繋いたいだけだろとか言うなし。そうだよ、悪い?

 

「よろしくお願いします」

「うん、素直でよろしい」

 立ち上がって手を繋いだのを見てそう言う先輩。

 

「じゃあ、改めて…行こっか」

 太刀川隊の作戦室を出る僕達。

 

 

 

 

「なんか注目されてるねー…あっそっか。今やはじめくんは有名人か」

「いや先輩の方が明らかに有名人でしょ。A級1位は先輩の想像以上に認知度ありますよ」

「そんなふうに思わないけどなー」

 先輩の認知度凄いですよ…いや先輩『達』かな。とりあえずA級オペレーターの人気は驚くくらい高いよ。その筆頭さんと手を繋いで本部の廊下を歩いてるわけだから。そりゃ注目されるよ、主に男子の殺意的な意味で。

 

 僕も二級戦功もらって、誰だこいつという意味で注目された。その結果知らないC級とかに話しかけられたりするようになったのだ…主に男子の、オペレーターの連絡先教えろやという絡みだけどね。丁重にお断りしてるけど、数が多くて最近困っている。

 

 それと女子にキャーキャーしてくれるなんて幻想抱くのはよろしくないよ。ほら太刀川さんみたいなブラックトリガーの中で一人だけ特級戦功とかは別だけど…あれは次元が違う。

 

 大規模侵攻の影響で仲良くなった女子は…夏目さんとか?

 

 わざわざ支援課室まで来て

「改めてチカ子とメガネ先輩を救ってくれてありがとう」

 と頭を下げに来てくれた男…じゃなくて漢。凄くいいやつである。雨取さんもなかなかの人たらしだ。

 

 

 そんなことを考えながら先輩と歩いていると、聞かれる。

「はじめくん。ちゃんと話聞いてる?」

「ああ…で例のキャラがどうかしたんですか?」

「そうそう、それでね…」

 危ない、今のは本当に聞いてなかったわ。

 にしても本当に視線がひどいな…胃に穴が開くかもしれない。これ玉狛の人達にバレないよね。バレたら後で散々追及されそうで怖いんだけど。いやだなー。

 

 そうこうしているうちにエレベーターの乗る位置まで来る…よし玉狛のメンツいない。このまま外に出ればおそらく大丈夫だ。ゲームショップは本部から近いし。

 

 自分の幸運を心のなかで神様に感謝していると下のボタンを押した先輩が言う。

「はじめくん。さっきの話聞いてなかったでしょ」

「…すいません」

 バレてましたか、流石です。

 

「次やったらダメだぞー」

「…はい」

 人差し指で頬をグリグリするのやめてください、周りの目が痛いです。

 それに、それをするならとりあえず手を離して、離した手でやったほうがやりやすいでしょ?

 なぜ、手は繋いだままするの?そのせいでかなり密着してるんだよ、今。

 

 そんなか、その状況をやめろと言わんばかりにエレベーターのドアが開く…やっと解放される。

 

「おーはじめじゃん。国近もどうもどうも」

 前言撤回。僕は幸運ではないらしい。

 

「迅さん。おはよーございます」

「…どうも」

 先輩は乗る前に頭を下げ、僕はおそらくこれ以上ないくらい嫌そうな顔をしながら言う。

 

「こんなとこで奇遇だな。宇佐美が聞いたら喜びそうだな」

 呑気に笑いながらドアを閉めるボタンを押してくれる迅さん。

 

 僕達が乗ったのは3階。言うほどの時間をない。

 

「でなんなの。やっぱデート?」

 どこから取り出したか分からないぼんち揚げを食べながら聞いてくる迅さん。

 

 ここは適当にはぐらかそう。1階なんてすぐだ。

 

 僕がそう決断し迅さんに言おうとしたとき先輩に先に言われてしまう。

「そうですよー。ね、はじめくん?」

「…はい」

 終わった。僕の完璧な計画が…でもあれかどうせ帰ったら宇佐美先輩に言われるのか。そしたらここではぐらかしても無意味じゃん。

 

 もうあったなら諦めるしかないか…。

 

 その僕の様子を見て迅さんはというと

「写メでも撮るよ。それじゃあ撮るの難しいだろ」

 携帯を取り出して、携帯で繋いだ手を指す迅さん…いつのまにあれ食べ終わってたの。

 

「ありがとーございます。迅さん」

 嬉しそうに言う先輩。

 

「はじめいいだろ」

 答えなんて決まってるよなみたいな感じで言う迅さん。

 

「どうせもう断れない未来なんでしょ」

「そんなふうに気にしてない素振りすんなって。本当はツーショット欲しくて仕方ないくせに」

「…まあ」

 本人が目の前でそういうこと言いますかね?先輩も嬉しそうにしないで。もっと照れるから!!

 

  その後、じゃじゃあっち行ってと言われ端に寄る僕達。

 

「ほらほら。もっとくっついてくっついて」

「はーい」

 迅さん?絶対2人とも映ってますよね。くっつかなきゃいけない理由ないよね。

 さっきもだけど密着したせいで色々当たってるから!!

 あえて何がとは言わないけど!!

 

「よし。終わったぞ」

 カメラの音が聞こえてそう言う迅さん…ようやく終わった。

 

 先輩はとりあえず写真を見たいのか手を離し迅さんのほうへ向かう…解放されました。僕もうお家帰って寝たいです、疲れました。

 

 息を吐きながら力を抜いていた僕は、ふと階数を指定するライトを見てみた。

 

 あれれー、1階のライトが付いてないぞー。これじゃ一生1階にいかないよ…。

 

 何してるんですか、迅さんという意味を込めて睨んでいると、迅さんはいやいやと手を横に振っていた。おそらく、あれだ。

 

「ごめんごめん。誰にも邪魔されないってサイドエフェクトが言ってたから…ちょっとな。でもおまえも得したからいいだろ」

 ということだろ。まあそりゃそうですけど。

 

 それでも僕が今気づかなかったらどうするつもりだったんですかという意味を込めて1回のボタンを押しながら再び睨んでいると、迅さんは…

 

 ニヤニヤしながら僕を指さしてくる。おそらく

 

「そりゃあれだよ。思春期男子の妄想を叶えるようなギリギリ、セクハラにならないような…とか」

 ということだろう。

 

 先輩をなんだと思ってるんですかという感じで睨むと悪い悪いみたいな顔をしてくる迅さん。

 

 そうこうしてるうちに1階につく。

 

「迅さん。ありがとーございます。後ではじめくんから貰いますね」

 そう言ってとりあえずエレベーターを出ていく先輩。

 

「…じゃあ僕も行きますね」

 お礼を言った後僕もエレベーターを出る。

 

 

 

「さて…ゲームショップ行きますか」

 ボーダー本部を出た後右に曲がりゲームショップに向おうとする。しかし、先輩に何故か睨まれている…ああ、その。

 

「手とか繋いだ方がよろしんでしょうか」

 何か手を繋ぐの慣れてる僕が怖いぞ、うん。

 

「ん?それもそうなんだけど…」

 僕がそういうと思わなかったのか少し驚いた表情をみせながら、少し歯切れの悪い返事をする先輩。

 

「どうかしました?」

「んー。迅さんと仲良いなーと思って」

 へ?これはあれか、うん勘違いじゃないよね?いいよね。

 

 

 

 

 

 

「いいかね、かいどー君。柚宇さんは意外とかいどー君のことを思っているんだよ。脈アリなのね」

「…そうですかね」

「嬉しそうにしない。ここからだよ」

 ベシッと叩かれる僕。

 

「そう敵は脈アリだとしてもチョロくない…こなみとは違うんだよ」

 立ち上がりながらメガネを上げる宇佐美先輩。

 

「ちょっと!?それどういう意味よ、しーおーりー」

「ぼめん、ほ~な~み~」

 両頬をつねられる宇佐美先輩。

 

「あたしのどこがチョロイのよ!!言ってみなさい、とりまる!!」

  烏丸先輩に振る小南先輩。

 

 振られた先輩は一呼吸おいて言う。

「小南先輩…すいません。今先輩が食べてるどら焼き、なんちゃってどら焼きというやつで、実はどら焼きじゃなくてシュークリームなんですよ」

 急すぎでしょ。そんなん騙される方がおかしいよ。

 

「えっ!?そうなの!!」

  うんおかしいよ…。

 

 小南先輩はうそ、おいしかったのにと言った後に、

「あんこ入ってるシュークリームなんてあるのね…知らなかった」

 と言う。

 

「はい、俺も知りませんでした…嘘ですから」

 それに対して、清々しい顔で言う烏丸先輩。

 

「なっ!?」

 驚愕の表情を浮かべる小南先輩。

 

 そのやりとりを見て咳払いをしてから言う宇佐美先輩。

「こんなふうには普通はいかないから気を付ける必要があるんだよ。でもね柚宇さんなチョロくなりそうな時があるんだ。それはずばり嫉妬したときだね」

 決まったという顔をする宇佐美先輩。

 

「そんなときあるんですかね?」

 別にデレさせたいとか思ってな…くないです、見たいです。

 

 僕の表情を見て、宇佐美先輩は、二ヤっとして言い始める。

「まあまあ、今後のためにも聞いといて損はないよ。そういうときはね…」

 

 

 

 宇佐美先輩曰く、相手が弱みを見せてるときはガンガンいこうぜってことらしい。攻守が逆転すればこっちのもんだという作戦だ。

 

 というかわけで攻めるわけだけど、いつもからかわられてる側なのでどうすればいいかが分からない、まああれだよな、普通にからかえばいいんだよね。

 

「先輩、あれですよ。男に嫉妬はどうかと思いますよ?」

 ふっ…勝った。

 

 と思ったのだけど、先輩から返ってきた言葉は照れてるという感じではなかった。

 

「ほうほう。お姉さんをからかうとはいい度胸してるね」

 その後、先輩は手を離し、腕に抱きついてくる…え?

 

「な、なにしてんですか。恥ずかしいことしないでくださいよ、全く」

 腕をすかさず離させて、何歩か下がり距離を置く。

 

 その姿を見て先輩は、微笑みながら言う。

「じゃ…行こっか」

 手を繋ぎ勝ち誇った顔をする先輩…くそ可愛いな。

 

 わたしを倒そうと思うなら詰めが甘いよとか説教みたいなことを言われながら歩いているとすぐゲームショップに着く。

 

 

「流石の品揃えだねー。大きい店はやっぱり違うね」

 目をこれまで以上に輝かせる先輩。

 

 やっぱりこの人、絶対花の女子高生じゃないよな。もうそろそろ大学生になるんよ、あなた。変な人にゲームがあると言われてついていったりしないよね…そりゃ流石にないか、ないよね?

 

 サークルとかはボーダーのほうが忙しくて入らないかもだけど、入るとしたらゲーム関連のサークルに入るんだろうな。そしたら人気者になるのか…だって今でさえ通り過ぎた男子全員後ろ振り向いてるからね。

 

「お、これ欲しかったんだー」

 まあ本人がこの調子だけど。

 

「悩みますなー」

 ちょっと背伸びをして目当てのゲームを取る。

 

 向い側の棚のゲームを見てる振りをしながら、先輩の足…というよりスカートを見ていた客を睨む僕。そして、その視線に気づいて思わず持っていたパッケージに視線を落とす客…そんな引いた顔しないでよ、単に殺意を込めただけじゃん。

 

「これもあるんだ…凄いなー、ここ」

 次の作品に手を伸ばす先輩。

 

 先輩の隣にいた先輩より身長の高い客が、その高さからある部分を見て鼻の下を伸ばしているので、わざとらしい咳払いをして睨む…いやだからそんな顔しないでくださいよ、怖いことは思ってるけど怖い顔はしてないつもりなんですから。

 

「大丈夫?」

「別に大丈夫です」

 だってわざとだし。

 

 それからもそんなやり取りが、客と僕時々先輩で行われるなか買うゲームが決まったらしい先輩がこれにするよーと言ってレジに行こうとする。

 

 まあ誕生日だしあれだよね…うん。最近諏訪さんと…なぜかついてきた米屋先輩を筆頭とした3バカ三人衆と食べ行ったから金欠なんだけど。結局、奢りじゃなくて割り勘になったんだけど。奢りだったら危なかった…。

 

 

 

 

 

「かいどー君に足らなそうなもの…それは甲斐性なんだよ」

 ホワイトボードに3文字を大きく書き言う宇佐美先輩。

 

 そして溜めて言う先輩。

「実際にあるかどうかはとりあえず置いておいて、そう見えるのは男の子として由々しき問題なんだよ」

 まあ確かに弱弱しそうとかマイナスポイントだよね、男子的に。

 

 僕が頷いているのを見て続ける先輩。

 

「そこで…手っ取り早い方法がひとつだけあるんだよ。それは奢ることだよ、ほら誕生日だし、ちょうどいいんじゃないかな。これでいい人に早変わりだぜ」

 言い切ったみたいな顔をする先輩。

 

 僕もひとつ気になることがある。

「先輩…それって都合のいい人なだけなんじゃないですか」

 

「「…」」

 流れる沈黙。

 

「さてと、次の話をするよ」

「おい、こら」

 宇佐美先輩は次の話を始める…。

 

 

 

 

 

「先輩。それ僕が払いますよ」

 レジに向おうとする先輩を引き止めそう言う僕。

 

 それに対して先輩は不敵な笑みを浮かべこう返してくる。

「ファンとして自分のお金で買わなきゃ失礼だからいいよー。ありがとね」

 忘れてた…この人ガチ勢だった。

 

 でもほらそしたら誕生日プレゼントらしいものあげられてないんですけど。

 

 そう思いながら先輩のほうを見ると、先輩は繋いだ手を顔の位置まで挙げて言ってくる。

 

「プレゼントならこれでいいよー」

 満面の笑みになる先輩。

 

「…そうですか」

 そう言うこと急に言うの反則だと思うんですよ。嬉しいけど、可愛いけど。

 

「ね」

 その顔で聞き返してくる先輩…なにこのかわいい生き物。

 

 

 

 そんななか、レジにいた男性店員が怒り口調で言ってくる。

「お客様。レジが混んでおりますので会計お願いできますか」

 

「あっはい。すいません」

 それを聞いて慌ててレジ待ちの位置からレジに向かう先輩。

 

 

 

 

 

 …今の会話聞かれてたの?凄く恥ずかしいんですけど。

 

 

 

 

 

 

 

  お・わ・り

 

 

 










 ラブコメ回は大変なのでよほどのことがない限り、ここまでのはもう書かないです。
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