戦闘員オペレーターのボーダー記録   作:チビメガネ

24 / 38





第24話 B級ランク戦 第3戦 (1)

  2月5日 B級ランク戦第3戦 観覧ブース 解説席

 

 

「三上先輩。僕は、なぜ解説役なのでしょうか」

 僕は、前に大きくある解説画面を見ながらそう言う…泣きそう。

 

 その発言を聞き、目を見開く三上先輩…ひどいと思います。そして、

「え…解説したかたんじゃないの?」

 そう言って、こいつ大丈夫かみたいな顔される。

 なぜ、おかしくないと僕じゃないみたいになってるの?

 ひどくない?

 

 先輩がそんな態度だから、僕は悲しみにうちひしがれながら吐き捨てるように言った。

「だって僕やりたかったのって実況ですし…」

「ああ」

 やめて、悲しい目をしないで、主に僕が原因だけど!!

 

  すると、先輩はマイクをセットするために手を伸ばしながら一言。

「二階堂君、落ち着いてやってね。林藤支部長にも頼まれてるんだから」

 上層部に頼まれるとか、流石は姉属性、次元が違う。

 

 先輩がそんな僕の様子を見て、睨んでくるので、僕も手を伸ばしながら一言。

「真面目にやります」

「よろしい」

 マイクをセットしたところで、迅さん達も来る。

 

 

 

 まず、三上先輩が挨拶する。

「B級ランク戦第3戦 昼の部が間もなく始まります。実況担当は風間隊の三上。解説は…」

 迅さんと太刀川さんの方を見て、

 

「ナンバー1アタッカーの太刀川さんと『ぼんち揚げ食う?』でおなじみの迅さんです」

「「どうぞ、よろしく」」

 軽く言う2人。

 

 そしてと言い、右隣りに座っている僕の方を見て、

「戦闘員オペレーターの二階堂君です」

「よろしくお願いします」

 僕もさきほどの2人のようにぼんち揚げを食べながら軽く言う。

 

 僕の初解説が始まる…この2人の言わないこともしくは引き出すようなこと言う必要があるとかかなり厳しいです、支部長。

 まあ頑張ろう。

 

 

 

「さて、那須隊のMAPの選択は、河川敷Aということですが…」

 昨日は別に作戦とかは聞いてないしな。

 何かあるって聞かれただけだし。

 選択は河川敷か、どうくるのか…まあとりあえず三上先輩こっち向いてるし。

 

「河川敷AのMAPは、他のMAPに比べて開けた場所が多いMAPですね」

 ここで、川が中央にあって、橋もあって、という説明は長いしこれぐらいでいいよね。

 戦う上でどんなMAPか重要なわけだし。

 

 その説明を聞いて三上先輩次に太刀川さんに振る。

「…ということですが、どういう狙いがあると思いますか?」

「一が言った通り開けた場所が多いということはふつうにアタッカー封じですよね。川を挟んで…」

 太刀川さんが自分の見解を続けていく…三上先輩の顔を見る限りもうちょい説明したほうが良かったみたいだな、難しい。

 

 太刀川さんの見解が終わり、迅さんが含みのある発言をしたところで転送が開始される。

 

 転送場所は、東岸に両エースを除く鈴鳴第一、玉狛第二。反対にエースである那須先輩が、西岸にはそれ以外の隊員といった様子だ。

 

 というかそのことよりあれだな…

「MAP 河川敷A 天候 暴風雨」

 天候のほうが問題か。

 

 天候の選択を受け、渡ることの厳しさと那須隊について触れる迅さん、そして

「さあ川によって全ての隊が分断された。各隊まずは合流を目指す様子」

 三上先輩の言葉で本格的に解説が始まる。

 

 

 

 

 

 

「…全員が射線お構いなしの最短ルートを選択しています」

 西岸の隊員の動きの説明をした後、纏める三上先輩…スナイパー関連の解説に聞いてる側が分からないように誘導とか、流石。

 

 おそらく三上先輩の筋書き通りに太刀川さんがスナイパーの話をしている。

 

 那須隊2名がここまで一直線だと橋でなんかするんだろうし…

「太刀川さんが言うように、この天気で撃つという選択肢はないですね。外れたときのことを考えると、晴れのとき以上に逃げ切るのが不可能だといっても言い過ぎでないですからね」

「なるほど」

 三上先輩が頷いてくれる。

 まあランク戦で考えたら冬島隊はありだろうけど、ワープで逃げの選択肢あるし、あの変態ならこの天気でも当てるだろうし。

 

「ただ、三上先輩の言う通り視認もできるでしょうし、レーダーもありますからね。スナイパーはバックワームが必須です。那須先…那須隊長が今東岸の川岸を抑えてるのもその影響でしょう」

「千佳ちゃ…雨取隊員の大砲を警戒してますね。地形を変形できる大砲は注意が必要ですから」

「なるほど」

 僕と迅さんの言葉に再び頷く三上先輩。

 

 その後、続ける三上先輩。

「…となると、バックワームを着ていない日浦隊員はどういうことでしょうか」

 さらっと触れてくれてありがとうございます。

 

 三上先輩の問いかけに答えるのは太刀川さんである。

「那須隊は橋を使って合流をするというより、橋をメテオラか何かで落として玉狛第二、鈴鳴第一のどちらか一方、もしくは欲張って両方の分断を目論んでいるんだろ。位置が補足されたとしても違う岸にいるなら日浦も安心して撃てる」

「位置が分かっても狙撃できれば問題ない…ということでしょうか」

「そうなるな」

 ぼんち揚げを食べながら言う太刀川さんに確認をする三上先輩。

 実際あの距離じゃ視認もしずらいから、日浦先輩の位置はまだ把握されてないだろうけど。

 

 そして迅さんも補足に入る。

「スナイパーは、アタッカー以上にトリオン消費が激しいですからね。落としたあとの狙撃ができる限り多くできるようにという意味もあるでしょう。バックワームもトリオンの消費が思った以上にありますから」

「なるほど」

 迅さんも対応早いな。

 あと、三上先輩。良かったわねって口パクで言わないで、結構恥ずかしいです。

 

「変わって東岸の動きですが…鈴鳴第一は合流をしながらも、那須隊長と同じく川岸に移動していく」

 大きな動きが出るのはまだと判断したのか東岸の説明に移る三上先輩。

 

「空閑はこの前の試合で、グラスホッパー使ってたしな。川を渡ると考えられるわけだし、その牽制だろう」

 あんた、模擬戦だけじゃなくてB級のランク戦もチェックしてんのね。どんだけ戦闘と名のつくものが好きなんだよ…まあ言ってることは合ってるんだけど。

 空閑先輩の戦闘のログとか少ない分、そういう動きをするかどうかが分からないしね。

 

 三上先輩もその答えに頷いた後、続ける。

「玉狛第二は、三雲隊長が橋へ移動する那須隊長と一騎打ちの構えか」

 那須先輩のアイコンに向っていく三雲先輩のアイコンを見ながら解説する三上先輩。

 

 それに対して異議を唱える太刀川さん。

「一騎打ちは違うんじゃないか。雨取の動きを見る限り、那須の後ろを取ってる。那須の動きが雨取の位置を把握してる動きでない以上1対2の構図である可能性もある」

「なるほど」

 引き出すの本当に上手いな、三上先輩…でも1対2か、うん。

 玉狛は前回の戦いでも釣りを多用してたし、隊長を囮にもありそうだけど。

 

「釣り以外もあるんじゃないでしょうか」

「ほう」

 思わず呟いてしまった言葉に不敵に笑う太刀川さん…いや怖いよ、別に喧嘩売ってるわけでもないですから。

 

 そのときは何も思わなかったけど、思い返してみたら第2戦で諏訪さんの射撃邪魔するとき、別にアイビスで地形破壊すんじゃなくて、諏訪さん自体撃てば良かったのかなと思っただけで…人撃てるのかな、と。

 ただ、単に技術が追い付いてないから土地変換だけやるためにホルダーにアイビスしか入れてないとかあるかもしれないいし。

 ここまできたら、実は人撃てるのよ、ヒャッハーとかあるかもだし…最後のはないな。

 

 考えてみたら雰囲気が鳩原先輩に似てなくもないかなーと思うんだよね、考え過ぎな気もするけど。

 

「で、どういうことだ」

「あ…いや別に」

 興味津々に聞いてくる太刀川さんに言葉を詰まらせてしまう僕…困った特に何か案が思い浮かんでて言ったわけじゃなかった、しまった。

 

 この状況を打ち破ってくれたのは、前の試合で聞き慣れた銃声とは思えない音だった。

 

「ここで、雨取隊員の砲撃。橋が落とされた」

 

 両岸を繋ぐ唯一の橋が崩れる。

 

 

 

 

 

「なるほど…こういうことか」

 感心するようにこちらを見る太刀川さん…いや別にここまでのことは考えてなかったです。あっちに空閑先輩残ってたし。

 

 再び僕が困っていると、迅さんがマイクをずらして小声で、そこまで考えてないと太刀川さんに言ってくれる…うんまあ勘違いされるよりマシか。

 

 そんな会話を見ながら、三上先輩が場面を移す。

「橋が落とされたことで、当初の計画が崩れた那須隊。ここで熊谷隊員が鈴鳴第一所属ナンバー4アタッカー村上隊員に鉢合わせてしまう!!」

「熊谷隊員としては、この状況で村上隊員と斬り合う展開は一番嫌な展開でしょう」

 三上先輩の言葉に冷静に言う迅さん。

 

 太刀川さんが続ける。

「確かにくまの…いや那須隊の考えとしては分断である以上避けたかった展開ではあるだろうな。俺個人としては、くまと村上の斬り合いは面白いが…」

 まああなたは平常運転ですよね、僕知ってます。

 

 その発言を聞き、迅さんも続ける。

「那須隊として避けたかった展開であるこの状況をどう切り抜けるか、那須隊本来の力が試される場面と言ってもよいかもしれません」

 迅さんも迅さんでいいこと言うな…まあもとからだけど。

 

 三上先輩も少し微笑みながら言う。

「まずは、村上隊員が踏み込んで斬り込んだ。しかしその一太刀を躱す熊谷隊員!!」

「くまの弧月の扱いはふつうに上手いからな。しっかりしてる」

 2撃、3撃と続く猛攻に2刀で捌き躱していく熊谷先輩を褒める太刀川さん。

 

「だが…」

 手の甲を返し、刃の向きを変え、村上先輩の弧月の剣先を下に向けたところで、もう一太刀の弧月で突く熊谷先輩の攻撃をレイガストのシールドで右に()なす村上先輩。

 

 そして、踏み込んできてしまって隣にきた熊谷先輩の首をスラスターで胴体から切り離そうとする村上先輩。しかし、これは弧月で受け止められる。

 

「村上は弧月もそうだが、レイガストの扱いもふつうに上手い。そう簡単に切り崩せる相手じゃない」

 2人とも距離を取って間合いを取る。

 

 ぼんち揚げを食べながら傍観していた太刀川さんであるが、急に僕の肩を叩いて言う。

「…というわけで、2つの違いよろしく」

  いや、僕アタッカー経験はないんですけど…そういう面倒なことはこいつでいいや的なのはやめてくださいよ、まあ言いますけど。

 

 一回咳払いをする僕。

「まず、弧月ですが、レイガスト以上にその剣ないしその形状の武器の扱いを熟知する必要があるというのが僕の印象です。それ自体を極めないと強くなることはないといってもいいでしょう。そういう関係で自分に合った武器に形状を合わせていくんだと思います」

 熊谷先輩の頭上からの弧月の振り降ろしに対して、自分の剣先でそれを逸らしていき手首を捻って刃筋を村上先輩の腹に向けて村上先輩の斜め踏み込んで斬り込んでいく。

 これをシールドで防ぐ村上先輩。

 

「オプションについても、あくまで攻撃の領域の延長。選択肢が増えるといったものではありません」

 次は、熊谷先輩の踏み込みに対してシールドで上に振り上げて体勢を崩れたところを踏み込む村上先輩。そしてそれを同じようにもう一太刀で躱す熊谷先輩。

 

「対してレイガストですが、これは特殊ですね。シールドがある分防御というイメージがついていると思いますが、僕は違うと思います…間違ってるとは言えませんが。この武器は、その状況、今自分が持っているもの、相手が持っているものを考えられる人が持って生きる武器だと思います」

 落ちた橋の方へ下がっていく村上先輩にここぞとばかりに踏み込んでいく熊谷先輩の攻撃をシールドで防いでいく、そろそろヒビが入るころか。

 熊谷先輩もそれを覚ったのか、大きく振りかぶってしまう。ここで村上先輩はシールドチャージを選択。踏み込んだ勢いを押し殺しながら、押し戻し、横から弧月で斬りつける。

 一度弧月をオフにしたのか、シールドでどうにかこれを凌ぐ熊谷先輩。

 

 再び距離を取る2人。

 

「オプションから見てもそれは明らかですね。考えて攻めていく、臨機応変に対応できる素早い判断…それも相手と自分の持つものを分かりながら攻めていく。その武器がレイガストです。サイドエフェクトから考えてある意味村上先輩に一番合っている武器かもしれません」

 熊谷先輩の弧月を先程できたヒビに入れ、足捌きで体勢を崩し、そのままの勢いで弧月を振り降ろしていく村上先輩。 

 それを間一髪で避ける熊谷先輩。

 

 三度、向かい合う2人。

 

「以上、一による解説でした」

 そして、こちらも勝手に締めくくられてしまう…コメントくらい欲しかったです。

 まああれか、アタッカーから見たアタッカーとは違うか。

 

 2呼吸おいて、もう一度斬り合い始める。

「何度も斬り合う熊谷隊員と村上隊員。このまま膠着状態は続くのか」

「2人で…という状態からは抜けるでしょう」

 三上先輩の言葉を補足する形で言う迅さん。

 

 スラスターで飛ばした熊谷先輩を仕留めるために踏み込んだところを、スコーピオンで崩しにかかる空閑先輩。

 川に落とすつもりだったのだろうが、それをスラスターの加速で川を通り過ぎて防がれる。

 

「遊…空閑隊員が来て三つ巴という形になりましたからね。2人の膠着状態とは違う様相を呈しています」

「それに日浦隊員もいますからね。おそらく場所も割れていない。そのなかでレーダーに映らないとあれば嫌でも頭で考える必要が出てきてしまう。いいプレッシャーです」

 空閑先輩が来たことによる状況の変化を述べる迅さんと僕。

 

 

 

 

 

 

 

「2名のエースを止めるように膠着状態になっていく西岸。そのエースを来る前に東岸の隊員全員を狙っていくもう1人のエース。果たして戦況はどう動いていくのか」

 三上先輩の煽りとともに東岸の解説に移っていく。

 

 

 

 

 











  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。