戦闘員オペレーターのボーダー記録   作:チビメガネ

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 後、那須さんについてですが、原作時系列で9月付近からはじめと模擬戦を繰り返してるので多少は強さが変わったり、攻め手が変わったりしています…前話でいうのを忘れてたので、ね。

※11/30
一応31話で触れたところの修正を行いました。



第28話 B級ランク戦 第3戦 (5)

「玉狛、鈴鳴両エースが睨み合っているなか、東岸の状況はというと…」

 東岸では、鈴鳴の2名が那須先輩の攻撃を耐えながら応戦、三雲先輩は変わらずに隙を突いたり、キューブの生成時を狙って、鈴鳴の援護に似た攻撃をしている。

 

「那須隊長の絶え間ない攻撃に動くこともできないか」

「それもあるだろうが…」

 三上先輩の言葉に反応する太刀川さん。

 

「来馬は、村上のことを考えて那須がこっちに来ないようにしてるのもあるだろ。那須がこいつの真似する前からあの付近にいたし」

「なるほど」

 隣の僕を指さしながら補足する。

 

「三雲隊長と鈴鳴の双方にバイパーが襲い掛かる」

 正面からバイパーの射線を屋根から飛び降りることで逃げ切る三雲先輩。

 

「キューブが切れたと判断したのか鈴鳴が移動を開始する」

 こちらも屋根から飛び降りて、移動する鈴鳴の2名。

 

 そこを襲い掛かってきたものは…

 

 

『戦闘体活動限界 緊急脱出(べイルアウト)

 

「トマホークが炸裂。盾も虚しく別役隊員が仕留められる」

 太一先輩が落ちる。

 

 アナウンスが流れるなか、画面を見ながら太刀川さんが述べる。

 

「今のは引っかかっても仕方ないなー。那須は合成弾使ったことないし、それに…」

 シューターの模擬戦とかもこの人なら見てるんだろうな…作戦室でやったときは普通に使ってたけど。

 

「今回は、攻撃特化と言えどバイパー一択の猛攻だし次飛ぶのもバイパーか、警戒したとしてメテオラだろ。むしろここは、速さで判断して隊長を庇った太一を褒めるべきだろうな」

 光の筋を追いながらそう述べながらこちらを横目で見る太刀川さん…なるほど、攻めだけのためじゃなかったのね。

 

 太刀川さんがこちらを見る理由は分かります…ここまで思考が似てると思わなかったんです。那須先輩の戦闘スタイルを後先考えず、倒せば問題ないというものだと勝手に思い込んでて…やり始めたころの先入観は抜けないものらしい。自分ではきちんと考えているつもりだとしても、一度決めてしまうと再び考えなくなるからな…悪い癖だな。

 後で、自分がどこで那須先輩の戦闘スタイルの先入観を持ってしまったか把握しないとな…それとその後、如何に自分がその先入観のもと、模擬戦を続けたかも研究しないと。

 

 僕が、このランク戦の後那須隊室に記録(ログ)を取りに行くことを心の中で決めているなか、解説は続いていく。

 

 

「東岸はこの時点で隊長のみですからね。西岸のエースどちらかが合流できたら那須隊長有利のこの状況が変わるかもしれませんね」

 三上先輩の煽りではなく迅さんの言葉で西岸の映像に切り替わっていく。

 

 

 東岸の状況が一変している一方西岸では、空閑先輩がグラスホッパーで下がり続け、間合いの外で距離を置いていた。

 対する村上先輩もどちらの刀でも対応できるように、片方の足を身体の前には出さずに両足を平行な位置に置く。

 空閑先輩が右足の少し動かすと、弧月が反応し多少傾きを変える。

 

「先程の攻めから一転。静かな展開になりました」

 その状況を説明する三上先輩。

 

 大きく左に踏み込んで、スコーピオンを右に振り抜く。

 当然、村上先輩は弧月で剣先をずらしながら、それを捌く。そして、その動作と並行してスラスターで右肩から斜めに斬り込むために左足で踏み込む。

 

 しかし、それを狙っていたかのように踏み込んだ左足の下からスコーピオンが上に伸びていく。おそらく村上先輩の身体を一瞬動かなくするためだろう。

 

 僕がそう考えていた瞬間、空閑先輩は、姿勢を屈めながら下に潜り込み下から斬り上げようと試みる。

 その攻撃を自分の弧月を空閑先輩の首の方向に向け、横から狙う村上先輩。

 

 村上先輩の足を固定しているスコーピオンは、自分の足から延長させている。従って、自分も身動きが取ることができない。

 このままでは、首を落とすと判断したであろう空閑先輩は、延長した刃を引っ込ませて、その足で地面を蹴りあげ後ろに下がっていく。

 

 スコーピオンが消えたことで踏み込むことが可能になり、もう一度踏み込んでレイガストを横に振る村上先輩。

 空閑先輩は、スコーピオンを(かす)る程度で触れてその攻撃を防御しながら避け切る。

 

 受け止めた箇所の刃の形状を変わっていく。

 

「凌ぎ切る空閑隊員。やはり片腕で勝負するのは厳しいか」

「…ほう」

 解説を繋いでいく三上先輩と独り言のように呟く太刀川さん。

 

 

 先程の攻撃から数秒も経たないうちに、空閑先輩は地面と垂直に発生させたグラスホッパーを使って、村上先輩の腹辺りに急接近を計る。

 後ろに回り込まないことを察したのか、自分の間合いに入った瞬間に踏み込んで弧月で斬り降ろす村上先輩。

 

 空閑先輩はというと、踏み込もうと重心移動をした瞬間に、足を地面に(かす)らせることで加速の勢いを殺す。その結果、自分の姿勢を変えることに成功し、弧月を躱しながら

 踏み込んで、村上先輩を斬りつける。

 それをレイガストで受け止め、右に往(い)なし、スラスターの加速で右にある堤防に押しやる村上先輩。

 そして、踏み込んで弧月で仕留めにかかる。

 

 それをスコーピオンで受け止めながら、先程動きを止められた橋の柱のほうへ逃げる空閑先輩。

 

「村上隊員に刃が届かない。依然として空閑隊員厳しい状況か」

 スコーピオンも一手前の攻めよりも形状が大きく変わってしまっている。加えて、首に弧月の一撃が多少入ったのかトリオンが漏れているのが見える…かなり厳しい状況だろう。

 

 空閑先輩がグラスホッパーで後ろに下がり続けたことで、橋の下を抜けていく2人。

 

 このまま下がり続けるかと僕が思っていると、空閑先輩は急に村上先輩の方向にグラスホッパーを向ける。

 後ろに回り込んで、次は斜め前に。そして、その次は左へ。縦横無尽に村上先輩の四方に移動し始める。

 

乱反射(ピンボール)

 グラスホッパーを使用し、相手の四方に素早く移動し攪乱させた上で攻撃を加えることで並の相手であればその速さに追いつけず落とすことができるグラスホッパーを使った攻撃方法である。

 

 おそらく、あの後、駿に教わったんだろう、あいつ結構使うし。

 

 まあそんなことは今置いておいて、並の相手であれば…である。

 駿とも戦ったことがあり知っている攻撃である以上、その速さについていける村上先輩にその攻撃が食らうはずはなく…

 

「村上隊員の一撃が空閑隊員を捕える」

 右斜め前に行ったところを補足され、右足を持ってかれる。

 

 その攻撃を受け、下がって距離を置く空閑先輩。

 

 三雲先輩は空閑先輩が決着をつけるとは思ってはいるだろうが、ここまできたら最悪逃げて村上先輩を西岸に留まらせるのもいいかもしれない。策をもう一度練る必要性はでてくるが、エースがあちらに行くのだ、厳しくなるということもない。

 

 …こういう状況になってから気づいたけど、地形変更のみが仕事とはいえ最悪の状況に陥ったときにスナイパーが人を撃てるという選択肢がないから合流の手を捨てた可能性もあり得るな。

 それなら、余計に東岸に人を寄せてはならないだろうし。

 

 僕が考えていた一方で、三上先輩が解説を続けていた。

 

「空閑隊員、上に逃げる。橋を渡るも選択肢に入れていたのか」

 三雲先輩の判断に従う人だろうけど、いざとなったら逃げる人でもあるだろうから戦うも逃げるも手として可能性がある。

 

 橋の上なら、自分が渡った後砲撃で壊して村上先輩の隔離も可能。仕留めるつもりなら…分からん。

 

 そう思っていると、

「向かい合ったときにその選択肢を入れてた可能性もなくはないが、今回は空閑は逃げる気さらさらないだろ。一や迅が言うように1対2にしないならなおさら」

 太刀川さんが口を開く。

 

「何かあるんですか?」

 思わず口を挟んでしまう僕。

 

 それに対する太刀川さんの答えは、

「いや…とくに何か思いついたわけではないなー」

 ぼんち揚げを食べながらのものであった…いや適当すぎでしょ、あんた。

 

 食べ終わった後に言葉を続ける。

「まあどんな策をしてくるかは知らんけど、空閑は仕留める気ないよ」

 

 NO.1アタッカーが決まったという顔をした瞬間に村上先輩の足元に正方形の光が発生する。

 

「ここでグラスホッパー!!村上隊員体勢を崩しながら上に飛び上がる」

 その方向に飛び上がり川に落としにかかろうとする空閑先輩。

 

 そして、お馴染みの轟音が響く。

 

「着地するはずの足場を失った村上隊員諸共川に落ちていく!!」

「水中戦か…考えたな」

 足元崩すことは考えついたけど、水中に入るという発想はなかった…というより自分がそうなったとして手が思いつかないからか。

 もっと相手の手も考えていかないとな、自分の持ってるもの中心の考えだと視野が狭まる…と東先生言ってたし。

 

 水流に体を持ってかれる村上先輩。

 水流を利用し攻撃を仕掛ける空閑先輩。

 

 

 

『トリオン供給機関破損 緊急脱出(べイルアウト)

 

「落ちたのは…村上隊員」

 西岸の決着がつく。

 

 

 

 

「もともと1対1であったならの話だが…」

 決着を見届けた太刀川さんが話始める。

 

 

「1対2でスナイパーの一撃に誘い込むならまだしも片腕だけで動きが空閑にしては悪すぎる。もっと手はあっただろうし、詰められるところもあった」

 …なるほど。僕が逃げる手もあるって思っていたのは、思わされてたのか。

 

 

「村上に対してもう一撃で落とせる、向こう岸に行けると欲をかかせたこと。それがグラスホッパーを踏ませたと言ってもいい」

 

 そこまで述べて、一息吐く太刀川さん。

 

「もうちょい村上が我慢できたら分かんなかったかもなー」

 …だから最後軽いって、あんた。

 

 

「これでこの戦いは正真正銘、雨取隊員と隊長に託された」

 三上先輩の言葉で東岸の画面に切り替わる。

 

 

 

 

 

「那須隊長、先程とは打って変わって大きく動く機動戦に切り替えた」

「一が色々言ってたけど、やっぱり玉狛の大砲を気にしてたんだろ…上手く撃たせたら位置も補足できて、バイパーで仕留められる」

「なるほど」

 機動戦に変えた理由を述べる太刀川さん…まあ一番はそれなんだろう。

 

 そして、

「もしかすると、那須隊長は最初から自分のやりやすいこの形に持ち込みたかったのかもしれません。先程の猛攻もそれで鈴鳴第一の人数を削れればそれでよし。できなそうなら、合成弾で仕留める」

「鈴鳴第一の攻撃は、那須隊長の攻撃の隙を狙ったすぐの攻撃でやりづらかったですからね。それに、2人いると、どちらともシールドを出せる状況ですから機動戦にしたところで変化はありません」

 それに補足する迅さんと僕。

 

 普段通り、2組のキューブを円のように自分の周りに配置した那須先輩は、自分のいる路地を真っ直ぐ進み来馬先輩のいる通りに出てくる。

 

 敵の姿を確認した来馬先輩は、アステロイドを撃つ。

 那須先輩は、横目でそれを確認しながら自分もバイパーを放ったうえで、自分はそのまま真っ直ぐ進み、向い側の路地に入る。そして、バイパーを8本。

 

 自分に向ってくるアステロイドは塀に当たり消え去る。それを理解しているせいか、それを確認せずに通りに戻って、来馬先輩の方にバイパー放ちながら近づく。

 

 来馬先輩は、正面を向いたまま下がりながら、シールドとアステロイドで応戦していく。

 

 那須先輩のバイパーが、来馬先輩の首を捕えるかと思ったが、来馬先輩は、これをどうにか躱す…代わりに足に一発入ってしまったが。

 

 しかし、これで…

「那須隊長の手持ちが無くなった。来馬隊長、好機と見て攻めかかる」

  違う通りに移動していた2人は、片方は銃を向けながら、もう片方はその攻撃を避けながらキューブの生成の機会を窺っている…というか那須先輩、建物の壁走りで回避とか凄すぎでしょ、普段の様子から本当に想像できない。

 

 建物の壁から飛び降りた那須先輩は、すぐにキューブを円形に配置。

 

 追ってくる来馬先輩の頭上にバイパーを降り注ぐ。

 

「来馬隊長の足が止まった」

 頭上に楕円形の盾を発生させてそれを凌ぐ来馬先輩。

 

「足が止まったな」

 画面を見ながら呟く太刀川さん。

 

 現在の2人は、那須先輩が少し大きい通りに、来馬先輩がその通りに合流する路地にいて、向かい合っている状況。

 ただ、その路地が問題だ。

 

 その路地は、他の路地とは違い来馬先輩が来た通りと那須先輩が今いる通りを繋ぐだけの路地…要するに一本道だ。

 

 従って、向き合っているならば…

「正面の来馬隊長に向って、キューブが放たれる」

 シールドと銃で両手が埋まっている来馬先輩に打つ手はほぼなくなる。

 

 そして、その真っ直ぐ進む弾道は、

「もう1組のキューブはメテオラだった」

 建物も巻き込んで爆発していくメテオラ。

 

「来馬隊長の片腕が落ちましたね」

 迅さんの述べる通り、画面には片腕を失った来馬先輩が映っていた。

 

 あの状況ですぐ銃を閉まって、シールドを発生させたんだろうな…片腕は落ちたけど、相手に点を獲られるよりどう考えたっていい。

 太刀川さんもこの前言ってたけど、それと違って来馬先輩今までにないくらい粘ってるな…顔が違う。

 

 僕が、そう思っていると太刀川さんが画面を見ながら言ってくる。

 

「この徐々に削っていく感じ、誰の真似をしてんだろうなー」

 いや、あんた…横目で見ながら棒読みで言われても。

 

 まあ、解答は

「本当に誰なんでしょうねー」

「なー」

 …こうなるわけだけど。

 

「来馬隊長は、那須隊長の通りには合流せず、自分のいた道を進む様子」

「先程のような一本道ではない位置から曲がるか狙うつもりなんでしょう」

「なるほど」

 僕と太刀川さんが会話をしている一方、迅さんと三上先輩が解説を続けていた。

 

 その判断は確かに正しいが、レーダーで位置の捕捉ができる以上バイパーが上から襲ってくるのは明白である。

「来馬は、足も削られてるからな、ちと厳しいぞ」

 太刀川さんの述べる通り、敵の一方的な攻撃に厳しそうな表情の来馬先輩。

 もう少し道なりに行けば、那須先輩のいる通りに合流できる場所まで移動できる。

 

 

「くる」

  迅さんが呟いたと同時に、そのときは突然訪れる。

 

「三度、砲撃が放たれる」

 堤防を破壊する雨取さんが映る。

 

 

 

 

 

 

 堤防の水が、西岸に流れこみ水位が徐々に上がっていく。

 今太刀川さんが述べた通り、水攻めで敵の機動力を削れるか、この状況を嫌がって建物の上に上がってくれば、屋根を移動している三雲先輩の射線が通るか、どちらに転んでもよいのだろう。

 三雲先輩の狙いから考えると、前者だろうけど。

 

 三雲先輩は、おそらく上がってこないと判断したのか那須先輩に近づいていく。

 来馬先輩が、那須先輩を狙える位置に後数メートルで着く、そのときを狙っているはずだ。

 

 その状況のなか、那須先輩は変わらずに来馬先輩を狙う。

 

「那須隊長、合成弾で狙いを定める」

「どうせ動けないんだ。威力が高い方がいいって判断だろう」

 トマホークを来馬先輩に放つ那須先輩。

 

 その弾道は曲がりながら、来馬先輩の四方を取り囲んでいく。

 

『戦闘体活動限界 緊急脱出(べイルアウト)

 

 来馬先輩は、なす術もなくやられるかという状況であったが…

「来馬隊長、最後の一撃。ハウンドを空中に向け放った」

 ハウンドを放ち、自分が撃ったアステロイドを防御するために発生させたシールドと、

 

「ここで、三雲隊長。背後からアステロイドを放つ」

 三雲先輩のアステロイドを防ぐためのシールドで両手が塞がった那須先輩は…

 

「死角からのハウンドに対応できず、この試合初めてまともな攻撃を受ける那須隊長」

  頭上からのハウンドを食らってしまう那須先輩。

 

 その様子を見た上で、下に降り追撃する三雲先輩であったが、

 

 

『戦闘体活動限界 緊急脱出(べイルアウト)

 

「那須隊長が、来馬隊長に放ったやつですね。戻ってくるように設定してあった」

 戻ってくるトマホークを見ながら、そう解説する迅さん。

 

 三雲先輩が落ちたことにより、東岸は那須先輩と雨取さんの2名になると思われたが、

 

「空閑隊員、川を渡り切っていた」

 三雲先輩を仕留めた那須先輩の視線の先には、空閑先輩がいた。

 

「那須隊長、緊急脱出(べイルアウト)

 空閑先輩と戦うと思われた那須先輩であるが、この銃撃戦での負傷により落ちてしまう。

 

 

 

「試合終了。玉狛の勝利!!」

  三上先輩の言葉で戦闘が終わる。

 

 

 

   結果

 玉狛第二 4点(日浦、村上 + 生存点)

 那須隊  3点(別役、来馬、三雲)

 鈴鳴第一 2点(熊谷、那須)

 

 

 

 

 

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