戦闘員オペレーターのボーダー記録   作:チビメガネ

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第29話 学生の本分は寄り道です!!  その1♪

「いい、はじめ。女子と帰るときはきちんとエスコートっぽいことはするのよ。あの子がどう思っているかは知らないけど、女子は基本的にか弱いのよ…というかそういうふうに思われたいものなの、分かった?」

 腕を組みながら、仁王立ちでそう言ってくる女子高生に、僕はどら焼きを加えながら言う。

 

「女子、か弱い…か弱い、かy」

「ふんっ」

 腹に一発、そして咳払いをした後にもう一言。

 

「あんたはアレよ。へタレてないで攻めればいいのよ。男ならどかーんといきなさい、分かった?」

 そう言いながら、シャドウボクシング的なことをし始める小…女子高生。

 

 その言葉を聞いて僕は、笑うのを堪えながらこう言うのであった…

 

「どかーんってなんですか?」

 

 …と。

 

 それを聞き取った女子高生は、天上を見て息を吐いた後、顔をこちらに向け指を鳴らしながら…

「はーじーめ。歯食いしばりなさい」

 と言い放つ…あ、やば。

 

 そして、その騙され系女子は、拳を握りしめ腰を低くする。

 

「あんたが、女子と帰るとき気をつけること聞いてきたんでしょうが!!まーじーめーに聞けぇぇー」

「す、すいませーん」

 僕は、鈍い音とともに倒れ込むのだった。

 

 …でもね、せんぱい?

 以前、僕が迅さんに勝つにはどうしたらいいのか、聞いたときもね?

 

「それは…うん、アレよ。未来予知とか気にせず攻め続ければいいのよ。どかーんといきなさい!!どかーんと」

 って同じようなアドバイスだったじゃないですk…すいません、もう睨まないでください、僕が悪かったです、はい。

 

 

 

 

 …ということがあった2月のとある日。というかあれだ、まだあのデート?からあんま経っていない金曜日。

 もうすぐ、3月で春だというのに寒い…お天気お姉さん曰く今週で一番寒いらしい。息を吐けば分かる、驚きの白さだ。もうあれだ柔軟剤のCMできるくらい。

 

 …サムイな、うん。こんなことなら手袋くらいつけてくるんだった、失敗した。この前降った雪だってまだ残ってるし。

 ここに来る最中転びそうだった…雪降った後の道のほうが、降った日の道より滑りやすいのは本当にやめて欲しい、転ぶと地味に痛いし。

 

 僕は自分の手を擦りながら、今の状況を確認することにした。

 

 僕はとある高校の正門前で、私服で待っている…制服のほうが雰囲気でるかなーと思ったけど中学の友達に、

 

 

「お前、下手に優等生だし学校終わった後制服でうろついてたら、変に問題になりそうだし、私服のほうがよくね?」

 と言われたため私服になった。

 というか、そういうのって同じ制服だからってのもあるだろと言われて納得してしまったというほうが大きい。

 

 まあとりあえず私服である人を待っているわけだ、もちろん小南先輩ではない…というか学校違った気がするし。

 

 ある人が分からないって?…ふふふ、誰でしょうね、それはお楽しみということで。

 

 え?

 お前がここに来るまでの間たまにスキップしながら来るぐらいノリノリの時点で分かるって?…いや、僕だってこう見て結構女子と交流あるし、その人じゃないかもしれないよ。

 

 他には、ほら、えっと…ないな、すいません。調子乗りました。うん1人だわ、そういう人。

 いやでも仕事だから、さっき雰囲気とか言ってたけど訂正。れっきとしたA級1位隊長からの依頼だから…。

 

 太刀川さんが言うには、国近先輩が今日学校で夜遅くまで…といっても6時くらいだけど、学校で補講…じゃなかった勉強会があり、帰りが遅くなるので危険がないよう送れということらしい。

 

 おい、誰だ。意図丸わかりじゃんとか言ったやつ。違うから、仕事だから…うん、仕方ない。別にニヤニヤしてないよ、ホントダヨ?

 

 

 

 …なんか、テンションが高い。落ち着こう。嬉しくて、ね?

 仕方ないよね。こんな早くこんなことになると思わなかったんだ、正直もうないと思ったから、嬉しさが倍増なんだよ。

 確かにクラスでも言われたけどね、普段よりテンション高いって。

 

 全てあの人が可愛いのが悪い…うん、僕のせいではない。

 

 

 

 僕が誰に対する弁明か分からないことを思いながら待っていると、肩をトントン叩かれる。

「…騙された」

 振り向いた僕の頬に先輩の指が当たる…何この可愛いいきもの。

 

 僕が少し固まっていると先輩が目を見開いて、こちらを見てくる。

 

「どうかしたんですか?」

 僕が、ちょっと離れて聞く。

 

 そしたらとりあえず息を吐いた後、

「いやー、はじめくんなら…『何してるんですか、あなたはぁぁー』とか言いながら照れると思ったんだけどな。うーん、やっぱちょっとは成長したね。多少の事で動じなくなってお姉さんは嬉しいよ」

 ニコニコしながら言う先輩…見惚れてただけなんですけど、まあいいや言うとからかわれるし。

 

 そう思いながら、距離を取っていると先輩はグイッと近づいてきて言う…何。

「それとも見惚れてましたかね、え?はじめくん」

 握った拳をマイク代わりに口に近づけてくる…くそっ、なんなんだこの人は。いちいち仕草が可愛いんだよ、この。

 

「まあ…そりゃ、ね」

 近づいてきた先輩を見てられず、顔を背ける僕…冬なのに熱い、くそ。今秋一番の寒さどうした。

 これだから気象予報士じゃないお天気キャスターは信用できないんだよ…ここだけですね。ええ異常ですよ、主に先輩の可愛さが。

 

 後ずさりもしてしまう僕を、顔真っ赤だよと嬉しそうに言いながら何歩か進んで振り向いて一言。

 

「じゃ、いこっか」

 会って数分で勝てそうにないなと改めて思う二階堂だった。

 

 

 

 

 

 

 

「もう、散々だよねー。なんで学校で残って勉強しないといけないんだろうねー」

 学校前の道を歩きながら、ブーたれながら言う先輩。

 

「それは…自分のせいなんじゃ」

 後ろを振り返って僕を見る先輩に小さい声で言う僕。

 

 ああ、別に今は手を繋いでないよ?

 今は、先輩が何歩か前を歩いて、僕がその後ろを歩いてるという状況だ…先輩曰く学校付近で手を繋ぐのは、後々友達にからかわれるから嫌らしい。

 この言い方だと手を繋ぎたいみたいだな。うんその件についてはノーコメントでお願いします。

 

 手をポケットに入れながら、そんなことを考えていると、さっきの声が聞こえたらしい先輩がちょっとムスッとする…可愛い。

「わたしは防衛任務で忙しんだよ、うん仕方ないんだよ」

 前に向き直り、先輩は、1人自己解決をして首を縦に振る。

 

「今先輩に小言言われるの僕なんですけど…」

「あはは…申し訳ありません」

 その様子に少し呆れながら溜息をつく僕と、困ったように笑いながら頭を下げる先輩。

 

「で、その補…勉強会はいつまでなんですか?」

「ん?今日までだよ」

 週最後で終了か…まあそりゃそうか。

 週を跨ぐってなさそうだよね…土日とかはありそうだけど。いや、別に他意はないけど。重要なことなのでもう一度…別に他意はないけど。

 

 そんなことを思いながら一人で頷いていた僕。

 

「どうしたの、そんなこと急に聞いて」

「いや…」

 それに気づいた先輩が顔だけこっちに向けて、真意を探るように僕の顔をじっと見てくる。

 

 そして…

「…ほうほう。なるほど、なるほど」

「な、なにがですか」

 体も正面を向いて、ニヤニヤし始める先輩。

 

 そして、ビシッと効果音がつきそうな具合に人差し指を僕に向けながら言い放つ。

「毎日送迎をしようと企みましたな、キミ」

 ふふふ、我ながら名推理だなと言わんばかり腕組みをしながら、首を縦に振っている先輩…可愛いな、くそ。

 

「…証拠はあるんですか」

 はい、分かってます。今可愛いと思って顔を逸らしたのが証拠ですね…現行犯です!!

 

 

 僕が苦し紛れに言った一方、先輩は…

「え…うん。証拠、証拠…」

 ないのかよ…自由すぎんだろこの探偵。

 

 その場で向かい合う僕達。数秒の後、先輩が導き出した答えはとはなんだったかというと…

 

「制服どうかな」

 単なる質問でしたー。

 

「可愛いですよ…ええ」

 僕も案外即答だから、もう答えみたいなもんだけどね。

 いや、ブレザーっていいよね!!…変態だね、知ってる。

 

 その解答にほうほうといいながら、クルッと一回転。

 スカートが回って…変態だね、知ってた。

 

 その一部始終をもちろん見ていた先輩は、

「いちいち顔赤くせず、こっちを向いてくれたら、もっといいかなー」

 にこやかに言うのであった。

 

 そして息を吐いて、少し離れ両手を腰に当て、えっへんと効果音がつきそうな顔で留めの一撃。

「わたしに勝とうなど100年早いんだよ、ワトソン君」

 …もう、可愛いからなんでもいいや、うん。

 

 そうこうしてる間に曲がり角にさしかかる。

「右曲がるよー」

 そう言いながら角を曲がる先輩…前行ってるんだから分かるでしょ、というか先輩の家そっちだし。

 

「んー?違うよ」

 僕の顔を見ながらそう言う先輩…え、何引っ越したの?知らんかった。

 

 その様子を見て、両手を横にしてやれやれだぜポーズを取る先輩…可愛い。

「今日は、寄りたいとこあるんだー」

「寄りたいとこ…」

「そそ」

 復唱する僕と返事する先輩。

 

「どうかしたー?」

「いや…別に」

「そっか、じゃあいいや」

 前に向き直り進む先輩…なんかニヤニヤしてたけど気のせいだろう。おそらく僕の考え過ぎだ。

 

「あ、そうだ」

「はい」

 思いだしたように僕の方を向き手を差し出す。

 

「繋ごっか」

 何その言い方…そんな優しい顔で言わないで!!

  惚れちゃう!!…もう惚れてたわ。

 

 

 

 

 

 

「いい、はじめ。歩道が確保されてない路地あるでしょ、あそこの高校の近く」

「そうですね」

 ホワイトボードの前で、僕達どら焼きアンドたい焼き組の前で立ちながら言う小南先輩。

 

「そういう車道との境がない道では、きちんと男が車道側歩くの分かってるわね」

 真剣な顔をして、僕に向って言う先輩。

 

「…」

 僕の返事を待つ小南先輩。

 

「…」

 その言葉を聞いた宇佐美先輩は、たい焼きを食べようと開いた口の前で止めて、口を開いたまま小南先輩をガン見していた。

 

「な、なによ、しおり」

 その視線に困った小南先輩が沈黙を破って宇佐美先輩のほうを見る。

 

「いやー」

 そう言って、たい焼きを一口入れる宇佐美先輩…言う前に食べるのね。

 

「こなみがまともなアドバイスをするのかと驚いて…ははは」

「どーいういみよ」

「ごめん、こなみ。頬つねらないで」

 宇佐美先輩の両頬をつねる小南先輩。

 

 それを聞いていた空閑先輩が、どら焼きの最後の一口を頬張りながら聞く。

「それで…その心は」

 その顔をどうやるかのほうが気になりますね、僕的には。

 

 その解答に答えたのは、隣にいたヤレヤレ顔のお子様だった。

「おんなごころがわかってないな、ゆうま」

「ほう」

 空閑先輩が陽太郎の皿にあった、たい焼きを取ったのは言うべきじゃないんだろう…。

 

「おんなは、まもってほしいからな。おとことしてやることはきまっている」

 星を出しながらドヤ顔で皿に手を伸ばす陽太郎…ドンマイ。

 

「なっ、ゆうま!!おれのたい焼きうばったな!!」

「隙を見せる方が悪い」

 たい焼きを頬張りながら、星を出す空閑先輩。

 

「ぐぬぬっ」

 今にも泣きそうな陽太郎に皿を差し出す僕。

 

「やるから、そんくらいで泣くなよ」

 …どら焼きだけど。

 

 それを見て、手で目を擦りながら言われる僕。

「イケメンだな、はじめ。あとで、らいじん丸のはら、さわらしてやるからな!!」

  どら焼きに食いつく陽太郎。

 

 

 …いや、別にそれはいいわ。

 

 

 

 

 

 

 陽太郎大先生の命により、僕は車道側に移動し国近先輩の家を引き続き目指している…はず。

 

「それにしても寒いよねー」

「そうですね」

 別に先輩の手、暖かいなーとか思ってないよ。

 幸せだなーとか思ってないからね。変態、知っt…それくらい思っても変態じゃないか。

 

 幸せです!!

 

 脳内で気持ち悪いことを考えているなか、先輩はというと

「見て。息白いよー」

 息を嬉しそうに何度も吐いていた…どうしよう、ものすごくかわいい。

 

「ほれほれ、はじめくんも」

「え…」

 いやいや、なにそれ。一緒に息を吐くとか恥ずかしい以外のなにものでもないからね?

 理解してる?

 

「ほら」

 はーと息を吐く先輩…僕が息を吐くまで続けるつもりじゃん、この人。

 

 ええっと…周りに人はいない。

 え?今更だろって…知るか、そんなの。

 

「「はー」」

 一緒に息を吐く僕達。

 

「ねー、白いよねー」

「…そうですね」

 想像の100倍は恥ずかしかったです、そりゃもうあれだよ。お天気キャスターの存在価値を疑うレベル。もう1家に1台国近先輩をおけば、ストーブなんていらいだろってレベル。

 石油も未来の世代のために残せるし、可愛いし。これで完璧…じゃないね、すいません。

 

「ん?どうかした」

 僕が落ち着くために吐いた息が、違う意味に聞こえたのか少し心配そうにこちらを見る先輩。

 

「いえ…別に」

 先輩を可愛いと思ってたなんて言えるわけないだろ…こちらが構えてないのにそういうことを何食わぬ顔でやるのはやめて欲しい。

 今のを狙ってやってないんだよな、この人…まあ狙ってやってても僕が惚れてる時点で試合は終了してるんだけどね。

 

 それに…構えてても照れるの変わんないし。

 

「そっか」

「はい」

 それを聞いた納得したのか先輩は、顔を正面に向けて再び歩き始める。

 

 そうやって会話をしているうちに、運命の別れ道にさしかかる…うん右だね。

 

「左曲がるよー」

 先輩が数メートル前で爆弾を落としたので、思わず立ち止まる。

 

「んーどうした」

 今回は、明らか分かってますという顔をして聞いてくる先輩。

 

 とぼける先輩に対して、僕は一応聞くことにする。

「ちなみに…どこに寄り道を」

 

 ふふふと笑った後に答える先輩。

「とあるカフェっぽいところに行こうかなーって」

 …うわあ、やっぱじゃん。

 

「先輩」

「んー」

 呼びかける僕…そして先輩を正面に向かせて、両肩に手を置く。

 

 数秒ためて一言。

「あそこ、ほら今日烏丸先輩バイトなんでやめてくれると、嬉しいんですけど、ね。ヤバいですって」

 絶対負け戦確定じゃん。行くわけないだろ。

 

 それに対して先輩は、

「とりまるくんって誰のことかなー、お姉さんよく分からないよ…知り合い?」

 棒読みでそう言ってくる…いや、とりまる言ってんじゃん。

 

「それに…」

 ふうと息を吐く先輩。

 

「男女的にいうと、今の方がまずいと思うよ?」

 先輩がそう言うので状況を確認する。

 

 目の前に、先輩の顔。

 先輩は、身動きがあまり取れない。

 理由は、僕が両肩を抑えてるから。

 もうちょい近づけば互いの息が当たる距離。

 

 …。

「すいません」

「いえいえー」

 反射的に勢いよく下がって距離を取る僕。

 

 

 

「じゃ、行きましょっか」

「…うっす」

 

 

 

 

 僕の負け戦が始ろうとしていた…。

 

 

 

 

 

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