戦闘員オペレーターのボーダー記録   作:チビメガネ

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遅れてすいません。
後、いっそのことまとめたほうが美しかったので3戦にまとめました。

5戦じゃないです。
なのに1万字超えてるというね…分けたほうがいいんですかね。
こういうのは1回にまとめたほうがいいというのが私の考えなのですが…。
要望が多ければ2話にします。

取りあえずそんだけ。

あ…13巻買いましょう、買った?
ならオッケーです。




第32話 vs  那須 玲

  2月某日 那須隊作戦室

 

「改めて、お疲れ様です」

「負けてしまったけどね…」

 少し悔しそうに微笑む那須先輩。

 

 今日は、今までの那須先輩との模擬戦の記録(ログ)を那須隊室に取りに来ている…本当はランク戦終わった後にでも行こうと思ったけど、疲れてるところにもの凄く個人的な理由で邪魔するのも悪いだろうということでこうして後日お邪魔することにした。

 

「それで、記録(ログ)でいいのよね?…小夜ちゃん」

「了解です…ちょっと待ってて、もうすぐ終わるから」

「いや、そんな気にしなくていいですよ」

 何から何まで申し訳ないな、こっちの勝手でやってもらうのは。それにブースでやったのも見直して自分がどこで思い込み始めたのかも多少は分かったし…まあ自分の模擬戦を見直すのはいいことだからありがたいんだけど。うん、なんか嫌だな。

 

 そう思っていたからか、そわそわし始めた僕を見て、那須先輩はお茶を飲みながら少し微笑んでいた…その温かい目やめてくださいよ。

 目を逸らしながら、入口付近に座っている志岐先輩の手伝いをしようと立ち上がろうとしたときに那須先輩が座ってていいわと僕を止める。そして、真剣な顔をしてこちらを見てくる。

 

「どうかしました?」

「…ちょっとお願いがあるんだけどいい?」

 なるほど。そのお願いの料金として作戦室での模擬戦の記録(ログ)の作業をやってくれるということか…そんなこと気にしなくても今まで付き合ってくれた時間から考えたって手伝いますよ、というか手伝うのが支援課の仕事でもあるし。

 心の中でそう思いながらも、そういうことならと甘えて座りなおす。

 

「それで、どうかしました?」

 改めて座り直し那須先輩のほうを向く。

 

「メテオラの使い方をくまちゃん含め皆に教えて欲しいの」

 …この前のランク戦の総評で太刀川さんが言ってたやつか、手札が増えるだけでも大きいからな。太刀川さんも言ってた通り、メテオラもアドリブとはいえ凄く上手くはまっていたから、もう少し形にしときたいんだろう。

 

「分かりました…今からですか?」

 僕が数秒黙っていたからか、あちらで作業している志岐先輩以外の3名が頭を下げる雰囲気になってしまいちょっと焦ったものの、言葉を出した僕…本当に頭を何度も下げたいのはこっちなんですよ、だって…

 

「いや、先輩のおかげでこの前の太刀川さんとの模擬戦でいい動きできたと言ってもいいんですから…合成弾が早くなったのも先輩のおかげですし。こんなことでいいならいいですよ。チームに入れってのは流石に無理ですけど」

「ありがとう」

「いえいえ。太刀川さんに勝ったのは先輩の力あってこそですから」

 軽く頭を下げながら言ってくる那須先輩にそう言う僕。

 

 すると…それを聞いた日浦先輩が目を輝かせてこっちに身を乗り出す。

「え!! 勝ったの!? 凄いね、二階堂君!!」

  見るからに興奮してますみたいな感じで言う日浦先輩の服の袖を掴みながら、熊谷先輩が呆れたように顔に手を当てたうえで言う。

 

「はあ…茜。最初に言ってたでしょ、それと近い」

「あっ…ご、ごめん」

 膝当たりをポンポン払いながら何歩か下がっていく日浦先輩。

 これが、狙撃界(スネイプかい)に旋風を巻き起こした元女子最年少スナイパーの実力か…小動物系?らしい。誰が言ったとは言わないよ、ほら狙撃界(スネイプかい)も忙しいから。

 それに最近は、雨取さんと夏目さんの話題で持ち切りだからな。雨取さんは、隠れファンクラブがあるくらいの人気なんだよ…もちろん会長は夏目さんです。当然夏目さんも人気だよ…漢として。

 

 そんなくだらないことを考えていると、熊谷先輩が横目で睨んできて、チョップをしてくる。

「あんた…彼女いるのにうちの茜を変な目で見ないでよ」

「え、そうなのっ!?」

  熊谷先輩が日浦先輩を腕の中に収めながら、多少顔が赤くなった日浦先輩を庇う…僕悪者みたいじゃないですか。おかしいのは狙撃界(スネイプかい)です!!…僕も含まれてますね、すいません。

 

「二階堂君、告白したの? 凄いね!!」

「あーいや、えっと」

  もう一度目を輝かせる日浦先輩…この流れはまずいやつだ。

 

「そうなんだよ、茜。二階堂君は無事告白したのよ」

「おー」

 ニヤニヤしながら言う熊谷先輩の言葉にテンションが上がっている日浦先輩…あれもう手遅れだったかな?

 

 僕は、この流れをとりあえず断ち切るため那須先輩に助けを求めるように目線を動かすと、那須先輩は一呼吸おいて言うのだった。

「違うわ、くまちゃん、茜ちゃん」

 そうだ、そうだ。言ってくださいよ、全く。

 

 そして、微笑みながら携帯を出して先輩達に見せる。

「パフェを食べさせ合う関係なだけで、そういう関係ではないわ」

「「おー」」

 …あれれー、おかしいなー。なんで写メを持ってるのかな。国近先輩ですね、分かります。

 ん?

 あのとき、撮ってなくね…烏丸先輩か、あのイケメンめ。ちゃんと仕事しろよ…後で僕も頂こう。

 

 とりあえず、取り返さないと。那須先輩だから流出とかは心配してないけど、できる限りからかわれる材料は取り除かないと後がまずい。

 え?烏丸先輩から宇佐美先輩のルートが確保されてる時点でもう手遅れ?

 …ほら、烏丸先輩だって優しいから、誰かに「この写真見て下さいよ」なんて見せないから。

 うん、たぶん、きっと。

 

 そんなことを考えながら、いつの間にかこの公開処刑を床に正座で聞いているなかで、後ろから現れた志岐先輩に肩を叩かれて言われた。

「もう…諦めな」

 そんないい笑顔でしかも親指立てたうえで言われましても…。

 

 そして、志岐先輩は僕の横を通り過ぎ那須先輩に言った。

「先輩。二階堂君がどうやらその写メを取り戻したいみたいなんで、ここは1戦交えるというのはどうでしょう」

 ふっ、決まったドヤ顔で言う志岐先輩に、那須先輩は言う。

 

「そうね…仕方ない。二階堂君、皆行きましょう」

 …あー、この流れ決まってたな。熊谷先輩もニヤついてるし。

 

 僕が諦めて立ち上がっていくなか、日浦先輩が一言。

 

「楽しみですね!! 熊谷先輩」

 それを聞いた僕は、日浦先輩に知らせてなかったのかという確認を込めて熊谷先輩のほうを見ると小さな声で言ってきた。

 

 

「茜…さっきまで猫の特集を食いつくように見てたのよ」

「ああ…なるほど」

 猫はかわいいから仕方ないよね!!

 

 そんなこんなで那須隊全員とブースに移動していく…というか模擬戦やりたいならやろうと言ってくれればいいのに、わざわざ公開処刑を用意する必要性がないと思うな!!

 

 

 

『模擬戦するのは久しぶりよね…いつ以来かしら』

『最後にやったのは、1月に入ってすぐくらいだったと思います…1か月は経ちますね』

 転送の準備をしながら、会話をする僕達。

 

『いつも通り3戦でいい?』

『はい、大丈夫です』

 個人ランク戦3戦開始というお馴染みのアナウンスとともに転送される。

 

 

 1戦目

 

 今回の先輩の要望で市街地MAPとなった…河川敷の提案をしようとも思ったのだが、直近の戦いしかも同じ場所で戦った場所での情報をこちらが持ってるのに相手が持ってないのは卑怯だなと思ったので、その提案はやめることにした。

 まあ要するに、あれだ。できる限り、同じ状況で先輩とはやりたいのだ、個人的に。

 

 那須先輩の補正も自分の中でできてる…先輩のスペックを持った自分と戦うように、それでも先輩をきちんと把握したうえで、という感じだろう。

 自分の戦い方の把握というのが一番難しいんだけどな…。

 

 頭でそんなことを考えながら、レーダーで位置を確認し、右へ左へ曲がっていく。こういう個人戦だと、オペレーターがいないので、バックワーム着て姿を隠すということもできる。しかしそれで僕が思いつくのが不意打ちか、着てることを分からせた上での誘い込みかのどちらかである。

 

 前者の意味では、距離を保って、当たるまでの時間差が生まれるシューターでは、言うほど意味はないだろう。射線を特定できれば場所の特定も可能なのだ。バイパーだって特性さえ理解してればある程度の精度でできないこともない。

 後者は誘い込み、思い込みを利用したやり口は互いに直近でやったため、そう簡単にはできないし、しないだろう…というかバックワーム着ての誘い込みは以前僕がしたので使わないだろう。まあこれは願望だから、策として頭には入れておく必要はあるけど。

 

 となると、どう誘い込むかだな…こっちは機動力も削らないといけないしやること結構あって大変だ。

 とりあえず、開幕の初手で先輩が距離あってしそうなことは…トマホークだろう。

 今なら、距離あって火力で潰すことも可能だろうし。

 

 屋根の上を移動しながら、弾速が通常より遅い弾の弾道を視認したうえで自分も1つのキューブを用意しておく。

 

 その弾は、次に僕が飛び移ろうとしていた家や周囲の道路、そして僕自身を狙って着弾しようと弾道を変えていくのが分かる。

 それを確認をしながら、屋根から飛び降りて着弾しないであろう位置に移動していく。

 

「ハウンド」

 そして、片手を上空に向け追尾弾を放っておく。

 …ここからか。

 

 レーダーに表示された円の中で、那須先輩の動きを確認する。

 いくら、位置把握ができると言ったところで一歩一歩の動きが正確に分かるわけではない。動くのが基本戦術の那須先輩には、ルート選択をして終わるバイパーよりもトリオン体の反応を追ってくれるハウンドのほうがいいと思ったけど、こっちだと誘導性の低さと動いてる相手用の複雑な射線選択ができないことが問題か。これだと分割して、弾数多くしてもあれか…普段バイパーの選択がある以上そっちを使うからな、ハウンドはよく分からん。

 そう考えて、次はバイパーを先輩に当たるように上空に放つ。

 

 レーダーで表示されている点が、もうすでに着弾したであろうハウンドの影響で右に行っているのが確認できる。バイパーは、おそらくほとんど相殺されたのだと思う、上空で音が聞こえたのはおそらくそれだろう。

 流石に、何度もやってるとバイパーの引き方の癖みたいの見破られるもんだな。

 

 そうやって、弾の応酬している互いに視認できる位置にくる。

 

「バイパー」

 多くの分割をさせ、放ったバイパーが那須先輩の後を追っていく。

 あちらは、普段通りの円軌道からバイパーを放ち、僕に四方を取り囲む…流石に片手だけの量だと相殺と相手を狙うのは厳しく、その弾は、腕や頬に掠(かす)る。

 

「バイパー」

 先輩の口がそう動いているのを確認できる。

 僕が、攻撃を先ほどのバイパー以上に受けているなかで、先輩は右に曲がっていく。

 僕も準備をしながらその動きについていく。

 

「ハウンド」

 2本の糸によって転んで体勢を崩した相手を、僕はフルアタックの分割量で落としにかかる。

 

 

『那須 ダウン』

 …上手く誘導できてよかったな。

 スパイダーなんて普段は、相手からこっちに来るときしか個人戦では使わないからな、良かった。

 

 

『私と戦うときは、機動力をどうにかしようと考えないんじゃなかったの?』

『いやー、学ぶ立場と本気でやろうとするときの態度が同じなわけないですよ』

 ブースの部屋からの音声に対して、やれやれとでも言うかのように両手を動かす。

 

『流石に性格悪いのね』

『自覚あるんで』

『自覚あればいいってものではないと思うんだけど…』

 その返答に対して、呆れたように言い放つ先輩は、一呼吸おいて転送前に呟く。

 

『次は負けないわよ』

『次も負けませんよ』

 互いに転送しなおされる。

 

 

 

  2戦目

 

 さて、相手はというと…流石にこちらに近づくという行為はやめてある程度の距離を保ち、向かい合っての撃ちあいと言ったところかな。

 ここまでは順調。後は、こちらからしか近づけないという状況さえ作れればといったところだろう。まあそれが簡単にできたら苦労しないし、相手もそれは理解してるだろうし。

 

 とりあえず、相手の出方とトリガーのセットの理解のために通常通りに向かっていってそこから修正しよう。

 その考えのもと、左手から丸い光を発生させる。

「グラスホッパー」

 右手のキューブで、向かってくるバイパーを相殺したうえで、グラスホッパーで避けながら近づいていく。

 

 もう一度踏んだことで真正面から来てくる僕に対して、アステロイドを放って応戦していく。

 足で急ブレーキをかけて、右に踏み込んでそのアステロイドを避けたところで、バイパーが襲い掛かる。

 

「メテオラ」

 その弾道を目の前で爆発させて相殺させる…分かってはいてもやっぱり簡単には近づけないか。

 巻き起こった煙幕の中から迫りくるバイパーに、グラスホッパーで移動し避けていく僕。

 相手はその動きを見て、移動しながら僕の移動方向に建っている建物をメテオラで崩しにかかる。

 

「バイパー」

 僕は、崩れてくる建物を後ろに下がりながらハンドガンで、相手は落ち着いて瓦礫を掻い潜って撃つ。

 

「やっべ」

 相手は見た限り両頬から、自分は両頬に加え足の太もも付近からもトリオンが漏れていることが分かる。

 散々やってて自分の中で動きを甘くしても舐めてたか…いや今は様子見ってということを意識しすぎて動きが鈍くなってというほうがいいかな。

 …言い訳でしかないかな。

 考えながら戦うことと、確認という名の自分で考えてるだけで今目の前にいる相手に意識を向けないは全然違うな。

 

 今の動きを反省しながらハンドガンを構え直し、左手の準備もしておく。相手もそれを見て、少し微笑みながら手を下に向ける。

 

「そんな動きなら…」

 そう呟いた後に、手の周りに出現した一つの六面体は、何分割もして相手の手前に浮遊していく。

 

 そして…

「勝てるわよ」

 様々な軌道を描き、僕を獲りにかかる。

 

 直線で進んでくるバイパーを目の前に発生させたメテオラを放つことで消し去り、曲がることで足と顔を狙ってくるバイパーを、グラスホッパーを数回踏んで横に避ける。

 そして、もう一度メテオラを相手に向け放ちながら、その射線の邪魔にならないよう上空にハンドガンでハウンドを放つ。

 一方、相手はそのメテオラを同じくメテオラで相殺する。そして、僕の対角線上に移動しながら、発生した煙幕を通過する弾道を引く。

 僕は、その弾道を確認して、引き金にいつでも指を入れグラスホッパーで移動する。

 

 先輩の基本戦術は、建物等の障害物があることで攻撃ができない位置から自分は自由に引くことができるバイパーを利用することで攻撃をするというものだ。しかし、障害物の数が少なければ、障害物の数が少ないところに移動すればいい。最悪、その障害物が破壊されれば問題なくなってしまう。しかも、シューターは明らかに中距離戦を得意としている。近づかれたら負けである以上こういう1対1の戦いでは、攻撃間隔を小さくして近づけないようにしなければならない。

 先輩の機動力重視のやり方は、この2つを上手く組み合わせていると思う。バイパーを自分で引ける能力があるからできるやり方だ。

 相手が常に移動する戦い方をするのであれば、一回射線を引いた後は変えることができないバイパーよりも射線が単純なものにしかできないが、追尾してくれるハウンドのほうがいいだろう。移動しながらも向かい合って撃ちあってる今なら尚更だ。

 

 そして、僕もバイパーを避けきれるだけの機動力は、グラスホッパーで生み出すことはできている。機動力における弾の選択肢がハウンドと僕が考えるのであれば、那須先輩が選択する弾も…

 

 そう思いながらグラスホッパーで移動しながら、煙を抜けてきた弾をハンドガンで撃ち落とす。何本かの射線は消えずに僕を追ってくる…そうなりますよね。

 僕は、そのままグラスホッパーで相手に急接近しながら、後ろにハンドガンを向けてハウンドを撃ち落とす。

 

 そして…

「気が合いますね、先輩」

 相手の左腕に向けて、レットバレットを撃ちこむ。

 

「女の子に拳銃向ける子に気が合うと言われたくないわ」

 重りのせいで、身体を少し傾けながらも何歩か下がってメテオラを上空から僕に向けて落とす。

 

「それもそうですね」

 空中で衝突するように下から上に向かって、メテオラを放つ。そして、ハンドガンを腰にしまいオフにしてハウンドを20発ほど一気相手に向けて放つ。

 

 左に避けていくものの先程より遅い動きにハウンドが今まで以上に相手に襲い掛かる。相手は、その弾をシールドで防御しながら下がっていく。

 

「バイパー」

 右手でバイパーを放ちシールドの間を避けながら数発放つ。そして、それと同時にハウンドを左手で上空に放っておく。

 

 相手も上空に向かったハウンドを確認して、シールドを外し、おそらく、ハウンドとバイパーを生成。移動しながら、それを放ち、バイパーでバイパーを相殺…というかハウンド当たる位置にわざと移動してないか、これ。

 

 その考えは正しかったようで、放物線を描いて落ちていくハウンドに相手の左腕が被弾する。そう、左腕が…。

 

「やっぱり体軽くなるものね…重りがないと」

 重しが付いた左腕が地面に落ちた音がしたと同時に、相手は今浮遊している弾を全てこちらに放ち移動していく。

 

「やば」

 思わず声が漏れてしまう僕。

 グラスホッパーで後ろに下がりながら、メテオラを放ちある程度のハウンドを相殺する。そして、下がりきった後、バイパーとハウンドで、相手を狙いながら弾を相殺していく。

 相手はフルアタックのアステロイドを新たに生成し、自分に向かってくる弾に応戦していく。

 威力はあっちのほうが高いので相殺しきれず、何発か通り抜けて僕に被弾し、僕の右腕を落とす。

 

 互いに引かずに…というより引く暇も与えず弾の応酬を繰り返していく。

 2人とも腕が落ちていくなかで撃ちあいを続けたのだ、結果は明白である。

 

『トリオン供給過多』

『二階堂 ダウン』

『那須 ダウン』

 トリオン切れで双方ダウンする。

 

 

 

  3戦目

 

 1戦目と同様上空からトマホークが降り注いでくる。避けられない要因もないので、普通に避けていく…ただ1戦目と違う点があるとすれば相手からこっちに来る気配がなく待ち構えてるということだろう。こちらの罠を警戒してのことだろう。最初からあちらにいれば、僕の通った道がある程度は分かるわけだからその道を通らなければ罠にかかる心配もない。

 そして、シューターとしての距離もとれる。

 

「またか…」

 もう一回降りてくるトマホークを避けながら、そんなことを考える。

 ただ、そっちがその気なら、こっちもその気でいく。

 

 こっちもバイパーを撃ちながら合成弾作る暇を作らせているつもりはないものの、合成弾がこちらに届くということは意味はなさそうだ…あっちに留まると決めているのだか当然か、こちら側に来るのであれば通る道の特定もできなくないけど。

 もちろん、相手が通りそうな道にバイパーを放つこともできるけど、あっちは合成弾である以上このままじゃ埒が明かない。それに合成弾の応酬とか先ほどのような応酬になることだけは避けないといけないし…接近戦というより機動力削りをせずに、中距離戦のみじゃ先輩のほうに部があるしな。

 

 …近づくか。

 

 僕も2つのキューブを作り合成弾を相手に向けて放つ。その弾道は、放物線を描きながら、目標である建物付近に着弾する。

 

「やったわけないな…」

 那須先輩のほうに移動しながらそう呟く僕。

 

 …というかあれだな。確実に罠だろうな、何かしらの。

 僕が頭下げて頼んだ訓練から始まったとはいえ、最後のほうは互いに吸収していってたからな。先輩は面白いのか、すぐ取りあえず真似して何週間後には、結構な再現度で僕の真似をしてたし。

 まあ今回はスパイダーは入れてなだろうから、僕なりの誘い込みの罠の張り方というと…

 

 那須先輩がいるであろう路地付近を曲がって新たな路地に行くと、建物の窓が何枚か割られており、破片が飛び散っているのが見える…なるほど。

 

「バイパー」

 それを見て、右手を上に向けてバイパーを放つ。

 

 ある民家の2階の窓から、はたまた違う民家の3階の窓から降りてくるバイパー。

 そして、それを上空で相殺する。

 

 さて、罠を(くぐ)り抜けながらも近づくか罠を張るかしないとな…。

 そう思っていると、右斜め前の民家が崩れていく。

 

「二階堂君…最後にしましょう」

「…なるほど」

 目の前には、服を纏うように浮遊している数多の立方体が見える。

 

「メテオラ」

 一直線の路地で飛んでくるメテオラに、同じくメテオラを放ち爆発させる。

 僕は右に曲がり、相手との距離をあける。

 

 相手は、メテオラをもう一度こちらに向けていくので、低い塀を飛び越え民家の庭を通り抜け、向こう側の路地に行く。

 僕自身もメテオラを放ち庭のなかで爆発していき、民家は崩れ去る。

 相手は、続けざまにメテオラを僕の後を追うように真っすぐな軌道を描き、庭を抜けた先の民家の塀も破壊される。

 僕は左に曲がりながらそれを確認する。そして、違う民家の塀を飛び越え先ほどいた路地に戻る。先輩はバイパーとメテオラで追い込む。

 

 2、3回に一度は違う路地に行きながら先輩から逃げていき、最初の路地に戻っていったところで、相手のほうに向きなおり右手は上方に、左手は下方に向けてハウンドを生成。

 

「そう来ると思ったわ」

 右肩からトリオンが漏れている僕を見てそう呟きながら、そのハウンドを撃ち落とすメテオラを放射。

 何歩か下がって右に曲がっていく先輩に向けて右手のハウンドを放っていく。

 

 先ほどの思ったことではあるがハウンドの扱いづらい点は、バイパーより射線が単純であることだ。追尾ということである程度は融通の利く曲がり方はしてはくれるが、射線の選択をすることが利点であるバイパーと比較するとその差は歴然であるため、障害物があるより、開けた土地のほうがいい。視覚誘導であるならば尚更。

 

 そのために逃げながら家を破壊させ、更地にしたのだ。

 

「…て上手くいかないんだよな、本当に」

 そうは言っても、ここは先輩の本拠地の入り組んだ路地。

 逃げながらも確実にバイパーを当ててくるあたり流石である。

 

 僕も、右へ左へ回り込みながら、先輩への位置関係を気にしながら、左手のハウンドを数発放つ。

 

 先輩が右に路地を曲がったのが見える。その際、ハウンドは壊しきれなかった塀に衝突し、消え去る。

 

「ですよね」

 それを見ながら、迫り来るバイパーをハウンドを斜め上に飛ばすことで相殺する僕…狙う対象は相手にしているが、途中バイパーに防がれた形なんだろうな。

 引き方が、バイパーに慣れてるからかめんどくさい。

 

 今、ハウンドが塀に当たってしまったのは、ハウンドの誘導半径を相手が振り切ったからだろう。ちょうどすぐ前に左から路地に来てそのまま右に進んだことで、誘導ができなくなり、軽く円を描いて左に曲がったハウンドが塀に衝突したんだろう。

 

「げっ」

 前のバイパーに気を取られて、後ろのバイパーに気づかず足に当たる…足全部持ってかれないだけ良かったか。

 

「メテオラ」

 そのまま進むと10数メートル先に相手を確認できたので、メテオラを放射。相手もそれにメテオラで応じてくる。

 

「バイパー」

 右手ではバイパーを生成し、背中から後ろの路地を曲がってくるであろうバイパーを消す。

 

 双方の衝突音が聞こえると、相手は両手でアステロイドをこちらに直線軌道で放ってくる。

 

 それをハンドガンを構えた上で、グラスホッパーで近づいていく。

 2戦のようなレッドバレットを警戒してか地面を多く蹴り、横に飛び銃口の当たらない位置へと移動する。

 相手が安堵した表情を浮かべたときに、相手の背後からバイパーが肩と足の横に当たる。

 

「これで、おあいこです」

 トリオンが漏れているの箇所に拳銃を向けながらそう言い放つ僕。

 

「さっきのバイパーの何本かはこちらに引いてたのね…装備してるふりして、オフにしてるなんて汚いわね」

 僕に人差し指を向けながら言い返す先輩は、その指から弾速重視のアステロイドを小さな1つ放つ。

 

「おっと」

 かろうじて避けるが少し脇腹に掠(かす)る。

 

 そして互いに下がって、お互いに向けて

「メテオラ」

「メテオラ」

 爆弾を投げる。

 

 爆発の後の煙幕を発生させながらも、バイパーを互いに放つもののこれは打ち消し合う。

 

 ここで身を隠すとも思われたが、ホルダーにおそらくバックワームはないから急に消えることはもうない。後は、追い詰めればいいだけだ。

 

 そう思っていると、トマホークが再び飛んでくる…確実に仕留めにきたか。

 それをグラスホッパーで避けながら、トマホークの位置まで接近していく。

 

 ハウンドをハンドガンで上空に向けて放っても反応がないから、おそらくもう一発くる。

 そして、ある路地を曲がっていき、相手と向き合う。

 

 両手で練ったものをこちらに向けてくる相手。距離から考えると後一発合成弾を撃ったら、また撃ちあいが始まるだろう。

 

 大丈夫、トマホークなら最悪メテオラで横の建物を崩していけば瓦礫で相殺できる…ん?

 相手は、きちんとこちらのグラスホッパー対策してなたよな、僕と同じハウンドで。トマホークは、普段の弾より遅いの分かってて撃つか。後ろから戻ってくるにせよ。

 こっちが今してるのは、直進の急接近…やべ、間に合うか。

 

 

「グラスホッパー」

 急ブレーキを足でかけて、目の前に踏み台を上向きに発生させる。

 それを見た相手は、少し目を見開きながらもその手を少し上方に向けて合成弾を発射。

 

「あっぶね」

 上空に放たれるギムレット…当たり前だけど、当たれば即死だったわ。

 

「バイパー」

 銃口を向ける僕に対して、間髪を容れずバイパーを僕を取り囲む形で放射。

 

「メテオラ」

 こっちに向かうバイパーに対して、こっちら四方にメテオラを投げる僕。

 そして、大きく踏み込んで一発。レッドバレットが相手の腹に貫通。

 

 グラスホッパーで後ろに回り込んだ僕は、拳銃を向け、相手の頭に向け放つ。

 

「シールド」

 相手は大きく地面を蹴って、自分の斜め前に半球のように出現させ、盾でバイパーを防ぐ。それと同時にこちらにバイパーを直線状に何本かこちらに向けてくる。

 それを躱して下に潜り込み、もう一発レッドバレットを当てる…ということはできない。

 

「くっそ」

 してやったりという顔をする先輩を確認しながら、後ろから戻ってくるバイパーを避ける僕。

 

「メテオラ」

 上空に配置したメテオラは、相手の周りに雨のように降り注ぐ。

 …おそらく、先輩も自分に当たりそうなものは、メテオラで相殺してるから意味ないだろうけど。

 

 そう思いながら、煙幕の中に入り、引き金に指を入れて先輩と相対する。

 

「トリオン切れですかね…」

「ええ、そうみたい」

 息を吐きながら言う那須先輩。

 

「またやりましょう、二階堂君」

「そうですね」

 

 

 

 あ…ちなみに写メは取り返せなかったぜ。

 僕生きてられるかな…明日から。

 

 

 

  結果

  1勝2分け

 

 

 





メイン
 ハンドガン バイパー ハウンド レッドバレット
サブ
 グラスホッパー ハウンド メテオラ スパイダー







 さて以下長いです。そしてネタバレ要素があるんで気を付けてください。
 本誌を直近2つを読んでしまったんですよ。
 …最近色々掘り下げがあったからまたあるかなと思って読んだだけなんだからね、綾辻さんがかわいいという友達の言葉が気になったわけじゃないんだからね、勘違いしないでよね!!

 ということはさておき、ハンドガンの修正について。
 どうやら、A級はトリガーとか含め改造が許されてるらしいというのを読んで思ったこと。
 大規模侵攻の三輪のハンドガンもレットバレットを置けるように改良してあって、ハンドガンを一緒に使えるように改造したんじゃね…と。
 ほら、木虎だってスパイダー付きのハンドガンだったし。

 というわけで、そういう改造というまあ言ってしまえばご都合主義的なやつでいいんでんでね?
 と思ったわけでですよ。
 どうでしょう?
 ぶっちゃけると、修正めんどくさいだけなんですけどね…

 どうでしょう?

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