戦闘員オペレーターのボーダー記録   作:チビメガネ

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第7話 戦後処理 午後の部 (1)

 

 男には戦わないといけないときがあるらしい。

 

 ある男曰く、背中で女性が泣いているとき。

 

 またある漢(堤大地)曰く、女性が笑顔で料理を持ってきたとき。

 

 そんななか、僕は思う。

 

 戦わなきゃいけないって言うけど、散々女性が絡んでくるってことは、男は女性には勝てないって事だろ

 

 …と。

 

 

 はい皆さんお元気でしょうか?僕はまだ生きてます。

 

 今どこにいるかというと、支援課室前の扉です。要するに地獄への扉です。この扉の向こうには阿修r…響子先生がボルテージMAXで待ち構えていることでしょう。

 

 え?地獄にいるのは閻魔大王だって?そんなことはどうでもいいんだよ。先生は片腕いや、指一本で閻魔大王だって倒せr…

 

「一、そこにいるのは分かっているのよ。いいから入って来なさい…ね」

 先生。最後の『…ね』が怖いっす。

 

 ただもうこれは逃げられない。逃げたら次は待ち受けるは死…入るか。

 

 ノックをする僕。

 

 ちなみに、ノックは人類史上最高の発明である…以前あくまで仕事関係ではあるけど、本部長と二人きりで仕事ができたときがあった。それが分かった数日前に、少し頬が緩んでいた先生を、僕は目撃してしまったのだ。あのときの先生の笑顔ほど忘れられないものはない。

 

 

 要するにノックはしなくちゃダメ、ゼッタイ。

 

 …とまあそんなことは今どうでもよくて、支援課に入ろう。

 

「し、失礼します。二階堂です」

 あれー。ここ暖房付けていたっけ?入ってすぐ汗が凄いなー。なんでだろうなー。

 

「とりあえずここに座って」

「は…はい」

 ソファに座っている先生が自分の目の前を指さしてそう言ってくる。

 

 来客用の椅子があるなか、僕は反省しているので、先生の前に正座をする。

 

 そう反省しているからだ。先生が怖いわけからではない。うん、反省しているから…大事なことなので三回言いました!!

 

 そんな僕を見かねたのか声のトーンをいつものトーンに戻してくれ…るわけもなく

「昨日まず何があった言ってみて」

 この徐々に攻めていくスタイル。僕は嫌いじゃn「な・に・が、あったの」…はい。

 

「玉狛にいるブラックトリガーを奪う目的で、玉狛の迅s…迅隊員と嵐山隊が太刀川隊員を隊長とするA級チームが戦闘をしました。結果は先s…本部長補佐の報告書通り、風刃を持った迅隊員の方が勝利。その後風刃を本部に譲渡することで、玉狛の空閑隊員の入隊を認めさせこの件は終結しました」

 こんな感じでいいよね、うん。たぶん合ってる。

 

「そうね」

 先生。育った我が子を見るような顔やめません?

 

 とその顔をしたと思ったらすぐにさっきの感じに戻る先生。

「それであなたはどうしたの?」

 

「はい。城戸司令の命令により、太刀川隊員のほうのA級チームに加わり敗北しました」

「そうね」

 先生。そのちょっと嬉しそうなトーンで言うのやめてください…僕も結構勝つ気でいたんですからね。

 

「一は迅くんと戦闘したのよね?」

「はい、そうですね」

 あー、これは…。

 

「城戸司令についてしまって、すいません」

「それは良いわよ。本部長も気にしてないと思うわ…もちろん私も」

「そう言ってくれると僕の心がちょっと軽いです」

 ただ、もうそろそろ自力でこういうこと対処しないとだよね。うーん、どうすればいいのか。

 

 そう考えていると先生は少し微笑んで

「だだ…そうね。もう少し中立って立場を利用できるようにできればいいんじゃないかしら」

 なるほど。そうなると…

 

「それってどうすればいいんでしょうか?」

「それを考えるのがあなたのすることでしょ」

 そう言いながら、軽めのチョップを頭にする先生…ですよね、うん知ってた。

 

 

「それで?迅くんと戦った結果どうなったの?」

 ついにきてしまった。うん別にこの穏やかな雰囲気で終われるとか思ってないよ?ウソツイテナイヨ?

 

「えっとですね…はい」

「言ってみなさい…ね?」

 だから先生。『…ね』が怖いです。

 

 女性の皆さん。不良に絡まれたときの「ちょっとだからさー…ね?」とか「別に悪いことはしないかさ…ね?」は信用できないから気を付けた方がいいですよ。下心のオンパレードだ、バーゲンセールだ。気を付けた方がいいよ…ね?

 

 まあ、もともと夜道は歩かないとか、人があまり通らない道を通らないt「はじめ?」…はい。

 

「あー電柱とか信号機とか凄い倒れましたかね。放棄地帯とはいえ凄かったですね…太刀川さん」

 さらっと太刀川さんに責任転嫁する僕。いや別に嘘は言ってないし…僕なんて電柱壊したの当真先輩のための一本だけだしー。

 

「今太刀川くんかどうかは問題じゃないのは分かるわよね?」

 別に分かってたし。本当のこと言っただけだs「何かあるかしら?」

 

「すいません。僕がもっと止めるべきでした、はい、すいません」

 あの戦闘バカめ…絶対今ゲームしてやがるぜ。僕がこうして怒られているのに、くそっ。

 

 僕が少し投げやりになってしまっているのを感じ取った先生は

「止めるべきでした…ねぇ?」

 わーい。『…ね』が『…ねぇ』に進化したよ。このことにより先生は僕のライフポイントがゼロになったとしても攻撃できるようになったよ。やったね…そろそろまずい。サイドエフェクトがなくても分かる。先生の後ろに般若が見える。

 

「本当に申し訳ございませんでした。僕の貯金からできる限り賠償金等は払いますので許してください」

 綺麗に床にでこを付ける僕…本当に申し訳ありません。僕は、一応A級隊員ということと雑用業務のおかげで給料もらってるので、多少は払えると思います。

 

 それを聞いて呆れたように溜息をついて僕に言う先生。

「そう言うと思って、その件についてはあなたの貯金から出てないわよ。本部と太刀川くんに払ってもらっているわ」

 ははは、太刀川さんざまあねえな。ふっ。

 

「ただ…」

 そう言ってもう少しトーンを下げる先生…何のことだろーなー。

 

「これは何かしら…ねぇ」

 僕の目の前に写真を二枚投げる…ヤベ。

 

 一枚はボロボロになった車庫の写真である…というか原型を知らなきゃ車庫かも少し怪しいレベルの代物になっている、流石に盛り過ぎか?だといいなー。

 

 もう一枚は狭い路地だと思われる写真である。人の家と路地を隔てるはずの塀が一定間隔でなくなっており、そしてその路地と合流する路地付近はあたりの更地具合より多少ひどくなっている。

 

 あぁこれ見たことある!!これで問題解けるよ、やったね!!

 

 …うん現実逃避はもう本当にやめましょうか、うん。

 

 僕がやったやつですね、本当にすいません。

 

 その意味を込めてもう一度床にでこをつけながら

「本当にすいませんでした」

 謝る僕。

 

 もう一度呆れたように溜息を吐きながら先生は言う。

「ふう…本当に放棄地帯だから多少の賠償金で済んだのよ。これが市街地だったらどうだったか分かっているの?」

 ごもっともです。何も言い返す気もございません、すいませんでした。

 

 それで済んだのに本当に感謝するしかないよな…うんマジで裁判とか起こされたら終わりだし。根付さんの苦労も水の泡だし。

 

 すいませんでした、本当に。他にできることあったら言ってください。

 

 そう思っているとそれが通じたのか先生が笑顔で言ってくる。

「そう…ならこの書類よろしく頼める?」

 そう言って横に置いてあった段ボールを指さす先生。でもこれって…

 

「先生…あのこれって今回の始末書以外のもありますよね?」

 絶対そうだろ。だってこんな量にならねーよ、うん。

 

「そろそろ新入隊員のオリエンテーションがあるから忙しいのよ。だからついで頼めるかしら?」

 いやついでって量じゃないでしょう。

 

 

 支援課には様々な捉え方がある。

 

 まず一つ。

 『何だかんだでやっぱり派閥に属してないんだよね』派だ。

 これは、今回のブラックトリガーの件やどの派閥であろうと仕事を請け負っているところを目撃した人が考えるものである。本部の上層部やそれ以外の古株の人達等がこの類だ。

 

 もう一つ。

『玉狛の回し者』派だ。

 これは、最近は来ないが、わりと入り浸っている迅さんの言うことを聞いている多数の目撃情報によりできた捉え方である。ただ、三輪先輩は迅さんが苦手だからこう言っている可能性が高い。先輩は普通にしてればいい人である。

 

 さて最後の一つ

『何だかんだで沢村本部長補佐の所有物だよね』派だ。

 これは、本部の3分の1以上を占める最大派閥である。最早語るまでもない。今でも支援課の仕事の8割くらいが先生である時点でそう考えるのも無理はない。断わればいいじゃんと思うかもしれないがそれができたら苦労しない…そう今みたいに。

 

 

 

「…はい分かりました。やります」

 だって断れないのは、断われないのだ。子どもが何だかんだで親に逆らえないのと一緒である。

 

 ただ先生は何故か微笑んでいる…何この人ってSなの?

 そう思っていると違うようで

「この量を4日で仕上げるのも無理だから、手伝ってもらうようには言ってあるわよ…私もこれ一人でやれっていうほど鬼ではないわ」

 そう言う先生。ほうほう、頼んでもいるのか、ならできなくないな。流石姉御良く分かってらっしゃる。

 

「ちなみに誰なんですか?」

 新入隊員のオリエンテーションで忙しいなら嵐山隊も無理だろうし。他に僕が気兼ねなくこういう問題ないことを頼めるのは…。後一応太刀川さんの始末書もあって…ん?

 

「そういうことよ」

 先生はこちらを見てそう言う。

 

「太刀川隊…ですか?」

「ええ」

 先生までニヤニヤするのやめません?それにそういうの職権乱用じゃないんですかね。まあ嬉しいですけど。

 

「さて…それじゃ頑張りなさい」

 ソファから立ち上がり僕の右肩を叩いて、通り過ぎ支援課室から出ていこうとする先生。

 

 うん、お礼を言わなくてわ。

 

「先生も忍田h「はじめ」…なんでもないです、はい」

 先生わざわざこちらをちら見して、半目で睨まないで怖いよ!!

 

「…それじゃ。その仕事よろしくね」

「…はい。後で先生のところに提出しておきます」

 マジで怖かったぜ。

 

 念を押した後、先生は支援課室の扉を閉めて出ていく。

 

 ふう…とりあえず始末書か。連絡してくれてるなら大丈夫だと思いたいけど、どうせ太刀川さん逃げるし、出水先輩に今回頼むのもあれだし…。

 

 いや別に国近先輩とやりたいわけじゃないよ、ほら確かに二人きりで仕事とか憧れるけど、そんなんじゃねーし。すいません、嘘です。めっちゃ嬉しいです、ええ。先生もこんな感じだったわけか…なるほど。これは想像以上に嬉しいわ。

 

 まずは太刀川隊の作戦室だな、よし。

 

 

 

 どうしよう。

 

 

 

 

 

 

 …正座しすぎて立てない。

 

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