戦闘員オペレーターのボーダー記録   作:チビメガネ

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第8話 戦後処理 午後の部 (2)

 

 足の痺れがなくなってから、支度をし始める。手伝ってもらうなら手土産が必要だろうと思いどら焼きだけ買って向かうことにする。

 

 あ、もちろん経費じゃないよ。一度言ってみたいけどね、「○○当てでお願いします」とか。そういうクリーンなイメージは大切なのだ。イメージと第一印象で全てが決まるって根付さんも前言ってた気がするし。

 

 と、まあそんなこんなで30分くらいかかってしまったけど、どうにか太刀川隊作戦室前まで来れた。うんここまでは問題ない。

 

 ただ問題は両手が段ボールのせいで塞がっているのに、どうやって扉を開けるかだ。ちなみに呼んでみたり、足で叩いてみたりしたけど返事がない。ん?どうしてって、そりゃ…

 

 

 

…先輩達は、マ○オパー○。ーをしてるからだ…結構な音量でサイコロの数を決める音が聞こえてくる。ちなみに3だよ。

 

 いや、確かに良いゲームだと思うよ?でも客が分からないくらいの音でやるのはどうかと思いますよ。

 

 

 …あ。段ボールをとりあえず床に置けばいいのか。その発想がなかったよ。

 

 というわけで段ボールを置いて、ノックをして扉を開ける僕。

 

 

「二階堂です。沢村先生から連絡あったと思いますが仕事を頼みたくて来ました」

 その視線の先には太刀川隊の先輩達…と宇佐美先輩。何で先輩がいるんですかね?

 

「あっ、はじめくん。こんにちはー。とりあえずあっちに座っといてね」

「はじめじゃん。どうしたの…って仕事か。お疲れさん」

「おー、一か…おい、宇佐美。俺のスターを取るな」

「午前振りだね、かいどー君…太刀川さん、テ○避けス○レー持ってないのが悪いですよ」

 

「…どうも」

 だから何ナチュラルに宇佐美先輩がいるんですかね。あれれー僕の幻覚かな、違うよな。

 

 そんな疑問を解消するように出水先輩が言ってくれる。

「今日さ、唯我のやつ用あるらしっくって。それで柚宇さんにCOM一人入れてやるって?って聞いたら、宇佐美が今日暇らしいって聞きつけて…」

「お呼ばれしちゃったんだ」

 親指を立ててこちらを見てくる宇佐美先輩。

 

 なるほど…というか防衛任務ないのに暇だから全員で集まってゲームしようってどんでけ仲良いのよ。いや、別に嫉妬じゃねくてね。うん、本当に国近先輩が楽しそうにしてるのはいいことだからね。

 

 ただその、羨ましいなって…嫉妬やん。

 

 と、あまりの仲の良さに絶対使い方を間違えてるエセ関西弁が、心の中で出たところで国近先輩からフォローが入る。

 

「はじめくん、ちょっと待っててね。後5ターンで終わるから。そしたら、はじめくんも入れて交代でミニゲームのモードしようねー」

「…はい」

 いやその仕事をしないと、それ終わってからにしましょう…ね。

 

 僕のその歯切れの悪さを先輩は間違えて捉えてしまったようで

「このゲーム嫌だった…かな?」

 えっと、その。そういう意味じゃなくてですね。違うからそんな顔しないで、欲しいです。断わろうとしてるわけではなくてですね…おい、そこ3人。分かってる癖して、うわぁ―最低とか言わないでくださいよ、くそっ。

 

「いや、その…やりたいです。はい!!」

元気よく答える僕…だから、そこの3人。いちいちニヤニヤすんな。だって仕方ないじゃん…重症?知るか、そんなの。

 

 

 そんなやり取りを僕達がしてるなか、国近先輩はというと

 

「はじめくんは、2しか認めないのかと思ったよー。危ない、危ない」

 予想の斜め上を行く思い違いをしていたようだ。

 

 

 

 えっと、何?

 つまり、あそこで『3は嫌です』と言ったとしても

 

「じゃあ2しよっか。はじめくんは、こっちがご所望なんだもんね」

 

 となって結局、仕事はせずにゲームをすることになっていたわけですね。

 

 本当にこの人大丈夫なんだろうか。もっとほらちゃんとすべきなんじゃなかろうか…確かに僕が言えたことではないだろうけど。

 

 

 

 そんなことを考えていると国近先輩は、こちらを見てくる。

 

 最近思うんだけど、僕って顔に出やすいのかね。隠す意志があるときは平気みたいなんだけど。とりあえず、これはバレたな。

 

 先輩は自分のターンがきっちり終わってから立ち上がってこっちに来る。

 

「何か悪いこと考えてたな~。年上に対する態度じゃないと、お姉さんは思うな」

 僕の隣に座り、人差し指で僕の頬を押し込んだり、上下に動かしたりしてくる国近先輩。

 

 近くで見ると余計に可愛い…のはこの際置いておく。

 ついでに言うと、近いせいで先輩のいい匂いがするのもこの際置いておく。

 

 いや、僕的に凄く重要なことであるわけなんだけど、先輩的にまずいことが今ゲーム内で起こっている。

 

 

 それは、なんと。宇佐美先輩が国近先輩のス○ーを某オバケが奪っているのだ。

国近先輩のス○レーは、さっき太刀川さんがアイテム奪えるやつで奪ったのでない…絶対宇佐美先輩待ってたな。

だって太刀川さん奪えることに楽しみを見出しているだけで特に何かしてるわけじゃないし。

 

流石は風間隊元オペレーター。隠れて、いやらしいことしやがるぜ。

 

 僕が遠目であっちを見てることに気づく先輩。

「はじめくん。どうしたの?何かあった…の」

 そして、先輩もついに事態に気づく。結構しまったって感じの顔してるよ。どんな顔しても可愛いのはずるいと僕は思うな!!

 

 そして、宇佐美先輩はこちらを向いて、メガネをクイッと上げる。

「柚宇さん、悪いね。残り2ターンで勝たせてもらうよ」

「ほうほう。わたしに喧嘩売るとは栞ちゃんも成長したね」

「お褒めに預かり光栄です」

 この2人も大概仲良いよな。

 

あっちに戻ると、ガチ戦闘モードに移行する国近先輩。何が変わるって凄く真剣な顔になる。要するにもっと可愛くなる。やだ、僕気持ち悪い!!

 

 

現時点で、スターの数では宇佐美先輩と国近先輩が同率、そして、出水先輩と太刀川さんが同率で1個の順である。

 

 ラストターンであるがこのゲームは○○スターがあるので同率でも関係ない。勝ち越せるわけだ。そして最後のターンのミニゲームに入る。最後は2vs2のようだ。

 

 出水先輩&宇佐美先輩vs太刀川さん&国近先輩である。

 

 始まるのかなと思ったら国近先輩が後ろを向く。

「太刀川さん、ごめん。このミニゲームは確実に勝たなければいけないから、はじめくんと変わってもらっていい?」

「なるほど…だってさ、一」

 少し二ヤついた感じでこっちを向く太刀川さん。

 

 …誰も国近先輩が全員のミニゲーム勝利数を覚えてる件については突っ込まないのね。

 

 

「じゃあ、はじめくん勝つよ!!」

「はい!!」

 僕達の最終ゲームが始まる。

 

 

 

 

 

 

「はじめくん。もうちょい軽くでいいよー」

「は、はい」

 今、僕は国近先輩の肩を揉んでいる。

 

 

 いや、あのミニゲームはちゃんと勝ったよ?国近先輩がきちんと一位で幕を閉じたよ。

 

 うん、まあ僕的には先輩がきちんと勝ったことよりも、先輩が切迫した中で2vs2を勝った時にやったねと言った笑顔の方が覚えてるわけだけど。

 

 え…その後?えっと、その。うん先輩があまりの嬉しさに少し抱き着いてきたとか…先輩もすぐ離れたけど。何か色々覚えてない。

 

でも、先輩の「何かごめん…ね」が聞けて良かったよ。キモイ?知ってる。

 

 

 とそんな雰囲気であったので、

 

出水先輩は米屋んとこ行くわ―と三輪隊に行き、

宇佐美先輩はもう一度玉狛に行き、

太刀川さんは仕事が面倒だから逃げていった。

 

一名逃げたな、まあいいか。

 

まあそんな感じで結局国近先輩と二人きりで仕事をすることになったわけである。

 

「そこいいかもー。やっぱり男の子だねー。わたしより力強いね」

 笑いながらそう言ってくる先輩。

 

「人の肩とかあんまり揉んだことないんで、力加減とかよく分からないですけど、こんなもんでいいですか?」

「うん、ちょうどいいよー」

「そうですか」

 その後、ゲームやって疲れたからちょっと肩揉んでと言われて現在に至るわけである。

 

「おー。いい感じ、いい感じ」

「そう言ってくれると嬉しいですね」

「お金払いたいくらいだよー」

 

「マジっすか」

「マジっす」

 そういう免許でもとってボーダー内でやろっかな。ほらお金取れるし、いいんでね?

 

 というか、今思ったら年頃の男女が二人っきりで、しかも男が肩揉んでるって中々に危ない絵なんじゃないだろうか…。いや別に変な気とかは起きないけどさ。

 

 女性の方が、あーとかいい感じーとか言ってる間はいいのか?まあ先輩から言い始めたからいいのか。

 

「あー。ありがと、はじめくん。もういいよー」

「はい」

 先輩は上に手をやり、背筋を伸ばす。そして、後ろを向く先輩。

 

「ん。ありがとうございます」

 頭を下げる先輩。

 

「いえいえ。こんなんで良ければ」

 そう言って僕も頭を下げる。

 

「よし、じゃあ。次は、わたしがやってあげよう」

「え?いや別に僕は良いですよ、はい」

 …何かやるのと、やってもらうのって恥ずかしさが違くない?僕だけ?そ、そうっすか。

 

「まあまあ、はい後ろ向いてー」

「は、はい」

 観念して肩を揉まれる僕。

 

「やっぱり、男の子なんだね。肩幅とか違うねー」

「そう…ですかね」

「うん」

 そう言いながら肩を揉み始める先輩…やっぱこっちの方が恥ずかしい。

 

「凝ってるねー」

「そうですかね?特に気にしたことはないんですけど」

「わたしのゲームばっかりしてる肩とは大違いだよー」

 自覚あったならもう少し自重してくださいよ。ほらあれですよ、ゲームばっかしてる女の子もどうかと思いますよ。

 

 …痛い。

 

「ん~。何か言ったかな」

「すいません、何も言ってないです」

「よろしい」

 どんだけゲーム好きなのよ、ねえ…痛い、すいません。

 

「いやでもオペレーターの仕事量よりも大したことないと思いますけど」

「そうかなー。ほらわたしの隊は、緩いからさ」

 自分で言わないでくださいよ?

 

 まあ確かに

 太刀川さん 戦闘バカ

 出水先輩 弾バカ

 唯我先輩はまああれだ…残念?

 それで、国近先輩がぁぁぁ…痛いです、すいません許して。

 

「まあそれでもですよ…痛い」

「うーん。慣れたらそうでもないけどねー」

「蓄積するもんですよ」

 ふむふむと言いながら、肩を揉む先輩。

 

「わたしはゲームで息抜きしてるからねー」

「はぁ…」

 ストレスを溜めないってのは重要かな…。

 

「…ありがとうございます。もういいです」

「あれ?もういいの?」

 心配そうな顔してくれるのはありがたいですけど、心臓に悪いです。主に恥ずかしくて…。

 

 

「よし。じゃあ、やろっか」

「はい」

 ようやく仕事を始める僕達。

 

 

「これは、これでいいんだよね」

「はい。それでいいと思います」

 新入隊員のオリエンテーションってこういうことすんのね?

 

 

「これはこれで大丈夫ですよね?」

「うん。大丈夫だと思うよ」

 なるほどね…次。

 

 

 

 とそんなこんなで2時間くらいが過ぎ…。

 

 

「はじめくん。これで大丈夫だよね」

「はい。えっと…」

 確認をするために近い位置まで近寄っていた僕達。

とそこへ…

 

「そろそろ終わったかし…ら」

 ノックをして入ってくる響子先生。

 

「すいません。まだ半分も届きそうにないで…す」

 そこで国近先輩との距離を再確認した僕。

 

 先輩は?マークだったけど…。

 

 僕は慌てて先輩との距離を取る…真面目な雰囲気でそのままきてしまったからな。今思うと凄く密着してたとこが数えられないくらいあったわ。

 

 ヤバい、今更ながら恥ずかしくなってきたぞ…。

 

 その僕の態度を見て悟った先生は

 

「今日は半分でいいから、終わったら、一だけでいいから来なさい。国近さんも今日は付き合ってくれてありがとう。明日からはこの子一人でやるから」

「了解です」

 そう言って出ていく。

 

「よし、じゃあ今日の分終わらせよっか」

「は、はい」

 

 

 

 その後今日のことを先生に報告させられたのは別の話。

 

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