ゆめものがたり〜絆〜   作:火炎桜

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ゆめものがたり。黄金の稲穂〜神と民〜

神とは頂点。

神とは絶対。

人を治め。

人の国を創る。

人は神に信仰することで

神を支えてきたのだ。

 

 

「『諏訪様』。今年も貴方様のおかげで豊作でした。これは我々からのお礼でございます。来年も何卒宜しくお願いします。」

 

「ふむ、よきにはからおうぞ。」

 

「ありがとうございます。」

 

民衆が頭を下げている者。それは『諏訪様』と呼ばれる神。

『諏訪様』がいるから、国が創られた。人が生きていける。それを疑問に思うものなどいなかった。

 

「礼などよい。」

 

その一言を聞くと民衆は一斉に頭をあげ、『諏訪様』のいる御殿から出ていった。

 

『諏訪様』は皆が居なくなるのを確認すると小さなため息をついた

 

「そうそろ、『神』としてではなく『人』として話してもらいたいものだ…」

 

『諏訪様』がこの国を創ったのは数百年前。

いまだに『人』と『神』のみぞは縮まらない。

当たり前なのだろうか。

いいや違う

『神』は人の信仰無くしては生きていけないはずなのだから。

 

「…国の様子でも見てくるか。」

『諏訪様』は立ち上がり、御殿を出る。

 

御殿の外に広がるは『黄金の稲穂』。

それを刈り取る民衆。

 

『諏訪様』が近づくと民衆達は皆刈り取るのをやめ、頭を下げてくる。

あまり気持ちの良いものではなかった。

仕事の妨害をしているのは私ではないかといつも思ってしまうからだ。

 

「仕事を続けよ。私に頭を下げなくても良い。」

 

「こ、これは失礼致しました。」

そう言うとせっせと『黄金の稲穂』を刈り取る作業を始める。

しかしどこかぎこちない。

 

そんなことを思いつつ見ているといつの間にか日は沈み、月が出ていた。

 

綺麗な満月であった。

『諏訪様』は御殿に帰っていると

どこからか、カーン、カーン。という音が聞こえる。

 

不思議に思い『諏訪様』は音の方へ足を運んだ。

 

どうやら道具屋から音はしているようだ。

 

邪魔をしないように扉を少しあけ、中を見る。

 

 

『諏訪様』の目にはいったもの。

それは真っ赤になっている物体。

道具屋の男はその物体を見たことのない物で叩いているのだ。

 

「失礼する。道具屋。それはなんだ?」

『諏訪様』は物体への好奇心に勝てず、質問をした。

 

道具屋の男は『諏訪様』がいることにびっくりし、すかさず頭を下げた。

「『諏訪様』失礼しました。いらっしゃるとは気づかなかったもので…」

 

「いや、こちらこそ邪魔して悪かったな。その真っ赤な物体はなんだ?」

 

「『鉄』の事でございますか?」

 

「『鉄』とな?…」

 

「はい。『鉄』でございます。大和の国より伝えられた物でございます。鉄をあたため、打ち付けることでとてつもない強度を持つ工具が作れますので…」

 

「…そうか。『鉄』は武器には使えぬか?」

 

「武器ですか…1つほど作って見たのですが重量がどうしても…」

男は『剣』と呼ばれる武器を取り出した。

 

「…そうか……武器には使えぬか…」

 

「申し訳ございません。」

 

「…そうだ。この『剣』とやらを小さくすることはできぬのか?」

 

「薄く伸ばせばできると思われますが…」

 

「1つ作ってはくれぬか?」

 

「わかりました。明日御殿に持っていきますので。」

 

「よい。私がここへ来よう。」

そう言うと『諏訪様』は道具屋をあとにした。

 

 

カーン、カーン。と聞こえてくる『鉄』を打つ音。

『諏訪様』は道具屋へと足を運んだ。

 

 

 

「『諏訪様』、これでよろしいでしょうか?」

そう言い男が取り出したものはどこか神々しく、綺麗だった。

 

「…これならば重量も大丈夫であろう。しかし短くなるな。」

『諏訪様』は『短剣』をじっーと見つめていた。

 

「そうです。武器として役に立つものかはわかりません。」

 

『諏訪様』は『鉄』でできた輪を見つけた。

かなりの大きさの物だ。

 

「あれはなんだ?」

 

「『鉄の輪』でございますか?あれは国の平和のためにと作ったものでございます。」

 

「…そうか。国の四方に配置したいのだが…よいか?」

 

「はい!よろこんで!」

男の顔に笑顔ででき、

こちらも笑顔になってしまう。

 

そうして『鉄の輪』は国の四方へ配置された。

 

この日をさかいに『人』と『神』とのみぞは急速に縮まる。

これも『鉄の輪』の効力なのだろうか?

嬉しいものであった。

 

田を見に行く度に民衆は頭を下げてくるが前とは違いどこか生き生きしたものになっていた。

 

 

そして数年の時が過ぎた。

その頃になると『人』と『神』のみぞはなくなっていたが、周りの国は戦争が始まっていた。

何度かこの国にも攻め込んでくる国はあったが『諏訪様』

が『短剣』、『鉄の輪』を使用しすべて追い返していた

 

「『諏訪様』なぜ私達には戦わせてくれないのですか!!私達もこの国の役に立ちとうございます!」

 

「…もし、もしもだぞ?親失う子が出てしまったらどうする?悲しいであろう?だから戦わせないのだ。」

 

「し、しかし『諏訪様』をを失うことは皆が親を失うのと同じことです!」

 

「私は死なない。お前達の信仰がある限りな。」

その言葉を言う時の『諏訪様』は民衆の心をどこか動かすものであった。

 

「わ、わかりました。」

そう言うと民衆は御殿を出ていった。

 

 

 

「ふふふ、私達は『鉄の輪』で繋がっているのだ。心配はいらない…」

小さな声で『諏訪様』は呟いた。

 

またまた数年が過ぎ、『黄金の稲穂』のなる時期になった。

この頃になると『大和国』がほとんどの国を制圧し、戦争は少なくなっていた。

 

良い天気の日であった。

民衆の『黄金の稲穂』を刈り取る姿を見るために御殿の外へ出た。

 

「『諏訪様』。今年も豊作をありがとうございます。」

 

色々なところから声がかかる。

『諏訪様』にとってこれはとても嬉しいことであった。

 

しかしそんな平和な日常もあっけなく壊されてしまう。

 

ドーン

 

国を囲っている柵を1人の『神』が破壊したのである。

 

「この国の『神』をだしな!私は人間にはようはないよ!」

民衆は黙り込んだ

「…ほう。教える気はないようだね。…絆ってやつか?」

 

『黄金の稲穂』の中を『諏訪様』をめがけて一直線に歩いていく『訪問者』。

 

「アンタだろ?『諏訪様』。」

「……そうだ。」

 

 

『黄金の稲穂』の中で睨みあう二人の『神』

心配そうに見つめる民衆

少しの間沈黙が訪れる。

 

 

 

その沈黙を破った者、それは『諏訪様』

 

「『大和国の神』がなんのようだ?この国を侵略にでもきたのか?」

 

「上からの命令はそうだねぇ。しかし私は『諏訪様』のいる国と聞いてやってきたのさ。弱い国ならば断っていただろう。」

 

「『大和国の神』にこの国は渡す気はない!傷つく前に立ち去れ!」

 

「大和国、大和国うるさいねぇ。確かに今は『大和国の神』だけどねぇ。前は強い奴を探して放浪していた『神』さ。強い国にいれば強い奴とも戦えるだろ?」

 

「!?」

 

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