なんというべきか正直言って作者はイケメ……女の子の思考回路はわかんないのでちょっとうまくかけた気がしません。
その時、その瞬間、なぜどうしてと問いかけた。
――――どうして運命は広い世界の中で、私をこの場所に導いたの? と。
その理由はきっと、その瞬間にはわかっていた。
その日はお兄ちゃんが休日だといっていた日。
丁度私の大好きなアーティストで、この学校リディアン音楽院の三年生の翼さんの新曲が入ったCDの発売日だった。
平日なのに休みだとかちょっとズルいとか思うけどお兄ちゃんはもう働いてるし私がリディアンで何か問題を起こすといっつも助けてくれたんだから今日くらいゆっくり休んで欲しいなぁとか思いつつ、先生に怒られたりしながら放課後を待ち遠しく学校生活を満喫してた。
だけど放課後、一緒に買いに行ってくれると言ってくれた未来は学校で出されたレポートを放課後内に片付けるらしく、ちょっとだけ居残りを始めたの。
私としては退屈だったけど普段迷惑かけてる未来が残るなら待とうかなぁって思って一緒に机に向かって――――5分ぐらいで私は宿題を放棄してた。
ダメじゃんと未来に目線で呆れられるけど寮に帰ったらするから大丈夫と机の上でだらけること10分。
暇が過ぎて未来に何度目になるかわからない問いかけをした。
「ねぇ未来ぅ、まだ終わんないのー?」
「もう少しで一段落、かな。 でも響――――私を待っていいの? CDなんでしょ?」
「ん、CDだと色々特典付くからねぇ。 ダウンロード販売とは違うんだよっ!」
「いやだから――――」
わかってないなぁとバカな子を見る目を向ける未来に疑問符を返す。
帰ってくる言葉はのんびりとしていた私には冷や水だった。
「CDって個数に限りがあるでしょ? 翼さんは人気なんだし売り切れちゃうんじゃ?」
「……あ」
そう言えばそうだ。
ダウンロードの曲は手っ取り早いし直ぐ楽しめるけど特典とかがない。
CDには確かに特典とかつくけどその分在庫も限りがある。
そんな単純な事を見落としてた。
「どどど、どうしよっ!?」
「はぁ……仕方ないなぁ……行ってきたら? 私は終わったら帰ってるから」
「え……でも、いいの?」
「大丈夫、そこでそわそわされても集中できないし、ぽやぽやしてると売り切れちゃうよ?」
少し迷ったけどずばっと此処に残らなくても大丈夫と言い切って、早く買いに行ってと背中を押してくれる未来の言葉に甘えて、私は鞄を持って駆けだした。
リディアンの近くのコンビニは他のリディアンの生徒が買ってるだろうから少し遠め、街外れの工業地帯の方にあるコンビニ目指して全速力で、待ちきれないと走った。
「CD、シーディ、しーでぃーっと!」
口ずさみながらまだ早く落ちちゃうお日様が落ちる前にと夕方の明かりの中を駆け抜ける。 五分、十分と掛かってようやく目当てのコンビニが見えたから少し速度を落として呼吸を整えつつ早歩きで動いて。
曲がり角を曲がってすぐ、コンビニの入り口に入ろうとして――――――ソレを見た。
それは灰。
それは炭素の塊。
それは崩れ落ちた服。
そして———それは極彩色の異形。
「――――っえ?」
想定外予想外も良い所。
だってそいつらは―――一生に一度殺人鬼に遭う程度の確率でしか会えないはずの特異指定災害と、その被害者の爪痕だったんだから。
『――――――――――――』
「――――――っ!」
雑音が響く。
同時に身体が機能を取り戻して、手に持っていた鞄を放り投げて横を向いて駆け出した。
直後私と同じ位のサイズのノイズが私がいた場所に突進をする姿を見て肝を冷やす。
―――アレに当たったら死んじゃう。
その恐怖を、現実を私は知ってるから、本能が生きるためにあまり物覚えが良くない頭の中に叩き込んだ避難地図を一瞬で思い出して、シェルターへの近道を思い出して直ぐに駆けだした。
思い出したかのように鳴り響くノイズ出現の警報。
「―――っ! 一足遅いよッ!」
そんな悪態を漏らしながらノイズに気を付けつつ道を駆けようとして――――子供の鳴き声を聞いた。
「お母さん……どこぉ……」
「子供っ!? しかも迷子ってッ!!」
―――ああ、もう。 タイミングを弁えなさすぎる!
平時なら一緒にお母さんを探してあげる所だけど今はそんな余裕はない。
急いで辺りを見渡して、路地のちょっと奥にいるのを発見して腕を伸ばす。
「一緒に逃げるよっ! このままじゃ危ないっ!」
反応を聞かずに腕を掴み、振り向いた所で、どうにもならなくなると知った。
私が入った路地の入口は既にノイズの姿があって、必然奥に逃げ込まなきゃいけなかった。
「ああ、もうッ! 私ってホント呪われてるかもっ!」
そんな言葉を吐き出しながらもノイズから逃げ、生きるために走り出すしかなかった。
どれぐらい走ったのかわからないくらい走った、逃げた、諦めずに必死に道を探した。
時には川に飛び込んだりしながら、それでもその子供の腕だけは離さずに、繋いだ腕は絶対に離さないで逃げ続けた。
――――でもノイズは追いかけ続けてきた。
数分で走れなくなった子供を背に抱えなおしてから再び走る。
正直に言って普通の女子高校生でしかない私はその時すでに息が、呼吸が続かなくなり始めたけど、我慢して走り続けた。
人間の体は生きるためのときに最大限力をはっきりするというのは本当だったようで平時では考えられないくらいの速さで路地を駆け抜け、ノイズの攻撃を避ける。
だけど、ノイズがいた方向に行くのは無理だったから慣れない路地裏をどうにか駆け抜けて出た先の道路は最悪なことにシェルターから離れた方向だった。
だけど、それでもすぐにまた走り出す。
ノイズは時間経過で自壊するからそれまで頑張って逃げ続ければどうにかなるから頑張って、逃げ続けて、気が付けば少し遠目に見えて居た其処、よくわかんない工場みたいな場所の中を突っ切って逃げたいた。
――――それでも、しかし、ノイズは追いかけ続けてきた。
命がかかっているとはいえこんなに長時間全力で走るのは初めてで、途中足が挫けそうになりながら、それでも走った。
普通なら無理だったかもしれないけど今このとき、私の背中には子供の命がある、この腕には子供の命が掛かっている。
それが私の足を止めるという選択肢をないと言っている。
だから必死に体を動かし続け、逃げ続けて―――気が付けばそこの工場の建物の屋上にたどり着いてようやくノイズを巻けたと一息を着いた。
「はぁ……はぁ……っあ、はぁッ!」
その屋上に何とか登り着いて、走り終えたと感じた時に足が縺れて自然と崩れ落ちた。
ノイズは近くにいない、このまま見つからなければ自壊時間が来て生きられる、工場の人には怒られちゃうかもしれないけどそこは謝れば多分きっとどうにかなるし不可抗力だから今は気にしない。
それよりも―――――。
「お姉ちゃん……わたしたちしんじゃうの……?」
怯えた様子でそう言うこの子が、背負ってきた女の子の方が大切だった。
生きられないんじゃないか、もう無理なんじゃないかって諦めようとしているこの子が。
ノイズの災害とその被害について理解してるんだろう、だからこんな小さな、私の腰位に小さいけれどこの子は知っているからそう思ったんだろう。
生きることを諦めようとしていたんだろう。
「―――――っ、お姉ちゃん?」
だから私は抱きしめた。
何も言わないで、お兄ちゃんがしてくれたように背中をゆっくりと撫でて、
「大丈夫、絶対に何とかするから」
そう言って撫で続ける。
辛いとき、不安な時にはそうすれば落ち着けるとお兄ちゃんが教えてくれたから。
不安が収まったのかその子が力を抜いたのを感じて、とりあえず今どうなっているのかと顔を上げて振り返って―――心が急速に冷えるような、冷や水を浴びせられたような気分になった。
「そんな—————」
ついさっきまで私たち二人しかいなかった屋上。
いま目の前、建物の屋上には、そこには色があった、音があった、雑音があった、化け物しか見えなかった。
私達の周りはもう、それしかいなかった。
「――――っノイズッッ!」
再び身体が硬くなるような気がした。
その子を強く、体の内側へと抱きしめて、少しだけ後ずさりして、でも後ろはフェンスも何もない只の空で、正真正銘の八方塞四面楚歌。
「お、お姉ちゃん……」
「――――大丈夫」
―――――諦めることは出来ない。
震えるその子を抱きしめる前から、走っているときからずっと私は諦めるという選択肢を捨て続けていた。
否、初めからそんな選択肢なかった。
「絶対、何とかするから」
諦めなければ何とかなる、諦めなければどうにかなる。
諦めなければきっと何とか、どうにかなると信じてる。
私は馬鹿だけど、馬鹿だから最後まで諦めちゃいけない。
出来ない、不可能なんて思っちゃいけないんだ。
――――そう、二年前にそう思ったから、誓ったんだから。
お兄ちゃんに庇われて、お兄ちゃんが自分を見捨てろと言ったときに私自身が言った言葉を私は忘れてない、最後まで足掻く。
――――生きるのを、絶対に諦めちゃいけない。
奏さんに救われたこの命を無駄にしちゃいけないんだから。
あの時奏さんに言われた言葉は今も胸に灯っている、忘れていない、だから今、
―――――その言葉を借りることに戸惑いなんてきっとない。
「生きるのを――――諦めないでッ!」
『生きるのを諦めるなっ!』
――――その言葉に籠められた思いは言葉通りにシンプルで単純な祈り。
生きるための道を最後まで諦めない――――だから私は、
『
きっとその時生きるための力を渇望した。
そしてそれは、きっと無意識に歌になってこぼれ出していた。
私の胸から音が響き、その先を目指して今、その欠片が胎動した。
オレンジ色の輝きを伴って空に一条の光の柱を作って私の身体を包んでいく。
それは穏やかで優しい色だけど―――――激痛を伴っていた。
「―――――あ、が……っはぁっ!?」
光の柱の光の幕に包まれて、私の身体が只の人の身から作り変えられていく。
それは髪とか、筋肉とかそう言うレベルではなく、骨髄の隅から隅まで、全身くまなく細胞一片血の一滴にわたる全てが決定的に違う何かに切り替わっていった。
ほんの数瞬の激痛と共に作り変えられた身体は気付けば制服をどっかにやってしまい、どこかで見たことがある様な装束に着替えていた。
それは白とオレンジ、そして黒のボディースーツに身を包んで、両手両足にはよくわからない機械が手甲脚甲として着いている。
その時、その瞬間。
よくわからないけれど答えを得た気がした。
―――なんで私、ノイズに襲われてこんなところに来ちゃったのかな?
その疑問に対する答えをたった今、手に入れたのだと思った。
そう――――この姿が、この力が答えなのだと。
《撃槍・ガングニール》
胸の鼓動の奥から響く歌がある。
それはこの力は私の力だと強く囁いていた。
ずっと望んでいた、力だと理解した。
「――――――キヒッ」
だから私は、その時はきっと無意識に、気付かなかったけれど――――哂っていた。
意見、感想、何かあったら送っていただけると助かります。