友情、努力、勝利!!よりエロ、おっぱい、勝利!!な気がする 作:ニュイン
それは、万華鏡の様に形を変える綺麗な欠片だと。
1人の大人は複雑な表情で答える。
それは、玉虫色の様に曖昧なものだと。
1人の老人は遠くを見つめて呟く。
そんなものより明日の天気を予想した方が有意義だと。
※今話からオリ主の過去偏です。
「・・・い・・ろ・・」
人の声が聞こえる。いや、音といっても過言じゃない。だがそれは、次第に大きくなりはっきりと聞き取れていく。
「おい!しっかりしろ!」
重い瞼をゆっくりと開けていくと、視界いっぱいに見知らぬ女性の顔が映る。
「大丈夫か?」
見知らぬ女性は目尻を下げ、心配そうな声音で聞いてくる。
「うん・・大丈夫・・・」
身体に痛みを感じたが、精一杯自分は大丈夫だと返答すると女性は安心した様に小さく溜め息を溢す。
「おい月!!ガキの安否が確認できたらこっちを手伝いやがれ!!」
見知らぬ女性の後方から巫女衣装に身を包んだ女性が怒声を飛ばす。
『■■■■■■■■■■!!!!!!!!!』
すると突然、森の奥から人?いや、人間とは形容しがたい何か赤黒い何かが現れる。
「チィ!!もう拘束を解きやがったか!!」
「蓮花!!援護するさね!!」
月と呼ばれた女性が神社などで見かけるお札の様な物を懐から取り出す。
「《符術》”鬼呪縛鎖”」
月は、お札を赤黒い者のに向かって投げる。すると、お札は赤黒い者の身体に当たると白く透明な鎖になり、拘束する様に身体に巻きつく。
「ナイスだ月!!テメェにゃ可哀想だが滅殺させてもらうぜ!!」
蓮花と呼ばれた巫女衣装の女性は、手と手を胸の前にもっていき”合掌”のポーズをすると、一瞬にして赤黒い者の前に移動した。赤黒い者は自分の領域に入った侵入者を排除しようと右腕を横薙ぎに振るうが、蓮花はそれを身を屈め避ける。そして、合掌のポーズから左腕を赤黒い者へ伸ばし手のひらを触れさせ、右腕は後ろへ引き絞る様に構える。
「《巫流拳術・真極》”崩月一閃”」
先ほど後ろへ引いていた右腕を、弓から放たれた矢のように真っ直ぐ赤黒い者の腹部へと叩き込む。拳が腹に突き刺さり赤黒い者は後方へと吹き飛ばされた後、岩へと激突する。
「ふぅ。終わった、終わった」
蓮花は、身体を解すとこちらに向かって歩いてくる。その様子を僕は、幼い頭ながら何てヒーローみたいなんだと場違いなことを考えていた。何故、自分は木に囲まれた森の中にいるんだとか、あの赤黒い者は一体?そして、この人達は誰なんだろう?という考えは思い浮かぶことは沢山あったはずなのに・・・。
「おい、クソガキ。ここで何があったか分かるか?」
「蓮花、もう少し優しく聞いてあげるさね」
蓮花は膝立ちでこちらの顔を覗き込むように問いかけてくるが、月は蓮花の子供に対する口調を咎める。
「仕方ねぇだろ?突然、”鬼化”した人間が出現するなんて前例が無いわけだしよ」
「そうさね。”人と鬼は表裏一体”とは言うけど予兆無しで、いきなり鬼化するとはね・・・」
暫く2人だけで何か話していたが、蓮花が真剣な面持ちで再度聞いてくる。
「ここで起きたことは、何も覚えてねぇのか?」
「お姉さん達は何なの?」
今の現状に混乱していた僕は、的外れな返答をしてしまった。
「あぁ!?んなことよりも・・」
「だから落ち着くさね蓮花。幼い子供にとって素性の知れない者は怖いもんだよ」
「チッ・・。あたしは神無月蓮花だ、そんでこいつは・・」
「朝倉月さね。よろしくね」
巫女衣装の女性が神無月蓮花(カンナヅキ レンカ)、コートの女性が朝倉月(アサクラ ユエ)というらしい。
「何、黙ってやがる。自己紹介されたら自分もするのは常識だ」
「あ、えっと僕の名前は無動裕也・・です・・」
少し凄まれて驚いたが何とか自分の名前は言えた。最後の方はか細くなってしまったが・・。
「無動裕也か・・。じゃあ裕也、もう一度聞くぞ・・ここで何があった?」
蓮花にそう聞かれ思い出そうする。だが何故か思い出せない。いや、思い出せないのではなく思い出させてはいけないともう1人の自分がストップをかけているのだ。確かに録画していたはずの記憶は、再生されていたのだが映像や音は無くただ再生されているという事実だけしか分からない。
「ゆ・・うや・・・く・・ん・・・」
何度も何度も繰り返し、記憶というビデオを見ようと必死になっていたところ何か聞き覚えのある声が聞こえ辺りをきょろ、きょろと探すと岩に寄りかかった女性が眼に入る。肩まで伸びた黒髪。少し垂れ目がちな優しい瞳。首には四つ葉のクローバーのネックレス。見覚えがあった、だってその人は・・・。
「お・・母さん・・」
”お母さん”。そう呟いて何かがガチッと音を立てる。それはスイッチの役割だったのか、先ほどまで正しく再生できていなかったのが嘘のように鮮明に映し出される。
「あ、あぁ、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
一瞬にして思い出す記憶に頭がどうにかなりそうになる。だが、もう1人の自分は何故か冷静に現状を把握する。
「確か、お父さんとお母さん、それと親戚の人達と旅行に来てて・・。そこで知り合った栗色の髪をした女の子と遊んでて・・・。女の子と別れた後、皆のところに戻ったらお母さんがいきなり蹲くまって・・・・。それから、それから、それから・・・」
「おい!!落ち着け!!一体どうした!?」
月に肩を何度も激しく揺すられて、ビデオの再生が停止する。
「ぼ、僕は・・・僕は・・・」
「ゆ、うやくん・・・」
鎖で拘束されているが、唯一自由な右手を僕へと必死に伸ばそうとするお母さんが視界に入る。僕は、ふらふらと覚束ない足取りで近づいていく。
「な!?馬鹿野郎!!」
誰かの制止する声が聞こえるが、関係ない。
「お母さん、大丈夫?僕は、ここだよ?」
何回か転びそうになりながらも、距離はそこまで離れておらず母親の下へ辿り着く。そこでやっと気づくことがあった。先ほど白く透明な鎖は赤黒く変色しており、母親の身体は一部ノイズのように何か所々が壊れている。
「ゆうや・・くん・・」
「お、お母さん!!」
お母さんの右手を掴もうと両手で包みこもうと伸ばす。が、それは何かに身体を後ろへと引っ張られ伸ばした両手は虚しく空を切る。何事かと上を見上げると、さっきの巫女衣装が僕の襟を掴んでこちらを睨み付けていた。
「これだからガキは嫌なんだよ。もう”ソレ”はテメェの母親じゃねぇ」
蓮花の言葉に促され、何度か瞬きをして自分の母親の姿を確認すると下半身がノイズだらけで殆どが消えていた。
「な、何・・これ・・」
「ソイツは鬼という自分の心に潜む欲望に負けた弱者だ。それに初期段階の鬼化だったらまだ救えたが、段階が既に最終の”転成域”に入ってる。まだ、2段階の”寄生域”だったら何とかなったんだけどよ」
「え?じゃ、じゃあお母さんは・・」
「もう助からねぇよ。見ろ、そろそろ始まるぞ」
ノイズだらけだったお母さんの身体は、胸を中心に何かに吸い込まれるように消えていく。
「お、お母さん!!お母さん!!」
必死に手を伸ばすが何も掴めない。
「待ってよ!!僕を置いてかないで!!」
「止めとけ、テメェも引きずり込まれるぞ」
蓮花は淡々とした口調で僕の身体を押さえ込む。地面にうつ伏せの状態にされるが身体は止まらない、僕の心がそうさせてはくれない。
「ごめん・・な・・さい・・・」
お母さんは一言”ごめんなさい”、と言って消えてしまった。何がごめんなさいなのか。それは我が子を1人にしてしまう親としての謝罪だったのか、自らの手で傷つけ壊してしまった人達に対する懺悔だったのかは分からない。
「う、うぅぅぅ・・・・・」
先ほど蓮花が押さえ込んでいた手は離れていた。でも僕はうつ伏せの状態から動かず涙を流していた。いや、動かないのではなく動けなかったというのが正しい。両親と親戚を失ってしまったという受け入れたくない現実が、僕の身体に重くのし掛かっていたからかもしれない。
「これは明らかに何者かが無理やり人を鬼に変えた。あたしは、人を人とも思えない外道な行為が一番許せねぇ。でもな、許せないからって何をしてもいい何ていうのは理由にはならねぇし、しちゃならねぇ。」
蓮花の言葉は怒気が孕み、表情を見ずとも顔は怒りに染まっていると予想できる。
「しかしよ。あたしにはその権利がなくてもテメェにはあるだろ?母親を鬼にした奴をぶっ飛ばす権利がよ」
そうだ、その通りだ。許せない。いや、許してなんかやるものか。お母さんを化け物にして皆を殺させた奴を。ソイツに復讐した後で僕もお母さん達の元へ・・・。
「確かにテメェは大切なものを壊されて、怒りが激しく燃え盛って復讐を考えてるかもしれねぇ。失ったデカさで悲しみが渦巻いて死のうとしてるのかもしれねぇ。でもな、そんなことテメェの母親は最期、望んじゃいなかったぞ?」
「お前に。・・お前に何が分かるんだよ!!お母さんの何が分かるっていうんだよ!!」
いつの間にか僕は立ち上がり目の前の女性に声を張り上げ睨んでいた。それはまだ、7歳の子供が現実を受け止めきれない精一杯の抵抗だったのかもしれない。
「じゃあ何で”ごめんなさい”って言ったと思う?」
「え?」
「あたしは、テメェに”生きろ”って言ったと思うけどな」
その言葉で僕は、お母さんが鬼へと化す最後を思い出す。
『ごめんなさい裕也くん。でも、貴方だけは生きて頂戴ね』
確かに言っていた。消えていくあの時に言った”ごめんなさい”という言葉は贖罪でも懺悔でもなく、僕に生きてほしいという願いの言葉だったのだ。
「そうだった・・。お母さんは僕に生きてって言っていんだ・・」
先ほどまでの怒りや悲しみという感情は霧散する。その代わり、自分はこれからどうすればいいのか?という疑問が湧き出てくる。
「おい裕也。これから先、ガキ1人が生きていくなんて高が知れてる。もし、何だったらあたしに着いてくるか?」
顔を見上げると、蓮花が手を差し伸べていた。
「うん。よろしく・・お願いします」
「よし!なら今日からあたしのことは”師匠”って呼びな!!」
僕は蓮花・・いや、師匠に手を引かれ歩き出す。その手はお母さんとは違い傷だらけでゴツゴツしていたけれど、とても温かった。ふと思い後ろを振り返ると、目立った一本の四つ葉のクローバーが風に揺れていた。
どうも、作者のニュインです。
投稿が遅れてすみません。
次回の投稿は早めに上げれるように頑張ります。
では、また次回。