真剣で私に恋しなさいZ!〜Super Saiyan〜 作:泣きっ面
第1話:もう一つの世界
「……ここは……どこだ……」
超戦士は動揺していた。さっきまで居た場所とは違う景色が目の前に広がっていたからだ。その景色は明らかに自分が先程まで居た場所とは異なっていた。顔を下に向ければ大きなビルや町が広がっていた。
「……オレは……さっきまでナメック星にいたはず……なぜだ……ここは地球なのか……でも、他の奴らの気を感じねぇ」
超戦士は動揺した心をゆっくりと鎮め始めた。そして、自分が置かれた状況を整理し始めた。ナメック星の爆発寸前、もう助からないと目を瞑り、拳を握り締め、力の限り叫んだ。その後、目を開けばこの景色が広がっていた。
「そうか……界王様がオレの事まで」
超戦士は気づいた。自分をここに飛ばしてくれた張本人の存在に……界王はナメック星の最長老に超戦士の願いを伝えた。超戦士の願いとは……《自分とフリーザを除いた全ての人を地球に移動させる事》だったが、界王は時間差を利用して超戦士も助かるよう神龍に条件を付けたのだ。
「……すまねぇ……最後まで迷惑かけちまって」
心と身体を冷静に落ち着かせた後、状況を全て理解した超戦士の変身は解けてしまった。その黄金色の髪は力を失ったかのように黒くなり、荒々しかった姿は見る影もなくなっていた。上半身の服はほとんど無くなっており、下半身の服は所々破れていた。そして、体中には凄まじい程の切り傷や打撲などがあった。
「落ち込んでる暇はねぇ。まず、ここがどこか分かんねぇとな……それに夜みてぇだし。できれば服も欲しいな」
しばらく浮いたままじっとしていた超戦士は、疲れきった表情で町の方へと降りていった。
その世界が自分の居た世界と全く異なる世界だという事を知らずに……
その頃、某時刻、某場所ではーーー
「大和!残りの敵はどこなの!?」
赤い髪をしたポニーテイルの女の子が叫ぶ。川神一子……皆からは「ワン子」と呼ばれている。幼いころ孤児院より川神市在住の老婆に引取られる。老婆亡き後、川神院に養子として引取られる。単純明快で元気溌剌、将来百代を補佐できる師範代を目指し修行中の女の子である。
「今、探してる!もう少し待ってくれ」
直江大和……力は無いが勝利のためには手段を問わない頭脳派、学年だけでなく様々な所に顔がきく百代と幼い頃舎弟契約を結んでおり互いに姉、弟と呼び合う両親は海外在住。
「ここには居ないぞ!大和!」
レイピアを持つ女騎士。クリスティアーネ・フリードリヒ……通称「クリス」と呼ばれる女の子。ドイツからの交換留学生真面目で融通が利かず人を疑うことを知らない。プライド高く負けず嫌いで一子とよく張り合い策を弄する大和とはしばしば対立する。軍人の家系に生まれ軍人である父親を敬愛しいずれ同じ道を歩むことを夢としている。
「くそッ!一体何処にいるんだ!」
「まさか、敵があそこまで手練揃いとは思いませんでしたな」
そこでは男達が話し合っていた。一人は眼つきが鋭い筋肉質の体型をした男と、もう一人は対照的な身体をした男の二人組だ。
「ああ…十勇士が壊滅だからな……俺一人であの阿呆共を何とかしてもよいが」
「い、いけません!アレを使うのは身体にかかる負担が大きすぎます!」
「ふッ安心しろ……このスポットは俺の様な小狡い保身に長けた男でなければ見つけられまいよ。無論、他にも色々と兼ね備えてあるがな。」
「ーーーーーお〜い……」
そんな時だった。突然、男二人の後ろから明らかに自分達の仲間の声じゃない聞き覚えの無い声が聞こえてきた。
「聞きてぇ事があるんだけどよ。ちょっといいか?」